発明の詳細な説明
概観
いくつかの研究は、アポトーシスを起こす細胞の表面膜の変化を報告している。これらの変化の中でも顕著であるのは、表面膜の外葉上のホスファチジルセリンの露出に反映されるような、リン脂質の非対称性が早期に喪失することである。この表面膜の組成の変化が、マクロファージによるアポトーシス細胞の認識および除去を促進すると報告されている(Fadok,V.A.ら、J.Immunol.148:2207−2216(1992))。露出されたホスファチジルセリン分子への抗凝固薬のアネキシンVの結合によって、アポトーシスを起こしている細胞の検出を可能にする一般的な方法が開発された(Koopman,G.ら、Blood 84:1415−1420(1994))。
化学療法または放射線に誘導されるアポトーシスの条件下において腫瘍細胞膜上に露出されるようになる細胞内の腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原のサブセットが存在すること、およびそのサブセットが抗体に結合体化された放射性同位体またはトキシンを腫瘍内に集中させるための有効な標的になり得ることが確定している。2005年7月21日公開の米国出願公開番号2005/0158323A1(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。特に、内側の細胞膜に通常会合される差次的に発現される腫瘍特異的C35抗原は、放射線および/または化学療法によってアポトーシスを起こすように誘導された腫瘍細胞の表面膜上に露出するようになる。米国出願公開番号2005/0158323A1の図1〜3を参照のこと。そのような抗原(例えば、C35)に対する抗体を使用する方法は、癌を処置する際に、アポトーシスを誘導する標準的な化学療法および放射線療法の治療的な利点を増強し得るので、特に有効であり得る。同様に、他のアポトーシス誘導剤(例えば、表面に発現される細胞シグナル伝達分子(例えば、成長因子レセプター(例えば、HER2、EGFRおよび/またはIGFR))に対する抗体)は、細胞内の抗原に対する抗体、例えば、C35に対する抗体の治療的な利点を改善するために使用され得る。
1つの局面において、本発明は、1つの実施形態において、アポトーシスの誘導と併せて作用することにより、腫瘍の根絶を増強する方法に関する。それは、腫瘍細胞において差次的に発現されるあるクラスの細胞内マーカーが、特異的抗体によって標的化され得るアポトーシス細胞の表面上に露出されるようになるという新規の観察結果に基づく。1つの局面において、アポトーシスは、細胞表面レセプター(例えば、EGFR、HER2またはIGFR)に対する1つ以上の抗体を投与することによって誘導される。さらなる局面において、差次的に発現される細胞内の腫瘍抗原、例えば、C35に対する1つ以上の抗体が、投与される。そのような抗体は、毒性の積み荷(payload)に結合体化されずに、または結合体化されて、投与され得る。この処置方法の利点は、数倍である。例えば、結合体化された抗体を用いるとき、この方法によって、アポトーシス標的の近くの他の非アポトーシス腫瘍細胞を破壊し得る毒性の積み荷を腫瘍環境に送達することが可能になる。また、2つ以上の抗体の組み合わせを投与することによって、それらの抗体が、相乗的に作用し得ることにより、より多くの細胞の殺滅をもたらし、そして化学療法もしくは放射性療法をより低用量にすること、または化学療法もしくは放射性療法を排除することを可能にすることによって、関連する毒性を減少させる。その上、この方法は、例えば、アポトーシス誘導剤で処理することによって、表面膜の構成要素の変化によって証明されるような、アポトーシスプロセスを開始した生存細胞が、アポトーシスの進行を逆転させることおよび成長を再開させることを別途妨げ得る(Hammill,A.K.ら、Exp.Cell Res.251:16−21(1999))。
Evansらは、C35が、乳癌において過剰発現されること(試験した浸潤性乳腺管癌のグレード1の32%ならびにグレード2および3の66%がC35発現について陽性だった)ことを報告した。Evansら、Mol.Cancer Ther.5:2919−30(2006年11月)(その全体が本明細書中で参考として援用される)。C35の発現が、正常なヒト組織では限定的であるので(Evansら、2006を参照のこと)、それは、特に乳癌における、生物学的マーカーならびに診断的および治療的な標的として使用するための優れた候補である。
正常細胞は、成長因子レセプターチロシンキナーゼ(RTK)の、それぞれのリガンドによる高度に制御された活性化によって増殖するが、癌細胞もまた、成長因子レセプターの活性化によって増殖するが、正常な増殖の慎重な制御を失っている。制御の喪失は、数多くの因子(例えば、成長因子および/またはレセプターの過剰発現、ならびに成長因子によって制御される生化学的経路の自律的な活性化)によって引き起こされ得る。腫瘍形成に関与するRTKのいくつかの例は、上皮成長因子(EGFR)、血小板由来成長因子(PDGFR)、インスリン様成長因子(IGFR)、神経成長因子(NGFR)および線維芽細胞成長因子(FGF)に対するレセプターである。これらの成長因子のそれらの細胞表面レセプターに対する結合は、レセプターの活性化を誘導し、それによって、シグナル伝達経路が開始され、改変され、そして細胞の増殖および分化が導かれる。
上皮成長因子(EGF)レセプターファミリーのメンバーは、上皮細胞の腫瘍形成に関連する、特に重要な成長因子レセプターチロシンキナーゼである。発見されたEGFレセプターファミリーの第1のメンバーは、多くのタイプの腫瘍細胞上で発現されるEGFRだった。EGFRは、腫瘍細胞の分裂および成長、修復および生存、血管新生、浸潤ならびに腫瘍転移の制御に関与することが見出されている。
EGFRは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通領域および細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを有する170kDの膜貫通糖タンパク質である。特異的なリガンドが結合することにより、EGFRの自己リン酸化、レセプターの細胞質チロシンキナーゼドメインの活性化、ならびに腫瘍の成長および生存を制御する複数のシグナル伝達経路の開始がもたらされる。EGFR経路は、腫瘍内の、VEGFおよび塩基性線維芽細胞(basis fibroblastic)成長因子(bFGF)などの他の様々な血管新生因子の産生にも影響する。
多くのヒト腫瘍は、EGFRを発現するか、または過剰発現すると報告されている。EGFRの発現は、不良な予後、生存時間の短縮および/または転移の増加と相関する。EGFRは、この腫瘍形成への関与が理由で、抗癌治療に対して特異的に標的化されている。これらの治療は、レセプターの細胞外ドメインへのリガンドの結合を阻止するモノクローナル抗体、またはシグナル伝達を妨げるように細胞内領域に対して直接作用する合成チロシンキナーゼインヒビターを主に含んでいる。抗EGFR抗体は、EGFR陽性腫瘍細胞におけるアポトーシスも誘導する。
ソマトメジンとしても知られるインスリン様成長因子としては、インスリン様成長因子−I(IGF−I)およびインスリン様成長因子−II(IGF−II)が挙げられる(Klapperら、Endocrinol.112:2215(1983);Rinderknechtら、Febs.Lett.89:283(1978))。これらの成長因子は、IGFR1に結合することによって(Sepp−Lorenzino Breast Cancer Research and Treatment 47:235(1998))腫瘍細胞を含む様々な細胞型に対してマイトジェン活性を発揮する(Macaulay Br.J.Cancer 65:311(1992))。IGFとIGFR1との相互作用は、チロシン残基上のレセプターの自己リン酸化を引き起こすことによってレセプターを活性化する(Butlerら、Comparative Biochemistry and Physiology 121:19(1998))。いったん活性化されると、IGFR1は、細胞内の標的を次々にリン酸化することにより、細胞のシグナル伝達経路を活性化する。このレセプター活性化は、腫瘍細胞の成長および生存の刺激に対して決定的なものである。ゆえに、IGFR1活性の阻害は、ヒトの癌の成長および他の増殖性疾患を処置するためまたは予防するための価値ある有望な方法である。
いくつかの一連の証拠から、IGF−I、IGF−IIおよびそれらのレセプターであるIGFR1が、悪性の表現型の重要なメディエーターであることが示唆される。IGF−Iの血漿レベルは、前立腺癌リスクの最も強力な予測子であることが見出されており(Chanら、Science 279:563(1998))、そして同様の疫学的研究は、血漿IGF−Iレベルと乳癌、結腸癌および肺癌のリスクとを強く結びつけている。
化学的に誘導されたラットの神経芽細胞腫由来のDNAを用いたトランスフェクション研究の結果として、別のトランスフォーミング遺伝子が、同定された。当初はneuと呼ばれたこの遺伝子は、c−erbB癌原遺伝子に関連することが示されたが、c−erbB癌原遺伝子とは異なるものである。ヒトのゲノムDNAライブラリーおよび相補DNA(cDNA)ライブラリーをスクリーニングするプローブとしてv−erbBおよびヒトEGFRを用いて、2つの異なるグループが、独立して、それぞれHER2およびc−erbB−2と呼ばれるヒトerbB関連遺伝子を単離した。その後の配列解析および染色体マッピング研究から、c−erbB−2およびHER2が、neuのバリアント種であることが明らかになった。
HER2もまた、チロシンキナーゼファミリーのメンバーであり;そしてCoussensら、Science 230:1132(1985)によって報告されているように、EGFR遺伝子と密接に関係するが、EGFR遺伝子とは異なるものである。HER2は、EGFR遺伝子が位置する7番染色体のバンドp11−p13に対して、17番染色体のバンドq21に見られるという点でEGFRと異なる。また、HER2遺伝子は、4.8kbのメッセンジャーRNA(mRNA)を生成し、これは、EGFR遺伝子に対する5.8および10kbの転写物と異なる。最後に、HER2遺伝子によってコードされるタンパク質は、EGFR遺伝子によってコードされる170,000ダルトンのタンパク質に対して、185,000ダルトンである。逆に、配列データに基づくと、HER2は、チロシンキナーゼファミリーの他のメンバーよりもEGFR遺伝子とより密接に関係する。EGFRタンパク質のように、HER2タンパク質(p185)は、細胞外ドメイン、2つのシステインリッチリピートクラスターを含む膜貫通ドメイン、および細胞内キナーゼドメインを有する。さらに、HER2遺伝子の増幅は、疾患の不良な予後および再発の可能性と有意に相関した。抗EGFR抗体のように抗HER2抗体は、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する。
他の研究者らは、HER2などの細胞外に発現される抗原を用いて、そのタンパク質の異なるエピトープに対する2つの異なる抗HER2抗体の投与によって、インビボおよびインビトロにおいて抗腫瘍活性がもたらされたことを観察した。Spiridonら、Clin.Cancer Res.8:1720−30(2002)(その全体が本明細書中で参考として援用される)。実際に、2つの異なる抗HER2抗体(Spiridon,2002;Friedmanら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 102:1915−1920(2005));2つの異なる抗EGFR抗体(Friedman,2005;Pereraら、Clin.Cancer Res.11:6390−6399(2005));および1つの抗HER2と1つの抗EGFR抗体との組み合わせ(Larbouretら、Clin.Cancer Res.13:3356−3362(2007))の投与について、相乗効果が証明されている。これらの相乗効果は、同じ分子上の異なるエピトープに対する高親和性抗体を混合することによる、細胞表面分子の過剰架橋(hypercrosslinking)の結果である(Spiridon,2002)。HER2鎖とEGFR鎖の間でヘテロ二量体も形成されるので、架橋は、1つの抗HER2および1つの抗EGFR抗体を用いても可能である。1つより多いエピトープを同時に会合することによって、抗体−レセプター複合体の大きな凝集体が形成される。これらの大きな凝集体は、より小さい抗体複合体よりも速くエンドサイトーシスによって取り込まれ、それにより、レセプターの除去が加速される(Friedman,2005)。しかしながら、Spiridonらが、上で記載したように、細胞外に発現されるタンパク質HER2を観察した一方で、C35は、アポトーシスに関連して細胞表面上に発現されるようになる細胞内抗原である。1つの局面において、本発明は、抗HER2および/または抗EGFR抗体を使用することにより、C35の細胞表面発現を誘導し、それにより、抗C35抗体と抗HER2および/または抗EGFR抗体との相乗効果を引き起こすことに関する。
