JP5042868B2 - 排水浄化処理装置並びにこれを用いた排水浄化処理設備並びにこの排水浄化処理設備を用いた排水浄化処理方法 - Google Patents
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Description
このような手法では、一定量の排水ボリューム当たりの汚濁物質含有パーセンテージは、見かけ上減ったとしてもその絶対量は減っていない。
ところで、このような浄化処理の限界を考慮して、処理すべき原水を多孔質の例えばスポンジ状の材料片(吸着メディア)に吸着させ、この吸着メディアを温風加熱させることによって、吸着させた水分のみを蒸散させる一方、汚濁物質は、吸着メディアに残留確保し、前記蒸散した浄化空気から改めて水分を凝集させる、いわば気化浄化式の手法が試みられている(特許文献1)。
この手法は、高度に排水を浄化できる点で有望であるものの、現実には蒸散処理にあたっての効率が十分ではなく、商用機としての設置は躊躇われて、結局のところ実機は市場には提供されていない。
本発明の排水浄化処理装置Aは、それ自体単独で用いられるほか、この排水浄化処理装置Aを複数基並設して、排水浄化処理設備Pを構成することも可能である。
この排水浄化処理装置Aは、その主要構成部材として、機枠1、固定胴2、処理ドラム3、原水放散ノズル4、吸着メディア5、処理風供給装置6、浄化気体導出装置7を具えるものであり、これらによって原水W0から汚濁物質を除去し、浄化気体Vとして取り出しながらこの浄化気体Vを冷却することにより、浄水Wを得るものである。
以下、これらの各構成部材について具体的に説明する。
また更に、胴部フレーム12の上面には接合支援構造の一つであるジョイントフック15を設けるともに、ベースフレーム11の下面には、ジョイントフック15を受けることができるフック受入孔16を設ける。これらを利用することで上下に排水浄化処理装置Aを固定的に積み重ねることができるようにしている。
なお、ベースフレーム11と、胴部フレーム12との組み合わせに対して、導出部フレーム13については、このものが完全に一体に構成されていてよいし、図7(a)に示すように導出部フレーム13の下面にローラキャスタ17を設けて、導出部フレーム13のみを切り離し自在に構成して点検等の作業に具える構成としてもよい。またこの考え方は、図7(b)に示すようにヒンジ18を介して導出部フレーム13が扉状に開く構造に代えることもでき、更にまた図7(c)に示すように側方に引き出すような形態を採ることもできる。
固定胴2は、前記機枠1の胴部フレーム12に支持されて構成されるものであり、その内部が作動室20となった中空部材である。これらは、外パネル21と内パネル22との間に断熱材23が充填されて、外部へ熱が逃げないような構成を採ると共に、この胴部フレーム12は、装置全体の強度メンバとしても作用し得るものである。そして、固定胴2には、作動室20に連通するように側面視で扁平矩形状の処理風供給口24が下方に開口するとともに、上方に側面視偏平矩形状の浄化気体排出口25が開口している。なお処理風供給口24側には、温熱風を効率的に案内するようにやや下向きに案内方向を設定するためのルーバー24aを設けている。
更に固定胴2は、運転時の作動状況を点検するための点検窓26が外パネル21に設けられ、また浄化気体導出装置7側には、整備点検に用いるサービスハッチ27が設けられる。また床部分には、吸水床28を設けるものであり、適宜の吸水材を張設する。
この処理ドラム3は、前記固定胴2内を回転する部材であって、その内部を処理室30とする。具体的には、主軸31の両端部近くに円盤状の鏡板32が一対設けられ、更にこの両鏡板32の間には、その周縁部に一定間隔ごとに周桟部33が掛け渡すように設けられ、処理ドラム3の強度部材として機能している。この主軸31は、処理室30内においては、原水放散ノズル4からの原水W0の放散を考慮して、通水構造を採る。即ち、本実施例では、一例として、4本の軸要素31Aを軸両端部のフランジ31Bに掛け渡すようにして全体としてカゴ状に構成している。そしてその中央部位近くに原水放散ノズル4の支承プレート31Cを具える。なお原水放散ノズル4については更に後述する。
