JP5046204B2 - 椅子席室 - Google Patents

Description

本発明は車両,船舶,航空機,建築物等における大部屋状椅子席室の個別性,安楽性及び経済性の向上策に関する。

例えば、新幹線(登録商標)電車８００系の椅子席室としては図２模式的三面図に示すようなものが知られている。

しかしながら、このような構造では下記のような欠点がある。
（１） 椅子席配置が通路０１を中心に二人並び椅子席０２が対に並べられている所謂２＋２方式なので、奥側着席者０３の離着席は手前側着席者０４に災いされ自在にできず、個別性（プライバシー）に難点がある。

（２） 利用時間によっては安楽性の観点より椅子席兼寝台が望まれるが、通路０１に接する椅子席は全席数の５０％しかないので、椅子席兼寝台の導入は経済性上容易でないことが予想される。

（３） また、そのとき二人並び椅子席０２の背凭れ部０５の寸法０ａ及び脚凭れ部０６の寸法０ｂに特別な配慮が加えられていないと、寝台一台分の空間で椅子席一脚しか設けられないので、椅子席兼寝台の導入は同じく経済性上容易でないことが予想される。

宮田 豊：ＪＲ九州８００系新幹線電車，鉄道図書刊行会,鉄道ピクトリアル２００４年５月号ｐ６８〜７５

本発明は、このような事情に鑑みて提案されたもので、着席者の離着席が自在で、かつ
椅子席を利用して寝台を形成することができる、個別性,安楽性及び経済性に優れた椅子席室を提供することを目的とする。

そのために、請求項１の発明は室の左右端列にそれぞれ複数の一人並び椅子席が配置された椅子席端列と、上記椅子席端列の間に複数の二人並び椅子席が配置された椅子席中間列とを設けた椅子席室において、前後一対の一人並び椅子席,前後一対の二人並び椅子席それぞれの前側椅子席の脚凭れを起こし同じく前側椅子席の背凭れを倒すことにより形成された一人並び一段寝台,二人並び一段寝台を具えたことを特徴とする。

このような構造によれば、前後一対の一人並び椅子席,前後一対の二人並び椅子席それぞれの前側椅子席の脚凭れを起こし同じく前側椅子席の背凭れを倒すことにより形成された一人並び一段寝台,二人並び一段寝台を設けているので、着席者は離着席が自在でかつ臥床位も能率的に選択することができ、したがって個別性,安楽性及び経済性に優れた椅子席室を提供することができる。

本発明を図２に示す新幹線(登録商標)電車８００系の外郭に適用した請求項１に関する一実施例を、図１に示す。ここで、同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は縦断面図、同図（ｃ）は横断面図である。
そして、図面集約の便を図るため便宜的に同図（ａ）の上側半分,同図（ｂ）の前側半分,同図（ｃ）の左側半分に椅子席として使用する場合を、同図（a）の下側半分,同図（ｂ）の後側半分,同図（ｃ）の右側半分に寝台として使用する場合をそれぞれ示す。

このとき、主として同図(b)において１１は座板２４の前端にヒンジ２１を介して取り付けられた起倒式脚凭れ１２と、座板２４の後端にヒンジ２２を介して取り付けられた起倒式背凭れ１３とが設けられた前側一人並び椅子席である。

また、１４は座板２５の後端に背凭れ２６が垂設された後側一人並び椅子席であり、前側一人並び椅子席１１と後側一人並び椅子席１４は前後一対の関係を保って配置されている。

そして、主として、同図(a)において１５は座板２７の前端にヒンジ２１を介して取り付けられた起倒式脚凭れ１６と、座板２７の後端にヒンジ２２を介して取り付けられた起倒式背凭れ１７とが設けられた前側二人並び椅子席である。

さらに、１８は座板２８の後端に背凭れ２９が垂設された後側二人並び椅子席であり、前側二人並び椅子席室１５と後側二人並び椅子席１８は前後一対の関係を保って配置されている。

そして、寝台を形成する場合は前側一人並び椅子席１１の起倒式脚凭れ１２を起こすとともに起倒式背凭れ１３を倒すことにより一人並び一段寝台１９が形成され、同じように前側二人並び椅子席１５の起倒式脚凭れ１６を起こすとともに起倒式背凭れ１７を倒すことにより二人並び一段寝台２０が形成される。２３は椅子席室である。

なお、同図（ｂ）において、ｄは起倒式脚凭れ長さで椅子前面空間長さｅより若干短く、更にｆは起倒式背凭れ長さで椅子前面空間長さｅより若干短く設定しているので、寝台一台の長さに椅子席二脚が配置できるようになっている。
ちなみに、船舶設備規程では椅子前面空間長さｅについて３０ｃｍ以上を,椅子奥行きについては４０ｃｍ以上をそれぞれ求めている。

このような構造において、通常使用時は図１(a)上側半分に示す形態とすれば、前側一人並び椅子席１１,後側一人並び椅子席１４,前側二人並び椅子席１５,後側二人並び椅子席１８の全着席者は自在に離着席できるので、個別性が向上する。

また、長時間使用時や夜間使用時は図１（a)下側半分に示す形態とすれば、一人並び寝台１９,二人並び寝台２０の全臥床者の安楽性は抜群に向上するとともに、通常使用時の椅子席定員を損ねることがなく、経済性も維持することができる。

本発明は車両のみならず、船舶,航空機,建築物等における個別性,安楽性及び経済性の向上に資する。
ちなみに、船舶においては船酔い対策にも寝台を活用すれば、安楽性の向上効果は更に著しい。

本発明の請求項１に関する実施形態を示す新幹線(登録商標)電車の椅子席室模式的三面図 公知の新幹線(登録商標)電車８００系椅子席室を示す模式的三面図

３ 通路
５ 袖仕切り
１１ 前側一人並び椅子席
１２ 起倒式脚凭れ
１３ 起倒式背凭れ
１４ 後側一人並び椅子席
１５ 前側二人並び椅子席
１６ 起倒式脚凭れ
１７ 起倒式背凭れ
１８ 後側二人並び椅子席
１９ 一人並び一段寝台
２０ 二人並び一段寝台
２１ ヒンジ
２２ ヒンジ
２３ 椅子席室
２４ 座板
２５ 座板
２６ 背凭れ
２７ 座板
２８ 座板
２９ 背凭れ

Claims (1)

1. 室の左右端列にそれぞれ複数の一人並び椅子席が配置された椅子席端列と、上記椅子席端列の間に複数の二人並び椅子席が配置された椅子席中間列とを設けた椅子席室において、前後一対の一人並び椅子席,前後一対の二人並び椅子席それぞれの前側椅子席の脚凭れを起こし同じく前側椅子席の背凭れを倒すことにより形成された一人並び一段寝台,二人並び一段寝台を具えたことを特徴とする椅子席室。
   

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