JP5046719B2 - 配列用マスクとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半田バンプの作成に使用される、半田ボールの配列用マスクに関する。
近年の携帯電話やデジタルカメラなどの様々な機器の小型化、高機能化に伴い、LSIやLSIパッケージの電子部品の小型化を実現するバンプ・ピッチの微細化技術、および高精度接続技術への要求が急速に高まっている。このようなLSIやLSIパッケージの実装面積の縮小化に対応し得る接続方法としては、半田バンプを溶融させて接続するフリップチップ接続が広く知られている。かかるフリップチップ接続における半田バンプの形成方法としては、半田ボールを用いたBGA(BallGridArray)と称される方法が知られている。このBGA方式では、ウエハやフレックス基板などのワーク上の電極にフラックスを塗布する印刷工程と、フラックス上に半田ボールを配列・搭載する配列工程と、半田ボールを加熱・溶解する加熱工程を経てバンプを形成している。
前述の配列工程において、ワーク上に半田ボールを配列する方式としては、吸着ヘッドを使用した吸着方式とマスクを用いた振込方式がある。後者の方式では、電子部品の電極の配列パターンに対応して半田ボールが挿通可能な位置決め用の通孔を有する配列用マスク(以下、適宜に単に「マスク」と称す)を用いて、半田ボールをワーク上に搭載させている。具体的には、通孔と電極とが一致するようにワークに対しマスクを位置合わせしたうえで、マスクの上に置かれた半田ボールをスキージやブラシ等で掃引して、各通孔に一つずつ半田ボールを投入する。そして、フラックスに半田ボールを吸着させることにより、ワーク上の所定位置に半田ボールを仮止め的に搭載させている。
以上のようなマスクを用いた振込方式においては、マスク側の特に通孔にフラックスが付着すると、通孔内に挿入された半田ボールがワークに捕捉されずにマスク側に捕捉され、その結果、半田ボールがマスク側に残留して、半田ボールの搭載不良を引き起こすおそれがある。そのため、前述の配列工程においては、マスクはワークに対して所定の対向間隙を有する離間姿勢に姿勢保持しておく必要がある。
このようにマスクを離間姿勢に保つ方法としては、特許文献1のように、通孔を有するマスク本体の下面に多数本の支持用突起を設ける方法がある。特許文献1に係るマスクでは、支持用突起の突出寸法は同一寸法に設定されており、ワーク上にマスクを設置した状態において、全ての支持用突起の下端がワークの上面に当接することで、通孔を有するマスク本体とワークとの対向間隙が確保されるようになっている。
特開2006−287215号公報
本発明者等の知見によれば、ワークが特に薄板状のものであるとうねりを有しているので、マスクは可撓性を有するものであるほうが、ワークに対して追随性良くマスクを載置でき、各通孔内に半田ボールを効率的に漏れなく投入することが可能であると考えている。
しかし、特許文献1の図8のように、均一な密度で支持用突起が形成されたマスクを用いた場合には、マスク本体は撓み難く、うねりを有するワークに対してマスクを追随性良く載置できず、マスクとワーク間にすき間が生じてしまい、精度良く半田ボールの投入作業をすることができない。
本発明の目的は、マスクに柔軟性を持たせることでマスクをワークにならって載置することができ、したがって、半田ボールの通孔への投入作業を効率的に漏れなく進めることができる配列用マスク、およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、ワーク3上に複数個搭載された半導体チップ5の電極6の配列パターンに対応した多数独立の通孔12を有し、前記通孔12内に半田ボール2を振り込むことで、前記ワーク3上の前記電極6に前記半田ボール2を搭載する配列用マスクであって、前記各半導体チップ5に対応し、前記通孔12からなるパターン領域13と、マスクの下面から突設された突起15とを備えており、前記パターン領域13は、マスクの盤面中央部に多数形成され、前記各パターン領域13間にスペース14が設けられており、前記突起15は、前記パターン領域13内のみに形成されていることを特徴とする。
突起15の形状としては、図示例のようなストレート状の円柱体に限られず、テーパー状を採ることができる。平面視で長方形状や線状であってもよい。本発明におけるワーク3の具体例としては、ウェハータイプのものも考えられるが、うねりが大きいワークに対して特に有効であり、例えばシリコン基板やガラスエポキシ基板などといった基板タイプに特に好適である。