更に前記主軸31の一端には、従動スプロケット36が設けられるものであって、このものは、前記ベースフレーム11内に収められたドラム駆動モータMの出力スプロケット37からチェーン38を介して回転が伝達され、前記処理ドラム3の駆動が図られるものである。
このものは、前記主軸31の内部スペースを利用して配置されるものである。即ち主軸31の他端側には、実質的には、軸受部14として理解されるロータリージョイント構造を介して原水管路40を接続させる。そしてここから導入管41に原水W0の供給をうけ、更に前記導入管41の位置に多数の放散孔42を形成することにより、実質的に原水放散ノズル4を構成しているものである。
このものは、形状としては、スポンジ状、フェルト(ウェブ)状、バーミキュライト状であって、素材としては、天然素材、人工素材のものを用いた吸水機能に優れた素材を用いるものであり、このものには、多数の吸着孔50が存在する。なお、この吸着メディア5の形状については、いわゆるサイコロ状のもの、球形あるいは不定形の粒形であればよい。またそれらは、同一サイズである必要はない。
この処理風供給装置6は、処理風路60を構成する処理風ダクト61を具える。この処理風ダクト61は、その基端部側にヒーターユニット62を具えると共に、他端側は、前記固定胴2における処理風供給口24に密着状態に固定される。このヒーターユニット62は、適宜ガス等の熱源のほか電気を用いたヒーターが適用されるものであり、具体的にはブロワ63と、ヒーター部64とにより構成されている。
この浄化気体導出装置7は、実質的にはダクト状部材であり、導出路70を構成する導出ダクト71が水平方向に上段から下段に向けて屈曲するような形状を採る。この導出路70内には、図示を省略するが適宜の冷凍機や、地下水利用装置に接続された冷却コイル72が配設され、これにより浄化された水分を含む浄化気体Vの水分を積極的に露滴化して除去するようにしている。そして、この露滴は、下端のドレントラフ73等に集められて浄水Wとして適宜排出され、公共の配水溝に排出されるほか、法制上再利用が求められている場合には、工場内の用水としての利水が図られる。また水分が除去されて乾燥した状態の浄化気体Vは、導出ダクト71の最下端部からルーバー74を経て外部に排出される。
この組み合わせは、工場敷地等の広さに関係するが、いわゆる平置き状態で多数置くほか、複数段積み重ねて形成することも可能である。この場合、特に前記機枠1におけるジョイントフック15と、フック受入孔16とを適宜利用することにより、合理的且つ確実に排水浄化処理装置Aの積み重ね固定が行うことができる。
もちろん、平置きする手法と複数段重ね合わせる手法とを組み合わせることにより、排水浄化処理装置Aの設置基数を増やすことが可能である。
〔原水の供給〕
まず原水W0は、適宜排水が発生する個所から原水管路40を経て原水放散ノズル4に至るものであり、その途中に原水バルブ40Vを具えて、これが開放されたときに原水W0は、処理ドラム3に伸びた導入管41に至り、ここに開口された放散孔42から処理室30内に放散される。なおこの放散方向は、図5(b)に示すように真下に向けるよりも、幾分か処理ドラム3の回転する側に偏寄させる方向とすることが好ましい。
なおこのときは、処理ドラム3自体は、回転させずにその底部に吸着メディア5が留まった状態としてもよいし、積極的に回転させることもできる。
また原水放散ノズル4からの放散は、数秒間続けられた後吸着メディア5を攪拌すべく処理ドラム3を一定回転させ、再び処理ドラム3の回転を停止して原水放散ノズル4から原水W0を放散する等の適宜の手法が採りうる。
このような状態で、処理ドラム3内の吸着メディア5に処理すべき一定量の原水W0が供給された後には、ほぼ連続的に処理ドラム3を回転させ、原水W0の浄水Wを浄化気体Vとして気化させた状態で取り出す。すなわち前記処理風供給装置6を作動させ、ヒーターユニット62から発生する温熱風状態の処理気体V0を供給し、固定胴2の処理風供給口24から固定胴2内に導き、更に通気性を有する周面材34等からこの温熱風を処理ドラム3内に供給するように図る。このとき処理ドラム3の処理室30内では、多数の吸着メディア5がリフタ35によって一定の高さまでかき上げられた後崩落することを繰り返えし、個々の吸着メディア5は、処理ドラム3内で攪拌状態となるものである。そして、吸着メディア5は、常に処理気体V0の温熱風を受けて、その中に含まれた水分の蒸発が図られる。
