JP6952345B2 - 排水浄化処理装置 - Google Patents
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Description
このような手法では、一定量の排水ボリューム当たりの汚濁物質含有パーセンテージは、見かけ上減ったとしてもその絶対量は減っていない。
この手法は、高度に排水を浄化できる点で有望であるものの、現実には蒸散処理にあたっての効率が十分ではなく、商用機としての設置はためらわれて、結局のところ実機は市場には提供されていない。
ところで前記特許は、汚染された原水の高度な浄化が可能となっているが、一方で、複数機設置すれば見かけ上、原水処理を連続して行うことができるが、個々の排水浄化処理装置ではあくまでバッチ処理が行われる。
しかしながら、汚染された原水の処理にあたり、連続処理による効率化の要求は強く在り、装置単体であっても原水の連続処理を可能とする装置の開発が求められてきた。これに応えるべく、本出願人は、更に別途特願2017−99076号を提案し、目下、出願公開を控えた状態にある。
閉鎖空間を構成する筐体と、
この筐体内に設けられる処理区画室と、
この処理区画室内に配置される吸液性を具えた処理メディアと、
この処理メディアに対し原水を散布する原水ノズルと、
前記処理メディアに接触しながら移動し、処理メディア上に散布された原水を気化・蒸散させるための処理ユニットとを具えて本体装置を構成し、
前記処理メディアに散布された原水を気化させることにより、処理メディアに原水中の汚染物質を残留・保持させるとともに、
原水中の清浄水を含む清浄な状態の回収気体を筐体外部に排出するようにした排水浄化処理装置であって、
前記処理区画室は、処理メディアを敷設し得る長さを有する空間とし、
この処理区画室の長手方向に沿って前記処理メディアが設けられ、
更に前記処理ユニットは、処理メディアの設置方向に沿って処理区画室内を移動するものであり、
且つ処理ユニットは、
処理メディアに温熱風を吹き出す温熱風ノズルと、
前記処理メディアに対して、摩擦熱による蒸発を促進させる積極摩擦動回転を行う気化支援ローラと
を具えていることを特徴として成るものである。
前記処理メディアの上面に温熱風が吹き付けられるように温熱風ダクトを配置し、処理メディアの下面に送風されるように乾燥風ノズルを配置する構成であることを特徴として成るものである。
前記筐体には、気化した回収気体を排出するための移送風が供給されていることを特徴として成るものである。
前記本体装置には、前記筐体から排出される回収気体を回収する回収気体導出装置が設けられ、この回収気体導出装置により筐体外部に排出された回収気体から浄化処理水を分離させるとともに、回収気体を乾燥処理気体とすることを特徴として成るものである。
前記乾燥処理気体は、筐体内に戻されることを特徴として成るものである。
前記処理区画室は、処理区画ケージ内に複数室設けられていることを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また、本発明によれば、処理メディアに対し、逐次連続的に汚染された原水を供給しながら、これに対して集中的に温熱風を供給するとともに気化支援ローラを処理メディアに接触させた状態で回転(積極摩擦動回転)させることによって、水分の積極的且つ合理的な蒸散を促すことができ、処理すべき原水の連続供給を可能とする装置が得られ、結果的に高効率の原水処理が達成できる。
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
更に本体装置1には、処理メディア31(原水W0)から蒸散させた回収気体V0を回収するための回収気体導出装置6と、処理対象となる原水W0を貯留しておくための原水タンク8とが適宜の位置に設けられる。
本体装置1は、適宜のベースフレーム11に対し、前記筐体2やその他の機材を支持して成り、筐体2は、奥行き方向に長い横長直方体状の外殻板20を外周部に具える。そして外殻板20の一方の側面(妻面)に送風チャンバ22を設ける一方、筐体2内の大部分のスペースを処理室23とする。
なお送風チャンバ22と処理室23とは、仕切板24によって周辺部が仕切られ、処理区画室3に至る中央部が連通状態に開口されている。更に送風チャンバ22に連通して送風機ファン25が筐体2の妻面部の外殻板20に対し設けられている。
更にこの処理室23内には、原水ストレージタンク26が設けられ、これは処理メディア31に対し原水W0を供給するための部材である。
