JP5045552B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、副変速位置について主変速機構を変速制御可能な作業車両に関するものである。
特許文献1に示されるように、トラクタを初めとする作業車両は、多様な作業内容をカバーするための多くの機器とその操作具や設定スイッチを備え、走行系伝動制御についても、副変速機構によって切替えられた車速帯域について主変速機構を変速制御する制御部とスイッチボックスとによる伝動制御装置により、ペダル操作と連動して変速制御する自動変速制御の適用やその感度設定、および副変速切替え時に変速実績を生かして主変速位置を制御するメモリー変速制御等の設定のための多くのスイッチを介して個々の作業者および作業内容に合わせたきめ細かな対応を可能としている。
特開2008−37411号公報
しかしながら、作業機とその機能の多様化に対応して多数の設定スイッチが必要となることから、スイッチの配置上の問題と操作性の低下を招くこととなり、走行系伝動制御については、自動変速やメモリー変速等の各種の制御機能によって走行速度調節のための作業者負荷軽減が図られる一方で、各種機能適用の面で煩雑化による操作性の低下を招き、機能があっても設定の自由度が制限されて作業者の個別の対応を満たす上で不十分となっている。
発明が解決しようとする課題は、多様な機器の機能設定のためのスイッチパネルについて、スイッチ配置の煩雑化を招くことなく、かつ、限られた大きさのキャビン内における操作性を損なうことなく、多様な走行変速の機能設定のための操作性を確保することができる作業車両を提供することにある。
請求項1に係る発明は、副変速機構によって切替えられた車速帯域について主変速機構を変速制御する制御部と、その変速制御機能設定用のスイッチを配置したスイッチパネルとを備えた作業車両において、上記制御部は、副変速の切替え時に変速実績時間に基づいて決定した主変速位置に変速するメモリー変速制御機能を備え、このメモリー変速制御機能の適用の設定と他の機能設定の組合せを選択するための単一のATシフトの作業スイッチにより両機能について個別設定可能に構成すると共に、上記制御部は、上記スイッチのいわゆる「長押し」の操作により、そのときの主変速位置を副変速切替え時の変速位置として設定可能に構成し、上記ATシフトの作業スイッチは、アクセルペダルの踏込み操作量に応じて自動的に車速を増減速する自動変速制御を適用するスイッチであり、このATシフト作業スイッチに機能を追加することで、メモリー変速のモード切替えと任意設定位置による変速とを選択可能に構成したことを特徴とする。
上記伝動制御装置は、メモリー変速制御適用の組合せがATシフト作業スイッチによって選択された場合は、副変速の切替え時に変速実績時間に基づいて決定した主変速位置に変速制御され、また、非適用の組合せが選択された場合は、メモリー変速によることなく、作業者の主変速操作が有効となる。
上記スイッチは、通常のスイッチ操作による機能設定のほかに、その長押し操作によってその時の主変速位置が副変速の切替え時の変速位置として新たに設定される。
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記ATシフト作業スイッチ(33b)の信号を受け、同スイッチを押すごとに、1回目で自動変速を入かつメモリー変速を入、2回目で自動変速を切かつメモリー変速を入、3回目で自動変速を切かつメモリー変速を切とするモード切換をし、このモード切替えと対応して、モニターランプ(L)を点灯、点滅、消灯と切替える構成したことを特徴とする
請求項1の発明は、メモリー変速制御の機能適用設定と他の機能設定とを組合せによって選択するための単一のスイッチにより両機能について個別設定可能に構成したことから、個別のスイッチによる配置上の問題と操作性の問題を解決することが可能となる結果、限られた大きさのキャビン内において、スイッチパネルの大型化、複雑化を招くことなく、機能設定の自由度を確保して作業者の好みに対応しつつ幅広い作業条件に適合することが可能となる。