このような運転が継続されることにより、水分が蒸散気化した浄化気体Vは、固定胴2における浄化気体排出口25から排出され、浄化気体導出装置7の導出路70をジグザクに降下するように進む。浄化気体Vは、その途中で冷却コイル72と接触することにより、その水分が凝集され、この水分は、浄水Wとして導出ダクト71の内壁面を伝わりながら、下方のドレントラフ73に回収されてゆく。
勿論、浄化気体導出装置7における浄化気体Vの流れを促すには、積極的に吸引ファンによって吸引がされてもよいが、基本的には処理風供給装置6のブロワ63の出力のみで送り出されるような形態で十分である。
前述したような個々の排水浄化処理装置Aにおける作用が、これらを並設した排水浄化処理設備Pとして行われる場合には、原水W0を連続して浄化処理することが可能である。
具体的に説明すると、排水浄化処理装置Aにおける浄化処理1サイクルをT時間とし、1サイクル当たりEm3 の原水W0を処理できる場合は、1時間当たりの処理能力は、Em3 ×1/T(m3 /時間)と表すことができ、これらをN基並設した排水浄化処理設備Pは、1時間当たりの原水W0の総浄化処理量は、基数N倍の(Em3 ×1/T)×N(m3 /時間)と表すことできる。
そして、この排水浄化処理設備Pを構成する個々の排水浄化処理装置Aに対して図6(b)に示すようにT/Nの時間ごとに区切って、処理すべき原水W0を順次供給することにより、最初に注水した排水浄化処理装置Aは、最後のN基目の排水浄化処理装置Aの供給が完了した時点で浄化処理の1サイクルが完結している。従って、最後のN基目の排水浄化処理装置Aへの原水W0の供給が完了した後、最初の装置は、再び原水W0の供給を受けることができる状態で待機しており、これによって連続的な原水W0の処理が可能となる。
従って、個々の排水浄化処理装置Aの処理について見るといわゆるバッチ処理の形式を採っているが、これらを複数基具えて、T/Nのタイミングごとに原水W0を分けて供給することにより、排水浄化処理設備P全体として見たときには、原水W0は、連続した即時処理が行われているように機能している。
例えば、排水浄化処理装置Aの処理1サイクルが60分であり、この装置を6基並設した場合には、各装置に10分(60分/6基)ごとに浄化処理を施す原水W0を注水することとなる。
設備点検にあたっては、例えば浄化気体導出装置7の部位を単独で他の部材から切り離すことが出来るように構成することが好ましい。これは、既に述べたように機枠1を構成する導出部フレーム13を切り離すような作業としてもよいし、勿論浄化気体導出装置7それ自体がサブフレーム状の部材に支持されて、その部位のみが取り外されるようになってもよい。いずれにせよ図7に示すように浄化気体導出装置7が、固定胴2、処理ドラム3等と切り離されると、その部位に整備用の空間が充分確保でき、サービスマンが例えば処理ドラム3等に至近距離に臨むことができ、そのメンテナンス等が円滑に行われるのである。なおこの場合には、固定胴2に設けられたサービスハッチ27等を開放して行うのである。
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
例えば、処理ドラム3については、回転方向に見て円形のドラム状部材であるが、多角形のものを適用することももとより差し支えない。また円形のドラム状の場合には、主軸において回転駆動を行っているが、例えば処理ドラム3全体をピロータイプの支持ローラで下支えして、処理ドラム3に直接回転チェーン掛けするような形で駆動してもよい。
このときには、主軸31が排除されるものであり、原水放散ノズル4の配設位置等の選択にあたって、より自由度が向上する。
P 排水浄化処理設備
1 機枠
11 ベースフレーム
12 胴部フレーム
