発明の概要
癌細胞を死滅させる方法
本発明は、有効量のアポトーシス誘導療法を施す段階、および癌細胞において細胞内で発現するが、アポトーシスを受けている癌細胞中では細胞表面上に露出するようになる癌関連抗原へ結合する有効量の抗体コンジュゲートまたは抗体複合体を投与する段階によって癌細胞を死滅させる方法を提供する。アポトーシス誘導療法および抗体コンジュゲートまたは抗体複合体を投与するタイミングは、アポトーシスが進行中、または誘導されている時点で抗体が癌細胞へ到達するように計画される。好ましい態様では、癌関連抗原は、通常は細胞内で発現するがアポトーシスを受けている腫瘍細胞中では細胞表面上に露出し始めるプレニル化タンパク質である。また別の好ましい態様では、プレニル化タンパク質はC35抗原である。抗体は毒素とコンジュゲートまたは複合体化され、これは抗体が結合する細胞が死滅させられ、および/または毒素に曝露させられた周囲癌細胞が死滅させられることを保証する。1つの態様では、毒素は放射性同位体である。
1つの態様では、本方法は、化学療法薬、その後または同時に、放射性物質へコンジュゲートしている抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体を投与する段階を含む。
また別の態様では、本方法は毒素とコンジュゲートまたは複合体化していない抗体を投与する段階を含み、該抗体へ結合した細胞は死滅する。
本発明の方法はインビトロまたはインビボで実施することができ、ヒトなどの哺乳動物を含む患者における治療薬として使用できる。
C35に対する抗体およびC35抗体を使用する方法
本発明は、C35ポリペプチドへ結合する抗体をさらに提供する。本発明は、C35ポリペプチドもしくはポリペプチドフラグメントまたはSEQ ID NO:2の変異体などのC35ポリペプチドの変異体へ免疫特異的に結合する抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を含む。
本発明者らは、一つまたは複数のC35ポリペプチド(例、SEQ ID NO:2)へ免疫特異的に結合するマウスおよびヒト抗体ならびにこれらの抗体からのVHおよびVL領域をコードするポリヌクレオチドを生成した。そこで、本発明は、SEQ ID NO:56、58、および60に記載したもの、ならびに以下の表2および3に列挙したものを含むこれらのポリヌクレオチドを含み、これらは表2および3に列挙した日付にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄託され、表2および3に同定したATCC寄託番号が付与されている。ATCCは米国20110-2209バージニア州マナッサス10801のBoulevard大学に所在する。ATCC寄託は、特許手続きのための微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件にしたがって行われた。
本発明は、一つまたは複数のC35ポリペプチド(例、SEQ ID NO:2)へ免疫特異的に結合するVHおよびVL領域をコードする寄託されたポリヌクレオチドクローン、寄託されたポリヌクレオチドを含む細胞、寄託されたポリヌクレオチドによってコードされたVHおよび/またはVL領域を含む抗体、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド、およびそのようなポリヌクレオチドを含む細胞をさらに含む。本発明は、SEQ ID NO:56、58、および60のポリヌクレオチドを含む細胞、SEQ ID NO:56、58、および60によってコードされたVHおよび/またはVL領域を含む抗体、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド、およびそのようなポリヌクレオチドを含む細胞をさらに含む。そのような抗体は、寄託されたポリヌクレオチドによってコードされたVHおよびVL領域を含む起源抗体と同一エピトープ特異性を持っている場合も持っていない場合もあり、そしてその起源抗体のC35に対する親和性と同等以上の親和性を持っている場合も持っていない場合もある。1つの態様では、本発明の抗体は、天然C35配列の残基105から115によって表されるエピトープへ結合する。
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたVH、VH CDR、VL、VL CDRのうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するこれらの抗体のフラグメントもしくは変異体(例、scFv、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ミニボディ(minibody)、重鎖、VH領域、VH CDR(相補性決定領域)、軽鎖、VL領域、またはVL CDR)を含む、またはそれらからなる抗体を含む。そのような抗体は、寄託されたポリヌクレオチドによってコードされたVHおよびVL領域を含む起源抗体と同一エピトープ特異性を持っている場合も持っていない場合もあり、そしてその起源抗体のC35に対する親和性と同等以上の親和性を持っている場合も持っていない場合もある。
本発明は、一つまたは複数のC35ポリペプチドへ結合する、および酵素、蛍光標識、発光標識、または生物発光標識などの検出可能な標識へ結合している抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体をさらに提供する。本発明は、一つまたは複数のC35ポリペプチドへ結合する、および例えば放射性物質のような治療薬または毒素へ結合している抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体をさらに提供する。1つの態様では、本発明の抗体は放射性同位体へ結合させられる。
本発明は、本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなるscFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、VH領域、もしくはVL領域などの分子を含む)をコードする、一般に単離された一つまたは複数の核酸分子をさらに提供する。本発明は、本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなるscFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、VH領域、もしくはVL領域などの分子を含む)をコードする核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞およびそれらの子孫をさらに提供する。本発明は、本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を作製するための方法をさらに提供する。本発明は、核酸分子から本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を発現させる方法をさらに提供する。
本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトへ、C35ポリペプチドもしくはフラグメントまたはそれらの変異体へ免疫特異的に結合する有効量の一つまたは複数の抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体、あるいは関連分子を投与する段階を含む、癌を治療するための方法および組成物に関する。好ましい態様では、本発明は、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、大腸癌、および黒色腫を治療するための抗体をベースとする方法および組成物に関する。
好ましい態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトへ、有効量の化学療法薬および例えば放射性物質のような毒素とコンジュゲートしている有効量の一つまたは複数の抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体を投与する段階を含む、癌を治療するための併用療法に関する。
本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトへ、C35もしくはフラグメントまたはそれらの変異体へ免疫特異的に結合する有効量の一つまたは複数の抗体もしくはフラグメントまたはそれらの変異体、あるいは関連分子を投与する段階を含む、癌を検出する、診断する、または予後診断するための方法および組成物をさらに含む。好ましい態様では、本発明は、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、大腸癌、および黒色腫を検出する、診断する、または予後診断するための抗体をベースとする方法および組成物に関する。
本発明のまた別の態様は、C35の発現を監視するため、または癌における診断用ツールとしての本発明の抗体の使用を含む。所定の態様では、本方法は、アポトーシス誘導治療プログラムの有効性を確証するための診断薬としてもさらに使用できる。
以下では本発明のこれらやその他の局面をさらに詳細に記載する。
発明の詳細な説明
概観
数多くの研究が、アポトーシスを受けている細胞の表面膜内における変化について記載してきた。これらの中で特に顕著な変化は、表面膜の外側小葉上のホスファチジルセリンの露出に反映されるようなリン脂質非対称性の初期消失である。表面膜組成におけるこの変化は、マクロファージによるアポトーシス細胞の認識および除去を容易にすると報告されている(Fadok, V.A., et al., J. Immunol. 148:2207-2216(1992))。抗凝固薬であるアネキシンVを露出したホスファチジルセリン分子へ結合させることによって、アポトーシスを受けている細胞の検出を可能にする一般的方法が開発されてきた(Koopman, G., et al., Blood 84:1415-1420(1994))。
より一般的な関心対象となるのは、他の表面膜分子、特にタンパク質の発現および露出がアポトーシス細胞中では変化する可能性である。数多くの報告書が、細胞内で発現すると思われるアポトーシス特異的タンパク質(Grand, R.J.A., et al., Exp. Cell Res. 218:439-451(1995); 1997年2月6日に出願され、1999年10月26日に発行されたU.S. Patent number:5,972,622, 「Method of Detecting Apoptosis Using an Anti-Human GP46 Monoclonal Antibody」)について記載してきた。より直接的に重要であるのは、アポトーシス細胞の表面膜およびミトコンドリア膜と関連付けられるようになる、正常細胞中では検出不能である38 kDのタンパク質抗原を検出するモノクローナル抗体についての報告書である(1996年3月29日に出願され、1999年8月10日に発行されたU.S. Patent number:5,935,801, 「Monoclonal Antibody that Detects Apoptotic Antigen」)。アポトーシス性ケラチノサイト(Casciola-Rosen, L.A., et al., J. Exp. Med. 179:1317-1330(1994))および胚発生中にアポトーシスを受けている細胞(Rotello, R.J., et al., Development 120:1421-1431(1994))の表面上または表面近くで示差的に露出するようになる他の抗原についても記載されている。これらの規定されたタンパク質抗原CD3、CD69およびCD25は、アポトーシス胸腺細胞の表面膜上ではアップレギュレートされることが証明されている(Kishimoto, H., et al., J. Exp. Med. 181:649-655(1995))。各場合に、これらは正常細胞および組織中でのアポトーシスの表面マーカーである。同一マーカーがアポトーシスを受けている腫瘍細胞に関連する場合もあるが、それらはアポトーシス腫瘍細胞を、正常組織の代謝回転の一部としてアポトーシスを受けている正常細胞から識別することはできない。このため、それらは癌を治療するための標的としては有用ではない。
本発明者らは、化学療法または放射線誘導アポトーシスの条件下では腫瘍細胞膜上に露出されるようになる、そして腫瘍内に抗体縫合放射性同位体または毒素を集中させるための有効な標的となる細胞内腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原のサブセットが存在することを決定した。そのような抗原に対する抗体を使用する方法は、それらが癌を治療する際に標準的アポトーシス誘導化学療法および放射線療法の治療上の恩典を増強できるから、特に効果的である。本発明は、放射線および/または化学療法によってアポトーシスを受けることが誘導されている腫瘍細胞の表面膜上に露出するようになる細胞内腫瘍抗原の1クラスとして、内部細胞膜-特に、プレニル化モチーフを発現するC35癌特異的抗原などの示差的に発現した分子-に関連する腫瘍特異的抗原を同定する。
本発明は、腫瘍の根絶を強化するために化学療法または放射線療法によるアポトーシス(好ましくは大規模アポトーシス)の誘導と併せて機能する方法について記載する。本方法は、腫瘍細胞中で示差的に発現した1クラスの細胞内マーカーがアポトーシス細胞の表面上に露出するようになり、その細胞表面は毒性ペイロードへコンジュゲートした特異的抗体による標的とすることができるという新規の観察に基づいている。この治療方法の恩典は幾重にも及ぶ。例えば、本方法はアポトーシス標的の近傍で他の非アポトーシス腫瘍細胞を破壊する可能性がある毒性ペイロードを腫瘍環境へ送達することを許容する。さらに、本方法は、表面膜構成要素の変化によって証明されるように、さもなければ生育性のアポトーシスプロセスを開始している細胞がアポトーシスの進行を逆転して増殖を再開するのを防止することができる(Hammill, A.K., et al., Exp. Cell Res. 251:16-21(1999))。
アポトーシス細胞を標的とする本発明は、壊死細胞を標的とする以前の発明(1999年8月9日に出願され、2000年1月6日に発行されたU.S. Patent number:6,071,491, 「Detection of Necrotic Malignant Tissue and Associated Therapy」)とは区別しなければならない。壊死は、細胞外腫瘍環境への細胞内の内容物の放出を生じさせる。これらの細胞内抗原の一部はその環境内に蓄積し、特異的抗体の標的となる。しかし、壊死は、酸素ラジカルが欠如するために、放射線療法およびもしかすると放射免疫療法に対して相当に耐性である大きな腫瘍の低酸素領域と関連している。化学療法薬を用いた治療後には壊死がいくらか増加することはあるが(Desrues B., et al., Br. J. Cancer 72:1076-82,(1995))、化学療法薬の主要機能はアポトーシスを増加させることである。このため、壊死は、癌の免疫療法、ならびに特に小さな腫瘍および腫瘍びまん化の原因である微小転移の根絶にとってアポトーシスほど適合する標的ではない。そこで、小さな腫瘍および微小転移を根絶させることに有効である方法は、進行性癌を治療するために特に有用である。
本発明は、さらにまたC35(SEQ ID NO:2)の一部分と同一の大きな領域を備える抗原(SEQ ID NO:966)を含む、842種の癌抗原を開示しているpatent application publication number US 2002/0052308 A1(2002年5月2日)における開示とは区別されなければならない。US2002/0052308 A1は、第205頁、第0229段落で、概して「単独または他のタイプの治療方法(例、放射線療法、化学療法、ホルモン療法、免疫療法および抗癌剤)と併用した」842種の癌抗原に対する抗体の投与を開示している。しかし、この公表された特許出願は、C35関連標的に対して有効であるためには、化学療法、放射線療法、またはその他の抗癌剤などのアポトーシス誘導剤の投与によって腫瘍細胞中でアポトーシスが誘導された後に毒素とコンジュゲートしたC35特異的抗体を投与しなければならないとは規定していない。実際に、C35とは対照的に、腫瘍細胞表面膜上で自然に発現する抗原に向けられる併用化学療法および放射免疫療法についての多数の試験は、最適な結果は化学療法の前に、すなわちアポトーシスが誘導される前に放射免疫療法用抗体を投与することによって入手されると結論付けている(DeNardo S.J., et al. Anticancer Res. 18:4011-18,(1998); Clarke K., et al., Clin. Cancer Res. 6:3621-28,(2000); Burke P.A., Cancer 94:1320-31(2002); Stein, R. et al., Cancer 94:51-61(2002); Odonnel R.T., et al., Prostate 50:27-37(2002))。アポトーシスが、プレニル化されており、未処置腫瘍細胞の内部膜と関連しているC35を含む1クラスの細胞内抗原の表面膜露出を生じさせるという発見は、本発明を特徴付けている。本発明は、最適な効果を得るためには、このクラスの標的分子に向けられる放射免疫療法が、アポトーシス誘導剤の投与によってアポトーシスが腫瘍細胞中で誘導されるのとほぼ同時に、またはそれからほんの少し後に、抗体が腫瘍部位に蓄積するように投与されるのが最善であることを教示している。US2002/0052308 A1は、C35関連癌抗原の細胞下の所在位置を記載していないし、治療効果を得るためにこの抗原に対する抗体をどのように投与すべきかについても記載していない。
癌細胞を死滅させる方法
本発明は、最初に有効量のアポトーシス誘導療法(例、化学療法薬および/または放射線)を投与する段階、および続いて腫瘍細胞中では細胞内で発現するが、アポトーシスを受けている腫瘍細胞中では細胞表面上に露出するようになる癌関連抗原へ結合する有効量の抗体コンジュゲートまたは抗体複合体を投与する段階による癌細胞(本明細書において腫瘍細胞とも呼ぶ)を死滅させる方法に向けられる。抗体は、以下で説明するように、毒素とコンジュゲートまたは複合体化される。毒素は、それに抗体が結合する細胞が死滅させられることを保証する、および/または同様に毒素へ曝露させられる周囲細胞を死滅させる。
1つの態様では、本方法は、化学療法薬と放射免疫療法の併用を含む。本発明以前は、化学療法および放射免疫療法の併用は、累積用量を制限する骨髄毒性に起因する問題を引き起こした。本発明は、化学療法が抗体への細胞内抗原の曝露を生じさせるような併用療法の投与を提供する。最適の投与時点は、本明細書および実施例に記載した方法を用いることによって精密に決定できる。
また別の態様では、本方法は毒素とコンジュゲートまたは複合体化していない抗体を投与する段階を含み、その抗体へ結合した細胞は死滅させられる。この態様では、抗体へ結合する細胞を死滅させるために毒素が抗体とコンジュゲートまたは複合体化される必要はない。抗体自体の結合が細胞を死滅させる、またはそれが死ぬのを保証する。この態様では、アポトーシスは、好ましくはほとんど、またはほぼ全部の癌細胞、例えばほとんど、またはほぼ全部の腫瘍または転移の細胞において誘導される。
アポトーシス誘導療法後の抗体、抗体コンジュゲートまたは抗体複合体を投与するタイミングは変動してよいが、その間に腫瘍細胞がアポトーシスを受ける所定の時間範囲中でなければならない。そこで、抗体、コンジュゲート抗体または複合体化抗体は、その間にアポトーシスが誘導される、またはアポトーシス誘導療法(化学療法薬および/または放射線)を用いて処置されている腫瘍細胞中で進行中である期間内に投与される。化学療法薬は、一般に投与24〜72時間後にアポトーシスを誘導する。癌関連抗原に対する抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)は、一般に投与24〜48時間後に一つまたは複数の腫瘍の部位に蓄積する。全抗体(whole antibody)が蓄積するためには、一般に抗体フラグメントより長い時間を要する。このため本発明の方法では、一般に、癌関連細胞内抗原に対する抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)は、化学療法薬の投与0〜48時間後に(抗体フラグメントについて)、および化学療法薬の投与の24時間前から投与の24時間後までに(全抗体について)投与すべきである。好ましい態様では、抗体、またはコンジュゲートまたは複合体化抗体は、アポトーシス誘導療法が投与された0〜6時間後、6〜12時間後、6〜24時間後、6〜36時間後、6〜48時間後、6〜72時間後、6〜96時間後、6〜120時間後、12〜24時間後、12〜36時間後、12〜48時間後、12〜72時間後、12〜96時間後、12〜120時間後、24〜36時間後、24〜48時間後、24〜72時間後、24〜96時間後、24〜120時間後、36〜48時間後、36〜72時間後、36〜96時間後、36〜120時間後、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41,42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、または120時間後に投与される。また別の態様では、抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)は、例えばアポトーシス誘導療法が投与される0〜6時間前、0〜12、0〜24、6〜12、6〜24、12〜24、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2時間前、または1時間前に投与される。また別の態様では、抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)は、アポトーシス誘導療法と同時に投与される。
以下では本発明の方法において有用なアポトーシス誘導療法について考察する。「腫瘍」または「癌」または「高増殖性疾患」は、全ての形質転換細胞および組織ならびに全ての癌性細胞および組織を含む、悪性であっても良性であっても、全ての新生物細胞成長および増殖を意味する。
癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫および白血病またはリンパ性悪性腫瘍が含まれるが、それらに限定されない。そのような癌のより特定の例には、扁平細胞癌(例、扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌および肺扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、神経芽膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫、乳癌、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頸部癌が含まれる。癌のその他の例は、以下の「高増殖性疾患」の下に列挙する。
「周囲」癌細胞は、抗体とコンジュゲートまたは複合体化された毒素によって死滅させられるほど十分近くに存在する癌細胞を意味する。
本発明の方法はインビトロまたはインビボで実施することができ、ヒトのような哺乳動物を含む患者における治療薬として使用できる。
癌関連細胞内抗原
本発明の方法は、アポトーシスがアポトーシス誘導療法の投与によって誘導されている間または誘導された後に抗体が癌の部位で蓄積するような時点での、癌関連細胞内抗原に対する抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)の投与に向けられる。
用語「抗原」および「エピトープ」は、当技術分野において明確に理解されており、免疫系の構成要素、例えば抗体またはT細胞抗原受容体によって特異的に認識される高分子の部分をいう。用語「エピトープ」には、免疫グロブリンへ特異的に結合できる任意のタンパク質決定基が含まれる。エピトープ決定基は、通常はアミノ酸または糖側鎖などの化学的に活性な表面分子群からなり、通常は特異的な三次元構造特性ならびに特異的な荷電特性を有する。
「癌関連抗原」または「腫瘍関連抗原」は、同一細胞タイプの非癌性細胞または同一組織由来の非癌性細胞に比較して、癌細胞によって優先的に発現する抗原を意味する。癌関連抗原は、癌細胞によって排他的に発現するのではない(すなわち、他の正常細胞もこれらの抗原を発現することがある)。しかし、癌関連抗原の発現は、一般に一つまたは複数の特定タイプの癌において一貫してアップレギュレートされる。癌関連抗原は、特定タイプの癌を有する動物において特異的免疫応答を引き出す可能性がある抗原、好ましくはタンパク質であり、したがって癌関連抗原および癌関連抗原のフラグメントが含まれる。この用語には、完全腫瘍関連抗原だけではなく、エピトープを含むそれらの部分(フラグメント)も含まれる。腫瘍関連抗原(TAA)は、自然に見いだされることがある、または自然に見いだされるTAAの合成バージョンであることがある、または天然型TAAの変異体、例えば増強された免疫原性特性を有する変異体であることがある。
数多くの癌関連抗原は当技術分野において公知であり、そして新規に同定された遺伝子またはタンパク質が癌もしくは腫瘍のタイプに関連しているかどうかを決定するためのルーチン方法は公知である。そのような方法には、ノーザンブロット分析、ディファレンシャルディスプレイ法、SAGE、二次元タンパク質ゲル電気泳動法もしくはタンデム質量分析法、サザンブロット分析、および癌もしくは腫瘍の起源組織由来の正常(非癌性または非形質転換)細胞と比較して、または他の組織由来の正常細胞と比較して、特定タイプの癌もしくは腫瘍から癌細胞中でのmRNAの上昇したレベルもしくはタンパク質発現または特異的遺伝子増幅を検出するための他の方法が含まれる。その他の方法には、正常細胞に対して腫瘍のMHC分子と関連して示差的に発現したペプチドのタンデム質量分析法による分析が含まれる。
「細胞内」癌関連抗原は、アポトーシスを受けていない腫瘍細胞(癌性または形質転換細胞)の細胞内膜上で発現する癌関連抗原を意味する。その上で「細胞内」癌関連抗原が発現する可能性のある内部膜には、小胞体(ER)、エンドソームおよびリポソーム小胞を含む小胞へ結合した他の細胞質膜、ミトコンドリア膜、ならびに核膜が含まれる。好ましい「内部で発現した」癌関連抗原には、小胞体および/またはエンドソームまたはリポソーム小胞の膜上で発現したプレニル化タンパク質が含まれる。プレニル化癌関連タンパク質の例は、表1に列挙した。プレニル化癌関連タンパク質はさらにまたC35または表1に列挙した任意の個別タンパク質、または任意のそれらの組み合わせを排除することができる。例えば、プレニル化癌関連タンパク質は、CENP-F動原体タンパク質、CAAXボックスタンパク質1、DnaJホモログサブファミリーAのメンバー1もしくは2、またはグアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(O)γ-5サブユニットを排除できる。
新規に同定された癌関連抗原、例えば癌関連タンパク質に対して、それがプレニル化されているかどうかを決定するためのルーチン方法には、プレニル化モチーフに対応する遺伝子/タンパク質配列の3’末端でヌクレオチドのストリングを探索する段階が含まれる。多数の真核細胞タンパク質は、システイン残基へのファルネシル基またはゲラニル-ゲラニル基のどちらかの付着によって翻訳後に修飾されている(Glomset, J.A., et al., Trends Biochem. Sci. 15:139-142(1990); Lowy, D.R., and Willumsen, B.M., Nature 341:384-385(1989); Imagee, A.I., Biochem. Soc. Trans. 17:875-876(1989); Powers, S., Curr. Biol. 1:114-116(1991))。この修飾は、C末端から離れている3つの残基であるシステイン残基上で発生する;C末端残基からこのシステインを分離する2つの残基は一般に脂肪族(Ali)である。このCys-Ali-Ali-Xパターンは、一般にCAAXボックスとして公知である。脂肪族アミノ酸には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、およびプロリンが含まれる。C35の最後の4つのアミノ酸はCVILである。末端位置にあるロイシンは、これがゲラニル-ゲラニル基の付加を生じさせるプレニルトランスフェラーゼGGTase Iのための基質であることを示している(Moomaw and Casey, J. Biol. Chem. 267, 17438-17443(1992))。
そこで、本発明の方法は、抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)もしくはアポトーシス誘導剤を投与する前に、癌関連タンパク質がアポトーシスを受けている細胞中の細胞表面に露出されるようになる細胞内タンパク質であるかどうかを決定する段階もさらに提供する。そのような決定は、コンピュータまたは手動によってそのC末端でCAAXボックスのための候補タンパク質のアミノ酸配列を分析する段階、および/またはそのタンパク質を発現する細胞中でアポトーシスを誘導した後にその候補タンパク質が細胞外で発現するかどうかを決定するためのアッセイを実施する段階を含んでいてよい。そのようなアッセイは当技術分野において公知であり、本明細書(例えば、実施例1および2参照))において記載されており、候補タンパク質を発現する細胞中でアポトーシスを誘導する段階、およびアポトーシス細胞の細胞表面上でタンパク質を検出するために候補タンパク質に対して特異的な抗体(例、標識抗体)を使用する段階を含む。
(表1)癌関連プレニル化タンパク質をコードする遺伝子
本発明の様々な態様では、プレニル化タンパク質は、アポトーシスを受けている細胞の表面露出膜への転位に比較して密接に関連する特性を備える単一クラスとして処置される。
治療方法
癌細胞を死滅させるための上述の方法は、哺乳動物被験者を治療する方法としてインビボで使用できる。
用語「被験者」または「個体」または「患者」または「哺乳動物」は、本明細書において互換的に使用され、任意の被験者、具体的には診断または治療が望ましい哺乳動物被験者を意味する。哺乳動物被験者には、ヒト、家畜、農耕動物、ならびにイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、乳牛などの動物園の動物、競技用動物、または愛玩動物が含まれる。
用語「治療する」または「治療」は、治療的処置および予防的方策の両方をいい、このとき目的は、癌の発生またはびまん化などの望ましくない生理学的変化または障害を防止または減速(減少)させることである。有益または所望の臨床結果には、検出可能または検出不能のいずれであろうと、症状の緩和、疾患程度の減少、疾患の安定化した(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解(部分的または完全のいずれであろうと)が含まれるが、それらに限定されない。「治療」は、治療を受けない場合に予測される生存率に比較して生存率を延長させることを意味することもできる。治療を必要とする被験者には、既に状態もしくは障害を備えている被験者ならびに状態もしくは障害を有する傾向がある被験者または状態もしくは障害を予防すべき被験者が含まれる。任意のこれらの治療タイプまたは任意の患者のタイプが排除されてもよい。
本発明の方法において好ましいのは、列挙したプレニル化タンパク質に対して特異的な抗体(例、複合体化およびコンジュゲート抗体)がそのプレニル化タンパク質に対して列挙したタイプの癌を治療するために使用される、表1に示した組み合わせである。例えば、本発明の方法においてCENP-F動原体に対して特異的な抗体を使用すると大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、神経腫瘍、および皮膚癌を治療することができる;CAAXボックスタンパク質1に対して特異的な抗体を使用すると、乳癌および膵臓癌を治療することができる;DNAJホモログサブファミリーAメンバー1に対して特異的な抗体を使用すると、消化管、膵臓、胃、および前立腺の癌などを治療することができる。さらに、C35タンパク質に対して特異的な抗体を使用すると、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、大腸癌、および黒色腫を治療する、診断する、または検出することができる。
本発明の方法において同様に好ましいのは、哺乳動物、好ましくはヒトへ、有効量の化学療法薬を投与する段階、およびその後またはそれと同時に毒素、好ましくは放射性物質へコンジュゲートしている本発明の抗体を投与する段階を含む、癌を治療するための化学療法/放射免疫療法の併用である。
また別の態様では、毒素、好ましくは放射性物質とコンジュゲートした本発明の抗体が、単独で投与される。
抗体
本明細書において使用する用語「抗体」または「免疫グロブリン」は、2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖からなる抗体ならびに例えばFv、Fab、およびF(ab’)2ならびに二官能ハイブリッド抗体(例、Lanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17, 105(1987))および一本鎖(例、参照により本明細書に組み入れられるHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 5879-5883(1988) and Bird et al., Science 242, 423-426(1988))抗体以外の様々な形状の抗体を意味する(一般に、参照により本明細書に組み入れられるHood et al., Immunology, Benjamin, N.Y., 2ND ed.(1984), Harlow and Lane, Antibodies. A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(1988) and Hunkapiller and Hood, Nature, 323,15-16(1986)参照)。
本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作製されたフラグメント、ドメイン欠失抗体(例えば、CH2ドメイン欠失抗体を含む)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のうちの任意のエピトープ結合フラグメントが含まれるが、それらに限定されない。本明細書において使用した用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原へ免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であってよい。
本発明の抗体には、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディなどの抗体および抗体フラグメントの遺伝子組換え形、およびscFvの高次多量体、ならびに2つの定常(C)ドメインによって結合された2つのscFvフラグメントなどのミニボディが含まれるが、それらに限定されない。例えば、Hudson, P.J. and Couriau, C., Nature Med. 9:129-134(2003); U.S. Publication No. 20030148409; U.S. Patent No. 5,837,242参照。
本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源由来であってよい。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例、マウスおよびラット)、ロバ、ウサギ(ship rabbit)、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書において使用する「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または一つまたは複数のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックであり、以下で記載する、そして例えばKucherlapatiらによるU.S. Pat. No. 5,939,598に記載された内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体が含まれる。
2つの核酸またはポリペプチド(例、C35抗体をコードするDNAまたはC35抗体のアミノ酸配列)の状況における語句「実質的に同一」は、以下の配列比較方法を用いて、および/または視覚的検査によって測定されるような、最高一致について比較およびアライメントしたときに、少なくとも約80%、最も好ましくは90〜95%以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2つ以上の配列またはサブ配列をいう。そのような「実質的に同一」の配列は、典型的には相同性であると考えられる。好ましくは、「実質的同一性」は長さが少なくとも約50残基である配列領域にわたって、より好ましくは少なくとも約100残基の領域にわたって存在する、および最も好ましくは配列は少なくとも約150残基にわたって、または比較される2つの配列の全長にわたって実質的に同一である。以下で説明するように、任意の2つの抗体配列は、Kabatにおける番号付けスキームを使用することによって、一方向にのみアライメントできる。このため、抗体に対して、同一性率は固有で明確に規定された意味を有する。
免疫グロブリンの成熟重鎖および軽鎖の可変領域由来のアミノ酸は各々HxおよびLxと指定されており、このときxはKabatのスキームであるSequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991)によるアミノ酸の位置を示す数である。Kabatは、各サブグループについての抗体に対する多数のアミノ酸配列を列挙しており、そしてコンセンサス配列を作製するためにそのサブグループ内の各残基位置について最も一般的に発生するアミノ酸を列挙している。Kabatは、列挙した配列内の各アミノ酸へ残基番号を指定するために1つの方法を使用しており、残基番号を指定するためのこの方法は当技術分野において標準となってきた。Kabatのスキームは、保存されたアミノ酸を参照してKabatにおけるコンセンサス配列の1つと問題の抗体をアライメントする段階によって彼の一覧表に含まれていない他の抗体へ拡大することができる。Kabat番号付けシステムの使用は、様々な抗体における同等の位置でアミノ酸を容易に同定する。例えば、ヒト抗体のL50位置にあるアミノ酸は、マウス抗体のアミノ酸位置L50と同等の位置を占める。
塩基性抗体構造単位は、四量体を含むことが公知である。各四量体は、各対が1本の「軽鎖」(約25kDa)および1本の「重鎖」(約50〜70kDa)を有している、2つの同一対のポリペプチド鎖から構成されている。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識に責任を負っている約100から110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能に責任を負っている定常領域を規定する。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。そこで、無傷抗体は2つの結合部位を有する。
軽鎖は、κまたはλのどちらかであると分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、そして抗体のアイソタイプを各々IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEとして規定する。軽鎖および重鎖の中では、可変領域および定常領域は、さらに約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む重鎖とともに、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合されている(一般に、Fundamental Immunology, Paul, W., ed., 3rd ed. Raven Press, N.Y., 1993, SH. 9(全ての目的で全体として参照により組み入れられる)参照)。
N末端からC末端へ、軽鎖および重鎖両方の可変領域はまた別のフレームワークおよび相補性決定領域(CDR):FR、CDR、FR、CDR、FR、CDRおよびFRを含む。各領域へのアミノ酸の指定は、Kabat(1987) and (1991)、前記、および/またはChothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917(1987); Chothia et al., Nature 342:878-883(1989)の定義にしたがっている。
本明細書において使用する用語「フレームワーク領域」は、Kabatら、前掲載書中、によって規定されたように、抗体の軽鎖および重鎖可変領域の単一種における相違する免疫グロブリン間で相対的に保存された(すなわち、CDR以外の)部分をいう。本明細書において使用する用語「ヒトフレームワーク領域」は、天然型ヒト抗体のフレームワーク領域と実質的に同一(約85%以上)であるフレームワーク領域である。
ヒトにおいて使用するために最も好ましくは、抗体は本発明のヒトまたはヒト化抗原結合抗体フラグメントであり、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ドメイン欠失抗体、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVLまたはVH領域のどちらかを含むフラグメントが含まれるが、それらに限定されない。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または全体または次の、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの一部分と組み合わせて含んでいてよい。本発明に同様に含まれるのは、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとの任意の組み合わせをさらに含む抗原結合フラグメントである。
本発明の治療方法において好ましい抗体は、CH2ドメインの欠失を含有する抗体である。
本明細書において使用する用語「ヒト化」免疫グロブリンまたは「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体由来の少なくとも1つのCDRであるヒトフレームワークを含み、そしてその中に存在する任意の定常領域はヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一である、すなわち少なくとも約85〜90%、好ましくは少なくとも95%同一である免疫グロブリンをいう。そこで、もしかするとCDR以外のヒト化免疫グロブリンの全部分は、一つまたは複数の天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。例えば、ヒト化免疫グロブリンは、キメラマウス可変領域/ヒト定常領域抗体を含んでいない。
本明細書において使用する用語「キメラ」抗体は、それの重鎖および軽鎖が、相違する種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから、典型的には遺伝子組換え技術によって構築されている抗体をいう。例えば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変(V)セグメントは、γ1および/またはγ4などのヒト定常(C)セグメントへ結合することができる。そこで典型的な治療用または診断用キメラ抗体は、マウス抗体由来の少なくとも1つのV領域(例、VHもしくはVL)または全抗原結合ドメイン(すなわち、VHおよびVL)ならびにヒト抗体由来の少なくとも1つのC(エフェクター)領域(例、CH(CH1、CH2、CH3、もしくはCH4)またはCL(CL1、CL2、CL3、もしくはCL4))または全Cドメイン(すなわち、CHおよびCL)を含むハイブリッドタンパク質であるが、他の哺乳動物種を使用することもできる。一部の態様では、特に本発明の治療方法において使用するために、キメラ抗体はCH2ドメインを含有していない。
本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはそれ以上の多重特異性であってよい。多重特異性抗体は、本発明のポリペプチドの様々なエピトープに対して特異性であってよく、または本発明のポリペプチドおよび例えば異種ポリペプチドまたは固体支持体材料などの異種エピトープの両方に対して特異性であってよい。例えば、PCT publications WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360; WO 92/05793; Tutt, et al., J. Immunol. 147:60-69(1991); U.S. Pat. Nos. 4,474,893; 4,714,681; 4,925,648; 5,573,920; 5,601,819; Kostelny et al., J. Immunol. 148:1547-1553(1992)参照。
本項における記述は、C35抗体および本発明の方法において有用であるその他の抗体に当てはまる。そのような抗体は、本明細書において記載のように毒素とコンジュゲートまたは複合体化させることができる、またはコンジュゲートもしくは複合体化されなくてもよい。
C35抗体
C35は、乳癌ならびに黒色腫、大腸癌、卵巣癌、および膵臓癌を含む所定の他の腫瘍タイプにおいて示差的に発現する抗原である。C35タンパク質は、プレニル化されて内部細胞膜と結び付くことが証明されているが、生育性腫瘍細胞の表面膜上では検出できない。本発明者らは、C35エピトープを免疫特異的に認識する、マウスモノクローナル抗体およびヒト抗体を含む多数の抗体を作製してきた。本発明者らは、化学療法薬または照射のどちらかを用いた処置による腫瘍細胞中でのアポトーシスの誘導が、無傷腫瘍細胞がC35特異的抗体によって認識されることを可能にするC35の表面膜露出を生じさせることもまた証明した。
C35ポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列(SEQ ID NO:1および2)
そこで、本発明は、C35に対する抗体、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド、C35抗体およびポリヌクレオチドを用いてC35関連癌を治療する方法、ならびにC35抗体およびポリヌクレオチドを用いる検出および診断方法にさらに関する。さらに、C35抗体ポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞、ならびにC35抗体を作製する方法もまた提供される。本明細書においてより詳細に記載するように、本発明は、癌の治療、検出、および診断のためにC35抗体を使用する方法にさらに関する。「抗体」の項の下の上記の記述は、本明細書において記載のC35抗体にも当てはまる。
本発明は、被験者、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトへ、一つまたは複数のC35癌を治療するために本発明のC35抗体を投与する段階を含む、抗体をベースとする治療法にさらに向けられる。本発明の治療用化合物には、本発明の抗体(本明細書において記載のそれらのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)および本発明の抗体をコードする核酸(本明細書において記載のそれらのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)が含まれるが、それらに限定されない。本発明の抗体は、乳癌、卵巣癌、大腸癌、膵臓癌、および膀胱癌、ならびに黒色腫を含むC35関連癌を治療する、検出する、または診断するために使用できる。本発明のC35抗体は、当技術分野において公知の、または本明細書において記載の薬学的に許容される組成物で提供することができる。
本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、一本鎖抗体、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ドメイン欠失抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作製されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記の任意のエピトープ結合フラグメントが含まれるが、それらに限定されない。本明細書において使用した用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原へ免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であってよい。
C35ポリペプチドに対して特異的であるハイブリドーマ細胞系1F2.4.1および1B3.6.1は、ハイブリドーマ技術を用いて調製した(Kohler et al., Nature 256:495(1975); Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:511(1976); Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:292(1976); Hammerling et al., in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, Elsevier, N.Y., pp. 571-681(1981))。つまり、ハイブリドーマ細胞系は、C35を過剰発現させるために形質導入された同系BCA34線維芽腫瘍細胞を用いて免疫したBALB/cマウス由来の脾細胞の非分泌性骨髄腫細胞系NS-1(P3/NS1/1-AG4-1、ATCC番号;TIB-18)への標準PEG融合を用いて作製した。NS-1へのPEG融合に引き続いて、メチルセルロース半固形培地中でハイブリドーマを増殖させた。約2週間後に、ハイブリドーマコロニーを96ウエルプレート内へ単離し、個々の上清をELISA、ウェスタンブロット、および免疫組織化学検査によってC35との反応性について試験した。陽性ハイブリドーマコロニーをサブクローニングし、クローン性を保証するために反応性について2回スクリーニングした。抗体は、標準方法を用いてプロテインG親和性精製法によってハイブリドーマ上清から単離した。2種のハイブリドーマ細胞系、1F2および1B3由来の抗体は、ELISAおよびウェスタンブロットアッセイにおいて組換えC35タンパク質へ特異的に結合する。ハイブリドーマ細胞系1F2由来の抗体もまた、免疫組織化学検査によって、ホルマリン固定し、パラフィン包埋したC35陽性腫瘍および細胞系を特異的に染色する。さらに、本発明者らは、Alexa-647蛍光色素へコンジュゲートしたハイブリドーマ細胞系1F2由来の抗体を用いて定量的分析のための細胞内染色フローサイトメトリー分析法を開発した。これらの抗体各々は別個であるが、どちらもC35タンパク質に対して特異的である。これらの抗体の一方を用いて細胞溶解液からC35タンパク質を免疫沈降させ、そして他方の抗体を用いて検出することが可能である。競合的結合ELISAアッセイは、ハイブリドーマ細胞系1F2および1B3によって作製したモノクローナル抗体がC35タンパク質の様々なエピトープへ結合することを示唆する。
