JP5047132B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載された内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する主燃料噴射と、この主燃料噴射に先立つパイロット燃料噴射と、を少なくとも行う燃料噴射手段を備える内燃機関の制御装置にかかり、詳しくはオートマチックトランスミッションを備える車両のシフトチェンジ時におけるパイロット燃料噴射の制御装置に関する。
ディーゼルエンジンは、1回の燃焼行程で複数回の燃料噴射を行うことによって、騒音、振動の低減、排出ガスの低減を図っている。パイロット燃料噴射は、この複数回の燃料噴射に含まれる主燃料噴射に先立って行われる燃料噴射であり、ごく少量の燃料噴射を行って燃焼させ、気筒内のガス温度を上昇させることで主燃料噴射時の着火遅れ時間を短縮できるため、急激な気筒内の圧力上昇を抑制する。この結果、燃焼騒音も抑制される。このように、ディーゼルエンジンは、パイロット燃料噴射を行うことによって、燃焼音が改善される(例えば、特許文献1)。
オートマチックトランスミッションを備える車両は、CVTを備える車両も含めて、エンジン効率を良くするために、緻密なエンジン制御を行っている。エンジンの制御は、車両に搭載された電子制御ユニットが諸々の運転パラメータに基づいたいわゆるエンジン効率マップ等を参照して適切な燃料噴射をすることによって行われる。
運転者は、オートマチックトランスミッションを備える車両を運転するとき、通常は運転者が要求する一定の速度に達するまで、アクセルペダルを踏み続ける。オートマチックトランスミッションを制御する電子制御ユニットは、車速、エンジントルクやエンジン回転数に応じて自動的にシフトアップさせる。シフトアップするシフトチェンジの期間は一旦負荷が無くなり、シフトチェンジが終了するとともに再びエンジンの出力が伝達されるため、トルク変動による変速ショックが生ずる。かかる課題を解決するために、この負荷が無い、いわゆるイナーシャフェーズ中はエンジンの出力を減少させる緻密なエンジン制御技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
特許第3562422号公報 特許第3158817号公報
内燃機関の燃焼を正常にするためには、吸入空気量と燃料噴射量との適正な混合比、いわゆる空燃比が適正に制御される必要がある。燃料噴射量の制御は高圧化された燃料、燃料噴射弁(インジェクタ)等によって早い応答を可能としている。例えば前記した公知技術(特許文献2)のようにオートマチックトランスミッションを備える車両においてはアップ側のシフトチェンジがされたとき変速ショックを低減するために燃料噴射量を減少する制御に入ると、ほとんど時間遅れなく燃料噴射量は減少される。
しかしながら、シフトチェンジ直後の吸入空気量は燃料噴射量の制御と比べ、粘性流体である空気の移動を伴うことから時間遅れが生じていた。また、吸気制御弁や可変容量ターボチャージャーによって吸入空気量が制御されても、吸入空気はこれらの装置から燃焼室へ吸気経路を通過する必要あるために時間遅れが生じていた。このように僅かな期間シフトチェンジ前の状態が維持された吸入空気量は、減少された燃料噴射量と比べ多くなり、適正な混合比となっていない。かかる状況において、パイロット燃料噴射がされたとき、燃料は一気に燃焼する。その結果、燃焼音が大きくなるおそれがあった。
本発明は、前記課題を鑑み、オートマチックトランスミッションを備える車両のシフトチェンジ時における適正なパイロット燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置は、オートマチックトランスミッションを備えた車両に搭載された内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する主燃料噴射と、この主燃料噴射に先立つパイロット燃料噴射と、を少なくとも行う燃料噴射手段と、前記オートマチックトランスミッションからのシフトチェンジ信号を検出するシフトチェンジ信号検出手段と、アクセル開度に基づいて算出される要求燃料噴射量を算出する要求燃料噴射量算出手段と、前記シフトチェンジ信号が検出されたとき、変速ショックを低減するために噴射される実燃料噴射量を算出する実燃料噴射量算出手段と、を備えている。そして、前記シフトチェンジ信号が検出されたとき、前記要求燃料噴射量と実燃料噴射量の差に応じて、前記パイロット燃料噴射の燃料噴射量を補正するよう構成されている。
