JP5043642B2 - 回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電源と負荷との間の給電路に挿入される回路遮断器に関するものである。
従来から、直流電源から負荷(直流負荷)への電路に介在される回路遮断器としては、直流電源の高電位側と低電位側との両方で電路を遮断する両切り形のものが提案されている。例えば、特許文献1には、ケース内に、第1固定接点を備える第1固定接触子と、第2固定接点を備える第2固定接触子と、消弧装置と、ハンドルの操作によって第1固定接点と第1可動接点とを並びに第2固定接点と第2可動接点とを開閉操作する開閉機構部と、バイメタルからなる異常電流検出部とを備えたものが開示されており、このような両切り形の回路遮断器によれば、直流電源と負荷とを電気的に完全に切り離すことができる。
特開平10−154448号公報(特に、段落〔0014〕〜〔0019〕、および図1,2参照)
ところで、直流電源は、時間により高電位側と低電位側とが入れ替わる交流電源とは異なり、高電位側と低電位側とが入れ替わることがない。そして、直流電源を電源とする負荷には、直流電源の高電位側に接続される端子と、低電位側に接続される端子とが設けられており、これらの端子間に印加される電圧によって負荷が動作する。
ここで、上述した回路遮断器に負荷を接続する際に、負荷の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線(誤接続)をしてしまった場合には、直流電源の高電位側に接続されるべき端子が低電位側に、直流電源の低電位側に接続されるべき端子が高電位側に接続されることになる。この場合、負荷の端子間に逆電圧が印加されることになり、これによって負荷にストレスがかかって、負荷が破壊されてしまうおそれがあった。
また、従来の回路遮断器では、絶縁被覆電線を用いて負荷との接続を行っており、回路遮断器には、絶縁被覆電線を接続するための電線接続端子が設けられている。この種の電線接続端子としては、ねじ端子や、速結端子などが従来から提供されているが、当該電線接続端子に絶縁被覆電線を接続するにあたっては、絶縁被覆電線の被覆部を剥がして芯線を所定寸法だけ露出させる必要があるため、接続作業が容易に行うことができなかった。さらに、絶縁被覆電線を回路遮断器の端子から取り外した際には、極が異なる芯線同士が接触する危険性もあった。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、誤結線を防止することができ、また接続作業が容易に行える回路遮断器を提供することにある。
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、直流電源に接続される一次側接続部、および開閉手段を介して一次側接続部に接続された二次側接続部を具備した器体と、器体に変位自在に取り付けられた手動操作用の操作ハンドルを具備し当該操作ハンドルの操作に応じて開閉手段を開閉する開閉機構部と、一次側接続部と二次側接続部との間に過電流が流れた際に開閉手段を釈放させる引外し装置とを備え、二次側接続部は、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線が個別に接続可能な一対の電線接続端子を有した電線接続部を有するとともに、直流電力の供給に用いられる直流接続線が接続される給電用コネクタを少なくとも1つ有し、給電用コネクタは、信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、信号伝送用の接続線と当該接続線に対応するコネクタとの接続形態が一義に定まる点に着目して、給電用コネクタの形状を信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状としているので、給電用コネクタに直流接続線を接続する際に逆接続が起こることがないから、負荷の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線(誤接続)を防止することができ、さらに、信号伝送用の接続線に対応するコネクタには、一般的な交流電力の供給に用いられる交流接続線を接続することができないから、交流接続線を直流接続線と間違って接続してしまうという誤結線も防止することができる。その上、信号伝送用の接続線と当該接続線に対応するコネクタとの接続信頼性は、電線を直接的に接続するものに比べれば高いから、接続信頼性の向上が図れるとともに、接続作業が容易になる。
請求項1の発明は、給電用コネクタの形状が信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状であるから、負荷の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線(誤接続)だけではなく、交流接続線を直流接続線と間違って接続してしまうという誤結線も防止することができ、その上、接続作業が容易になるという効果を奏する。