C35遺伝子は、染色体17q12に位置し、ERBB2(Her2/neu)遺伝子の3’末端から505ヌクレオチドの位置に存在する(Evansら、2006)。1つの研究において、C35およびHER2の発現が、相関すると示され、試験されたすべてのHER2陽性乳房腫瘍が、C35陽性でもあった(Evansら、2006)。50%ものC35+乳房腫瘍が、HER2も発現するので、それらは、C35抗体とHER2抗体との組み合わせで処置され得るが、多くのC35+腫瘍は、HER2を低発現するか、または発現しない。本明細書中の以下の実施例によって証明されるように、C35陽性腫瘍の大部分が、HER2またはEGFRを発現し、C35+腫瘍の小サブセットが、HER2とEGFRの両方を発現し、同様の小サブセットが、HER2もEGFRも発現しない。上で考察したように、HER2とEGFRの両方が、腫瘍の形質転換に関連し、抗体によって標的化されるとき、各々は、アポトーシスを誘導すると報告されている。本明細書中の以下で証明されるように、30個の解析された腫瘍のうち、7/30個の腫瘍が、C35+/Her2+/EGFR−であり、17/30が、C35+/Her2−/EGFR+であり、3/30が、C35+/Her2+/EGFR+であり、たった3/30が、C35+/Her2−/EGFR−だった。したがって、C35抗体とHER2抗体またはC35抗体とEGFR抗体との組み合わせが、これらの抗原が陽性である腫瘍を処置するために有用であり得る(例えば、アポトーシス誘導することにより、抗C35抗体を用いて標的化され得る表面上にC35を露出させることによって)。抗C35抗体と共に使用されるHER2抗体およびEGFR抗体の相乗作用は、少なくとも部分的に、それらがC35の細胞表面露出を引き起こすことである。また、抗体を個別に使用する処置とは対照的に、2つの抗体を使用することによって、両方の分子のレセプター除去活性、細胞殺滅または他のエフェクター機能が増大し得る。ゆえに、1つの局面において、本発明は、癌、特に、乳癌を処置するための方法に関し、その方法は、癌細胞を殺滅するのに有効な、ある量の抗C35抗体ならびにある量の抗HER2抗体および/またはある量の抗EGFR抗体を投与する工程を包含する。
I.定義
用語「a」または「an」の実体は、その実体の1つ以上のことを指すことに注意するべきである;例えば、「C35抗体(a C35 antibody)」は、1つ以上のC35抗体を表していると理解される。このように、用語「a」(または「an」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つ」は、本明細書中で交換可能に使用され得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」ならびに複数の「ポリペプチド」を包含すると意図され、そしてアミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子のことを指す。用語「ポリペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖のことを指し、特定の長さの生成物のことを指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸の鎖のことを指すために使用される他の任意の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含められ、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりに使用されてもよいし、これらの用語のいずれかと交換可能に使用されてもよい。用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドの発現後修飾(グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含むがこれらに限定されない)の産物のことを指すとも意図される。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来し得るか、または組換え技術によって生成され得るが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるわけではない。ポリペプチドは、化学合成を含む任意の様式によって生成され得る。
本発明のポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1,000以上または2,000以上のアミノ酸のサイズであり得る。ポリペプチドは、確定した3次元構造を有し得るが、それらは、必ずしもそのような構造を有するわけではない。確定した3次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれていると称され、確定した3次元構造を有するのではなく多数の様々なコンフォメーションをとり得るポリペプチドは、折り畳まれていないと称される。本明細書中で使用されるとき、糖タンパク質という用語は、少なくとも1つの炭水化物部分に結合されたタンパク質のことを指し、その炭水化物部分は、アミノ酸残基、例えば、セリン残基またはアスパラギン残基の酸素含有側鎖または窒素含有側鎖を介してそのタンパク質と結び付いている。
「単離された」ポリペプチド、またはそのフラグメント、バリアントもしくは誘導体は、その天然環境に存在しないポリペプチドと意図される。特定のレベルの精製は必要ない。例えば、単離されたポリペプチドは、その本来または天然の環境から取り出されている。組換え的に生成されたポリペプチドおよび宿主細胞内で発現されたタンパク質は、本発明の目的で、任意の適当な手法によって、分離されているか、分画されているか、または部分的もしくは実質的に精製されている、天然または組換えのポリペプチドであるので、単離されていると考えられる。
前述のポリペプチドのフラグメント、誘導体、アナログまたはバリアントおよびそれらの任意の組み合わせもまた、本発明のポリペプチドとして含められる。用語「フラグメント」、「バリアント」、「誘導体」および「アナログ」は、本発明の抗体または抗体ポリペプチドについて言及されるとき、対応する天然の抗体またはポリペプチドの抗原結合特性の少なくともいくつかを保持する任意のポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドのフラグメントは、本明細書中の他の箇所で述べられる特定の抗体フラグメントに加えて、タンパク分解性フラグメント、ならびに欠失フラグメントを含む。本発明のC35抗体およびC35抗体ポリペプチドならびに/またはHER2抗体およびHER2抗体ポリペプチドのバリアントは、上に記載されたようなフラグメント、およびアミノ酸の置換、欠失または挿入に起因して変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。バリアントは、天然に存在するものであってもよいし、または天然に存在しないものであってもよい。天然に存在しないバリアントは、当該分野で公知の突然変異誘発手法を用いて生成され得る。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的なアミノ酸の置換、欠失または付加を含み得る。それらの抗体のバリアントは、その抗体のヒト化バージョン、ならびに親和性成熟されているかまたは親和性最適化された抗体を含む。親和性最適化は、当該分野で周知の通例の方法によって行われ得る。あるいは、本発明の抗体の親和性を高めるための好ましい方法は、US2002/0123057A1に開示されている。本発明のC35抗体およびC35抗体ポリペプチドならびに/またはHER2抗体およびHER2抗体ポリペプチドの誘導体は、天然のポリペプチドに見られないさらなる特徴を示すように変更されたポリペプチドである。例としては、融合タンパク質が挙げられる。本明細書中で使用されるとき、C35抗体およびC35抗体ポリペプチドならびに/またはHER2抗体およびHER2抗体ポリペプチドの「誘導体」とは、官能性側基の反応によって化学的に誘導体化された1つ以上の残基を有する対象のポリペプチドのことを指す。20個の標準的なアミノ酸の1つ以上の天然に存在するアミノ酸誘導体を含むペプチドもまた、「誘導体」に含められる。例えば、4−ヒドロキシプロリンは、プロリンの代わりに用いられ得;5−ヒドロキシリシンは、リシンの代わりに用いられ得;3−メチルヒスチジンは、ヒスチジンの代わりに用いられ得;ホモセリンは、セリンの代わりに用いられ得;そしてオルニチンは、リシンの代わりに用いられ得る。
用語「ポリヌクレオチド」は、単数の核酸ならびに複数の核酸を包含すると意図され、そして単離された核酸分子または核酸構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)のことを指す。ポリヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合または非従来的な結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含み得る。用語「核酸」とは、ポリヌクレオチドに存在する任意の1つ以上の核酸セグメント、例えば、DNAまたはRNAフラグメントのことを指す。「単離された」核酸またはポリヌクレオチドは、その天然の環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAと意図される。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種の宿主細胞内に維持されている組換えポリヌクレオチド、または溶液中の精製された(部分的または実質的に)ポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子には、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロにおけるRNA転写物が含まれる。本発明に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に生成されたそのような分子をさらに含む。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、調節エレメント(例えば、プロモーター、リボソーム結合部位または転写ターミネーター)であり得るか、またはそれらを含み得る。
本明細書中で使用されるとき、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部分である。「終止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)は、アミノ酸に翻訳されないにもかかわらず、それは、コード領域の一部であると考えられ得るが、任意の隣接配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部ではない。本発明の2つ以上のコード領域は、単一のポリヌクレオチド構築物内に、例えば、単一のベクター上に存在し得るか、または別個のポリヌクレオチド構築物内に、例えば、別個の(異なる)ベクター上に、存在し得る。さらに、任意のベクターが、単一のコード領域を含んでもよいし、2つ以上のコード領域を含んでもよく、例えば、単一のベクターが、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を別々にコードし得る。さらに、本発明のベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、C35、HER2もしくはEGFR抗体、またはそれらのフラグメント、バリアントもしくは誘導体をコードする核酸に融合されているかまたは融合されていない異種性のコード領域をコードし得る。異種性のコード領域としては、専門化されたエレメントまたはモチーフ(例えば、分泌シグナルペプチドまたは異種性機能ドメイン)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常、1つ以上のコード領域と作動可能に会合されている、プロモーターおよび/または他の転写もしくは翻訳調節エレメントを含み得る。作動可能な会合は、遺伝子産物、例えば、ポリペプチドに対するコード領域が、制御配列の影響下または支配下において遺伝子産物の発現をもたらすような方法で1つ以上の制御配列と会合されているときである。例えば、2つのDNAフラグメント(例えば、ポリペプチドコード領域およびそれに会合されているプロモーター)は、プロモーターの機能が誘導されることによって、所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写がもたらされる場合、かつその2つのDNAフラグメント間の結合の性質が、発現制御配列が遺伝子産物の発現を指示する能力を妨害しないか、またはDNA鋳型が転写される能力を妨害しない場合に、「作動可能に会合される」。したがって、プロモーターが、ポリペプチドをコードする核酸の転写をもたらすことができるならば、そのプロモーター領域は、その核酸と作動可能に会合され得る。そのプロモーターは、所定の細胞のみにおいてDNAの実質的な転写を指示する細胞特異的プロモーターであり得る。プロモーターに加えて、他の転写調節エレメント、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終結シグナルも、細胞特異的な転写を指示するように、ポリヌクレオチドと作動可能に会合され得る。適当なプロモーターおよび他の転写調節領域は、本明細書中に開示される。
種々の転写調節領域は、当業者に公知である。これらとしては、脊椎動物細胞において機能する転写調節領域(例えば、限定されないが、サイトメガロウイルス(イントロン−Aに連結している、最初期プロモーター)、サルウイルス40(初期プロモーター)およびレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)由来のプロモーターおよびエンハンサーのセグメント)が挙げられるがこれらに限定されない。他の転写調節領域は、脊椎動物遺伝子(例えば、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ−グロビン)に由来するもの、ならびに真核細胞において遺伝子発現を調節することができる他の配列を含む。さらなる適当な転写調節領域としては、組織特異的なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンフォカイン誘導性のプロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が挙げられる。
同様に、種々の翻訳調節領域が、当業者に公知である。これらとしては、リボソーム結合部位、翻訳開始コドンおよび翻訳終結コドン、ならびにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に、CITE配列とも称される内部リボソーム進入部位、すなわちIRES)が挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態である。