時間遅れ分の過剰となる吸入空気量は、アクセル開度から算出される燃料噴射量(要求燃料噴射量)と、変速ショック低減のために減少され実際に噴射される燃料噴射量(実燃料噴射量)とが相違することによって生ずる。
そこで、本発明は、要求燃料噴射量と、実燃料噴射量との差に応じてパイロット燃料噴射量を補正するものとした。補正された燃料量のパイロット燃料噴射が行なわれることによって、時間遅れ分の過剰な吸入空気量が含まれた燃焼室内を適正な混合比に近づけることができ、パイロット燃料噴射された燃料が急速に燃焼することを防止し、燃焼音が大きくなることを防止する。
また、他の実施形態としては、前記要求燃料噴射量と前記実燃料噴射量の差が所定値よりも小さいときに、前記パイロット燃料噴射の噴射量の補正を禁止することができる。要求燃料噴射量と実燃料噴射量の差が所定値よりも小さいときは、パイロット燃料噴射された燃料が急速に燃焼し、燃焼音が大きくなるおそれが少ないので、パイロット燃料噴射量の補正を行う必要がないからである
本発明は、このように、オートマチックトランスミッションを備える車両のシフトチェンジ時における適正なパイロット燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を備えたエンジンシステムの模式図である。
図1では、本実施形態にかかる燃料噴射制御装置を備えることが可能な多気筒のディーゼルエンジンの一つの気筒10について説明する。このディーゼルエンジンの機械的な構成自体は周知のものと同様であり、ターボチャージャー20を備えている。
外部から吸気された空気は、白矢印Aの方向から吸気管11を通過し、ターボチャージャー20のコンプレッサによって圧縮される。吸気管11には、燃焼室12に流入する空気の流量を調節するための吸気制御弁21が設けられている。ターボチャージャー20は、コンプレッサ側の空気の流量を制御できる可変容量ターボチャージャーであってもよい。吸入空気量は、吸気制御弁21もしくは可変容量のターボチャージャー20によって制御することができる。
ターボチャージャー20のコンプレッサによって圧縮された吸入空気は、吸気バルブ16が開くことによって、燃焼室12へ流入する。吸気バルブ16が閉じ、ピストン14が上昇し、燃焼室12内の空気を圧縮することで、燃焼室12は高圧状態となる。適正な圧力になったところで、インジェクタ17から適正な混合比となる量の燃料が噴射され、その後自然着火が生じる。ピストン14は圧力に付勢され、コンロッド18を押し下げ、コンロッド18はクランクシャフト19を回転させる。その後、排気バルブ15が開き、排気は、ターボチャージャー20のタービンを通過し、タービンを回転させつつ、ハッチング矢印Eの方向へ排気管13から排気される。
インジェクタ17へは黒矢印F方向から燃料が供給される。燃料は図示しない燃料タンクからフィルタ、高圧サプライポンプ、コモンレール等を経由し、高圧化されて供給されている。インジェクタ17はソレノイドやピエゾ素子によって燃料噴射量の制御がされている。燃料圧力は極めて高圧(例えば2000気圧)であり、またソレノイドやピエゾ素子は応答性に優れ、極めて短い噴射間隔を実現できることから、インジェクタ17は最適な量の燃料を最適なタイミングで噴射することができる。なお、吸気管11への吸気流路には、図示しない中間冷却器等を介してもよい。
燃料噴射は、インジェクタ17によって、1回の燃焼行程において複数回実施される。この複数回とは、例えば、主燃料噴射の前に、パイロット燃料噴射、プリ燃料噴射、主燃料噴射の後にアフター燃料噴射、ポスト燃料噴射などがあり、それぞれの段階で発生する排出ガスの低減や騒音、振動の低減を図っている。
パイロット燃料噴射は、ごく少量の燃料噴射を行って燃焼させ、気筒内のガス温度を上昇させることで主燃料噴射時の着火遅れ時間を短縮できるため、急激な気筒内の圧力上昇を抑制する。パイロット燃料噴射を行うことによって、燃焼音が大きく改善されている。
次に、図を参照して燃料噴射制御装置の機能について説明する。図2は本実施形態における燃料噴射制御装置の機能ブロック図である。