本発明の一実施形態の回路遮断器は、図1および図2に示すように、絶縁性を有する樹脂材料(一例としてはフェノール樹脂)により形成された樹脂成形品からなる器体1を備えている。なお、以下の説明では、説明の簡略化のために、器体1の高さ方向(図2における矢印ab方向)を器体1の上下方向として説明する。
器体1の長手方向一端側(図2における矢印c方向側)には、直流電源(図示しない)に接続するための図示しない一対の導電バー(直流電源の高電位側および低電位側それぞれに接続される一対の導電バー)が差込可能な一対のスリット10が上下方向に離間する形で形成されている。器体1には、一対のスリット10それぞれに差し込まれた導電バーを接触保持する一対の刃受け(図示せず)が収納されており、この一対の刃受けによって、直流電源に接続される1次側接続部(電源接続部)2が構成されている。
器体1の長手方向他端側(図2における矢印d方向側)の側面における上端側(図2における矢印a方向側)には、芯線90を絶縁材料からなる被覆部91で覆ってなる絶縁被覆電線9(図3参照)用の電線挿入孔11が器体1の幅方向(図2における矢印ef方向)において2つ並ぶ形に設けられている。電線挿入孔11は、円形状に開口している。
器体1内には、図3に示すように、電線挿入孔11から器体1内に挿入された絶縁被覆電線9を狭持する一対の接触子(コンタクト)40,41が収納されている。一方の接触子40は、金属製材料により、絶縁被覆電線9の器体1への挿入方向を軸方向とする角筒状に形成されている(以下、必要に応じて一方の接触子40を他方の接触子41と区別するために、「筒状接触子」と称する)。この筒状接触子40の一壁面(図3における上壁面)には、ねじ孔40aが開口され、筒状接触子40の内側面においてねじ孔40aと対向する部位には、絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通可能(突き破ることができる)程度に先尖な円錐形に形成された接触突起40bが突設されている。
他方の接触子41は、接触子40のねじ孔40aに螺着可能なねじ状に形成されている(以下、必要に応じて接触子41を筒状接触子40と区別するために、「ねじ状接触子」と称する)。ねじ状接触子41のねじ部41aの先端部には、絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通可能な程度に先尖な円錐形状の接触部41cが形成されている。このようなねじ状接触子41のねじ頭41bは、器体1の上面に形成された開孔部12より器体1外部に露出され、これによって、ドライバなどを用いてねじ状接触子41を回転(つまりねじ締めあるいはねじ緩め)が行えるようにしている。なお、ねじ頭41bは器体1外部に露出するから、ねじ状接触子41としては、ねじ頭41bを絶縁材料で、ねじ部41aおよび接触部41cを金属材料で形成することが好ましい。
このようなねじ状接触子41は、回動可能ではあるが、回動によって進退しない(器体1の上下方向において移動しない)ように器体1に取り付けられる。一方、筒状接触子40は、器体1の内側面に当接することで回動が抑制された状態で器体1内に収納されており、ねじ状接触子41を回動させることによって、器体1の上下方向に移動可能としている。したがって、ねじ状接触子41をドライバなどで回転させることによって、筒状接触子40とねじ状接触子41とが接離する。
このような一対の接触子40,41によって、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線9が個別に接続可能な一対の電線接続端子4aを有した電線接続部3Aが構成されている。
ここで、電線接続端子4aに絶縁被覆電線9を接続するにあたっては、絶縁被覆電線9を電線挿入孔11より器体1内に挿入した後に、絶縁被覆電線9をねじ状接触子41により締め付ければよい。つまり、ドライバなどを用いてねじ状接触子41を回動させれば、ねじ状接触子41の回動に伴って、筒状接触子41が器体1の上側(図2における矢印a方向側)に移動し、これによってねじ状接触子41の接触部41cと筒状接触子41の接触突起40bとが接近する。このように筒状接触子40がねじ状接触子41に接近していくと、筒状接触子40の接触突起40bおよびねじ状接触子41の接触部41cそれぞれが絶縁被覆電線9の被覆部91に食い込んでいき、やがて被覆部91を貫通して、芯線90に接触する。これによって、一対の接触子40,41と絶縁被覆電線9とが電気的に接続される。なお、絶縁被覆電線9を外す場合には、ねじ状接触子41による絶縁被覆電線9の締め付けを緩めて、筒状接触子41を器体1の下側(図2における矢印b方向側)に移動させ、これによってねじ状接触子41の接触部41cと筒状接触子41の接触突起40bとを離間させればよい。