マスク1の外周縁に補強用の枠体11を設けても良い。その場合、マスク1が、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で形成することが好ましい。かかる応力の付与は、マスク1となる電鋳層を作成する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボンの含有比率を調製することで実現できる。さらに、母型30を42アロイやインバー、SUS430(ステンレス)その他の低熱線膨張係数の材質からなるものとしたうえで、マスク1となる電鋳層の形成時における電鋳槽内の温度が高くなることで、かかる温度差に起因して、母型30と母型30上に形成されるニッケルやニッケル合金等の電着金属との熱膨張係数の差によって、母型30から剥離したマスク1となる電着層が常温時には内方側に収縮するように設定することによっても実現できる。
図9(c)に示すように、突起15は、非磁性体で形成することができる。図示例では、レジストで突起15を形成している。尤も、レジスト以外の樹脂や銅、アルミといった金属で形成してもよく、本発明は当該概念をも含む。
また、前記パターン領域13外に応力緩和部8が形成されていることを特徴とする。応力緩和部8は、突起15が実質的に形成されていない箇所に形成するのが好ましい。
また本発明は、ワーク3上に複数個搭載された半導体チップ5の電極6の配列パターンに対応した多数独立の通孔12と、前記各半導体チップ5に対応し、前記通孔12からなるパターン領域13と、マスクの下面から突設された突起15とを備え、前記パターン領域13がマスクの盤面中央部に複数形成され、前記各パターン領域13間にはスペース14が設けられており、前記突起15が前記パターン領域13内のみに形成されてあって、前記通孔12内に半田ボール2を振り込むことで、前記ワーク3上の前記電極6に前記半田ボール2を搭載する配列用マスクの製造方法であって、母型30の表面に、突起15に対応するレジスト体38aを有する一次パターンレジスト38を形成する工程と、レジスト体38aを用いて、母型30上に電着金属を電鋳して、一次電鋳層39を形成する第一の電鋳工程と、一次パターンレジスト38を除去する工程と、一次電鋳層39上に、通孔12に対応するレジスト体44aを有する二次パターンレジスト44を形成する工程と、レジスト体44aを用いて、母型30及び一次電鋳層39上に電着金属を電鋳して、突起15を一体に有するマスクとなる二次電鋳層45を形成する第二の電鋳工程と、二次パターンレジスト44を除去するとともに、母型30、一次電鋳層39から二次電鋳層45を剥離する工程とを含むことを特徴とする。
また本発明は、ワーク3上に複数個搭載された半導体チップ5の電極6の配列パターンに対応した多数独立の通孔12と、前記各半導体チップ5に対応し、前記通孔12からなるパターン領域13と、マスクの下面から突設された突起15とを備え、前記パターン領域13がマスクの盤面中央部に複数形成され、前記各パターン領域13間にはスペース14が設けられており、前記突起15が前記パターン領域13内のみに形成されてあって、前記通孔12内に半田ボール2を振り込むことで、前記ワーク3上の前記電極6に前記半田ボール2を搭載する配列用マスクの製造方法であって、母型30の表面に、通孔12に対応するレジスト体74aを有する一次パターンレジスト74を形成する工程と、レジスト体74aを用いて、母型30上に電着金属を電鋳して、マスクとなる一次電鋳層75を形成する第一の電鋳工程と、一次パターンレジスト74を除去する工程と、一次電鋳層75上に、突起15となるレジスト体77aを有する二次パターンレジスト77を形成する工程と、母型30から一次電鋳層75及び二次パターンレジスト77を剥離する工程とを含むことを特徴とする。

本発明の配列用マスクにおいては、マスク1とワーク3との対向間隙を形成する突起15aを形成されており、前記突起15の形成密度はパターン領域13内においてパターン領域13外より大きくしてある。これによれば、突起15を形成したことによるマスクの補強効果(強度の向上効果)が期待できる。また、突起15によってワーク3との対向間隙を確実に確保できるとともに、突起15が形成されていない部分によってマスク1に可撓性・柔軟性を付与することができる。したがって、パターン領域13においてはワーク3に対してしっかりと載置できるとともに、パターン領域13外によってマスク1をワーク3にならうように対応させることができるので、通孔12内への半田ボール2の投入作業を効率的に漏れなく進めることができる。加えて、マスク1の特に通孔12周縁及び壁面へのフラックス17の付着に起因する半田ボール2の搭載不良の問題を確実に防ぐことができる。マスクの撓み過ぎによる通孔12からの半田ボール2の抜け出し防止効果も期待できる。
さらに、前記突起15をパターン領域13内のみに形成するようにすれば当該作用効果はより顕著となる。
