JP5044072B2 - 帯電器及び帯電方法及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、ファクシミリ、プリンターなどの画像形成装置用の帯電器及びその帯電方法及びこれを利用した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ、プリンターなどの画像形成装置には帯電器が用いられている。この帯電器として、カーボンナノチューブ(CNT)を利用したものが、オゾンレス、低ハザードなどのメリットから利用されつつある。
【0003】
例えば、特許第9902937号には、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた帯電器が開示されている。この帯電器の帯電器本体の形状としてブラシ型のものが開示され、また、放電方式として電荷注入方式のものが開示され、そのCNTの電荷注入に対する優位な点についても記述されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このCNTを用いた帯電器には、現状多くの課題が残っている。
(1)寿命
従来のCNTを用いた帯電器は、大気中で電圧を印加することにより急速にその機能が低下することが知られている。これは、大気中での電界放出により、CNTが劣化することが原因になっていると考えられている。寿命が短いと帯電器としての機能が果たせなくなる。
(2)帯電むら
直流電圧駆動では、被帯電体と帯電器とのギャップの不均一さによって、帯電むらが発生することが知られている。また、特にパルス駆動にすることにより、帯電むらは増長される。これは、パルスによって、電圧を印加していない時間帯が存在するため、直流電圧に比べると、帯電むらになる可能性が高いことが予想されるからである。帯電むらは画像品質を低下させる。
【0005】
また、CNTの大気中電界放出を調べた報告がある(Japan Hard Copy 97予稿集P221)。ここでは、CNT1本に対して、電流値は10-12A、電圧値300V程度で破壊することが記載されている。
【0006】
本発明の目的は、寿命を延ばして帯電むらの低減を図ることのできる帯電器及び帯電方法及びこれを利用した画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の帯電器は、被帯電体に対向する帯電器表面にカーボンナノチューブが保持され、電界放出を介して帯電を施す帯電器において、カーボンナノチューブ1本当たりに流れる電流量(電流の単位はA)はカーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流の単位はA)以下であり、前記カーボンナノチューブの密度C1(本/cm2)及び抵抗Rbが以下の条件を満たすことを特徴とする。
C1×Rb > Va/カーボンナノチューブ1本に対するCNT破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)
Va:被帯電体にかける帯電電位差(V)
Rb:帯電する単位面積当たりに対する帯電の回路にかかる総抵抗値(Ωcm2)
請求項2に記載の帯電器は、請求項1に記載の帯電器において、前記カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値を10-12 A以下としたことを特徴とする。
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、カーボンナノチューブの劣化を防止して、
帯電器の信頼性と安定性の向上を図ることができる。
【0008】
請求項3に記載の帯電器は、請求項1又は請求項2に記載の帯電器において、被帯電体に対して段階的に電圧を上昇させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、抵抗、密度だけでは完全に制限できない場合でも、カーボンナノチューブの劣化を防止して、帯電器の信頼性と安定性の向上を図ることができる。
【0010】
請求項4に記載の帯電器は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の帯電器において、帯電器本体の形状がブレード型又はブラシ型であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の帯電器は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の帯電器において、帯電器本体の表面を研磨する研磨部材を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の帯電器は、請求項5に記載の帯電器において、帯電器本体の形状がローラー型であることを特徴とする。
【0013】
請求項5、6に記載の発明によれば、常時帯電器の表面に劣化の少ない清浄なカーボンナノチューブを露出させることができるので、帯電器の信頼性、安定性がより一層向上する。
【0014】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の帯電器を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の画像形成装置によれば、感光体にダメージを与えない帯電方式であり、低コスト化を図ることができると共に、オゾン、NOx等の発生を極めて少ない長寿命で信頼性の高い帯電器を搭載した画像形成装置を提供できる。
【0016】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1又は請求項2に記載のカーボナノチューブを備えた帯電器を用いて、被帯電体に電圧を直接印加して静電潜像を形成することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の画像形成装置によれば、画像形成装置の寿命を決定している主要素である感光体の劣化を避けることができ、感光体を用いずに直接静電潜像を形成することにより、画像形成装置の長寿命化を図ることができる。
【0018】
請求項9に記載の帯電器の帯電方法は、被帯電体に対向する帯電器表面にカーボンナノチューブが保持され、電界放出を介して帯電を施し、カーボンナノチューブ1本当たりに流れる電流量(電流の単位はA)はカーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流の単位はA)以下であり、カーボンナノチューブの密度C1(本/cm2)及び抵抗Rbが以下の条件を満たすもとで、駆動電圧をパルス状に印加するようにしたことを特徴とする。
C1×Rb > Va/カーボンナノチューブ1本に対するCNT破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)
Va:被帯電体にかかる電位差(印加電圧)(V)
Rb:帯電する単位面積当たりに対する帯電の回路にかかる総抵抗値(Ωcm2)
請求項9に記載の発明の構成とした理由を以下に説明する。
【0019】
抵抗と密度とだけを規定した帯電器では、同時に全面積のCNTに電圧がかかり、全てのCNTに同時に電流が流れることを仮定し、その抵抗値と密度を設定している。
【0020】
同時に電圧がかからない場合には、その電圧がかかった数少ないCNTに大きな電流が流れ、破壊される。その理由を図10により説明する。
【0021】
CNTの密度C1と抵抗値Rbを設定した時には、図10(a)に示したようにCNT(1)−CNT(10)のそれぞれのCNTに対して、均等に電流が流れることを仮定している。
【0022】
しかし、実際は図10(b)に示すようにCNT(1)−CNT(3)にしか電圧がかからない場合がある。これは例えば、被帯電体が帯電している場合等に起きる。
【0023】
特にDCで電圧を印加している場合には、常に電圧がかかっており、帯電器のCNTが帯電されていない領域に移動した時にのみ、電流が流れる。
【0024】
このような場合、図13(b)に示すCNT(1)−CNT(3)のように、被帯電体の移動方向の先端部分がこのような状況になり、大電流が流れると共にCNTは破壊する。
【0025】