図2を参照すると、本実施形態の燃料噴射制御装置は、ECU(電子制御ユニット)100によって実現できる。ECU100は、一種のコンピュータであり、演算を実行するプロセッサ(CPU)、各種データを一時記憶する記憶領域およびプロセッサによる演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムおよび演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み出し専用メモリ(ROM)、およびプロセッサによる演算の結果およびエンジン系統の各部から得られたデータのうち保存しておくものを格納する書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリは、システム停止後も常時電圧供給されるバックアップ機能付きRAMで実現することができる。
ECU100は、エンジン回転数NE、ミッションギア段数等を検出する複数のセンサなどから出力される信号等を受け取り、エンジン状態を判定するエンジン状態判定部101とシフトチェンジ判定を行うシフトチェンジ判定部102を実現し、後記するパイロット燃料噴射量の補正のプロセスを実現するようプログラムされている。ECU100は燃料噴射制御装置専用としてもよいが、内燃機関系統を制御するECU100にそれぞれの機能を組み込んでもよい。
エンジン状態判定部101は、エンジン回転数センサによって検出されたエンジン回転数NE、シフトポジションセンサによって検出されたミッションギア段数の信号を取得し、以下に説明する燃焼室へ供給される燃料噴射量の信号を取得する。
ECU100は、運転者がアクセルを踏み込んだときのアクセル開度およびエンジン回転数NE等の運転パラメータに基づいて燃焼室へ供給される燃料噴射量を算出する。本明細書ではこれを「要求燃料噴射量RFQ」という。ミッションギア段数等が変動しない通常の運転状態においては、要求燃料噴射量RFQに応じた燃料噴射量が燃焼室に供給される。
一方、オートマチックトランスミッションのシフトチェンジにおいて、変速ショックを低減する必要がある場合、ECU100は、アクセル開度によらず、エンジン回転数NE等の運転パラメータに基づき、燃料噴射量を算出する。この算出された燃料噴射量は、トルク変動をなくすようにエンジン出力を減少させるため、前記した要求燃料噴射量RFQより少ないものとなる。したがって、シフトチェンジ等の場面においては、この減少した燃料噴射量が燃焼室へ供給される燃料噴射量となる。本明細書ではこれを「実燃料噴射量AFQ」という。
なお、ECU100は、燃焼室へ燃料が供給される前に要求燃料噴射量RFQおよび実燃料噴射量AFQを算出し、後記するパイロット燃料噴射量補正プロセスに用いる。
回転数NEは、クランクシャフト19の回転を検出するエンジン回転数センサからの信号に基づいて検出される。ミッションギア段数は、シフトポジションセンサからの信号に基づいて検出される。
これらの取得された検出値および算出値は信号処理されて、エンジン状態判定のためのパラメータとして用いられる。エンジンの出力が減少側にあると判断されたとき、エンジン状態判定部101は、出力減少の信号を出力する。
シフトチェンジ判定部102は、シフトチェンジ要求フラグと変速フラグを参照し、シフトチェンジがされるか否かを判定し、両方のフラグとも立っている場合はシフトチェンジがされると判定される。これらのフラグはECU100が車両の制御をするために設定されており、シフトチェンジ判定部102はこれらのフラグを参照することができる。シフトチェンジがされると判定された後、シフトチェンジ判定部102は、シフトチェンジがされる旨の信号を出力する。
エンジンの出力が減少している信号とシフトチェンジがされる信号を受けたとき、ECU100は、要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差を算出して、後記するパイロット燃料噴射量の補正プロセスを実行する。
図3は本実施例にかかるパイロット燃料噴射量補正プロセスのフロー図であり、図4は補正マップの一例であり、そして、図5は補正手法の時間的流れを示す説明図である。なお、以下の説明では図1,2も併せて参照する。