パターン領域13外に、つまり突起15が実質的に形成されていない部分に応力緩和部8を設ければ、ひずみを有するワーク3に対してマスク1を可及的にならわせることが可能となり、より半田ボール2の通孔12への投入作業を効率的に漏れなく進めることができる。
マスク1の外周縁に、補強用の枠体11が設ける場合、マスク1が、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で形成されていると、周囲温度の変化に伴うマスク1の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、ワーク3に対するマスク1の位置ズレの発生を防ぐことができる。また、マスク1の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
半田ボール2の搭載作業に際しては、配列用マスクは、磁力によってワーク3に対して、遊動不能に吸着保持される(特許文献1の図1、図5等を参照)。このため、突起15が磁性体で形成されていると、当該突起15がワーク3側(下方側)に強く引っ張られて、マスク1が不用意に撓み、その結果、電極6に対する通孔12の位置がずれるおそれがある。
これに対して、突起15を、銅、アルミニウム、樹脂等といった非磁性体で形成していると、マスク1に対して磁力が均一に働くことになるため、突起15の形成箇所に係るマスク1が不用意に撓むおそれがなく、電極6に対する通孔12の位置精度が向上する。特に、突起15をレジストで形成していると、当該レジストの弾力性に由来するクッション作用が発揮され、突起15がワーク3に当接した際に、ワーク3を損傷するおそれがない点で優れている。
本発明に係る配列用マスクの製造方法によれば、電鋳法により高精度に配列用マスクを作製することができるので、半田ボール2を位置精度良くワーク3上に搭載させることができる。
(第1実施形態)
図1乃至図3に、本発明の第1実施形態に係る半田ボールの配列用マスクを示す。この配列用マスク(以下、単にマスクと記す)1は、半田ボール2の配列工程において使用に供されるものである。図1において、符号3は、マスク1による半田ボール2の搭載対象となるワークを示す。このワーク3は、例えば、ガラスエポキシ基板のベース4に複数個の半導体チップ5を搭載し、ワイヤボンドで配線した後トランスファモールド封止してなるものであり、半導体チップ5を囲むように、ワーク3の上面には、入出力端子である電極6が所定のパターンで形成されている。なお、ワーク3は、バンプの形成後に個片に切断され、個々のチップとされる。
マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として電鋳方法によって形成されており、図1ではこのマスク1を囲むように枠体11が装着されている。マスク1の盤面中央部には、各半導体チップ5に対応して、半田ボール2を投入するための多数独立の通孔12からなるパターン領域13が単数もしくは図示例のように多数形成されている。図1に示すように、各パターン領域13の通孔12は、ワーク3上における各半導体チップ5の電極6の配列位置に対応した配列パターンに対応している。半田ボール2は、50μm以下の半径寸法を有するものであり、これに合わせて各通孔12は、当該ボール2の半径寸法よりも僅かに大きな内径寸法を有する平面視で円形状に形成されている。
マスク1には、補強用の枠体11が装着される。この枠体11は、42アロイ、インバー材、SUS430等の低熱線膨張係数の材質からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク1に対応する一つの四角形状の開口を備えており、一枚のマスク1を一枚の枠体11で保持している。枠体11は、マスク1よりも肉厚の成形品であり、マスク1の外周縁と不離一体的に接合される。ここでは枠体11の厚み寸法は、例えば0.05〜3.0mm程度とし、本実施形態においては0.5mmに設定した。なお、マスク1の厚みは、使用する半田ボール2の径に合わせて設定し、マスク1の厚みは半田ボール2の径と同程度とするのが好ましい。