また、スイッチのいわゆる「長押し」の操作により、そのときの主変速位置を副変速切替え時の変速位置として設定可能に構成したことから、メモリー変速を適用しない場合の主変速位置として副変速切替え時の変速制御が可能となるので、作業者の好みに沿って作業条件と作業内容に幅広く対応することができる変速制御が、特段の設定手段を要することなく、簡易な操作で適用可能となる。
また、通常のスイッチ操作でメモリー変速の適用と別途設定の主変速位置の適用を選択することができる上に、特段の設定手段を要することなく、簡易な操作で、主変速位置を設定することができるので、個々の作業者が作業内容に応じた変速制御が可能となる。
請求項2の発明は、請求項1の効果に加え、切替えが明確になるという効果を有する。
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の作業車両の1例としての農用トラクタ1は、機体側面図を図1に示すように、前輪2、2と後輪3、3とを備えた機体の前部を覆うボンネット内にエンジン4を搭載し、このエンジン4の回転動力をミッションケース5内の変速伝動部5aに伝達し、この変速伝動部5aで適宜減速された動力を前輪2、2と後輪3、3とに伝達するとともに、付図示の3Pリンクに連結した作業機に付図示のPTO軸を介して後部出力するように構成されている。
(キャビン)
キャビン内には、図2の斜視図に示すように、オペレータ操作のために、ミッションケース5の上部位置に機器操作席7を配置し、この機器操作席7の片側のアームレスト21およびその外側方に後述の操作装置22を設けるほか、機器操作席7の他側方に、駐車ブレーキ7b、PTOチェンジレバー7c、7d等を配置して操作部を構成し、また、ステアリングハンドル11の近傍に前後進切換レバー11a、基部にクラッチペダル11b、左右ブレーキペダル11c、11d、アクセルペダル11e等の走行操作具が配置される。
アームレスト21には、作業機昇降レバー21a、作業機昇降スイッチ21b、走行変速スイッチ21c、21d等の作業走行用の操作具が配置される。
作業機昇降レバー21aは、後側が「上昇」、前側が「下降」で、機体旋回等の際に作業機を昇降する。
作業機昇降スイッチ21bは、シーソースイッチであり、後側のワンプッシュ操作で上げ調整ダイヤルで調整した最大位置まで上昇し、前側のワンプッシュ操作で作業機昇降レバー21aの位置まで下降する。
2つ一組の走行変速スイッチ21c、21dは、それぞれを1回押すごとにシフトアップ、シフトダウンし、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段の範囲で速度調整する。
また、第1のPTOチェンジレバー7cは前から「2速」−「N(中立)」−「1速」のポジションによりPTO回転を変更する。第2のPTOチェンジレバー7dは、正逆切換(前側が正転、後側が逆転)用であり、そのバリエーションとして、エコノミーPTO切換レバー(前側が「切」、後側が「入」)の場合は、「入り」にするとPTOの回転が所定回転ダウンし、グランドPTO切換レバー(前側が「切」、後側が「入」)の場合は、「入り」にするとPTOの回転が車速にシンクロする。
(操作パネル)
操作装置22は、拡大斜視図を図3に示すように、操作性を向上するために作業機や走行系およびエンジン回転数等の操作部を機器操作席7の片側方(図例は右側方)に集中配置したものであり、トラクタを構成する走行系および作業系の機器を制御操作するための操作具23a〜25eと、これら操作具23a〜25eを支持して機器操作席7の片側方に集中配置する操作パネル22tとから構成する。
