図1は、本発明の実施形態に係る貼り付け基板用製造装置20の概略構成図である。この製造装置20は、液晶又は有機EL用カラーフィルタ等の製作工程で、長尺状感光性ウエブ(長尺状ウエブ)22の感光性樹脂層29(後述する)をガラス基板24に熱転写する作業を行う。
図2は、製造装置20に使用される感光性ウエブ22の断面図である。この感光性ウエブ22は、可撓性ベースフイルム(フイルム)26、クッション層(熱可塑性樹脂層)27、中間層(酸素遮断膜)28、感光性樹脂層29及び保護フイルム30を積層して構成される。なお、感光性ウエブ22は、ベースフイルム26、感光性樹脂層29及び保護フイルム30により構成されていてもよい。
ベースフイルム26は、ポリエチレンテレフタレート(PET)で形成され、クッション層27は、エチレンと酸化ビニル共重合体で形成され、中間層28は、ポリビニルアルコールで形成され、感光性樹脂層29は、アルカリ可溶性バインダとモノマーと光重合開始材と着色剤を含む着色感光性樹脂組成物で形成され、保護フイルム30は、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等で形成される。
図1に示すように、製造装置20は、感光性ウエブ22をロール状に巻回した感光性ウエブロール22aを収容し、この感光性ウエブロール22aから前記感光性ウエブ22を送り出すウエブ送り出し機構32と、送り出された前記感光性ウエブ22の保護フイルム30に、幅方向に切断可能なハーフカット部位34を形成するハーフカット機構36と、一部に非接着部38aを有する接着ラベル38(図3参照)を保護フイルム30に接着させるラベル接着機構40とを備える。
ラベル接着機構40の下流には、感光性ウエブ22をタクト送りから略連続送りに変更するためのリザーバ機構42と、前記感光性ウエブ22から保護フイルム30を所定の長さ間隔で剥離させる保護フイルム剥離機構44と、ガラス基板24を所定の温度に加熱した状態で貼り付け位置に搬送する加熱機構45と、前記保護フイルム30の剥離により露出した感光性樹脂層29を前記ガラス基板24に貼り付ける貼り付け機構46とが配設される。なお、貼り付け機構46によりガラス基板24に感光性ウエブ22が貼り付けられた積層体を、以下、貼り付け基板24aという。
貼り付け機構46における貼り付け位置の上流近傍には、感光性ウエブ22の境界位置であるハーフカット部位34を直接検出する検出機構47が配設されるとともに、前記貼り付け機構46の下流には、各ガラス基板24間の前記感光性ウエブ22を切断する基板間ウエブ切断部48を組み込む不良フイルム廃棄機構50が配設される。
ハーフカット機構36は、ウエブ送り出し機構32に収容巻回されている感光性ウエブロール22aのロール径を算出するためのローラ対51の下流に配置される。ハーフカット機構36は、感光性ウエブ22の搬送方向(矢印A方向)に直交する方向に進退自在なスライド台52を備える。このスライド台52には、回転丸刃(カッタ)54が固着されるとともに、前記回転丸刃54に対向する位置には、感光性ウエブ22を挟んでカット受台56が配設される。
図2に示すように、ハーフカット部位34は、少なくとも保護フイルム30を切断する必要があり、実際上、この保護フイルム30を確実に切断するために感光性樹脂層29乃至中間層28まで切り込むように、回転丸刃54の切り込み深さが設定される。
ハーフカット部位34は、ガラス基板24の間隔を設定するものであり、例えば、両側の前記ガラス基板24にそれぞれ10mmずつ入り込んだ位置に設定される。ガラス基板24間のハーフカット部位34で挟まれた部分は、後述する貼り付け機構46において感光性樹脂層29を前記ガラス基板24に額縁状に貼り付ける際のマスクとして機能するものである。
ラベル接着機構40は、ガラス基板24間に対応して保護フイルム30の残存部分30bを残すため、剥離側前方の剥離部分30aaと剥離側後方の剥離部分30abとを連結する接着ラベル38を供給する。図2に示すように、保護フイルム30は、残存部分30bを挟んで、先に剥離される部分を前方の剥離部分30aaとする一方、後に剥離される部分を後方の剥離部分30abとする。