図2および図3に示すように、マスク1の下面側、すなわちワーク3に対する対向面側には、ワーク3との対向間隙を確保する突起15が、下方向に突出状に設けられている。突起15は、円柱状を呈しており、配列作業時においてワーク3の上面に常に当接してマスク1とワーク3との対向間隙を確保している。この突起15は、マスク1のパターン領域13が下方への撓み変形状態となって、マスク1の下面とワーク3の上面との接触を防止することを目的として形成される。また、突起15は実質的にパターン領域13内に形成されており、突起15の形成密度は、パターン領域13外よりパターン領域13内の方が大きくなっている。ここで言う形成密度とは、平均密度のことであり、つまりパターン領域13内に形成されている突起15の形成平均密度がパターン領域13外に形成されている突起15の形成平均密度より大きいことを表している。そして、本発明では、パターン領域13外とは各パターン領域13間のスペース14のことを言う。こうすることにより、パターン領域13外によってワーク3が有するひずみにならってマスク1を載置できるように対応させることができる。図3に示すように、パターン領域13外に突起15に相当するものが少量形成されてあるマスクも本発明の概念に含まれる。また、図4に示すように、突起15の形成密度はパターン領域13内をパターン領域13外より大きく保ちつつもパターン領域13外にある突起15もしくはこれに相当するものもできるだけ通孔12付近に形成することで、マスク1において突起15があるところとないところが明確になり、パターン領域13外にてより柔軟良く対応させることができる。もちろん、図5に示すように、突起15をパターン領域13内のみに形成しても良い。
なお、図1の斜視図、および図2の縦断面図は、実際のマスク1の様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、図1等における通孔12の開口寸法やマスク1等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものであって実寸法とは大きく異なる。また、通孔12の開口数も実際とは異なる。
マスク1を用いた半田ボール2の配列作業は、以下のような手順で行われる。なお、この配列作業は、専用の配列装置(特許文献1の図1、図5等を参照)によって行われる。まず、ワーク3の電極6上にフラックス17(図2参照)を印刷塗布する。次に、通孔12と電極6とが一致するように、ワーク3上にマスク1を位置合わせしたうえで、マスク1を固定する。かかる位置合わせ作業は、実際には枠体11とワーク3との外周縁を位置合わせすることで行われる。位置合わせ作業が終了すると、ワーク3の下方に磁石を配置して、該磁石の磁力吸引力によりワーク3にマスク1を不離一体的に固定する。かかる固定状態において、突起15の下端面がワーク3の表面に当接することで、マスク1は、図2に示すようなワーク3との対向間隙が確保された離間姿勢に姿勢保持される。ワーク3の表面が僅かにうねっている場合にも、突起15の下端面をワーク3の表面に当接させて、該ワーク3の表面のうねりに合わせて、マスク1を不離一体的に固定することができる。
次に、マスク1上に多数個の半田ボール2を供給し、スキージブラシを用いてマスク1上で半田ボール2を分散させて、通孔12内に一つずつ半田ボール2を投入する。これにて、半田ボール2はフラックス17に仮止め状に粘着保持される。かかる半田ボール2の投入作業においては、突起15が形成されていない部分で撓み変形して柔軟良くワーク3に対応するため、投入作業を作業効率良くスムーズに進めることができる。また、パターン領域13の部分が下方に撓み変形しようとしても、突起15がワーク3の表面に当接しているため、マスク1がワーク3に接触して、マスク1にフラックス17が付着することがない。
以上のように本実施形態に係るマスク1によれば、マスク1に突起15を形成したので、マスク1とワーク3との対向間隙を確実に確保できる。また、突起15は、パターン領域13内に実質的に形成されているので、ワーク3との対向間隙を確実に確保できるとともに、突起15が実質的に形成されていないパターン領域13外によって、ワーク3が有するひずみにならってマスク1を追随性良く載置できる。これにより、通孔12内への半田ボール2の投入作業を効率的に漏れなく進めることが可能となる。
マスク1の外周縁に、補強用の枠体11が設けられており、マスク1が、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で形成されていると、周囲温度の変化に伴うマスク1の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、ワーク3に対するマスク1の位置ズレの発生を防ぐことができる。また、マスク1の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