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示する分泌ペプチドまたはシグナルペプチドをコードする追加のコード領域と会合され得る。シグナル仮説によると、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、いったん、成長中のタンパク質鎖が粗面小胞体を横切って搬出され始めると、成熟タンパク質から切断される、シグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが、通常、そのポリペプチドのN末端に融合されたシグナルペプチド(これは、完全なまたは「完全長」のポリペプチドから切断されることにより、分泌型または「成熟」型のポリペプチドが生成される)を有することを認識している。ある特定の実施形態において、天然のシグナルペプチド、例えば、免疫グロブリン重鎖または軽鎖のシグナルペプチド、またはそれに作動可能に会合されているポリペプチドの分泌を指示する能力を保持する配列の機能的誘導体が、使用される。あるいは、異種性の哺乳動物シグナルペプチドまたはその機能的誘導体が、使用され得る。例えば、野生型のリーダー配列は、ヒト組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置き換えられ得る。
本発明は、ある特定の抗C35、抗HER2および抗EGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を使用する方法に関する。天然に存在する抗体などの完全なサイズの抗体について明確に言及されない限り、用語「C35抗体」、「HER2抗体」または「EGFR抗体」(それぞれ用語「抗C35抗体」、「抗HER2抗体」または「抗EGFR抗体」と本明細書中で交換可能に使用される)は、完全なサイズの抗体、ならびにそのような抗体の抗原結合フラグメント、バリアント、アナログまたは誘導体、例えば、天然に存在する抗体もしくは免疫グロブリン分子、または抗体分子と類似の様式で抗原に結合する操作された抗体分子もしくはフラグメントを包含する。同様に、本発明は、ある特定の抗IGFR1抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を使用する方法に関する。天然に存在する抗体などの完全なサイズの抗体について明確に言及されない限り、用語「IGFR抗体」((IGFRは、本明細書中でIGFR1と交換可能に使用され、IGFR抗体は、本明細書中で用語「抗IGFR抗体」と交換可能に使用される)は、完全なサイズの抗体、ならびにそのような抗体の抗原結合フラグメント、バリアント、アナログまたは誘導体、例えば、天然に存在する抗体もしくは免疫グロブリン分子、または抗体分子と類似の様式で抗原に結合する操作された抗体分子もしくはフラグメントを包含する。
用語「抗体」と「免疫グロブリン」とは、本明細書中で交換可能に使用される。抗体または免疫グロブリンは、少なくとも、重鎖の可変ドメインを含み、そして通常は、少なくとも、重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は、比較的、十分に理解されている。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)を参照のこと。また、本明細書中で使用されるとき、「本発明の抗体」または「本発明の抗体ポリペプチド」は、それぞれ、C35、HER2、EGFRおよびIGFRに対する抗体、またはC35、HER2、EGFRおよびIGFRポリペプチド抗体を含む。
以下でより詳細に述べられるように、用語「免疫グロブリン」は、生化学的に区別され得る様々な広範なクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)(その中にいくつかのサブクラスを有する(例えば、γ1〜γ4))に分類されることを認識するだろう。この鎖の性質こそが、それぞれIgG、IgM、IgA、IgGまたはIgEとしての抗体の「クラス」を決定する。免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などは、十分に特徴付けられており、機能的な特殊化を付与すると知られている。これらのクラスおよびアイソタイプの各々の改変バージョンは、本開示を考慮して当業者にとって容易に識別可能であり、したがって、それらは、本発明の範囲内である。すべての免疫グロブリンクラスが、明らかに本発明の範囲内であり、以下の記述は、概して、免疫グロブリン分子のIgGクラスに関するものである。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、分子量約23,000ダルトンの2つの同一の軽鎖ポリペプチド、および分子量53,000〜70,000の2つの同一の重鎖ポリペプチドを含む。これらの4つの鎖は、代表的には、ジスルフィド結合によって「Y」の配置で結合されており、ここで、軽鎖は、「Y」の開口部分から開始して重鎖とひとまとめにされ、可変領域にわたって伸びる。
軽鎖は、カッパーまたはラムダ(κ、λ)に分類される。各重鎖クラスは、カッパーまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合し得る。通常、軽鎖および重鎖は、互いに共有結合し、そして免疫グロブリンが、ハイブリドーマ、B細胞または遺伝的に操作された宿主細胞によって産生されるとき、その2つの重鎖の「テイル」部分は、共有結合性のジスルフィド結合または非共有結合によって互いに結合される。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置のふたまたに分かれた端におけるN末端から各鎖の下のC末端へと伸びている。
軽鎖と重鎖の両方ともが、構造的および機能的に相同の領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は、機能的に使用される。この点について、軽鎖(VL)部分と重鎖(VH)部分の両方の可変ドメインが、抗原認識および特異性を決定していることが認識されるだろう。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2またはCH3)の定常ドメインは、重要な生物学的特性(例えば、分泌、経胎盤性の移動性、Fcレセプター結合、補体結合など)を付与する。慣例により、定常領域ドメインのナンバリングは、抗原結合部位または抗体のアミノ末端からより遠位になるにつれて大きくなる。N末端部分は、可変領域であり、C末端部分は、定常領域である;CH3およびCLドメインは、実際にそれぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上に示したように、可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識することおよびそれに特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、または相補性決定領域(CDR)のサブセットを組み合わせることにより、3次元の抗原結合部位を定義する可変領域が形成される。この4次抗体構造は、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。より詳細には、抗原結合部位は、VHおよびVL鎖の各々における3つのCDRによって定義される。いくつかの場合において、例えば、ラクダ(camelid)種に由来するか、またはラクダ免疫グロブリンに基づいて操作されたある特定の免疫グロブリン分子の完全な免疫グロブリン分子は、軽鎖なしで重鎖のみからなり得る。例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)を参照のこと。
天然に存在する抗体において、各抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」は、その抗体が水性環境におけるその3次元配置を想定するとき、抗原結合ドメインを形成するように特に位置づけられたアミノ酸の短い不連続の配列である。「フレームワーク」領域と称される、抗原結合ドメイン内の残りのアミノ酸は、より低い分子間の可変性を示す。そのフレームワーク領域は、たいてい、β−シートのコンフォメーションをとり、CDRは、そのβ−シート構造を接続し、いくつかの場合ではそのβ−シート構造の一部を形成する、ループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合性の相互作用によって正確な配向でCDRの位置を決めるスキャフォールドを形成するように作用する。位置づけられたCDRによって形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性の抗原上のエピトープに対する表面の相補性を定義する。この相補的な表面は、その同族のエピトープへの抗体の非共有結合を促進する。それぞれCDRおよびフレームワーク領域を含むアミノ酸は、正確に定義されるので、当業者によって所与の任意の重鎖または軽鎖の可変領域について容易に同定され得る(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,Kabat,E.ら、U.S.Department of Health and Human Services,(1983);およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)(これらは、本明細書中でそれらの全体が参考として援用される)を参照のこと)。
本発明の方法において使用するための抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体としては、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化、霊長類化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fv、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書中に開示されるC35抗体に対する抗Id抗体を含む;例えば、Hudson,P.J.and Couriau,C.,Nature Med.9:129−134(2003);米国公開番号20030148409;米国特許第5,837,242号も参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ScFv分子は、当該分野で公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号に記載されている。本発明の免疫グロブリンまたは抗体分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。
一本鎖抗体を含む抗体フラグメントは、可変領域を、単独で、または以下のものの全体または一部とともに、含み得る:ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメイン。ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインと可変領域との任意の組み合わせも含む抗原結合フラグメントもまた、本発明に含められる。本明細書中に開示される診断的および治療的な方法において使用するための抗体またはその免疫特異的フラグメントは、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得る。好ましくは、その抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマまたはニワトリの抗体である。別の実施形態において、可変領域は、軟骨魚類(condricthoid)が起源(例えば、サメ由来)であり得る。本明細書中で使用されるとき、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーから、または下におよび例えばKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されているように内因性の免疫グロブリンを発現しない1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックである動物から単離された抗体を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「重鎖部分」は、免疫グロブリン重鎖に由来するアミノ酸配列を含む。重鎖部分を含むポリペプチドは、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部、中央部および/または下部のヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはそれらのバリアントもしくはフラグメントのうちの少なくとも1つを含む。例えば、本発明において使用するための結合ポリペプチドは、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部およびCH2ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖、またはCH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含み得る。別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。さらに、本発明において使用するための結合ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部(例えば、CH2ドメインの全部または一部)を欠き得る。上で示したように、これらのドメイン(例えば、重鎖部分)が、天然に存在する免疫グロブリン分子由来のアミノ酸配列と異なるように改変され得ることを当業者は理解するだろう。