操作パネル22tは、機器操作席7と隣接する平坦状の基段部23と、その奥側から急傾斜で起立する中段部24と、その上端から奥高に緩く傾斜する上段部25とからなり、それぞれに操作具を配置する。すなわち、一体のレバーガイドで上面をカバーして構成し、機器操作席7に近いところは基段部23による平面部を設け、この平面部より奥側の座席から遠いところに、やや傾斜して基段部23よりは高い位置の上段部25による傾斜部を設け、この傾斜部と前記平面部を前記上段部25の傾斜部より傾斜角度のきつい中段部24による傾斜面でつなぐように配置面を構成し、全ての面に各々、操作スイッチやレバー等の操作具を配置する。
特に、機器操作席7から近い基段部23と中段部24は、スイッチ等の電気系の操作具を配置し、比較的離れている上段部25はストローク動作するレバー類による操作具を配置することにより、操作具に応じた操作性を確保することができる。
上記操作装置22の各操作具の具体的な説明は以下のとおりである。
基段部23には、取付け面見取図を図4に示すように、PTO入り切りスイッチ23a、PTO手動自動スイッチ23b、デフロックスイッチ23c等のトランスミッションの動力伝達と遮断を直接実施する操作スイッチを配置する。これらスイッチは、操作が比較的複雑なモード設定スイッチと異なり、操作が単純であることから、オペレータが腕を曲げた状態の比較的窮屈な姿勢でも容易に操作することができる。
PTO入り切りスイッチ23a(左で「切り」、右で「入り」)は、押して右に回すと「入り」、「入り」状態で押すと自動で「切り」に戻る。
PTO手動自動スイッチ23b(左で「手動」、右で「自動」)は主に水田作業で利用し、「手動」の時はPTO入りでチェンジが入っていると常時回転し、「自動」の時はクラッチを踏んだり、3Pリンクを上げたりすると回転が止まる。
デフロックスイッチ23cは、機器操作席7に寄った手前側は押せないシーソースイッチであり、座席と反対側を押すとデフロック、もう一度押すとデフロックを解除する。
中段部24には、パネル面見取図を図5に示すように、2つのエンジン回転数記憶スイチ24a、24b、ドラフト比調整ダイヤル24c、上げ調整ダイヤル24d、傾き調整ダイヤル24e、4WD切替スイッチ24f、水平シリンダ手動上げ下げスイッチ24g等を配置する。
第1のエンジン回転数記憶スイチ24aは指を離すと中立に自動で戻るシーソースイッチであり、上側がA回転数、下側がB回転数の2通り記憶できる。第2のエンジン回転数記憶スイッチ24bは指を離すと中立に自動で戻るシーソースイッチであり、上側が(+)であり、下側が(−)。第1のエンジン回転数記憶スイチ24aでA又はBを選んだ後、第2のエンジン回転数記憶スイッチ24bの(+)を押すと回転数が上昇し、(−)を押すと回転数が下がり、スイッチを離したところの回転数が記憶される。
ドラフト比調整ダイヤル24cはドラフトコントロールの感度を調整するダイヤルであり、圃場の状態やユーザーの好みで調整する。左の「ポジション」、右の「ドラフト」の範囲で調整でき、「ポジション」側にするほど鈍くなる。詳細には、「ポジション」側(左)に回すほど負荷に対する作業機の昇降変化量が少なくなり、「ドラフト」側(右)に回すほど負荷に対する作業機の昇降変化量が大きくなる。調整による耕深および土質は、ドラフト比調整ダイヤルが「1」(左回し)の場合の「浅くする」「軽い」、また、「ドラフト」(右回し)の場合の「深くする」「重い」の範囲で調整される。
上げ調整ダイヤル24dは、その左の「低」、右の「高」の範囲で3Pリンクの上げ高さを調整する。作業機によっては最上げにするとトラクタ本体に当たるものもあるので高さを調整する。また、不必要に上げなくてもよい作業機はこのダイヤルで調整して効率的な作業を行う。傾き調整ダイヤル24eは左の「右上がり」、右の「右下がり」の範囲で調整する。