通常の帯電器では、被帯電体が連続的に移動している。帯電していない被帯電体面も連続して、電圧印加エリアに入ってくる。同時に全てのCNTに電圧が印加されることは無い。
【0026】
そこで、駆動方法をパルス状にすることによって、同時に電圧がかかる状態を形成できる。これは、先にCNTの各1本、1本に別々に電圧が印加されていたのに対し、その電圧印加の“同期”を合わせると言ったイメージである。
【0027】
つまり、連続的に移動する被帯電体がある程度移動した時に、パルスによる電圧を印加し、全てのCNTに同時に電圧がかかるようにする。これによって、数本にのみ電圧がかかること無く、平均した電流が全てのCNTに流れることになる。これによって、上記式を設定する時に仮定した状態を作り出すことができる。
CNTの劣化を防ぐことが可能になる。
【0028】
また、同時に、パルス駆動によって、冷却時間を作り出すことができ、発熱も抑える効果もある。
【0029】
請求項10に記載の帯電器の帯電方法は、請求項9に記載の帯電器の帯電方法において、パルスの立ち上がりに傾斜を付けた駆動波形で帯電させることを特徴とする。
【0030】
請求項10に記載の発明の構成とした理由を以下に説明する。
【0031】
電圧印加によるCNTが劣化する原因として、通電による発熱、及び酸化がある。これを防ぐ方法として、電流値又は電圧値を低減する方法がある。
【0032】
CNTに電圧を300V印加すると破壊することが従来技術で記載したとおり知られている。そこで、被帯電体と帯電器との電位差が常に小さくなるように工夫する。その方法として、図11に示すように駆動波形Pのパルス立ち上がりに傾斜P1を設ける。この波形であれば、初期の立ち上がり点(a)で、被帯電体と帯電器との間の電位差を小さくすることができる。 徐々に電圧が上げられていくと点(b)で示すようにCNTから電界放出がなされ、被帯電体は帯電電位を上昇させる。
【0033】
つまり、帯電器と被帯電体との電位差はある一定(二点鎖線P2参照)に保たれたまま、点(c)で示すようにパルスの終期を迎えることができる。この期間では大きな電位差が形成されず、CNTが破壊されるような大きな電流値は流れない。このように駆動波形Pに傾斜をつけることで、帯電器と被帯電体の電位差を一定に抑えることができ、CNTの劣化を抑えることが可能になる。
【0034】
請求項11に記載の帯電器の帯電方法は、請求項10に記載の帯電器の帯電方法において、前記駆動波形の傾斜が以下の式を満足することを特徴とする帯電器の帯電方法。
K < C1×カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)/Ca
Ca:被帯電体の単位面積当たりの容量(C/cm2)
K=dVa/dt:傾斜(単位時間当たりの電圧増加率)
請求項12に記載の帯電器の帯電方法は、請求項9又は請求項11に記載の帯電器の帯電方法において、前記カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値を10-12 A以下としたことを特徴とする。
請求項10に記載の発明ではパルスの立ち上がりに傾斜を付け、大きな電位差を作らない駆動波形とした。しかし、この傾斜が急峻であると、大電流が流れ、カーボンナノチューブが劣化する。そこで、この傾斜をCNTが破壊しないように規定する必要がある。カーボンナノチューブに流れる電流値と傾斜P1の関係を以下に調べる。
【0035】
被帯電体が単位面積に貯える電荷量Q(Va)(C/cm2)は被帯電体の表面電位Vsの電位差に依存している。これは被帯電体を容量Ca(F/cm2)とみたてた場合、Q(Va)=Ca×Vs
と書くことができる。
【0036】
電圧Vsがある増加量で増加する場合、それに伴って必要な電荷も増加する。電荷の増加量をΔQa(Vs)とし、増加電位量をΔVsと書くと、
ΔQa(Vs)=Ca×ΔVs・…(a)
と書くことができる。
【0037】
ここで、増加電位量を時間に対し、増加とすると、その増加量Kを、
K=ΔVs/Δt=dVs/dt・…(b)
と書くことができる。
【0038】
また、表面Vsは図11から判るように印加電圧Vaから閾値電圧Vthを引いたものである。
Vs=Va−Vth
これを先の式に代入する。そして、両辺をΔtで割ると、
ΔQa(Va-Vth)/Δt=Ca×Δ(Va-Vth)/Δt・・…(c)
dQa(Va)/dt=Ca×dVa/dt=Ca×K・・…(d)
(ここで、Vthは一定だから、微分すると消去される。)
ここで一定時間の電荷の増量dQa(Va)/dtは電流であるから、
Ia=dQa(Va)/dt・…(e)
と書くことができる。
【0039】
但しIa(A /cm2)は単位面積に流れる電流値とした。
単位面積当たり、CNTの本数がC1であるとすると、CNTの各1本に流れる電流値はIaaは、
Iaa=Ia/C1・・…(f)
と書くことができる。
【0040】
ここで、CNTの劣化条件はCNT各1本に対し、10-12A以上流れると破壊することが知られているので、それ以下に抑える必要がある。
Iaa < 10-12A・…(d)
(f)の式を代入して、Iaaを消去する。
Iaa=Ia/C1 < 10-12…・(h)
(e)の式を代入して、Iaを消去する。
dQa(Va)/dt/C1 < 10-12…・(i)
(d)式を代入し、dQa(Va)/dtを消去する。
Ca×dVa/dt/C1 = Ca×K/C1 < 10-12…・(j)
よって、
K < C1×10-12/Ca…・(k)
この式を満足することによって、CNTを劣化させる電流値は流れない。
【0041】
請求項13に記載の帯電器の帯電方法は、 請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の帯電器の帯電方法において、前記パルスの間隔が以下の条件を満たすことを特徴とする。
カーボンナノチューブの電界放出可能距離>被帯電体の帯電が必要な距離=T1*S1
S1:被帯電体対する帯電器の相対速度(m/sec)
T1:パルスの間隔(sec)
パルスによって帯電を施すと、帯電むらが現れる。この帯電むらは、帯電した個所と帯電していない個所とが混在することに起因して発生する。帯電していない個所が現れないように、パルス間隔を小さくする必要がある。CNTが電界放出する距離は10μmである。このことは実験的にも確かめられている。実験結果を図12に示す。図12は横軸に帯電器と被帯電体との距離をとっている。
【0042】
縦軸に印加電圧E=−500Vでの帯電電位を示している。この図12から、距離を10μm以上離すことによって、電界放出による帯電は起きなくなることが判る。このことから、CNTから距離10μm内が帯電できるエリアである。1度のパルス電圧で半径10μmの円内は帯電が完了していることになる。
【0043】
次にパルス電圧が必要になるのは、被帯電体が10μm移動した時である。これに合わせて、上記式のパルス電圧を印加すれば良い。
【0044】
ここで、10-5は10μmを示し、10-5/S1は被帯電体が10μm移動するのにかかる時間である。つまり、10μm移動する前に次のパルスが印加されれば良く、それをパルス間隔として規定できる。つまり、上記式を満足することによって、被帯電体が10μm移動する毎にパルスを印加できていることになる。
【0045】
この条件を満たすことによって、パルス間隔が十分短く、帯電を施していない領域は無くなる。よって、帯電むらもなくなる。
【0047】
帯電器にはパルス状に電圧が印加される。このパルスによって被帯電体は帯電され、その帯電電位はパルス電圧によって決まる。これは、図13に示すように、CNTの帯電器のVa/Vs(印加電圧/表面電位)のグラフより理解できる。
【0048】
このグラフはCNT帯電器の特性を示しており、電界放出により、負の側では低閾値で帯電が起きる。それに対し、正側では、電界放出が起きないので、放電が起きる電圧が閾値となる。その閾値は600V程度である。今回は被帯電体を負に帯電させる。
【0049】
例えば、電圧を−500V印加すると、−300V程度帯電することになる。被帯電体が−300V帯電しており、帯電器にパルス電圧がかからない場合、被帯電体と帯電器とは300Vの電位差が存在する。この時に図13により放電開始電圧が600Vであるから、放電は起きない。