パイロット燃料噴射量補正プロセスは、次のような要求燃料噴射量RFQと実際の吸入空気量との相関および実燃料噴射量AFQと目標とする吸入空気量との相関に基づいて実行されている。
オートマチックトランスミッションを備える車両を運転するとき、運転者は、通常は運転者が要求する一定の速度に達するまで、アクセルペダルを踏み続ける。すなわちアクセル開度は大きく変化することはない。要求燃料噴射量RFQは、アクセル開度と吸入空気量等の運転パラメータに基づき算出される。吸入空気量は、エンジンが定常的に運転されているときは、吸気管11に備えられたフローメータや温度計(図示せず)によって検出され、これらの観測値を用いてECU100によって算出される。このように、実際の吸入空気量と要求燃料噴射量RFQとは相関を有している。
一方、エンジン出力が運転者ではなくECU100が主となって制御される場合、たとえばシフトチェンジ期間では、ECU100はエンジン出力を減少するべく、実燃料噴射量AFQを算出する。適正な混合比で燃焼をさせる必要があることから、この実燃料噴射量AFQに応じた目標とする吸入空気量も算出され、制御量として制御される。このように、シフトチェンジが行われた場合における目標とする吸入空気量は、実燃料噴射量AFQと相関を有している。
図5を参照すると、実際にシフトチェンジがされると、実燃料噴射量AFQは瞬時に減少する。吸入空気量も減少させるように制御されるが、瞬時には移行できず、時間遅れをともなって、目標とする吸入空気量へと減少しつつ移行する。この時間遅れは、粘性流体である空気の移動現象および吸気制御弁や可変容量ターボチャージャーによって吸入空気量が制御されても、吸入空気はこれらの装置から燃焼室へ吸気経路を通過する必要あるために生じていた。この、時間遅れによって、実燃料噴射量AFQの変化に追従しない余剰空気量DAが生ずる。余剰空気量DAは、実際の吸入空気量AAQと目標とする吸入空気量RAQとの差DFAに基づいて予測可能であり、また実験的にも取得することができる。
ここで、要求燃料噴射量RFQと実際の吸入空気量AAQとの関係、および、実燃料噴射量AFQと目標とする吸入空気量RAQとの関係は、前記したように相関を有していることから、図5の第3段目と第4段目に示すように、算出された要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差DFQは、実際の吸入空気量AAQと目標とする吸入空気量RAQとの差DFAと相関を有している。
したがって、時間遅れによる余剰空気量DAは、差DFAと相関がある差DFQからも算出されることができる。このように要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差DFQによって、ECU100は、後記するプロセスに従い、時間遅れの余剰空気量DAが考慮されたパイロット燃料噴射量に補正することができる。
次に、図3を参照してパイロット燃料噴射量補正プロセスを説明する。図3に示すパイロット燃料噴射量補正プロセスは、ECU100のCPUによって実行される。このプロセスは、所定の時間間隔で実行することができる。
ステップS201において、前記したようにECU100のエンジン状態判定部101は、エンジンの出力が減少か否かを判定する。かかる判定は、シフトチェンジ時に変速ショックをなくすため燃焼室へ供給する燃料噴射量を減らし、その結果エンジン出力が低下する場合を想定して実行されている。エンジンの出力が通常運転である場合は(S201:No)、パイロット燃料噴射量の補正は必要ないためプロセスを終了する。エンジンの出力が減少である場合は(S201:Yes)、ステップS202が実行される。
ステップS202において、前記したようにシフトチェンジ判定部102は、シフトチェンジがされるかを判定する。シフトチェンジがされない場合は(S202:No)、パイロット燃料噴射量の補正は必要ないためプロセスは終了される。シフトチェンジがされる場合は(S202:Yes)、ステップS203が実行される。
なお、前記したステップS201とS202における判定順は一例であり、この逆や、図2に示したブロック図において判定結果にフラッグを立てて同時に判定する構成とすることもできる。