従来から提供されているねじ端子や、速結端子などでは、絶縁被覆電線9を接続するにあたり、被覆部91を剥がして芯線90を露出させる必要があるため、絶縁被覆電線9を取り外した際には、極が異なる芯線90同士が接触することがあったが、上述した電源接続部3Aによれば、絶縁被覆電線9の被覆部91を剥がして芯線90を露出させなくても、絶縁被覆電線9を電線接続端子4aに接続することができるから、絶縁被覆電線9を電線接続端子4aから取り外した際に、極が異なる絶縁被覆電線9の芯線90同士が接触するおそれがない。また、絶縁被覆電線9を電線接続端子4aに接続した状態では、接触子40,41が絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通しているから、絶縁被覆電線9の抜止を図ることができる。また、接触子40,41は、器体1内に配置されているから、埃などによる短絡などの不具合の発生を防止することができる。なお、図示例では、一対の接触子40,41の両方とも絶縁被覆電線9との接触部分が絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通可能な形状に形成されているが、必ずしも一対の接触子40,41の両方の上記接触部分を、被覆部91を貫通可能な形状にする必要はなく、一対の接触子40,41の少なくとも一方の上記接触部分が被覆部91を貫通可能な形状であればよい。
器体1の長手方向他端側(図2における矢印d方向側)の側面における一対の電線挿入孔11の下端側(図2における矢印b方向側)には、直流電力の供給に用いられる直流接続線(直流給電線)に設けられたプラグに対応する形の凹形状に形成された3つのプラグ差込部13,14,15が設けられている。ここで、プラグ差込部13,14,15は、器体1の上下方向に所定間隔を隔てて並んでいる(図示例では、プラグ差込部13の下側にプラグ差込部14が位置し、プラグ差込部14の下側にプラグ差込部15が位置している)。
プラグ差込部13は、図示しないモジュラ・ケーブル(一例としてはLANケーブル)のモジュラ・プラグを差込可能な形状に形成されている。器体1内には、プラグ差込部13に差し込まれたモジュラ・プラグとの電気的接続に用いられるコンタクト50がプラグ差込部13内に露出する形で収納され、これによって、モジュラ・プラグを接続するモジュラ・ジャックとなる給電用コネクタ5(以下、必要に応じて符号5Aで表す)が構成されている。つまり、給電用コネクタ5Aは、信号伝送用の接続線(本実施形態の場合はモジュラ・ケーブル)に対応するコネクタの規格に準拠した形状であり、この給電用コネクタ5Aに接続される直流接続線としては、モジュラ・ケーブルの規格に準拠したものが採用される。なお、モジュラ・ケーブルは、上記のLANケーブルに限定されるものではなく、電話線などその他の種々のものを採用することができ、給電用コネクタ5Aの形状は、採用するモジュラ・ケーブルのモジュラ・プラグの規格(種類)に応じて適宜変更すればよい。
プラグ差込部14は、図示しないUSBケーブルのプラグ(一例としてはA端子)を差込可能な形状に形成されている。器体1内には、プラグ差込部14に差し込まれたUSBケーブルの端子との電気的接続に用いられるコンタクト51がプラグ差込部14内に露出する形で収納され、これによって、USBレセプタクル(USBコネクタ)からなる給電用コネクタ5(以下、必要に応じて符号5Bで表す)が構成されている。つまり、給電用コネクタ5Bは、信号伝送用の接続線(本実施形態の場合はUSBケーブル)に対応するコネクタの規格に準拠した形状であり、この給電用コネクタ5Bに接続される直流接続線としては、USBケーブルの規格に準拠したものが採用される。なお、USBケーブルの端子は、上記のA端子(いわゆるオス端子)に限定されるものではなく、B端子(いわゆるメス端子)や、ミニA端子、ミニB端子などその他のものを採用することができ、給電用コネクタ5Bの形状は、採用するUSBケーブルの端子の規格(種類)に応じて適宜変更すればよい。
プラグ差込部15は、図示しないピン・ケーブルのピン・プラグ(RCA端子ともいう)を差込可能な形状に形成されている。器体1内には、プラグ差込部15に差し込まれたピン・プラグとの電気的接続に用いられるコンタクト52がプラグ差込部15内に露出する形で収納され、これによって、ピン・プラグを接続するピン・ジャックとなる給電用コネクタ5(以下、必要に応じて符号5Cで表す)が構成されている。つまり、給電用コネクタ5Cは、信号伝送用の接続線(本実施形態の場合はピン・ケーブル)に対応するコネクタの規格に準拠した形状であり、この給電用コネクタ5Cに接続される直流接続線としては、ピン・ケーブルの規格に準拠したものが採用される。なお、ピン・プラグは、上記のRCA端子に限定されるものではなく、その他のものを採用することができ、給電用コネクタ5Cの形状は、採用するピン・プラグの規格(種類)に応じて適宜変更すればよい。