本明細書中に開示されるある特定のC35、HER2および/もしくはEGFRまたはIGFR抗体、あるいはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体において、多量体の1つのポリペプチド鎖の重鎖部分は、その多量体の第2のポリペプチド鎖上の重鎖部分と同一である。あるいは、本発明の重鎖部分含有モノマーは、同一ではない。例えば、各モノマーは、例えば、二重特異性抗体を形成する異なる標的結合部位を含み得る。
本明細書中に開示される診断方法および処置方法において使用するための結合ポリペプチドの重鎖部分は、異なる免疫グロブリン分子に由来し得る。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子に由来するCH1ドメインおよびIgG3分子に由来するヒンジ領域を含み得る。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子に由来し、そして部分的にIgG3分子に由来する、ヒンジ領域を含み得る。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子に由来し、そして部分的にIgG4分子に由来する、キメラヒンジを含み得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「軽鎖部分」は、免疫グロブリン軽鎖に由来するアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部分は、VLまたはCLドメインのうちの少なくとも1つを含む。
本明細書中に開示される抗C35、抗HER2、抗EGFRもしくは抗IGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、それらが認識するかまたは特異的に結合する抗原のエピトープまたは一部に関して記載され得るか、または特定され得る。抗体の抗原結合ドメインと特異的に相互作用する標的ポリペプチドの一部は、「エピトープ」または「抗原決定基」である。標的ポリペプチドは、単一のエピトープを含み得るが、代表的には、少なくとも2つのエピトープを含み、抗原のサイズ、コンフォメーションおよびタイプに応じて任意の数のエピトープを含み得る。さらに、標的ポリペプチド上の「エピトープ」は、非ポリペプチドエレメントであり得るか、または非ポリペプチドエレメントを含み得ること、例えば、「エピトープ」は、炭水化物側鎖を含み得ることに注意されるべきである。
抗体についてのペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4〜5アミノ酸であると考えられる。ペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープは、好ましくは、少なくとも7、より好ましくは、少なくとも9、最も好ましくは、少なくとも約15〜約30個のアミノ酸を含む。CDRは、抗原ペプチドまたは抗原ポリペプチドを3次の形態で認識し得るので、エピトープを含むアミノ酸は、連続している必要はなく、いくつかの場合では、同じペプチド鎖上でなくてもよい。本発明において、本発明の抗体によって認識されるペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープは、C35、HER2、EGFRまたはIGFRの少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、または約15〜約30個の、連続したまたは不連続のアミノ酸の配列を含む。
「特異的に結合する」とは、抗体が抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、およびその結合が、抗原結合ドメインとエピトープとの間のいくらかの相補性を必要とすることを一般に意味する。この定義によると、抗体は、ランダムな無関係のエピトープに結合し得るよりも容易に、その抗原結合ドメインを介してエピトープに結合するとき、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。用語「特異性」は、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対的な親和性を適格とするために本明細書中で使用される。例えば、抗体「A」は、所与のエピトープについて抗体「B」よりも高い特異性を有すると考えられ得るか、または抗体「A」は、関連するエピトープ「D」に対して有する特異性よりも高い特異性でエピトープ「C」に結合すると言われ得る。
「優先的に結合する」とは、抗体が、関連の、同様の、相同の、または類似のエピトープに結合し得るよりも容易にエピトープに特異的に結合することを意味する。したがって、所与のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、そのような抗体が、関連するエピトープと交差反応し得るにしても、その関連のエピトープに結合するよりも、その所与のエピトープに結合する可能性が高い。
非限定的な例として、抗体が、第2のエピトープに対する抗体の解離定数(KD)未満のKDで第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、前記第1のエピトープに優先的に結合すると考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体が、第2のエピトープに対するその抗体のKDより少なくとも1桁小さい親和性で第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、その第1の抗原に優先的に結合すると考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体が、第2のエピトープに対するその抗体のKDより少なくとも2桁小さい親和性で第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、その第1のエピトープに優先的に結合すると考えられ得る。
別の非限定的な例では、抗体が、第2のエピトープに対するその抗体の解離速度(off rate)(k(off))より小さいk(off)で第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、第1のエピトープに優先的に結合すると考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体が、第2のエピトープに対するその抗体のk(off)より少なくとも1桁小さい親和性で第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、その第1のエピトープに優先的に結合すると考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体が、第2のエピトープに対するその抗体のk(off)より少なくとも2桁小さい親和性で第1のエピトープに結合する場合、その抗体は、その第1のエピトープに優先的に結合すると考えられ得る。
本明細書中に開示される抗体、または抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、5×10−2秒−1、10−2秒−1、5×10−3秒−1または10−3秒−1以下の解離速度(k(off))で、本明細書中に開示される標的ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくはバリアントに結合すると言われ得る。より好ましくは、本発明の抗体は、5×10−4秒−1、10−4秒−1、5×10−5秒−1または10−5秒−1、5×10−6秒−1、10−6秒−1、5×10−7秒−1または10−7秒−1以下の解離速度(k(off))で、本明細書中に開示される標的ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくはバリアントに結合すると言われ得る。
本明細書中に開示される抗体、または抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、103M−1秒−1、5×103M−1秒−1、104M−1秒−1または5×104M−1秒−1以上の会合速度(on rate)(k(on))で、本明細書中に開示される標的ポリペプチド、またはそのフラグメントもしくはバリアントに結合すると言われ得る。より好ましくは、本発明の抗体は、105M−1秒−1、5×105M−1秒−1、106M−1秒−1もしくは5×106M−1秒−1または107M−1秒−1以上の会合速度(k(on))で、本明細書中に開示される標的ポリペプチド、またはそのフラグメントもしくはバリアントに結合すると言われ得る。
本発明の抗体は、所与のエピトープに対する参照抗体の結合をある程度阻止する程度にそのエピトープに優先的に結合する場合、そのエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害すると言われる。競合的阻害は、当該分野で公知の任意の方法、例えば、競合的ELISAアッセイによって測定され得る。抗体は、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%または少なくとも50%競合的に阻害すると言われ得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「親和性」とは、免疫グロブリン分子のCDRと個別のエピトープとの結合の強さの尺度のことを指す。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)27〜28頁を参照のこと。本明細書中で使用されるとき、用語「アビディティ」とは、免疫グロブリンの集団と抗原との複合体の全体的な安定性、すなわち、その抗原と免疫グロブリン混合物との機能的な結合の強さのことを指す。例えば、Harlow 29〜34頁を参照のこと。アビディティは、特定のエピトープを含む集団内の個別の免疫グロブリン分子の親和性と、免疫グロブリンと抗原との結合価との両方に関係する。例えば、二価のモノクローナル抗体と、ポリマーなどの高度に反復されたエピトープ構造を有する抗原との間の相互作用は、高アビディティの1つであり得る。
本発明において使用するための抗体は、「多重特異性」、例えば、二重特異性、三重特異性であり得るか、またはそれより高い多重特異性であり得、それは、1つ以上の異なる抗原(例えば、タンパク質)上に存在する2つ以上の異なるエピトープを同時に認識し、それらに結合することを意味する。したがって、抗体が「単一特異性」であるか、または「多重特異性」、例えば、「二重特異性」であるかは、結合ポリペプチドが反応する異なるエピトープの数のことを指す。多重特異性抗体は、本明細書中に記載される標的ポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であり得るか、または標的ポリペプチドならびに異種性のエピトープ(例えば、異種性ポリペプチドまたは固体支持体材料)に対して特異的であり得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「価」とは、潜在的な結合ドメイン、例えば、本発明の抗体、結合ポリペプチドまたは抗体に存在する抗原結合ドメインの数のことを指す。各結合ドメインは、1つのエピトープに特異的に結合する。結合ポリペプチドまたは抗体が、1つより多い結合ドメインを含むとき、各結合ドメインは、2つの結合ドメインを有する抗体について同じエピトープに特異的に結合し得る(「二価単一特異性」と呼ばれる)か、または2つの結合ドメインを有する抗体について異なるエピトープに特異的に結合し得る(「二価二重特異性」と呼ばれる)。抗体は、二重特異性であり得、かつ各特異性に対して二価でもあり得る(「二重特異性四価抗体」と呼ばれる)。別の実施形態において、四価ミニボディ(minibodies)またはドメイン欠失抗体が、作製され得る。
二重特異性二価抗体およびそれを作製する方法は、例えば、米国特許第5,731,168号;同第5,807,706号;同第5,821,333号;ならびに米国出願公開番号2003/020734および2002/0155537(これらの開示のすべてが、本明細書中でそれらの全体が参考として援用される)に記載されている。二重特異性四価抗体およびそれを作製する方法は、例えば、WO02/096948およびWO00/44788(両方ともの開示が、本明細書中で参考として援用される)に記載されている。一般に、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。
前に示したように、様々な免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造および3次元配置が、周知である。本明細書中で使用されるとき、用語「VHドメイン」は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、用語「CH1ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の第1(最もアミノ末端側)定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、VHドメインに隣接しており、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対してアミノ末端側である。
本明細書中で使用されるとき、用語「CH2ドメイン」は、例えば、従来のナンバリングスキームを用いるとき、抗体の約残基244〜残基360(残基244〜360、Kabatナンバリングシステム;および残基231〜340、EUナンバリングシステム;Kabat EAら、前掲書を参照のこと)に及ぶ重鎖分子の部分を含む。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対形成しないという点で独特である。むしろ、2つのN結合型分枝炭水化物鎖が、インタクトな天然のIgG分子の2つのCH2ドメイン間に挿入されている。また、CH3ドメインが、CH2ドメインからIgG分子のC末端側に及ぶことおよび約108残基を含むことが、十分に立証されている。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒンジ領域」は、CH1ドメインとCH2ドメインとを繋ぐ重鎖分子の部分を含む。このヒンジ領域は、約25残基を含み、そして可撓性であるがゆえに2つのN末端の抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの異なるドメイン:上部、中央部および下部ヒンジドメインに細分され得る(Rouxら、J.Immunol.161:4083(1998))。