4WD切替スイッチ24fの「走行オート4WD」は設計変更で走行ローダに表示(名称)変更する。「走行ローダ」は路上走行ローダ作業時に使用する。通常は2輪駆動であり、ぬかるみに入ったり、急な坂道、凹凸道になったりすると自動的に4輪駆動になるほか、ブレーキをかけると自動的に4輪駆動となる。即ち、停止距離が短くなり、運転中に停止すると4輪駆動状態になる。「2WD」は後輪駆動、「4WD」は4輪駆動である。「スーパーフルターン」は旋回時に前輪の速度が増速され、クイックな旋回となる。「2WDターン」は固い圃場などで旋回時のみ前輪の駆動を抜くことで、片ブレーキ旋回がクイックにスムーズに行える。
水平シリンダの手動上げ下げスイッチ24gは作業機の脱着等に使用し、3Pリンクの水平シリンダを手動で動かす。
操作パネル22tの上段部25には、スロットルレバー25a、副変速レバー25b、サブコンレバー25c、25d、オプションのサブコンレバー25e、また、操作パネル22tの後部には、スイッチボックス26a、シガーライター26bを配置する。
ロットルレバー25aは、エンジンのアクセル開度を指示し、前に倒すとエンジン回転増大、一番手前にするとアイドリングとなる。このスロットルレバー25aは操作性を確保するべく、上段部25の前端位置に配置し、かつ、中段部24の前端位置に配置のエンジン回転数記憶スイチ24a、24bを近接配置することにより、両者の組合わせ操作の際の操作性を確保することができる。
変速レバー25bは、図6のレバーガイドラベルに示すように、前後左右方向のXY動作レバーにより、低速、中速、高速、路上走行速のポジションを備える。各ポジションについて、主変速の切替えにより、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段(高速8段の上側4段)の変速帯域をカバーする。
つのサブコントロールレバー(サブコンレバー)25c、25dは、外部油圧取り出しレバーであり、トラクタの作業機の油圧シリンダなどに高圧のオイルを供給するためのものであり、図例は、1連目と2連目25c,25dを実装し、3連目、4連目をオプション25eで組込み可能に構成する。
上記構成の操作装置22は、基段部23および上段部25にはその広さの範囲内で操作具が配置でき、また、中段部24にはその起立高さ寸法に応じて操作具を配置することができることから、機器操作席の片側方における操作具の操作性を損なうことなく、多数の操作具によりコンパクトに多様な機器操作が可能となる。
このように、スイッチ等の操作具が数多くあり、キャビン内において機器操作席7の片側に集中レバー配置する場合に、上記装置により、大きな操作パネルを要することなく、多数の操作具をコンパクトに配置することができる。したがって、農用作業車両は圃場作業および移動走行の両面から受ける規制に対応するべく、車幅寸法を小さく抑えるとともに、左右バランス、車上スペースを確保することによってオペレータの作業環境の改善を図ることができる
また、上段部25には、傾動操作用のレバーを有する操作具25a〜25eを配置することにより、腕を伸ばした位置で機器操作席から比較的離れた配置とすることにより、大きなストローク操作を要するシフトレバー式操作具の操作性を確保することができる。したがって、上段部の操作具は、レバー操作ストロークを機械的なリンク機構によってアクチュエータおよび最終稼動部に伝達する構成とし、入切の操作感覚と対応する大きなストロークを設定することができる。
(スイッチボックス)
次に、前記スイッチボックス26aについて説明する。
スイッチボックス26aは、使用状態の見取図を図7に示すように、スイッチ類を複数収納したスイッチパネル31にカバー31aを開閉可能に設けて構成する。これを操作パネル22tの後部位置において機器操作席7のオペレータに向けて傾斜して配置する。このスイッチボックス26aは、使用頻度が低い機能について操作部を小さくしてコンパクトに構成し、使用しない場合はオペレータの視界の外に位置し、使用する場合は機器操作席7から操作できる近い位置に配置することにより、通常の作業に支障を来すことなく、ユーザーにより、或いは、作業により、必要に応じて、全ての機能を機器操作席7から操作することができる。
上記スイッチボックス26aのスイッチ配置について具体的に説明する。