図6及び図7は本実施形態に係る配列用マスク1の製造方法を示す。まず、図6(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型30の表面にフォトレジスト層36を形成する。このフォトレジスト層36は、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。ついで、フォトレジスト層36の上に、突起15に対応する透光孔37aを有するパターンフィルム37(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ33で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図6(b)に示すように、第一突起に対応するレジスト体38aを有する一次パターンレジスト38を母型30上に形成した。
続いて、上記母型30を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図6(c)に示すごとく先のレジスト体38aの高さの範囲内で、母型30のレジスト体38aで覆われていない表面にニッケル等の電着金属を電鋳して、一次電鋳層39を形成した。ここでは、母型30の略全面にわたって、一次電鋳層39を形成した(第一の電鋳工程)。次に、図6(d)に示すごとく、一次パターンレジスト38を除去する。一次電鋳層39の表面に研磨処理を施しておくと良い。
次いで、図7(a)に示すごとく一次電鋳層35および母型30の表面の全体に、フォトレジスト層42を形成したうえで、当該フォトレジスト層42の表面に、前記通孔12に対応する透光孔43aを有するパターンフィルム43を密着させたのち、紫外光ランプ33で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図7(b)に示すように、突起15に対応するレジスト体44aを有する二次パターンレジスト44を一次電鋳層35の表面に形成した。
続いて、所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図7(c)に示すごとく、先のレジスト体44aの高さの範囲内で、母型30及びのレジスト体44aで覆われていない一次電鋳層35の表面にニッケル等の電着金属を電鋳して、二次電鋳層45を形成した(第二の電鋳工程)。次に、二次パターンレジスト44を溶解除去したうえで、母型30及び一次電鋳層35から二次電鋳層45を剥離することにより、図7(d)および図2に示すようなマスク1を得た。マスク1に枠体11を装着すれば、図1に示すような配列用マスク1が得られる。
二次電鋳層45、つまりマスク1は、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で、枠体11に保持することが可能である。かかる応力の付与は、例えば、枠体11とマスク1との熱膨張係数の差を利用して、高温環境下でマスク1の外周縁に枠体11の装着作業を行い、常温時ではマスク1を内方側に収縮させることで実現できる。
以上のようなマスク1の製造方法によれば、電鋳法により高精度に配列用マスクを作製することができるので、半田ボール2を位置精度良くワーク3上に搭載させることができる。突起15を有するマスク1を一回の電鋳作業(第二の電鋳工程)により不離一体的に形成することができるので、突起15を後付けする形態に比べて、該突起15の破損などの不都合が生じるおそれが少なく、信頼性に優れたマスク1を高精度に得ることができる点でも優れている。
(第2実施形態)
この第2実施形態に係る配列用マスクでは、突起15が、レジスト体77aといった非磁性体で形成されている点が、先の第1実施形態と大きく相違する。それ以外の点は、第1実施形態と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8および図9に、本発明の第2実施形態に係る半田ボールの配列用マスクの製造方法を示す。まず、図8(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型30の表面にフォトレジスト層71を形成する。このフォトレジスト層71は、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。ついで、フォトレジスト層71の上に、通孔12に対応する透光孔72aを有するパターンフィルム72(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ33で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図8(b)に示すように、通孔12に対応するレジスト体74aを有する一次パターンレジスト74を母型30上に形成した。