因みに、本明細書では、処理区画室3や筐体2において、送風チャンバ22が位置する方を前方とし、原水ストレージタンク26が位置する方を後方としている。
因みに、この処理区画室3は、正面から視て、水平(横)に5つ、垂直(縦)に5つの計25室(5×5)に区画されているが、この数は適宜変更可能であるし、縦と横で区画数を合わせる必要もない。また、この処理区画室3は、各々の室が厳密に閉鎖・密閉されているわけではなく、互いに連通状態を保っており、実質的にはそこに配置される処理メディア31やその他の機材等により区画(分割)されている。
なお処理メディア31は、一例として木質系スポンジ状の多孔質パルプを適用することが好ましく(いわゆる「紙質ベース」)、その形状は一例として一定の厚さを有する帯状素材であり、このものが処理区画室3の長手方向に沿って敷設されたような形態を採る。
一つの処理区画室3には、一例として図3に示すように、まず八つの処理メディア31が設置されるものであり、具体的には各処理区画室3の下面部、上面部、左右の壁面部に、各々二つずつ処理メディア31が並列状に設置される。因みに、各処理区画室3の床、天井、壁に相当する部位を上記のように「面部」と称したのは、上述したように各処理区画室3同士が厳密に閉鎖・密閉されているわけではなく、互いに連通状態を保っているためである。
そして、一例として図7に示すように、処理区画ケージ30上(処理区画室3の内側)で処理メディア31を適宜の間隔を維持して設けるための部材が、スペーサ32であり、このスペーサ32も処理メディア31の長手方向に沿って設けられる。なお、ここでは一つの処理メディア31を三本のスペーサ32で支持するようにしているが、この数は適宜変更可能である。
そして、この原水配管33の各部に、原水W0を例えば霧状に散布する原水ノズル34が複数設けられ、ここから吐出される原水W0は、対向する面部に設けられた処理メディア31に向けて散布される。
なお、本実施例では、例えば図3に示すように、一基の原水ノズル34から散布される原水W0は、対向する面部に設けられた二つの処理メディア31に散布するように設定されている。ここで本図3では、右下の処理区画室3では、上下面部に設置された原水ノズル34から散布される原水W0の散布の様子だけを示し、右上の処理区画室3では、左右面部に設置された原水ノズル34から散布される原水W0の散布の様子だけを示している。また、左側の処理区画室3では、四方から原水W0を散布する様子を示している。ただし、実際には例えば適宜の時間差を設けて順々に各原水ノズル34から原水W0を散布することが好ましく、これは各面部に設けられた原水ノズル34から同時に原水W0を散布してしまうと、各原水ノズル34による原水W0の散布が相殺されてしまうためである。
そして、このような原水W0の散布によって処理メディア31は原水W0を含浸した湿潤状態となる。
ガイドレール35は、処理ユニット5が処理メディア31に沿って移動できるようにするためのレールであり、正面視T字状を成す(取り付け状態では横T字)。なお、ガイドレール35は、レール取付片35aによって、処理メディア31から幾らか離反した状態に取り付けられる。因みに、ガイドレール35及びレール取付片35aは、処理メディア31の左右両側に設けられる。
また処理メディア31の至近位置(例えば下方)には、乾燥風ノズル39を設けることが可能であり、これにより原水W0の気化・蒸散処理を、より促進させることができる(図1・図2参照)。
処理ユニット5は、処理メディア31に散布された原水W0を気化・蒸散させるためのユニットであり、このものは一例として図7に示すように、移動枠50を具える。この移動枠50は、処理メディア31に対向して設けられる天板50aと、この天板50aの左右両縁から処理メディア31側に折り返し状に設けられる側枠板50bとを具え、上方と左右両側から処理メディア31をカバーするように設けられる。
移動枠50(処理ユニット5)は、奥行き寸法が、処理メディア31よりも極めて短い寸法であり、この移動枠50が処理メディア31の長手方向に沿って移動することにより、処理メディア31の全長にわたって原水W0の気化・蒸散処理を行うものである。
なお、移動枠50(処理ユニット5)は、各処理メディア31に対して設けられるため、処理区画室3の天面部や側面部(左右の壁面部)に設けられた処理メディア31にも各々対応する移動枠50(処理ユニット5)が設けられ、その場合には「天板」、「側枠板」という名称は相応しくないかも知れないが、これらの名称は上記図4(または図3の拡大図)に基づいて相対的に付した名称であり、他面部への取り付け状態でもこの名称で統一する。因みに、上下・左右もこの図4(または図3の拡大図)を基準とする。