パネル面には、作業機上昇・下降モニターランプ32a、ATシフト作業感度ダイヤル32b、下げ速度ダイヤル32c、ブレーキ調整ダイヤル32dを比較的大きく配置し、その他、電子油圧制御を初めとする制御設定のスイッチ類33a〜33e、34a〜34eのスイッチボタンBをモニターランプLとともに比較的小さく集中して配置する。
作業機上昇・下降モニターランプ32aは、上下配置の2つのLED等のランプL、Lにより作業機昇降出力と連動してモニタ表示する。半透明樹脂によってカバー31aを形成し、カバー31aを閉じたままでモニタできるように構成する。このモニタはドラフト作業中等に効き具合を見るために便利であり、LEDを基板に入れることにより安価に構成することができる。また、カバー31aを閉じたままLEDを確認できることから、安価な構成で確認が可能になる。
また、側面図を図8に示すように、作業機上昇・下降モニターランプ32aの前面部31bを除いてカバー31aの表面をシボ加工処理Sにより透過性を抑えることにより、使用しないスイッチ類が隠されて複雑なパネル面が単純化される。
ATシフト作業感度ダイヤル32bは、アクセルペダル11eの踏込み操作量に応じて自動的に車速を増減速する自動変速(オートドライブ)の感度を変更するダイヤルである。その下方に配置のATシフトの作業スイッチ33bを「入り」にすると、その設定感度で自動変速(オードドライブ)制御が適用される。
下げ速度ダイヤル32cは作業機下降速度を調整する。「速」側(右回り)に操作すると作業機は速く降り、作業機重量が軽い場合に適用する。「遅」側(左回り)に操作すると作業機は遅く降り、作業機重量が重い場合に適用する。
ブレーキ調整ダイヤル32dはオートブレーキスイッチ33eが「入り」のときに作用するブレーキ力を調整(左が弱、右が強)する。
また、電子油圧制御等の各制御設定スイッチ類33a〜33e、34a〜34eについては、それぞれ、スイッチボタンBとそのモニターランプLを対応して配置する。
ATシフト路上スイッチ33aは、「入り」にすると路上走行のときに自動変速(オートドライブ)する。
ATシフト作業スイッチ33bは、「入り」にすると作業走行のときに自動変速(オートドライブ)する。
バックアップ入切スイッチ33cは、「入り」にすると後進動作と連動して作業機が上昇する。
オートリフト入切スイッチ33dは、「入り」にすると機体旋回時のハンドル操作と連動して作業機が上昇する。
オートブレーキ入切スイッチ33eは、「入り」にすると機体旋回時のハンドル操作と連動して旋回内側の後輪のみにブレーキがかかる。
接続感度変速スイッチ34aは、入り切りすることで主変速を変速したときの接続フィーリングを変更する。「入り」(モニタ点灯)で緩やかな変速、「切り」(モニタ消灯)で急接続となる。プラウなどの牽引系の作業で使用することにより、主変速の変速操作時の接続時間が短くなる。
接続感度PTOスイッチ34bは、PTOのつながり方を切換える。「ロータリ」はPTOのつながりが早くなる。PTOが回転始めると、すぐに土の抵抗に負けない回転力で回るので、主にロータリなどの耕うん作業機で使用する。「牧草1」、「牧草2」はPTOのつながりが緩やか(2つの変速)となる。主に牧草作業機やスノーブロワーなどPTO接続をゆっくり行う作業機で使用する。
水平感度スイッチ34cは、自動水平制御装置の動作感度を切換える。スイッチを押すと、自動水平制御の動きが遅くなり、再びスイッチを押すと元に戻る。
水平切換スイッチ34dは、作業機の水平制御を行う。「自動水平」は水平センサにより、自動的に水平を保持する。「手動」は上記傾き調整ダイヤル24eによる手動調整用である。「平行」は本機に対して3Pリンクを常に平行にする。「傾斜」は地面に対してある一定の角度をもたせる。
3P切換スイッチ34eは、リフトシリンダ取り付け穴の選択によって、電子油圧操作ボックスの3P切換の選択を行う。カテゴリ1の作業機(ロワーリンクの前穴に付けるとき)は「1」を選択し、カテゴリ2の作業機(ロワーリンクの後穴に付けるとき)は「2」を選択する。