【0050】
逆に例えば、帯電電圧を−1000Vにしてしまうと、パルス電圧が0Vになった時に、被帯電体と帯電器の電圧差が800Vとなり、放電が起きてしまう。この放電は、所々に起き、これは帯電均一性に大きな影響を与える。
【0051】
【発明の実施の形態】
(発明の実施の形態1)
(実施例1)
帯電器1の概要図を図1に示す。帯電器1と被帯電体3は平行に均一のギャップGを介して向き合っている。そのギャップGは約10ミクロンに保たれている。帯電器1の表面にはCNT4が保持されている。
【0052】
以下にその作成方法を含めて詳細な構成を述べる。
【0053】
帯電器1は基板2から構成され、その基板2はSUS製プレートであり、その厚みは約10mm程度である。その基板2は被帯電体3の曲率にあわせて、その表面2aが研削加工されている。その基板2は導電性であり、その端部から配線5’がされており、電圧Eが基板2に印加されるようになっている。
【0054】
基板(SUS製プレート)2の表面2aにはカーボンナノチューブCNT4が保持されている。CNT4はCVD(化学的気相成長法)によって合成されている。CVDによる合成によれば、CNT4の長さとして10ミクロンを超えるものを作成でき、今回は5ミクロン程度とした。CVDでCNT4を合成することにより、高密度化が可能となる。今回は100本/μm2(10 10 本/cm2)とした。
【0055】
帯電器1には外部抵抗(105Ωcm2)Rbを設けた。そのCNT4の密度C1と外部抵抗Rbとの関係は以下に記載する条件を満足するものとした。
C1×Rb > Va/10-12
すなわち、10 10 ×105> 300/10-12
とした。
【0056】
印加電圧EをVa=300Vとして、動作試験を行ったところ、A4版、50×1000枚の動作が可能であることが確認された。
(比較例1)
帯電器1の形状、作成方法は全て実施例1と同様とした。
ここでは、帯電器1の総抵抗として、外部抵抗Rbを変えてみた。実施例1での外部抵抗Rbの値は105Ωであったが、今回は103Ωとした。すると、この条件で動作試験をしたところ、帯電器1の帯電電位が連続動作1時間程度で半減した。
(実施例2)
図2は帯電器1の形状をローラー型としたものである。帯電器1の表面は被帯電体
3に接触している箇所もあるが、大部分は非接触であり、その非接触箇所で電界放出が起きている。また、クリーナーを備えても良く、選択的にCNT4以外の樹脂を研磨することによって、新鮮なCNT4を絶えず表面に突出させることができる。以下、その詳細を説明する。
【0057】
帯電器1はローラ型であり、その表面にCNT4を備えている。すなわち、図3に示すように電圧印加装置(帯電器)はローラ状であり、電圧Eを被帯電体3に印加する機能を有する。この帯電器1は、導電性の円筒基体5と導電性弾性体6と表面層としてのCNT4の含有中抵抗層7との積層構造となっている。
【0058】
円筒基体5はアルミ製、SUS製、Fe製等の金属導体、若しくはアクリル樹脂製、プラスチック製の絶縁体の表面に導体膜を形成したものが良い。体積抵抗が10-2Ωcm以下であれば、各種の導電剤を配合した樹脂やゴムも使用することができる。
【0059】
今回は製造工程の製造コスト等からアルミ製のものを採用した。アルミニウムを20mmΦ厚み2mmの円筒状に加工後、その表面の密着性が良くなるように、グラインダーで0.1mmオーダーのラフネス(粗面)をつける。この円筒基体5に図3に示すその厚みが5mmの導電性弾性体6を設ける。
【0060】
導電性弾性体6は弾性を有する母材に導電性の粒子を分散させたものである。その母材にはポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、軟質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーが好適であるが、他にナイロン6、ナイロン6,6 、ナイロン6−ナイロン6,6 共重合体、ナイロン6,6 −ナイロン6,10共重合体や、メトキシメチル化ナイロン等のアルコキシメチル化ナイロンの如きポリアミド、コポリアミド或いはそれらの変性体、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等も使用できる。
【0061】
ゴムとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム等が好ましい。今回はシリコーン樹脂を採用した。
【0062】
分散導電性粒子としては、導電性カーボンブラックや、銀、金、銅、黄銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレススチール等の金属粉や、酸化スズ系導電剤等の粉末導電剤を用いることができ、他に、非イオン系、陰イオン系、陽イオン系、両性系等の有機導電剤や、有機スズ系導電剤を用いることもできる。また、導電剤の均一分散を有効に行うためには、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸等を共重合させた酸変性樹脂やゴムを一部使用することも有効である。今回は導電性カーボンブラックを採用した。
【0063】
導電性粒子カーボンブラックは熱で溶融された母材のシリコーン樹脂の中に分散され、これを型にはめ、冷却することによって所望の形状の固体を得ることができる。このようにして得られたものは、その材料比によって、導電性を適当に調節することができる。今回は10Ωcm程度の抵抗に調節した。
【0064】
このように形成された導電性の表面にCNTを含有した中抵抗層7を1層成膜し、表面に突起状の形状を形成する。導電性弾性体6上に設けられる中抵抗層7としては、導電剤の配合と層厚により適当な抵抗値を有するように調整された樹脂やゴムが使用される。この樹脂、ゴムの種類は、前述したものと同様のものであってよいが、これら以外にも、フッ素系の樹脂またはゴム、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PTFE・HFP)、パーフルオロアルコキシ系フッ素樹脂等が好適に使用される。
【0065】
特にこれらフッ素系の樹脂やゴムを使用すると、不活性でしかも摩擦係数が小さいため、被帯電体3として感光体やローラ型の帯電器1の寿命の点で大きなメリットがある。今回はPVDFを採用した。PVDFの機械強度は被帯電体3に比べて、小さくなるように調整する。なお、中抵抗層7の抵抗値は、10 〜1011Ωcm、特に107〜108Ωcmのものである。この樹脂の中にCNT4を含有する。このCNT4もフィラーとして作用することから、このCNT4とカーボンブラックによって抵抗を制御した。CNT4の濃度は10wt%、カーボンブラックは5wt%程度で所望の抵抗値108Ωcmを得た。
【0066】
CNT4はアーク放電方法、CVD方法、レーザーアブレーション方法などで作成される。今回はアーク放電方法で作成されたCNT4を用いた(多層カーボンナノチューブ( BU201(Bucky USA製))。入手したCNT4はカーボンブラックとほぼ同様の粉末状であるから、これを同様に樹脂に混入し、攪拌する。このあと、先ほどの低抵抗シリコーンローラーの表面にディッピング法によって、表面に厚さ1mmの膜を形成した。
【0067】
次に、このように樹脂に分散されたCNT4を表面から露出突出させる。その方法としてアッシング方法や研磨などによる方法などが考案されている。今回は研磨による方法を選択した。研磨にはシリカの研磨粒子を用いた。樹脂の表面荒さはミクロンオーダーになるように研磨を施す。これによって、CNT4は1ミクロン程度の長さで露出し突出する。そのCNT4の突出密度は、先に樹脂に分散した量により、1本/μm2程度となることを確認した。また、樹脂の表面荒さをミクロンオーダーにすることにより、被帯電体3とのギャップ領域が安定に形成される。このギャップGにおいて、非接触の帯電が施される。
【0068】
クリーナー8はローラー型の帯電器1に接触して設置され、このクリーナー8は帯電器1の研磨を行うのに用いられる。このクリーナー8は帯電器1の表面を常時研磨し、表面2aを適当なラフネス(粗面)に維持し、かつ表面2aから未劣化なCNT4を突出させることにある。
【0069】