ステップS203において、ECU100は、すでに算出され、ECU100のメモリに格納されている実燃料噴射量AFQと要求燃料噴射量RFQ(ステップS204)を取得する。
ステップS205において、ECU100は、(1)式に示すように、取得した要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差DFQを算出する。
DFQ=RFQ-AFQ (1)
差DFQが算出されると、ECU100は、ステップS206においてパイロット燃料噴射量を補正するための補正係数kを設定する。図5に示すように目標とする吸入空気量RAQを急激に減少させようとしても実際の吸入空気量AAQは、空気の時間遅れのために追従できない。その結果、実際の吸入空気量AAQは、目標とする吸入空気量RAQと時間遅れで追従できない余剰空気量DAとが加算されたものとなる。
補正係数kは、この余剰空気量DA分に起因するパイロット燃料噴射時の余剰空気分に相当する燃料量を補正するものであり、最小値を0とし、差DFQに応じて変化する。本実施例では、図4に示す横軸が要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差DFQ、縦軸が補正係数kのマップを用いて、補正係数kを算出している。
なお、図4に示すマップでは、差DFQが所定量となるまで、補正を行わないもの(ゼロ補正)としている。差DFQが小さければ、問題となる燃焼音を発生するおそれは少ないからである。図4のマップは、補正係数kの設定にあたって、ECU100の演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み出し専用メモリ(ROM)から参照することができる(ステップS207)。補正係数kが設定されると、ECU100は、ステップS208を実行する。
ECU100は、ステップ208において、すでに算出され、ECU100のメモリに格納されているシフトチェンジ後の実燃料噴射量AFQに対応する実パイロット燃料噴射量PAFQを取得する。実パイロット燃料噴射量PAFQは、例えば、エンジン回転数NE,要求されるトルク等からECU100のメモリに格納されたマップを参照して算出することができる。そして、ECU100は、実パイロット燃料噴射量PAFQと、設定された補正係数kと、を(2)式に代入して補正パイロット燃料噴射量CPAFQを算出する。
CPAFQ=(1+k)×PAFQ (2)
ここで、補正係数kに1を加算しているのは、パイロット燃料噴射時の余剰空気量分に相当する燃料量を補正しているためである。
なお、ここでは図4のマップを参照して補正係数kを設定し、パイロット燃料噴射量の補正を行った。しかし、補正はこの手法に限定されず、次のように、なまし計算による補正や、加重平均による補正を実行することも可能である。
例えば、なまし計算による要求パイロット燃料噴射量PRFQから実パイロット燃料噴射量PAFQへ移行させる補正においてパイロット燃料噴射量を算出する例を(3)式に示す。
CPAFQ(なまし計算)=kc×PAFQ+(1−kc)×PRFQ (3)
ここで、PRFQは要求燃料噴射量RFQに対応する要求パイロット燃料噴射量であり、例えば、エンジン回転数NE,要求されるトルク等からECU100のメモリに保管されたマップを参照して算出することができる。kcはなまし係数である。
例えば、加重平均を用いることによって、要求パイロット燃料噴射量PRFQから実パイロット燃料噴射量PAFQへ移行させる補正においてパイロット燃料噴射量を算出する例を(4)式に示す。
CPAFQ(加重平均)=(a×PAFQ+b×PRFQ)/(a+b) (4)
ここで、a,bは、加重係数である。
実際の吸入空気量AAQから目標とする吸入空気量RAQへの移行は、燃料噴射量の移行と比較して時間遅れを生じさせるが、その移行期間は長時間に渡るものではない。従って、図4に一例として示したマップも、階段状に補正係数kを変化させるマップやテーブルとすることも可能である。
ECU100は、ステップ209において、算出された補正パイロット燃料噴射量CPAFQを噴射する指令を、インジェクタ制御部へ送り、インジェクタ制御部はインジェクタ17を制御する。この指令は、燃料供給管に配設された圧力計(図示せず)の出力に基づいて、インジェクタ17へ流入する燃料の燃料圧力が検出され、この燃料圧力に基づき、インジェクタ17の噴射時間、噴射のタイミングを制御する指令である。インジェクタ17は指令に応じて指令された量の燃料を最適なタイミングで燃焼室へパイロット噴射することができる。