図3に示すように、接着ラベル38は、短冊状に構成されており、例えば、保護フイルム30と同一の樹脂材で形成される。接着ラベル38は、中央部に粘着剤が塗布されない非接着部(微粘着を含む)38aを有するとともに、この非接着部38aの両側、すなわち、前記接着ラベル38の長手方向両端部に、前方の剥離部分30aaに接着される第1接着部38bと、後方の剥離部分30abに接着される第2接着部38cとを有する。
図1に示すように、ラベル接着機構40は、最大7枚の接着ラベル38を所定間隔ずつ離間して貼り付け可能な吸着パッド58a〜58gを備えるとともに、前記吸着パッド58a〜58gによる前記接着ラベル38の貼り付け位置には、感光性ウエブ22を下方から保持するための受台59が昇降自在に配置される。
リザーバ機構42は、上流側の感光性ウエブ22のタクト搬送と、下流側の前記感光性ウエブ22の連続搬送との速度差を吸収するが、さらにテンション変動を防ぐために、揺動自在な2連のローラ60で構成されるダンサー61を備えることが好ましい。
保護フイルム剥離機構44は、リザーバ機構42の下流に配置されるとともに、サクションドラム62と、感光性ウエブ22を挟んでこのサクションドラム62に接する剥離ローラ64とを備える。剥離ローラ64を介して感光性ウエブ22から鋭角の剥離角で剥離される保護フイルム30は、残存部分30bを除いて保護フイルム巻き取り軸66に巻き取られる。保護フイルム巻き取り軸66は、保護フイルム30に所定のテンションを付与するために、例えば、トルクモータ68に連結される。
保護フイルム剥離機構44の下流側には、感光性ウエブ22にテンションを付与可能なテンション制御機構76が配設される。テンション制御機構76は、シリンダ78を備え、このシリンダ78の駆動作用下に、テンションピックアップローラ80が揺動変位することにより、このテンションピックアップローラ80が摺接する感光性ウエブ22のテンションが調整可能である。なお、テンション制御機構76は、必要に応じて使用すればよく、削除することもできる。
検出機構47は、レーザセンサやフォトセンサ等の光電センサ82を備えており、前記光電センサ82は、ハーフカット部位34の楔状の溝形状部や、保護フイルム30の厚さによる段差、あるいは、これらの組み合わせによる変化を直接検出し、この検出信号を境界位置信号とする。光電センサ82は、バックアップローラ83に対向して配置される。
加熱機構45は、ガラス基板24を矢印C方向に搬送するための搬送機構84と複数の加熱炉86とを備え、この搬送機構84は、矢印C方向に配列される複数の樹脂製円板状搬送ローラ88を有する。
貼り付け機構46は、上下に配設されるとともに、所定温度に加熱されるラミネート用ゴムローラ110a、110bを備える。ゴムローラ110a、110bには、バックアップローラ112a、112bが摺接するとともに、前記バックアップローラ112bは、ローラクランプ部114を介してゴムローラ110b側に押圧される。
ゴムローラ110aの近傍には、感光性ウエブ22が前記ゴムローラ110aに接触することを防止するための接触防止ローラ116が配設される。この接触防止ローラ116は、図示しないアクチュエータを介して移動可能である。
貼り付け機構46と基板間ウエブ切断部48との間には、フイルム搬送ローラ118aと基板搬送ローラ118bとが配設されるとともに、前記基板間ウエブ切断部48の下流には、基板搬送ローラ118cが配設される。図4に示すように、基板間ウエブ切断部48は、感光性ウエブ22の幅方向に進退する走行カッタ120と、前記走行カッタ120による切断時に、該走行カッタ120を案内する上側走行ガイド122a及び下側走行ガイド122bとを備える。上側走行ガイド122a及び下側走行ガイド122bは、それぞれ昇降可能である。
基板間ウエブ切断部48は、貼り付け基板24aと同一の搬送速度で矢印C方向に移動しながら、前記貼り付け基板24a間で感光性ウエブ22を切断するために、矢印C方向に所定の距離だけ進退可能に構成される。