上述したように、器体1の長手方向他端側(図2における矢印d方向側)には、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線9が個別に接続可能な一対の電線接続端子4aを有した電線接続部4と、直流電力の供給に用いられる3種類の直流接続線それぞれが接続される3種類の給電用コネクタ5A〜5Cとが設けられており、これら電線接続部4と3種類の給電用コネクタ5A〜5Cとによって、二次側接続部3が構成されている。なお、給電用コネクタ5A〜5Cそれぞれは、電線接続部4に並列接続されている。
このように器体1には、一次側接続部2と、二次側接続部3とが具備され、二次側接続部3は、開閉手段6を介して一次側接続部2に接続されている。ここで、開閉手段6は、例えば、器体1に固定された固定接点(図示せず)と、当該固定接点に接離する可動接点(図示せず)とで構成された機械接点からなる。なお、開閉手段6としては、MOSFETなどの半導体スイッチング素子を用いたものや、半導体スイッチング素子と機械接点とを併用したハイブリッド形のものであってもよい。
また、器体1には、器体1に変位自在(一例としては回動自在)に取り付けられた手動操作用の操作ハンドル7aを具備し当該操作ハンドルの操作に応じて開閉手段6を開閉する開閉機構部7と、一次側接続部2と二次側接続部3との間に過電流が流れた際に開閉手段6を釈放させる引外し装置8とが収納されている。
開閉機構部7は、開閉手段6の固定接点が固着された固定端子板や、開閉手段6の可動接点が固着された可動接触子、ばね材、係止部材などを機械的に結合することによって構成されており、手動操作用の操作ハンドル7aの操作に応じて開閉手段6の開閉を行う。なお、器体1には、図2に示すように、操作ハンドル7aを外部に露出させるための開孔部16が設けられている。
引外し装置8は、過電流を検出した際に、開閉機構部7により開閉手段6を強制的に開放させるものであって、例えば、筒状のコイルボビン、コイルボビンの外周面に巻装されたコイル、コイルボビン内の軸方向一端側に設けられた固定鉄芯、コイルボビン内の軸方向他端側に軸方向にスライド移動自在に設けられた可動鉄芯(プランジャ)、固定鉄芯と可動鉄芯との間に介装されるコイルスプリングからなる復帰ばねなどを備えた電動トリップ装置や、バイメタルなどを備えている。このような引外し装置8では、短絡電流が流れた際に、可動鉄芯が固定鉄芯側に移動し、これによって開閉手段6の可動接点を固定接点から引外したり、過負荷電流が流れた際に、バイメタルが曲がり、これによって開閉手段6の可動接点を固定接点から引外したりするようになっている。なお、上述した開閉機構部7や、引外し装置8は、従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
以上述べたように、本実施形態の回路遮断器は、直流電源に接続される一次側接続部2、および開閉手段6を介して一次側接続部2に接続された二次側接続部3を具備した器体1と、器体1に変位自在に取り付けられた手動操作用の操作ハンドル7aを有し当該操作ハンドル7aの操作に応じて開閉手段6を開閉する開閉機構部7と、一次側接続部2と二次側接続部3との間に過電流が流れた際に開閉手段6を釈放させる引外し装置8とを備えている。そして、二次側接続部3は、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線9が個別に接続可能な一対の電線接続端子4aを有した電線接続部4と、直流接続線が接続される3種類の給電用コネクタ5A〜5Cを有しており、これら給電用コネクタ5は、信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状である。
そして、このような回路遮断器によれば、信号伝送用の接続線と当該接続線に対応するコネクタとの接続形態が一義に定まる点に着目して、給電用コネクタ5の形状を信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状としているので、給電用コネクタ5に直流接続線を接続する際に逆接続が起こることがないから、負荷の高電位側と低電位側とを逆に接続するという誤結線(誤接続)を防止することができ、さらに、信号伝送用の接続線に対応するコネクタには、一般的な交流電力の供給に用いられる交流接続線(交流供給線)を接続することができないから、交流接続線を直流接続線と間違って接続してしまうという誤結線も防止することができ、DC配線を容易に行うことができる。また、給電用コネクタ5に接続される直流接続線は、信号伝送用の接続線の規格に準拠したものを採用するから、異なる極同士が接触することはない。
その上、信号伝送用の接続線と当該接続線に対応するコネクタとの接続信頼性、すなわち情報通信など種々の信号の伝送に用いられる接続線のプラグと、当該プラグに対応するジャック(レセプタクル)との接続信頼性は、電線を直接的に接続するものに比べれば高いから、直流接続線と給電用コネクタとの間の接続信頼性の向上が図れるとともに、接続作業が容易になり、しかも、一次側接続部2に接続された機器と二次側接続部3に接続された機器との間で通信が行えるようになる。