また、駆動輪ユニット51A及び従動輪ユニット51Bは、一例として図4に示すように、ともに二つの車輪を上下に組み合わせた形態を採り、この間で前記T字状断面のガイドレール35を挟むような走行姿勢とする。すなわち転動輪ユニット51は、ガイドレール35の先端部に掛止した状態で転動するように構成されている。これは、処理区画室3の各面部に対して取り付けられたガイドレール35に対し、移動枠50が走行中、落ちないようにするためである。具体的には、例えば上記図3に示すように、処理区画室3の天面部には移動枠50が逆さの状態で取り付けられるため、上記のように一対の転動輪ユニット51でガイドレール35を挟むようにした走行姿勢を採ることで、移動枠50(処理ユニット5)がガイドレール35から脱落しないようにしている。逆に言えば、例えばガイドレール35に転動輪ユニット51を載せているだけでは、上記のような種々の姿勢を採る場合、転動輪ユニット51がガイドレール35から脱落してしまうものである。
なお転動輪ユニット51は、移動枠50において左右の側枠板50bに対して設けられる。もちろんガイドレール35も処理メディア31の左右両側に設けられる。
また移動枠50(処理ユニット5)の側枠板50bには、転動輪ユニット51の車輪単体52(ここでは上の車輪単体52)に、回転駆動を入力するためのユニット駆動モータM1が設けられ、またこのユニット駆動モータM1と駆動側の車輪単体52(ここでは上の車輪単体52)との間に駆動ギア524が設けられる。
このような構成により、ユニット駆動モータM1を駆動させると、転動輪ユニット51が回転するものである。またかかる構成により処理ユニット5をガイドレール35に沿って、処理メディア31の長手方向に移動させることができるものである。
集電ロッド53は、上述した給電トロリー36から給電を図り、前記ユニット駆動モータM1を駆動させるものであり、これにより前記転動輪ユニット51がガイドレール35を摺動する。なお、給電トロリー36から給電を得るのは、ユニット駆動モータM1だけでなく、後述するローラ駆動モータM2及びファン駆動モータM3も同様である。
この気化支援ローラ54は、移動枠50の移動(長手方向の移動)に伴い、処理メディア31に接触しながら比較的速い速度で回転するものであり(本明細書では、これを積極摩擦動回転と称している)、この積極摩擦動回転によって処理メディア31に散布(含浸)された原水W0の気化・蒸散を図るものである(摩擦熱による蒸発促進)。
なお、気化支援ローラ54は、処理メディア31を押し込みながら回転接触するものであり、その押し込み深さは、無荷重時の処理メディア31の厚みの約1/3程度である。換言すれば、処理メディア31は気化支援ローラ54による圧接で当初の厚み寸法の約2/3程度の厚み寸法に押し込まれるものである。
まず気化支援ローラ54の端部には、一例として図5・図7に示すように、受動ギア541が設けられる。また各受動ギア541の間には、アイドルギア542が設けられ(ここでは三つ)、これらが互いに噛み合うように設けられる(いわゆる歯車列)。また移動枠50(処理ユニット5)の側枠板50bには、アイドルギア542(ここでは中央のアイドルギア542)に、回転駆動を入力するためのローラ駆動モータM2が設けられ、またこのローラ駆動モータM2と前記アイドルギア542との間にローラ駆動ギア543が設けられる。
なお、このローラ駆動モータM2も、上述したように前記給電トロリー36から給電が図られる。
なお、この温熱風Hも処理メディア31に散布された原水W0を気化・蒸散させる作用を担うが、本発明では、温熱風Hの吹き付けと、気化支援ローラ54の積極摩擦動回転とによる気化・蒸散作用により、原水W0を極めて効率的に蒸発させることができる。
因みに、ファン56は、移動枠50に設けられたファン駆動モータM3によって駆動されるものであり、このファン駆動モータM3も前記給電トロリー36から給電が図られる。
なお分岐ダクト554は、処理メディア31の上方から各気化支援ローラ54の間に幾らか入り込むように先端部がノズル状に湾曲形成されており、当該ノズル状部分を温熱風ノズル555とする。
因みに、常温で生成した作用風を、適宜加温するには(所望温度の温熱風Hを生成するには)、例えば温熱風ノズル555の吐出口付近に、ニクロム線ヒーター等のヒーター57を内蔵しておき、このヒーター57への通電によって適宜の温度の温熱風Hを得ることが可能である。
導出ダクト61は、回収気体V0がジグザグ状に流れるような案内部材61aを具えるものであり、導出ダクト61の上流側(始発側)近くには、回収気体V0を冷却する冷却コイル62を具える。