不良フイルム廃棄機構50は、図5に示すように、不良部分を含む感光性ウエブ22(以下、単に不良フイルム22bともいう)を切断する基板間ウエブ切断部48と、前記不良フイルム22bを廃棄ステーションDSに送り出す搬送部124と、前記不良フイルム22bの端部を把持し、該不良フイルム22bを前記搬送部124と連動して前記廃棄ステーションDSに移送する把持部126とを備える。
不良フイルム廃棄機構50は、図5〜図7に示すように、さらに廃棄ステーションDSに配置され、切断された不良フイルム22bを集積するとともに、前記廃棄ステーションDSから引き出し自在な不良フイルム集積箱(不良フイルム集積部)128と、前記廃棄ステーションDSから引き出された前記不良フイルム集積箱128に隣接して配置され、前記不良フイルム集積箱128に集積された前記不良フイルム22bを受け取る不良フイルム搬送台車130とを備える。
図4に示すように、搬送部124は、貼り付け基板24aの搬送路129上に配置され、不良フイルム22bをこの搬送路129から廃棄路131に送り出す第1ニップローラ132aと、前記廃棄路131上に配置され、該廃棄路131に沿って斜め方向に搬送されてくる不良フイルム22bを、鉛直下方向に搬送する第2ニップローラ132bと、前記第1ニップローラ132a及び前記第2ニップローラ132bに前記不良フイルム22bを案内するガイド板134とを備える。
第1ニップローラ132aは、基板間ウエブ切断部48と一体に矢印C方向に進退可能な駆動側ローラ136aと、シリンダ138に装着されて前記駆動側ローラ136aに対して斜め上方から進退可能な従動側ローラ136bとを備える。
第2ニップローラ132bは、同様に、駆動側ローラ140aと、シリンダ142を介して水平方向に沿って前記駆動側ローラ140aに進退可能な従動側ローラ140bとを備える。第2ニップローラ132bの下方には、不良フイルム22bの先端を検出するフイルム検出センサ144が配置される。
把持部126は、不良フイルム22bの端部を把持するグリッパー146を備える。このグリッパー146は、アクチュエータ148を介してそれぞれ互いに近接する方向及び離間する方向に旋回するアーム部150a、150bを備える。アーム部150a、150bの先端部には、爪部152a、152bが設けられる。
図5に示すように、グリッパー146は、可動台154に旋回アーム156を介して装着される。この旋回アーム156は、可動台154に対し回転アクチュエータ158を介して定角度、例えば110°だけ旋回可能であり、グリッパー146を廃棄ステーションDSの内方に向かって回転させる。なお、旋回アーム156には、複数、例えば、3基のグリッパー146が不良フイルム22bの幅寸法に対応して取り付けられる。
可動台154は、矢印C方向に延在する一対のガイドレール160上に進退自在に配置される。この可動台154は、例えば、モータ162に連結されるラック・ピニオン機構を介して搬送部124から廃棄ステーションDSの矢印C方向先端縁部まで往復動作可能である。
不良フイルム集積箱128は、図5〜図7に示すように、廃棄ステーションDSに設けられる基台164上に転動自在に載置される複数の車輪166と、引き出し方向(矢印D方向)先端部に一対の脚部168を介して回転自在に支持される車輪170とにより、矢印D方向に進退可能である。不良フイルム集積箱128は、廃棄ステーションDSから所定の距離だけ矢印D方向に引き出されると、図示しないストッパの作用下に、さらなる引き出し動作が規制されるように構成される。
不良フイルム集積箱128の内部には、複数のローラ172が回転自在に配設され、前記ローラ172の外周により不良フイルム22bを集積する不良フイルム集積面が構成される。
不良フイルム集積箱128を構成する枠板174は、少なくとも不良フイルム搬送台車130に対向する一面174aが、ヒンジ176を介して開閉自在に構成される。この一面174aには、一対の取手178が設けられる。枠板174の内壁には、帯電防止部材、例えば、帯電防止用樹脂ベルト180が固着される。