このため、既述の研磨行程をこのクリーナー8で施せるようにする。クリーナー8は機械強度高く、常に適当な突起状態を維持できる部材を用いる。その材料にはAl、SUS、Fe、等の金属又は合金、若しくはアクリルやエポキシなど機械強度な高い樹脂、シリカやガラスその他の酸化物等の無機物が適している。
【0070】
今回はSUSを用いた。このクリーナー8もローラー形状であり、SUS表面に帯電器1の樹脂が付着したときに除去できるようにされいる。SUSの表面はミクロンオーダーのラフネス(粗面)が設けられ、このSUS製のローラー形状のクリーナー8がローラ型の帯電器1とは異なる回転スピードで接触回転されることにより、帯電器1の表面2aが研磨される。帯電器1へのクリーナー2への押し圧を調節することにより、その帯電器1の表面2aの削れ量を制御でき、中抵抗層7の厚さが1mm程度であるから、500×1000枚程度の寿命を持たせるために、削れ量が1nm/回転程度になるように調節した。
【0071】
被帯電体3には感光体を用いた。その被帯電体3は図4に示すように表面から表面保護層9、電荷輸送層10、電荷発生層11、下引き層12、円筒基体13からなっている 表面保護層9には透明で機械強度の高いものを利用する。材料として、市販のポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、シリコーン、アルキド、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を用いることができる。
【0072】
更に、強度及び分散性を向上させるための検討を行なった結果、アクリロイル基を1分子中に3個以上もった光硬化型アクリル系モノマー中に導電性粒子を分散させ、これを感光体の感光層上に塗布、光硬化させることによって形成した表面保護層9を用いることによって、膜強度が飛躍的に向上した。
【0073】
電荷輸送層10には、従来から用いられているホール輸送用の材料を用いた。電荷輸送剤としてはオキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、ジフェニルメタン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン誘導体などである。バインダーとしてはポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂を利用した。移動剤の濃度は50%程度とした。電荷輸送層10の膜厚は20ミクロン程度でディッピングコーティング法によって形成した。
【0074】
電荷発生層11には従来のデジタル用に用いられてきた長波長(780nm)のものを用いた。CGM(電荷キャリア発生材料:charge carrier generation material)として、スクエアリリウム色素、無金属フタロシアニン系、金属フタロシアニン系、アズレニウム塩色素、チアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ顔料系及びアゾ顔料等である。これらをポリビニルプチラール樹脂などのバインダー材料に入れた。膜厚は1ミクロンから10ミクロン程度で、スプレー塗工によって電荷発生層11を形成した。
【0075】
下引き層12は感光体の帯電性を改善し、また、円筒基体13に対する感光層(電荷発生層11)の接着性や塗布性を向上することを目的としている。
【0076】
この下引き層12に用いられる材料としては、例えば、単層構成ではポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラニン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリイミドなど樹脂、又はそれらの共重合体などが挙げられる。
【0077】
また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチルセルロース等も用いられる。また、Ag,Cu,Ni、Au,Biなどの金属やカーボンで実現される導電性粒子を接着剤に分散させた膜も有効である。酸化スズ又はアルミナによって表面処理された酸化チタンを含有する層も有効である。また、アルミナで被覆された酸化チタン微粒子やチタンネート系カップカップリング剤によって表面処理された酸化チタン、シラン化合物、フッ素含有シラン化合物によって表面処理された金属酸化物粒子を接着剤に分散した層などが用いられる。
【0078】
円筒基体13には導電性があり、機械強度高く、低製造コスト、膜の密着性が良い等の特性を有するものが良い。そこで、一般的な金属が用いられ、例えば、Al,SUS、Fe、Ni、Cu,Mg,Ag,などが挙げられるが、今回はAlを用いた。また、アクリル等の絶縁性材料の上に金属膜を形成することによって代替品として用いることもできる。
【0079】
このローラー型の帯電器1を用いた画像形成装置の駆動方法を以下に説明する。
【0080】
駆動方法は通常のローラー型の帯電器に準ずる。電圧EはDCとし、その印加電圧EはVa=−300Vとした。通常の放電は起きることなく、オゾンの発生も防止できている。このことはオゾン検知機等で調べることができる。被帯電体(感光体)3の回転速度は60cpmに対応できるように設計した。
【0081】
本実施例では、このスピードでも満足できる帯電能力を得た。既述したように、CNT4の密度C1は1本/μm2になように規定した。また、樹脂に十分に分散させることによって、均一性も高い。この状態で抵抗値は108Ωcmとなっている。厚み(1mm)を考慮することによって、単位面積(1cm2)当たりの抵抗値Rbは、
Rb=108/10(厚み)=107Ωcm2
となっている。
【0082】
すなわち、10-12 > I/c1=V /(c1×Rb)=300/(108×106)=3×10-13
(C1=108本/cm2、Va=300)
という条件を満たしている。
この条件では帯電器1の寿命はA4版を50×1000枚であり、十分に駆動することを確認できた。
【0083】
なお、その図2において、14は記録紙、15は転写装置、16は現像装置、17は定着装置、18は除電装置である。
(比較例2)
帯電器1、被帯電体3、クリーナー8の形状、作成方法は全て実施例2と同様である。作成上異なる点はCNT4の濃度を変えた点にある。CNT4の濃度をエポキシに対して2wt%とし、抵抗値RbはCB(カーボンブラック)よって実施例2と同様になるようにコントロールした。これによって、研磨した後の表面を観察したところ、CNT密度が0.01本/μm2となった。
この条件では、
10-12 > I/c1=V /(c1×Rb)=300/(106×106)=3×10-11
となっている。
これを用いて帯電評価を行ったところ、時間とともに帯電電位が低下することが分かった。
これは、後述の実施例3と比較しても明らかであった。
(実施例3)
ここでは、帯電器1にはブレード形式を採用した。ブレード形式の帯電器1の場合、その端部が被帯電体3と接触する。マクロ的には接触していると考えられるが、ミクロ的には被接触領域が多数存在しており、その領域では電界放出がおきる。つまり、実施例1に挙げたように微細なギャップGは不要であり、製造コストを低減できる。ニップは2mmになるように設計し、抵抗値、厚み、表面のラフネス等も実施例2に準ずるものとした。ローラー型の帯電器1と同様にブレードの表面にCNT4が突出するように加工した。CNT4の密度C1、帯電器1の抵抗値Rbは実施例2と同様であり、動作試験においても同様な結果を得た。
(実施例4)
ここでは、帯電器1を感光体の帯電だけではなく、転写プロセスにも採用した。転写プロセスでは感光体上に現像された画像を記録紙13上に移動させる。この時、記録紙13の裏面に、トナーが帯電している電極の逆極性電荷を帯電させる。従来のコロナ型の帯電器に比べ、その帯電エリアを微少にすることができる。今回はニップ2mmとして、それ以外の領域では電圧がかからないようにブレード形状にした。そのため、トナーが散乱することなく、ボケの少ない画像形成ができた。
(実施例5)
図5はブラシ型の帯電器1を示している。帯電器1は基体2と支持細線2Bと細線(CNT4)からなっている。この基本要素の構成、製造方法は先に詳細を述べた。
【0084】