続いて、上記母型30を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図8(c)に示すごとく先のレジスト体74aの高さの範囲内で、母型30のレジスト体74aで覆われていない表面にニッケル等の電着金属を電鋳して、マスク1に対応する一次電鋳層75を形成した。ここでは、母型30の略全面にわたって、一次電鋳層75を形成した(第一の電鋳工程)。一次電鋳層75の表面に研磨処理を施したのち、図8(d)に示すように、レジスト体74aを溶解除去した。
次いで、図9(a)に示すように、一次電鋳層75の表面上に、ソルダーレジスト層76を形成した。このソルダーレジスト層76は、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして形成した。次いで、周知の方法で露光、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図9(b)に示すごとく、突起15に対応するレジスト体77aを有する二次パターンレジスト77を一次電鋳層75上に形成した。なお、二次パターンレジスト77aを形成した後にベーキングなどのといった脱落防止処理を行うことが好ましい。これにより、レジスト体77aと一次電鋳層75との密着がより強固なものとなる。最後に、図9(c)に示すように、母型30から一次電鋳層75、その表面に形成されたレジスト体77aを剥離することによって、レジスト体77aからなる突起15を有する配列用マスクを得た。
このように突起15を、樹脂といった非磁性体で形成していると、マスク1に対して磁力が均一に働くことになるので、マスク1が不用意に撓むおそれがなく、電極6に対する通孔12の位置精度が向上する。特に、本実施形態のように突起15をレジストで形成していると、当該レジストの弾力性に由来するクッション作用が発揮され、突起15がワーク3に当接した際に、ワーク3が損傷するおそれが少ない。なお。非磁性体には銅やアルミといった金属を含む。
上記製造方法にて得られたマスク1に枠体11を設ける場合、接着レジストであるソルダーレジスト76の粘着性を利用して、枠体11を形成することができる。よって、別途接着剤等により枠体11を貼り付ける形態に比べて、マスクの生産工程が少なくて済み、マスクの製造コストの削減化に貢献できる。また、この製造方法では、ソルダーレジスト76を変質させて突起15としているため、非磁性体の突起15を有するマスクを生産効率良く形成できる点でも優れている。
(第3実施形態)
本実施形態に係る配列用マスクでは、パターン領域13外において、応力緩和部8が形成されている点が、先の実施形態と大きく相違する。それ以外の点は、前記実施形態と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態のマスク1は、図11に示すように、応力緩和部8を有している。この応力緩和部8は、図12に示すように、突起15が形成されていない一部分または全部に、つまり、マスク1のパターン領域13外(スペース14)といったパターン領域13を除く箇所の一部または全部に実質的に形成されている。マスク1に応力緩和部8を有することで、ワーク3が有するひずみに対してより密着良く対応させることができる。この応力緩和部8の形状としては、例えば、図13に示すような円状の孔から成るもの、四角状の孔から成るもの、メッシュ状のものといった種々のものが考えられるが、要はマスク1のテンションが均一になるようにされていれば良い。この応力緩和部8には半田ボール2が入り込んだり詰まったりして、ボール配列作業を妨げる場合があるので、応力緩和部8を構成する孔の径を半田ボール2の径より小さくするのはもちろんのこと、応力緩和部8に傾斜を設ける等によって対処するようにするのが好ましい。
なお、図13(g)では、稲妻状の線と相隣る線間に設けた孔によって形成したものを示しており、ひとつの稲妻状の線は引張方向Cとは異なる方向の屈曲線A、B1、B2でつながれ、屈曲線Aと屈曲線B1およびB2とが交差する2つの屈曲部で伸びやすくなっている。図13(h)では、くの字状の線と逆くの字状の線とを孔を介して交互に並べて形成したものを示している。引張時には、くの字状の線の屈曲部の角度および逆くの字状の線の屈曲部の角度が拡がることにより伸張量を得ることができ、また隣接するくの字状の線の点Pと逆くの字状の線44cの点P′とは互いに逆方向に伸張力が加わるようにし、その合力で所定の引張方向に一致するようにしている。上記線として、全ての線を同一向きに連続して配置した状態の下で伸張力を加えると、応力緩和部が一方向に回転するような捩じり歪みを生じる傾向にあるが、上記のようにくの字状の線と逆くの字状の線とを交互に配置することにより、かかる不具合な傾向を抑制できる。図13(i)では、孔を介してS字状の線を形成したものを示しており、図13(j)では、孔を介してC字状の線と逆C字状の線とを交互に並べて形成したものを示している。