不良フイルム搬送台車130は、4つの車輪182によって走行自在であるとともに、箱状の集積部184を有する。集積部184には、複数のローラ186が回転自在に配設され、前記ローラ186の外周により不良フイルム22bを受け取る不良フイルム受け取り面が構成される。複数のローラ186の並列方向はは、不良フイルム集積箱128から離間する方向(矢印D方向)に向かって下方に傾斜するように設定される(図6及び図7参照)。
集積部184を構成する枠板188は、少なくとも不良フイルム集積箱128に対向する一面188aが、ヒンジ等を介して開閉自在に構成される。なお、一面188aは、常時開放されていてもよい。枠板188には、一面188aに対向する面側に取手189が設けられる。枠板188の内壁には、帯電防止部材、例えば、帯電防止用樹脂ベルト180が固着される。
図1に示すように、不良フイルム廃棄機構50の下流側には、搬送路129を構成する複数のローラ129aが配列される。搬送路129の矢印C方向(下流側)の端部には、図示しないが、冷却機構、ベースフイルム剥離機構及び検査機構等が配置される。
製造装置20では、ウエブ送り出し機構32、ハーフカット機構36、ラベル接着機構40、リザーバ機構42、保護フイルム剥離機構44、テンション制御機構76及び検出機構47が、貼り付け機構46の上方に配置されているが、これとは逆に、前記ウエブ送り出し機構32から前記検出機構47を前記貼り付け機構46の下方に配置し、感光性ウエブ22の上下が逆になって感光性樹脂層29がガラス基板24の下側に貼り付けされてもよく、また、前記製造装置20全体を直線上に構成してもよい。
製造装置20内は、仕切り壁190を介して第1クリーンルーム192aと第2クリーンルーム192bとに仕切られる。第1クリーンルーム192aには、ウエブ送り出し機構32からテンション制御機構76までが収容されるとともに、第2クリーンルーム192bには、検出機構47以降が収容される。第1クリーンルーム192aと第2クリーンルーム192bとは、貫通部194を介して連通する。
このように構成される製造装置20の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、ウエブ送り出し機構32に取り付けられている感光性ウエブロール22aから感光性ウエブ22が繰り出され、この感光性ウエブ22は、ハーフカット機構36に送られる。
ハーフカット機構36では、スライド台52が感光性ウエブ22の幅方向(搬送方向に直交する方向)に移動する。このため、回転丸刃54は、感光性ウエブ22のハーフカット部位34に所望の深さまで切り込んだ状態で、移動しながら回転する。これにより、感光性ウエブ22には、保護フイルム30から所望の深さに切り込んだハーフカット部位34が形成される(図2参照)。
ハーフカット処理された感光性ウエブ22は、図1に示すように、保護フイルム30の残存部分30bの寸法に対応して矢印A方向に搬送された後、一旦停止されて回転丸刃54の走行作用下に次なるハーフカット部位34が形成される。このため、感光性ウエブ22には、残存部分30bを挟んで前方の剥離部分30aaと後方の剥離部分30abとが設けられる(図2参照)。
さらに、感光性ウエブ22は、ラベル接着機構40に搬送されて、保護フイルム30の所定の貼り付け部位が受台59上に配置される。ラベル接着機構40では、所定枚数の接着ラベル38が吸着パッド58a〜58gにより吸着保持され、各接着ラベル38が保護フイルム30の残存部分30bを跨いで、前方の剥離部分30aaと後方の剥離部分30abとに一体的に接着される(図3参照)。
例えば、7本の接着ラベル38が接着された感光性ウエブ22は、図1に示すように、リザーバ機構42を介して送り出し側のテンション変動を防いだ後、保護フイルム剥離機構44に連続的に搬送される。