そして導出ダクト61の下方には、この回収気体V0が冷却されて凝縮したときの水分の排出口となるドレン口63を具えるとともに、気体に関しては再導入管64を具える。この再導入管64は一例として前記乾燥風ノズル39に接続され、処理区画室3内(特に処理メディア31の至近位置)に乾燥処理気体Vとして戻される(導入される)ことが好ましい。
(1)準備状態
準備状態としては、まず原水タンク8に、汚染された状態の原水W0が貯留されており、且つこの原水W0は、原水ポンプPにより前記本体装置1における筐体2内の原水ストレージタンク26内に一定量貯留されている。
一方、筐体2内の状態で見ると、前記処理区画室3にあっては、例えば処理ユニット5を最も原水ストレージタンク26側(後方)に寄せた状態とし、この状態を始発状態とする。
なお、処理ユニット5(移動枠50)は、その後、処理メディア31(処理区画室3)の長手方向に沿って移動(前進)させるものであるが、以下の説明では、後方に位置させた始発状態から前方に移動させ、この前方から再度、後方(始発状態)に至る一往復動作を基本とする。このため、例えば処理メディア31に散布する原水W0の量や、温熱風Hの温度、あるいは気化支援ローラ54の回転数や処理メディア31への押し付け力(摩擦力)なども、処理ユニット5の一往復動作を基本として設定される。
因みに、気化支援ローラ54の回転は、移動枠50の移動方向に対し、処理メディア31との摩擦を高める回転方向を基本とする。このため移動枠50の往動時と復動時とでは、気化支援ローラ54の回転方向も変わる(図1・図5参照)。
処理ユニット5を前方に移動させるには、ユニット駆動モータM1を駆動するものであり、これにより駆動ギア524を介して駆動輪ユニット51Aが回転する。
ここで駆動輪ユニット51Aは、T字状断面のガイドレール35の先端部を上下等、両側から挟むような状態で保持している(掛止している)ため、また従動輪ユニット51Bもこの状態を保持するため、駆動輪ユニット51Aの駆動によって、処理ユニット5の移動枠50全体がガイドレール35に沿って前方に移動(摺動)する。これは処理メディア31の長手方向でもある。
なお、処理ユニット5は、上述したように各処理メディア31に対向して設けられるため、複数基存在するものであり(例えば一つの処理区画室3に対し八基)、そのため移動枠50の移動は、これら全てを同期させても良いし、あるいは同じ処理区画室3に存在するものだけを同期させ、他の処理区画室3に存在するものは少しずつずらすようにして、各々の処理区画室3が別の動きをするようにしても構わない。もちろん、各処理ユニット5がランダムに動くようにしても構わない。
また移動枠50の移動に伴い、気化支援ローラ54を回転(積極摩擦動回転)させるものであり、これにはまずローラ駆動モータM2を駆動させる。これにより、ローラ駆動モータM2の回転が、ローラ駆動ギア543、アイドルギア542(ここでは中央のアイドルギア542)を介して、受動ギア541に伝達され、この受動ギア541が取り付けられた気化支援ローラ54(中央部の二本の気化支援ローラ54)が回転する。また、中央部の二本の気化支援ローラ54に設けられた受動ギア541には、前側と後側の気化支援ローラ54に設けられた受動ギア541と噛み合うようにアイドルギア542が設けられているため、実際にはローラ駆動モータM2を駆動させると、四本全ての気化支援ローラ54が同じ方向及び同じ速度で回転する。なお、この気化支援ローラ54の回転速度は、移動枠50の移動速度(前進速度)よりも速い速度である。
因みに、気化支援ローラ54は、処理メディア31の厚みを当初(無負荷時)の2/3程度の厚みにするような押圧設定が成されており、このため気化支援ローラ54は処理メディア31と摩擦しながら回転(積極摩擦動回転)することになる。また、気化支援ローラ54の回転方向は、一例として図1の拡大図に示すように、移動枠50の移動方向に対し、処理メディア31との摩擦を増加させる方向の回転が好ましい。
また、このような作動に加え、処理ユニット5では、処理メディア31に温熱風Hを送風する。
これには、まずファン駆動モータM3を稼働させてファン56を駆動するものであり、これにより生起(生成)された移送風(エア)は、ファンケーシング551、導風ダクト553を通って、分岐ダクト554に至り、その先端部である温熱風ノズル555から処理メディア31に向けて送風される(吹き付けられる)。この際、送風に合わせてヒーター57への通電が行われ、これにより処理メディア31に吹き付けられる移送風は、温熱風Hとなって送風される。