本発明のC35抗体には、本発明のSEQ ID NO:2のC35ポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、またはその変異体、および/またはエピトープ(特異的抗体-抗原結合をアッセイするための当技術分野において周知のイムノアッセイによって決定される)へ免疫特異的に結合する抗体が含まれる。
本明細書において使用する用語「単離された」は、その化合物が自然に発生する環境とは相違する環境内にある関心対象の化合物(例、C35抗体)を記述することを意味する。「単離された」は、関心対象の化合物が実質的に濃縮されている、および/または関心対象の化合物が部分的または実質的に精製されているサンプル内にある化合物を含むことが意味されている。
本明細書において使用する用語「実質的に濃縮された」および「実質的に精製された」は、その自然環境から除去されている化合物を指し、それが自然に結び付いている他の成分を少なくとも60%含んでいない、好ましくは75%含んでいない、および最も好ましくは90%含んでいない。本明細書において使用するように、参照抗体と「同一特異性」を有する抗体は、その抗体が参照抗体と同一エピトープへ結合することを意味する。抗体が参照抗体と同一エピトープへ結合するかどうかについての決定は、以下の「抗体結合についてのアッセイ」の項に記載したアッセイを用いて実施できる。
本明細書において考察するマウスハイブリドーマ細胞系由来の抗体は1F2および1B3である。これらの抗体のVLおよびVH領域をコードするポリヌクレオチドは、実施例6に記載のように、表2に列挙した日付にアメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」)に寄託され、表2に列挙したATCC寄託番号が付与されたTOPOベクター内へクローニングされた。ATCCは米国20110-2209バージニア州マナッサス10801のBoulevard大学に所在する。ATCC寄託は、特許手続きのための微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件にしたがって行われた。
クローン1F2Gは2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5639が付与された。クローン1F2Kは2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5640が付与された。クローン1B3Gは2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5637が付与された。クローン1B3Kは2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5638が付与された。
(表2)マウス抗C35可変領域をコードする、寄託されたポリヌクレオチドクローン
マウス可変領域遺伝子および寄託されたクローンのベクターの一部の配列は以下に記載する。
イタリック体=Topoベクター配列(寄託したクローン内に含まれる)
波線下線=TopoベクターのEcoR1クローニング部位
小文字=ジェネレーサープライマーを含む 5’非翻訳領域
ATG=ネズミシグナルペプチドビギン
ボールド体=フレームワーク領域(FWR)
二重下線=CDR1、CDR2、またはCDR3
下線=マウスIgG1またはκ定常領域の5’末端部分
1F2ネズミ抗C35 Vγ1遺伝子ポリヌクレオチド配列(クローン1F2G由来)
シグナルペプチド=18AA(アミノ酸)
FR1=30AA
CDR1=6AA
FR2=14AA
CDR2=16AA
FR3=32AA
CDR3=7AA
FR4=11AA
1F2 VHアミノ酸配列(クローン1F2Gによってコードされた)
1F2ネズミ抗C35 κV遺伝子ポリヌクレオチド配列(クローン1F2K由来)
シグナルペプチド=22AA
FR1=23AA
CDR1=10AA
FR2=15AA
CDR2=7AA
FR3=32AA
CDR3=9AA
FR4=10AA
1F2-VKアミノ酸配列(クローン1F2Kによってコードされた)
1B3ネズミ抗C35 VγV遺伝子(クローン1B3Gによってコードされた)(NC1-A7 V139-D-J1(VH36-60)M13281)
シグナルペプチド=18AA
FR1=30AA
CDR1=5AA
FR2=14AA
CDR2=16AA
FR3=32AA
CDR3=14AA
FR4=11AA
1B3 VHアミノ酸配列(クローン1B3Gによってコードされた)
1B3ネズミ抗C35κV遺伝子(クローン1B3K由来)
シグナルペプチド=20AA
FR1=23aa
CDR1=11aa
FR2=15aa
CDR2=7AA
FR3=32aa
CDR3=9AA
FR4=10AA
1B3 VKアミノ酸配列(クローン1B3Kによってコードされた)
本発明者らは、2002年9月5日に公表されたUS 2002 0123057 A1に開示された方法を用いて、2つのC35抗体MAb 165およびMAb 171をさらに作製した。MAb 165およびMAb 171の重鎖可変領域は、上述の1B3抗体重鎖可変領域と同一のCDR3領域を含む。MAb 165および171の残りはヒト起源である。本発明は、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、もしくはSEQ ID NO:60のVHもしくはVL領域、またはSEQ ID NO:56もしくはSEQ ID NO:60によってコードされたVH領域およびSEQ ID NO:58によってコードされたVL領域のいずれかの組み合わせのうちの任意の1つを含むC35ポリペプチドへ、ならびに好ましくは、C35特異的抗体Mab 165もしくはMAb 171へ免疫特異的に結合する抗体に向けられる。MAb 165およびMAb 171の両方は、同一のκ軽鎖UH8 VK L120を含む。
MAb 165およびMAb 171の重鎖および軽鎖可変領域の配列は以下に記載する。
下線=CDR1、CDR2、またはCDR3
MAb 165 VH(141D10 VH H732)ヌクレオチド配列:
MAb 165 VH(141D10 VH H732)アミノ酸配列:
MAb 171 VH(MSH3 VH H835)ヌクレオチド配列:
MAb 171 VH(141D10 VH H732)アミノ酸配列:
本発明者らは、US 2002 0123057 A1に開示された方法を用いて、ヒトC35抗体であるMAbc009をさらに作製した。本発明は、表3に列挙したポリヌクレオチドクローンによってコードされたVHおよびVL領域を含むC35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体、好ましくは完全ヒトC35特異的抗体MAbc009に向けられる。この抗体のVLおよびVH領域をコードするポリヌクレオチドは、実施例6に記載のように、表3に列挙した日付にアメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」)に寄託され、表3に列挙したATCC寄託番号が付与されたTOPOベクター内へクローニングした。ATCCは米国20110-2209バージニア州マナッサス10801のBoulevard大学に所在する。ATCC寄託は、特許手続きのための微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件にしたがって行われた。
クローンH0009は2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5641が付与された。クローンL0010は2003年11月11日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-5542が付与された。
(表3)ヒト抗C35可変領域をコードする寄託されたポリヌクレオチドクローン
ヒト可変領域遺伝子および寄託されたクローンのベクターの一部の配列を以下に記載した。
破線下線=TOPOベクターのEcoR1クローニング部位
ATG=ヒトシグナルペプチドビギン
ボールド体=フレームワーク領域
二重下線=CDR1、CDR2、またはCDR3
下線=ヒトIgG1GSまたはκ定常領域
MAbc0009 VHヌクレオチド配列(クローンH0009由来)
MAbc0009 VHアミノ酸配列(クローンH0009によってコードされた)
MAbc0009 VKヌクレオチド配列(クローンL0010由来)
MAbc0009 VKアミノ酸配列(クローンL0010によってコードされた)
マウスC35抗体は、SEQ ID NO:3〜10に指定した重鎖および軽鎖可変領域を有する。マウス抗体1F2および1B3は、γ1アイソタイプおよびκ軽鎖を有する。1B3マウス抗体と同一の重鎖可変領域CDR3を有する抗体MAb 165およびMAb 171は、SEQ ID NO:56〜60に指定した重鎖および軽鎖可変領域を有する。抗体MAb 165およびMAb 171はκ軽鎖を有する。ヒト抗体MAbc009は、SEQ ID NO:11〜14に指定した重鎖および軽鎖可変領域を有する。ヒト抗体MAbc009は、γ1アイソタイプおよびκ軽鎖を有する。
本発明は、C35ポリペプチドもしくはそれらのフラグメント、変異体または融合タンパク質へ免疫特異的に結合する抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を含む。C35ポリペプチドには、SEQ ID NO:2のC35ポリペプチドが含まれるが、それには限定されない。C35ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のポリペプチドをコードする核酸の組換え発現を通して作製できる(C35のエピトープ含有フラグメントについてはWO 01/74859参照)。
好ましくは、例示した抗体のアナログは、保存的アミノ酸置換によって例示した抗体とは相違する。アミノ酸置換を保存的置換または非保存的置換として分類するためには、アミノ酸は次のように分類することができる。第I群(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;第II群(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;第III群(酸性側鎖):asp、glu;第IV群(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg; 第V群(鎖配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;および第VI群(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同一クラス内のアミノ酸間の置換を含む。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーと他のクラスのメンバーとの交換を構成している。
本発明の1つの態様では、C35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体は、SEQ ID NO:57もしくは61のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または表2もしくは3および/または配列番号59に記載したポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つによってコードされたVH領域のうちの任意の1つ、または表2もしくは3に記載したポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つによってコードされたVL領域のうちの任意の1つを含む。また別の態様では、本発明の抗体は、SEQ ID NO:57もしくはSEQ ID NO:61のアミノ酸配列およびSEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含む。好ましい態様では、本発明の抗体は、表3に記載した、クローンH0009によってコードされたVH領域およびクローンL0010によってコードされたVL領域のアミノ酸配列を含む。好ましい態様では、本発明の抗体は、表2の、クローン1F2GによってコードされたVH領域およびクローン1F2KによってコードされたVL領域、またはクローン1B3GによってコードされたVH領域およびクローン1B3KによってコードされたVL領域のアミノ酸配列を含む。他の好ましい態様では、本発明の抗体は、表3のクローンH0009によってコードされたVH領域のアミノ酸配列、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:61のアミノ酸配列、および表2のクローン1F2Kもしくは1B3KによってコードされたVL領域;または表2のクローン1F2Gもしくは1B3GによってコードされたVH領域のアミノ酸配列、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:61のアミノ酸配列および表3のクローンL0010によってコードされたVL領域;または表2のクローン1F2Gもしくは1B3Gまたは表3のクローンH009によってコードされたVH領域のアミノ酸配列ならびにSEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含む。他の好ましい態様では、本発明の抗体は、表2のクローン1F2GによってコードされたVH領域およびクローン1B3KによってコードされたVL領域、または表2のクローン1B3GによってコードされたVH領域およびクローン1F2KによってコードされたVL領域のアミノ酸配列を含む。C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する表2もしくは3に記載したポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つによってコードされたVHおよび/またはVL領域の抗体フラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子もまた本発明に含まれ、これらのVHおよびVL領域をコードする核酸分子、分子、フラグメントおよび/または変異体もまた含まれる。
本発明は、ポリペプチド、またはC35ポリペプチドのポリペプチドフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体をさらに提供するが、該抗体は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVH領域内に含有された任意の1つ、2つ、3つ以上のVH CDRのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。特には、本発明は、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体であって、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVH領域内に含有されたVH CDR1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる抗体を提供する。また別の態様では、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVH領域内に含有されたVH CDR2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。好ましい態様では、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVH領域内に含有されたVH CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。C35ポリペプチドまたはC35ポリペプチドフラグメントもしくはそれらの変異体へ免疫特異的に結合するこれらの抗体、またはそれらの抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子も、これらの抗体、分子、フラグメントおよび/または変異体をコードする核酸分子と同様に、本発明によって含まれる。
本発明は、ポリペプチド、またはC35ポリペプチドのポリペプチドフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体をさらに提供するが、該抗体は、SEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVL領域内に含有された任意の1つ、2つ、3つ以上のVL CDRのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。特には、本発明は、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体であって、SEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVL領域内に含有されたVL CDR1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる抗体を提供する。また別の態様では、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体は、SEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVL領域内に含有されたVL CDR2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。好ましい態様では、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体は、SEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVL領域内に含有されたVL CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、またはそれらからなる。C35ポリペプチドまたはC35ポリペプチドフラグメントまたはその変異体へ免疫特異的に結合するこれらの抗体、または抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子も、これらの抗体、分子、フラグメントおよび/または変異体をコードする核酸分子と同様に、本発明によって含まれる。
本発明は、C35ポリペプチドまたはC35ポリペプチドのポリペプチドフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体(抗体フラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を提供するが、このとき該抗体は、SEQ ID NO:57、59、もしくは61または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリペプチドによってコードされたVH領域またはVL領域に含有されるように、1つ、2つ、3つ以上のVH CDRおよび1つ、2つ、3つ以上のVL CDRを含む、またはそれらからなる。特には、本発明は、ポリペプチドまたはC35ポリペプチドのポリペプチドフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体を提供するが、このとき該抗体はSEQ ID NO:56、58、もしくは60または表2もしくは3に記載した一つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされたVH領域またはVL領域内に含有されるVH CDRおよびVL CDRの、VH CDR1およびVL CDR1、VH CDR1およびVL CDR2、VH CDR1およびVL CDR3、VH CDR2およびVL CDR1, VH CDR2およびVL CDR2、VH CDR2およびVL CDR3、VH CDR3およびVH CDR1、VH CDR3およびVL CDR2、VH CDR3およびVL CDR3、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいる、またはそれらからなる。1つ、2つ、3つ以上のVH CDRおよび1つ、2つ、3つ以上のVL CDRは、クローンH0009およびL0010、クローンH0009および1F2K、クローンH0009および1B3K、クローンH009およびSEQ ID NO:58、クローン1F2Gおよび1F2K、クローン1F2Gおよび1B3K、クローン1F2GおよびL0010、クローン1F2GおよびSEQ ID NO:58、クローン1B3Gおよび1B3K、クローン1B3Gおよび1F2K、クローン1B3GおよびL0010、クローン1B3GおよびSEQ ID NO:58、SEQ ID NO:56およびSEQ ID NO:58、SEQ ID NO:56およびクローンL0010、SEQ ID NO:56およびクローン1F2K、SEQ ID NO:56およびクローン1B3K、SEQ ID NO:60およびSEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60およびクローンL0010、SEQ ID NO:60およびクローン1F2K、またはSEQ ID NO:60およびクローン1B3K由来であってよい。C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合するこれらの抗体のフラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子も、これらの抗体、分子、フラグメントもしくは変異体をコードする核酸分子と同様に、本発明によって含まれる。
最も好ましくは、抗体は、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、およびイントラボディ、ならびにVLまたはVH領域のいずれかを含むフラグメントを含むがそれらに限定されない本発明のヒト抗体、キメラ(例、ヒト・マウス、キメラ)抗体もしくはヒト化抗体または抗原結合抗体フラグメントである。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、一つまたは複数の可変領域を単独で、または次の、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全体または一部分と組み合わせて含んでいてよい。本発明には、さらにまた一つまたは複数の可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとの任意の組み合わせをさらに含む抗原結合フラグメントもまた含まれる。本発明の治療方法において好ましいC35抗体は、CH2ドメインの欠失を含有するC35抗体である。
本発明の抗体は、それらが認識する、または特異的に結合する本発明のポリペプチドのエピトープもしくは部分によって記載もしくは特定することができる。エピトープもしくはポリペプチド部分は、本明細書において記載するように、さらにまた例えばN末端およびC末端位置によって、または連続アミノ酸残基におけるサイズによって特定できる。本発明の任意のエピトープもしくはポリペプチドへ特異的に結合する抗体はさらにまた排除することもできる。このため、本発明は、本発明のポリペプチドへ特異的に結合する抗体を含み、同一物の排除を可能にする。
本発明の抗体は、さらにまた本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性によって記載または特定することもできる。好ましい結合親和性には、5×10(-7)M、10(-7)M、5×10(-8)M、10(-8)M、5×10(-9)M、10(-9)M、5×10(-10)M、10(-10)M、5×10(-11)M、10(-11)M、5×10(-12)M、10(-12)M、5×10(-13)M、10(-13)M、5×10(-14)M、10(-14)M、5×10(-15)M、または10(-15)M未満の解離定数もしくはKdを備える結合親和性が含まれる。
本発明の抗体は、C35に対する抗体1F2、1B3、MAb 165、MAb 171、もしくはMAbc009の親和性と同一または類似する親和性を有する。好ましくは、本発明の抗体は、C35に対する抗体1F2、1B3、MAb 165、MAb 171、もしくはMAbc009の親和性より高い親和性を有する。
本発明は、例えばイムノアッセイおよび本明細書において記載の抗体結合アッセイのような、競合的結合を決定するための当技術分野において公知の任意の方法によって決定されるようなC35エピトープへの抗体の結合を競合的に阻害する抗体をさらに提供する。好ましい態様では、抗体は、エピトープへの結合を少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%または少なくとも50%競合的に阻害する。
本発明の抗体は、さらにまたそれらの交差反応性によって記載または特定することもできる。本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルトログ、またはホモログへ結合しない抗体が含まれる。本発明のポリペプチドに対する少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の同一性(当技術分野において公知であり、本明細書において記載の方法を用いて計算される)でポリペプチドへ結合する抗体もまた、本発明に含まれる。特定の態様では、本発明の抗体は、ヒトタンパク質のマウス、ラットおよび/またはウサギホモログおよびそれらの対応するエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対する95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の同一性(当技術分野において公知であり、本明細書において記載の方法を用いて計算される)でポリペプチドへ結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。特定の態様では、上述の交差反応性は、任意の単一特異的抗原性または免疫原性ポリペプチド、または本明細書において開示した特異的抗原性および/または免疫原性ポリペプチドの2、3、4、5以上の組み合わせに関してである。さらに本発明に含まれるのは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(本明細書において記載の)下で本発明のポリヌクレオチドへハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドへ結合する抗体である。
本発明の抗体は、それらが認識する、または特異的に結合する本発明のポリペプチドのエピトープまたは部分によって記載または特定することができる。エピトープまたはポリペプチド部分は、本明細書において記載するように、例えばN末端およびC末端位置によって、連続アミノ酸残基におけるサイズによって特定できる、または表および図に列挙した。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドへ特異的に結合する抗体もまた排除することもできる。このため、本発明は、本発明のポリペプチドへ特異的に結合する抗体を含み、同一物の排除を可能にする。本発明から除外されるのは、US 2002/0052308および/またはWO 01/74859に開示されたC35に対する抗体、および/またはそれらに開示されたエピトープへ特異的に結合する抗体である。
特定の態様では、本発明の抗体は、天然C35配列の残基105から115によって表されるフラグメント内に含有されるエピトープへ結合する。また別の態様では、本発明の抗体は、天然C35配列の残基53から104によって表されるフラグメント内に含有されるエピトープへ結合する。
本発明の抗体は、さらにまたそれらの交差反応性によって、またはその欠如によって記載または特定することもできる。本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルトログ、またはホモログへ結合しない抗体が含まれる。本発明のポリペプチドへ少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の同一性(当技術分野において公知であり、本明細書において記載の方法を用いて計算される)に対するポリペプチドへ結合する抗体もまた、本明細書に含まれる。特定の態様では、本発明の抗体は、ヒトタンパク質のマウス、サル、ラットおよび/またはウサギホモログおよびそれらの対応するエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対する95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の同一性(当技術分野において公知であり、本明細書において記載の方法を用いて計算される)でポリペプチドへ結合しない抗体もまた、本明細書に含まれる。特定の態様では、上述の交差反応性は、任意の単一特異的抗原性または免疫原性ポリペプチド、または本明細書において開示した特異的抗原性および/または免疫原性ポリペプチドの2、3、4、5以上の組み合わせに関してである。さらに本発明に含まれるのは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(本明細書に記載されている)下で本発明のポリヌクレオチドへハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドへ結合する抗体である。
好ましい態様では、本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)は、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合し、任意の他の抗原とは交差反応しない。
好ましい態様では、本発明の抗体は、他の抗原へ結合するそれらの能力に対してC35ポリペプチド(SEQ ID NO:2)、またはそれらのフラグメントおよび変異体へ優先的に結合する。
非限定的な例として、抗体は、第2抗原についての抗体のKDより小さい解離定数(KD)で該第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。また別の非限定的態様では、抗体は、第2抗原についての抗体のKDより少なくとも1桁小さい親和性で該第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。また別の非限定的態様では、抗体は、第2抗原についての抗体のKDより少なくとも2桁小さい親和性で該第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。
また別の非限定的態様では、抗体は、第2抗原に対する該抗体の(k(off))より小さいオフレート(k(off))で第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。また別の非限定的態様では、抗体は、第2抗原についての抗体のk(off)より少なくとも1桁小さい親和性で第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。また別の非限定的態様では、抗体は、第2抗原に対する抗体のk(off)より少なくとも2桁小さい親和性で第1抗原へ結合する場合は、第1抗原へ優先的に結合すると見なすことができる。
特定の態様では、本発明の抗体は、5×10(-2)/秒、10(-2)/秒、5×10(-3)/秒または10(-3)/秒以下のオフレート(k(off))でC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ結合する。より好ましくは、本発明の抗体は、5×10(-4)/秒、10(-4)/秒、5×10(-5)/秒または10(-5)/秒、5×10(-6)/秒、10(-6)/秒、5×10(-7)/秒または10(-7)/秒以下のオフレート(k(off))でC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ結合する。
他の態様では、本発明の抗体は、10(3)M-1/秒、5×10(3)M-1/秒、10(4)M-1/秒または5×10(4)M-1/秒以上のオンレート(k(on))でC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ結合する。より好ましくは、本発明の抗体は、10(5)M-1/秒、5×10(5)M-1/秒、10(6)M-1/秒、5×10(6)M-1/秒、または10(7)M-1/秒以上のオンレート(k(on))でC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ結合する。
本発明は、本明細書において記載の抗体分子(例、VH領域および/またはVL領域)の変異体(誘導体を含む)を含む、またはそれらからなる抗体をさらに提供するが、それらの抗体はC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する。当業者に公知の標準的な技術は、例えば結果としてアミノ酸置換を生じる部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発を含む、本発明の分子をコードするヌクレオチド配列内に突然変異を導入するために使用できる。好ましくは、変異体(誘導体を含む)は、参照VH領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL領域、VL CDR1、VL CDR2、またはVL CDR3に比較して、50個未満のアミノ酸置換、40個未満のアミノ酸置換、30個未満のアミノ酸置換、25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換をコードする。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の電荷を備える側鎖を有するアミノ酸残基と取り替えられるアミノ酸置換である。類似の電荷を備える側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝状側鎖(例、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を備えるアミノ酸が含まれる。または、突然変異は、飽和突然変異などによって、コード配列の全長または部分に沿って無作為に導入でき、結果として生じる突然変異体は活性(例、C35ポリペプチドへ結合する能力)を維持する突然変異体を同定するために生物活性についてスクリーニングすることができる。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域内にのみ、またはCDR領域内にのみ突然変異を導入することが可能である。導入された突然変異は、サイレントまたは中立ミスセンス突然変異であってよい、すなわち抗原に結合する抗体の能力には全く、またはほとんど影響を及ぼさない。これらのタイプの突然変異は、コドン使用を最適化するため、またはハイブリドーマの抗体産生を改善するために有用である。または、非中立ミスセンス突然変異は、抗体が抗原へ結合する能力を変化させることがある。大多数のサイレントおよび中立ミスセンス突然変異の場所はフレームワーク領域内にある可能性が高いが、他方大多数の非中立ミスセンス突然変異の場所はCDR内にある可能性が高いが、これは絶対的要件ではない。当業者は、抗原結合活性における変化なしまたは結合活性における変化(例、抗原結合活性における改良または抗体特異性における変化)などの所望の特性を備える突然変異体分子を設計および試験することができる。突然変異誘発に続いて、コードされたタンパク質はルーチン的に発現させ、コードされたタンパク質の機能的および/または生物活性(例、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する能力)は本明細書において記載の技術または当技術分野において公知の技術をルーチン的に修飾する段階を用いて決定できる。
特定の態様では、C35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)は、SEQ ID NO:56、58、もしくは60の、または表2もしくは3に記載した一つまたは複数の核酸によってコードされたVHもしくはVL領域の1つをコードするヌクレオチド配列へ相補的であるヌクレオチド配列へ、ストリンジェントな条件下、例えば約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、その後に約50〜65℃で0.2×SSC/0.1% SDS中での1回以上の洗浄、高度にストリンジェントな条件下、例えば約45℃での6×SSC中でのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、その後に約68℃で0.1×SSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄、または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む、またはそれらからなる(例えば、Ausubel, F.M. et al., eds., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., New York at pages 6.3.1-6.3.6 and 2.10.3参照)。これらの抗体をコードする核酸分子もまた本発明に含まれる。
類似のアミノ酸配列を備えるポリペプチド、またはそれらのフラグメントもしくは変異体はしばしば類似の構造および多数の同一生物活性を有することは当技術分野において周知である。そこで、1つの態様では、C35ポリペプチドまたはC35ポリペプチドのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVH領域のアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、またはそれらからなる。
また別の態様では、C35ポリペプチドまたはC35ポリペプチドのフラグメントもしくはそれらの変異体へ免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)は、SEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVL領域のアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、またはそれらからなる。
本発明は、本明細書において記載の抗体の一つまたは複数と同一の生物学的特徴の一つまたは複数を有する抗体(それらの抗体フラグメントもしくは変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をさらに含む。「生物学的特徴」とは、例えばC35ポリペプチド(例えば、アポトーシス中に細胞表面上で発現したC35ポリペプチド)へ結合する能力;C35ポリペプチド媒介性生物活性を実質的に阻害もしくは根絶する能力;C35関連癌細胞を死滅させる(例、C35関連癌を治療もしくは診断する)、またはC35を検出する能力;C35ポリペプチド媒介性生物活性を阻害または根絶する能力などの、抗体のインビトロもしくはインビボ活性または特性を意味する。任意で、本発明の抗体は、本明細書において詳細に言及する抗体の少なくとも1つと同一のエピトープへ結合する。そのようなエピトープ結合は、当技術分野において公知のアッセイを用いてルーチン的に決定できる。
表2に記載した核酸によってコードされたマウスVHおよびVL領域由来のヒト化抗体を作製するための以下に記載した規則は、SEQ ID NO:56、58、もしくは60または表3に記載した核酸によってコードされたヒトVHおよび/またはVL領域を含む抗体変異体を作製するためにも使用できる。
本発明のヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体変異体は、実質的にヒト免疫グロブリン由来の可変フレームワーク領域(アクセプター免疫グロブリンと称する)、および実質的に表2に記載のクローンによってコードされたマウスC35 VHおよびVL領域または表3に記載のクローンによってコードされたヒトC35 VHおよびVL領域に由来するCDR(ドナー免疫グロブリンと称する)を有する。定常領域が存在する場合は、同様に実質的にヒト免疫グロブリン由来である。ヒト化抗体およびヒト抗体変異体は、C35に対する少なくとも10(2)、10(3)、10(4)、10(5)、10(6)、10(7)、10(8)、10(9)、または10(10)M(-1)の特異的結合活性を示す。通常、ヒトC35に対するヒト化抗体およびヒト抗体変異体の結合親和性の上限は、マウス抗体1F2もしくは1B3またはヒト抗体MAbc009、または抗体MAb 165もしくはMAb 171の結合親和性の3、4、5もしくは10の係数の範囲内にある。しばしば、結合親和性の下限もまた、マウス抗体1F2もしくは1B3またはヒト抗体MAbc009、または抗体MAb 165もしくはMAb 171の結合親和性の3、4、5もしくは10の係数の範囲内にある。好ましいヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体変異体は、C35への結合についてマウス抗体1F2もしくは1B3またはヒト抗体MAbc009、または抗体MAb 165もしくはMAb 171と競合し、C35が各マウスまたはヒト抗体へ結合するのを妨害する。
可能性のあるヒトアクセプター抗体の重鎖および軽鎖可変領域は、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991)によって記載されている。ヒトアクセプター抗体は、その可変領域がマウスC35抗体の可変領域と高度の配列同一性を示すように選択される。重鎖および軽鎖可変フレームワーク領域は、同一または相違するヒト抗体配列に由来してよい。ヒト抗体配列は、天然型ヒト抗体の配列であってよい、または数個のヒト抗体のコンセンサス配列であってよい。
ヒト化免疫グロブリンの設計は以下の通りに実施できる。アミノ酸が以下のカテゴリーに分類される場合は、使用すべきヒト免疫グロブリンのフレームワークアミノ酸(アクセプター免疫グロブリン)はCDRを提供する非ヒト免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)由来のフレームワークアミノ酸によって置換される。
(a)アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワーク領域内のアミノ酸はその位置ではヒト免疫グロブリンにとっては異常であるが、ドナー免疫グロブリン内の対応するアミノ酸はその位置におけるヒト免疫グロブリンにとっては典型的である;
(b)アミノ酸の位置はCDRの1つのすぐ隣である;または
(c)アミノ酸はCDRと相互作用することができる(Queen et al. WO 92/11018., and Co et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 2869 (1991)参照)、各々が参照により本明細書に組み入れられる)。ヒト化免疫グロブリンの作製の詳細な説明については、QueenらおよびCoら参照。
通常は、ヒト化抗体およびヒト抗体変異体内のCDR領域は実質的に同一であり、そしてより一般的には、それらが由来するマウスまたはヒト抗体内の対応するCDR領域と同一である。通常は望ましくはないが、結果として生じるヒト化免疫グロブリンまたはヒト抗体変異体の結合親和性に感知できるほどの影響を及ぼさずにCDR残基の一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を作製することがときどきは可能である。時折、CDR領域の置換は結合親和性を増強することができる。
上記で考察した特異的アミノ酸置換以外については、ヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体変異体のフレームワーク領域は、通常はそれらが由来するヒト抗体のフレームワーク領域と実質的に同一であり、より一般的には同一である(アクセプター免疫グロブリン)。当然ながら、フレームワーク領域内のアミノ酸の多数は、抗体の特異性または親和性へほとんど、または全く直接寄与しない。そこで、フレームワーク残基の多数の個別保存的置換は、結果として生じるヒト化免疫グロブリンまたはヒト抗体変異体の特異性または親和性の感知可能な変化を伴わずに容認することができる。
例えば、HuZAFのアナログは、HuZAFとの実質的なアミノ酸配列同一性を示す。アナログの重鎖および軽鎖可変領域は、HuZAF、またはその縮重形の重鎖もしくは軽鎖可変領域をコードする核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされる。ファージ提示法は、結合親和性および特異性を維持しながらそのようなアナログを選択するための強力な技術を提供する(例えば、Dower et al., WO 91/17271; McCafferty et al., WO 92/01047; and Huse, WO 92/06204参照(各々はあらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる))。
表2もしくは3またはSEQ ID NO:56、58、もしくは60に記載の核酸クローン内のVHおよびVL領域を使用すると、2002年9月5日に公表されたUS 2002 0123057A1, 「In vitro methods of producing and identifying immunoglobulin molecules in eukaryotic cells“によって教示された方法にしたがってC35に対して特異的な完全ヒト抗体を選択することができる。つまり、ヒトCHへ結合したマウス(またはヒト)VHはマウス(またはヒト)VHと対合するとC35に対する特異性を付与するそのような軽鎖のライブラリーから完全ヒト免疫グロブリン軽鎖を選択するために使用される。次に選択された完全ヒト免疫グロブリン軽鎖は、完全ヒト軽鎖と対合するとC35に対する特異性を付与するそのような重鎖のライブラリーから完全ヒト免疫グロブリン重鎖を選択するために使用される。同様に、ヒトCLへ結合したマウス(またはヒト)VLは、マウス(またはヒト)VLと対合するとC35に対する特異性を付与するそのような重鎖のライブラリーから完全ヒト免疫グロブリン重鎖を選択するために使用される。次に選択された完全ヒト免疫グロブリン重鎖は、完全ヒト重鎖と対合するとC35に対する特異性を付与するそのような軽鎖のライブラリーから完全ヒト免疫グロブリン軽鎖を選択するために使用される。頻回に、この方法で選択された完全ヒト抗体は、最初のマウス(またはヒト)C35特異的抗体のエピトープ特異性と同一、または密接に関連するエピトープ特異性を有する。
US 2002 0123057 A1の方法は、さらにまたそれらの全メンバーが一つまたは複数の非ヒト(例、マウス)CDRを有する重鎖もしくは軽鎖のライブラリーとともに使用することもできる。1つの実施例では、このライブラリーの各メンバーは、C35に対して特異的な単離されたネズミモノクローナル抗体、例えば1F2もしくは1B3由来のCDR3領域を含む。
SEQ ID NO:56、58、もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされた免疫グロブリン重鎖もしくは軽鎖可変領域から始まるUS 2002 0123057 A1に記載の方法を使用して選択された全ての完全ヒト抗体または一つまたは複数の非ヒト(例、マウス)CDR(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)を有する抗体は、本発明に含まれる。
前記に記載のように作製したヒト化抗体またはヒト抗体変異体の可変セグメントは、典型的には免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの一部分へ連結している。ヒト定常領域DNA配列は、例えば不死化B細胞などの様々なヒト細胞から周知の方法にしたがって単離できる(Kabatら、前記、およびWO 87/02671参照)。抗体は、軽鎖および重鎖定常領域をどちらも含有していてよい。重鎖定常領域は、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、およびときどきはCH4領域を含んでいてよい。治療目的では、CH2ドメインは欠失していても削除されてもよい。
ヒト化抗体またはヒト抗体変異体には、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプを含むあらゆるタイプの定常領域を有する抗体が含まれる。ヒト化抗体またはヒト抗体変異体が細胞毒性活性を示すことが望ましい場合は、定常ドメインは通常は補体固定定常ドメインであり、クラスは典型的にはIgG1である。そのような細胞毒性活性が所望ではない場合は、定常ドメインはIgG2クラスの定常ドメインであってよい。ヒト化抗体またはヒト抗体変異体は、1つより多いクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含んでいてよい。