保護フイルム剥離機構44では、感光性ウエブ22がサクションドラム62と剥離ローラ64とに挟持されて、前記感光性ウエブ22のベースフイルム26が前記サクションドラム62に吸着保持されている。この状態で、サクションドラム62が回転されるとともに、保護フイルム30には、トルクモータ68を介して所定のトルクが付与されている。
従って、保護フイルム30は、残存部分30bを残して感光性ウエブ22から剥離され、剥離ローラ64を介して保護フイルム巻き取り軸66に巻き取られる。なお、剥離部位には、除電エアを吹き付けることが好ましい。
保護フイルム剥離機構44の作用下に、保護フイルム30が残存部分30bを残してベースフイルム26から剥離された後、感光性ウエブ22は、テンション制御機構76によってテンション調整が行われ、さらに検出機構47で光電センサ82によりハーフカット部位34の検出が行われる。
感光性ウエブ22は、ハーフカット部位34の検出情報に基づいて、運転開始時にはフイルム搬送ローラ118aの回転作用下に、その後は貼り付け基板24aを挟持する基板搬送ローラ118bの回転作用下に、貼り付け機構46に定量搬送される。その際、接触防止ローラ116が上方に待機するとともに、ゴムローラ110bが下方に配置されている。
一方、加熱機構45では、貼り付け機構46におけるラミネート温度に対応して各加熱炉86内の加熱温度が設定されている。ガラス基板24は、搬送機構84を構成する搬送ローラ88の回転作用下に、各加熱炉86に、順次、タクト搬送される。このガラス基板24は、感光性ウエブ22の感光性樹脂層29の貼り付け部分に対応してゴムローラ110a、110b間に一旦配置される。
この状態で、ローラクランプ部114を介してバックアップローラ112b及びゴムローラ110bを上昇させることにより、ゴムローラ110a、110b間にガラス基板24が所定のプレス圧力で挟み込まれる。さらに、ゴムローラ110aの回転作用下に、このガラス基板24には、感光性樹脂層29が加熱溶融により転写(ラミネート)される。
ここで、ラミネート条件としては、速度が1.0m/min〜10.0m/min、ゴムローラ110a、110bの温度が80℃〜150℃、前記ゴムローラ110a、110bのゴム硬度が40度〜90度、該ゴムローラ110a、110bのプレス圧(線圧)が50N/cm〜400N/cmである。
ゴムローラ110a、110bを介してガラス基板24に感光性ウエブ22の1枚分のラミネートが終了すると、前記ゴムローラ110aの回転が停止される。一方、ガラス基板24に感光性ウエブ22がラミネートされた貼り付け基板24aは、基板搬送ローラ118bによりクランプされる。そして、ゴムローラ110bは、ゴムローラ110aから離間する方向に退避してクランプが解除される。
これにより、一枚分のラミネート処理が終了し、次なるラミネート処理が開始されるまでの時間の中で、加熱機構45を介して所定の温度に加熱されたガラス基板24が、ゴムローラ110a、110b間に搬送されて配置されるとともに、前記ゴムローラ110aに摺接する感光性ウエブ22の微動送りが行われる。
ガラス基板24に感光性ウエブ22が貼り付けられた貼り付け基板24aは、矢印C方向に定量搬送される。そして、各ガラス基板24間の感光性ウエブ22が、基板間ウエブ切断部48を介して切断された貼り付け基板24aは、図示しない冷却機構で冷却された後、ベースフイルム剥離機構(図示せず)に搬送される。
ベースフイルム剥離機構では、貼り付け基板24aが保持された状態で、ベースフイルム26が、クッション層27から分離されて前記貼り付け基板24aから剥離される。ベースフイルム26が剥離された貼り付け基板24aは、積層体基板として検査機構に移送され、剥離状態の検査等が行われた後、次段の工程に払い出される。
この場合、製造装置20では、感光性ウエブ22の端部同士が、接合テープ部材(図示せず)により互いに接合されて所定の長さに調整された状態で、ロール状に巻回して感光性ウエブロール22aを構成している。このため、接合テープ部材(不良部位)による接合部分を含む部分は、不良フイルム22bとなり、廃棄される。