また、このような処理ユニット5の作動に併せて、処理区画室3内では、原水ノズル34から原水W0が処理メディア31上にスプレー状に吹き付けられ、処理メディア31を湿潤状態とする。また、原水ノズル34による原水W0の吹き付けは、原水ノズル34に対向設置された二つの(二本の)処理メディア31に向けて吹き付けられる。
なお、原水W0の吹き付けは、移動枠50の移動中、連続して行われるものであり、この場合には、移動枠50が、原水ノズル34からの原水W0の吹き付けを遮るように通過することもあり得るが、移動枠50の当該通過に合わせて原水ノズル34からの原水W0の吹き付けを一旦中断させるような制御も可能である。
そして、処理ユニット5(移動枠50)の移動に伴い、処理メディア31に散布された原水W0は、温熱風Hによる吹き付けと、気化支援ローラ54による積極摩擦動回転(摩擦熱)とによって極めて効率的に気化・蒸散される。
なお、原水W0中の汚染物質自体は、処理メディア31に吸着した状態で保持される。
このように、本発明では、処理メディア31に散布した原水W0を気化・蒸散させるにあたり、温熱風Hによる吹き付けだけでなく、処理メディア31を圧接した気化支援ローラ54の積極摩擦動回転(摩擦熱)によって気化・蒸散を図るため、原水W0の蒸発が極めて促進され、短時間でもより多くの量の原水W0を蒸発させることができる。
このような気化・蒸散処理を行いながら、処理ユニット5が前側の終端点に達すると、前進(往動)は終了となる。次いで本実施例では、移動枠50を後退させ、初期位置に後退させる(戻す)ものである。もちろん、このような後退移動(復動)の間も、温熱風Hの吹き付けと、気化支援ローラ54による積極摩擦動回転とによって処理メディア31に散布された原水W0の気化・蒸散を図るものである。
このため、移動枠50を後退させる際には、一例として図5に示すように、前進時(往路)とは逆方向に駆動輪ユニット51Aを回転させるものであり、更には気化支援ローラ54も前進時とは逆方向に回転させるものである。すなわち、後退時(復路)における気化支援ローラ54の回転方向は、一例として図5に示すように、移動枠50の移動方向(バック)に対し、処理メディア31との摩擦を増加させる方向の回転が好ましい。
ただし、温熱風ダクト55については、移動枠50を前進から後退に切り換える際もそのまま温熱風Hを処理メディア31に吹き付け続けることが可能である(切り替え時に一旦停止させることも可能)。
このような動作(移動枠50の往復動)によって、原水W0中の汚染物質を処理メディア31に残留・保持させて、清浄な回収気体V0を蒸散させる。
なお、処理区画室3または筐体2内で原水W0から蒸散させた回収気体V0は、筐体2の外部に設置された送風機ファン25の緩やかな送風により、回収気体導出装置6における導出路60側に向かって移動する。そして、回収気体導出装置6において回収気体V0は、ジグザグ状の導出路60を通りながら、まず冷却コイル62に触れて冷却され、ここで露滴となって回収される。
因みに回収気体導出装置6で回収気体V0の一部が液化することは、回収気体V0の体積が著しく減少することを意味し、これによっても処理区画室3または筐体2内における回収気体V0の流れが確保され、前記送風機ファン25の出力が小さくても十分な回収気体V0の導出効果が得られる。
このようにして回収気体導出装置6内では、回収気体V0から液体成分である浄化処理水Wが分離・除去できるものであり、浄化処理水Wとしてはほぼ完全な浄化処理状態を得た極めて清浄な水分として回収される。
一方、水分が除去された回収気体V0は、乾燥処理気体Vとなって再導入管64から処理区画室3内における乾燥風ノズル39に至り、ここから処理区画室3内に乾燥した温熱風Hとして再投入され得る。乾燥風ノズル39から吐出される乾燥処理気体Vは、処理メディア31の例えば下面に作用するように送風されることが好ましく、これは処理メディア31の上面には温熱風ダクト55からの温熱風Hが吹き付けられるためである。
なお当然ながら、このような乾燥処理気体Vが処理区画室3内に供給されることにより、処理メディア31に吹き付けられた原水W0の気化・蒸散処理がより一層、促進されるものである。
そして、このような処理を行っていると、処理メディア31が原水W0中の汚染物質の吸着限界に達するため、その場合には処理メディア31の交換を行う。もちろん、このような交換は予め定めた適宜のインターバルで行うことも可能である。因みに処理メディア31は先に述べたように紙質ベースのものが好ましく、この場合には、焼却処理等が比較的容易に行い得る。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、移動枠50の一往復動作を一回の処理作業と想定したが、移動枠50を繰り返し往復動させることも可能である。また、一回の往動または復動の途中において、ある区間(例えば処理メディア31の乾燥が不充分である区間)だけ、集中して移動枠50を往復動させることも可能である。