キメラ抗体もまた本発明に含まれている。そのような抗体は、例えばヒトまたはマウスまたはウマなどの他の種のCH領域および/またはCL領域へ融合したSEQ ID NO:56、58、もしくは60または表2もしくは3に記載の核酸によってコードされたVH領域および/またはVL領域を含んでいてよい。好ましい態様では、キメラ抗体は、ヒトC領域へ融合した表2の核酸によってコードされたVHおよび/またはVL領域を含む。ヒトCH2ドメインは、抗体が治療目的で使用される場合は欠失していてよい。キメラ抗体は、上述のような抗体フラグメントを含む。
キメラ抗体の可変セグメントは、典型的には免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの一部分へ連結している。ヒト定常領域DNA配列は、例えば不死化B細胞などの様々なヒト細胞から周知の方法にしたがって単離できる(Kabatら、前記、およびWO 87/02671参照)。抗体は、軽鎖および重鎖定常領域をどちらも含有していてよい。重鎖定常領域は、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、および時にはCH4領域を含んでいてよい。治療目的では、CH2ドメインは欠失していても削除されてもよい。
前記のように作製したキメラ抗体の可変セグメントは、典型的には免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの一部分へ連結している。ヒト定常領域DNA配列は、例えば不死化B細胞などの様々なヒト細胞から周知の方法にしたがって単離できる(Kabatら、前記、およびWO 87/02671参照)。抗体は、軽鎖および重鎖定常領域をどちらも含有していてよい。重鎖定常領域は、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、および時にはCH4領域を含んでいてよい。治療目的では、CH2ドメインは欠失していても削除されてもよい。
キメラ抗体には、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプを含むあらゆるタイプの定常領域を有する抗体が含まれる。キメラ抗体が細胞毒性活性を示すことが所望である場合は、定常ドメインは通常は補体固定定常ドメインであり、クラスは典型的にはIgG1である。そのような細胞毒性活性が所望ではない場合は、定常ドメインはIgG2クラスの定常ドメインであってよい。キメラ抗体は、1つより多いクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含んでいてよい。
そのような免疫グロブリンを作製するためには、様々な方法を利用できる。遺伝子コードの縮重のために、様々な核酸配列は各免疫グロブリンアミノ酸配列をコードする。所望の核酸配列は、新規固相DNA合成によって、または所望のポリヌクレオチドの以前に調製された変異体のPCR突然変異誘発によって作製できる。本出願に記載した抗体をコードする全ての核酸は、明示的に本明細書に含まれる。
いったん発現すると、本発明の全抗体、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン形は、硫酸アンモニウム沈降法、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法などを含む当技術分野において標準方法にしたがって精製できる(一般に、参照により本明細書に組み入れられるScopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y.(1982)参照)。薬学的使用のためには、少なくとも約90から95%の均質性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、および98から99%以上の均質性が最も好ましい。所望通りに部分的に、または均質性へいったん精製すると、次にポリペプチドは治療的に(体外的を含む)、アッセイ方法、免疫蛍光染色などを開発および実施する際に(一般に、Immunological Methods, Vols. I and II, Lefkovits and Pernis, eds., Academic Press, New York, N.Y.(1979 and 1981)参照)、またはC35を検出する、またはC35関連癌を診断するために使用できる。
本発明は、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)、および異種ポリペプチドを含む、またはそれらからなる融合タンパク質をさらに提供する。好ましくは、それに抗体が融合する異種ポリペプチドは、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、および膵臓癌細胞、ならびに黒色腫細胞を含むがそれらに限定されないC35ポリペプチド発現細胞を機能させるために有用である、またはそれらを標的とするために有用である。また別の好ましい態様では、それに抗体が融合している異種ポリペプチドは、T細胞、マクロファージ、および/または単球細胞機能のために有用である、またはT細胞、マクロファージ、または単球へ抗体をターゲッティングするために有用である。1つの態様では、本発明の融合タンパク質は、本発明の抗体のうちの任意の一つまたは複数のVH領域のアミノ酸配列、または本発明の抗体のうちの任意の一つまたは複数のVL領域またはそれらのフラグメントもしくは変異体のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および異種ポリペプチド配列を含む、またはそれらからなる。また別の態様では、本発明の融合タンパク質は、本発明の抗体の任意の1つ、2つ、もしくは3つ以上のVH CDRのアミノ酸配列を有するポリペプチド、または本発明の抗体の任意の1つ、2つ、もしくは3つ以上のVL CDRまたはそれらのフラグメントもしくは変異体のアミノ酸配列、および異種ポリペプチド配列を含んでいる、またはそれらからなる。好ましい態様では、融合タンパク質は、本発明の抗体のVH CDR3のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそれらのフラグメントもしくは変異体、およびその融合タンパク質がC35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する異種ポリペプチド配列を含んでいる、またはそれらからなる。また別の態様では、融合タンパク質は、本発明の抗体の少なくとも1つのVH領域のアミノ酸配列および本発明の抗体の少なくとも1つのVL領域またはそれらのフラグメントもしくは変異体のアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに異種ポリペプチド配列を含んでいる、またはそれらからなる。好ましくは、融合タンパク質のVHおよびVL領域は、本発明の一本鎖抗体(またはscFvまたはFabフラグメント)に対応する。さらにまた別の態様では、本発明の融合タンパク質は、本発明の抗体のうちの任意の1つ、2つ、3つ以上のVH CDRのアミノ酸配列および本発明の抗体のうちの任意の1つ、2つ、3つ以上のVL CDRまたは、それらのフラグメントもしくは変異体のアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに異種ポリペプチド配列を含んでいる、またはそれらからなる。好ましくは、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つ以上のVHCDRまたはVLCDRは、本発明の一本鎖抗体(またはscFvまたはFabフラグメント)に対応する。これらの融合タンパク質をコードする核酸分子もまた本発明に含まれる。
以下でより詳細に考察するように、本発明の抗体は単独で、または他の組成物と組み合わせてのどちらかで使用できる。これらの抗体は、さらにまたNまたはC末端で異種ポリペプチドへ組換え融合させることができる、またはポリペプチドもしくは他の組成物へ化学的にコンジュゲート(共有および非共有コンジュゲーションを含む)させることができる。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイに使用される標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬物、放射性核種または毒素などのエフェクター分子への組換えにより融合またはコンジュゲートさせられてよい。例えば、PCT publications WO 92/08495; WO 91/14438 ; WO 89/12624; U.S. Patent No. 5,314,995; and EP 396,387参照。
他の非限定的実施例によって、本発明の抗体は受動免疫の形態として個体へ投与することができる。または、本発明の抗体は、抗体によって結合されたエピトープを同定するためのエピトープマッピングのために使用できる。この方法で同定されたエピトープは、順に、ワクチン候補として、すなわち例えば治療方法のためのC35の天然型形態に対する抗体を誘導するために個体を免疫するために使用できる。
本発明の抗体は、C35ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして機能できる。
本発明の抗体は、例えばインビトロおよびインビボ診断法および治療法の両方を含む、本発明のポリペプチドを精製する、検出する、およびターゲッティングするために使用できるが、それらに限定されない。例えば、これらの抗体は生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルを定性的および定量的に測定するために、イムノアッセイにおいて使用される。例えば、Harlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988)(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)参照。
本発明の抗体には、すなわち抗体が抗イディオタイプ応答を生成する、またはC35へ結合するのを共有結合が妨害しないように、任意のタイプの分子の抗体への共有結合によって修飾されている誘導体が含まれる。例えば、限定するためではなく、抗体誘導体には、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスフィル化(phosphylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性開裂、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾されている抗体が含まれる。多数の化学的修飾はいずれも、特異的化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがそれらに限定されない公知の技術によって実施されうる。さらに、誘導体は一つまたは複数の非古典的アミノ酸を含有していてよい。
本発明の抗体は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合、すなわちペプチドイソスターによって相互に結合されたアミノ酸から構成されてよく、そして20個の遺伝子をコードするアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてよい。C35抗体は、翻訳後プロセッシングなどの天然プロセスによって、または当技術分野において周知である化学修飾技術によって修飾されてよい。そのような修飾は基本的教科書およびより詳述されたモノグラフ、ならびに膨大な研究文献に詳述されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含むC35抗体内のあらゆる場所で発生する可能性がある。同一タイプの修飾が、所与のC35抗体内のいくつかの部位で同程度または様々な程度で存在する可能性があることは理解される。さらに、所与のC35抗体は多数のタイプの修飾を含有していてよい。C35抗体は、例えばユビキチン化の結果として分枝状であってよい、そしてそれらは枝分かれを伴って、または伴わずに環式であってよい。環式、分枝状、および分枝状環式C35抗体は翻訳後天然プロセスの結果として生じることがある、または合成方法によって作製されてよい。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋結合の形成、システインの形成、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのタンパク質へのアミノ酸のトランスファー-RNA媒介性付加、およびユビキチン化が含まれる(例えば、PROTEINS - STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T.E. Creighton, W.H. Freeman and Company, New York(1993); POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pgs. 1-12(1983); Seifter et al., Meth Enzymol 182:626-646(1990); Rattan et al., Ann NY Acad Sci 663:48-62(1992)参照)。
本発明のまた別の態様は、少なくとも1つのアミノ酸置換であるが50以下のアミノ酸置換、いっそうより好ましくは40以下のアミノ酸置換、さらにより好ましくは30以下のアミノ酸置換、およびさらにいっそうより好ましくは20以下のアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を有するC35抗体配列のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。当然ながら、右肩上がりの優先順序で、ポリペプチドは少なくとも1つ、しかし10、9、8、7、6、5、4、3、2以下、または1アミノ酸置換を含有するC35抗体配列を含むアミノ酸配列を有することが大いに好ましい。特定の態様では、C35抗体配列内の付加、置換、および/または欠失の数は1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、10〜50または50〜150である。置換については、保存的アミノ酸置換が好ましい。置換は、フレームワーク領域もしくはCDRまたはその両方の範囲内であってよい。
本項における説明は、C35抗体および本発明の方法において有用であるその他の抗体に適用される。そのような抗体は、本明細書において記載のように毒素とコンジュゲートまたは複合体化させることができる、またはコンジュゲートさせられなくても、複合体化されなくてもよい。
C35抗体をコードするポリヌクレオチド
本発明は、本発明のC35抗体をコードする核酸分子(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をさらに提供する。
本発明は、例えば前記に定義したように、ストリンジェントな条件下、または低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件下で、好ましくはC35ポリペプチドへ特異的に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドへハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに含む。
特定の態様では、本発明の核酸分子は、本発明の核酸によってコードされたVH領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVH領域、および本発明の核酸によってコードされたVL領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVL領域を含む、またはそれらからなる抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をコードする。また別の態様では、本発明の核酸分子は、本発明の核酸によってコードされたVH領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVH領域、または本発明の核酸によってコードされたVL領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVL領域を含む、またはそれらからなる抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をコードする。
ポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の任意の方法によって入手でき、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定できる。例えば、抗体のヌクレオチド配列が公知の場合は、抗体をコードするポリヌクレオチドは化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから組み立てることができるが(例えば、Kutmeier et al., BioTechniques 17:242(1994)に記載されている)、これは、つまり抗体をコードする配列の部分を含有するオーバーラッピングオリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドをアニーリングおよびライゲーションする段階、および次にライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは適切な起源由来の核酸から作製できる。特定抗体をコードする核酸を含有するクローンを入手できないが、抗体分子の配列が公知の場合は、免疫グロブリンをコードする核酸は化学的に合成できる、または適切な起源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または本発明の抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞などの、該抗体を発現する任意の組織もしくは細胞から作製されたcDNAライブラリー、または単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)からその配列の3’および5’末端へハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または例えば該抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するために特定遺伝子配列に対して特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いるクローニングによって入手できる。次にPCRによって作製された増幅した核酸は、当技術分野において周知の任意の方法を用いて複製可能なクローニングベクター内へクローニングされてよい。
抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、抗体のヌクレオチド配列はヌクレオチド配列を操作するために当技術分野において周知の方法、例えば組換えDNA技術、特定部位突然変異誘発、PCRなど(例えば、どちらも全体として参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. and Ausubel et al., eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYに記載された技術)を用いて様々なアミノ酸配列を有する抗体を作製するために、例えばアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作製するために操作できる。
特定の態様では、重鎖および/または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、当技術分野において周知である方法によって、例えば配列超可変性の領域を決定するために他の重鎖および軽鎖可変領域の公知のアミノ酸配列と比較することによって、相補性決定領域(CDR)の配列を同定するために検査することができる。ルーチンの組換えDNA技術を用いて、一つまたは複数のCDRをフレームワーク領域内へ、例えば前記したように非ヒト抗体をヒト化するためにヒトフレームワーク領域内へ挿入することができる。フレームワーク領域は、天然型またはコンセンサスフレームワーク領域、および好ましくはヒトフレームワーク領域内であってよい(例えば、ヒトフレームワーク領域の列挙については、Chothia et al., J. Mol. Biol. 278:457-479(1998)参照)。好ましくは、フレームワーク領域とCDRとの組み合わせによって作製されたポリヌクレオチドは、C35へ特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、前記したように、一つまたは複数のアミノ酸置換はフレームワーク領域内で作製することができ、そして好ましくはアミノ酸置換はその抗原への抗体の結合を改良する。さらに、そのような方法を使用すると、一つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合が欠如する抗体分子を作製するために鎖内ジスルフィド結合に参加する一つまたは複数の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を作製することができる。ポリヌクレオチドへのその他の変化は、本発明によって含まれ、当技術分野の範囲内である。
さらに、適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともに適切な抗原特異性を備えるマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングする段階による「キメラ抗体」を作製するために開発された技術(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855(1984); Neuberger et al., Nature 312:604-608(1984); Takeda et al., Nature 314:452-454(1985))を使用できる。前記のように、キメラ抗体は、様々な部分がマウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域、例えばヒト化抗体を有する動物種などの様々な動物種由来である分子である。
あるいは、一本鎖抗体を作製するために記載された技術(U.S. Pat. No. 4,946,778; Bird, Science 242:423-42(1988); Huston et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988); and Ward et al., Nature 334:544-54(1989))は、一本鎖抗体を作製するために適応させることができる。一本鎖抗体は、一本鎖ポリペプチドを生じさせる、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結させる段階によって形成される。大腸菌(E. coli)中で機能的Fvフラグメントを組立てるための技術もまた使用できる(Skerra et al., Science 242:1038-1041(1988))。
本発明は、本発明の抗体をコードする核酸分子(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をさらに提供する。特定の態様では、本発明の核酸分子は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVH領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVH領域、およびSEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVL領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVL領域を含む、またはそれらからなる抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をコードする。また別の態様では、本発明の核酸分子は、SEQ ID NO:56もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVH領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVH領域、またはSEQ ID NO:58または表2もしくは3に記載した核酸によってコードされたVL領域のうちの任意の1つのアミノ酸配列を有するVL領域を含む、またはそれらからなる抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)をコードする。
本発明は、本明細書において記載の抗体分子(例、VH領域および/またはVL領域)の変異体(誘導体を含む)を含む、またはそれらからなる抗体をさらに提供するが、それらの抗体はC35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する。当業者に公知の標準的な技術は、例えば結果としてアミノ酸置換を生じる部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発を含む、本発明の分子をコードするヌクレオチド配列内に突然変異を導入するために使用できる。好ましくは、変異体(誘導体を含む)は、参照VH領域、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、および/またはVL領域、VLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3に比較して、50個未満のアミノ酸置換、40個未満のアミノ酸置換、30個未満のアミノ酸置換、25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換をコードする。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の電荷を備える側鎖を有するアミノ酸残基と取り替えられるアミノ酸置換である。類似の電荷を備える側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝状側鎖(例、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を備えるアミノ酸が含まれる。または、突然変異は、飽和突然変異などによって、コード配列の全長または部分に沿って無作為に導入でき、結果として生じる突然変異体は活性(例、C35ポリペプチドへ結合する能力)を維持する突然変異体を同定するために生物活性についてスクリーニングすることができる。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域内にのみ、またはCDR領域内にのみ、またはその両方の領域に突然変異を導入することが可能である。導入された突然変異は、サイレントまたは中立ミスセンス突然変異であってよい、すなわち抗原に結合する抗体の能力には全く、またはほとんど影響を及ぼさない。これらのタイプの突然変異は、コドン使用を最適化するため、またはハイブリドーマの抗体作製を改善するために有用なことがある。または、非中立ミスセンス突然変異は、抗体が抗原へ結合する能力を変化させることがある。大多数のサイレントおよび中立ミスセンス突然変異の場所はフレームワーク領域内にある可能性が高いが、他方大多数の非中立ミスセンス突然変異の場所はCDR内にある可能性が高いが、これは絶対的要件ではない。当業者は、抗原結合活性における変化なしまたは結合活性における変化(例、抗原結合活性における改良または抗体特異性における変化)などの所望の特性を備える突然変異体分子を設計および試験することができる。突然変異誘発に続いて、コードされたタンパク質はルーチン的に発現させ、コードされたタンパク質の機能的および/または生物活性(例、C35ポリペプチドへ免疫特異的に結合する能力)は本明細書において記載の技術または当技術分野において公知の技術をルーチン的に修飾する段階を用いて決定できる。
特定の態様では、C35ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくは変異体へ免疫特異的に結合する本発明の抗体(抗体フラグメントもしくはそれらの変異体を含む、またはそれらからなる分子を含む)は、SEQ ID NO:56、58、もしくは60の、または表2もしくは3に記載した1つの核酸によってコードされたVHもしくはVL領域の1つをコードするヌクレオチド配列へ相補的であるヌクレオチド配列へ、ストリンジェントな条件下、例えば約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、その後に約50〜65℃で0.2×SSC/0.1% SDS中での1回以上の洗浄、高度にストリンジェントな条件下、例えば約45℃での6×SSC中でのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、その後に約68%℃で0.1×SSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄、または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む、またはそれらからなる(例えば、Ausubel, F.M. et al., eds., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., New York at pages 6.3.1-6.3.6 and 2.10.3参照)。これらの抗体をコードする核酸分子もまた本発明に含まれる。
上記の条件内の変動は、ハイブリダイゼーション実験におけるバックグラウンドを抑制するために使用されたまた別のブロッキング試薬の包含および/または置換を通して遂行できることに留意されたい。典型的なブロッキング試薬には、Denhardt試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、および市販されている専売調製物が含まれる。特定のブロッキング試薬の包含は、適合性に関する問題があるために、上述のハイブリダイゼーション条件の修飾を必要とすることがある。
当然ながら、ポリA+配列、またはT(もしくはU)残基の相補的伸長鎖へしかハイブリダイズしないポリヌクレオチドは「ポリヌクレオチド」の定義には含まれないが、それはそのようなポリヌクレオチドはポリ(A)伸長鎖またはその補体(例えば、特にはプライマーとしてオリゴdTを用いて作製された任意の二本鎖cDNAクローン)を含有する任意の核酸分子へハイブリダイズするからである。
C35抗体ポリヌクレオチドは、非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであってよい、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチド(polydeoxribonucleotide)から構成されてよい。例えば、C35抗体ポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域、一本鎖および二本鎖RNAの混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖であってよい、またはより典型的には二本鎖もしくは一本鎖および二本鎖領域の混合物であってよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子から構成されてよい。さらに、C35抗体ポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域から構成されてよい。C35抗体ポリヌクレオチドは、一つまたは複数の修飾された塩基または安定性または他の理由から修飾されたDNAまたはRNA主鎖をさらに含有していてよい。「修飾された」塩基には、例えばトリチル化塩基およびイノシンなどの独特の塩基が含まれる。DNAおよびRNAには様々な修飾を加えることができる。そこで、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態を含む。
本発明の抗体(抗体フラグメントもしくは変異体を含む)は、当技術分野において公知の任意の方法によって作製できる。例えば、本発明による抗体がハイブリドーマ細胞系以外の細胞系において発現できることは理解される。特定の抗体のためのcDNAまたはゲノムクローンをコードする配列は、適合する哺乳動物または非哺乳動物の宿主細胞の形質転換のために、または例えばファージ提示ライブラリーを作製するために使用できる。さらに、本発明のポリペプチド抗体は、組換え発現系を使用することで化学的に合成または生成することができる。
本発明の抗体を作製するための1つの方法は、SEQ ID NO:56、58、もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸のうちの任意の一つまたは複数によってコードされたVHおよび/またはVL領域をクローニングする段階である。ハイブリドーマ細胞系または核酸からVHおよびVL領域を単離するためには、VHもしくはVLヌクレオチド配列を含むPCRプライマーを使用すると、SEQ ID NO:56、58、もしくは60または表2もしくは3に記載した核酸を含有するベクター内に含有されるVHおよびVL配列を増幅させることができる。次にPCR産物は、例えばPCR反応のために使用される多数のDNAポリメラーゼによってPCR産物の5’および3’末端へ付加された突出している一本鎖アデニンヌクレオチドに相補的である、5’および3’一本鎖Tヌクレオチド突出部からなるPCR産物クローニング部位を有するベクターを用いてクローニングすることができる。次にVHおよびVL領域は、当技術分野において公知の従来の方法を用いてシーケンシングすることができる。
クローン化VHおよびVL遺伝子は、一つまたは複数の適合する発現ベクター内へ挿入することができる。非限定的実施例によって、VHもしくはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用すると、VHもしくはVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を使用すると、PCR増幅VH領域は、適切な免疫グロブリン定常領域、例えばVH領域に対してはヒトIgG1またはIgG4定常領域、ならびにκおよびλVL領域それぞれに対してはヒトκおよびλ定常領域を発現するベクター内にクローニングすることができる。好ましくは、VHもしくはVL領域を発現するためのベクターは、選択された発現系における重鎖および軽鎖の発現を指示するために適合するプロモーター、分泌シグナル、免疫グロブリン可変ドメインのためのクローニング部位、免疫グロブリン定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVL領域は、必要な定常領域を発現する単一ベクター内にクローニングされてもよい。次に重鎖転換ベクターおよび軽鎖転換ベクターは、当業者には公知の技術を用いて、全長抗体、例えばIgGを発現する安定性または一過性細胞系を作製するために細胞系内へコトランスフェクトされる(例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるGuo et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:925-31(1997), and Ames et al., J. Immunol. Methods 184:177-86(1995)参照)。
本発明は、本発明の抗体およびそれらのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドをさらに提供する。本発明は、例えば前記で定義したように、ストリンジェントな条件下、または低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件下で、好ましくは本発明のポリペプチドへ特異的に結合する抗体、好ましくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは寄託されたクローンによってコードされたポリペプチドへ結合する抗体をコードするポリヌクレオチドへハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに含む。
例えば本発明の抗体のインビトロ親和性成熟などの一部の使用のためには、ファージ提示ライブラリー内の一本鎖抗体またはFabフラグメントとして一つまたは複数の本発明の抗体の重鎖および軽鎖のVHおよびVL領域を発現させるために有用なことがある。例えば、本発明の一つまたは複数の抗体のVHおよびVL領域をコードするcDNAは、改良された親和性または改良されたオフレートなどの好ましい結合特徴を備えるC35ポリペプチドへ結合するVH/VLの組み合わせの選択を可能にする、ファージ提示ライブラリーを用いて全ての可能な組み合わせの中で発現させることができる。さらに、本発明の一つまたは複数の抗体のVHおよびVLセグメント、VHおよびVL領域のCDR領域は、特に、インビトロで突然変異させることができる。ファージ提示ライブラリー内の「突然変異体」CDRを伴うVHおよびVL領域の発現は、改良された親和性または改良されたオフレートなどの好ましい結合特徴を備えるC35ポリペプチド受容体ポリペプチドへ結合するVH/VLの組み合わせの選択を可能にする。
ファージ提示法では、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVL領域をコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリー(例、リンパ組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)または合成cDNAライブラリーから増幅させられる。VHおよびVL領域をコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーにより一緒に結合させられ、ファージミドベクター内へクローニングされる(例、p CANTAB 6またはpComb 3 HSS)。ベクターは大腸菌内にエレクトロポレーションされ、大腸菌はヘルパーファージを用いて感染させられる。これらの方法で使用されるファージは、典型的にはfdおよびM13を含む線維状ファージであり、VHおよびVL領域は通常はファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのどちらかへ組換え融合させられる。関心対象の抗原(すなわち、C35ポリペプチドまたはそれらのフラグメント)へ結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば標識抗原または固体表面またはビーズへ結合または捕捉された抗原を用いて選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するために使用できるファージ提示法の例には、各々が参照により全体として本明細書に組み入れられるBrinkman et al., J. Immunol. Methods 182:41-50(1995); Ames et al., J. Immunol. Methods 184:177-186(1995); Kettleborough et al., Eur. J. Immunol. 24:952-958(1994); Persic et al., Gene 187 9-18(1997); Burton et al., Advances in Immunology 57:191-280(1994); PCT application No. PCT/GB91/O1 134; PCT publications WO 90/02809 ; WO 91/10737; WO 92/01047; WO 92/18719; WO 93/1 1236; WO 95/15982; WO 95/20401; WO97/13844 ; and U.S. Patent Nos. 5,698,426; 5,223,409; 5,403,484; 5,580,717; 5,427,908; 5,750,753; 5,821,047; 5,571,698; 5,427,908; 5,516,717; 5,780,225; 5,658,727; 5,735,743 and 5,969,108に記載された方法が含まれるが、それらに限定されない。
あるいは、本発明の抗体の親和性を増加させるための好ましい方法は、US 2002 0123057 A1に開示されている。
さらに、適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともに適切な抗原特異性を備えるマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングする段階による「キメラ抗体」を作製するために開発された技術(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855(1984); Neuberger et al., Nature 312:604-608(1984); Takeda et al., Nature 314:452-454(1985))を使用できる。上述のように、キメラ抗体は、相違する部分がマウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域、例えばヒト化抗体を有する動物種などの様々な動物種由来である分子である。
あるいは、一本鎖抗体を作製するために記載された技術(U.S. Patent No. 4,946,778; Bird, Science 242:423- 42(1988); Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988); and Ward et al., Nature 334:544-54(1989))は、一本鎖抗体を作製するために適応させることができる。一本鎖抗体は、一本鎖ポリペプチドを生じさせる、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結させる段階によって形成される。大腸菌中で機能的Fvフラグメントを組立てるための技術もまた使用できる(Skerra et al., Science 242:1038-1041(1988))。
抗体結合についてのアッセイ
本発明の抗体は、当技術分野において公知の任意の方法によって免疫特異的結合についてアッセイすることができる。使用できるイムノアッセイには、その一部を挙げるとウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酸素結合免疫吸着検査法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集反応アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、などの技術を使用する競合的および非競合的アッセイが含まれるが、それらに限定されない。そのようなアッセイはルーチン業務であり、当技術分野において周知である(例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるAusubel et al, eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York参照)。以下では、例示的なイムノアッセイについて手短に説明する(しかし、限定することは意図していない)。
免疫沈降法プロトコールは、一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤(例、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を補給したRIPAバッファー(1% NP-40またはトリトンX-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1%トラジロール)などの溶解バッファー中に細胞集団を溶解させる段階、関心対象の抗体を細胞溶解液へ添加する段階、4℃である期間(例、1〜4時間)インキュベートする段階、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを細胞溶解液へ添加する段階、4℃で約1時間以上にわたりインキュベートする段階、溶解バッファー中でビーズを洗浄する段階、およびビーズをSDS/サンプルバッファー中に再懸濁させる段階を含む。関心対象の抗体が特定抗原を免疫沈降させる能力は、例えばウェスタンブロット分析によって評価できる。当業者であれば、抗原に対する抗体の結合を増加させてバックグラウンドを減少させるために修飾できる(例えば、セファロースビーズを用いて細胞溶解液を前洗浄する段階)パラメータに関して精通している。免疫沈降法プロトコールに関する詳細な考察については、例えばAusubel et al, eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York at 10.16.1参照。
ウェスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製する段階、ポリアクリルアミドゲル(例、抗原の分子量に依存して8%〜20% SDS-PAGE)内でのタンパク質サンプルの電気泳動法、ポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンなどの膜へタンパク質サンプルを移す段階、ブロッキング液(例、3% BSAもしくは脱脂粉乳を備えるPBS)中で膜をブロッキングする段階、洗浄バッファー(例、PBS-Tween 20)中で膜を洗浄する段階、ブロッキングバッファー中で希釈した一次抗体(関心対象の抗体)を用いて膜をブロッキングする段階、洗浄バッファー中で膜を洗浄する段階、ブロッキングバッファー中に希釈した酵素性基質(例、ホースラディッシュペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例、32Pもしくは125I)へコンジュゲートさせた二次抗体(一次抗体、例えば抗ヒト抗体を認識する)を用いて膜をブロッキングする段階、洗浄バッファー中で膜を洗浄する段階、ならびに抗原の存在を検出する段階を含む。当業者であれば、検出されるシグナルを増加させ、バックグラウンド雑音を減少させるために修飾できるパラメータに関して精通している。ウェスタンブロットプロトコールに関する詳細な考察については、例えばAusubel et al, eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York at 10.8.1参照。
ELISAは、抗原を調製する段階、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原で被覆する段階、酵素性基質(例、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物へコンジュゲートした関心対象の抗体をウェルへ添加してある期間にわたりインキュベートする段階、および該抗原の存在を検出する段階を含む。ELISAでは、関心対象の抗体は必ずしも検出可能な化合物へコンジュゲートさせる必要はない;その代わりに、検出可能な化合物へコンジュゲートした第2抗体(関心対象の抗体を認識する)をウェルへ添加することができる。さらに、抗原を用いてウェルを被覆する代わりに、抗体がウェルへ被覆されてもよい。この場合には、検出可能な化合物へコンジュゲートした第2抗体は、被覆されたウェルへ関心対象の抗原が添加された後に添加されてよい。当業者であれば、検出されるシグナルを増加させるために修飾できるパラメータならびに当技術分野において公知のELISAの他の変形に精通している。ELISAに関する詳細な考察については、例えばAusubel et al, eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York at 11.2.1参照。
抗原に対する抗体の結合親和性および抗体-抗原相互作用のオフレートは、競合的結合アッセイによって決定できる。競合的結合アッセイの1つの例は、量を上昇させながらの未標識抗原の存在下での標識抗原(例、3Hまたは125I)と関心対象の抗体とのインキュベーション、および標識抗原へ結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。特定抗原に対する関心対象の抗体の親和性および結合オフレートは、スキャッチャードプロット分析によってデータから決定できる。二次抗体との競合もまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定できる。この場合には、抗原は量を上昇させながらの未標識二次抗体の存在下で標識化合物(例、3Hまたは125I)へコンジュゲートした関心対象の抗体とともにインキュベートされる。
モノクローナル抗体(MAb)と特定抗原との相互作用の親和性および動態の特性解析を使用すると、抗体または抗原どちらかの構造および機能を精査することができる。イムノアッセイのために適切な試薬の選択においては、動態測定もまた、重要である。
抗体-抗原相互作用の親和性を測定するためには様々な方法を利用できるが、速度定数を決定するために利用できる方法は相当に少ない。ほとんどの方法は、抗体または抗原のどちらかを標識することに基づいているが、これはルーチンの測定を必然的に複雑にして、測定された量に不確実さを持ち込む。
BIAcore上で実施されるような表面プラズモン共鳴(SPR)は、抗体-抗原相互作用の親和性を測定する従来型方法に比較して多数の長所を提供する。(i)抗体または抗原のどちらかを標識する要件なし;(ii)抗体は前もって精製される必要がなく、細胞培養上清を直接的に使用できる;(iii)様々なモノクローナル抗体相互作用の迅速な半定量的比較を可能にするリアルタイム測定が可能になり、多数の評価目的のために十分である;(iv)一連の相違するモノクローナル抗体を同一条件下で容易に比較できるように、二重特異性表面を再生成することができる;(v)分析手順は完全に自動化されており、そして使用者が介入せずに広範囲の連続測定を実施することができる。BIAapplications Handbook, version AB(reprinted 1998), BIACORE code No. BR-1001-86 ; BIAtechnology Handbook, version AB(reprinted 1998), BIACORE code No.BR-1001-84.