また、感光性ウエブ22には、例えば、点欠陥部分等の不良部位が存在している場合がある。この不良部位を含む部分は、不良フイルム22bとなり、廃棄される。
さらにまた、貼り付け基板24aの製造作業の開始時や設備故障後の再起動時等には、製造装置20内に引き出されている感光性ウエブ22は、不良部位を含む不良フイルム22bとして、所定長さにわたって廃棄される。
そこで、本実施形態では、上記の不良フイルム22bが、不良フイルム廃棄機構50を介して廃棄ステーションDSに廃棄される。
先ず、不良フイルム22bが、搬送部124を構成する第1ニップローラ132aに搬送されると、この第1ニップローラ132aを構成するシリンダ138が駆動される。このため、図8に示すように、従動側ローラ136bは、斜め下方向に向かって駆動側ローラ136a側に移動し、前記従動側ローラ136bと前記駆動側ローラ136aとにより不良フイルム22bが挟持される。従って、不良フイルム22bは、駆動側ローラ136aの回転作用下に、搬送路129から廃棄路131側に搬送方向が変換されるとともに、ガイド板134の案内作用下に、第2ニップローラ132b側に送り出される。
不良フイルム22bが、第2ニップローラ132bに送り出されると、この第2ニップローラ132bを構成するシリンダ142が駆動される。このため、従動側ローラ140bは、水平方向に移動し、前記従動側ローラ140bと駆動側ローラ140aとで、不良フイルム22bが挟持される。従って、第1ニップローラ132aを介して斜め下方向に送り出された不良フイルム22bは、第2ニップローラ132bを介して鉛直下方向に送り出される。
鉛直下方向に送り出される不良フイルム22bの先端が、フイルム検出センサ144により検出されると、把持部126が駆動される。この把持部126では、グリッパー146が第2ニップローラ132bの下方に配置されている(原点位置)。そして、フイルム検出センサ144が不良フイルム22bの先端を検出すると、図9に示すように、アクチュエータ148の駆動作用下に、アーム部150a、150bが互いに近接する方向(上方向)に揺動し、爪部152a、152bにより前記不良フイルム22bの先端が把持される(位置P1参照)。
次いで、図10に示すように、旋回アーム156は、回転アクチュエータ158の作用下に、鉛直上方向から不良フイルム集積箱128側に所定角度、例えば、110°だけ回転する(位置P2参照)。さらに、モータ162を含む移動アクチュエータの作用下に、可動台154が矢印C方向に移動する。
その際、グリッパー146の移動速度は、搬送部124による不良フイルム22bの送り速度よりも低速な第1速度に設定される。グリッパー146及び搬送部124は、同期して駆動されるため、不良フイルム22bは、前記搬送部124と把持部126との間で引張されることがなく、弛みが形成される。従って、不良フイルム22bが不要に破損したり、搬送部124に過大な負荷が発生したりすることを、有効に阻止することができる。
次に、不良フイルム22bが、廃棄路131に所定の長さだけ送り出されると(位置P3参照)、基板間ウエブ切断部48が駆動される。この基板間ウエブ切断部48では、上側走行ガイド122a及び下側走行ガイド122bが互いに近接する方向に変位して不良フイルム22bの切断部位近傍に位置される。この状態で、基板間ウエブ切断部48は、搬送部124による不良フイルム22bの送り出し速度と同一の搬送速度で矢印C方向に移動しながら、走行カッタ120により前記不良フイルム22bを幅方向に切断する。
不良フイルム22bが切断されると、搬送部124による不良フイルム22bの搬送作業が停止される。すなわち、第1及び第2ニップローラ132a、132bでは、シリンダ138、142が駆動されることにより、従動側ローラ136b、140bが駆動側ローラ136a、140aから離間する方向に移動する。
第1及び第2ニップローラ132a、132bが、不良フイルム22bの挟持を解除すると、グリッパー146による不良フイルム22bの移送速度は、第1速度よりも高速の第2速度に設定され、前記グリッパー146は、該第2速度で位置P3から位置P4に向かって矢印C方向に移動する。