基体2は通常の複写機などの筐体で行われているように鋳型に流し込み成形する。樹脂の材料にはABS(アクリロニトリル−ブラジエンスチレン共号重合体)を用い、リサイクルを可能にした。その基体2の形状は固定層2Aの成形面を300×10mmとし、裏面には機械強度を強化するために柱になるような形状を付け加えた。これにより厚みは10mm程度に抑えることができる。
【0085】
樹脂で形成された基体2に固定層2Aを形成する。固定層2Aの膜厚は500μm程度で、コーターによって塗布する。固定層2Aは先に述べたナイロン性の樹脂を用いた。今回用いたナイロン樹脂は低融点のもので、約100℃程度で融解する。ナイロンにはTCNQとTTFをそれぞれドープしており、バルク抵抗で102Ωcm程度に調節した。塗布した面のラフネスは50μmレベルになるように、基体2の樹脂及び塗布する条件を選んだ。このように塗布されたナイロンは雰囲気が100℃であれば、十分溶融状態を保っている。ここで、基体2の裏にホットプレートを設置し、基体2の樹脂から130℃で加熱する。雰囲気は80℃程度に保ち、固定層2Aの表面は粘性を高めるが、硬化はしないぎりぎりの状態になる。このような半溶融状態であるナイロン膜に、個別に作られたナイロン繊維を植毛する。植毛するナイロン繊維は直径10μm、長さ2mmに揃えられている。
【0086】
このナイロン繊維一本の抵抗値は3×103Ωに規定している。これにより、支持細線2Bが120本/mm2の密度を持っているとすると、帯電器1として1×109Ωの抵抗を持つことが予想される。これは先程と同じようにTCNQとTTFのドープ量で調節できる。また、固定層2Aと支持細線2Bであるナイロン繊維はオーミックコンタクトがとれ、ほぼ接触抵抗が無いことを確かめた。これは同種類の材料を用いることで行うメリットである。植毛は静電気による方法を採用した。植毛後に、ホットプレートから外し、室温冷却することによってナイロンは硬化し、固形物となる。この時、支持細線2Bは融解することなく、初期の形状を保ったまま、固定層2Aに固定される。固定層2Aと支持細線2Bの界面では多少融解していることが考えられるが、電気抵抗などは問題なく、強固に固定できる。
【0087】
この時に植毛される密度は、120本/mm2に規定する。植毛された支持細線2Bの先端を均一になるようにそろえる。揃え方は120℃程度に加熱している金属面に、ゆっくりと接触させ、他より長い支持細線2Bだけ溶融させ、変形させることによって、長さが均一になる。これによって植毛された支持細線2Bは、0.1mm程度のバラツキで、均一の長さになる。
【0088】
このようにできた支持細線2Bが形成された状態で電気伝導度及び接触抵抗を測定する。測定方法はこの状態で金属電極に接触させてIVカーブもしくはCV測定を行う。これによって、支持細線2Bが持つ電気抵抗を測定することができる。今回の抵抗は300×10mm角で1×109Ωとなった。支持細線2Bのドープ量などを変えて、この値を変えることによって、この条件をコントロールできる。
【0089】
これを被帯電体(感光体)3に接触させて、被帯電体(感光体)3と帯電器1との間に電圧Eを印加し、表面電位と印加電圧及びその時定数を評価する。これによって、支持細線2Bと被帯電体(感光体)3との接触抵抗を評価できる。今回得られた接触抵抗は1×1010Ωである。
【0090】
このように形成されている支持細線2Bにカーボンナノチューブ(細線)4を植毛する。植毛方法として、今回は電気泳動法及びエポキシ樹脂による固定化を採用した。この方法はカーボンナノチューブ4をクーロン力によって配列することができる利点がある。エポキシ樹脂には導電性があり、90℃程度で硬化し、弾性のあるタイプのものを利用した。
【0091】
カーボンナノチューブ4にはアーク放電、CVD法による多層タイプのもので、長さが100〜150μm、直径は10〜25nmに揃えたものを利用した。カーボンナノチューブ4は遠心分離によって分級され、ほぼ同様な形状のものを選んだ。
【0092】
先ほどの固定層2Aに固定された支持細線2Bにエポキシ樹脂を塗布する。エポキシはこの様態では粘性が低いので支持細線2Bを濡らす。また、このエポキシは導電性を持たせているので電極として、支持細線2Bを利用できる。
【0093】
カーボンナノチューブ4を5wt%程度IPA(イロプロピルアルコール)に分散させて、300×15mm、深さが2.1mmの容器に入れる。容器の底は導電性の金属によって作られており、裏面から電極を取ってある。この容器の上に先に作成したエポキシを塗布した支持細線2Bを入れる。支持細線2Bの長さは2mmに均一であるから、下の電極とは接しない。
【0094】
この状態で電圧Eを印加し、カーボンナノチューブ4を電気泳動で支持細線2Bに接触させる。十分時間をかけ、実際に移動し、接触している状態でIPAを加熱蒸発させ、ベークによってエポキシを硬化させる。カーボンナノチューブ4の密度C1はIPAの分散液おける濃度や印加時間と印加電圧によって制御できる。これによって、CNT4の密度C1は1本/μm2程度となった。この条件下では抵抗値Rbが先の109Ωである。その支持細線2Bとカーボンナノチューブ4によって帯電ブラシが形成される。
【0095】
このブラシ型の帯電器1をVa=−300Vの直流電源Eに接続し、電荷輸送層10、電荷発生層11、下引き層(ホール注入阻止層)12、Al製の基体13からなる被帯電体(感光体OPC)3に接触させて帯電を行った。なお、感光体の周速は300mm/sなので,ブラシ型帯電器1と被帯電体(感光体)3の接触時間は0.1sとなる。
【0096】
その感光体はブラシ型の帯電器1と接触する間に、−280Vまで帯電され,導電性繊維にカーボンナノチューブ4を接続した帯電ブラシが十分な帯電能力を持つことが確認された。また感光体の長手方向での帯電電圧のバラツキは5%以内であり,十分な均一性が得られた。また、寿命も50×1000枚をクリアしており満足行くものであった。
(実施例6)
図6は、印加電圧Eを段階的に別けて被帯電体3に印加する構成の帯電器1の構成を示している。帯電器1は3つのブロック1E、1F、1Gに別けられ、各ブロック間には絶縁物19、19が挿入され、電気的に接触しないようにされている。
【0097】
絶縁物19、19は柔軟性のあるPETフィルムで作り込み、厚さ0.5mmのものを利用した。長さは支持細線2Bとほぼ同様になるようにし、かつ被帯電体(感光体)3には振れないように設計した。固定層2Aを塗布する時にパターニングし、各部分の間に0.5mm程度の隙間を形成しておく。絶縁物(PETフィルム)10は固定層2Aに支持細線2Bを植毛した後に、その隙間に設置する。各固定層2Aの部分から電極2C、2C、2Cをとり、これによって各ブロック1E、1F、1Gに独立に電圧Eを印加することが可能となる。
【0098】
各電極2C、2C、2Cは被帯電体(感光体)3の裏面電極をアースとして、抵抗Rb、Rb’、Rb”を用いて、−200、−400、−500Vに設定した。放電の有無はオゾン量で観測した。オゾンに関しては全く検出されず、効果があることが確認できた。また、寿命も50×1000枚をクリアしており満足行くものであった。
(実施例7)
図7は被誘電体3に帯電器1を用いて静電潜像を形成する画像形成装置を示している。
この画像形成装置は、帯電、現像、転写、除電のプロセスからなっている。通常の画像形成装置は、露光プロセス(露光工程)があり、この露光工程で静電潜像を形成するが、この画像形成装置では、帯電プロセスで潜像が形成される。これは、選択的に任意の領域にのみ帯電することによって実現する。また、帯電及び除電以外は通常の電子写真プロセスと同様なのでここでは割愛する。
【0099】
この帯電器1の概要を図8に示す。この帯電器1は電気伝導体で形成された帯電ドット20、この帯電ドット20に接続された配線21、絶縁膜(SiO2)22、コネクター部23、基体24からなる。帯電ドット20は導体であれば良く、例えば、金属や導電性の有機物、無機の半導体、絶縁物に導電性フィラーを添付したものなどを用いることができる。今回はその製造工程の簡便性から金属特にCuを用いた。
【0100】