SPRに基づく結合試験は、結合対の一方のメンバーがセンサー表面上に不動化されることを必要とする。不動化された結合パートナーは、リガンドと呼ばれる。溶液中の結合パートナーは、分析物と呼ばれる。一部の場合に、リガンドは、捕捉分子と呼ばれる他の不動化された分子への結合を通して表面へ間接的に付着させられる。SPR応答は、分析物が結合または解離するにつれて検出体表面での質量濃度における変化を反映する。
SPRに基づいて、リアルタイムBIAcore測定値は、それらが発生すると相互作用を直接的に監視する。この技術は、動態パラメータの決定に明確に適応させられている。比較親和性順位付けは極めて単純に実施することができ、動態および親和性定数はどちらもセンサーグラムデータから引き出すことができる。
分析物がリガンド表面を越えて離散パルスで注射された場合は、結果として生じたセンサーグラムは以下の3つの重要な相に分割することができる。(i)サンプル注入中の分析物とリガンドとの会合;(ii)分析物結合の速度が複合体からの解離によって平衡が取られる場合の、サンプル注入中の平衡または定常状態;(iii)バッファー流動中の分析物の表面からの解離。
会合および解離相は、分析物-リガンド相互作用の動態に関する情報を提供する(kaおよびkd、複合体の形成および解離速度、kd/ka=KD)。平衡相は、分析物-リガンド相互作用の親和性(KD)に関する情報を提供する。
BIAevaluationソフトウエアは、数値積分法および包括的な当てはめアルゴリズムの両方を用いた曲線の当てはめに対する包括的機能を提供する。適切なデータ分析を用いると、相互作用に対する個別の速度および親和性定数は単純なBIAcore調査から入手できる。この技術によって測定できる親和性の範囲は、mMからpMまでの極めて広い範囲に及ぶ。
エピトープ特異性は、モノクローナル抗体の重要な特性である。BIAcoreを用いたエピトープマッピングは、ラジオイムノアッセイ、ELISAまたは他の表面吸着法を用いる従来の技術とは対照的に、標識化または精製抗体を必要とせず、そして数個のモノクローナル抗体の配列を用いて多重部位特異性試験を可能にする。さらに、極めて多数の分析を自動的に処置することができる。
ペアワイズ結合実験は、2つのMAbが同一抗原へ同時に結合する能力を試験する。個別エピトープに対して向けられたMAbは独立して結合するが、他方密接に関連するエピトープに向けられたMAbは相互の結合を妨害する。BIAcoreを用いたこれらの結合実験は、容易に実施することができる。
例えば、一次MAbへ結合するために捕捉分子を使用し、その後に抗原および二次MAbの添加を連続的に行なうことができる。センサーグラムによって以下のことが明らかになる:1.幾つの抗原が一次MAbへ結合するのか、2.二次MAbが表面結合抗原へ結合する程度、3.二次MAbが結合しない場合は、ペアワイズ試験の順番が結果を変化させるかどうか。
ペプチド阻害は、エピトープマッピングのために使用されるまた別の技術である。この方法はペアワイズ抗体結合試験を補完することができ、そして抗原の主要配列が公知の場合は機能的エピトープを構造的特徴へ関連付けることができる。ペプチドまたは抗原フラグメントは、不動化された抗原への様々なMAbの結合の阻害について試験される。所与のMAbの結合を妨害するペプチドは、そのMAbによって規定されたエピトープへ構造的に関連すると推測される。
抗体の作製方法
本発明の抗体は、抗体を合成するための、当技術分野において任意の公知の方法によって、特に、化学合成によって、または好ましくは組換え発現技術によって作製することができる。
本発明の抗体、またはそれらのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖または本発明の一本鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とすることがある。本発明の抗体の抗体分子または重鎖もしくは軽鎖、あるいはその部分(好ましくは、重鎖もしくは軽鎖可変ドメインを含有する)をコードするポリヌクレオチドが入手されると、抗体分子を作製するためのベクターは当技術分野において周知である技術を用いて組換えDNA技術によって作製することができる。そこで、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含有するポリヌクレオチドを発現する段階によってタンパク質を調製するための方法を本明細書において記載する。当業者には周知である方法を使用すると、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換え法が含まれる。本発明は、そこで本発明の抗体分子をコードするヌクレオチド配列、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはプロモーターへ機能的に連結した重鎖もしくは軽鎖可変ドメインを含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含んでいてよく(例えば、PCT Publication WO 86/05807 ; PCT Publication WO 89/01036; and U.S. Pat. No. 5,122,464参照)、そして該抗体の可変ドメインは重鎖もしくは軽鎖全体を発現させるためにそのようなベクター内へクローニングすることができる。
発現ベクターは従来型技術によって宿主細胞へ移され、次にトランスフェクトされた細胞は本発明の抗体を作製するために従来型技術によって培養される。そこで、本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、またはその重鎖もしくは軽鎖、または異種プロモーターへ機能的に連結した本発明の一本鎖抗体を含有する宿主細胞を含む。二本鎖抗体を発現させるための好ましい態様では、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、以下で詳述するように、完全免疫グロブリン分子を発現させるために宿主細胞内で共発現させることができる。
本発明の抗体分子を発現させるためには、様々な宿主-発現ベクター系を利用できる。そのような宿主-発現ベクター系は、それによって関心対象のコード配列を作製して、引き続き精製できるビヒクルを表すが、さらにまた適切なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換またはトランスフェクトされた場合に、本発明の抗体分子をインサイチューで発現できる細胞も表す。これらには組換えバクテリオファージDNA、抗体コード配列を含有するプラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例、大腸菌、枯草菌(B. subtilis))などの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア属(Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例、バキュロウイルス)を用いて感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例、カリフラワー・モザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を用いて感染させた、または抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例、Tiプラスミド)を用いて形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を常在させている哺乳動物細胞系(例、COS、CHO、BIK、293、3T3細胞)が含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、具体的には全組換え抗体分子の発現のための大腸菌などの細菌細胞、およびより好ましくは真核細胞が、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間体早期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと結び付けられると、抗体のための有効な発現系である(Foecking et al., Gene 45:101(1986); Cockett et al., Bio/Technology 8:2(1990))。
細菌系では、多数の発現ベクターを発現させられる抗体分子のために意図された使用に依存して有益にも選択することができる。例えば、抗体分子の薬学的組成物を作製するために、極めて多量のそのようなタンパク質を作製しなければならない場合は、容易に精製される高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指令するベクターが望ましいことがある。そのようなベクターには、融合タンパク質が作製されるように抗体コード配列がlac Zコーディング領域とフレーム単位でベクター内へ個別にライゲートすることのできる、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther et al., EMBO J. 2:1791(1983));pINベクター(Inouye & Inouye, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109(1985); Van Heeke & Schuster, J. Biol. Chem. 24:5503-5509(1989))などが含まれるが、それらに限定されない。pGEXベクターは、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質としての異種ポリペプチドを発現させるためにも使用できる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、基質グルタチオンーアガロースビーズへの吸着および結合ならびにその後の遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製できる。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子産物がGST部分から遊離できるように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計されている。
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa califomica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が異種遺伝子を発現させるためのベクターとして使用される。このウイルスは、スポドプテラ・フルギデペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)内へ個別にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれることがある。
哺乳動物宿主細胞内では、多数のウイルスに基づく発現系を利用できる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合には、関心対象の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーターおよび三連リーダー配列へライゲーションすることができる。次にこのキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノム内に挿入することができる。ウイルスゲノム(例、領域E1もしくはE3)の非必須領域内への挿入は、生育性であって、結果として感染宿主中で抗体分子を発現させることのできる組換えウイルスを生じさせる(例えば、Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359(1984)参照)。特異的開始シグナルは、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために必要となることがある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、全インサートの翻訳を保証するために所望のコード配列のリーディングフレームと同位相でなければならない。これらの外生翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、様々な起源由来であってよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写終結因子などの包含によって増強することができる(Bittner et al., Methods in Enzymol. 153:51-544(1987)参照)。
さらに、挿入された配列の発現を調節する、または所望の特定方法で遺伝子産物を修飾および処理する宿主細胞系統を選択することもできる。タンパク質生成物のそのような修飾(例、グリコシル化)およびプロセッシング(例、開裂)は、タンパク質の機能にとって重要な場合がある。様々な宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセッシングおよび修飾のために特徴的および特異的機序を有する。発現した異種タンパク質の正確な修飾およびプロセッシングを保証するために適切な細胞系もしくは宿主系を選択することができる。このために、遺伝子産物の一次転写、グリコシル化、およびリン酸化の適正なプロセッシングのために細胞機構を有する真核生物宿主細胞を使用できる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、および特に、例えばBT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dなどの乳癌細胞系、ならびに例えばCRL7030およびHs578Bstなどの正常乳腺細胞系が含まれるが、それらに限定されない。
組換えタンパク質の長期間にわたる高収率作製のためには、安定性発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定性に発現する細胞系は組換え作製されてもよい。複製のウイルス起源を含有する発現ベクターを使用するよりむしろ、宿主細胞は適切な発現制御エレメント(例、プロモーター、エンハンサー、配列、転写終結因子、ポリアデニル化部位など)、および選択可能なマーカーによって制御されるDNAを用いて形質転換することができる。異種DNAの導入に続いて、組換え作製された細胞は栄養強化培地中で1〜2日間増殖させられてよく、その後選択培地へ切り替えられる。組換えプラスミド内の選択可能なマーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞が該プラスミドをそれらの染色体内へ安定性に組込み、順に細胞系内へクローニングして拡張できる巣を形成するように増殖するのを可能にする。この方法は、有益にも抗体分子を発現する細胞系を組換え作製するために使用できる。そのような組換え作製細胞系は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用なことがある。
上述のように、モノクローナル抗体を作製するための好ましい方法は、US 2002 0123057 A1に開示されている。
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22:817(1980))を含むがそれらに限定されない多数の選択系を使用することができ、遺伝子は各々tk-、hgprt-またはaprt-細胞において使用できる。さらに、代謝拮抗物質耐性もまた以下の遺伝子について選択する基礎として使用できる。メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al., Natl. Acad. Sci. USA 77:357(1980); O’Hare et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527(1981));マイコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072(1981));アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Clinical Pharmacy 12:488-505 ; Wu and Wu, Biotherapy 3:87-95(1991); Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596(1993); Mulligan, Science 260:926-932(1993); and Morgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217(1993); May, 1993, TIB TECH 11(5):155-215);およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre et al., Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術の当技術分野において一般に公知の方法は、所望の組換えクローンを選択するためにルーチン的に適用することができ、そしてそのような方法は、参照により全体として本明細書に組み入れられるAusubel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(1993); Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY(1990); and in Chapters 12 and 13, Dracopoli et al.(eds), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY(1994); Colberre-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150:1(1981)に記載されている。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって上昇させることができる(概観については、Bebbington and Hentschel, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, Vol. 3.(Academic Press, New York, 1987)参照)。抗体を発現するベクター系内のマーカーが増幅可能である場合に、宿主細胞の培養中で存在する阻害剤のレベルの上昇はマーカー遺伝子のコピーの数を増加させる。増幅させた領域は抗体遺伝子と関連しているので、抗体の作製もまた増加する(Crouse et al., Mol. Cell. Biol. 3:257(1983))。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクターを用いてコトランスフェクトすることができ、第1ベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2ベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードする。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含有していてよい。または、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードして発現することのできる単一ベクターが使用されてもよい。そのような状況では、過剰の毒性遊離重鎖を回避するために、軽鎖は重鎖の前に配置されなければならない(Proudfoot, Nature 322:52(1986); Kohler, Proc. Natl. Acad. Sci. USA77:2197(1980))。重鎖および軽鎖に対するコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでいてよい。
抗体は、全C35ポリペプチド、もしくはその部分、またはプレニル化、グリコシル化、リン酸化、ミリストイル化、またはアミド化されている部位に対して発生させることができる。
エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来型手段によって作製できる(例えば、Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5131-5135(1985)参照、さらにU.S. Patent No. 4,631,211に記載されている)。
同様に、当技術分野において周知である方法によって抗体を導入するためには免疫原性エピトープを使用できる(例えば、Sutcliffe et al., 前記;Wilson et al., 前記;Chow et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:910-914;およびBittle et al., J. Gen. Virol. 66:2347-2354(1985)参照)。好ましい免疫原性エピトープには、本明細書において開示した免疫原性エピトープ、ならびにこれらの免疫原性エピトープの2つ、3つ、4つ、5つ以上の任意の組み合わせが含まれる。一つまたは複数の免疫原性エピトープを含むポリペプチドは、アルブミンなどの担体タンパク質と一緒に動物系(ウサギまたはマウスなど)に対する抗体反応を誘導するために提示することができる、またはポリペプチドが十分な長さ(少なくとも約25アミノ酸)である場合は、ポリペプチドは担体を用いずに提示させることができる。しかし8〜10個という少数のアミノ酸を含む免疫原性エピトープは、控えめに言っても、変性ポリペプチド(例えば、ウェスタンブロット法で)内の直鎖状エピトープへ結合できる抗体を生じるために十分であることが証明されている。特定の態様では、本発明のエピトープは、以下の表11に記載のエピトープを含む。
本発明のエピトープを有するポリペプチドは、インビボ免疫法、インビトロ免疫法、およびファージ提示法を含むがそれらに限定されない当技術分野において周知の方法によって抗体を誘導するために使用できる。例えば、Sutcliffe et al., 前記;Wilson et al., 前記、およびBittle et al., J. Gen. ViroL., 66:2347-2354(1985)参照。インビボ免疫法が使用される場合は、動物は遊離ペプチドを用いて免疫できる;しかし、抗ペプチド抗体力価は、そのペプチドをアオガイヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイドなどの高分子担体へ結合させることによって増強することができる。例えば、システイン残基を含有するペプチドは、マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)などのリンカーを用いて担体へ結合させることができるが、他方他のペプチドはグルタルアルデヒドなどのより一般的な結合剤を用いて担体へ結合させることができる。
本発明のエピトープを有するペプチドは、さらにまた最初に、参照により全体として本明細書に組み入れられるJ.P. Tam in Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.85:5409に記載された多重抗原ペプチド(MAP)として合成することができる。MAPは、非免疫原性リシンコアへ付着した多数のコピーの特異的ペプチドからなる。Mapペプチドは、MAP-4またはMAP-8ペプチドとしばしば呼ばれる該ペプチドの4または8個のコピーを通常含有する。非限定的実施例によって、MAPは、ポリエチレングリコール-ポリスチレン(PEG-PS)支持体へ付着したリシンコアマトリックス上へ合成することができる。関心対象のペプチドは、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学を用いてリシン残基上へ合成されている。例えば、Applied Biosystems社(カリフォルニア州フォスターシティ)は、例えばFmoc Resin 4 BranchおよびFmoc Resin 8 BranchなどのMAPを合成するために使用できるMAP樹脂を提供する。この樹脂からのMAPの開裂は、当技術分野において公知の標準トリフルオロ酢酸(TFA)を基剤とするカクテルを用いて実施される。脱塩以外のMAPの精製は必要とされない。MAPペプチドは、それに該ペプチドが由来するMAPおよび天然タンパク質の両方を認識する抗体を誘導する免疫用ワクチンとして使用できる。
本発明のエピトープを有するペプチドは、さらにまたその後、抗エピトープ抗体の作製を促進するために、それを用いてヒトを含む動物を免疫するための免疫原またはワクチンとして使用できるウイルスのコートタンパク質中へ組み込むことができる。例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)のgp120糖タンパク質のV3ループは、ライノウイルスの表面上で発現するように組換え作製されている。V3ループペプチドを提示するこのライノウイルスを用いた免疫は、HIV-1免疫原の明らかに有効な模倣体を作製した(抗HIV-1抗体によって中和されるそれらの能力ならびに細胞培養中でHIV-1を中和できる抗体の作製を誘導するそれらの能力によって測定されるように)。免疫原として組換え作製されたウイルス粒子を使用するこの技術は、これにより参照により全体として本明細書に組み入れられるSmith et al., Behring Inst Mitt Feb ; (98):229-39(1997), Smith et al, J Virol 72:651-9(1998)、およびZhang et al., Biol Chem 380:365-74(1999)により詳細に記載されている。
ウサギ、ラットおよびマウスなどの動物は、遊離もしくは担体結合ペプチドまたはMAPペプチドのいずれかを用いて、例えば約100μgのペプチドまたは担体タンパク質およびフロイントのアジュバントまたは免疫応答を刺激するために公知の任意の他のアジュバントを含有するエマルジョンの腹腔内および/または皮内注射によって免疫される。例えば固体表面に吸着させられた遊離ペプチドを用いるELISAアッセイによって検出できる抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば約2週間の間隔で数回のブースター注射が必要となることがある。免疫された動物からの血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択によって、例えば当技術分野において周知である方法によって固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出によって、増加させることができる。
本発明の抗体分子が動物によって作製される、化学合成される、または組換え発現させられると、それは免疫グロブリン分子を精製するための当技術分野において公知の任意の方法によって、例えばクロマトグラフィー(例、イオン交換、親和性、特にプロテインAの後の特異的抗原に対する親和性による、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質精製のための任意の他の標準技術によって精製することができる。さらに、本発明の抗体またはそれらのフラグメントは、精製を促進するために、本明細書において記載の、さもなければ当技術分野において公知の異種ポリペプチド配列へ融合させることができる。
本発明の抗体は、当技術分野において公知の任意の適合する方法によって作製することができる。関心対象の抗原に対するポリクローナル抗体は、当技術分野において周知である様々な方法によって作製することができる。例えば、本発明のポリペプチドは、抗原に対して特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の生成を誘導するために、ウサギ、マウス、ラットなどを含むがそれらに限定されない様々な宿主動物へ投与することができる。免疫学的応答を増加させるためには、宿主種に依存して様々なアジュバントを使用することができ、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの鉱質ゲル、リゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニック系ポリオール、多価アニオン、ペプチド、油性エマルジョン、アオガイヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメットゲラン菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントを含んでいるが、それらに限定されない。そのようなアジュバントもまた、当技術分野において周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え体、およびファージ提示法、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当技術分野において公知の広範囲の技術を用いて調製できる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の技術および、例えばHarlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling, et al., in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier, N.Y., 1981)(該参考文献は、参照により全体として本明細書に組み入れられる)において教示された技術を含むハイブリドーマ技術を用いて作製できる。本明細書において使用する用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を通して作製される抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、それが作製される方法には無関係に、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体を指す。
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を作製およびスクリーニングするための方法はルーチンで当技術分野において周知であり、実施例の項で詳細に考察する。非限定的実施例において、マウスは本発明のポリペプチドまたはそのようなペプチドを発現する細胞を用いて免疫することができる。免疫応答が検出されると、例えばマウス血清中で抗原に対して特異的な抗体が検出されると、マウス脾臓が採取され、脾細胞が単離される。次に脾細胞は、周知の技術によって任意の適合する骨髄腫細胞、例えばATCCから入手できる細胞系SP20由来の細胞へ融合させられる。ハイブリドーマが選択され、限定希釈によってクローニングされる。次にハイブリドーマクローンは、本発明のポリペプチドへ結合できる抗体を分泌する細胞について当技術分野において公知の方法によってアッセイされる。一般に高レベルの抗体を含有する腹水液は、陽性ハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫することによって作製できる。
したがって、本発明は、モノクローナル抗体ならびに本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養する段階を含む方法によって作製された抗体を作製する方法であって、好ましくは、ハイブリドーマが本発明の抗原を用いて免疫されたマウスから単離された脾細胞を骨髄腫細胞と融合させる段階、および次に本発明のポリペプチドへ結合できる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについての融合の結果として生じるハイブリドーマをスクリーニングする段階によって作製される方法を提供する。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって作製できる。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを作製するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを作製するため)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解性開裂によって作製することができる。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有する。
例えば、本発明の抗体は、さらに当技術分野において公知の様々なファージ提示法を用いて生成することもできる。ファージ提示法では、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示される。特定の態様では、そのようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例、ヒトまたはマウス)から発現させた抗原結合ドメインを提示するために利用できる。関心対象の抗原へ結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば標識抗原または固体表面またはビーズへ結合もしくは捕捉された抗原を用いて選択もしくは同定することができる。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のどちらかへ組換え融合させられたFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを用いてファージから発現させたfdおよびM13結合ドメインを含む線維状ファージである。本発明の抗体を作製するために使用できるファージ提示法の例には、それらの各々が参照により本明細書に全体として組み入れられるBrinkman et al., J. Immunol. Methods 182:41-50(1995); Ames et al., J. Immunol. Methods 184:177-186(1995); Kettleborough et al., Eur. J. Immunol. 24:952-958(1994); Persic et al., Gene 187 9-18(1997); Burton et al., Advances in Immunology 57:191-280(1994); PCT application No. PCT/GB91/01134; PCT publications WO 90/02809; WO 91/10737; WO 92/01047; WO 92/18619; WO 93/11236; WO 95/15982; WO 95/20401; and U.S. Pat. Nos. 5,698,426; 5,223,409; 5,403,484; 5,580,717; 5,427,908; 5,750,753; 5,821,047; 5,571,698; 5,427,908; 5,516,637; 5,780,225; 5,658,727; 5,733,743 and 5,969,108に開示された方法が含まれる。
上記の参考文献に記載されたように、ファージ選択後には、該ファージから抗体コーディング領域を単離して、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを生成するために使用し、以下で詳細に説明するように、例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主中で発現させることができる。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え作製するための技術は、PCT publication WO 92/22324; Mullinax et al., BioTechniques 12(6):864-869(1992); and Sawai et al., AJRI 34:26-34(1995); and Better et al., Science 240:1041-1043(1988)(該参考文献は参照により全体として組み入れられる)に開示された方法などの当技術分野において公知の方法を用いて使用できる。
一本鎖Fvおよび抗体ならびにダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディを作製するために使用できる技術の例には、U.S. Pat. Nos. 4,946,778 and 5,258,498; Huston et al., Methods in Enzymology 203:46-88(1991); Shu et al., PNAS 90:7995-7999(1993); Skerra et al., Science 240:1038-1040(1988); U.S. Publication No.20020018749 and U.S. Pat. No. 5,837,242に記載された技術が含まれる。ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイを含む一部の使用のためには、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を使用するのが好ましいことがある。キメラ抗体は、相違する部分がマウスモノクローナル抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体などの相違する動物種由来である分子である。キメラ抗体を作製するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるMorrison, Science 229:1202(1985); Oi et al., BioTechniques 4:214(1986); Gillies et al., J. Immunol. Methods 125:191-202(1989); U.S. Pat. Nos. 5,807,715; 4,816,567; and 4,816,397参照。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の一つまたは複数の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域内のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させるため、好ましくは改善するためにCDRドナー抗体由来の対応する残基と置換される。これらのフレームワーク置換は、当技術分野において周知である方法によって、例えば特定位置で異常なフレームワーク残基を同定するための抗原結合および配列比較のために重要なフレームワーク残基を同定するためにCDRとフレームワーク残基との相互作用をモデリングする段階によって同定される(例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるQueen et al., U.S. Pat. No. 5,585,089; Riechmann et al., Nature 332:323(1988)参照)。抗体は、例えばCDRグラフト術(EP 239,400 ; PCT publication WO 91/09967; U.S. Pat. Nos. 5,225,539; 5,530,101; and 5,585,089)、ベニアリングまたはリサーフェシング(EP 592,106 ; EP 519,596 ; Padlan, Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991); Studnicka et al., Protein Engineering 7(6): 805-814(1994); Roguska. et al., PNAS 91:969-973(1994))、ならびに鎖シャッフリング(U.S. Pat. No. 5,565,332)を含む、当技術分野において公知の様々な技術を用いてヒト化できる。
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いる上述のファージ提示法およびUS 2002 0123057 A1に開示された方法を含む、当技術分野において公知の様々な方法によって作製できる。さらに、各々が参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S. Pat. Nos. 4,444,887 and 4,716,111; and PCT publications WO 98/46645, WO 98/50433, WO 98/24893, WO 98/16654, WO 96/34096, WO 96/33735, and WO 91/10741参照。
ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現できないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを用いて作製することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、無作為に、または同種組換えによってマウス胚幹細胞内へ導入することができる。または、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚幹細胞内へ導入することもできる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、同種組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個に、または同時に非機能的にすることができる。特に、JH領域のホモ接合体欠失は内因性抗体作製を妨害する。修飾された胚幹細胞は、キメラマウスを作製するために拡張させられ、そして胚盤胞内へマイクロインジェクションされる。次にキメラマウスは、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を作製するために飼育される。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば本発明のポリペプチドの全部または一部分を用いて通常の方法で免疫される。抗原に対して向けられたモノクローナル抗体は、従来型ハイブリドーマ技術を用いて免疫されたトランスジェニックマウスから入手できる。トランスジェニックマウスに潜伏したヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に配列し直し、引き続いてクラススイッチおよび体細胞突然変異を受ける。そこで、そのような技術を用いると、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を作製することが可能である。ヒト抗体を作製するためのこの技術の概観については、Lonberg and Huszar, Int. Rev. Immunol. 13:65-93(1995)参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を作製するためのこの技術ならびにそのような抗体を作製するためのプロトコールについての詳細な考察については、例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるPCT publications WO 98/24893; WO 92/01047 ; WO 96/34096 ; WO 96/33735; European Patent No. 0 598 877; U.S. Pat. Nos.5,413,923; 5,625,126; 5,633,425; 5,569,825; 5,661,016; 5,545,806; 5,814,318; 5,885,793; 5,916,771; and 5,939,598参照。さらに、Abgenix, Inc.社(カリフォルニア州フリーモント)およびGenpharm社(カリフォルニア州サンホセ)のような会社は、上述の技術に類似する技術を使用して、選択された抗原に対して向けられたヒト抗体を提供するために携ることができる。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」と呼ばれる技術を用いて生成することができる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体が、同一エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用される(Jespers et al., Bio/technology 12:899-903(1988))。
さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、順に、当業者には周知である技術を用いてポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製するために利用できる(例えば、Greenspan & Bona, FASEB J. 7(5):437-444;(1989) and Nissinoff, J. Immunol. 147(8):2429-2438(1991)参照)。例えば、結合して、ポリペプチド多量体化および/またはリガンドへの本発明のポリペプチドの結合を完全に阻害する抗体は、ポリペプチド多量体化および/または結合ドメインを「模倣する」、そしてその結果としてポリペプチドおよび/またはそのリガンドへ結合して中和する抗イディオタイプを作製するために使用できる。抗イディオタイプまたはそのような抗イディオタイプのFabフラグメントのそのような中和は、ポリペプチドリガンドを中和するために治療プログラムにおいて使用できる。例えば、そのような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチドへ結合し、および/またはそのリガンド/受容体へ結合し、それによってその生物活性を遮断するために使用できる。
抗体コンジュゲート
また別の態様では、本発明は毒素または細胞毒性プロドラッグと結び付けて癌関連細胞内抗原に対する抗体を投与する段階によって、細胞の特異的破壊(例、腫瘍細胞を含むがそれらに限定されない異所性細胞の破壊)のための方法を提供する。
「毒素」は、内因性細胞毒性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾された毒素、毒素の触媒サブユニット、細胞毒素(細胞毒性物質)、または規定条件下で細胞死を引き起こす細胞内もしくは細胞表面上に通常は存在しない任意の分子もしくは酵素へ結合して活性化する化合物を意味する。本発明の方法によって使用できる毒素には、当技術分野において公知の放射性同位体、例えば内在性もしくは誘導性内因性細胞毒性エフェクター系、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシン、アブリン、シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モモルジン、ゲロニン、ヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質、α-サルシンおよびコレラ毒素へ結合する抗体(またはその部分を含有する補体結合)などの化合物が含まれるが、それらに限定されない。「毒素」にはさらにまた細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療薬もしくは放射性金属イオン、例えば213Biなどのα放出体、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イットリウム、117スズ、186レニウム、166ホルミウム、および188レニウムならびに以下の「複合体」の項に列挙したものなどの他の放射性同位体;ルミノールなどの発光標識;ならびにフルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識およびビオチンが含まれる。特定の態様では、本発明の抗体(それらのフラグメントもしくは変異体を含む)は例えば131Iのような放射性同位体とコンジュゲートさせられる。好ましい態様では、放射性同位体とコンジュゲートした抗体は、化学療法と併用して放射免疫療法のために投与される。
細胞毒素または細胞毒性剤には、細胞にとって不利益な任意の物質が含まれる。例には、パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにそれらのアナログまたはホモログが含まれる。細胞毒素または細胞毒性剤には、代謝拮抗物質(メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン系(例、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに細胞分裂抑制薬(例、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれるが、それらに限定されない。
「細胞毒性プロドラッグ」は、通常細胞中に存在する酵素によって細胞毒性化合物へ転換させられる非毒性化合物を意味する。本発明の方法によって使用できる細胞毒性プロドラッグには、安息香酸マスタードアルキル化剤のグルタミル誘導体、エトポシドまたはマイトマイシンCのリン酸誘導体、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、ならびにドキソルビシンのフェノキシアセトアミド誘導体が含まれるが、それらに限定されない。
本発明は、融合タンパク質を作製するために、ポリペプチド(またはその部分、好ましくは該ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100アミノ酸)へ組換え融合(共有的および非共有的コンジュゲーションの両方を含む)または化学的にコンジュゲートされた抗体をさらに含む。融合は、必ずしも直接的であることを必要とせず、リンカー配列を通して発生してよい。抗体は、C35ポリペプチド(またはその部分、好ましくは該ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100アミノ酸)以外の抗原に対して特異的であってよい。特に、抗体は他の癌関連細胞内抗原に対して特異的であってよい。好ましい態様では、そのような細胞内抗原はプレニル化タンパク質である。