なお、急に運転者がアクセルペダルを離すことによる車両の減速時にも、吸入空気量が時間遅れのために燃料噴射量に追従しない場合がある。この現象は、前記した粘性流体である気体塊の移動の遅れに起因するものであり、吸入空気はシフトチェンジ時と同様な挙動となる。したがって、図4に示すマップは、かかる状況においても適正な混合比とするための補正係数を与えることができる。すなわち、図4に示すマップ一つで、シフトチェンジ時および減速時の余剰空気分に対するパイロット燃料噴射量を補正することが可能となり、急な減速時において燃焼音が発生することを抑制することができる。
次に、前記内容と一部重複するが図5を参照して、本実施形態にかかるパイロット燃料噴射量の補正の時間的な流れを説明する。
図5は、縦軸に上から車両速度、シフトチェンジ状況、燃料噴射量および吸入空気量の推移を示しており、横軸に時間を示している。この例は、運転者がオートマチックトランスミッションを備えた車両を発進させ、加速させて走行する場面を想定している。運転者は、アクセルペダルを踏み続けており、内燃機関を制御するECUは、車速やエンジン回転数に応じてアップ側のシフトチェンジを自動的に行う。
図5の下段はシフトチェンジのフェーズを表している。発進からのミッションギア段数で走行が維持されている期間R1と、ECUがアップ側のシフトチェンジを行うシフトチェンジ期間C1と、シフトチェンジされたミッションギア段数で走行が維持されている期間R2と、再度ECUがアップ側のシフトチェンジを行うシフトチェンジ期間C2と、から構成されている。
第1段目の車両の速度は、エンジンの出力が伝達されないシフトチェンジ期間C1,C2を除いて、単調増加する。図示していないが、要求する走行状態になったとき、運転者は、通常、アクセルペダルを調整しつつ、車両の走行状態を維持する。
第2段目のシフトチェンジ状況の逆黒三角は、ECU20がシフトチェンジ信号SHを検出したことを表している。検出したタイミングは破線で各段と関係付けている。
第3段目の燃料噴射量は、要求燃料噴射量RFQを一点鎖線で表し、実燃料噴射量AFQを実線で表している。なお、図5において、一点鎖線と実線とは重なっていないが、これは説明のためである。
オートマチックトランスミッションを備える車両において、運転者は、アクセルペダルを緩めることなく、シフトチェンジをすることが想定される。かかる状況では、要求燃料噴射量RFQは、連続的な曲線で推移する。
しかしながら、シフトチェンジ時のトルク変動を抑制するために、ECUは、実燃料噴射量AFQを減少させる。インジェクタ17に備えられたソレノイドやピエゾ素子は、応答速度が極めて速く、また、燃料は高圧化されていることから、要求燃料噴射量AFQは、図5に示すR1からC1へ移行するようにほぼ矩形状に制御される。
第4段目の吸入空気量は、運転者が要求する要求燃料噴射量RFQと相関が高い実際の吸入空気量AAQを一点鎖線で表し、ECUが制御する実燃料噴射量AFQと相関が高い目標とする吸入空気量RAQを実線で表している。なお、図5において、一点鎖線と実線とは重なっていないが、これは説明のためである。
実際の吸入空気量AAQは、実燃料噴射量AFQまたは目標とする吸入空気量RAQと同じ軌跡となるのが理想である。しかしながら、外気を取り入れる実際の吸入空気量AAQは、目標とする吸入空気量RAQと比べて、粘性流体の移動を伴うため時間遅れが生じ、余剰空気量DA分だけ多くなる。
その結果、空気が過剰な混合気となり、特に主燃料噴射の前に噴射されるパイロット燃料は一気に燃焼し、燃焼音が大きくなるおそれがある。本実施形態の一実施例では、前記したように要求燃料噴射量RFQと実燃料噴射量AFQとの差DFQに応じて、図4に示したマップを用いて補正係数kを取得する。そして、シフトチェンジ後の実燃料噴射量AFQに対応する実パイロット燃料噴射量PAFQに乗じて、補正パイロット燃料噴射量CPAFQとしている。このように時間遅れの余剰空気量DAに対応してパイロット燃料噴射を補正することにより、燃焼音の発生を抑制することができる。