以上の各制御設定スイッチ類33a〜33e、34a〜34eは、機器動作メンテナンスにおけるチェックモード状態中は、スイッチがオンの時のみモニタを点灯制御することにより、スイッチの故障(ショート)を容易に把握することができる。
例えば、通常制御時は、スイッチ操作と対応してモニタが点灯・消灯することから、スイッチを押してもモニタが点灯しない場合は、スイッチとモニタの何れの故障か判断できないので、チェックモード状態でスイッチがオンの時のみ点灯する構成とすることにより、故障の部位(スイッチ、モニター)の判断が行いやすい。また、スイッチの変化のみはメーターパネルで確認することができる(短絡、オープンは確認できない)。
また、チェックモードへの移行は所定のヒューズを外すことを条件とし、本機では、チェックモードに移行する前の操作パネルの設定で制御し、チェックモード状態においては、スイッチの操作による電子油圧や走行系の切換えを行わない制御構成とすることにより、機器の不意な動きを防止することができる。
この場合において、本機制御系コントローラの不揮発性メモリに設定状態の記憶がある時はその値を使用し、また、操作パネル自体の不揮発性メモリに設定状態の記憶がある時はその値を使用することにより、機器の不意な動きを防止することができる。
(メモリー変速の適用)
次に、メモリー変速適用を設定するためのスイッチについて説明する。
走行系伝動制御としてメモリー変速を行う制御装置を備えた作業車両、すなわち、副変速の切替え時に変速実績時間が最長の変速位置に主変速を切替える作業車両にあっては、メモリー変速の最長実績位置を適用せずに、任意設定による主変速位置を適用する制御モード切替えのためのスイッチと、その任意設定位置を入力するためのスイッチを設け、または、次の例のように、前述のスイッチパネル31のATシフト作業スイッチ33bに機能を追加することにより、メモリー変速のモード切替えおよび任意設定位置による変速を可能に構成する。
制御装置の制御部は、その入出力構成の要部ブロック図を図9に示すように、通信線で連結するパネル制御部Cを介してATシフト作業スイッチ33bの信号を受け、同スイッチを押すごとに、1回目で自動変速「入」かつメモリー変速「入」、2回目で自動変速「切」かつメモリー変速「入」、3回目で自動変速「切」かつメモリー変速「切」とすることにより、自動変速とメモリー変速のモード切替えする制御処理を構成する。このモード切替えと対応して、モニターランプLを「点灯」、「点滅」、「消灯」により判別可能に表示する。「点滅」の周期は、当初に短く、その後に長く(例えば、当初に250ms点灯と250ms消灯、2秒後に700ms点灯と300ms消灯)することにより切替えを明確にする。
また、ATシフト作業スイッチ33bの「長押し」操作(例えば、5秒間押したまま)により、通常の「押し」操作による設定状態を変更することなく「長押し」した際の主変速位置を入力し、これをメモリー変速の最長実績位置に代わる任意設定位置としてメモリー変速「切」を選択した場合に適用する。主変速位置の初期値は未設定時の安全のために最低速の「1速」とする。
このように走行系伝動制御を切替え可能に構成することにより、メモリー変速制御によって副変速の切替え時に変速実績時間が最長の位置に主変速を切替えることができ、また操作パネルのスイッチ操作によってメモリー変速制御に代えて別途定めた主変速位置を適用する変速操作が可能となる。さらに、スイッチの「長押し」操作によって主変速位置を設定可能に構成することにより、通常のスイッチ操作でメモリー変速の適用と別途設定の主変速位置の適用を選択することができる上に、特段の設定手段を要することなく、簡易な操作で、主変速位置を設定することができるので、個々の作業者が作業内容に応じた変速制御が可能となる。
(センサ異常対応)
次に、センサ異常の対応処理について説明する。