本発明の抗体(それらのフラグメントもしくは変異体を含む)は、異種タンパク質(例、免疫グロブリンFcポリペプチドまたはヒト血清アルブミンポリペプチド)のN末端またはC末端のどちらかへ融合させることができる。本発明の抗体は、結果としてキメラポリペプチドを生じさせるアルブミン(組換えヒト血清アルブミン(例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられる1999年3月2日に発行されたU.S. Patent No. 5,876,969、EP Patent 0 413 622、および1998年6月16日に発行されたU.S. Patent No. 5,766,883参照)を含むがそれには限定されない)へ融合させることもできる。好ましい態様では、本発明の抗体(それらのフラグメントもしくは変異体を含む)は、ヒト血清アルブミンの成熟形(すなわち、参照により全体として本明細書に組み入れられるEP Patent 0 322 094の図1および2に示したヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585))と融合させられる。また別の態様では、本発明の抗体(それらのフラグメントもしくは変異体を含む)は、ヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1〜zを含む、またはそれらからなるポリペプチドフラグメントと融合させられるが、このときzは参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S. Patent 5,766,883に記載されたように、369から419の整数である。
本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドもまた本発明によって含まれる。そのような融合タンパク質は、例えば、精製を促進し、そしてインビボ半減期を増加させることができる。ポリペプチドに融合またはコンジュゲートした抗体もまた、当技術分野において公知の方法を用いてインビトロイムノアッセイおよび精製方法において使用することもできる。例えば、参照により全体として組み入れられるHarbor et al., 前記、およびPCT publication WO 93/21232; EP 439,095 ; Naramura et al., Immunol. Lett. 39:91-99(1994); U.S. Patent 5,474,981 ; Gillies et al., PNAS 89:1428-1432(1992); Fell et al., J. Immunol. 146:2446-2452(1991)参照。
さらに、本発明の抗体またはそれらのフラグメントは、精製を促進するためのペプチドなどのマーカー配列へ融合させることができる。好ましい態様では、マーカーアミノ酸配列は、特に、pQEベクター(QIAGEN, Inc.、91311カリフォルニア州チャッツワース9259 Eton Avenue)内で提供されるタグなどのヘキサ-ヒスチジンペプチドであり、それらの多くは市販されている。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824(1989)に記載されたように、例えば、ヘキサ-ヒスチジンは融合タンパク質の便宜的精製を提供する。精製のために有用な他のペプチドタグには、インフルエンザ・ヘマグルチニンタンパク質(Wilson et al., Cell 37:767(1984))由来のエピトープに一致する「HA」タグおよび「フラグ」タグが含まれるが、それらに限定されない。
本発明は、診断薬または治療薬へコンジュゲートしたC35抗体などの抗体またはそれらのフラグメントを含む。これらの抗体は、例えば所与の治療プログラムの有効性を決定するために、臨床検査手順の一部として、例えば腫瘍の発生または進行を監視するために診断学的に使用できる。検出は、検出可能な物質へ該抗体を結合させることによって促進できる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、様々な陽電子放射断層撮影法を用いた陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イオンが含まれる。検出可能な物質は、当技術分野において公知の技術を用いて抗体(もしくはそれらのフラグメント)へ直接的に、または中間体(例えば当技術分野において公知のリンカーなど)を通して間接的にのどちらかで結合またはコンジュゲートさせることができる。例えば、本発明による診断薬として使用するために抗体へコンジュゲートさせることのできる金属イオンについてはU.S. Pat. No. 4,741,900参照。適合する酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる;適合する補欠分子団複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる;適合する蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが含まれる;発光物質の例には、ルミノールが含まれる;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが含まれる;ならびに適合する放射性物質の例には、125I、131I、111Inまたは99Tcが含まれる。
治療薬は、伝統的な化学療法薬に限定されると解釈されてはならない。例えば、治療薬は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってよい。そのようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス属外毒素、またはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、アポトーシス剤、例えば、TNF-α、TNF-β、AIM I(International Publication No. WO 97/33899参照)、AIM II(International Publication No. WO 97134911参照)、Fas Ligand(Takahashi et al., Int. Immunol., 6:1567-1574(1994))、VEGI(International Publication No. WO 99/23105参照)、抗血栓薬または抗血管形成薬、例えばアンジオスタチンもしくはエンドスタチンなどのタンパク質;または例えばリンホカイン、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー形成刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、またはその他の成長因子などの生物学的応答修飾剤が含まれる。
抗体は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製のために特に有用である固体支持体へ付着させることもできる。そのような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが含まれるが、それらに限定されない。
そのような毒素および治療薬を抗体へコンジュゲートさせるための技術は周知であり、例えば、Arnon et al., 「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」, in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al.(eds.), pp. 243-56(Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., 「Antibodies For Drug Delivery」, in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.), Robinson et al.(eds.), pp. 623-53(Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」, in Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications, Pinchera et al.(eds.), pp. 475-506(1985); 「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」, in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al.(eds.), pp. 303-16(Academic Press 1985), and Thorpe et al., 「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」, Immunol. Rev. 62:119-58(1982)参照。
あるいは、抗体は、参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S. Pat. No. 4,676,980の中でSegalによって記載された抗体ヘテロコンジュゲートを形成するために二次抗体へコンジュゲートさせることができる。
単独で、または 細胞毒性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与される、それにコンジュゲートさせられた毒素もしくは治療薬を伴う、または伴わない抗体は、治療薬として使用できる。
本発明の抗体を標識するためには当技術分野において公知の技術を適用できる。そのような技術には、二官能性コンジュゲート剤(例えば、それらの各々の内容が参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S. Pat. Nos. 5,756,065; 5,714,631; 5,696,239; 5,652,361; 5,505,931; 5,489,425; 5,435,990; 5,428,139; 5,342,604; 5,274,119; 4,994,560; and 5,808,003)の使用が含まれるが、それらに限定されない。
キレーター分子は、当技術分野において公知である。例えば、Subramanian, R. and Meares, C.F., 「Bifunctional Chelating Agents for Radiometal-labeled monoclonal Antibodies,」 in Cancer Imaging with Radiolabeled Antibodies(D.M. Goldenberg, Ed.)Kluwer Academic Publications, Boston; Saji, H., 「Targeted delivery of radiolabeled imaging and therapeutic agents:bifunctional radiopharmaceuticals.」 Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 16:209-244(1999); Srivastava S.C. and Mease R.C., 「Progress in research on ligands, nuclides and techniques for labeling monoclonal antibodies.」 Int. J. Rad. Appl. Instrum. B 18:589-603(1991); and Liu, S. and Edwards, D.S., 「Bifunctional chelators for therapeutic lanthanide radiopharmaceuticals.」 Bioconjug. Chem. 12:7-34(2001)参照。該抗体へ共有結合させることのできる任意のキレーターは、本発明によって使用できる。キレーターは、該抗体へキレート部分を接続させるリンカー部分をさらに含んでいてよい。
コンジュゲーションがリガンドの炭素主鎖へ付着した活性化アームによる大環状リガンドをベースとする二官能性キレーターは、M. Moi et al., J. Amer. Chem. Soc. 49:2639(1989)(2-p-nitrobenzyl-1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N’,N’’,N’’’-tetraacetic acid); S.V. Deshpande et al., J. Nucl. Med. 31:473(1990); G. Ruser et al., Bioconj. Chem. 1:345(1990); C.J. Broan et al., J.C.S. Chem. Comm. 23:1739(1990); and C.J. Anderson et al., J. Nucl. Med. 36:850(1995)に記載されたように使用できる。
1つの態様では、キレーターは、任意で一つまたは複数のカルボキシ基、ホスホン酸基、またはリン酸基を含有する、ポリアザ大環状キレーターなどの大環状キレーターである。また別の態様では、キレーターは、DOTA、DOTAのアナログ、およびDOTAの誘導体からなる群より選択されるキレーターである。
1つの態様では、適合するキレーター分子には、DOXA(1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン三酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン三酢酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン四酢酸)、およびTHT(4’-(3-アミノ-4-メトキシ-フェニル)-6,6’’-ビス(N’,N’-ジカルボキシメチル-N-メチルヒドラジノ)-2,2’:6’,2’’-テルピリジン)、ならびにそれらのアナログおよび誘導体が含まれる。例えば、Ohmono et al., J. Med. Chem. 35:157-162(1992); Kung et al., J. Nucl. Med. 25:326-332(1984); Jurisson et al., Chem. Rev. 93:1137-1156(1993); and U.S. Patent No. 5,367,080参照。その他の適合するキレーターには、U.S. Patent Nos. 4,647,447; 4,687,659 ; 4,885,363; EP-A-71564; WO 89/00557; and EP-A-232751に開示されたキレート剤が含まれる。
また別の態様では、本発明において使用できる適合する大環状カルボン酸キレーターには、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA);1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(15N4);1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-三酢酸(9N3);1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-三酢酸(12N3);および6-ブロモアセトアミド-ベンジル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(tetraazacyclotetadecane)-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(BAT)が含まれる。
抗体コンジュゲートは平均1つより多くのキレーター分子を含有していてよい。1つの態様では、抗体コンジュゲートは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、または35個のキレーター分子を含有する。また別の態様では、抗体コンジュゲートは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のキレーター分子を含有する。また別の態様では、抗体コンジュゲートは約1、2、3、4、または5個のキレーター分子を含有する。また別の態様では、抗体コンジュゲートは、平均約1個のキレーター分子を含有する。
上述の抗体コンジュゲートは、ともに共有結合した1つの抗体およびキレーター分子を含む。タンパク質とキレーターとの間の共有結合は、タンパク質の1つの原子とキレーターの1つの原子との間で形成される。共有結合を形成するタンパク質の原子は、例えば炭素、窒素、酸素、および硫黄などのタンパク質の任意の適合する原子であってよい。タンパク質上の所定の官能基は、キレーターとの共有結合を形成するのが好ましい。そのような基には、タンパク質の末端にあるアミノ基;タンパク質の末端にあるカルボキシ基;リシン残基上のアミノ基;アスパラギン酸またはグルタミン酸残基上のカルボキシ基;アルギニン残基上のグアニジン基;システイン残基上のチオール基;セリン残基またはトレオニン残基上のヒドロキシ基;ヒスチジン残基のイミダゾール基;チロシンのヒドロキシ基;トリプトファン基のヒドロキシ基;およびアスパラギンまたはグルタミン残基のアミド基が含まれる。
抗体コンジュゲートを調製する方法
本発明の追加の局面は、抗体コンジュゲートを調製する方法に向けられる。抗体コンジュゲートを調製するための一般的方法は、抗体をキレーターと反応させる段階を含む。適合するキレーターは、キレーターと抗体との間の共有結合を形成するために抗体と反応させることができる。
コンジュゲートの一部を形成できるキレーターは当技術分野において公知であり、そしてそのようなキレーターを調製する方法は公知である。抗体との共有結合を形成できる任意のキレーターは、抗体コンジュゲートを形成するために使用できる。以下ではそのようなキレーターについて説明する。
1つの態様では、本発明による方法において使用すべきキレーターは活性化キレーターである。活性化キレーターは、タンパク質上の官能基と容易に反応し、タンパク質とキレーターとの間の共有結合を形成する官能基を含有する。そのような官能基は、当技術分野において周知である。
適合する反応性官能基は、抗体上のカルボキシ、アルデヒド、アミン、アルコール、またはスルフヒドリル基と直接的に反応する基である。そのような基には、例えば、クロロメチルフェニル基およびクロロアセチル(ClCH2C(=O)-)基を含む活性ハロゲン基;2-クロロエチルスルホニルおよび2-クロロエチルカルボニルなどの活性化2-(離脱基置換)-エチルスルホニルおよびエチルカルボニル基;ビニルスルホニル;ビニルカルボニル;エポキシ;イソシアネート;イソチオシアネート;アルデヒド;アジリジン;スクシンイミドオキシカルボニル;カルボン酸ハロゲン化物などの活性化アシル基;ならびに混合無水物が含まれる。
本方法において使用できるキレーターには、抗体コンジュゲートのために本明細書において記載する任意の特定キレーターが含まれる。さらに、また別の態様では、本発明の方法に使用されるキレーターは、上述の任意の特定抗体コンジュゲートを調製するために使用できるキレーターである。1つの態様では、キレーターは、DOTA、DOTAのアナログ、およびDOTAの誘導体からなる群より選択される活性化キレーターであり、DOTA、DOTAのアナログ、およびDOTAの誘導体の各々は、キレーター分子が抗体へ共有結合するのを可能にする適合する活性化基を含有する。
また別の態様では、本発明によるコンジュゲートを調製する際に使用するための活性化キレーターは、MeO-DOTA-NCSとしても公知のa-(5-イソチオシアネート-2-メトキシフェニル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸である。a-(5-イソチオシアネート-2-メトキシフェニル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸の塩またはエステルもまた使用できる。
1つの態様では、抗体コンジュゲートを調製する方法は、溶液を混合する段階、攪拌する段階、または調製する段階を含むが、該溶液は抗体およびキレーターを含む。追加の態様では、抗体コンジュゲートを調製する方法は、抗体、キレーター、クエン酸バッファー、HEPESバッファー、および無菌水を含む溶液を混合する段階、攪拌する段階、または調製する段階を含む。追加の態様では、この溶液はNaOHをさらに含む。追加の態様では、この溶液は約8.5のpHを有する。
追加の態様では、コンジュゲートを調製する方法は、約0℃から約50℃の温度で約0.5時間から約24時間にわたって、a)抗体およびキレーターを含み、約8.0から約9.0のpHを有する溶液を混合する段階、攪拌する段階、または調製する段階;およびb)任意で消光剤を添加する段階を含む。
上記の工程の1つの態様では、この溶液は約0℃から約50℃の温度で混合、攪拌または調製される。上記の工程のまた別の態様では、この溶液は約20℃から約30℃の温度で混合、攪拌または調製される。この溶液が混合、攪拌、または調製される温度は、0、5、10、15、20、25、20、35、40、45、または50℃であってよい。
上述の任意の適合するキレーターは、本発明の工程において使用できる。
コンジュゲートの調製において使用できる抗体対キレーターのモル比は様々であってよい。抗体対キレーターのモル比は、約1,000:1から約1:1,000、約1から約100、約5から約20、約10から約15、約12であってよい。抗体対キレーターのモル比は、反応溶液中の抗体分子数対キレーター分子数の比率を指す。
抗体コンジュゲートを調製する場合は、溶液を多数変量に依存して可変数の時間にわたり混合、攪拌または放置することができるが、そのような要素には、キレーターの同一性、抗体の同一性、反応の温度、pH、バッファーの同一性、反応物質のモル比、利用できる試薬の純度、触媒または活性因子の存在、および当業者には明白になる他の要素が含まれる。上記の工程の1つの態様では、抗体およびキレーターを含む溶液が約0.5時間から約24時間まで混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約1時間から約20時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約2時間から約10時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約3時間から約5時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約4時間にわたり混合、攪拌、または放置される。他の態様では、溶液は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間にわたり混合、攪拌、または放置される。
抗体コンジュゲートを調製するために使用される溶液のpHは変動してよい。1つの態様では、pHは約6、7、8、9、または10である。また別の態様では、溶液は約7から約10のpHを有する。また別の態様では、溶液は約7.5から約9.5のpHを有する。また別の態様では、溶液は約8から約9のpHを有する。また別の態様では、溶液は約8.5のpHを有する。
抗体コンジュゲートを調製するために使用される溶液は、バッファーをさらに含んでいてよい。バッファーは、当技術分野において周知である。抗体の調製に使用するために適合するバッファーは、抗体コンジュゲートを調製する方法のために以下で記載する。1つの態様では、バッファーはクエン酸バッファーまたは酢酸バッファーである。また別の態様では、バッファーは、約1から約50mMの濃度を有するおよび約1から約500mMのNaCl濃度を有する酢酸バッファーを有する。また別の態様では、バッファーは、約10mMの濃度を有するおよび約140mMのNaCl濃度を有する酢酸バッファーを含む。適合する酢酸バッファーには、約1、5、10、15、20、25、20、35、40、45、または55mMの濃度を有する酢酸バッファーが含まれる。適合するバッファーおよび溶液には、約1、50、75、100、125、140、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、または500mMのNaCl濃度を有するものが含まれる。追加の適合するバッファーは、HEPESバッファー、特に約100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1,000mMの濃度を有するHEPESバッファーである。追加の態様では、この溶液は、約500mMの濃度を有するHEPESバッファーを含む。
本発明の方法に使用される抗体の濃度は変動してよい。1つの態様では、溶液中の抗体の濃度は、約0.1mg/mLから約10mg/mLである。また別の態様では、抗体濃度は、約0.5mg/mLから5mg/mLである。他の特定の態様では、抗体濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0. 8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5mg/mLである。また別の特定態様では、溶液中の抗体の濃度は、約1mg/mLから約2mg/mLである。
コンジュゲートの形成を促進する試薬もまた使用できる。そのような試薬は、典型的にはタンパク質とより容易に反応するようにキレーターを活性化させる。または、試薬はキレーターとより容易に反応するようにタンパク質を活性化することもできる。そのような試薬の例は当技術分野において公知であり、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)が含まれる。
本発明の方法によると、抗体コンジュゲートが十分な程度まで調製された後に、反応溶液へ消光剤を任意で添加することができる。適合する消光剤は、当技術分野において公知である。1つの態様では、消光剤はグリシンである。特定の態様では、グリシンバッファーを含む溶液がクエンチング実施例によって使用される。例えば、抗体およびキレーターを含む反応溶液が、例えば1〜10時間、3〜5時間、または1〜3時間のような十分な時間にわたり、混合、攪拌、または放置させられた後、グリシンバッファーを含む溶液が反応を停止させるために反応溶液へ添加される。次に反応溶液は、例えば約0.25、0.5、0.75、1、または1.5時間のような追加の時間量にわたり放置させられる。
抗体コンジュゲートを調製する方法は、以下を含む溶液を混合、攪拌、または調製する段階を含むことができる。
約1から約2mg/mLの濃度を有する抗体;
抗体対MeO-DOTA-NCSの比率が約1から12であるような量にあるMeO-DOTA-NCS;
約0.5から約20mMの濃度を有するクエン酸バッファー;
約1から約200mMの濃度を有するNaCl;
約10から約500mMの濃度を有するHEPESバッファー;および
無菌水。
本方法は、以下の段階を含むことができる。
抗体およびクエン酸バッファーを含む第1溶液を調製する段階;
HEPESバッファーを含む第2溶液を該第1溶液へ添加する段階;
キレーターおよびNaOHを含む第3溶液を該第1溶液へ添加する段階;
任意で該第1溶液のpHを約8.5へ調整する段階、
該第1溶液を約25℃で約3から約5時間にわたり混合、攪拌、または放置する段階;および
任意で該第1溶液へ消光剤を添加する段階。
本発明による抗体コンジュゲートを調製する方法は、該コンジュゲートを精製する工程をさらに任意で含む。タンパク質コンジュゲートを精製するためには多数の公知の方法を使用できる。
1つの態様では、精製する段階はノーマルフロー・フィルトレーションまたはタンジェンシャルフロー・フィルトレーションを使用する。また別の態様では、本発明によるコンジュゲートを精製するための工程はダイアフィルトレーション法である。
抗体複合体
本発明の追加の局面は、抗体コンジュゲートおよび金属イオンを含む抗体複合体に向けられるが、金属イオンは抗体コンジュゲートのキレーター部分と非共有的に結び付けられる。本発明の抗体複合体の特定態様には、本明細書において記載の抗体コンジュゲート、および金属イオンを含む複合体が含まれる。
抗体コンジュゲートのキレーター部分と非共有的に結び付いている任意の金属イオンを使用できる。そのような金属イオンには、Ac、Ag、At、Au、Bi、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Eu、Fe、Ga、Gd、Hg、Ho、In、La、Lu、Mn、Mo、Nd、Ni、Os、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Rb、Re、Rh、Ru、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Tb、Tc、Tl、Tm、V、W、Y、およびYbからなる群より選択される金属イオンが含まれる。
本発明の1つの態様では、複合体の金属イオンは放射性核種である。抗体複合体において有用な放射性核種は、当技術分野において公知である。本発明において有用な放射性核種には、γ放射体、陽電子放射体、x線放射体、蛍光放射体、β放射体、α放射体、ならびに電子および中性子捕獲剤が含まれる。1つの態様では、γ放射体、陽電子放射体、x線放射体、および蛍光放射体は局在定位および/または療法のために適合するが、他方β放射体およびα放射体ならびにホウ素およびウランなどの電子および中性子捕獲剤も治療のために使用できる。
本発明の複合体において使用される放射性核種は、治療的、診断的、または治療的および診断的の両方の目的に適合することがある。適切な金属の例には、Ag、At、Au、Bi、Cu、Ga、Ho、In、Lu、Pb、Pd、Pm、Pr、Rb、Re、Rh、Sc、Sr、Tc、Tl、Y、およびYbが含まれる。診断目的に使用される放射性核種の例は、Fe、Gd、111In、67Ga、または68Gaである。また別の態様では、診断目的に使用される放射性核種は111In、または67Gaである。治療目的に使用される放射性核種の例は、166Ho、165Dy、90Y、115mIn、52Fe、または72Gaである。1つの態様では、診断目的に使用される放射性核種は166Hoまたは90Yである。治療的および診断的の両方の目的に使用される放射性核種の例には、153Sm、177Lu、159Gd、175Yb、または47Scが含まれる。1つの態様では、放射性核種は153Sm、177Lu、175Yb、または159Gdである。
好ましい金属放射性核種には、90Y、99mTc、111In、47Sc、67Ga、51Cr、177mSn、67Cu、167Tm、97Ru、188Re、177Lu、199Au、47Sc、67Ga、51Cr、177mSn、67Cu、167Tm、95Ru、188Re、177Lu、199Au、203Pbおよび141Ceが含まれる。
特定の態様では、抗体複合体の金属イオンは、90Y、111In、177Lu、166Ho、215Bi、および225Acからなる群より選択される。
さらに、99mTc、111In、67Ga、および169Ybなどのγ放射体放射性核種は承認されている、または診断イメージングのために試験中であるが、他方67Cu、111Ag、186Re、および90Yなどのβ放射体の複合体は腫瘍療法における用途のために有用である。さらに他の有用な放射性核種には99mTc、lllIn、67Ga、および169Ybなどのγ放射体、67Cu、111Ag、186Re、188Reおよび90Yなどのβ放射体ならびに211At、212Bi、177Lu、86Rb、105Rh、153Sm、198Au、149Pm、85Sr、142Pr、214Pb、109Pd、166Ho、208T1、および44Scなどの関心対象の他の放射性核種が含まれる。
また別の態様では、常磁性金属イオンには、21〜29、42、43、44、または57〜71の原子番号を有する金属などの遷移金属およびランタニド金属のイオン、特にCr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuのイオンが含まれる。磁気共鳴イメージングのための組成物中で使用される常磁性金属には、22〜29、42、44および58〜70の原子番号を有する元素が含まれる。
また別の態様では、蛍光金属イオンには、ランタニド、特にLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuが含まれる。
また別の態様では、重金属含有レポーターは、Mo、Bi、Si、およびWの原子を含んでいてよい。
好ましい態様では、本発明の抗体複合体は抗体コンジュゲートおよび金属イオンを含み、該コンジュゲートの抗体はヒト抗体である。
1つの態様では、本発明のコンジュゲートのキレーターは、任意で一つまたは複数のカルボキシ基、ホスホン酸基、またはリン酸基を含有する、ポリアザ大環状キレーターなどの大環状キレーターである。また別の態様では、本発明のコンジュゲ―トのキレーターは、DOTA、DOTAのアナログ、およびDOTAの誘導体からなる群より選択されるキレーターである。
1つの態様では、適合するキレーター分子には、DOXA(1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン三酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン三酢酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン四酢酸)、およびTHT(4’-(3-アミノ-4-メトキシ-フェニル)-6,6’’-ビス(N’,N’-ジカルボキシメチル-N-メチルヒドラジノ)-2,2’:6’,2’’-テルピリジン)、ならびにそれらのアナログおよび誘導体が含まれる。例えば、Ohmono et al., J. Med. Chem. 35:157-162(1992); Kung et al., J. Nucl. Med. 25:326-332(1984); Jurisson et al., Chem. Rev. 93:1137-1156(1993); and U.S. Patent No. 5,367,080参照。その他の適合するキレーターには、U.S. Patent Nos. 4,647,447; 4,687,659; 4,885,363; EP-A-71564; WO 89/00557; and EP-A-232751に開示されたキレート剤が含まれる。
また別の態様では、本発明において使用できる適合する大環状カルボン酸キレーターには、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA);1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(15N4);1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-三酢酸(9N3);1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-三酢酸(12N3);および6-ブロモアセトアミド-ベンジル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(tetraazacyclotetadecane)-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(BAT)が含まれる。
抗体複合体を調製する方法
本発明の追加の局面は、抗体複合体を調製する方法に向けられる。1つの態様では、抗体複合体は、本明細書において記載のように、抗体コンジュゲートを該コンジュゲートと非共有的に結合することができる放射性核種などの金属イオンと反応させる段階によって調製することができる。また別の態様では、金属イオンは該抗体コンジュゲートのキレーター部分と非共有的に結び付く。抗体複合体と金属イオンとの間の反応は、適合するバッファー溶液中などの、溶液中で発生することができる。
1つの態様では、抗体複合体を調製するための方法は、抗体コンジュゲートを放射性核種と反応させる段階を含む。そのような方法は、抗体コンジュゲートおよび放射性核種を含む溶液を混合、攪拌、または調製する段階を含む。1つの態様では、該溶液はバッファーをさらに含む。
また別の態様では、抗体複合体を調製するための方法は、抗体コンジュゲートを金属イオンと複合体化したキレーターと反応させる段階を含む。この態様では、キレーターは当技術分野において公知の方法によって最初に金属イオンと複合体化される。例えば、U.S. Patent No. 5,654,361参照。キレーターは、上述の活性化キレーターであってよい。キレーターが金属イオンと複合体化され、それによりキレーター-金属イオン複合体が形成された後、抗体は、抗体コンジュゲートを調製するための上述の方法または当技術分野において公知のまた別の方法を用いて、キレーター-金属イオン複合体と反応させられる。本方法によると、抗体およびキレーター-金属イオン複合体を含む溶液は混合、攪拌、または調製され、それによって該抗体複合体が形成される。
抗体複合体を調製する場合は、溶液を多数変量に依存して可変数の時間にわたり混合、攪拌または放置することができるが、そのような要素には、キレーターの同一性、抗体の同一性、金属イオンの同一性、反応の温度、pH、バッファーの同一性、反応物質のモル比、利用できる試薬の純度、触媒または活性因子の存在、および当業者には明白になる他の要素が含まれる。抗体コンジュゲートおよび金属イオンを含む溶液は、抗体複合体の十分な形成を可能にする任意の時間量にわたり混合、攪拌、または放置することができる。上記の工程の1つの態様では、溶液は約0.5分間から約24時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約1時間から約20時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約2時間から約10時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約1分間から約1時間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は約1分間から約30分間にわたり混合、攪拌、または放置される。また別の態様では、溶液は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、または55分間にわたり混合、攪拌、または放置される。
抗体複合体を調製するために使用される溶液のpHは変動してよい。1つの態様では、pHは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。また別の態様では、該溶液は約4から約8のpHを有する。また別の態様では、該溶液は約5から約7のpHを有する。また別の態様では、該溶液は約5.5から約7のpHを有する。また別の態様では、該溶液は約6.5のpHを有する。
抗体複合体を調製するために使用される溶液は、バッファーをさらに含んでいてよい。バッファーは、当技術分野において周知である。抗体複合体の調製において使用するために適合するバッファーには、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩、二リン酸塩、グリシル-グリシン-ピペラジン-2HCl-NaOH;MES-NaOH-NaCl;TRIS-リンゴ酸-NaOH; MES-NaOH;ADA-NaOH-NaCl;ACES-NaOH-NaCl;ACES-NaOH-NaCl;BES-NaOH-NaCl;MOPS-NaOH-NaCl;TES-NaOH-NaCl;MOPS-KOH; HEPES-NaOH-NaCl;TRIS-HCl;HEPPSO-NaOH;BICINE-NaOH-NaCl;TAPS-NaOH-NaCl;HEPPS(EPPS)-NaOH;TRICINE-NaOH;BICINE-NaOH;クエン酸-リン酸水素二ナトリウム;ホウ酸-クエン酸-リン酸二水素カリウム-ジエチル-バルビツール酸-NaOH;クエン酸-クエン酸ナトリウム;酢酸ナトリウム-酢酸;フタル酸水素カリウム-NaOH;カコジル酸ナトリウム塩-HCl;リン酸二水素カリウム-リン酸水素二ナトリウム;リン酸二水素カリウム-NaOH;リン酸二水素ナトリウム-リン酸水素二ナトリウム;イミダゾール-HCl;四ホウ酸ナトリウム-ホウ酸;2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール-HCl;ジエタノールアミン-HCl;塩化カリウム-ホウ酸-NaOH;ホウ酸-NaOH-KC1;グリシン-NaOH;および炭酸ナトリウム-炭酸水素ナトリウムが含まれてよいが、それらに限定されない。
抗体コンジュゲート対金属イオンのモル比は、変動してよい。1つの態様では、抗体コンジュゲート対金属イオンのモル比は、約1:1,000から約1,000:1である。また別の態様では、抗体コンジュゲート対金属イオンのモル比は、約1:100から約100:1であり、また別の態様では、約1:10から約10:1であり、また別の態様では、約1:5から約5:1であり、また別の態様では、約1:2であり、また別の態様では、約1:3であり、また別の態様では、約2:1であり、また別の態様では、約1:1である。他の態様では、抗体コンジュゲート対金属イオンのモル比は、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10である。
あるいは、抗体とキレーター-金属イオン複合体の比率は、変動してよい。1つの態様では、抗体対キレーター-金属イオン複合体の比率は、約1:1,000から約1,000:1である。
本発明において使用できる放射性核種については上記で説明して列挙しており、周知であり、そして市販されている。または、本発明において使用するための放射性核種を調製するためには数種の公知の方法を使用できる。1つの態様では、金属イオンは塩、例えば塩化物の形状にある。そのような塩は、当技術分野において公知である。また別の態様では、金属イオン塩は、塩化イットリウムまたは酢酸イットリウムである。また別の態様では、本発明において使用される金属イオンは。
1つの態様によって本発明の複合体を調製した場合は、溶液中にはキレーターとの複合体化に対して競合する他の金属イオンは有意な量では存在していない。例えば、90Yを含む抗体複合体を調製した場合、Fe3+は溶液中に有意な量または濃度では存在していない。本工程において一つまたは複数の競合する金属イオンを参照して使用したときに、用語「有意な量」は、抗体複合体の調製を有意に妨害する、阻止する、遅延させる、阻害する、または防止する量または濃度を指す。
抗体複合体を調製する方法は、反応溶液および/または抗体複合体から過剰な金属イオンを除去する段階をさらに含んでいてよい。1つの態様では、そのような段階は、溶液中で過剰な金属イオンと複合体化することのできる第2キレート剤を添加する段階を含む。そのような第2キレート剤は、例えばDTPA、EDTA、およびMeO-DOTA-グリシンのような一つまたは複数の公知のキレート剤を含んでいてよい。1つの態様では、MeO-DOTA-グリシンは第2キレート剤として使用される。
抗体複合体を調製する方法は、キレーター-金属イオン複合体を含む反応溶液から過剰な金属イオンを除去する段階をさらに含んでいてよい。1つの態様では、キレーター-金属イオン複合体が形成されて溶液中に存在した後に、過剰な金属イオンと複合体化することのできる第2キレート剤が添加される。次にこの溶液は、荷電種、すなわち第2キレーター-金属イオン複合体から中性種キレーター-金属イオン複合体を精製するために酢酸塩形へ転換されているDEAE-セルロースアニオン交換樹脂(Sigma Chemical Co.製、ミズーリ州セントルイス)に通して溶出される。次に精製されたキレーター-金属イオン複合体は、本明細書において記載のように抗体複合体を調製するために使用される。
第2キレート剤は、固体または溶液として反応混合物へ添加することができる。1つの態様では、第2キレート剤はバッファー溶液中に添加される。本発明のまた別の態様では、抗体複合体が満足できる完了レベルまで形成された後に、約1から約50mM、好ましくは約10mMの濃度を有し、約1から約500mM、好ましくは約140mMのNaCl濃度を有し、約1%から約20%、好ましくは約7%から約8%、より好ましくは約7.5%のHSA濃度を有し、約3〜8、好ましくは約6のpHを有し、約0.01mMから約100mM、好ましくは約1mMのMeO-DOTA-グリシン濃度を有する酢酸バッファーを含むバッファーが反応溶液に添加される。1つの態様では、第2キレート剤は抗体複合体の形成から約5分後に添加される。他の態様では、第2キレート剤は抗体複合体の形成から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60分後に添加される。
また別の態様では、反応溶液および/または抗体複合体から過剰な金属イオンを除去する段階は、反応溶液および/または抗体複合体を遠心分離に供する段階を含む。反応溶液および/または抗体複合体を遠心分離に供する段階は、非キレート化金属イオンを除去することができる。
また別の態様では、反応溶液および/または抗体複合体から過剰な金属イオンを除去する段階は、バッファー溶液を用いて反応溶液および/または抗体複合体から過剰な金属イオンを洗い流す段階を含む。洗浄する段階は、必要に応じて1回以上繰り返すことができる。1つの態様では、洗浄する段階は2回以上繰り返される。
本方法の1つの態様では、反応溶液および/または抗体複合体から過剰な金属イオンを除去する段階から過剰な金属イオンを除去するために、過剰な金属イオンを除去する2つ以上の方法が組み合わせて使用される。
本方法のまた別の態様では、放射薬学療法および放射線療法の用途には、抗体複合体は所望の複合体の酸化状態とは相違する酸化状態にある金属から調製される。この場合には、使用される金属の酸化状態および所望の最終生成物の酸化状態に依存して、その金属を所望の酸化状態にするために還元剤または酸化剤のどちらかが反応混合物へ添加される。酸化剤または還元剤を使用すると、所望の酸化状態にあるが易動性リガンドを備える中間複合体を形成することができる。その後に、これらの易動性リガンドは、本発明の所望のキレート部分と置換することができる。また別の態様では、所望の酸化状態への変化および単一段階での所望の金属へのキレート化を達成するために、易動性リガンドが還元剤または酸化剤および所望のリガンドとともに反応混合物へ添加される。
本発明のさらにまた別の態様では、抗体複合体を調製する方法は、以下の段階を含む。
抗体コンジュゲートを含む第1溶液を調製する段階;
該第1溶液へ該抗体コンジュゲートと複合体化できる金属イオンを含む第2溶液を添加する段階;
該第1溶液を混合、攪拌、または放置する段階;および
任意に未複合化金属イオンと複合体化するためにEDTAなどの第2キレート剤を添加する段階。
追加の態様では、抗体複合体を調製する方法は、以下の段階を含む。
第1溶液、第2溶液、および第3溶液を結合する段階であって、
このとき
該第1溶液は抗体コンジュゲートを含み、
該第2溶液は酢酸バッファーを含み、および
該第3溶液は90YCl3を含み;
結合した溶液を混合、攪拌、または放置する段階;および
該結合した溶液に第4溶液を添加する段階であって、該第4溶液がMeO-DOTA-NCS、ヒト血清アルブミン(HSA)、酢酸バッファー、およびNaClを含む段階。
イムノフェノタイピング
本発明のC35抗体などの抗体は、細胞系および生物学的サンプルのイムノフェノタイピングのために利用できる。C35は腫瘍特異的マーカーとして有用である。特異的エピトープ、またはエピトープの組み合わせに対して向けられたモノクローナル抗体は、癌の診断および細胞集団のスクリーニングを可能にする。一つまたは複数のマーカーを発現する細胞集団についてスクリーニングするためにはモノクローナル抗体を用いる様々な技術を利用でき、抗体被覆磁気ビーズを用いた磁気分離、固体基質(すなわち、プレート)へ付着させた抗体を用いた「パンニング」、およびフローサイトメトリーが含まれる(例えば、U.S. Pat. No. 5,985,660; and Morrison et al., Cell, 96:737-49(1999)参照)。
これらの技術は、血液学的悪性腫瘍とともに見いだされるような、特定細胞集団のスクリーニングを可能にする(例、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、および大腸癌、ならびに黒色腫などのC35関連癌)。
診断およびイメージング
関心対象のポリペプチドへ特異的に結合する標識C35抗体、ならびにその誘導体およびアナログは、本発明のポリペプチド(例、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、および大腸癌、ならびに黒色腫などのC35関連癌)の異所性発現および/または活性に関連する疾患、障害、および/または状態を検出する、診断する、または監視するための診断目的に使用できる。本発明は、(a)関心対象のポリペプチドに対して特異的な一つまたは複数の抗体を用いて個体の細胞または体液中の関心対象のポリペプチドの発現をアッセイする段階、および(b)遺伝子発現のレベルを標準的遺伝子発現レベルと比較し、それによりアッセイされたポリペプチド遺伝子発現レベルにおける標準的発現レベルと比較した増加または減少が異所性発現の指標である段階を含む関心対象のポリペプチドの異所性発現の検出を提供する。
本発明は、障害を診断するための診断アッセイであって、(a)関心対象のポリペプチドに対して特異的な一つまたは複数の抗体を用いて個体の細胞または体液中の関心対象のポリペプチドの発現をアッセイする段階、および(b)遺伝子発現のレベルを標準的遺伝子発現レベルと比較し、それによりアッセイされたポリペプチド遺伝子発現レベルにおける標準的発現レベルと比較した増加または減少が特定障害の指標である段階を含む診断アッセイを提供する。癌に関して、個体由来の生検組織中の相当に多量の転写産物の存在は、疾患の発生についての素因を指示する、または実際の臨床症状の出現前に疾患を検出するための手段を提供できる可能性がある。このタイプのより確定的診断は、医療従事者が予防的措置またはより早期に攻撃的治療を使用し、それによって癌の発生またはそれ以上の進行を予防することを可能にする。