本発明は、オートマチックトランスミッションのシフトチェンジ時において、実際に燃焼室内に吸入される吸入空気量に相関のある要求燃料噴射量と、実際に燃料室内に噴射される実燃料噴射量の差に応じてパイロット燃料噴射量を補正するので、適切なパイロット燃焼を実現し、燃焼音の改善を図ることができる。
また、観測された吸入空気量に基づき燃料噴射量を算出した場合、空気移動の時間遅れが生じ、正確な燃料噴射量とならない場合がある。本発明は、観測された吸入空気量を用いることなく、吸入空気量と強い相関を有し、かつ、瞬時の観測および制御が可能な燃料噴射量を用いて、補正量を算出する構成としており、応答性の高い制御を実現することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を説明した。本発明は、図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
例えば、シフトチェンジ判定部102は、パイロット燃料噴射の補正をシフトチェンジ後も所定時間継続させるために、図2に示すように、シフトチェンジ判定にディレイ時間Tを付加するように構成してもよい。かかる構成によって、シフトチェンジ直後の燃焼状態が不安定になる領域においてもパイロット燃料噴射量の補正を継続できるので、適切なパイロット燃焼を実現し、燃料音の悪化を抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を備えたエンジンシステムの模式図である。 本発明の一実施形態における燃料噴射制御装置の機能ブロック図である。 一実施形態の一実施例にかかるフロー図である。 一実施形態の一実施例にかかる補正マップの一例である。 一実施形態の一実施例にかかる補正手法の時間的流れを示す説明図である。
符号の説明
10 気筒
11 吸気管
12 燃焼室
13 排気管
14 ピストン
15 排気バルブ
16 吸気バルブ
17 インジェクタ
18 コンロッド
19 クランクシャフト
20 ターボチャージャー
21 吸気制御弁
100 ECU
101 エンジン状態判定部
102 シフトチェンジ判定部

Claims (2)

  1. オートマチックトランスミッションを備えた車両に搭載された内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する主燃料噴射と、この主燃料噴射に先立つパイロット燃料噴射と、を少なくとも行う燃料噴射手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    前記オートマチックトランスミッションからのシフトチェンジ信号を検出するシフトチェンジ信号検出手段と、
    前記パイロット燃料噴射と主燃料噴射とにより燃焼室に供給される総燃料噴射量であってアクセル開度に基づいて決定される要求燃料噴射量を算出する、要求燃料噴射量算出手段と、
    前記総燃料噴射量であって前記要求燃料噴射量よりも少ない実燃料噴射量を、前記シフトチェンジ信号が検出されたとき、変速ショックを低減すべく、前記アクセル開度にかかわらず、前記シフトチェンジ信号の検出時における前記内燃機関の回転数を含む運転パラメータに基づいて算出する、実燃料噴射量算出手段と、
    前記燃焼室における空燃比を所定の値とすべく、前記燃焼室への吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段と、
    を備え、
    前記シフトチェンジ信号が検出されたとき、前記吸入空気量制御手段に制御される吸入空気の移動に伴う時間遅れによって生じる余剰空気量(DA)に対し空燃比を適性化すべく、前記実燃料噴射量に応じた前記パイロット燃料噴射における燃料噴射量を、前記要求燃料噴射量と前記実燃料噴射量の差に基づいて補正するよう構成されている、
    内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記要求燃料噴射量と前記実燃料噴射量の差が所定値よりも小さいときに、前記パイロット燃料噴射の噴射量の補正を禁止する、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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