この帯電ドット20の電極部25にはCNT4が配列されている。CNT4はCu上に形成されてFe微粒子を触媒にして熱CVDによって作られる。CNT4は触媒の無いところからは生成されないので、電極部25の部分にしか生成されていない。CNT4の長さは数十μmで均一に形成される。また接触している場合はその押し圧によって、若干撓む。これによって、多少そのギャップがずれても、その撓みによって接触は常に行われている。これによって、多少のギャップのずれは問題でなくなる。なお、製造方法はこれに限るものではなく、アーク放電で製造されたCNT4を樹脂分散し、電極部25に塗布し、表面を研磨することによってCNT4を突出形成する方法もある。
【0101】
各帯電ドット20を30μm程度、配線21は5μmとした。ドット間隔は15μmとして、縦には6行ならべた(ただし、図8では、模式的に帯電ドット20を大きく描いているので、その縮尺は正しくないので留意されたい)。これによって、実質、3000dpiレベルの画素数を得ることができる。また、LEDアレーのような高価な光学系が必要でなくなり、安価に行数を増やすことができ、より高い画素数を簡便に得ることができる。
【0102】
絶縁基体24にはSi基板を使用し、配線21にはCu金属を用いた。作製方法はスパッタで成膜し、配線(Cu)21、絶縁膜(SiO2)22はそれぞれ500nm、1μmとした。
【0103】
通常の接触型の帯電器1の場合、感光体の寿命等の点から、接触摩擦により感光体が削れることが問題となっている。この実施例では感光体の代わりに、一般的な誘電体を被帯電体3として用いており、削れなどの不具合には耐性がある。そのため、帯電器1の硬度には規制が少なく、Cu、SiO2などの硬いものでも問題ない。
【0104】
作製方法はデュアルダマシン法を採用した。絶縁膜(SiO2)22にスルーホールを開けると共に、帯電ドット20になる領域にも溝をウェットエッチングによって形成する。その領域にCuをスパッタリングして配線21を形成し、段差はCMPで除去してフラットな面を形成した。これによって図8に示す形状の帯電器1が得られる。
【0105】
配線21は、絶縁膜22の下を縦方向に通っており、その配線21はコネクタ部(ヒートシールコネクタ)23によって、データをメモリした集積回路(IC)26に繋がっている。この集積回路(IC)26からは数百Vという電圧Eが帯電ドット20に印加できるようになっている。
【0106】
その電圧Eを画像形成に必要なドットに印加する。これによって、必要なところのみに帯電をすることになる。配線21間に大きな電圧がかかるため、これによる不具合がでないように、配線21間をできるだけ取れるようにデザインした。
【0107】
これ加えて、保護ダイオードをそれぞれの配線21に設けた。保護ダイオードはCu配線を施す時と同時に形成することができる。Si基体24を選択したため、通常の半導体工程をそのまま利用できる。本実施例では、実際には行わなかったが、Si基体24上にICを設けることも可能である。
【0108】
被帯電体3には通常感光体を用いるが、本実施例では静電気を保持することが可能な部材であればかまわない。また、膜厚も通常の感光体のようにシビアな均一性も必要なく、2値書き込みのデジタルの場合は特にこのことが言える。
【0109】
被帯電体3の構成は表面3Aに誘電体の薄膜100μm程度のものとそれを保持する基体3Bで導電性のあるものを用いる。この基体3Bをアースに落とすことによって、帯電時に電圧を印加できる。
【0110】
基体3Bは通常の感光体と同様で、一般的な金属を用いることができ、今回はAlを用いた。Alを円筒に成形し、表面のラフネスを抑える。その上に、誘電体膜を形成する。作製の簡便性からディッピング法を採用し、誘電体はホットメルト式のものを利用する。材料としては誘電体であればよく、その選択は製造方法の簡便性から選択される。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVA(ポリビニルアルコール)等の有機化合物がこれに当たる。また、SiO2やa-Si、SiNなども半導体で用いられた実績から、製造し易いやすい。本実施例ではPETを用いた。PETは多くの利用例があり、コスト的に魅力があり、製造上の物性値も良く知れている。
【0111】
除電装置18には、通常、感光体を用いているので露光を行うことで除電を行っている。しかし、本実施例では導伝材料を接触させることによって、表面の電荷を逃がす方法を採用した。しかし、これに限られるものではない。また、導体は固体に限らず、例えば水のような液体も採用できる。
【0112】
今回、通常のクリーニング工程に除電機能を付加することによって実施した。これにより、従来、除電とクリーニングの2工程が1工程になり、簡便になった。クリーニングは従来、PC(ポリカーボネイト)やシリコーンゴムのような硬度の低く弾性の高い素材を感光体に押し付けることによって、感光体表面にあるトナーを削り取っている。また感光体(OPC)で問題になっている表面の劣化もこの工程で表面を削るによって、新しい表面を絶えず出すような工夫されていた。
【0113】
本実施例ではこのクリーニングブレードを導電性にし、アースに落とすことによって、除電装置18に兼用させることを可能にしている。ブレードを導伝性にする方法は通常用いられている樹脂に導電性のフィラーを入れることによって実現する。
【0114】
フィラーは樹脂の弾性を損なうこと無く、大きな導電性を得たいことからカーボン粒子であるケッチェンブラックを利用した。濃度は5wt%程度で十分な体積抵抗を得ることができる。本実施例では、通常のクリーニングブレードを導電性にするだけで、他のイコライザー機能などはそのまま転用した。この状態で接触幅(ニップ幅)を2mm程度にすることによって、60cpmレベルの除電が可能であることは実機で確かめた。
(実施例8)
本実施例では、実施例7と同様に帯電器1による帯電プロセスで静電潜像を形成することとしたもので、作像プロセスは図7と同様である。
【0115】
本実施例では、潜像形成の領域選択に光を用いていることに特徴がある。
【0116】
この帯電器1は、図9に示すように、LEDアレー25、光学系26、透明導電体27、光半導体28、カーボナノチューブ4から構成されている。
【0117】
LEDアレー25によって光を任意の領域に当てる。光半導体28は光が当たった領域についてのみ抵抗値を下げる特性がある。従って、選択的に光を照射することによって、領域を選択し、静電潜像を形成できる。帯電器1はローラー部およびLED光源部からなっている。
【0118】
光源部には、ランプ光や、レーザー光を用いることも考えられるが、本実施例ではLEDを複数ならべたLEDアレー25を採用した。LEDアレー25は近年複写機等の高密度書き込み系として応用されており、技術的な蓄積も多い。
【0119】
そのLEDは直径30μm程度でLEDとLEDの間には20μmの間隔を置いた。また、LEDは縦方向に6列、やはり20μm間隔で設置する。LEDの波長は650nmとした。LEDと被帯電体3の間にLEDの光が効率よく被帯電体3を照査するようにレンズ機能を持った光学系26を組み込んだ。光学系26には通常使われているマクロレンズアレーをならべた。この時、干渉縞等が出ないように工夫することが必要である。これを先の透明基体24のローラー内部に固定し、常に被帯電体3を照射するようにする。
【0120】
電圧印加ローラー部は以下のようにして構成した。
【0121】
透明基体24の表面に導電性の透明膜を形成し、及びその上に光半導体薄膜28を形成する。また、下の層にある導電性膜から電極を取れるようにする。透明基体24にはガラスやプラスチック等が考えられるが、その汎用性や機械強度などからアクリル性の樹脂を採用し、円筒に成形した。この円筒の基体24の直径は20mmΦに設計し、厚さは十分な強度を得られる2mmとした。円筒とその支持体との間の摩擦は小さくし、自由に回転できるようにする。また、円筒支持体に可動性をもたせ、被帯電体3と帯電器1が常に十分な圧力で接触するようにする。
【0122】