本発明の抗体は、当業者には公知の伝統的な免疫組織学的方法を用いて生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイするために使用できる(例えば、Jalkanen, et al., J. Cell. Biol. 101:976-985(1985); Jalkanen, et al., J. Cell Biol. 105:3087-3096(1987)参照)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体をベースとする方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。適合する抗体アッセイ標識は当技術分野において公知であり、例えばグルコースオキシダーゼなどの酵素標識;ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99Tc)などの放射性同位体;ルミノールなどの発光標識;ならびにフルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識およびビオチンが含まれる。
本発明の1つの局面は、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトにおける関心対象のポリペプチドの異所性発現に関連している疾患または障害の検出および診断である。1つの態様では、診断は、a)関心対象のポリペプチドへ特異的に結合する有効量の標識分子を被験者へ(例えば、非経口、皮下、または腹腔内)投与する段階;b)ポリペプチドが発現する被験者の部位で標識分子が優先的に濃縮する(および未結合標識分子がバックグラウンドレベルへ除去される)ことを可能にするために投与後のある時間間隔にわたり待つ段階;c)バックグラウンドレベルを決定する段階;およびd)バックグラウンドレベルを超える標識分子の検出が、被験者が関心対象のポリペプチドの異所性発現に関連する特定の疾患または障害を有することを指示するように、被験者における標識分子を検出する段階を含む。バックグラウンドレベルは、検出された標識分子の量を特定系について以前に決定された標準値と比較する段階を含む、様々な方法によって決定できる。
当技術分野においては、被験者のサイズおよび使用されるイメージングシステムが、診断画像を生成するために必要とされるイメージング部分の量を決定することは理解される。放射性同位体部分の場合には、ヒト被験者については、注射される放射能の量は、通常は約5から20ミリキュリーの99mTcに及ぶ。次に標識抗体または抗体フラグメントは、特定タンパク質を含有する細胞の所在場所で優先的に蓄積する。インビボ腫瘍イメージングは、S.W. Burchiel et al., 「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments.」 (Chapter 13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer, S.W. Burchiel and B.A. Rhodes, eds., Masson Publishing Inc.(1982)に記載されている。
使用された標識のタイプおよび投与様式を含む数種の変量に依存して、標識分子が被験者における部位で優先的に濃縮すること、および未結合標識分子がバックグラウンドレベルへ除去されることを可能にするために、投与後の時間間隔は6〜48時間または6〜24時間または6〜12時間である。また別の態様では、投与後の時間間隔は5〜20日間または5〜10日間である。
1つの態様では、疾患または障害の監視は、疾患または疾患を診断するための方法を、例えば初回診断1カ月後、初回診断6カ月後、初回診断1年後などに繰り返す段階によって実施される。
標識分子の存在は、患者においてインビボスキャニングのために当技術分野において公知の方法を用いて検出できる。これらの方法は、使用される標識のタイプに依存する。当業者は、特定標識を検出するための適切な方法を決定することができる。本発明の診断方法において使用できる方法および装置には、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子放出断層撮影法(PET)などの全身スキャン法、磁気共鳴イメージング(MRI)、および超音波検査が含まれるが、それらに限定されない。
特定態様では、この分子は放射性同位体を用いて標識され、患者において放射線反応性外科用機器を用いて検出される(Thurston et al., U.S. Pat. No. 5,441,050)。また別の態様では、分子は蛍光化合物を用いて標識され、患者において蛍光反応性走査機器を用いて検出される。また別の態様では、分子は陽電子放出金属を用いて標識され、患者において陽電子放出断層撮影法を用いて検出される。さらにまた別の態様では、分子は常磁性標識を用いて標識され、患者において磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて検出される。
本発明の抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける癌障害の診断、治療、予防および/または予後診断のために有用である。そのような障害には、癌、新生物、腫瘍および/または以下の「高増殖性障害」の項の下で記載した障害、特に乳癌、卵巣癌、膀胱癌、および大腸癌、ならびに黒色腫などのC35関連癌が含まれるが、それらに限定されない。
特に、癌を有する哺乳動物における所定の組織は、対応する「標準」レベルに比較した場合に、正常もしくは変化した癌抗原発現および癌関連ポリペプチドをコードするmRNAの有意に増強もしくは減少したレベルを発現すると考えられる。さらに、癌関連ポリペプチドの増強もしくは減少したレベルは、癌を有していない同一種の哺乳動物由来の血清と比較したときに、そのような癌を有する哺乳動物由来の所定の体液(例、血清、血漿、尿、および脊髄液)または細胞もしくは組織において検出できると考えられる。
例えば、本明細書において開示するように、C35発現は所定の癌(例、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、および膵臓癌、ならびに黒色腫)と関連している。したがって、C35に対して向けられた抗体(および抗体フラグメント)は、C35を発現する細胞の濃度を定量または定性するために使用できる。これらの抗体は、追加して、C35発現のレベルにおける異常、あるいはC35の構造および/または時間的、組織中、細胞中、または細胞内所在位置における異常を検出する際に診断的用途を有する。これらの診断アッセイは、インビボで、または例えば血液サンプル、生検組織もしくは剖検組織などのようにインビトロで実施することができる。
そこで、本発明は、癌の診断中に有用な診断方法であって、個体からの組織または他の細胞もしくは体液中の癌抗原ポリペプチドの発現レベルを測定する段階、測定した発現レベルを標準的癌抗原発現レベルと比較する段階を含み、それにより標準と比較した発現レベルにおける上昇が障害の指標となる方法を提供する。
腫瘍の診断を含む障害の診断が従来の方法によって既に実施されている場合は、本発明は、それにより増強した癌抗原遺伝子発現を示す患者が標準レベルにより近いレベルで該遺伝子を発現する患者に比較して不良な臨床転帰を経験する予後診断インジケーターとして有用である。
「癌関連ポリペプチドの発現レベルをアッセイする段階」は、直接的(例えば、絶対タンパク質レベルを決定もしくは推定する段階によって)または相対的(例えば、第2生物学的サンプル中の癌関連ポリペプチドレベルと比較する段階によって)のどちらかで第1生物学的サンプル中の癌抗原ポリペプチドのレベルを定性的または定量的に測定もしくは推定する段階であると意図されている。好ましくは、第1生物学的サンプル中の癌抗原ポリペプチドの発現レベルが測定もしくは推定されて標準癌抗原ポリペプチドレベルと比較されるが、標準は障害を有していない個体から入手した第2生物学的サンプルから入手される、または障害を有していない個体の集団からのレベルを平均化することによって決定される。当技術分野において理解されているように、標準癌抗原ポリペプチドレベルが判明すると、それは比較のための標準として繰返し使用することができる。
「生物学的サンプル」は、癌抗原ポリペプチド(その部分を含む)を含有する個体、細胞系、組織培養、またはその他の起源から入手された任意の生物学的サンプルであることが意図されている。指示されたように、生物学的サンプルには、癌抗原ポリペプチドを発現する細胞を含有する体液(血清、血漿、尿、滑液および脊髄液など)、および癌抗原の全長またはそれらのフラグメントを発現することが見いだされた他の組織起源が含まれる。哺乳動物についての組織生検および体液を入手するための方法は、当技術分野において周知である。
本発明は、ポリペプチドの正常および異常レベルの決定を含む、生物学的サンプル(例、細胞および組織)中での癌抗原ポリペプチドのレベルを検出するための定量的かつ診断的アッセイなどの診断アッセイにさらに関する。そこで、例えば、正常対照組織サンプルに比較した癌抗原の過剰発現を検出するための本発明による診断アッセイを使用すると、腫瘍の存在を検出することができる。宿主由来のサンプル中の本発明の癌抗原ポリペプチドなどのポリペプチドのレベルを決定するために使用できるアッセイ技術は、当業者には周知である。そのようなアッセイ法には、ラジオイムノアッセイ、競合的結合アッセイ、ウェスタンブロット分析およびELISAアッセイが含まれる。生物学的サンプル中の癌抗原ポリペプチドレベルをアッセイする段階は、当技術分野において任意の公知の方法を用いて行なうことができる。
組織中の癌抗原ポリペプチドの発現は、さらに伝統的な免疫組織学的方法を用いて試験することもできる(Jalkanen et al., J. Cell. Biol. 101:976-985(1985); Jalkanen, M., et al., J. Cell. Biol. 105:3087-3096(1987))。癌抗原ポリペプチド遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体をベースとする方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。適合する抗体アッセイ標識は当技術分野において公知であり、例えばグルコースオキシダーゼなどの酵素標識;ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)などの放射性同位体;フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ならびにビオチンが含まれる。
分析すべき組織もしくは細胞タイプには、一般に癌抗原遺伝子を発現することが公知の、または疑われるものが含まれる。本明細書において使用したタンパク質単離方法は、例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるHarlow and Lane(Harlow, E. and Lane, D., 1988, 「Antibodies:A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)に記載された方法であってよい。単離された細胞は細胞培養または患者由来であってよい。培養から採取された細胞の分析は、セルベース遺伝子療法技術の一部として、または癌抗原遺伝子の発現に及ぼす化合物の作用を試験するために使用できる細胞の評価において必要な段階であってよい。
追加の好ましい態様では、癌抗原の配座エピトープに向けられた抗体、または抗体のフラグメントを使用すると、癌抗原遺伝子産物またはそれらの保存された変異体もしくはペプチドフラグメントの存在を定量的または定性的に検出することができる。これは、例えば、光線顕微鏡、フローサイトメトリー、または蛍光測定検出と結合した蛍光標識抗体を使用する免疫蛍光技術によって遂行できる。
本発明の抗体(もしくはそれらのフラグメント)および/または癌抗原ポリペプチドは、追加して、癌抗原遺伝子産物または保存された変異体もしくはそれらのペプチドフラグメントのインサイチュー検出のために、免疫蛍光法、免疫電子顕微鏡または非免疫学的アッセイにおけるように組織学的に使用できる。インサイチュー検出は、患者から組織学的試料を切除する段階、およびそれに本発明の標識された抗体もしくは癌抗原ポリペプチドを適用する段階によって遂行できる。抗体(もしくはそれらのフラグメント)または癌抗原ポリペプチドは、好ましくは標識された抗体(もしくはフラグメント)を生物学的サンプルへオーバーレイする段階によって適用される。そのような方法の使用を通して、癌抗原遺伝子産物、または保存された変異体もしくはペプチドフラグメント、または癌抗原ポリペプチド結合の存在だけではなく、試験された組織中でのその分布も決定することができる。本発明を用いると、当業者は、そのようなインサイチュー検出などを達成するために、極めて広範囲の組織学的方法(染色方法など)のうちの任意の方法を変更できることを容易に認識する。
癌抗原遺伝子産物または保存された変異体もしくはそれらのペプチドフラグメントについてのイムノアッセイおよび非イムノアッセイは、典型的には生体液、組織抽出物、新しく採取した細胞、または細胞培養中でインキュベートされていた細胞の溶解液などのサンプルを、癌抗原遺伝子産物または保存された変異体もしくはそれらのペプチドフラグメントを結合することができる検出可能に標識した抗体の存在下でインキュベートする段階、および当技術分野において周知である多数の技術のうちの任意の技術よって結合した抗体を検出する段階を含む。
生物学的サンプルは、ニトロセルロースなどの固相支持体もしくは担体、または細胞、細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を不動化できる他の固体支持体と接触させてそれらの上へ不動化することができる。次に支持体は、適合するバッファーを用いて洗浄し、その後に検出可能に標識した抗癌抗原抗体または検出可能な癌抗原ポリペプチドを用いた処置を行なうことができる。次に固相支持体は、未結合抗体もしくはポリペプチドを除去するためにバッファーを用いて二度目の洗浄を行なうことができる。次に任意で、抗体は引き続いて標識される。固体支持体上の結合標識の量は、従来型手段によって検出できる。
「固相支持体もしくは担体」は、抗原または抗体に結合できる任意の支持体が意図されている。周知の支持体もしくは担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、および磁鉄鉱が含まれる。担体の性質は、本発明のためには、ある程度可溶性であっても不溶性であってもどちらでもよい。支持体材料は、結合された分子が抗原または抗体へ結合できる限りは、実質的に任意の可能性のある構造的構成を有していてよい。そこで、支持体の構成は、ビーズにおけるような球形、または試験管の内面もしくはロッドの外面におけるような円筒形であってよい。または、表面は、シート、試験ストリップなどのように平面であってよい。好ましい支持体には、ポリスチレンビーズが含まれる。当業者であれば、抗体または抗原に結合するために適合する多数の他の担体を知っている、またはルーチン的実験を使用することによって同一物を確かめることができる。
所与ロットの抗癌抗原抗体または癌抗原ポリペプチドの結合活性は、周知の方法にしたがって決定できる。当業者は、ルーチン的実験を使用することによって各決定のための有効かつ最適のアッセイ条件を決定することができる。
個体から入手された生物学的サンプル中の癌抗原ポリペプチドレベルもしくはポリヌクレオチドレベルをアッセイする段階に加えて、癌抗原ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドはイメージング法によってインビボで検出することもできる。例えば、本発明の1つの態様では、癌抗原ポリペプチドおよび/または抗癌抗原抗体は、新生物などの罹患細胞をイメージングするために使用される。また別の態様では、本発明の癌抗原ポリヌクレオチド(例、癌関連mRNAの全部または一部分に対して相補的であるポリヌクレオチド)および/または抗癌抗原抗体(例、癌抗原のエピトープ、癌抗原の配座エピトープへ向けられた抗体、哺乳動物細胞の細胞表面上で発現した全長ポリペプチドへ向けられた抗体のうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせに向けられた抗体)は、罹患細胞もしくは新生物細胞をイメージングするために使用される。
癌抗原ポリペプチドのインビボイメージングのための抗体標識もしくはマーカーには、X線検査、NMR、MRI、CAT-スキャンまたはESRによって検出可能なものが含まれる。X線検査のためには、適合する標識には、バリウムまたはセシウムなどの、検出可能な放射線を放射するが、被験者にとって過度に有害ではない放射性同位体が含まれる。NMRおよびESRのために適合するマーカーには、デューテリウムなどの、関連するハイブリドーマのための栄養素の標識化によって抗体内へ組み込むことのできる検出可能な特徴的スピンを備えるものが含まれる。ヒトにおける診断のために癌抗原ポリペプチドの増強したレベルを検出するためにインビボイメージングが使用される場合は、ヒト抗体または「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用するのが好ましいことがある。そのような抗体は、本明細書において記載の、さもなければ当技術分野において公知の技術を用いて作製できる。例えば、キメラ抗体を作製するための方法は、当技術分野において公知である。概観については、Morrison, Science 229:1202(1985); Oi et al., BioTechniques 4:214(1986); Cabilly et al., U.S. Pat. No. 4,816,567; Taniguchi et al., EP 171496; Morrison et al., EP 173494; Neuberger et al., WO 8601533; Robinson et al., WO 8702671; Boulianne et al., Nature 312:643(1984); Neuberger et al., Nature 314:268(1985)参照。
さらに、その存在を検出できる任意の癌抗原ポリペプチドを投与できる。例えば、放射線不透過性または他の適切な化合物を用いて標識した癌抗原ポリペプチドは、標識抗体について上述のように、投与してインビボで視認できる。さらにそのような癌抗原ポリペプチドは、インビトロ診断方法のために利用できる。
放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴によって検出可能な物質などの適切な検出可能なイメージング成分を用いて標識されている癌抗原ポリペプチド特異的抗体もしくは抗体フラグメントは、障害について試験されるべき哺乳動物へ(例えば、非経口、皮下または腹腔内)導入される。当技術分野においては、被験者のサイズおよび使用されるイメージングシステムが、診断画像を生成するために必要とされるイメージング成分の量を決定することは理解される。放射性同位体成分の場合には、ヒト被験者については、注射される放射能の量は、通常は約5から20ミリキュリーの99mTcに及ぶ。次に標識抗体または抗体フラグメントは、癌抗原タンパク質を含有する細胞の所在場所で優先的に蓄積する。インビボ腫瘍イメージングは、S.W. Burchiel et al., 「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments.」(Chapter 13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer, S.W. Burchiel and B.A. Rhodes, eds., Masson Publishing Inc.(1982)に記載されている。
抗体に関しては、抗癌抗原抗体を検出可能に標識できる方法の1つは、同一物を酵素へ連結させる段階、および連結した生成物を酵素イムノアッセイ(EIA)において使用する段階による(Voller, A., 「The Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)」, 1978, Diagnostic Horizons 2:1-7, Microbiological Associates Quarterly Publication, Walkersville, Md.); Voller et al., J. Clin. Pathol. 31:507-520(1978); Butler, J.E., Meth. Enrymol. 73:482-523(1981); Maggio, E.(ed.), 1980, Enzyme Immunoassay, CRC Press, Boca Raton, Fla.,; Ishikawa, E. et al.,(eds.), 1981, Enzyme Immunoassay, Kgaku Shoin, Tokyo)。抗体へ結合している酵素は、例えば分光光度法、蛍光分析法または視覚的手段によって検出できる化学成分を作製できるような方法で、適切な基質、好ましくは色素作製基質と反応させられる。抗体を検出可能に標識するために使用できる酵素には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-ホスファターゼデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが含まれるが、それらに限定されない。さらに、検出は、酵素に対して色素産生性基質を使用する比色法によって遂行できる。検出は、さらにまた同様に調製された標準との比較において基質の酵素反応の程度を視覚的に比較することによっても遂行できる。
検出は、さらにまた様々な他のイムノアッセイのうちの任意のアッセイを用いて遂行できる。例えば、抗体もしくは抗体フラグメントを放射活性物質で標識することによって、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用を通して癌抗原を検出することが可能である(例えば、参照により本明細書に組み入れられるWeintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986参照)。放射性同位体は、γ線カウンター、シンチレーションカウンター、またはオートラジオグラフィーを含むがそれらに限定されない手段によって検出できる。
蛍光化合物を用いて抗体を標識することもまた可能である。蛍光標識抗体が適正な波長の光線に曝露させられると、その存在は蛍光に起因して検出することができる。極めて一般的に使用される蛍光標識化合物は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド(ophthaldehyde)およびフルオレセカミンである。
抗体は、さらにまた152Euなどの蛍光放射金属、またはランタン系列の他の金属を用いて検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート基を用いて抗体へ付着させることができる。
抗体は、それを化学発光化合物へ結合させることによって検出可能に標識することもできる。次に化学発光タグ付け抗体の存在は、化学反応の進行中に発生する発光の存在を検出することによって決定される。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
同様に、生物発光化合物も、本発明の抗体を標識するために使用できる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる、生物系において見いだされる1タイプの化学発光である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出する段階によって決定される。標識するための重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。
一般に、癌は、患者において患者から入手された生物学的サンプル(例えば、血液、血清、尿および/または腫瘍生検)中の本発明の一つまたは複数の癌抗原タンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいて検出することができる。これを言い換えると、そのようなタンパク質および/またはポリヌクレオチドは、癌の存在または非存在を指示するためのマーカーとして使用できる。本発明の組成物を使用して診断、および/または予後診断できる癌には、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、および/または皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に提供する結合剤は、一般に、生物学的サンプル中で該物質に結合する抗原のレベルを検出することを可能にする。ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、同様に癌の存在または非存在の指標である癌抗原ポリペプチドをコードするMRNAのレベルを検出するために使用できる。一般に、癌抗原ポリペプチドは、罹患組織中では正常組織中の少なくとも3倍を超えるレベルで存在するはずである。
サンプル中のポリペプチドマーカーを検出するために結合剤を使用するためには、当業者には公知の様々なアッセイフォーマットが存在する。例えば、Harlow and Lane、前記参照。一般に、患者における疾患の存在または非存在は、(a)患者から入手した生物学的サンプルを結合剤と接触させる段階;(b)サンプル中で該結合剤に結合するポリペプチドのレベルを検出する段階;および(c)ポリペプチドのレベルを規定カットオフ値と比較する段階によって決定することができる。
好ましい態様では、アッセイは、サンプルの残りから本発明の癌抗原ポリペプチドに結合させて除去するために固体支持体上に不動化された結合剤の使用を含む。次に結合したポリペプチドは、レポーター基を含有していて結合剤/ポリペプチド複合体へ特異的に結合する検出試薬を用いて検出できる。そのような検出試薬は、例えば、ポリペプチドもしくは抗体へ特異的に結合する結合剤、または抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチンなどの結合剤へ特異的に結合する他の物質を含んでいてよい。または、ポリペプチドがレポーター基を用いて標識され、そして結合剤とサンプルとのインキュベーション後に不動化された結合剤へ結合することを可能にする競合的アッセイを利用できる。サンプルの成分が標識ポリペプチドの結合剤への結合を阻害する程度は、サンプルと不動化結合剤との反応性の指標である。そのようなアッセイ内で使用するために適合するポリペプチドには、癌抗原ポリペプチドおよびその部分、または上述のようにそれに結合剤が結合する抗体が含まれる。
固体支持体は、それに本発明の癌抗原ポリペプチドを付着させることのできる、当業者に公知の任意の材料であってよい。例えば、固体支持体はマイクロタイタープレート内の試験ウェルまたはニトロセルロースもしくは他の適合する膜であってよい。または、支持体は、ガラス、ガラス繊維、ラテックスなどのビーズもしくはディスク、またはポリスチレンもしくはポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料であってよい。支持体は、例えばU.S. Pat. No. 5,359,681に開示されたもののような、磁気粒子または光ファイバーセンサーであってよい。結合剤は、特許および科学文献に十分に記載されている、当業者には公知の様々な技術を用いて固体支持体上に不動化することができる。本発明の状況では、用語「不動化」は、吸着などの非共有的関連、および共有結合(支持体上の物質と官能基との直接的連結であってよい、または架橋剤による連結であってよい)の両方をいう。マイクロタイタープレート内のウェルもしくは膜への吸着による不動化が好ましい。そのような場合には、吸着は、適合するバッファー内で、適合する時間量にわたり結合剤を固体支持体と接触させる段階によって達成されてよい。接触時間は温度に伴って変動するが、典型的には約1時間から約1日間の間である。一般に、プラスチック製マイクロタイタープレート(ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルなど)のウェルを約10ngから約10μg、および好ましくは約100ngから約1μgの範囲内の量の結合剤と接触させる段階は、適正な量の結合剤を不動化するために十分である。
結合剤の固体支持体への共有結合は、一般に、最初に支持体を、結合剤上で支持体とヒドロキシル基またはアミノ基などの官能基との両方と反応する二官能性試薬と反応させる段階によって達成できる。例えば、結合剤は、ベンゾキノンを用いて、または結合パートナー上のアミンおよび活性水素を用いた支持体上のアルデヒド基の縮合によって適切なポリマーコーティングを有する支持体へ共有結合させることができる(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook, 1991, at A12-A13参照)。
治療的/予防的投与および組成物
1つの態様では、全抗体用量が単回ボーラスで提供される。または、この用量は、長期注入方法などの複数回投与によって、または例えば約2から約4日間の期間のような数時間もしくは数日間の期間にわたって投与される反復注射によって提供することができる。さらに実施例5、9および10、ならびに表6〜9も参照。
化合物が核酸または免疫グロブリンを含む場合に使用できる調製物および投与方法は上述されている;追加の適切な調製物および投与経路は、以下に記載する調製物および投与経路から選択できる。
例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル内へのカプセル化、化合物を発現できる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, J. Biol. Chem. 262:4429-4432(1987)参照)、レトロウイルスもしくはその他のベクターの一部としての核酸の構築などの様々な送達系は公知であり、本発明の化合物を投与するために使用できる。導入方法には、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が含まれるが、それらに限定されない。化合物もしくは組成物は、例えば注入もしくはボーラス注射、上皮もしくは粘膜皮膜内層(例、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通しての吸収による任意の便宜的経路によって投与でき、他の生物活性物質と一緒に投与することができる。投与は、全身性または局所性であってよい。さらに、本発明の薬学的化合物または組成物は、静脈内およびクモ膜下注射を含む任意の適合する経路によって中枢神経系へ導入するのが望ましいことがある;静脈内注射は、例えばOmmayaリザバーなどのリザバーへ取り付けられた静脈内カテーテルによって促進することができる。肺への投与もまた、例えば吸入器またはネブライザー、およびエーロゾル化剤を備える調製物を使用することによって使用できる。
特定の態様では、本発明の薬学的化合物または組成物は治療を必要とする領域へ局所的に投与するのが望ましいことがある;これは、例として、そして限定するためではなく、手術中の局所注入、例えば術後の創傷ドレッシングと結び付けた局所的適用、カテーテルを用いた注射、坐剤、またはインプラントによって達成できるが、該インプラントは、例えばサイラスティック(sialastic)膜、または繊維などの膜を含む多孔性、非多孔性、もしくはゲル状材料であってよい。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する場合は、それにタンパク質が吸着しない材料を使用することに注意を払わなければならない。
また別の態様では、化合物または組成物は、小胞、特にはリポソーム内で送達できる(Langer, Science 249:1527-1533(1990); Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler(eds.), Liss, New York, pp. 353-365(1989)参照;Lopez-Berestein, ibid., pp. 317-327;一般に同じ個所を参照)。
さらにまた別の態様では、化合物または組成物は、徐放系で送達できる。1つの態様では、ポンプを使用できる(Langer、前記;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201(1987); Buchwald et al., Surgery 88:507(1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574(1989)参照)。また別の態様では、ポリマー材料を使用できる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise(eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida(1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball(eds.), Wiley, New York(1984); Ranger and Peppas, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61(1983);さらにまたLevy et al., Science 228:190(1985); During et al., Ann. Neurol. 25:351(1989); Howard et al., J. Neurosurg. 71:105(1989)も参照)。さらにまた別の態様では、徐放系は、治療標的、すなわち脳の近くに配置することができるので、全身性用量の1分画しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release、前記、vol. 2, pp. 115-138(1984)参照)。
他の徐放系については、Langer(Science 249:1527-1533(1990))による概観の中で考察されている。
本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である特定の態様では、核酸は、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構築する段階、それが例えばレトロウイルスベクター(U.S. Pat. No. 4,980,286参照)、または直接注射、または微粒子ボンバードメント(例、遺伝子銃;Biolistic、Dupont社)の使用、脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤を用いた被覆によってそれが細胞内になるように投与する段階、または核内に進入する(Joliot et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868(1991))ことなどが公知のホメオボックス様ペプチドへ連結させて投与する段階によって、それがコードするタンパク質の発現を促進するためにインビボ投与することができる。または、相同組換えによって発現させるために、核酸は細胞内へ導入し、宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
本発明は、薬学的組成物をさらに提供する。そのような組成物は、治療有効量の化合物、および薬学的に許容される担体を含む。特定の態様では、用語「薬学的に許容される」は、米国連邦もしくは州政府規制官庁によって承認された、または米国薬局方もしくは動物、およびより特別にはヒトにおいて使用するために一般に認知された他の薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」は、それとともに治療薬が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルをいう。そのような薬学的担体は、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む水および油などの無菌液体であってよい。水は、薬学的組成物が静脈内投与される場合に好ましい担体である。食塩液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、特に注射溶液のための液体担体として使用できる。適合する薬学的賦形剤には、デンプン、ブドウ糖、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤をさらに含有していてよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル剤、カプセル剤、粉末剤、徐放性調製物などの形態を取ることができる。本組成物は、伝統的結合剤およびトリグリセリドなどの担体を用いて、坐剤として調製することができる。経口調製物は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体を含むことができる。適合する薬学的担体の例は、E.W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」の中に記載されている。そのような組成物は、患者へ適正な投与を行なうための形態を提供できるように、好ましくは精製形で、適合する量の担体とともに治療有効量の化合物を含有している。調製物は、投与様式に適合しなければならない。
好ましい態様では、本組成物は人間への静脈内投与のために適合する薬学的組成物としてのルーチン的方法にしたがって調製される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌等張性水性バッファー中の溶液である。必要な場合は、本組成物は、可溶化剤および注射部位での疼痛を緩和するためのリグノカインなどの局所麻酔薬をさらに含んでいてよい。一般に、成分は個別に供給されるか、または有効成分の量を表示しているアンプルまたはサシェ(sachette)などの密封容器中に含まれる例えば凍結乾燥粉末剤もしくは無水濃縮物のような単位剤形中にともに混合される。本組成物を注射によって投与すべき場合は、無菌医薬グレードの水または生理食塩液を含有する注入用ボトルを用いて投薬することができる。本組成物が注射によって投与される場合は、成分を投与前に混合できるように、無菌注射水または生理食塩液のアンプルを提供できる。
本発明の化合物は、中和形または塩形として調製できる。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するアニオンを用いて形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオンを用いて形成される塩が含まれる。
本発明のポリペプチドの異所性発現および/または活性に関連する疾患または障害の治療、阻害および予防において効果的である本発明の化合物の量は、標準的な臨床技術によって決定できる。さらに、最適な用量範囲を同定するのに役立たせるには、インビトロアッセイを任意に使用できる。調製物中で使用すべき正確な用量は投与経路、ならびに疾患または障害の重篤性にも左右され、そして担当医の判定および各患者の状況に従って決定すべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系から引き出された用量反応曲線から外挿することができる。
抗体については、患者に投与される用量は、典型的には0.1mg/kgから100mg/kg(患者の体重)である。好ましくは、患者に投与される用量は、0.1mg/kgから20mg/kg(患者の体重)、より好ましくは1mg/kgから10mg/kg(患者の体重)である。一般に、ヒト抗体は、異種ポリペプチドに対する免疫応答に起因して、ヒト身体内では他の種由来の抗体より長い半減期を有する。そこで、より少ない用量のヒト抗体およびより低頻度の投与がしばしば可能である。さらに、本発明の抗体の用量および投与頻度は、例えば脂質化などの修飾によって抗体の取り込みおよび組織浸透(例、脳内へ)を増強する段階によって減少させることができる。さらに実施例5も参照。
本発明は、本発明の薬学的組成物の一つまたは複数の成分が充填された一つまたは複数の容器を含む薬学的パックまたはキットをさらに提供する。そのような容器と任意に結び付けられているのは、薬学的もしくは生物学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府官庁によって規定された形状にある表示であってよく、その表示は、ヒトに投与するための製造、使用または販売についての官庁による承認を反映している。
抗体は、当業者には公知の伝統的な免疫組織学的方法を用いて生物学的サンプル中の本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドのレベルをアッセイするために使用できる(例えば、Jalkanen, et al., J. Cell. Biol. 101:976-985(1985); Jalkanen, et al., J. Cell Biol. 105:3087-3096(1987)参照)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体をベースとする方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。適合する抗体アッセイ標識は当技術分野において公知であり、例えばグルコースオキシダーゼなどの酵素標識;ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113In、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、88Re、142Pr、105Rh、97Ruなどの放射性同位体;ルミノールなどの発光標識;ならびにフルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、およびビオチンが含まれる。
生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルをアッセイすることに加えて、タンパク質はさらにまたイメージングによってインビボで検出することもできる。タンパク質のインビボイメージングのための抗体標識もしくはマーカーには、X線検査、NMR、またはESRによって検出可能なものが含まれる。X線検査のためには、適合する標識には、バリウムまたはセシウムなどの、検出可能な放射線を放射するが、被験者にとって過度に有害ではない放射性同位体が含まれる。NMRおよびESRのために適合するマーカーには、デューテリウムなどの、関連するハイブリドーマのための栄養素の標識化によって抗体内へ組み込むことのできる検出可能な特徴的スピンを備えるものが含まれる。
放射性同位体(例えば、l31I、112In、99mTc、(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F、153Sm、177Lu、59Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴によって検出可能な物質などの適切な検出可能なイメージング部分を用いて標識されているタンパク質特異的抗体もしくは抗体フラグメントは、免疫系障害について検査される哺乳動物内へ(例えば、非経口、皮下または腹腔内)導入される。当技術分野においては、被験者のサイズおよび使用されるイメージングシステムが、診断画像を生成するために必要とされるイメージング部分の量を決定することは理解される。放射性同位体部分の場合には、ヒト被験者については、注射される放射能の量は、通常は約5から20ミリキュリーの99mTcに及ぶ。次に標識抗体もしくは抗体フラグメントは、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドを発現する細胞の所在場所で優先的に蓄積する。インビボ腫瘍イメージングは、S.W. Burchiel et al., 「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments」(Chapter 13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer, S.W. Burchiel and B.A. Rhodes, eds., Masson Publishing Inc.(1982)に記載されている。
1つの態様では、本発明は、本発明の組成物を細胞へ特異的に送達するための、異種ポリペプチドまたは核酸と関連している本発明のポリペプチド(例、本発明のポリヌクレオチドおよび/または抗体によってコードされたポリペプチド)を投与する段階による方法である。1つの実施例では、本発明は治療タンパク質を標的細胞へ送達するための方法を提供する。また別の実施例では、本発明は、一本鎖核酸(例、アンチセンスもしくはリボザイム)または二本鎖核酸(例、細胞のゲノム内へ組み込める、またはエピソームにより複製できる、そして転写させることのできるDNA)を標的細胞へ送達するための方法を提供する。
本発明のポリペプチド(抗体を含む)を標識するためには当技術分野において公知の技術を適用できる。そのような技術には、二官能性コンジュゲート剤(例えば、その各々の内容が参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S. Pat. Nos. 5,756,065; 5,714,631; 5,696,239; 5,652,361; 5,505,931; 5,489,425; 5,435,990; 5,428,139; 5,342,604; 5,274,119; 4,994,560; and 5,808,003)の使用が含まれるが、それらに限定されない。
遺伝子療法
特定の態様では、C35抗体などの抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含む核酸は、遺伝子療法によって、C35の異所性発現および/または活性に関連する疾患または障害を治療する、阻害する、または予防するために投与される。遺伝子療法は、被験者への発現した、または発現可能な核酸の投与によって実施される療法を指す。本発明のこの態様では、核酸は、治療作用を媒介するそれらのコードされたタンパク質を作製する。
当技術分野において利用できる遺伝子療法のための方法は、いずれも本方法にしたがって使用できる。以下では例示的な方法について説明する。
遺伝子療法の方法の一般的概観については、Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 12:488-505(1993); Wu and Wu, Biotherapy 3:87-95(1991); Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596(1993); Mulligan, Science 260:926-932(1993); and Morgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217(1993); May, TIBTECH 11(5):155-215(1993)参照。使用できる組換えDNA技術の当技術分野において一般に公知の方法はAusubel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(1993); and Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY(1990)に記載されている。
好ましい局面では、本化合物は抗体をコードする核酸配列を含み、該核酸配列は適合する宿主内で抗体もしくはフラグメントまたはキメラタンパク質またはそれらの重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部である。特別には、そのような核酸配列は抗体コーディング領域へ機能的に連結したプロモーターを有し、該プロモーターは誘導性または構成性であり、そして任意で組織特異的である。また別の特定の態様では、抗体コード配列および任意の他の所望の配列がゲノム内の所望の部位で同種組換えを促進する領域によって挟まれている核酸分子が使用され、そこで抗体をコードする核酸の染色体内発現を提供する(Koller and Smithies, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935(1989); Zijlstra et al., Nature 342:435-438(1989)。特定の態様では、発現した抗体分子は一本鎖抗体である;または核酸配列は、該抗体の重鎖および軽鎖の両方、もしくはそれらのフラグメントをコードする配列が含まれる。
患者への核酸の送達は、その場合には患者が核酸もしくは核酸保有ベクターへ直接的に曝露させられる直接的、またはその場合には細胞が最初にインビトロで核酸を用いて形質転換され、次に患者に移植される間接的のどちらであってもよい。これら2種のアプローチは、各々インビボまたはエクスビボ遺伝子療法として公知である。
特定の態様では、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこでコードされた生成物を生成するために発現させられる。これは当技術分野において公知の多数の方法のうちの任意の方法によって、例えばそれらを適切な核酸発現ベクターの一部として構築する段階、およびそれらが細胞内になるように、例えば不完全もしくは減弱レトロウイルスもしくは他のウイルスベクターを用いる感染によって(U.S. Pat. No. 4,980,286参照)、または裸のDNAの直接的注射によって、または微粒子ボンバードメント(例、遺伝子銃;Biolistic、Dupont社)の使用によって、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤を用いたコーティング、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル内への被包化によって、または核に入ることが公知のペプチドへ連結させてそれらを投与する段階によって、またはそれを受容体媒介性エンドサイトーシスに供したリガンドへ連結させて投与する段階(例えば、Wu and Wu, J. Biol. Chem. 262:4429-4432(1987)参照)(受容体を特異的に発現する細胞タイプを標的とするために使用できる)などによって投与する段階によって実施できる。また別の態様では、リガンドがエンドソームを破壊するために融合誘導性ウイルスペプシドを含み、核酸のリソソーム分解を回避することを可能にする核酸-リガンド複合体を形成できる。さらにまた別の態様では、核酸は、特異的受容体を標的とすることによって、細胞特異的取り込みおよび発現のためにインビボでターゲッティングすることができる(例えば、PCT Publications WO 92/06180; WO 92/22635; WO 92/20316 ; WO 93/14188, WO 93/20221参照)。または、核酸は、相同組換えによって、細胞内へ導入して発現させるために宿主細胞DNA内に組み込むことができる(Koller and Smithies, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935(1989); Zijlstra et al., Nature 342:435-438(1989))。