13 導出部フレーム
14 軸受部
15 ジョイントフック
16 フック受入孔
17 ローラキャスタ
18 ヒンジ
2 固定胴
20 作動室
21 外パネル
22 内パネル
23 断熱材
24 処理風供給口
24a ルーバー
25 浄化気体排出口
26 点検窓
27 サービスハッチ
28 吸水床
3 処理ドラム
30 処理室
31 主軸
31A 軸要素
31B フランジ
32 鏡板
32A 通気窓
33 周桟部
34 周面材
35 リフタ
36 従動スプロケット
37 出力スプロケット
38 チェーン
4 原水放散ノズル
40 原水管路
40V 原水バルブ
41 導入管
42 放散孔
5 吸着メディア
50 吸着孔
6 処理風供給装置
60 処理風路
61 処理風ダクト
62 ヒーターユニット
63 ブロワ
64 ヒーター部
7 浄化気体導出装置
70 導出路
71 導出ダクト
72 冷却コイル
73 ドレントラフ
74 ルーバー
W0 原水
W 浄水
V 浄化気体
V0 処理気体
M ドラム駆動モータ
Claims (9)
- 機枠と、固定胴と、処理ドラムと、原水放散ノズルと、吸着メディアと、処理風供給装置と、浄化気体導出装置とを具えて成り、
前記機枠は固定胴を含む諸部材を支持する骨格部材であり、
また前記固定胴は、前記処理風供給装置と、浄化気体導出装置とのそれぞれに連通する個所以外は気密状態を有し、
更にまた前記処理ドラムは、周面板が通気性を具えるとともにその内部を処理室とし、且つ前記固定胴内において横軸回転するものであり、
更にまた前記原水放散ノズルは、処理ドラム内に配置され処理される原水を処理ドラム内に放散するものであり、
更にまた前記吸着メディアは、多数の小片状の多孔質体であり、
更にまた前記処理風供給装置は、ヒーターユニットとこのヒーターユニットにより生起される温熱風を前記固定胴に導く処理風ダクトとを具えるものであり、
更にまた前記浄化気体導出装置は、前記固定胴と一端が連通し、他端が外部に開口するダクト部材であり、
前記原水を処理ドラム内に放散して、前記吸着メディアに吸着させ、この吸着メディアを処理ドラムを回転させることにより落下攪拌させながら処理風供給装置からの温熱風を作用させ、これによって吸着メディアに原水中の汚濁物質を吸着残留させた状態で、水分を気化蒸散させて浄化気体とし、これを浄化気体導出装置から適宜環境中に排出するようにしたことを特徴とする排水浄化処理装置。 - 前記機枠は、接合支援構造を有することを特徴とする請求項1記載の排水浄化処理装置。
- 前記固定胴は、外部との間において断熱構造を有していることを特徴とする請求項1または2記載の排水浄化処理装置。
- 前記処理ドラムは、内周面にリフタを突出形成していることを特徴とする請求項1、2または3記載の排水浄化処理装置。
- 前記浄化気体導出装置は、浄化気体の冷却装置を具えていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の排水浄化処理装置。
- 前記浄化気体導出装置は、前記機枠と別体に構成され、固定胴側との接続を解除できると共に、固定胴から離反できるように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の排水浄化処理装置。
- 前記請求項1、2、3、4、5または6記載の排水浄化処理装置を複数基並設したことを特徴とする排水浄化処理設備。
- 前記複数の排水浄化処理装置にすべてには、共通の原水が放散されることを特徴とする請求項7記載の排水浄化処理設備。
- 前記請求項7または8記載の排水浄化処理設備を用いて原水を処理するにあたり、一基の排水浄化処理装置の所要時間Tと、排水浄化処理装置の設置個数nとを考慮し、T/nの時間間隔で各排水浄化処理装置ごとに原水を順次放散し、最終の排水浄化処理装置に原水の放散が完了した後は、既に原水の浄化処理が完了した排水浄化処理装置に再び原水を放散し、以後これを繰り返して、原水の連続的な浄化処理を行うようにしたことを特徴とする排水浄化処理方法。
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