グリッパー146が不良フイルム22bの開放位置(位置P4参照)に至ると、前記グリッパー146の移動が停止されるとともに、アクチュエータ148の作用下に、爪部152a、152bが開放されて前記不良フイルム22bが開放される。このため、不良フイルム22bは、廃棄ステーションDSに配置されている不良フイルム集積箱128の不良フイルム集積面上に、順次、良好且つ整然と集積される。
不良フイルム集積箱128に所定数の不良フイルム22bが集積されると、この不良フイルム集積箱128は、廃棄ステーションDSから矢印D方向に引き出される(図6及び図7参照)。従って、不良フイルム集積箱128は、基台164上を転動する複数の車輪166及び脚部168に支持されている複数の車輪170の転動により、矢印D方向に所定の位置まで引き出される。この状態で、枠板174の一面174aが、ヒンジ176を介して開放される。
次いで、不良フイルム搬送台車130は、不良フイルム集積箱128に近接して配置される。具体的には、不良フイルム搬送台車130を構成する枠板188の一面188aは、予め開放された状態で、不良フイルム集積箱128を構成する枠板174の開放されている一面174aに近接して配置される。
そこで、作業者は、例えば、不良フイルム集積箱128の両側から前記不良フイルム集積箱128内に集積されている複数の不良フイルム22bを、ローラ172の回転作用下に不良フイルム搬送台車130側に移送する。このため、複数の不良フイルム22bは、不良フイルム搬送台車130の集積部184に設けられている複数のローラ186の回転作用下に前記集積部184に移送される。
その際、複数のローラ186は、矢印D方向に向かって下方に傾斜して並列されている。これにより、複数の不良フイルム22bは、ローラ186の傾斜に沿って集積部184の内方に容易且つ確実に移送される。そして、不良フイルム搬送台車130は、廃却場所(図示せず)まで複数の不良フイルム22bを運搬した後、この廃却場所に前記複数の不良フイルム22bが廃却される。
この場合、本実施形態では、不良フイルム集積箱128の不良フイルム集積面上に、各不良フイルム22bが平坦状に集積されている。これにより、例えば、ロール状に巻回される場合のように、巻太りによるスペース効率の低下が惹起されることがない。従って、廃棄ステーションDSでは、積層高さを低く維持し、多数の不良フイルム22bを良好に集積することができるという利点がある。
さらに、本実施形態では、廃棄ステーションDSに配置された不良フイルム集積箱128は、前記廃棄ステーションDSから引き出されるとともに、前記不良フイルム集積箱128に隣接して不良フイルム搬送台車130が配置されている。そして、不良フイルム集積箱128に集積された複数の不良フイルム22bは、前記不良フイルム集積箱128から不良フイルム搬送台車130に移送されている。
その際、不良フイルム集積箱128は、廃棄ステーションDSから引き出されている(図6参照)。このため、不良フイルム集積箱128の周囲には、作業用スペースが確保され、作業者が廃棄ステーションDS内に入り込んで複数の不良フイルム22bの取り出し作業を行う必要がない。これにより、特に、大サイズの不良フイルム22bが集積された重量物集積体であっても、容易且つ迅速に不良フイルム搬送台車130に移送することができ、前記不良フイルム22bの廃棄処理を効率的に行うことが可能になるという効果が得られる。
しかも、複数の不良フイルム22bが不良フイルム搬送台車130に移送されている。このため、不良フイルム搬送台車130を介して複数の不良フイルム22bを廃却場所まで容易に運搬することができ、前記複数の不良フイルム22bの廃却処理が効率的に遂行可能になる。
さらにまた、不良フイルム集積箱128を構成する枠板174の内壁及び不良フイルム搬送台車130を構成する枠板188の内壁には、帯電防止用樹脂ベルト180が固着されている。従って、不良フイルム22bの帯電による作業性の低下を良好に抑制することができる。