特定の態様では、本発明の抗体をコードする核酸配列を含有するウイルスベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターを使用できる(Miller et al., Meth. Enzymol. 217:581-599(1993)参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNA内への組込みのために必要な成分を含有する。遺伝子療法に使用すべき抗体をコードする核酸配列は、患者への遺伝子の送達を促進する一つまたは複数のベクター内へクローニングされる。レトロウイルスベクターについての詳細は、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために造血性幹細胞へmdrl遺伝子を送達するためのレトロウイルスベクターの使用について記載しているBoesen et al., Biotherapy 6:291-302(1994)の中に見いだすことができる。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を例示している他の文献は、Clowes et al., J. Clin. Invest. 93:644-651(1994); Kiem et al., Blood 83:1467-1473(1994); Salmons and Gunzberg, Human Gene Therapy 4:129-141(1993); and Grossman and Wilson, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114(1993)である。
アデノウイルスは、遺伝子療法において使用できる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、気道上皮へ遺伝子を送達するために特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、気道上皮を自然に感染させる軽度の疾患を誘発する。アデノウイルスをベースとする送達系にとっての他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分化細胞を感染させることができるという長所を有する。Kozarsky and Wilson, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503(1993)は、アデノウイルスをベースとする遺伝子療法についての概観を表している。Bout et al., Human Gene Therapy 5:3-10(1994)は、アカゲザルの気道上皮へ遺伝子を移すためのアデノウイルスベクターの使用を証明した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用についての他の例は、Rosenfeld et al., Science 252:431434(1991); Rosenfeld et al., Cell 68:143-155(1992); Mastrangeli et al., J. Clin. Invest. 91:225-234(1993); PCT Publication WO 94/12649 ; and Wang, et al., Gene Therapy 2:775-783(1995)の中に見いだすことができる。好ましい態様では、アデノウイルスベクターが使用される。
アデノ関連ウイルス(AAV)もまた遺伝子療法において使用するために提案されている(Walsh et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289-300(1993); U.S. Pat. No. 5,436,146)。
遺伝子療法のためのまた別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法によって組織培養中の細胞へ遺伝子を移入する段階を含む。通常は、移入方法は、細胞への選択可能なマーカーの移入を含む。次に細胞は、取り込まれているそれらの細胞を単離するために選択下に置かれ、移入された遺伝子を発現する。次にそれらの細胞は、患者へ送達される。
この態様では、核酸は、結果として生じる組換え細胞のインビボ投与の前に細胞内へ導入される。そのような導入は当技術分野において公知の任意の方法によって実施することができ、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含有するウイルスもしくはバクテリオファージベクターを用いた感染、細胞融合、染色体媒介性遺伝子導入、マイクロセル媒介性遺伝子導入、スフェロプラスト融合などが含まれるが、それらに限定されない。細胞内へ異種遺伝子を導入するためには数多くの技術が当技術分野において公知であり(例えば、Loeffler and Behr, Meth. Enzymol. 217:599-618(1993); Cohen et al., Meth. Enzymol. 217:618-644(1993); Cline, Pharmac. Ther. 29:69-92m(1985)参照)、レシピエント細胞の必要な発生学的および生理学的機能が破壊されないことを前提に、本発明にしたがって使用できる。この技術は、結果として核酸がその細胞によって発現可能であり、好ましくは遺伝性であり、その細胞の子孫によって発現可能であるように、細胞への核酸の安定性移入を提供する。
結果として生じた組換え細胞は、当技術分野において公知の様々な方法によって患者へ送達できる。組換え血液細胞(例、造血性幹細胞または前駆細胞)は、好ましくは静脈内投与される。使用するために想定される細胞の量は、所望の作用、患者の状態などに依存し、当業者であれば決定できる。
遺伝子療法のためにその中へ核酸を導入できる細胞は、任意の所望の、利用できる細胞タイプを含み、上皮細胞、内皮細胞、表皮細胞、線維芽細胞、筋細胞、幹細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞;様々な幹細胞もしくは前駆細胞、特には例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝などから入手される特に造血性幹細胞または前駆細胞が含まれるが、それらに限定されない。
好ましい態様では、遺伝子療法のために使用される細胞は、患者にとって自己由来である。
遺伝子療法において組換え細胞が使用される1つの態様では、抗体をコードする核酸配列は、それらが細胞もしくはそれらの子孫によって発現可能であるように細胞内へ導入され、そしてその組換え細胞は次に治療作用を得るためにインビボ投与される。特定の態様では、幹細胞もしくは前駆細胞が使用される。インビトロで単離および維持できる任意の幹細胞および/または前駆細胞は、本発明の態様にしたがって使用できる可能性がある(例、PCT Publication WO 94/08598; Stemple and Anderson, Cell 71:973-985(1992); Rheinwald, Meth. Cell Bio. 21A:229(1980); and Pittelkow and Scott, Mayo Clinic Proc. 61:771(1986))。
特定の態様では、遺伝子療法のために導入すべき核酸は、該核酸の発現が適切な転写誘導因子の存在または非存在を制御することによって制御可能であるように、コーディング領域へ機能的に連結した誘導性プロモーターを含む。
高増殖性疾患
本発明の方法は、新生物を含む高増殖性の疾患、障害、および/または状態を治療するために使用できる。
本発明の方法によって治療できる高増殖性の疾患、障害、および/または状態の例には、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頸部、神経系(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部および尿生殖器に所在する新生物が含まれるが、それらに限定されない。
そのような高増殖性障害の他の例には、急性小児期リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、球性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌腫、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ球性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病(Hodgkin’s Disease)、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹部神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂および尿管の癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児期(原発性)肝細胞癌、小児期(原発性)肝臓癌、小児期急性リンパ芽球性白血病、小児期急性骨髄性白血病、小児期脳幹部神経膠腫、小児期小脳星状細胞腫、小児期大脳星状細胞腫、小児期頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期ホジキン病、小児期ホジキンリンパ腫、小児期視床下部および視覚路神経膠腫、小児期リンパ芽球性白血病、小児期髄芽細胞腫、小児期非ホジキンリンパ腫、小児期松果体および天幕上原始神経外胚葉性腫瘍、小児期原発性肝臓癌、小児期横紋筋肉腫、小児期軟組織肉腫、小児期視覚路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、人工膵島細胞癌、子宮内膜癌、上衣細胞腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫(Ewing’s Sarcoma)および関連腫瘍、膵外分泌癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、生殖器外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼の癌、女子乳癌、ゴーシェ病(Gaucher’s Disease)、胆嚢癌、胃癌、消化器カルチノイド腫瘍、消化器腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠期栄養胚芽性腫瘍、ヘアリーセル(Hairy Cell)白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、膵島細胞腺癌、膵島細胞膵臓癌、カポジ肉腫(Kaposi’s Sarcoma)、腎臓癌、喉頭癌、口唇および口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ組織増殖性障害、マクログロブリン血症、男子乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、転移性潜在性原発性扁平上皮頸部癌、転移性原発性扁平上皮頸部癌、転移性扁平上皮頸部癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞性新生物、脊髄形成異常性症候群、骨髄性白血病(Myelogenous Leukemia)、骨髄性白血病(Myeloid Leukemia)、骨髄増殖性障害、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽喉癌、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞性肺癌、潜在性原発性転移性扁平上皮頸部癌、口咽頭癌、骨/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球種、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性境界型腫瘍、膵臓癌、パラプロテイン血症、紫斑病、副甲状腺癌、陰茎癌、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂および尿管癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群(Sezary Syndrome)、皮膚癌、小細胞性肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮頸部癌、胃癌、天幕上原始神経外胚葉および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、睾丸癌、胸腺種、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行上皮細胞癌、移行性腎盂および尿管癌、栄養胚芽性腫瘍、尿管および腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、頸膣癌、視覚路および視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia)、ウィルムス腫瘍(Wilms’ Tumor)、ならびに上述の器官系に所在する新生組織形成以外の任意の他の高増殖性疾患が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の方法は、前悪性状態を治療するため、そして上述の障害を含むがそれらに限定されない腫瘍性または悪性状態への進行を防止するために使用することができる。そのような使用は、特に、過形成、化生、または最も特には形成異常からなる非腫瘍形成性細胞増殖が発生している場合の、腫瘍形成もしくは癌への先行する進行が既知または疑われる状態において適応である(そのような異常な増殖状態についての概観については、Robbins and Angell, 1976, Basic Pathology, 2d Ed., W.B. Saunders Co., Philadelphia, pp. 68-79参照)。
過形成は、構造または機能における重大な変化を伴わない、組織または器官中の細胞数の増加を含む、制御された細胞増殖の形態である。本発明の方法によって治療できる過形成障害には、脈管濾胞性縦隔リンパ節増殖症、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症、非定型メラニン細胞過形成症、基底細胞過形成症、良性巨大リンパ節増殖症、セメント質過形成症、先天性副腎過形成症、先天性脂腺増生症、嚢胞性増殖症、乳腺の嚢胞性増殖症、義歯性過形成症、導管過形成症、子宮内膜増殖症、線維筋過形成症、局所性上皮肥厚症、歯肉増殖症、炎症性線維性過形成症、炎症性乳頭状過形成症、血管内乳頭状内皮過形成症、結節性前立腺過形成症、結節性再生過形成症、偽上皮腫性増殖症、老年性脂腺増生症、および疣贅(ゆうぜい)性肥厚症が含まれるが、それらに限定されない。
化生は、成人細胞もしくは完全分化した細胞の1つのタイプが成人細胞の他のタイプと置換している制御された細胞増殖の1形態である。本発明の方法によって治療できる化生障害には、特発性骨髄化生、アポクリン化生、非定形化生、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸上皮化生、化生性貧血、変形骨化、異形成性ポリープ、骨髄様化生、原発性骨髄様化生、二次性骨髄様化生、扁平上皮化生、羊膜の扁平上皮化生、および症候性骨髄様化生が含まれるが、それらに限定されない。
形成異常はしばしば癌の前兆であり、主として上皮中で見いだされる;形成異常は、個々の細胞均一性および細胞の構造上の方向付けの消失を含む、非腫瘍形成性細胞増殖の最も混乱した形態である。形成異常細胞は、しばしば異常に大きな、深く染色した核を有し、多形態を示す。形成異常は、慢性的刺激または炎症が存在する場所で特徴的に発生する。本発明の方法によって治療できる形成異常障害は、無発汗性外胚葉性形成異常、前後形成異常、窒息性胸郭形成異常、心房指形成異常、気管支肺異形成症、終脳形成異常、子宮頸部形成異常、軟骨外胚葉性形成異常、鎖骨頭蓋骨形成不全症、先天性外胚葉性形成異常、頭蓋骨幹形成異常、頭蓋骨手根骨足根骨形成不全症、頭蓋骨幹端形成異常、象牙質異形成症、骨幹形成異常、外胚葉性形成異常、エナメル質形成異常、脳眼形成異常、足根骨肥大症、多発性骨端形成異常、点状骨端形成異常、上皮性形成異常、顔面指趾生殖器形成異常、家族性線維性顎異形成症、家族性白色襞性形成異常、線維筋性形成異常、線維性骨形成異常、開花性骨性異形成症、遺伝性腎-網膜異形成症、有汗性外胚葉異形成症、無汗性外胚葉形成異常、リンパ球減少性胸腺形成異常、乳房形成異常、下顎顔面形成異常、骨幹端形成異常、モンディーニ型内耳形成異常、単発性線維性形成異常、粘膜上皮形成異常、多発性骨端形成異常、眼耳脊椎形成異常、眼歯指形成異常、眼脊椎形成異常、歯牙形成不全症、眼下顎四肢形成不全、根尖性セメント質異形成症、多発性線維性骨形成異常、偽軟骨発育不全脊椎骨端形成異常、網膜形成異常、中隔-視覚異形成症、脊椎骨端形成異常、および心室橈骨形成異常が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の方法によって治療できる追加の前腫瘍形成性障害には、良性異常増殖性障害(例、良性腫瘍、線維嚢胞性状態、組織肥大、腸ポリープ、大腸ポリープ、および食道異形成)、白斑症、角化症、ボーエン病(Bowen’s disease)、農夫皮膚、日光口唇炎、および日光角化症が含まれるが、それらに限定されない。
好ましい態様では、本発明の方法は、癌、特に上記に列挙した癌の増殖、進行、および/または転移を阻害するために使用される。
本発明の方法によって治療できる上昇した細胞生存率と関連する追加の疾患または状態には、白血病(急性白血病(例、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病)を含む)ならびに慢性白血病(例、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)を含む)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、ならびに線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、睾丸癌、肺癌、小細胞性肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫などの肉腫および癌腫などを含むが、それらに限定されない充実性腫瘍を含む悪性腫瘍および関連障害の進行、および/または転移が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の方法によって治療できる高増殖性の疾患および/または障害には、肝臓、腹部、骨、乳房、消化器系、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頸部、神経系(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部および尿生殖器に所在する新生物が含まれるが、それらに限定されない。
同様に、その他の高増殖性障害もまた本発明の方法によって治療することができる。そのような高増殖性障害の例には、高ガンマグロブリン血症、リンパ組織増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球増殖症、ならびに上記に列挙した器官内に所在する新生腫瘍以外の、任意の他の高増殖性疾患が含まれるが、それらに限定されない。
治療活性の証明
本発明の方法および抗体は、ヒトにおいて使用する前に、所望の治療的または予防的活性について、好ましくはインビトロで試験され、次にインビボで試験される。例えば、化合物または薬学的組成物の治療的もしくは予防的有益性を証明するためのインビトロアッセイには、細胞系または患者組織サンプルへ化合物が及ぼす作用が含まれる。細胞系および/または組織サンプルに化合物もしくは組成物が及ぼす作用は、ロゼット形成アッセイおよび細胞溶解アッセイを含むがそれらに限定されない当業者に公知の技術を利用して決定することができる。本発明によると、特定の化合物の投与が適応であるかどうかを決定するために使用できるインビトロアッセイには、患者組織サンプルが培養中で増殖させられ、そして化合物へ曝露させられる、または投与される、そしてそのような化合物が組織サンプルへ及ぼす作用が観察されるインビトロ細胞培養アッセイが含まれる。
キット
本発明は、上記の方法において使用できるキットを提供する。1つの態様では、キットは、一つまたは複数の容器中に本発明の抗体、好ましくは精製された抗体を含む。特定の態様では、本発明のキットは、該キット内に含まれる抗体と特異的に免疫応答性であるエピトープを含む実質的に単離されたポリペプチドを含有する。好ましくは、本発明のキットは、関心対象のポリペプチドとは反応しない対照抗体をさらに含む。また別の特定の態様では、本発明のキットは、抗体の関心対象のポリペプチド(例、抗体は、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物などの検出可能な基質へコンジュゲートすることができる、または第1抗体を認識する第2抗体を検出可能な基質へコンジュゲートすることができる)への結合を検出するための手段を含有する。
本発明のまた別の特定の態様では、本キットは、増殖性および/または癌性ポリヌクレオチドおよびポリペプチドに対して特異的な抗体を含有する血清をスクリーニングする際に使用するための診断キットである。そのようなキットは、関心対象のポリペプチドとは反応しない対照抗体を含んでいてよい。そのようなキットは、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体に対して特異的に免疫応答性であるエピトープを含む実質的に単離されたポリペプチド抗原を含んでいてよい。さらに、そのようなキットは、該抗体の抗原への結合(例、抗体は、フローサイトメトリーによって検出できるフルオレセインまたはローダミンなどの蛍光化合物へコンジュゲートさせることができる)を検出するための手段を含む。特定の態様では、本キットは、組換え生成または化学合成されたポリペプチド抗原を含んでいてよい。本キットのポリペプチド抗原は、さらに固体支持体へ付着させることができる。
より特定の態様では、上述のキットの検出する手段は、それに該ポリペプチド抗原が付着させられる固体支持体を含む。そのようなキットは、付着させられていないレポーター標識抗ヒト抗体をさらに含んでいてよい。この態様では、抗体のポリペプチド抗原への結合は、該レポーター標識抗体の結合によって検出できる。
追加の態様では、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含有するサンプルをスクリーニングする際に使用するための診断キットを含む。本診断キットは、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド抗原に対して特異的に免疫応答性である実質的に単離された抗体、および該抗体への該ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド抗原の結合を検出するための手段を含む。1つの態様では、抗体は固体支持体へ付着させられる。特定の態様では、抗体はモノクローナル抗体であってよい。キットの検出する手段は、第2標識モノクローナル抗体を含んでいてよい。または、あるいは追加して、検出する手段は標識された競合する抗原を含んでいてよい。
1つの診断構成では、試験サンプルは、本発明の方法によって入手された表面結合抗原を有する固相試薬と反応させられる。特異的抗原抗体を試薬へ結合させ、洗浄する段階によって未結合サンプル成分を除去した後、試薬は、固体支持体上の結合した抗抗原抗体の量に比例してレポーターを試薬へ結合させるためにレポーター標識抗ヒト抗体と反応させられる。試薬は、未結合標識抗体を除去するために再び洗浄され、試薬と結び付いたレポーターの量が決定される。典型的には、レポーターは、適合する蛍光測定、発光または熱量測定基質の存在下で固相をインキュベートする段階によって検出される酵素(Sigma社、ミズーリ州セントルイス)である。
上記のアッセイにおける固体表面試薬は、ポリマービーズ、ディップスティック、96ウェルプレートまたはフィルター材料などの固体支持体材料へタンパク質材料を付着させるための公知の技術によって調製される。これらの付着方法には、一般に、支持体へのタンパク質の非特異的吸着または、典型的には遊離アミノ基を通して活性化カルボキシル、ヒドロキシル、もしくはアルデヒド基などの固体支持体上の化学的反応基へのタンパク質の共有結合が含まれる。または、ストレプトアビジン被覆プレートをビオチニル化抗原と結び付けて使用できる。
そこで、本発明は、この診断方法を実施するためのアッセイシステムまたはキットを提供する。本キットは、一般に、表面結合組換え抗原を備える支持体、表面結合抗抗原抗体を検出するためのレポーター標識抗ヒト抗体、を含む。
アポトーシス誘導療法
アポトーシス誘導療法には、化学療法薬(抗腫瘍形成薬として公知の)、放射線療法、ならびに放射線療法および化学療法の併用療法が含まれる。
例示的な化学療法薬は、ビンカアルカロイド類、エピポドフィロトキシン類、アントラサイクリン系抗生物質、アクチノマイシンD、プリカマイシン、ピューロマイシン、グラミシジンD、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、コルヒチン、サイトカラシンB、エメチン、メイタンシン、およびアムサクリン(もしくは「mAMSA」)である。ビンカアルカロイドクラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985), pp. 1277-1280に記載されている。ビンカアルカロイド類の例は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビンデシンである。エピポドフィロトキシンクラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985), pp. 1280-1281に記載されている。エピポドフィロトキシンの例は、エトポシド、エトポシドオルトキノン、およびテニポシドである。アントラサイクリン系抗生物質クラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985), pp. 1283-1285に記載されている。アントラサイクリン系抗生物質の例は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、およびビサントレンである。ダクチノマイシンとも呼ばれるアクチノマイシンDは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.), (1985), pp. 1281-1283に記載されている。ミトラマイシンとも呼ばれるプリカマイシンは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.), (1985), pp. 1287-1288に記載されている。追加の化学療法薬には、シスプラチン(Platinol(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、マイトマイシン(Mutamycin(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、アルトレタミン(Hexalen(登録商標)、U.S. Bioscience, Inc.社)、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、ロムスチン(CCNU)(CeeNU(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)、カルムスチン(BCNU)(BiCNU(登録商標)、Bristol Myers Squibb社)が含まれる。
例示的な化学療法薬には、さらにまたアクラシノマイシンA、アクラルビシン、アクロニン、アクロナイシン、アドリアマイシン、アルデスロイキン(インターロイキン-2)、アルトレタミン(ヘキサミエチルメラミン)、アミノグルテチミド、アミノグルテチミド(シタドレン)、アミノイミダゾールカルボキサミド、アムサクリン(m-AMSA;Amsidine)、アナストラゾール(Arimidex)、アンシタビン、アントラサイクリン、アントラマイシン、アスパラギナーゼ(Elspar)、アザシツジン(Azacitdine)、アザシチジン(ラダカマイシン)、アザグアニン、アザセリン、アザウリジン、1,1’,1’’-ホスフィノチオイリジントリスアジリジン、アジリノ(2’,3’:3,4)ピロロ(1,2-a)インドール-4,7-ジオン、BCG(Theracys)、BCNU、BCNUクロロエチルニトロソ尿素、ベンズアミド、4-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)ベンゼンブタン酸、ビカルタミド、ビスクロロエチルニトロソ尿素、ブレオマイシン、ブレオマイシン(Blenozane)、ブレオマイシン系、ブロモデオキシウリジン、ブロクスウリジン、ブスルファン(Myleran)、カルバミン酸エチルエステル、カルボプラチン、カルボプラチン(Paraplatin)、カルムスチン、カルムスチン(BCNU; BiCNU)、クロラムブシル(Leukeran)、クロロエチルニトロソ尿素、クロロゾトシン(DCNU)、クロロマイシンA3、cis-レチノイン酸、シスプラチン(cis-ddpl ; Platinol)、クラドリビン(2-クロロデオキシアデノシン;2cda;Leustatin)、コホルマイシン、シクロロイシン、シクロホスファミド、シクロホスファミド無水物、クロラムブシル、シタラビン、シタラビン、塩酸シタラビン(Cytosar-u)、2-デオキシ-2-(((メチルニトロソアミノ)カルボニル)アミノ)-D-グルコース、ダカルバジン、ダクチノマイシン(Cosmegen)、ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine)、デカルバジン、デカルバジン(DTIC-dome)、デメコルチン、デキサメタゾン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアゾオキソノルロイシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル(Taxotere)、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin)、塩酸ドキソルビシン、エフロミチン(eflomithine)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム(emcyt)、ケシ種子油脂肪酸のエチルエステルにヨウ素を付加した油(ethiodized oil)、エトグルシド、カルバミン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、エトポシド(VP16-213)、フェンレチニド、フロクスウリジン、フロクスウリジン(fudr)、フルダラビン(Fludara)、フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン(Halotestin)、フルタミド、フルタミド(Eulexin)、フルクスウリジン(Fluxuridine)、硝酸ガリウム(Granite)、ゲムシタビン(Gemzar)、ゲニステイン、2-デオキシ-2-(3-メチル-3-ニトロソウレイド)-D-グルコピラノース、ゴセレリン(Zoladex)、ヘキセストロール、ヒドロキシ尿素(Hydra)、イダルビシン(Idamycin)、イホスファゲムシタビン、イホスファミド(Iflex)、メスナを含むイフォスファミド(MAID)、インターフェロン、インターフェロンα、インターフェロンα-2a、α-2b、α-n3、インターロイキン-2、イオベングアン、イオベングアンイオベングアン、イリノテカン(camptosar)、イソトレチノイン(Accutane)、ケトコナゾール、4-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-L-フェニルアラニン、L-セリンジアゾアセテート、レンチナン、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド(LHRHアナログ)、レバミソール(Ergamisol)、ロムスチン(CCNU; cee-NU)、マンノムスチン、メイタンシン、メクロルエタミン、塩酸メクロルエタミン(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メドロキシプロゲステロン(Provera、Depo Provera)、酢酸メゲストロール(Menace)、酢酸メレンゲストロール、メルファラン(Alkeran)、メノガリル、メルカプトプリン、メルカプトプリン(Purinethol)、メルカプトプリン無水物、MESNA、メスナ(Mesne)、メタンスルホン酸、エチルエステル、メトトレキセート(mtx; Methotrexate)、メチル-ccnu、ミモシン、ミソニダゾール、ミトラマイシン、ミトアントロン(mitoantrone)、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン(mutamycin)、マイトマイシンC、ミトーテン(o,p’-DDD; Lysodren)、ミトキサントロン、塩酸ミトキサントロン(Novantrone)、モピダモール、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン-2-アミン-2-オキシド、N-(1-メチルエチル)-4-((2-メチルヒドラジノ)メチル)ベンズアミド、N-メチル-ビス(2-クロロエチル)アミン、ニカルジピン、ニルタミド(Nilandron)、ニムスチン、ニトラクリン、ナイトロジェンマスタード、ノコダゾール、ノガラマイシン、オクトレオチド(Sandostatin)、パシラタキセル(Taxon)、パクリタキセル、パクタマイシン、ペグアスパルガーゼ(PEGx-1)、ペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン)、ペプロマイシン、ペプチケミオ、フォトフォレーシス、ピカマイシン(Mithracin)、ピシバニール、ピポブロマン、プリカマイシン、ポドフィロクス、ポドフィロトキシン、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、塩酸プロカルバジン(Matulane)、プロスピジウム、ピューロマイシン、ピューロマイシンアミノヌクレオシド、PUVA(Psoralen+紫外線a)、ピランコポリマー、ラパマイシン、s-アザシチジン、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-s-トリアジン、セムスチン、ショードマイシン、シロリムス、ストレプトゾシン(Zanosar)、スラミン、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex)、タキソン、テガフル、テニポシド(VM-26; Vumon)、テヌアゾン酸、TEPA、テストラクトン、チオ-テパ、チオグアニン、チオテパ(thioplex)、チロロン、トポテカン、トレチノイン(Vesanoid)、トリアジクオン、トリコデルミン、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、トリメトレキセート(Neutrexin)、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンオキシド、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンスルフィド、トリス(アジリジニル)-p-ベンゾキノン、トリス(アジリジニル)ホスフィンスルフィド、ウラシルマスタード、ビダラビン、リン酸ビダラビン、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン(Velban)、硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、ビンデシン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン(Navelbine)、(1)-ミモシン、1-(2-クロロエチル)-3-(4-メチルシクロヘキシル)-1-ニトロソ尿素、(8S-cis)-10-((3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ)-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロオキシ-8-(ヒドロオキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオン、131-メタ-ヨードベンジルグアニジン(I-131 MIBG)、5-(3,3-ジメチル-1-トリアゼニル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-s-チアジン、2,3,5-トリス(1-アジリジニル)-2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジオン、2-クロロ-N-(2-クロロエチル)-N-メチルエタンアミン、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン-2-アミン-2-オキシド、3-デアザウリジン、3-ヨードベンジルグアニジン、5,12-ナフタアセンジオン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、(1aS,8S,8aR,8bS)-6-アミノ-8-(((アミノカルボニル)オキシ)メチル)-1,1a,2,8,8a,8b-ヘキサヒドロ-8a-メトキシ-5-メチルアジリノ(2’,3’:3,4)ピロロ(1,2-a)インドール-4,7-ジオン、6-アザウリジン、6-メルカプトプリン、8-アザグアニン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
アポトーシス誘導療法として投与できる好ましい治療薬および組み合わせには、ドキソルビシンおよびドキセタキセル、トポテカン、パクリタキセル、カルボプラチンおよびタキソール、タキソール、シスプラチンおよび放射線、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-FUおよび放射線、Toxotere、フルダラビン、Ara C、エトポシド、ビンクリスチン、およびビンブラスチンが含まれる。
例示的な化学療法薬には、さらにまたドキセタキセル(TOXOTERE)およびトポテカン(HYCAMTIN)が含まれる。
本発明の方法において投与できる化学療法薬には、抗生物質誘導体(例、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシンおよびダクチノマイシン);抗エストロゲン薬(例、タモキシフェン);代謝拮抗薬(例、フルオロウラシル、5-FU、メトトレキセート、フロクスウリジン、インターフェロンα-2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリン、および6-チオグアニン);細胞毒性薬(例、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチン、および硫酸ビンクリスチン);ホルモン薬(例、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、二リン酸ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、およびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例、メルファラン(mephalen)、クロラムブシル、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイド剤および組み合わせ(例、リン酸ベタメタゾン(bethamethasone)ナトリウム);ならびにその他(例、ジカルバジン、アスパラギナーゼ、ミトーテン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、およびエトポシド)が含まれるが、それらに限定されない。
特定の態様では、本発明の抗体は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)と組み合わせて、またはCHOPの成分の任意の組み合わせで投与される。また別の態様では、本発明の抗体はリツキシマブと組み合わせて投与される。さらにまた別の態様では、本発明の抗体は、リツキシマブおよびCHOP、またはリツキシマブおよびCHOPの成分の任意の組み合わせと一緒に投与される。
(表4)主要な癌適応のために一般に使用される化学療法薬
1. 乳癌:アジュバント療法(手術の補助手段または手術に追加する全身性療法)。ドキソルビシン(Adriamycin)、シクロホスファミド、およびタキサン類[パクリタキセル(Taxol)およびドセタキセル(Taxotere)]。これらの3種の薬剤は転移性乳癌においても活性であるが、患者が既にアジュバント療法としてそれらを摂取していた場合に一般に使用される薬剤は、カペシタビン(Xeloda)、ゲムシタビン(Gemzar)、ビノレルビン(Navelbine)である。ホルモン受容体陽性腫瘍の骨転移のために一般に処方されるホルモン薬は、タモキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬(Arimidex、Femara、Aromasin)である。
2. 大腸癌:5-FU+ロイコボリン、イリノテカン(Camptosar)、オキサリプラチン、およびカペシタビン。
3. 肺癌:シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン。
4. 前立腺癌:ドセタキセル、エストラムスチン、ミトキサントロン(Novantrone)、およびプレドニゾン。
5. 非ホジキンリンパ腫:シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(Oncovin)、およびプレドニゾン。
治療用放射線には、例えば、分割放射線療法、非分割放射線療法、および超分割放射線療法、ならびに併用放射線および化学療法が含まれる。放射線のタイプには、さらにまたは電離(γ)放射線、粒子放射線、低エネルギー転送(LET)、高エネルギー転送(HET)、紫外線、赤外線、可視光線、および光増感放射線が含まれる。本明細書において使用する化学療法には、単剤化学療法薬または多剤化学療法薬を用いる治療が含まれる。治療を必要とする被験者では、化学療法は外科的治療または放射線療法、または他の抗腫瘍療法様式と併用することができる。
他の治療薬
さらにまた別の態様では、本発明の抗体は抗ウイルス薬と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる抗ウイルス薬には、アシクロビル、リバビリン、アマンタジン、およびリマンタジン(remantidine)が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の抗体は、2-(エチルチオ)-10-(3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル)-10H-フェノチアジン(エチルチオペラジン)、1-(p-クロロ-α-フェニルベンジル)-4-(m-メチルベンジル)-ピペラジン(メクロジン、クリジン)など、およびそれらの組み合わせなどの制吐薬と一緒に投与することもできる。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、他の治療薬、および本明細書において開示した、または当技術分野において公知のそれらの組み合わせと一緒に投与することもできる。
さらにまた別の態様では、本発明の抗体は抗生物質と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる抗生物質には、アモキシリン、βラクタマーゼ系、アミノ配糖体系、βラクタム(グリコペプチド)、βラクタマーゼ系、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン系、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン系、マクロライド系、メトロニダゾール、ペニシリン系、キノロン系、リファンピン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン系、トリメトプリム、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、およびバンコマイシンが含まれるが、それらに限定されない。
本発明の抗体と組み合わせて投与できる従来の非特異的免疫抑制薬には、ステロイド剤、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミドメチルプレドニゾン、プレドニゾン、アザチオプリン、FK-506、15-デオキシスペルグアリン、および応答するT細胞の機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制薬が含まれるが、それらに限定されない。
特定の態様では、本発明の抗体は、免疫抑制薬と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる免疫抑制性製剤には、ORTHOCLONE(商標)(OKT3)、SANDIMMUNE(商標)/NEORAL(商標)/SANGDYA(商標)(シクロスポリン)、PROGRAF(商標)(タクロリムス)、CELLCEPT(商標)(ミコフェノレート)、アザチオプリン、グルコルチコステロイド、およびRAPAMUNE(商標)(シロリムス)が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様では、免疫抑制薬は、臓器移植または骨髄移植の拒絶反応を防止するために使用できる。
追加の態様では、本発明の抗体は、単独で、または一つまたは複数の静脈内免疫グロブリン製剤と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる静脈内免疫グロブリン製剤には、GAMMAR(商標)、IVEEGAM(商標)、SANDOGLOBULIN(商標)、GAMMAGARD S/D(商標)、およびGAMIMUNE(商標)が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様では、本発明の抗体は、移植療法(例、骨髄移植)において静脈内免疫グロブリン製剤と組み合わせて投与される。
追加の態様では、本発明の抗体は、単独で、または抗炎症薬と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる抗炎症薬には、グルココルチコイド類および非ステロイド抗炎症薬、アミノアリールカルボン酸、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸誘導体、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール系、ピラゾロン系、サリチル酸誘導体系、チアジンカルボキサミド、e-アセトアミドカプロン酸、S-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、ピフォキシム、プロクアゾン、プロキサゾール、およびテニダップが含まれるが、それらに限定されない。
また別の態様では、本発明の抗体は化学療法薬と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる化学療法薬には、抗生物質誘導体(例、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシンおよびダクチノマイシン);抗エストロゲン薬(例、タモキシフェン);代謝拮抗薬(例、フルオロウラシル、5-FU、メトトレキセート、フロクスウリジン、インターフェロンα-2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリン、および6-チオグアニン);細胞毒性薬(例、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチン、および硫酸ビンクリスチン);ホルモン薬(例、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、二リン酸ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、およびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例、メルファラン(mephalen)、クロラムブシル、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイド剤および組み合わせ(例、リン酸ベタメタゾンナトリウム);ならびにその他(例、ジカルバジン、アスパラギナーゼ、ミトーテン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、およびエトポシド)が含まれるが、それらに限定されない。