本明細書中で使用されるとき、用語「ジスルフィド結合」は、2つの硫黄原子間に形成される共有結合を含む。アミノ酸のシステインは、ジスルフィド結合を形成し得るか、または第2のチオール基と架橋し得る、チオール基を含む。ほとんどの天然に存在するIgG分子では、CH1およびCL領域は、ジスルフィド結合によって連結され、そして2つの重鎖は、Kabatナンバリングシステムを用いるとき239および242に対応する位置(EUナンバリングシステムでは226または229位)において2つのジスルフィド結合によって連結される。
本明細書中で使用されるとき、用語「キメラ抗体」は、免疫反応性の領域または部位が、第1の種から得られているかまたは第1の種に由来し、定常領域(本発明に従って、インタクトであってもよいし、部分的であってもよいし、改変されていてもよい)が、第2の種から得られている、任意の抗体のことを意味するように保持される。好ましい実施形態において、標的結合領域または標的結合部位は、非ヒト起源(例えば、マウスまたは霊長類)由来であり、かつ定常領域は、ヒトである。
本明細書中で使用されるとき、用語「操作された抗体」とは、重鎖および軽鎖のいずれかまたはその両方における可変ドメインが、既知の特異性の抗体由来の1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換、ならびに必要であれば、部分的なフレームワーク領域の置換および配列変更によって変更されている、抗体のことを指す。そのCDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスまたはサブクラスの抗体に由来し得るが、それらのCDRは、異なるクラスの抗体、好ましくは、異なる種由来の抗体に由来し得ることが認識される。既知の特異性の非ヒト抗体由来の1つ以上の「ドナー」CDRがヒト重鎖または軽鎖フレームワーク領域に移植されている操作された抗体は、本明細書中で「ヒト化抗体」と称される。1つの可変ドメインの抗原結合能を別の可変ドメインに移すために、ドナー可変領域由来の完全なCDRですべてのCDRを置き換えることは、必要ないことがある。むしろ、標的結合部位の活性を維持するのに必要な残基を移すことだけが必要であり得る。その説明が、例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号および同第6,180,370号に示されていることを所与として、通例の実験を行うか、または試行錯誤による試験によって、機能的な操作された抗体またはヒト化抗体を得ることは、十分に当業者の能力の範囲内である。
本明細書中で使用されるとき、用語「適切に折り畳まれたポリペプチド」は、そのポリペプチドを含む機能ドメインのすべてが明確に活性であるポリペプチド(例えば、C35抗体)を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「不適切に折り畳まれたポリペプチド」は、そのポリペプチドの機能ドメインの少なくとも1つが活性でないポリペプチドを含む。1つの実施形態において、適切に折り畳まれたポリペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されたポリペプチド鎖を含み、逆に、不適切に折り畳まれたポリペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されていないポリペプチド鎖を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「操作された」は、合成手段(例えば、組換え手法、インビトロペプチド合成、ペプチドの酵素的もしくは化学的な結合、またはこれらの手法のいくつかの組み合わせ)による核酸分子またはポリペプチド分子の操作を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「連結された」、「融合された」または「融合」は、交換可能に使用される。これらの用語は、化学的結合体化を含む手段または組換え手段のすべてによって2つ以上のエレメントまたは構成要素を繋げることを指す。「インフレーム融合」とは、2つ以上のポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)を、もとのORFの正確な翻訳の読み枠を維持する様式で、繋げることにより、連続したより長いORFを形成することを指す。したがって、組換え融合タンパク質は、もとのORFによってコードされるポリペプチドに対応する2つ以上のセグメントを含む単一のタンパク質である(そのセグメントは、通常、天然ではそのように連結されない)。このように、その読み枠は、融合されたセグメント全体にわたって連続するように作製されるが、それらのセグメントは、例えば、インフレームのリンカー配列によって物理的または空間的に分離され得る。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、インフレームで融合され得るが、その「融合された」CDRが、連続したポリペプチドの一部として同時に翻訳される限り、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって分断されていてもよい。
ポリペプチドの文脈において、「直鎖状配列」または「配列」は、アミノ末端からカルボキシル末端への方向でのポリペプチドにおけるアミノ酸の順序であり、ここで、その配列において互いに隣り合う残基は、そのポリペプチドの1次構造において連続している。
用語「発現」とは、本明細書中で使用されるとき、遺伝子が、生化学的物質、例えば、ポリペプチドを生成するプロセスのことを指す。そのプロセスは、細胞内での遺伝子の機能的存在の任意の顕在化(遺伝子ノックダウンならびに一過性発現および安定的発現の両方を含むがこれらに限定されない)を含む。それらとしては、遺伝子からメッセンジャーRNA(mRNA)への転写およびそのようなmRNAからポリペプチドへの翻訳が挙げられるが、これらに限定されない。最終的な所望の生成物が、生化学的物質である場合、発現は、その生化学的物質および任意の前駆体の生成を含む。遺伝子の発現は、「遺伝子産物」を生成する。本明細書中で使用されるとき、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNA、または転写物から翻訳されたポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書中に記載される遺伝子産物は、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化を受けた核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク分解性切断などを受けたポリペプチドをさらに含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「処置する」または「処置」とは、治療的な処置と、予防的または防止的な措置の両方のことを指し、ここで、その目的は、望まれない生理学的な変化もしくは障害(例えば、多発性硬化症の進行)を予防すること、または減速すること(低減すること)である。有益なまたは所望の臨床上の結果としては、検出可能であるか検出不可能であるかに関係なく、症状の軽減、疾患の程度の低下、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと)、疾患の進行の遅延または減速、疾患の状態の回復または寛解、および緩解(部分的であるか全体的であるかは関係ない)が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」は、処置を受けない場合に予想される生存時間と比べたときの生存時間の延長も意味し得る。処置の必要な者には、すでに状態もしくは障害を有している者、ならびにその状態もしくは障害を有する傾向がある者またはその状態もしくは障害が予防されるべき者が含まれる。
「被験体」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、診断、予後診断または治療が望まれる任意の被験体、特に、哺乳動物の被験体を意味する。哺乳動物の被験体としては、ヒト、家畜、農業動物、および動物園動物、競技用動物または愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、乳牛など)が挙げられる。
本明細書中で使用されるとき、「C35、HER2および/またはEGFR抗体の投与の恩恵を受け得る被験体」および「処置の必要のある動物」などの句は、C35、HER2および/またはEGFR抗体の投与の恩恵を受け得る被験体(例えば、哺乳動物の被験体)を含む。本明細書中でより詳細に記載されるように、本発明の抗体は、非結合体化型で使用され得るか、または例えば、薬物、プロドラッグもしくは同位体に結合体化され得る。
II.C35、HER2、EGFRおよびIGFR標的ポリペプチド
C35は、乳癌および他のある特定の腫瘍タイプ(メラノーマ、結腸癌、卵巣癌、肝細胞癌、膀胱癌および膵癌を含む)において差次的に発現される抗原である。C35タンパク質は、プレニル化されること、内側の細胞膜と会合することが示されているが、生存している腫瘍細胞の表面膜上で検出可能ではない。C35エピトープを免疫特異的に認識する、マウスモノクローナル抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体を含むいくつかの抗体が存在する。米国出願公開番号2005/0158323および米国特許出願番号11/812,996(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。本発明者らは、化学療法剤または照射のいずれかを用いた処置によって腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導することにより、C35が表面膜に露出し、それにより、インタクトな腫瘍細胞をC35特異的抗体が認識できるようになることも証明した。
最近の癌研究は、細胞がHER2またはEGFRを過剰発現している癌を処置するために組換えヒト化モノクローナル抗体を使用することに焦点を合わせている。HER2の配列は、当該分野で公知であり、Genbankアクセッション番号NP_001005862、NP004439、AAA75493またはAAA35978が挙げられるが、これらに限定されない。EGFRに対する配列も当該分野で公知であり、Genbankアクセッション番号AAB19486、AAH94761、AAI28420およびAAI18666が挙げられるが、これらに限定されない。最後に、代表的なヒトIGFR前駆体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列としては、Genbankアクセッション番号X04434またはNM_000875、および米国特許第7,217,796号に列挙されているものが挙げられるがこれらに限定されない。その前駆体の切断(例えば、アミノ酸710と711との間の切断)により、α−サブユニットおよびβ−サブユニットが生成され、それらが会合することにより、成熟IGFRが形成される。
HER2遺伝子は、EGFRをコードする遺伝子と密接に関係するが、それとは異なるものである。HER2遺伝子の増幅は、ヒト乳癌細胞における新生物の形質転換に関係している。HER2の過剰発現は、乳癌患者の20〜30%以内で同定されているが、それは、領域的に進行型の疾患、腫瘍再発の高い確率および患者の低い生存と相関する。胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、非小細胞肺癌、膵癌、卵巣癌、腹膜癌、前立腺癌または結腸直腸癌を有する患者の30〜40%も、このタンパク質の過剰発現を示し得る。少量のHER2タンパク質が、組織特異的様式で正常な細胞の原形質膜上に発現される。このタンパク質は、成長因子リガンドに結合する他のERBBレセプターとのヘテロ二量体レセプター複合体の一部として存在する。このリガンドの結合によって、HER2レセプターが活性化され、それにより、細胞の外側から核に成長シグナルが伝達される。これらの成長シグナルは、正常な細胞の成長および分裂の局面を制御する。正常細胞におけるHER2遺伝子の変化は、HER2タンパク質の過剰発現をもたらし、その結果、細胞分裂の増加、細胞増殖の速度の上昇が生じ、また、HER2遺伝子の変化は、その癌細胞の表現型への形質転換と関連し得る。HER2遺伝子におけるそのような変化が、腫瘍細胞において生じるとき、HER2タンパク質は、直接過剰発現されるか、または遺伝子増幅が、多コピーの遺伝子およびその後のHER2タンパク質の過剰発現をもたらす。これらの変化を引き起こす因子は、現在のところ不明である。
EGFRの過剰発現は、不良な生存時間、ならびに結腸癌(Resnick,M.B.ら、Clin Cancer Res.10:3069−3075(2004))、直腸癌(Kopp,R.ら、Dis Colon Rectum 46:1391−1399(2003))、非小細胞肺癌(Selvaggi,G.ら、Ann Oncol.15:28−32(2004))および乳癌(Witton,C.J.ら、J Pathol.200:290−297(2003);Tsutsui,S.ら、Clin Cancer Res.8:3454−3460(2002))の再発とも関連することが証明されている。EGFR発現の状態が、化学療法および放射線療法の誘導後に不良な結果を有し得る進行型の鼻咽頭癌の患者のサブグループを同定し得ることも提案されている(Chua,D.T.ら、Int J Radiat Oncol Biol Phys.59:11−20(2004))。EGFRの発現が、前立腺癌における疾患の再発およびアンドロゲン非依存性への進行と相関する証拠が存在する(Di Lorenzo,G.ら、Clin Cancer Res.8:3438−3444(2002))。したがって、実地臨床におけるEGFRの検出は、EGFR標的化薬物の使用の関連性に関する疑問を含む患者の管理に影響を及ぼし得る。