センサ異常によって異常出力が出続ける事態を避けるために、センサの異常(断線、ショート)を検出した時に出力を停止し、出力要求方向が逆方向に変更された場合に再出力を行う。
例えば、作業機の車幅方向についての水平制御の場合に、センサ調整不良で水平シリンダ伸び出力中にセンサの電気的有効角を越えた場合に、それ以上センサ値は変化しないので、出力が出続ける可能性がある。このまま出続けた場合には、シリンダのストロークエンドでリリーフ弁が作動して車両自体の性能が低下することから、センサ値が伸び側異常出力となった時(センサ値が5Vを検出した時)に出力を停止し、縮み側である反対出力要求(逆方向動作)のみ出力を許可する制御処理を構成する。0Vの出力異常についても同様である。
すなわち、出力停止後におけるシリンダ伸び側の異常が検出された時(センサー値が5V)は、シリンダの縮み側出力のみを許可し、また、シリンダ縮み側の時(センサ値が0V)は、シリンダの伸び側出力のみを許可することにより、異常出力が出続ける事態を解消することができる。
また、上記の場合において、反対方向の一定時間の許可出力を行ってもセンサ値が異常のままの場合は、出力を停止する。例えば、伸び要求でセンサ異常(5V)停止した場合に、その後の縮み出力要求で出力を例えば2秒間行ってもセンサ値が5Vのままであれば、出力を停止する。その後の出力は伸び側5Vであるので行わない。縮み側は、出力要求が再度縮み要求が発生した場合に行う。
上記制御構成により、センサや配線自体の異常な時でも、出力が出続けることを防止することができる。
農用トラクタの機体側面図 キャビン内2の斜視図 操作装置の拡大斜視図 基段部の取付け面見取図 中段部のパネル面見取図 副変速レバーのレバーガイドラベル スイッチボックスの使用状態の見取図 スイッチボックスの側面図 制御装置の入出力構成の要部ブロック図
1 農用トラクタ
2 前輪
3 後輪
4 エンジン
5a 変速伝動部
7 機器操作席
11e アクセルペダル
22t 操作パネル
25b 副変速レバー
26a スイッチボックス
31 スイッチパネル
33a ATシフト路上スイッチ
33b ATシフト作業スイッチ
B スイッチボタン
C パネル制御部(制御部)
L モニターランプ

Claims (2)

  1. 副変速機構によって切替えられた車速帯域について主変速機構を変速制御する制御部(C)と、その変速制御機能設定用のスイッチを配置したスイッチパネル(31)とを備えた作業車両において、
    上記制御部(C)は、副変速の切替えの際に変速実績時間に基づいて決定した主変速位置に変速するメモリー変速制御機能を備え、このメモリー変速制御機能の適用の設定と他の機能設定の組合せを選択するための単一のATシフトの作業スイッチ(33b)により両機能について個別設定可能に構成すると共に、
    上記制御部(C)は、上記スイッチ(33b)のいわゆる「長押し」の操作により、そのときの主変速位置を副変速切替え時の変速位置として設定可能に構成し、
    上記ATシフトの作業スイッチ(33b)は、アクセルペダル(11e)の踏込み操作量に応じて自動的に車速を増減速する自動変速制御を適用するスイッチであり、このATシフト作業スイッチ(33b)に機能を追加することで、メモリー変速のモード切替えと任意設定位置による変速とを選択可能に構成したことを特徴とする作業車両。
  2. 前記ATシフト作業スイッチ(33b)の信号を受け、同スイッチを押すごとに、1回目で自動変速を入かつメモリー変速を入、2回目で自動変速を切かつメモリー変速を入、3回目で自動変速を切かつメモリー変速を切とするモード切換をし、このモード切替えと対応して、モニターランプ(L)を点灯、点滅、消灯と切替える構成したことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
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