これら図13(i)および図13(j)では、線が彎曲した形に形成されているため、伸張変形可能な長さを充分に確保でき、このことは逆に線幅を狭めなくて済むことになるため、伸張時の線切断事故を回避できて有利である。図13(k)では、孔を介して横倒S字状の線と横倒逆S字状の線とを交互に並べて形成したものを示している。このものでは線がUターン状に戻ることによって上記各実施例のものよりも更に線長を長くすることができる。また、図13(h)ないし図13(j)では各線の接続点Pと接続点Qとを結ぶ線が、引張方向と平行になるように設定している。図13(k)では線の接続点Pと接続点Qとを結ぶ線が、引張方向と交差するように設定している。また、応力緩和部8はマスク1の周辺付近に一部または全周にわたって形成しても良い。図14は、枠体11を有するマスク1に応力緩和部8を設けているのを示す部分拡大図である。
係る応力緩和部8は、エッチングやレーザーにより形成することができるが、前記実施形態の製造方法にて、マスク1(二次電鋳層、一次電鋳層)を形成する前に、応力緩和部8に対応するレジストを有するパターンレジストを形成することで容易に形成できる。
上記実施形態においては、突起15は、上下方向に均一な径寸法を有するストレート状の外周面を有する円柱状を呈していたが、本発明はこれに限られず、例えば、一方に行くに従って径寸法が小さくなるテーパー状に形成することができる。このような形態の突起15に対応するレジスト体38aや、レジスト体77aをテーパー状とすることで実現できる。また、突起15は、円柱状に限られず、例えば、平面視で四角形状(正方形状や長方形状)などにすることができ、その形状は問わない。通孔15についても同様に、図示例のようにストレート状なものに限られず、テーパー状に形成することができ、通孔12に対応するレジスト体44aや、レジスト体74aをテーパー状とすることで実現できる。形状も円柱状に限られず、例えば、平面視で四角形状(正方形状や長方形状)などにすることができ、その形状は問わない。
本発明に係るマスク1に枠体11を配設する場合の方法としては、例えば図10に示すように、接着剤19やメッキ層20により接合することができる。枠体11の材質としては、実施形態に示すインバー材等のような金属材料のほか、できる限り被蒸着基板であるガラス等に近い低熱線膨張係数の材料、例えばガラスやセラミックのようなものを選択することができる。さらに、枠体11が配設されたマスク1を引っ張り状態で、その外周縁に別途ステンレス、アルミ等の固定枠を周知の方法で固定しても良い。
配列用マスクとワークの全体構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る配列用マスクを模式的に示す縦断側面図である。 配列用マスクの突起の形成位置を説明するための平面図である。 配列用マスクの突起の形成位置を説明するための平面図である。 配列用マスクの突起の形成位置を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態に係る配列用マスクの製造方法を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る配列用マスクの製造方法を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る配列用マスクの製造方法を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る配列用マスクの製造方法を説明するための図である。 本発明に係る配列用マスクに枠体を配設する方法を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係る配列用マスクとワークの全体構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る配列用マスクとワークとの位置関係を説明するための平面図である。 本発明の第3実施形態に係る配列用マスクを説明するための部分拡大図である。 本発明の第3実施形態に係る配列用マスクの変形例を説明するための部分拡大図である。
符号の説明
1 マスク
2 半田ボール
3 ワーク
6 電極
8 応力緩和部
11 枠体
12 通孔
13 パターン領域
15 突起
30 母型
36 フォトレジスト層
37 パターンフィルム
38 一次パターンレジスト
38a レジスト体
39 一次電鋳層
42 フォトレジスト層
43 パターンフィルム
44 二次パターンレジスト
44a レジスト体
45 二次電鋳層
71 フォトレジスト層
72 パターンフィルム
74 一次パターンレジスト
74a レジスト体
75 一次電鋳層