IGFRの過剰発現も、いくつかの癌細胞株および腫瘍組織において証明されている。IGFRは、すべての乳癌細胞株の40%(Pandiniら、Cancer Res.5:1935(1999))および肺癌細胞株の15%において過剰発現される。乳癌腫瘍組織において、IGFRは、6〜14倍過剰発現され、IGFRは、正常組織と比べて2〜4倍高いキナーゼ活性を示す(Websterら、Cancer Res.56:2781(1996);Pekonenら、Cancer Res.48:1343(1998))。結腸直腸癌組織の生検材料の90パーセントが、高IGFRレベルを示し、ここで、IGFR発現の程度は、その疾患の重症度と相関する。初代子宮頸癌細胞培養物および子宮頸癌細胞株の解析によって、正常な子宮膣部細胞と比べてそれぞれ3および5倍のIGFRの過剰発現が明らかになった(Stellerら、Cancer Res.56:1762(1996))。滑膜肉腫細胞におけるIGFRの発現も、高悪性度の表現型(すなわち、転移および速い増殖速度;Xieら、Cancer Res.59:3588(1999))と相関した。
HER2、EGFRまたはIGFRレセプタータンパク質の「過剰発現」は、特定の組織または臓器由来の正常細胞における発現のレベルに対して、患者のその組織または臓器内の腫瘍由来の細胞における、それぞれHER2、EGFRまたはIGFRタンパク質の異常なレベルの発現と意図される。HER2、EGFRまたはIGFRレセプターの過剰発現を特徴とする癌を有する患者は、当該分野で公知の標準的なアッセイによって判定され得る。過剰発現は、凍結組織切片またはパラフィン包埋された組織切片の固定された細胞において、免疫組織化学的(IHC)検出を用いて判定され得る。組織学的な染色と併用されるとき、標的化されるタンパク質の局在性が、判定され得、そして腫瘍内のその発現の程度が、定性的かつ半定量的に測定され得る。そのようなIHC検出アッセイは、当該分野で公知であり、それらとしては、臨床試験アッセイ(CTA)、市販のLabCorp 4D5テストおよび市販のDAKO HercepTestTM(DAKO,Carpinteria,Calif.)が挙げられる。後者のアッセイは、0〜3+の細胞染色(0は、正常な発現であり、3+は、最も強い陽性発現を示す)の特定の範囲を用いることにより、HER2タンパク質の過剰発現を有する癌が同定される(トラスツズマブの完全な処方情報;1998年9月;Genentech,Inc.,San Francisco,Calif.を参照のこと)。したがって、1+、2+または3+の範囲、特に、2+または3+、より特に3+におけるHER2タンパク質の免疫組織化学(IHC)または蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)による過剰発現を特徴とする癌を有する患者は、本発明の治療の方法の恩恵を受け得る。
標準的な検出アッセイを用いるとき、いくつかのタイプの癌が、HER2、EGFRまたはIGFRレセプターを過剰発現する細胞を有すると特徴付けられている。そのような癌としては、乳癌、胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、鼻咽頭癌、非小細胞肺癌、膵癌、腎癌、卵巣癌、腹膜癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌およびグリア芽細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法は、細胞がC35およびHER2、EGFRまたはIGFRタンパク質を過剰発現する任意のそのような癌の処置/管理において有用である。特に興味深いのは、乳癌である。
III.C35、HER2およびEGFR抗体
本発明は、C35、HER2またはEGFRに対する抗体(本明細書中で、抗C35、抗HER2もしくは抗EGFR抗体;またはC35、HER2もしくはEGFR抗体と称される)およびC35抗体とHER2抗体またはC35抗体とEGFR抗体との組み合わせを用いて癌を処置する方法に関する。抗体に関する上の説明は、本明細書中に記載されるC35、HER2およびEGFR抗体にも適用される。
本発明は、C35、HER2もしくはEGFRポリペプチド、またはそれらのフラグメント、バリアントもしくは融合タンパク質に免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントもしくはバリアントを含むか、またはそれらからなる分子を含む)を包含する。C35ポリペプチドとしては、配列番号2のC35ポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。HER2ポリペプチドとしては、Genbankアクセッション番号AAA75493またはAAA35978のHER2ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。EGFRポリペプチドとしては、Genbankアクセッション番号AAB19486、AAH94761、AAI28420およびAAI18666が挙げられるが、これらに限定されない。C35、HER2またはEGFRポリペプチドは、核酸の組換え発現を通じて生成され得る(WO01/74859およびC35のエピトープ含有フラグメントについての米国出願番号2004/0063907を参照のこと)。
HER2レセプター機能を標的化する最も広く認識されているモノクローナル抗体は、商品名ハーセプチン(Herceptin)(登録商標)(一般に、トラスツズマブ(trastuzamab)、huMAb4D5−8またはrhuMAb HER2としても知られる;米国特許第5,821,337号およびGenentech,Inc.,San Francisco,Calif.から入手可能)として売買されている。この組換えヒト化モノクローナル抗体は、HER2に対して高い親和性を有する。広範な転移性乳癌を有する患者を用いた初期の臨床試験から、このモノクローナル抗体がHER2を過剰発現する乳癌細胞の増殖を阻害する能力が証明されている(Baselgaら(1996)J.Clin.Oncol.14(3):737−744)。そのような1つの治験において、転移性乳癌患者においてトラスツズマブを用いた単剤療法によって、14%の全奏功率が得られた(2%の完全な応答者および12%の部分的な応答者)。応答の持続時間の中央値は、9.1ヶ月であり、生存時間の中央値は、12.8ヶ月(0.5〜24+ヶ月の範囲)だった。その患者の24パーセントは、5.8ヶ月において進行していなかった(Genentech,Inc.,社内資料)。HER2の過剰発現の程度は、処置の効果を予測した。
最も広く認識されているHER2抗体は、トラスツズマブであるが、本発明の方法は、この抗体の使用に限定されない。マウスの起源の他のHER2抗体ならびにそれらのヒト化バージョンおよびキメラバージョンもまた、本発明の方法における使用に適している。他のそのようなHER2抗体の例としては、4D5抗体(米国特許第5,677,171号および同第5,772,997号に記載されている);ならびに520C9抗体およびその機能的な等価物(452F2、736G9、741F8、758G5および761B10と命名されているもの(米国特許第6,054,561号に記載されている))が挙げられるが、これらに限定されない;それらは、本明細書中で参考として援用される。さらに、新規HER2抗体が、当該分野で公知の方法または本明細書中に記載される方法を用いて作製され得る。
多くの研究が、EGFRの細胞外領域に対する抗体の作製に焦点を合わせている。作製されたmAbは、主に、リガンド結合を阻止することおよびシグナル伝達の妨害によって、それらの抗腫瘍活性を媒介する。EGFRを特異的に認識するいくつかのmAbが、Pengら、1996(Peng Dら、Cancer Res 1996,56:3666−3669)およびMendelsonら、1997.(Mendelsohn J Clin Cancer Res 1997,3:2703−2707)によって初めて開発された。Mab425、528IgG2aおよび225IgG1は、頭頚部扁平上皮癌を有する患者を処置するために使用された(Sturgis E Mら、Otolaryngol.Head Neck Surg 1994,111:633−643)。放射標識を含む実験研究は、mAb425が、グリオーマを含む腫瘍の成長の有効なインヒビターであると示した(Rodeck Uら、J Cell Biochem 1987,35:315−320;Brady L Wら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 1991,22:225−230;Faillot Tら、Neurosurgery 1996,39:478−483)。IMC−C225mAbは、EGFRを特異的に認識し、癌(例えば、頭頚部、結腸直腸、膵臓および肺)の処置において大きな可能性を有する。mAb255は、前立腺癌細胞株においてp27K1P1をアップレギュレートし、G1停止を誘導する。セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))としても知られるIMC−C225は、ヒトEGFRの細胞外ドメインに特異的に結合する組換えヒト/マウスキメラモノクローナル抗体である。セツキシマブは、EGFRへのリガンド結合を阻止し、レセプター活性化を妨害し、そしてEGFRを発現する腫瘍細胞の成長を阻害する、EGFRアンタゴニストである。セツキシマブは、イリノテカンベースの化学療法に不応性であるか、またはそれを許容できない、上皮成長因子レセプターを発現している転移性の結腸直腸癌を有する患者の処置において、イリノテカンとの併用で、またはイリノテカンなしでの、使用について承認されている。
mAb R3は、EGFRに対して産生されたものであり、最初は、放射免疫療法において使用するために開発された(Waterfield M Dら、J.Cell Biochem.1982,20:149−161;Ramos−Suzarte Mら、J.Nucl.Med.1999,40:768−775)。キメラ型とヒト化型の両方のR3が、作製されており、アフリカミドリザルにおいて試験されている。ヒト化バージョンのR3は、マウス抗体と同じ結合親和性を保持しており、キメラ抗体よりも2倍低い免疫原性であることが見出された。テクネチウム標識された、マウスおよびヒト化mAbを用いたマウスにおける異種移植の前臨床試験から、マウスよりもヒト化バージョンのほうが診断ツールとして大きな可能性が示された。ラット抗EGFRmAbであるICR62は、リガンド結合について効率的に競合し、マウスにおいてヒト腫瘍異種移植片(扁平上皮癌)を根絶する。第I相臨床試験から、その抗体が、扁平上皮癌を有する患者に安全に投与されたことが報告され、それ以後、頭頚部扁平上皮癌細胞株において成長因子レセプターおよびそれらのリガンドのシグナル伝達経路を調査するために使用されている(O−charoenrat Pら、Clin.Exp.Metastasis 2000,18:155−161;O−charoenrat Pら、Int.J.Cancer 2000,86:307−317;O−charoenrat Pら、Oral Oncol.2002,38:627−640)。
本発明は、さらに、1つ以上の癌を処置するために、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのHER2抗体を被験体、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトに投与する工程を包含する、抗体ベースの処置方法に関する。本発明は、1つ以上の癌を処置するために、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのEGFR抗体を被験体、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトに投与する工程を包含する、抗体ベースの処置方法にも関する。本発明の治療的化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載されるような、そのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体は、当該分野で公知のように、または本明細書中に記載されるように、薬学的に許容可能な組成物として提供され得る。
本発明の抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、scFv、ダイアボディ、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)、ミニボディ、ドメイン欠失抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。用語「抗体」とは、本明細書中で使用されるとき、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子のことを指す。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。
C35ポリペプチドに特異的なハイブリドーマ細胞株1F2.4.1および1B3.6.1が、以前、ハイブリドーマ技術を用いて調製された。抗体は、標準的な方法を用いるプロテインG親和性精製によってハイブリドーマ上清から単離された。2つのハイブリドーマ細胞株1F2および1B3からの抗体は、ELISAおよびウエスタンブロットアッセイにおいて組換えC35タンパク質に特異的に結合する。ハイブリドーマ細胞株1F2からの抗体はまた、ホルマリン固定され、パラフィン包埋されたC35陽性の腫瘍および細胞株を免疫組織化学によって特異的に染色する。これらの抗体の各々は、異なるが、両方ともが、C35タンパク質に対して特異的である。これらの抗体のいずれかを用いて細胞可溶化物からC35タンパク質を免疫沈降し、そして他方の抗体を用いて検出することが可能である。競合的結合ELISAアッセイから、ハイブリドーマ細胞株1F2および1B3によって産生されたモノクローナル抗体が、C35タンパク質の異なるエピトープに結合すると示唆されている。