上述したような本実施形態の直流開閉器は、例えば、図4に示すような直流配電システムにおける後述の直流ブレーカ114として用いられる。
図4では、直流配電システムを設置する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明しているが、集合住宅に適用してもよい。
図4に示す家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する前述の直流ブレーカ114が設けられる。
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
上述した本実施形態の回路遮断器はあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲を本実施形態の構成に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。例えば、二次側接続部3は、給電用コネクタ5A〜5Cの全てを有している必要はなく、少なくとも1つの給電用コネクタ5を有していればよい。なお、二次側接続部3に複数の給電用コネクタ5を設けるにあたっては、複数の給電用コネクタ5は同種のものであってもよいし、異種のものでもよい。
ところで、本発明の回路遮断器の別の実施形態としては、二次側接続部3に電線接続部4のみが設けられたものが考えられる。つまり、当該別の実施形態の回路遮断器は、直流電源に接続される一次側接続部2、および開閉手段6を介して一次側接続部2に接続された二次側接続部3を具備した器体1と、器体1に変位自在に取り付けられた手動操作用の操作ハンドル7aを有し当該操作ハンドル7aの操作に応じて開閉手段6を開閉する開閉機構部7と、一次側接続部2と二次側接続部3との間に過電流が流れた際に開閉手段6を釈放させる引外し装置8とを備え、二次側接続部3は、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線9が個別に接続可能な一対の電線接続端子4aを有した電線接続部を備え、電線接続端子4aは、器体1に設けられた絶縁被覆電線9用の電線挿入孔11から器体9内に挿入された絶縁被覆電線9を狭持する一対の接触子40,41を有し、少なくとも一方の接触子40,41における絶縁被覆電線9との接触部分が、絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通可能な形状に形成されたものである。
このような回路遮断器によれば、絶縁被覆電線9の被覆部91を剥がして芯線90を露出させなくても、絶縁被覆電線9を電線接続端子4aに接続することができるから、接続作業を容易に行うことができ、しかも絶縁被覆電線9を電線接続端子4aから取り外した際に、極が異なる絶縁被覆電線9の芯線90同士が接触するおそれがないから、負荷の端子同士が短絡されることによって負荷が破壊されることを防止できる。また、絶縁被覆電線9を電線接続端子4aに接続した状態では、接触子40,41が絶縁被覆電線9の被覆部91を貫通しているから、絶縁被覆電線9の抜止を図ることができる。また、一対の接触子40,41は、器体1内に配置されているから、埃などによる短絡などの不具合の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態の回路遮断器の回路説明図である。 同上の回路遮断器の概略説明図である。 同上の回路遮断器の部分断面図である。 同上の回路遮断器を使用する直流配電システムの概略説明図である。
符号の説明
1 器体
2 一次側接続部
3 二次側接続部
4 電線接続部
4a 電線接続端子
5(5A〜5C) 給電用コネクタ
6 開閉手段
7 開閉機構部
7a 操作ハンドル
8 引外し装置
9 絶縁被覆電線
11 電線挿入孔
40 接触子(筒状接触子)
41 接触子(ねじ状接触子)
90 被覆部

Claims (1)

  1. 直流電源に接続される一次側接続部、および開閉手段を介して一次側接続部に接続された二次側接続部を具備した器体と、器体に変位自在に取り付けられた手動操作用の操作ハンドルを具備し当該操作ハンドルの操作に応じて開閉手段を開閉する開閉機構部と、一次側接続部と二次側接続部との間に過電流が流れた際に開閉手段を釈放させる引外し装置とを備え、
    二次側接続部は、高電位側および低電位側それぞれに対応する絶縁被覆電線が個別に接続可能な一対の電線接続端子を有した電線接続部を有するとともに、直流電力の供給に用いられる直流接続線が接続される給電用コネクタを少なくとも1つ有し、
    給電用コネクタは、信号伝送用の接続線に対応するコネクタの規格に準拠した形状であることを特徴とする回路遮断器
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