76 フォトレジスト層
77 二次パターンレジスト
77a レジスト体

Claims (5)

  1. ワーク(3)上に複数個搭載された半導体チップ(5)の電極(6)の配列パターンに対応した多数独立の通孔(12)を有し、前記通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、前記ワーク(3)上の前記電極(6)に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
    前記各半導体チップ(5)に対応し、前記通孔(12)からなるパターン領域(13)と、マスクの下面から突設された突起(15)とを備えており、
    前記パターン領域(13)は、マスクの盤面中央部に複数形成され、前記各パターン領域(13)間には、スペース(14)が設けられており、
    前記突起(15)は、前記パターン領域(13)内のみに形成されていることを特徴とする配列用マスク。
  2. 前記スペース(14)に応力緩和部(8)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の配列用マスク。
  3. 前記突起(15)が非磁性体で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の配列用マスク。
  4. ワーク(3)上に複数個搭載された半導体チップ(5)の電極(6)の配列パターンに対応した多数独立の通孔(12)と、前記各半導体チップ(5)に対応し、前記通孔(12)からなるパターン領域(13)と、マスクの下面から突設された突起(15)とを備え、前記パターン領域(13)がマスクの盤面中央部に複数形成され、前記各パターン領域(13)間にはスペース(14)が設けられており、前記突起(15)が前記パターン領域(13)内のみに形成されてあって、前記通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、前記ワーク(3)上の前記電極(6)に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクの製造方法であって、
    母型(30)の表面に、突起(15)に対応するレジスト体(38a)を有する一次パターンレジスト(38)を形成する工程と、
    レジスト体(38a)を用いて、母型(30)上に電着金属を電鋳して、一次電鋳層(39)を形成する第一の電鋳工程と、
    一次パターンレジスト(38)を除去する工程と、
    一次電鋳層(39)上に、通孔(12)に対応するレジスト体(44a)を有する二次パターンレジスト(44)を形成する工程と、
    レジスト体(44a)を用いて、母型(30)及び一次電鋳層(39)上に電着金属を電鋳して、突起(15)を一体に有するマスクとなる二次電鋳層(45)を形成する第二の電鋳工程と、
    二次パターンレジスト(44)を除去するとともに、母型(30)、一次電鋳層(39)から二次電鋳層(45)を剥離する工程とを含むことを特徴とする配列用マスクの製造方法。
  5. ワーク(3)上に複数個搭載された半導体チップ(5)の電極(6)の配列パターンに対応した多数独立の通孔(12)と、前記各半導体チップ(5)に対応し、前記通孔(12)からなるパターン領域(13)と、マスクの下面から突設された突起(15)とを備え、前記パターン領域(13)がマスクの盤面中央部に複数形成され、前記各パターン領域(13)間にはスペース(14)が設けられており、前記突起(15)が前記パターン領域(13)内のみに形成されてあって、前記通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、前記ワーク(3)上の前記電極(6)に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクの製造方法であって、
    母型(30)の表面に、通孔(12)に対応するレジスト体(74a)を有する一次パターンレジスト(74)を形成する工程と、
    レジスト体(74a)を用いて、母型(30)上に電着金属を電鋳して、マスクとなる一次電鋳層(75)を形成する第一の電鋳工程と、
    一次パターンレジスト(74)を除去する工程と、
    一次電鋳層(75)上に、突起(15)となるレジスト体(77a)を有する二次パターンレジスト(77)を形成する工程と、
    母型(30)から一次電鋳層(75)及び二次パターンレジスト(77)を剥離する工程とを含むことを特徴とする配列用マスクの製造方法。
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