特定の態様では、本発明の抗体は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)と組み合わせて、またはCHOPの成分の任意の組み合わせで投与される。また別の態様では、本発明の抗体はリツキシマブと組み合わせて投与される。さらにまた別の態様では、本発明の抗体は、リツキシマブおよびCHOP、またはリツキシマブおよびCHOPの成分の任意の組み合わせと一緒に投与される。
追加の態様では、本発明の抗体は、サイトカイン類と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できるサイトカイン類には、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL13、IL15、抗CD40、CD40L、IFN-γおよびTNF-αが含まれるが、それらに限定されない。また別の態様では、本発明の抗体はIL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、およびIL-21を含むが、それらに限定されない任意のインターロイキンと一緒に投与できる。
追加の態様では、本発明の抗体は、脈管形成性タンパク質と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる脈管形成性タンパク質には、European Patent Number EP-399816に開示された神経膠腫由来成長因子(GDGF);European Patent Number EP-6821 10に開示された血小板由来成長因子A(PDGF-A);European Patent Number EP-282317に開示された血小板由来成長因子B(PDGF-B);International Publication Number WO 92/06194に開示された胎盤成長因子(PIGF);Hauser et al., Gorwth Factors, 4:259-268(1993)に開示された胎盤成長因子2(PIGF-2);International Publication Number WO 90/13649に開示された血管内皮成長因子(VEGF);European Patent Number EP-506477に開示された血管内皮成長因子A(VEGF-A);International Publication Number WO 96/39515に開示された血管内皮成長因子2(VEGF-2);血管内皮成長因子B(VEGF-3);International Publication Number WO 96/26736に開示された血管内皮成長因子B-186(VEGF-B186);International Publication Number WO 98/02543に開示された血管内皮成長因子D(VEGF-D);International Publication Number WO 98/07832に開示された血管内皮成長因子D(VEGF-D);およびGerman Patent Number DE19639601に開示された血管内皮成長因子E(VEGF-E)が含まれるが、それらに限定されない。上述の参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
追加の態様では、本発明の抗体は、造血成長因子と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる造血成長因子には、LEUKINE(商標)(SARGRAMOSTIM(商標))およびNEUPOGEN(商標)(FILGRASTIM(商標))が含まれるが、それらに限定されない。
追加の態様では、本発明の抗体は、線維芽細胞成長因子と組み合わせて投与される。本発明の抗体と一緒に投与できる線維芽細胞成長因子には、FGF-1、FGF-2、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6、FGF-7、FGF-8、FGF-9、FGF-10、FGF-11、FGF-12、FGF-13、FGF-14、およびFGF-15が含まれるが、それらに限定されない。
実施例1
放射線誘導アポトーシス後の乳房腫瘍細胞の表面膜上に露出したC35
C35腫瘍抗原を発現する1系統の持続的に増殖中の乳房腫瘍細胞を300Gyで照射するか、または未処置のまま放置した。アポトーシスが発生するのを許容するために数日間にわたりインビトロ培養を持続させた後、細胞を採取し、洗浄し、各々蛍光染料Alexa 647へコンジュゲートさせた50ngの1F2モノクローナル抗C35抗体またはマウスIgG抗体対照を用いて染色した。25℃での50分間のインキュベーション後、細胞は、標準的な市販キット(Pharmingen社)を用いてアネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)を用いて染色した。標準プロトコールを用いるフローサイトメトリーによって、アネキシンV、ヨウ化プロピジウムおよびAlexa 647を用いた染色について細胞を分析した。
図1における結果は、アポトーシスを受けていない(アネキシンV陰性)未処置生細胞(PI陰性)が、抗C35抗体およびアイソタイプ対照抗体を用いた示差染色の欠如によって証明されるように表面膜上でC35を発現しないことを示している(図1A)。同様に、生育性のままであり(PI陰性)、アポトーシスを受けるように誘導されていない(アネキシンV陰性)照射された腫瘍細胞もまた腫瘍細胞表面膜上でC35を発現しない(図1B)。著しく対照的に、生育性(PI陰性)ではあるが、アポトーシスを受けている(アネキシンV陽性)照射された腫瘍細胞は、アイソタイプ対照抗体と比較して、明らかに抗C35抗体により示差的に染色されている(図1C)。
実施例2
薬物誘導アポトーシス後の乳房腫瘍細胞の表面膜上に露出したC35
C35腫瘍抗原を発現する1系統の持続的に増殖中の乳房腫瘍細胞を6μg/mLのマイトマイシンCで処置するか、または未処置のまま放置した。アポトーシスが発生するのを許容するために48時間にわたりインビトロ培養を持続させた後、細胞を採取し、洗浄し、各々蛍光染料Alexa 647へコンジュゲートさせた50ngの1F2モノクローナル抗C35抗体またはマウスIgG抗体対照を用いて染色した。25℃での50分間のインキュベーション後、細胞は、標準的な市販キット(Pharmingen社)を用いてアネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)を用いて染色した。標準プロトコールを用いるフローサイトメトリーによって、アネキシンV、ヨウ化プロピジウムおよびAlexa 647を用いた染色について細胞を分析した。
図2における結果は、アポトーシスを受けていない(アネキシンV陰性)未処置生細胞(PI陰性)が、抗C35抗体およびアイソタイプ対照抗体を用いた示差染色の欠如によって証明されるように表面膜上でC35を発現しないことを示している(図2A)。同様に、生育性のままであり(PI陰性)、アポトーシスを受けるように誘導されていない(アネキシンV陰性)マイトマイシンC処置腫瘍細胞もまた腫瘍細胞表面膜上でC35を発現しない(図2B)。著しく対照的に、生育性(PI陰性)ではあるが、アポトーシスを受けている(アネキシンV陽性)マイトマイシンC処置腫瘍細胞は、アイソタイプ対照抗体と比較して、明らかに抗C35抗体により示差的に染色されている(図2C)。
実施例3
哺乳動物細胞中での抗体の発現
本発明のポリペプチドは、哺乳動物細胞中で発現することができる。典型的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写産物のポリアデニル化のために必要とされるシグナルを含有する。追加のエレメントには、エンハンサー、Kozak配列、ならびにRNAスプライシングのためのドナーおよびアクセプター部位に挟まれている介在配列が含まれる。高度に効率的な転写は、SV40由来の初期および後期プロモーター、例えばRSV、HTLVI、HIVIのようなレトロウイルス由来の長い末端反復配列(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用いて達成される。しかし、細胞エレメント(例、ヒトアクチンプロモーター)もまた使用できる。
本発明を実行する際に使用するために適合する発現ベクターには、例えばpSVLおよびpMSG(Pharmacia社、スウェーデン国ウプサラ)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport 2.0、およびpCMVSport 3.0などのベクターが含まれる。使用できる可能性がある哺乳動物宿主細胞には、ヒトHela、293、H9およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos 1、Cos 7およびCV1、quail QC1-3細胞、マウスL細胞ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。
あるいは、ポリペプチドは、染色体中に組み込まれたポリヌクレオチドを含有する安定性細胞系において発現することができる。DHFR、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシンなどの選択可能なマーカーを用いたコトランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
トランスフェクトされた遺伝子は、大量のコードされたタンパク質を発現させるために増幅させることもできる。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、関心対象の遺伝子の数百個または数千個さえのコピーを有する細胞系を発達させる際に有用である(例えば、Alt, F.W., et al., J. Biol. Chem. 253:1357-1370(1978); Hamlin, J.L. and Ma, C., Biochem. et Biophys. Acta, 1097:107-143(1990); Page, M.J. and Sydenham, M.A., Biotechnology 9:64-68(1991)参照。)また別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphy et al., Biochem J. 227:277-279(1991); Bebbington et al., Bio/Technology 10:169-175(1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、最高耐性を備える細胞を選択した。これらの細胞系は、染色体中へ組み込まれた増幅された遺伝子を含有する。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、タンパク質の作製のためにしばしば使用される。
プラスミドpSV2-dhfrの誘導体(ATCCアクセッション番号37146)、発現ベクターpC4(ATCCアクセッション番号209646)およびpC6(ATCCアクセッション番号209647)は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullen et al., Molecular and Cellular Biology, 438-447(March, 1985))に加えてCMV-エンハンサーのフラグメント(Boshart et al., Cell 41:521-530(1985))を含有する。例えば制限酵素開裂部位BamHI、XbaIおよびAsp718とともに複数のクローニング部位は、関心対象の遺伝子のクローニングを促進する。これらのベクターは、さらに、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロン、ポリアデニル化および終結シグナル、ならびにSV40初期プロモーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含有する。
具体的には、プラスミドpC6は、例えば適切な制限酵素を用いて消化され、次に当技術分野において公知の方法によって子ウシ腸リン酸塩を用いて脱リン酸化させる。次にベクターは、1%アガロースゲルから単離される。
本発明のポリヌクレオチドは、当技術分野において公知のプロトコールによって増幅させられる。本発明のポリペプチドを生成するために天然型シグナル配列が使用される場合は、ベクターは第2シグナルペプチドを必要としない。または、天然型シグナル配列が使用されない場合は、ベクターは異種シグナル配列を含むために修飾できる(例えば、WO 96/34891参照)。
増幅されたフラグメントは、市販されているキット(「Geneclean,“ BIO 101 Inc.,カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を用いて1%アガロースゲルから単離される。次にフラグメントは、適切な制限酵素を用いて消化され、1%アガロースゲル上で再び精製される。
次に増幅されたフラグメントは、同一の制限酵素を用いて消化され、1%アガロースゲル上で精製される。次に単離されたフラグメントおよび脱リン酸化されたベクターは、T4 DNAリガーゼを用いてライゲーションされる。次に大腸菌HB101またはXL-1 Blue細胞は形質転換させられ、例えば制限酵素分析を用いて、プラスミドpC6内へ挿入されたフラグメントを含有する細菌が同定される。
トランスフェクションのためには、活性DHFR遺伝子が欠如しているチャイニーズハムスター卵巣細胞が使用される。5μgの発現プラスミドpC6またはpC4は、リポフェクチンを使用して、0.5μgのプラスミドpSVneoを用いてコトランスフェクションされる(Felgner et al.,前記)。プラスミドpSV2-neoは、G418を含む1群の抗生物質へ耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子である優性選択可能なマーカーを含有する。細胞は、1mg/mLのG418が補給されたα-MEM中に播種される。2日後、細胞はトリプシン化されて、10、25、もしくは50ng/mLのハイブリドーマクローニングプレート(Greiner社、独国)内のメトトレキセート+1mg/mLのG418が補給されたα-MEM中に播種される。約10〜14日後に、単独クローンはトリプシン化され、そして様々な濃度(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)のメトトレキセートを用いて6ウェルのペトリ皿または10mLフラスコ内に播種される。次に最高濃度のメトトレキセートで増殖するクローンが、よりいっそう高濃度のメトトレキセート(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含有する新しい6ウェルプレートへ移される。100〜200μMの濃度で増殖するクローンが入手されるまで同一手順が繰り返される。所望の遺伝子産物の発現は、例えば、SDS-PAGEおよびウェスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析される。
実施例4
放射標識C35特異的抗体はC35を発現する生育性腫瘍の壊死領域に集中する
BALB/cマウスの対向する側腹部に、ヒトC35を用いてトランスフェクトされていた、またはされていなかった同系非小細胞性肺癌由来Line 1腫瘍細胞を埋植した。C35タンパク質発現は、抗C35抗体を用いた免疫組織化学的染色によって確証した。14日間のインビボ増殖後、動物に125I標識抗C35抗体の静脈内接種を実施した。放射標識抗体の注射120時間後に動物を致死させ、腫瘍切片をフィルムへ露光させることによってC35陽性およびC35陰性腫瘍中の抗C35抗体の濃度を決定した。図4に示したように、放射標識抗C35抗体はC35陽性腫瘍中にのみ集中し、C35陰性腫瘍中には集中しなかった。腫瘍内の無傷細胞についての標識およびH & E染色の分布の比較は、これらの条件下では標識抗C35抗体がC35陽性腫瘍中の壊死領域で特異的に集中することを確証した。
実施例5
線量測定および治療的放射標識抗体を投与するためのプロトコール
線量測定放射標識抗体および治療的放射標識抗体の両方を含む放射標識抗体(もしくは抗体フラグメント)組成物は、注射の形態で静脈内もしくは動脈内投与される。注射用放射標識抗体組成物は、5分間から約60分間、好ましくは15分間から30分間にわたって静脈または動脈内へ注入される。腫瘍へ公知の動脈から血液供給される場合は、治療的放射標識抗体組成物のためには動脈内投与が好ましい。線量測定放射標識抗体および治療的放射標識抗体の両方は、典型的には非経口注射のために適合する生理的リン酸緩衝食塩液または他のビヒクル中の無菌水溶液として投与される。初期線量測定放射標識抗体用量は、約5〜50 mCiの放射線を送達する約5〜100mgの抗体である。線量測定による投与の約5〜10日後に、治療的放射標識抗体は、各治療用量のために300 mCiという高度の放射線を送達する約10〜500mgの用量で投与される。線量測定/治療的治療プログラムは繰り返すことができる。さらに、US 5,057,313およびUS 5,120,525参照。
実施例6
抗C35マウスおよびヒト抗体生育性領域遺伝子の寄託されたTOPOクローン内へのクローニング
免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変領域は、V領域のPCR増幅およびTOPOベクター内へのTAクローニングによってTOPOベクター(Invitrogen社)内へクローニングした。このライゲーション系は、制限酵素消化を必要としない(だがTOPOベクターは、その後のインサートの切り取りを可能にするためのEcoRI部位を組み込まない)。TAクローニングは、TOPOクローニングキット(Invitrogen社)内で提供された線状ベクター内で5’T突出部と対合できるTaqポリメラーゼのPCR増幅産物内の自然に付加された3’A突出部を利用する。
TOPO内へ挿入するための可変領域遺伝子をPCR増幅させるために、本発明者らは、Invitrogen GeneRacerキットを使用して、定常領域配列の5’末端へ相補的な下流プライマー(重鎖および軽鎖と、ならびにマウスおよびヒトと異なる)および5’ RACEによって可変領域の5’末端で付加された公知の固定プライマー配列を使用した。これらの方法は、当業者には周知である。
実施例7
寄託されたTOPOクローン由来の可変遺伝子のpCMV発現構築物内へのクローニング
pCMV発現構築物の生成
ワクシニアトランスファープラスミド-pVHE、pVKEおよびpVLE-の構築は、以前の特許出願に記載されている(2002年9月5日に公表された、US 2002 0123057A1, 「In vitro Methods of Producing and Identifying Immunoglobulin Molecules in Eukaryotic Cells」)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖を発現させるための哺乳動物発現ベクターを生成するために、NotIからSalIへの発現カセットをこれらのワクシニアトランスファープラスミドから切り取り、pCMV-Scriptベクター(ベクター多重クローニング部位内のそれのXhoI部位は、フィルイン(fill-in)および平滑末端ライゲーションによって破壊された)内へクローニングすると、結果としてpCMV-VH、pCMV-VKおよびpCMV-VLベクターの生成が生じた。これらの発現カセットは、シグナルペプチド、V遺伝子のためのクローニング部位ならびに膜結合μ重鎖およびκ軽鎖遺伝子由来の定常領域を含有する。
pCMV-VHでは、カセットは[aa(-19)]に相当するアミノ酸位置-19からaa(-3)のシグナルペプチド、それに続くVH遺伝子のaa(109から113)および全重鎖定常領域を含有する。aa(-4)からaa(110)への選択されたVH領域は、BssHII[aa(-4から-3)]およびBstEII[aa(109-110)]部位でpCMV-VH内へクローニングできる。
pCMV-VK(κ)では、カセットはaa(-19)からaa(-2)へのシグナルペプチド、それに続くVK遺伝子のaa(104から107)および全κ鎖定常領域を含有する。aa(-3)からaa(105)への選択されたVK領域は、ApaLI[aa(-3から-2)]およびXhoI[aa(104-105)]部位でpCMV-VK内へクローニングできる。
pCMV-VL(λ)では、カセットはaa(-19)からaa(-2)へのシグナルペプチド、それに続くVL遺伝子のaa(103から107)および全κ鎖定常領域を含有する。aa(-3)からaa(104)への選択されたVL領域は、ApaLI[aa(-3から-2)]およびHindIII[aa(103-104)]部位でpCMV-VL内へクローニングできる。結果として生じるλ軽鎖は、VλCκキメラ構造を示す。
分泌されたヒトIgG1として選択された抗体を発現させるために、IgG1の定常領域をRT-PCRによってB細胞または骨髄細胞からクローニングした。使用したプライマーセットは以下の通りであった。
結果として生じたPCR産物は、次の構造を示す:BamHI-BstEII(aa109-110)-(aa111-113)-Cγ1-TGA-SalI。PCR産物は、サイレント突然変異を介してCH1領域に所在する内部BstEIIを除去するために標準プロトコールを用いて特定部位突然変異誘発を実施するためにBamHIおよびSalI部位でpBluescriptII/KS内へサブクローニングした。次に結果として生じたCγ1は、VH遺伝子がBssHII/BstEIIでこのベクター内へサブクローニングされると分泌されたIgG1重鎖の発現を指示するためにpCMV-Cγ1を生成するためにBstEIIおよびSalIでpCMV-VH内へサブクローニングした。
V遺伝子を挿入するためのIgG1分泌性、ヒトγ1重鎖リーダーおよび定常領域カセットの配列は以下の通りである。
下線=制限部位
ボールド体=定常領域
ボールド体/イタリック体=シグナルペプチド
Vκ遺伝子を挿入するためのヒト軽鎖リーダーおよびκ定常領域カセットの配列は以下の通りである。
Vλ遺伝子を挿入するためのヒト軽鎖リーダーおよびκ定常領域カセットの配列は以下の通りである。
IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgEおよびIgMの分泌形を含む、他のアイソタイプの分泌されたヒト抗体を発現するベクターを構築するためには、任意の内部BstEII部位を突然変異させるため、およびCγ1をpCMV-Cγ1ベクター内のBstEIIおよびSalI部位間の他のアイソタイプの定常領域と置換するために、各定常領域をクローニングするための同一アプローチを実施することができる。
他のアイソタイプの定常領域をクローニングするためには、以下のプライマー対を使用した。
高度の配列保存のために、使用されるプライマーは、IgG1とIgG2との間、IgG3とIgG4との間、およびIgA1とIgA2との間で同一であることに留意されたい。
Topoクローン由来の可変遺伝子のpCMV発現構築物内へのクローニング
段階1:V遺伝子フラグメントの生成
A. ヒトv遺伝子
MMH1
1. 標準プロトコールを使用して、BssHII(GCGCGC(SEQ ID NO:36))およびBsteII(GGTCACC(SEQ ID NO:37))を用いてMMH1プラスミドDNA(クローンH0009)を消化する。
2. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
3. 標準プロトコールを用いてゲルから357bpフラグメントを切り取り、DNAを単離する。
MMK1
1. 標準プロトコールを使用して、ApaL1(GTGCAC(SEQ ID NO:38))およびXhol(CTCGAG(SEQ ID NO:39))を用いてMMK1プラスミドDNA(クローンL0010)を消化する。
2. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
3. 標準プロトコールを用いてゲルから343bpフラグメントを切り取り、DNAを単離する。
B. マウスハイブリドーマv遺伝子:
1F2VK
1. マウスハイブリドーマv遺伝子は、以下のプライマーを使用してATCC寄託クローン1F2KからPCR増幅させなければならない。これは、ヒトκ軽鎖定常領域発現カセット内のヒト定常領域を用いてマウスv遺伝子のキメラ抗体を作製するために必要である。
1F2VKフォワードプライマー:
1F2VKリバースプライマー:
(小文字=マウス1F2 VK配列に対して非相同性は、制限部位を含む。大文字=マウス1F2 VK配列に対して相同性)
2. 標準プロトコールを使用して、ApaL1(GTGCAC(SEQ ID NO:42)およびXhol(CTCGAG(SEQ ID NO:43))を用いて331bp PCR産物を消化する。
3. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
4. 標準プロトコールを用いてゲルから315bp消化フラグメントを切り取り、DNAを単離する。
1F2VH
1. マウスハイブリドーマv遺伝子は、以下のプライマーを使用してATCC寄託クローン1F2GからPCR増幅させなければならない。これは、ヒト重鎖定常領域発現カセット内のヒト定常領域を用いてマウスv遺伝子のキメラ抗体を作製するために必要である。
1F2VHフォワードプライマー:
1F2VHリバースプライマー:
(小文字=非相同性は、制限部位を含有する。大文字=相同性)
2. 標準プロトコールを使用して、BssHII(GCGCGC(SEQ ID NO:36))およびBsteII(GGTCACC(SEQ ID NO:37))を用いて360bp PCR産物を消化する。
3. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
4. 標準プロトコールを用いて、343bpの消化されたDNAフラグメントを含有するゲルスライスを切り取り、DNAを単離する。
1B3VK
1. マウスハイブリドーマv遺伝子は、以下のプライマーを使用して寄託クローン1B3KからPCR増幅させなければならない。これは、ヒトκ軽鎖定常領域発現カセット内のヒト定常領域を用いてマウスv遺伝子のキメラ抗体を作製するために必要である。
1B3VKフォワードプライマー:
1B3VKリバースプライマー:
(小文字=非相同性は、制限部位を含有する。大文字=相同性)
2. 標準プロトコールを使用して、ApaL1(GTGCAC(SEQ ID NO:42)およびXhol(CTCGAG(SEQ ID NO:43))を用いて334bp PCR産物を消化する。
3. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
4. 標準プロトコールを用いて、消化された322bpのDNAフラグメントを含有するゲルスライスを切り取り、DNAを単離する。
1B3VH
1. マウスハイブリドーマv遺伝子は、以下のプライマーを使用して寄託クローン1B3GからPCR増幅させなければならない。これは、ヒト重鎖定常領域発現カセット内のヒト定常領域を用いてマウスv遺伝子のキメラ抗体を作製するために必要である。
1B3VHフォワードプライマー:
1B3VHリバースプライマー:
(小文字=非相同性は、制限部位を含有する。大文字=相同性)
2. 標準プロトコールを使用して、BssHII(GCGCGC(SEQ ID NO:36))およびBsteII(GGTCACC(SEQ ID NO:37))を用いて378bp PCR産物を消化する。
3. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させる。
4. 標準プロトコールを用いて、366bpの消化されたDNAフラグメントを含有するゲルスライスを切り取り、DNAを単離する。
段階2:発現構築物の組み立て
1. 標準プロトコールを使用して、適切な酵素を用いてpCMV-VHおよびpCMV-VK発現ベクターを消化する。
a. pCMV-VH-BsteIIおよびBssHII
b. pCMV-VK-ApL1およびXho I
2. 標準プロトコールを用いてアガロースゲル上でDNAを分解させ、線状ベクターを切り取る。
3. 標準プロトコールを用いてゲルスライスからDNAを単離する。
4. 標準プロトコールを用いて軽鎖v遺伝子をpCMV-VK内へ、および重鎖v遺伝子をpCMV-VH内へライゲーションする。
5. 標準プロトコールを用いて、ライゲーションしたDNAをコンピテント細胞内へ形質転換させ、プラスミドDNAを単離する。
実施例8
免疫グロブリン定常領域の配列
ヒト化抗体、ヒト変異体抗体、キメラ抗体、およびそれらのフラグメントを調製するためには、以下の遺伝子およびコードされたアミノ酸配列を使用できる。
免疫グロブリン定常領域(IgG2(n-)アロタイプ)のためのホモサピエンスG2遺伝子(GenBankアクセッション番号Z49802)(SEQ ID NO:50)
免疫グロブリン定常領域(IgG2(n+)アロタイプ)のためのホモサピエンスG2遺伝子(GenBankアクセッション番号Z49801)(SEQ ID NO:51)
免疫グロブリン、定常領域、重鎖、α-2サブユニットをコードするホモサピエンスCH遺伝子(GenBankアクセッション番号AJ012264)(SEQ ID NO:52)
ホモサピエンス定常領域、重鎖、α-2サブユニット(GenBankアクセッション番号CAA09968.1)(SEQ ID NO:53)
免疫グロブリン重鎖定常領域α1のためのホモサピエンス部分mRNA(IGHA1遺伝子)(GenBankアクセッション番号AJ294729)(SEQ ID NO:54)
免疫グロブリン重鎖定常領域α1(GenBankアクセッション番号CAC20453.1)(SEQ ID NO:55)
追加の定常領域配列(ヒトIgM1、IgM2、IgD1、IgA1、IgG1、IgG3、IgE1、IgE2、κ、およびλ;マウスIgM1、κ、およびλ;ウサギIgM1、κ、およびλ、ならびにイヌIgM1)は、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(3d ed.), William E. Paul(ed.), Raven Press, New York, NY(1993)の第296〜300頁に見いだすことができる。多数の他の定常領域配列(ポリヌクレオチドおよびアミノ酸)は当技術分野において公知であり、本発明において使用できる。
実施例9
放射免疫療法および化学療法の併用
化学療法および抗C35放射免疫療法の併用は、腫瘍体積を減少させることについてどちらかの単独療法より有効であることが証明された。第1実験では、131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体を用いた放射免疫療法、100mg/kgのロイコボリン(LV)とともに150mg/kgの5-フルオロウラシル(FU)を用いる化学療法との併用の効果をColau.C35腫瘍細胞が移植されたSwiss系ヌードマウスにおいて試験した。Colau.C35は、ヒト大腸癌から適合させ、C35レトロウイルス組換体を用いて形質導入した組織培養であったColau細胞のC35抗原陽性クローンである。
化学療法は腫瘍移植後第11日に開始し、第14日に300μCiの131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体を投与した。腫瘍増殖について8週間後まで追跡した。
図5における結果は、化学療法単独または化学療法と非放射標識(「cold」)1B3抗C35抗体の併用を受けた群と比較した、放射免疫療法および化学療法の併用を受けた群における腫瘍増殖の阻害を示している。未処置対照群に比較して放射免疫療法および化学療法の併用を受けた群について増殖阻害の標準パラメーターを計算した。
図5に示したように、腫瘍倍加遅延(Tumor Doubling Delay: TDD)は3.8(400mm3の腫瘍体積で)に等しいが、このときTDDは(処置された対照{規定体積までの日数で})/TVDTおよびTVDT=対照の腫瘍体積倍加時間{指数増殖期}である。対数細胞死滅率(Log Cell Kill:LCK)は、TDD/3.3=1.15であると規定されており、これは有効な抗腫瘍療法について容認された標準を満たしてる(例えば、Skipper HE et al., Cancer Chemotherapy Rep. 35:1-111(1964); Coldman AJ and Goldie JH, Mathematical Biosciences 65:291-307(1983); and Norton L and Simon R, Cancer Treat. Rep. 61:1307-1317(1977)参照)。
第2実験では、131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体を用いた放射免疫療法、第15および18日の2mg/kgのシスプラチンを用いる化学療法との併用の効果をColau.C35腫瘍細胞が移植されたSwiss系ヌードマウスにおいて試験した。シスプラチンは、腫瘍移植後の第15日および第18日に投与した。300μCiの131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体は第21日に投与した。腫瘍増殖については10週間後まで追跡した。
同一実験において、Colau.C35 腫瘍細胞を移植した別個の群のSwiss系ヌードマウスを、120mg/kgのロイコボリン(LV)と併用した180mg/kgの5-フルオロウラシル(5FU)または第21日に投与された300μCiの131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体の投与後の第18日に投与されたこの同一化学療法治療プログラムのどちらかで処置した。
図6における結果は、化学療法単独(シスプラチンまたは5FU/LV)を受けた群におけるColau.C35腫瘍増殖の一部の阻害、131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体を受けた群における腫瘍増殖のより大きな阻害、および化学療法および131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体の併用を受けた群における腫瘍増殖のよりいっそう大きな阻害を示した。以下の表5参照。
(表5)図6における治療様式が腫瘍体積へ及ぼす作用の比較
RIT=放射免疫療法
T-C=処置(T)および対照(C)腫瘍が所定体積(1,200mm
3)に達するための時間差
TDD=腫瘍倍加遅延=T-C/未処置の腫瘍体積倍加時間
LCK=対数細胞死滅率(Log Cell Kill)=TDD/3.32
これらの実験モデルにおいて使用するのに便宜的であるように、相当に迅速に増殖して、組換えC35が形質導入されていた腫瘍異種移植片を選択した。しかし、組換え療法の成功は、形質導入された腫瘍における異常に高レベルのC35発現が原因ではなかった。図7は、C35発現が、C35を自然に発現する21MT1などの腫瘍中、ならびにColau.C35およびMDA231.C35などのC35形質導入腫瘍において極めて類似であったことを示している。細胞は、Alexa-647縫合抗C35 MAb 1F2またはアイソタイプ対照を用いて染色した。「MFI X」は、1F2の平均蛍光強度/アイソタイプ対照の平均蛍光強度の比率である。正常乳房上皮に由来するH16N2、乳房腫瘍であるMDAMB231、および大腸腫瘍であるColauは、低基底レベルのC35を発現する。乳癌に由来する21MT1は、自然に高レベルのC35を発現する。ColauおよびMDA231へ空ベクター(ゼロ)またはヒトC35組換えベクターを用いて形質導入した。全腫瘍はインビボで増殖させ、腫瘍を切除し、分離し、染色した。
実施例10
化学療法薬の最大耐量(MTD)の決定
化学療法および放射免疫療法を併用した場合の累積用量を限定する骨髄毒性に関する懸念があるために、併用療法の最大耐量(MTD)を決定することが、そして2種の治療薬の毒性が相加的である場合は、両方の毒性物質の投与を許容する戦略を採用することが必要である。MTDは、末梢循環中での血小板および白血球回収のために必要とされる時間に関連する調節基準によって確定される。そのような標準は、当業者であれば周知である。マウスモデルの場合は、頻回に使用されるMTDの代理定義は、平均20%未満の体重低下または10%未満の死亡率を生じさせる最大用量である。標準的な臨床プロトコールまたは動物モデルにおいて使用される最も一般的な化学療法薬に対して現在確立されているMTDは、以下の表6から9に示した。
(表6)異種移植片モデル(ヌードマウス)における代表的な化学療法プロトコール
備考
TBD:将来決定する
1. 本発明者らが確認したMTD。最大耐量は、≧20%の平均体重減少および/または>10%の致死率であると定義した。
2. 処方されたスケジュールでの非毒性用量。
3. Fichtner I et al. Anticancer drug response and expression of molecular markers in early-passage xenotransplanted colon carcinomas. Eur J Can 2004. 40:298-307.
4. Villena-Heinsen C et al. Human ovarian cancer xenografts in nude mice:chemotherapy trials with paclitaxel, cisplatin, vinorelbine, and titanocene dichloride. Anticancer Drugs 1998. 9:557-563.
5. Higgins B. et al. Antitumor activity of erlotinib(OSI-774, Tarceva) alone or in combination in human non-small cell lung cancer tumor xenograft models. Anti-Cancer Drugs 2004. 15:503-512.
6. Kraeber-Bodere F. et al. Enhanced Antitumor Activity of Combined pretargeted radioimmunotherapy and Paclitaxel in Medullary Thyroid Cancer Xenograft. Mol Can Ther 2002. 1:267-274
7. Kraus-Berthier, L et al. Histology and sensitivity to anticancer Drugs of two human non-small cell lung carcinomas implanted in the pleural cavity of nude mice. 2000. Clin Can Res 6:297-304.
(表7)代表的な乳癌化学療法プロトコール
出典:DataMonitor Pipeline Insight:Breast Cancer June 2004; http://www.bccancer.bc.ca
(表8)代表的な大腸癌療法プロトコール
出典:http://www.bccancer.bc.ca
(表9)代表的な肺癌化学療法プロトコール
出典:http://www.bccancer.bc.ca
化学療法および放射免疫療法を併用した治療の結合MTDを減少させるための有効な戦略には、投与される化学療法薬の用量を、そのMTDで放射免疫療法と結び付けて投与したときに相加的毒性を生じさせないレベルへ減少させる段階(以下の実施例10A参照);放射免疫療法と併用して使用したときに相加的毒性に寄与しない化学療法薬を選択する段階(以下の実施例10B参照);および放射免疫療法薬の骨髄毒性を減少させる段階(以下の実施例10C参照)が含まれる。
A. 毒性を減少させるために化学療法薬の用量を減少させる。
2mg/kgのシスプラチン(MTDの約50%)を第15および18日にSwiss系ヌードマウスへ投与し、その72時間後に131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体をそのMTD(300μCi)で投与した。図8に示したように、体重減少によって決定されるようなシスプラチンと放射免疫療法薬の結合毒性は、そのMTDで投与された放射免疫療法薬単独の毒性と有意には相違していなかった。
B. 化学療法薬は相加的毒性に寄与しない。
120mg/kgのロイコボリンとともに180mg/kgのMTDでの5-フルオロウラシルを第18日に投与し、続いて第21日にそのMTD(300μCi)で131I標識1B3抗C35モノクローナル抗体を投与した。図8に示したように、2種の毒性物質を併用した場合のMTDは、各薬剤がその個別MTDで投与された場合でさえ越えられなかった。
C. 放射免疫療法薬の減少した骨髄毒性
代替戦略は、末梢循環からの放射標識抗体のクリアランス加速を生じさせる、生化学的修飾により放射免疫療法薬の骨髄毒性を減少させる方法である。適切な修飾には、表10に示したIgG3、IgA、IgDまたはIgEなどの様々な抗体アイソタイプの使用または血清半減期延長の原因となるIgGのCH2ドメインの欠失が含まれる(Mueller BM, RA Reisfeld, and SD Gillies, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5702-5705(1990); Slavin-Chiorini DC, et al., Int. J. Cancer 53:97-103(1993)参照)。
(表10)ヒト免疫グロブリンアイソタイプの血清半減期
抗体および/または抗体フラグメントを組換え作製するため、またはさもなければ血清半減期を減少させるために抗体構造を修飾するための他の戦略もまた適用できる。そのような組換え作製された抗体および/または抗体フラグメントの例には、ドメイン欠失抗体、Fab、F(ab’)2、scFv、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディなどが含まれるが、それらに限定されない。
実施例11
1B3および1F2抗体のC35ペプチドエピトープ
1B3および1F2抗体のエピトープ特異性を局在化するために、大腸菌中で6x Hisタグを用いて合成した組換えヒトC35(rhC35)を、Lys-Cエンドプロテイナーゼを用いて消化した。この酵素は、タンパク質配列中のリシン(K)残基の後で切断する。図9は、Lys-Cを用いたrhC35の完全消化後に予測されるペプチドフラグメントを示している。アミノ末端6x Hisタグ付加を含むrhC35の全長配列を示した。アミノ酸位置は、天然ヒト配列のアミノ末端メチオニン(M)に比較して番号付けした。その後に陰荷電残基が続く第1および第3リシンでの消化は非効率であり、幾分長い結合フラグメントが作製される可能性があることに留意されたい。Lys-Cエンドプロテイナーゼを50:1の重量比で精製rhC35へ添加し、25mM Tris(pH8.0)中の37℃で18時間インキュベートした。消化物をエタノール沈降させ、還元トリシンサンプルバッファー中に再溶解させた。100℃で5分間加熱した後、16%トリシンゲル(Invitrogen社)上での電気泳動によって分離した。ペプチドをPVDF膜へ移し、全ペプチドを検出するために図10に描出したブロットをクーマシーブルーを用いて染色した(左右両方のパネルのレーン1〜3)、または以下の1つを用いて処理した。1μg/mLのマウス1F2抗C35抗体の次にアルカリホスファターゼとコンジュゲートしたヤギ抗マウス抗体(左パネルのレーン4);ヒト定常領域(MAb 11)へ連結した1μg/mLの1B3抗C35免疫グロブリン可変領域の次にアルカリホスファターゼとコンジュゲートしたヤギ抗ヒト抗体(左パネルのレーン5);または抗6x Hisタグ付けマウス抗体(Amersham社)の次にアルカリホスファターゼとコンジュゲートしたヤギ抗マウス抗体(右パネルのレーン4および5)。BCIP/NBT基質を添加し、第2試薬を検出するために呈色させた。分子量マーカーは両方のパネルの側方のレーンに示した。
図10では、指示したバンドAは未消化rhC35の位置で移動する。バンドBは1F2を用いると染色して、MAb 11(1B3)抗C35抗体を用いると染色しないが、バンドCは1F2とMAb 11(1B3)抗体のどちらを用いても染色しないことに留意されたい。バンドBおよびCはどちらもrhC35のアミノ末端の6x Hisタグに対する抗6x Hisタグ抗体を用いると染色するので、どちらのフラグメントにもC末端ペプチドフラグメントが欠如していると結論することができる。約15kDaのバンドBの場合は、MAb 11(1B3)を用いた染色に必要とされる欠如するエピトープは、天然C35配列の残基105〜115を表す11アミノ酸C末端C35ペプチドITNSRPPCVILである。このエピトープは、1F2を用いた染色には必要とされない。これとは対照的に、1F2抗体は、さらに天然C35配列の残基53〜104が欠如している約8kDaのバンドCとは反応しない。これらの結果は、1B3抗体はC35残基105〜115(ITNSRPPCVIL)内のエピトープに対して特異的であるが、他方1F2抗体はC35残基53〜104内のエピトープに対して特異的であることを証明している。
実施例12
1B3抗C35モノクローナル抗体に関連するヒト抗体
マウス1B3抗C35モノクローナル抗体と同一の免疫グロブリン重鎖CDR3領域を有すること以外はヒト由来である2つの抗体を、2002年9月5日に公表されたUS 2002 0123057 A1に開示された方法によって作製した。
MAb 165は141D10 VH H732重鎖可変領域(SEQ ID NO:56および57)、ならびにUH8 VK L120κ軽鎖可変領域(SEQ ID NO:58および59)を含む。図11に示したように、MAb 165はC35特異的である。141D10組換えワクシニアウイルスは、UH8組換えワクシニアウイルスを用いてHeLa細胞中へ重感染させた。結果として生じる分泌された抗体を、ELISAによってC35または対照タンパク質A27L(ワクシニアウイルスタンパク質)への結合について試験した。
MAb 171はMSH3 VH H835重鎖可変領域(SEQ ID NO:60および61)、ならびにUH8 VK L120κ軽鎖可変領域(SEQ ID NO:58および59)を含む。
実施例13
抗C35抗体によって認識されるC35ペプチドエピトープの同定
当技術分野において周知である標準的免疫方法を使用して組換えC35に対するウサギポリクローナル抗体を生じた。各アミノ酸残基1から101で始まる115アミノ酸長のC35タンパク質配列に対応する15アミノ酸長の重複ペプチドを合成した。ペプチドは、各15アミノ酸ペプチド内のアミノ末端残基のC35の位置に基づいて命名した。天然C35配列の位置30、33および112でシステイン残基に重複する各ペプチドでは、ジスルフィド架橋ペプチドの形成を回避するためにアラニンをシステインと置換した。
96ウェルMaxisorpマイクロタイタープレートのウェルを2μgのC35タンパク質、または14μgもしくは40μgのC35タンパク質配列由来の指示した15アミノ酸ペプチドのどちらかを被覆し、ウサギC35免疫血清中での抗体の結合を以下で詳述するように決定した。以下の表11に示したデータは、陽性および陰性対照について、そしてそれに対して陽性結合が検出されたC35由来ペプチドについて示した。ペプチド結合のレベルにおける変動は、特異的抗体種の濃度における差、抗体親和性における差、またはそれらの組み合わせに帰することができる。
A. ペプチドサンプルの調製
100% DMSO中で15マーのC35ペプチド10mg/mLを無菌条件下で1.5mLのチューブ内へ40μg/チューブで等分し、次にDMSOを除去するために高速真空吸引にかけた。ペプチドを1mL/チューブでPBS(pH7.2)中に再懸濁させ、しっかりと混合し、遠心して沈降させた。各ペプチド濃度(「ペプチド溶液」)は40μg/mLであった。ペプチド溶液は使用時まで-20℃で保管しなければならない。いったん解凍したら、2週間以内であれば4℃で保管することができる。
B. Maxisorpプレートへのサンプルの被覆
14μg/mLでのペプチド被覆プレートのために1ウェル当たり65μL PBS(pH7.2)を添加し、次に1ウェル当たり35μLのペプチド溶液を添加し(総量100μL/ウェル)、しっかりと混合した。40μg/mLのペプチド被覆プレートについて、100μLのペプチド溶液をl00μL/ウェルでプレート上に直接配置した。対照C35タンパク質をPBS(pH7.2)内で2μg/mLへ希釈し、100μL/ウェルでプレートへ添加した。被覆したプレートは2時間にわたり室温でインキュベートし、次に4℃で一晩インキュベートした。
C. ELISA条件
各プレートは、プレート洗浄装置で3回洗浄した。プレートは、「ブロッキングバッファー」(PBS(pH7.2)および10% FBS)を用いて室温で2時間かけてブロッキングし、次にプレート洗浄装置で各プレートを3回ずつ洗浄した。一次抗体であるウサギ抗ヒトC35ポリクローナル抗体(Bethyl社製、バッチ番号62902)を「アッセイ希釈液」(PBS(pH7.2)+0.05% Tween 20および10% FBS)内へ希釈し、100μL/ウェルでプレートへ添加した。プレートは2時間にわたり室温でインキュベートした。14μg/mLペプチド被覆プレートについては、100ng/mLの一次抗体を添加した。40μg/mLペプチド被覆プレートについては、1μg/mLの一次抗体を添加した。プレートは、プレート洗浄装置で5回洗浄した。二次抗体であるZymed製のHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)縫合ヤギ抗ウサギFcポリクローナル抗体を1:20,000の希釈率でアッセイ希釈液へ希釈し、100μL/ウェルでプレートへ添加した。プレートは2時間にわたり室温でインキュベートした。プレートは、プレート洗浄装置で7回洗浄した。基質はキットの製造業者の取扱説明書にしたがって添加し、暗所で15分間にわたり室温でインキュベートした。100μL/ウェルで2N H2SO4を添加することによって反応を停止させた。450〜570nmでの吸光度を直ちに読み取った。
(表11)C35エピトープへの抗体結合
450〜570nmでの吸光度
本明細書において言及した教科書、学術雑誌論文、GenBank登録簿、および公表された特許出願などの全ての刊行物は、各個別刊行物または特許出願が詳細かつ個別に参照により組み入れられると指示されているかのように、ある程度まで参照により本明細書に組み入れられる。