1F2および1B3抗体のVLおよびVH領域をコードするポリヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用されるEvansら、米国公開番号US20050158323に記載されているように、TOPOベクターにクローニングした(それらは、表2に列挙されている日付にAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)に寄託され、表2に列挙されているATCC寄託番号が与えられた)。ATCCは、10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209,USAに存在する。ATCCへの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の約定に従って行われた。
1F2重鎖配列を有するクローン1F2Gは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5639が与えられた。1F2軽鎖配列を有するクローン1F2Kは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5640が与えられた。1B3重鎖配列を有するクローン1B3Gは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5637が与えられた。1B3軽鎖配列を有するクローン1B3Kは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5638が与えられた。
マウス可変領域遺伝子および寄託されたクローンのベクターの一部の配列を以下に示す。
本発明のC35抗体は、本発明の配列番号2のC35ポリペプチド、ポリペプチドフラグメントもしくはバリアントおよび/またはエピトープに免疫特異的に結合する抗体を含む(特異的な抗体抗原結合をアッセイするための当該分野で周知のイムノアッセイによって測定される)。
本明細書中で使用されるとき、用語「単離された」は、目的の化合物(例えば、C35抗体)が天然に存在する環境とは異なる環境に存在する、化合物を記載すると意味される。「単離された」は、目的の化合物について実質的に濃縮された、および/または目的の化合物が部分的または実質的に精製された、サンプル内の化合物を含むと意味される。
本明細書中で使用されるとき、用語「実質的に濃縮された」および「実質的に精製された」とは、その天然の環境から取り出されており、かつ、それが天然に関連する他の成分を少なくとも60%、好ましくは、75%、最も好ましくは、90%含まない、化合物のことを指す。本明細書中で使用されるとき、参照抗体と「同じ特異性」を有する抗体は、その抗体が、その参照抗体と同じエピトープに結合することを意味する。抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するか否かの判定は、本明細書中の以下に記載されるアッセイを用いて行われ得る。
本明細書中で述べられるマウスハイブリドーマ細胞株に由来する抗体(1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165、MAb171)は、同時係属中の米国出願番号11/812,996に記載されている。これらの抗体のVLおよびVH領域をコードするポリヌクレオチドは、2003年11月11日にAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)に寄託された。クローン1F2Gは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5639が与えられた。クローン1F2Kは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5640が与えられた。クローン1B3Gは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5637が与えられた。クローン1B3Kは、2003年11月11日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA−5638が与えられた。
1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165またはMAb171抗体の使用は、例示的な目的のためであり、それらの方法は、これらの抗体に限定されると解釈されるべきでない。任意のC35抗体(同時係属中の米国出願番号11/812,996に列挙されているものを含むがこれらに限定されない)が、本発明の方法において有用である。
好ましくは、例証される抗体のアナログは、その例証される抗体とは保存的アミノ酸置換によって異なる。アミノ酸の置換を保存的または非保存的に分類する目的で、アミノ酸は、以下のとおりグループ化され得る:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;およびグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じクラス内のアミノ酸間の置換を含む。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換するという性質のものである。
最も好ましくは、本抗体は、本発明のヒト、キメラ(例えば、ヒトマウスキメラ)もしくはヒト化抗体または抗原結合抗体フラグメント(Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)およびイントラボディ(intrabodies)、ならびにVLまたはVH領域のいずれかを含むフラグメントを含むがこれらに限定されない)である。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を、単独で、または以下の全体または一部との組み合わせで、含み得る:ヒンジ領域、CHI、CH2およびCH3ドメイン。可変領域と、ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインとの任意の組み合わせも含む抗原結合フラグメントもまた、本発明に含まれる。本発明の治療的な方法において好ましい抗体は、CH2ドメインの欠失を含む抗体である。
本発明の方法とともに使用するための抗体は、それらが認識するかまたは特異的に結合する本発明のポリペプチドのエピトープまたは一部に関して記載され得るか、または明記され得る。それらのエピトープまたはポリペプチドの一部は、本明細書中に記載されるように、例えば、N末端およびC末端の位置、または連続したアミノ酸残基のサイズによって、明記され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体もまた排除され得る。ゆえに、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合し、その排除を可能にする、抗体を含む。
本発明の方法とともに使用するための抗体は、本発明のポリペプチドに対する結合親和性に関しても記載され得るか、または明記され得る。好ましい結合親和性としては、5×10(−7)M、10(−7)M、5×10(−8)M、10(−8)M、5×10(−9)M、10(−9)M、5×10(−10)M、10(−10)M、5×10(−11)M、10(−11)M、5×10(−12)M、10(−12)M、5×10(−13)M、10(−13)M、5×10(−14)M、10(−14)M、5×10(−15)Mまたは10(−15)M未満の解離定数またはKdを有するものが挙げられる。
本発明の方法とともに使用するためのある特定の抗体は、抗体1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165およびMAb171の親和性と同一または類似の親和性をC35に対して有する。好ましくは、本発明の抗体は、抗体1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165およびMAb171の親和性よりも高い親和性をC35に対して有する。
本発明は、本明細書中に記載される抗体の1つ以上と同じ生物学的特徴の1つ以上を有する抗体(その抗体フラグメントまたはバリアントを含むか、またはそれらからなる、分子を含む)の使用も包含する。「生物学的特徴」とは、それらの抗体のインビトロまたはインビボにおける活性または特性(例えば、C35、HER2、EGFRおよび/もしくはIGFRポリペプチドに結合する能力;C35、HER2、EGFRおよび/もしくはIGFRポリペプチドによって媒介される生物学的活性を実質的に阻害するかまたは無効にする能力;C35、HER2、EGFRおよび/もしくはIGFRに関連する癌細胞を殺滅する能力;またはHER2、EGFRおよび/もしくはIGFRを発現している癌細胞のアポトーシスを誘導する能力)のことを意味する。必要に応じて、本発明の抗体は、本明細書中で具体的に言及される抗体の少なくとも1つと同じエピトープに結合する。そのようなエピトープ結合は、当該分野で公知のアッセイおよび本明細書中の以下に記載されるアッセイを用いて通例のとおり測定され得る。
本発明のヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体バリアントは、実質的にヒト免疫グロブリン由来の可変フレームワーク領域(アクセプター免疫グロブリンと呼ばれる)、ならびに実質的にマウスC35、HER2、EGFRおよび/またはEGFRのVHおよびVL領域由来のCDR(ドナー免疫グロブリンと呼ばれる)を有する。それらの定常領域は、存在する場合、実質的にヒト免疫グロブリン由来でもある。そのヒト化抗体およびヒト抗体バリアントは、少なくとも10(2)、10(3)、10(4)、10(5)、10(6)、10(7)、10(8)、10(9)または10(10)M(−1)のC35、HER2、EGFRまたはIGFRに対する特異的結合親和性を示す。通常、ヒトC35、HER2またはEGFRに対するヒト化抗体およびヒト抗体バリアントの結合親和性の上限は、マウス抗体1F2または1B3の結合親和性の3、4、5または10倍以内である。しばしば、C35に対する結合親和性の下限は、1F2または1B3におけるマウス抗体の結合親和性の3、4、5または10倍以内でもある。好ましい抗C35ヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体バリアントは、C35に対する結合についてマウス抗体1F2または1B3と競合し、C35がそれぞれマウス抗体またはヒト抗体に結合するのを妨げる。
ありうるヒトアクセプター抗体の重鎖および軽鎖可変領域は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987および1991)によって記載されている。ヒトアクセプター抗体は、その可変領域が、マウスC35抗体またはマウスHER2抗体と高度の配列同一性を示すように選択される。重鎖および軽鎖の可変フレームワーク領域は、同じまたは異なるヒト抗体配列に由来し得る。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であり得るか、またはいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。
ヒト化免疫グロブリンの設計は、以下のとおり行われ得る。アミノ酸が、以下のカテゴリーに該当するとき、使用されるヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)のフレームワークアミノ酸は、CDRを提供する非ヒト免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)由来のフレームワークアミノ酸によって置き換えられる:
(a)アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワーク領域内のアミノ酸が、その位置におけるヒト免疫グロブリンに対して普通ではないものであるのに対し、ドナー免疫グロブリンにおける対応するアミノ酸が、その位置におけるヒト免疫グロブリンに対して代表的なものである;
(b)そのアミノ酸の位置が、CDRの1つに直接隣接している;または
(c)そのアミノ酸が、そのCDRと相互作用することができる(それぞれQueenら、WO92/11018.およびCoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,2869(1991)を参照のこと、両方ともが本明細書中で参考として援用される)。ヒト化免疫グロブリンの作製の詳細な説明については、QueenらおよびCoらを参照のこと。
一般に、ヒト化抗体およびヒト抗体バリアントにおけるCDR領域は、それらが由来するマウスまたはヒト抗体における対応するCDR領域と実質的に同一、より一般には、同一である。得られるヒト化免疫グロブリンまたはヒト抗体バリアントの結合親和性にかなりの影響を与えずにCDR残基の1つ以上のアミノ酸置換をもたらすこと、および時折、CDR領域の置換またはCDR領域内の置換が結合親和性を増大させることが可能である。例えば、Iwahashiら、Mol.Immunol.36:1079−1091(1999);Glaserら、J.Immunol.149(8):2607−2614(1992);およびTamuraら、J.Immunol.164:1432−1441(2000)を参照のこと。
上で述べた特定のアミノ酸置換以外で、ヒト化免疫グロブリンおよびヒト抗体バリアントのフレームワーク領域は、一般に、それらが由来するヒト抗体(アクセプター免疫グロブリン)のフレームワーク領域と実質的に同一であり、より一般には、同一である。当然のことながら、そのフレームワーク領域内のアミノ酸の多くが、抗体の特異性または親和性にほとんど寄与しないか、まったく寄与しない。したがって、フレームワーク残基の多くの個別の保存的置換は、得られるヒト化免疫グロブリンまたはヒト抗体バリアントの特異性または親和性を大きく変化することなく、許容され得る。