また、処理区画室3の数、気化支援ローラ54の本数、温熱風ノズル555の数等も適宜変更可能である。
更には、上述した基本の実施例では、複数の気化支援ローラ54の駆動は、いわゆる歯車列で駆動するように説明したが、歯付ベルトやチェーン等の適用も可能である。
また、気化支援ローラ54の駆動も、例えばガイドレール35等を利用してラックを設けるとともに、移動枠50側にピニオンギアを配して、移動枠50が移動することに伴い、一定の回転運動をピニオンギアに取り込み、適宜増速の上、気化支援ローラ54を駆動することが可能である。
1 本体装置
11 ベースフレーム
2 筐体
20 外殻板
22 送風チャンバ
23 処理室
24 仕切板
25 送風機ファン
26 原水ストレージタンク
26a 原水ニップル
3 処理区画室
30 処理区画ケージ
31 処理メディア
32 スペーサ
33 原水配管
34 原水ノズル
35 ガイドレール
35a レール取付片
36 給電トロリー
36a 給電線
37 絶縁カバー
38 集電シュー
39 乾燥風ノズル
5 処理ユニット
50 移動枠
50a 天板
50b 側枠板
51 転動輪ユニット
51A 駆動輪ユニット
51B 従動輪ユニット
52 車輪単体
521 フランジ
522 保持溝
523 連結ギア
524 駆動ギア
53 集電ロッド
54 気化支援ローラ
541 受動ギア
542 アイドルギア
543 ローラ駆動ギア
55 温熱風ダクト
551 ファンケーシング
553 導風ダクト
554 分岐ダクト
555 温熱風ノズル
56 ファン
57 ヒーター(ニクロム線ヒーター)
6 回収気体導出装置
60 導出路
61 導出ダクト
61a 案内部材
62 冷却コイル
63 ドレン口
64 再導入管
8 原水タンク
81 送水管
H 温熱風
M1 ユニット駆動モータ
M2 ローラ駆動モータ
M3 ファン駆動モータ
P 原水ポンプ
V 乾燥処理気体
V0 回収気体
W 浄化処理水
W0 原水
Claims (6)
- 閉鎖空間を構成する筐体と、
この筐体内に設けられる処理区画室と、
この処理区画室内に配置される吸液性を具えた処理メディアと、
この処理メディアに対し原水を散布する原水ノズルと、
前記処理メディアに接触しながら移動し、処理メディア上に散布された原水を気化・蒸散させるための処理ユニットとを具えて本体装置を構成し、
前記処理メディアに散布された原水を気化させることにより、処理メディアに原水中の汚染物質を残留・保持させるとともに、
原水中の清浄水を含む清浄な状態の回収気体を筐体外部に排出するようにした排水浄化処理装置であって、
前記処理区画室は、処理メディアを敷設し得る長さを有する空間とし、
この処理区画室の長手方向に沿って前記処理メディアが設けられ、
更に前記処理ユニットは、処理メディアの設置方向に沿って処理区画室内を移動するものであり、
且つ処理ユニットは、
処理メディアに温熱風を吹き出す温熱風ノズルと、
前記処理メディアに対して、摩擦熱による蒸発を促進させる積極摩擦動回転を行う気化支援ローラと
を具えていることを特徴とする排水浄化処理装置。
- 前記処理メディアの上面に温熱風が吹き付けられるように温熱風ダクトを配置し、処理メディアの下面に送風されるように乾燥風ノズルを配置する構成であることを特徴とする請求項1記載の排水浄化処理装置。
- 前記筐体には、気化した回収気体を排出するための移送風が供給されていることを特徴とする請求項1または2記載の排水浄化処理装置。
- 前記本体装置には、前記筐体から排出される回収気体を回収する回収気体導出装置が設けられ、この回収気体導出装置により筐体外部に排出された回収気体から浄化処理水を分離させるとともに、回収気体を乾燥処理気体とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の排水浄化処理装置。
- 前記乾燥処理気体は、筐体内に戻されることを特徴とする請求項4記載の排水浄化処理装置。
- 前記処理区画室は、処理区画ケージ内に複数室設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の排水浄化処理装置。
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