基体1上の表面には透明で導電性があり、かつ適当な弾性がある透明導電体27を作り込む。この透明伝導体27は、今回は透明導電性微粒子を弾性透明母体に分散する方法を取った。これは、微粒子で導電性を保持し、母材で弾性を保つと言うものである。本実施例ではITO、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化イリジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ酸化ジリコニウムなどの透明導電性材料を粉砕し、ミクロンオーダーの微粒子にし、これを透明なポリカーボネイト、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、シリコーン、アルキド、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの母材に十分に分散した。導電性は1x104Ωcm程度あれば良い。また、透明性もそれほど要求されていないので、膜厚を10μmとした。
【0123】
その上の層、被帯電体3に接触する層には光半導体28を形成する。光半導体28は光を当てた領域にのみ抵抗が低下する機能を有している。これは光によって電気導電性を担うキャリアを発生することによっている。
【0124】
このような性質を持つ物質には無機物ではSi,ZnO、a-Si、GaAs、Ge、TiO2など多くの物が知られる。また、有機物では通常感光体に用いられているようなスクエアリリウム色素、無金属フタロシアニン系、金属フタロシアニン系、アズレニウム塩色素、スクワリン酸誘導体、トリスアゾ顔料、チアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系、インジゴ誘導体又はビスアゾ顔料系などが用いられる。また、これらをポリビニルプチラール樹脂などのバインダー材料に入れることで層を構成することができる。本実施例では有機半導体である金属フタロシアニン系を用いた。これをバインダー樹脂に混ぜて、この層を形成する。膜厚は20μm程度にした。最表面層はCNT4によって形成される。CNT4の特徴、形成方法などは実施例2で説明したのでここでは割愛する。
(発明の実施の形態2)
(実施例9)
帯電器、被帯電体等には、実施例2のものを用いた。すなわち、今回は実施例2のローラー型を採用した。ただし、ブレード型等の他の形状であっても、CNT4の劣化する傾向は変わらず、今回の結果は形状に依存しない。ここでは、駆動方法のみ記述する。
【0125】
本実施例では駆動波形をパルス状にする。その波形を図14に示す。パルスPは矩形波とし、その周波数は10kHzとした。電圧のピーク時は−500V、ディップ時は0Vとなるようにした。CNT4の寿命の評価はその特性劣化から判断する。通常のCNT4の帯電器1であれば、−500V印加でその8割、約−400Vの帯電が見込める。しかし、CNT4が劣化すると、その電位が落ちる。今回の判断ではその値が半減−200Vになった段階で寿命がきたと判断した。連続運転してその寿命を測定した。その結果、約10時間であることが分かった。これによって、比較例1の直流駆動に比べ、帯電器の寿命が、遥かに長くなったことがわかる。
(比較例1)
帯電器1、及び被帯電体3の構成は実施例9に準ずる。この比較例1では印加電圧を直流電圧−500Vとする。結果、寿命は2分程度と、非常に短期間で帯電器は劣化する。
(実施例10)
本実施例での駆動波形は図15に示すようにした。印加電圧をピーク時で−500V、傾斜の変化率は5×106(V/sec)とした。
【0126】
ここでは、駆動波形の変化率K(傾斜)を以下のようにした。
K < C1×10-12/Ca
Ca:被帯電体の単位面積当たりの容量(C/cm2)
C1:CNT密度:単位面積当たりのCNTの本数(本/cm2)
K=dVa/dt:傾斜(単位時間当たりの電圧増加率)
被帯電体3には感光体を用いており、膜厚25μm、比誘電率3.4、これより、一定面積(cm2)当たりの容量Caは約100pF(10-10F)程度になる。 CNT4の密度はその作成方法によるが、例えば、樹脂に混合する方法であれば、その濃度によって制御することができる。またCVDによって、後から形成する場合は、そのパターニングなどによって濃度を制御する。CNTの密度は、SEM(電子顕微鏡)観察することによって評価する。今回は、10本/μm2(109本/cm2)となるように制御した。これにより上式右辺は
右辺=C1×10-12/Ca=109×10-12/10-10
=107
となる。
【0127】
つまり、左辺の傾斜Kは107以下であれば良い。
【0128】
今回の場合は、左辺はK=dVa/dtであり、今、印加する電圧は500V(符号は負であるがここではその大きさについて議論する)であるから、傾斜を決める時間Tcは以下の条件を満足すれば良い。
500/Tc < 107
Tc > 500×10-7
Tc > 5×10-5=50μsec
このように作成された駆動波形Pで帯電評価を行った。その結果、帯電器1の寿命は千時間近くと更に向上した。
(比較例2)
実施例10とすべて同じ条件で作成、その傾斜を5×107(V/sec)とした。
【0129】
その結果、寿命は10時間と低減し、実用レベルではないことが分かった。
(比較例3)
実施例10とすべて同じ条件で作成、その傾斜を5×108(V/sec)とした。
【0130】
その結果、寿命は5時間と低減し、実用レベルではないことが分かった。
(比較例4)
実施例10とすべて同じ条件で作成、その傾斜を1×106(V/sec)とした。
【0131】
寿命は2千時間と上昇し、実用レベルであることが分かった。
(実施例11)
帯電器1の構成等は実施例9に示したものと同じであり、ここではその駆動方法のみ記述する。パルスに傾斜を付けるのは実施例11に示したものと、同等にしK=5×106(V/sec)とした。また、図16に示すようにパルスとパルスとの間隔を100μsecとした。
【0132】
すなわち、下記の条件を満足させるものとした。
T1 < 10-5/S1
S1:被帯電体対する帯電器の相対速度(m/sec)
T1:パルスの間隔 (sec)
今回は10cpm(A4版を1分間に10枚)程度の複写機を考え、被帯電体の速度を80mm/sec(8×10-2m/sec)とした。ここで、上式の左辺は
左辺=10-5/S1=10-5/8×10-2=1.25×10-4(sec)
となり、
右辺=T1 < 10-4(sec) = 125(μsec)
つまり、この条件では、パルス間隔を125μsec以下にすることによって、むらを低減することができる。本実施例ではパルス間隔を100μsecにした。
【0133】
この条件で帯電むらの評価を行う。これは通常の複写機のハーフトーン画像において、観察することができる。結果、帯電むらが無いことが確認された。
(比較例5)
実施例11と同じ条件で、パルス間隔を200μsecとした。その結果、若干の帯電むらが観測された。
(比較例6)
実施例11と同じ条件で、パルス間隔を125μsecとした。結果、かなり程度はいいが帯電むらが観測された。
(比較例7)
実施例11と同じ条件で、パルス間隔を400μsecとした。結果、帯電むらが観測された。
(比較例8)
実施例11に準じ、印加電圧を−800Vとした。図13からこの電圧では放電が起きる可能性があり、予想通り、若干の帯電むらを観測した。
(比較例9)
実施例11に準じ、印加電圧を−1000Vとした。図13からこの電圧では放電が起きる可能性があり、予想通り、帯電むらを観測した。
【0134】
下記の表はその実験結果の一覧表である。
【0135】
【表1】
【0136】
−:未評価
寿命:特性値が半減した時間をさす
むら:ハーフトーン画像での目視評価
【0137】
【発明の効果】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、カーボンナノチューブCNT1本に流れる電流量を制限すると共に、CNTの密度と帯電器の総抵抗を制限したので、CNTに多く電流が流れ、劣化することなく、帯電器の寿命が伸びる。
【0138】
請求項3に記載の発明によれば、段階的に帯電を施すことで、それぞれの段階での電位差は低減できる。電位差を制限できることで、電流値も制限が自動的にできることになる。抵抗で制限する方法と、電圧で制限する方法とを併用することにより、確実にCNTの劣化を防ぐことができる。
【0139】
請求項4に記載の発明によれば、ブレード型にすることで、接触する部分と非接触部分が自然に形成される。この非接触部分では被帯電体と帯電器との距離が数ミクロン以下となり、適当なギャップを非常に簡便に形成できる。
【0140】
また、帯電器表面をブラシ状にすることで、帯電器表面の面積が格段に向上することになる。これにより、被帯電体の単位面積あたり対するCNTの本数を増加することができる。CNTの本数が増加することで、1本に流れる電流量を低減でき、劣化を防ぐことができる。
【0141】
請求項5、6に記載の発明によれば、ローラー形状とすることで、被帯電体とは接触していない部分ができ、その部分で、表面研磨およびクリーニングをすることで、常に未劣化のCNTを選択的突出することができる。これにより、帯電器の寿命を延ばすことができる。
【0142】
請求項7に記載の発明によれば、感光体にダメージを与えない帯電方式であり、低コスト化を図ることができると共に、オゾン、NOx等の発生を極めて少ない長寿命で信頼性の高い帯電器を搭載した画像形成装置を提供できる。
【0143】
請求項8に記載の発明によれば、画像形成装置の寿命を決定している主要素である感光体の劣化を避けることができ、感光体を用いずに直接静電潜像を形成することにより、画像形成装置の長寿命化、低コスト化を図ることができる。
【0144】
請求項10に記載の発明によれば、パルス駆動させることにしたので、同時に全てのCNTに電流が流れるように同期を合わせることができることになり、かつ、外部抵抗によりCNTの各1本に流れる電流値を規定することにしたので、更にCNTの劣化を防止でき、これにより、長期にわたり安定した帯電を施すことができる。
【0145】
請求項11に記載の発明によれば、パルスの駆動波形の傾斜を規定することによって、大電流が流れるのを防止でき、CNTの劣化が抑えられる。
【0146】
請求項12に記載の発明によれば、CNTの各1本に流れる電流値を規定したので、更にCNTの劣化を防止できる。
【0147】
請求項13に記載の発明によれば、パルス間隔を十分に小さくすることによって、帯電していない領域をなくすことが可能になり、帯電むらの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態1の実施例1の帯電器の概要を示す図である。
【図2】 発明の実施の形態1の実施例2の画像形成装置の概要を示す図である。
【図3】 発明の実施の形態1の実施例2の帯電器の概要を示す図である。
【図4】 発明の実施の形態1の実施例2の被帯電体の要部部分拡大断面図である。
【図5】 発明の実施の形態1の実施例5の帯電器の要部拡大断面図である。
【図6】 発明の実施の形態1の実施例6の帯電器の概要を示す図である。
【図7】 発明の実施の形態1の実施例7の画像形成装置の概要を示す図である。
【図8】 発明の実施の形態1の実施例7の帯電器の概要を示す図である。
【図9】 発明の実施の形態1の実施例8の帯電器の概要を示す図である。
【図10】 CNTに加わる印加電圧とCNTの劣化との関係を説明するための等価回路図であって、(a)はCNTに均等に電圧が印加されている場合の説明図を示し、(b)はCNTの一部にのみ電圧が印加されている場合の説明図を示す。
【図11】 CNTに加わる印加電圧の駆動波形の説明図であって、三角波(鋸歯)状の駆動波形を示す図である。
【図12】 被帯電体と帯電器との距離に対する被帯電体の表面電位の変化をプロットした図である。
【図13】 印加電圧に対する被帯電体の表面電位の関係を示す説明図であって、CNTの帯電特性を示す図である。
【図14】 発明の実施の形態2の実施例9のパルス状の駆動波形を示す図である。
【図15】 発明の実施の形態2の実施例10の鋸刃状の駆動波形を示す図である。
【図16】 発明の実施の形態2の実施例11の鋸刃状の駆動波形を示す図であって、鋸刃状駆動波形の発生間隔を密にした状態を示す図である。
【符号の説明】
1…帯電器
3…被帯電体
4…CNT
Rb…外部電圧
E(Va)…印加電圧
Claims (13)
- 被帯電体に対向する帯電器表面にカーボンナノチューブが保持され、電界放出を介して帯電を施す帯電器において、カーボンナノチューブ1本当たりに流れる電流量(電流の単位はA)はカーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流の単位はA)以下であり、前記カーボンナノチューブの密度C1(本/cm2)及び抵抗Rbが以下の条件を満たすことを特徴とする帯電器。
C1×Rb > Va/カーボンナノチューブ1本に対するCNT破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)
Va:被帯電体にかける帯電電位差(V)
Rb:帯電する単位面積当たりに対する帯電の回路にかかる総抵抗値(Ωcm2) - 前記カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値を10-12 A以下としたことを特徴とする請求項1に記載の帯電器。
- 請求項1又は請求項2に記載の帯電器において、被帯電体に対して段階的に電圧を上昇させることを特徴とする帯電器。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の帯電器において、帯電器本体の形状がブレード型又はブラシ型であることを特徴とする帯電器。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の帯電器において、帯電器本体の表面を研磨する研磨部材を有することを特徴とする帯電器。
- 請求項5に記載の帯電器において、帯電器本体の形状がローラー型であることを特徴とする帯電器。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の帯電器を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1又は請求項2に記載のカーボナノチューブを備えた帯電器を用いて、被帯電体に電圧を直接印加して静電潜像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 被帯電体に対向する帯電器表面にカーボンナノチューブが保持され、電界放出を介して帯電を施し、カーボンナノチューブ1本当たりに流れる電流量(電流の単位はA)はカーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流の単位はA)以下であり、カーボンナノチューブの密度C1(本/cm2)及び抵抗Rbが以下の条件を満たすもとで、駆動電圧をパルス状に印加するようにしたことを特徴とする帯電器の帯電方法。
C1×Rb > Va/カーボンナノチューブ1本に対するCNT破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)
Va:被帯電体にかかる電位差(印加電圧)(V)
Rb:帯電する単位面積当たりに対する帯電の回路にかかる総抵抗値(Ωcm2) - 請求項9に記載の帯電器の帯電方法において、パルスの立ち上がりに傾斜を付けた駆動波形で帯電させることを特徴とする帯電器の帯電方法。
- 請求項10に記載の帯電器の帯電方法において、前記駆動波形の傾斜が以下の式を満足することを特徴とする帯電器の帯電方法。
K < C1×カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値(電流値の単位はA)/Ca
Ca:被帯電体の単位面積当たりの容量(C/cm2)
K=dVa/dt:傾斜(単位時間当たりの電圧増加率) - 請求項9又は請求項11に記載の帯電器の帯電方法において、前記カーボンナノチューブ1本に対するカーボンナノチューブ破壊を回避するための電流値を10-12 A以下としたことを特徴とする帯電器の帯電方法。
- 請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の帯電器の帯電方法において、前記パルスの間隔が以下の条件を満たすことを特徴とする帯電器の帯電方法。
カーボンナノチューブの電界放出可能距離>被帯電体の帯電が必要な距離=T1*S1
S1:被帯電体対する帯電器の相対速度(m/sec)
T1:パルスの間隔(sec)
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