ファージディスプレイ技術は、結合親和性および特異性を保持しつつ親配列に対して実質的な配列同一性を有するアナログを選択するための強力な手法を提供する(例えば、Dowerら、WO91/17271;McCaffertyら、WO92/01047;およびHuse,WO92/06204;US2002/0123057A1を参照のこと;それらの各々が、本明細書中で参考として援用される)。
前に記載されたように生成されるヒト化抗体またはヒト抗体バリアントの可変セグメントは、代表的には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、代表的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部に連結される。ヒト定常領域DNA配列は、不死化されたB細胞などの種々のヒト細胞から周知の手順に従って単離され得る(Kabatら、前出およびWO87/02671を参照のこと)。その抗体は、軽鎖と重鎖の両方の定常領域を含み得る。重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、および時折、CH4領域を含み得る。治療的な目的のために、CH2ドメインは、欠失され得るか、または省かれ得る。
ヒト化抗体またはヒト抗体バリアントは、すべてのタイプの定常領域(IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む)および任意のアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)を有する抗体を含む。ヒト化抗体またはヒト抗体バリアントが細胞傷害活性を示すことが望まれるとき、定常ドメインは、通常、補体結合性の定常ドメインであり、そのクラスは、代表的には、IgG1である。そのような細胞傷害活性が望ましくないとき、定常ドメインは、IgG2クラスであり得る。ヒト化抗体またはヒト抗体バリアントは、1つより多いクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含み得る。
キメラ抗体は、本発明における使用のためにも包含される。そのような抗体は、別の種(例えば、ヒトまたはマウスまたはウマなど)のCH領域および/またはCL領域に融合されたVH領域および/またはVL領域を含み得る。好ましい実施形態において、キメラ抗体は、ヒトC領域に融合されたマウス抗C35抗体またはマウス抗HER2抗体によってコードされるVHおよび/またはVL領域を含む。抗体が、治療的な目的において使用されるとき、ヒトCH2ドメインは、欠失され得る。キメラ抗体は、上に記載されたように抗体フラグメントを包含する。
前に記載したように生成されるキメラ抗体の可変セグメントは、代表的には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、代表的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部に連結される。ヒト定常領域DNA配列は、不死化されたB細胞などの種々のヒト細胞から周知の手順に従って単離され得る(Kabatら、前出およびWO87/02671を参照のこと)。その抗体は、軽鎖と重鎖の両方の定常領域を含み得る。重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、および時折、CH4領域を含み得る。治療的な目的のために、CH2ドメインは、欠失され得るか、または省かれ得る。
キメラ抗体は、すべてのタイプの定常領域(IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む)および任意のアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)を有する抗体を含む。キメラ抗体が細胞傷害活性を示すことが望まれるとき、定常ドメインは、通常、補体結合性の定常ドメインであり、そのクラスは、代表的には、IgG1である。そのような細胞傷害活性が望ましくないとき、定常ドメインは、IgG2クラスであり得る。キメラ抗体は、1つより多いクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含み得る。
そのような免疫グロブリンを作製するために種々の方法が利用可能である。遺伝暗号の縮重が理由で、種々の核酸配列が、各免疫グロブリンのアミノ酸配列をコードする。所望の核酸配列は、デノボ固相DNA合成または所望のポリヌクレオチドの先に調製されていたバリアントのPCR突然変異誘発によって生成され得る。本願に記載される抗体をコードするすべての核酸が、明確に本発明に含められる。
本発明の抗体全体、それらの二量体、個別の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン型は、いったん発現されると、硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動などをはじめとした当該分野における標準的な手順に従って精製され得る(一般に、Scopes,R.,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.(1982)を参照のこと。これは、本明細書中で参考として援用される)。少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、薬学的な用途に対しては、98〜99%またはそれ以上の均一性が、最も好ましい。いったん、所望のとおり部分的または均一に精製されると、それらのポリペプチドは、アッセイ手順、蛍光免疫染色などの開発および実施(一般に、Immunological Methods,Vol.IおよびII,Lefkovits and Pernis,eds.,Academic Press,New York,N.Y.(1979および1981)を参照のこと)またはC35の検出もしくはC35に関連する癌の診断において、治療的に(体外的を含む)使用され得る。
以下でより詳細に述べられるように、本発明の方法において使用するための抗体は、単独で、互いに組み合わせて、または他の組成物と組み合わせて、使用され得る。それらの抗体は、さらに、NもしくはC末端において異種性ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的に結合体化され得る(共有結合性および非共有結合性の結合体化を含む)。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識およびエフェクター分子(例えば、異種性ポリペプチド、薬物、放射性核種またはトキシン)として有用な分子に、組換え的に融合され得るか、または結合体化され得る。例えば、PCT公開WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP396,387(これらはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
本発明の方法において使用するための抗体は、すなわち、その抗体への任意のタイプの分子の共有結合(共有結合は、その抗体がC35、HER2、EGFRまたはIGFRに結合するのを妨げない)によって改変された誘導体を含む。例えば、限定されないが、その抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスホ化(phosphylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって改変された抗体を含む。数多くの化学修飾のうちのいずれかが、公知の手法(特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない)によって行われ得る。さらに、その誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
本発明の方法において使用するための抗体は、ペプチド結合または改変されたペプチド結合によって互いに結合されたアミノ酸から構成され得(すなわち、ペプチド同配体)、そして遺伝子によってコードされる20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。本発明の方法において使用するための抗体は、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセスまたは当該分野で周知の化学修飾手法によって修飾され得る。そのような修飾は、基礎的な教科書およびより詳細なモノグラフ、ならびに膨大な研究文献に十分に記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含む抗体内のどの箇所でも起き得る。同じタイプの修飾が、所与の抗体内のいくつかの部位において、同じ程度または異なる程度で存在し得ることが認識されるだろう。また、所与の抗体は、多くのタイプの修飾を含み得る。抗体は、例えば、ユビキチン化の結果として、分枝状であり得、そして分枝ありまたはなしで、環状であり得る。環状、分枝状および分枝状で環状の抗体は、翻訳後の天然のプロセスに起因し得るか、または合成方法によって作製され得る。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アルギニン化などのタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性付加、およびユビキチン化が挙げられる(例えば、PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES,2nd Ed.,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York,pgs.1−12(1983);Seifterら、Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換であるが、多くとも50アミノ酸置換、なおもより好ましくは、多くとも40個のアミノ酸の置換、さらにより好ましくは、多くとも30アミノ酸の置換、さらになおもより好ましくは、多くとも20アミノ酸の置換を含む、アミノ酸配列を有する抗体配列のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。当然のことながら、好ましさの低い方から順に、ポリペプチドが、少なくとも1つであるが多くとも10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸の置換を含む抗体配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましい。特定の実施形態において、抗体配列における付加、置換および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、10〜50または50〜150である。置換について、保存的アミノ酸置換が、好ましい。それらの置換は、フレームワーク領域内もしくはCDR内またはそれらの両方の中に存在し得る。
この節における記載は、本発明の方法において有用なC35、HER2、EGFRおよび/またはIGFR抗体に適用される。そのような抗体は、本明細書中に記載されるようにトキシンに結合体化され得るか、もしくはトキシンと複合体化され得るか、または結合体化され得ないか、もしくは複合体化され得ない。
IV.C35、HER2およびEGFR抗体ポリペプチド
本発明は、さらに、本発明の抗体を構成する単離されたポリペプチドおよびそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明の抗体は、ポリペプチド、例えば、免疫グロブリン分子に由来するC35、HER2またはEGFRに特異的な抗原結合領域をコードするアミノ酸配列を含む。指定されたタンパク質「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列とは、そのポリペプチドの起源のことを指す。ある特定の場合において、特定の出発ポリペプチドまたは出発アミノ酸配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、出発配列のアミノ酸配列と本質的に同一であるアミノ酸配列またはその一部を有し、ここで、その一部は、少なくとも10〜20アミノ酸、少なくとも20〜30アミノ酸、少なくとも30〜50アミノ酸からなるか、またはそのポリペプチドもしくはアミノ酸配列は、出発配列の起源を有すると別途当業者によって同定可能である。
1つの実施形態において、本発明は、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる単離されたポリペプチドを提供し、ここで、その重鎖可変領域のCDRのうちの少なくとも1つまたはその重鎖可変領域のCDRのうちの少なくとも2つは、上で参照されたC35、HER2またはEGFR抗体由来の参照重鎖CDR1、CDR2またはCDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%同一である。あるいは、そのVHのCDR1、CDR2およびCDR3領域は、上で参照された抗体由来の参照重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%同一である。
ある特定の実施形態において、上に記載されたVHポリペプチドの1つ以上を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる抗体またはその抗原結合フラグメントは、1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165およびMAb171からなる群から選択されるモノクローナル抗体と同じエピトープに特異的もしくは優先的に結合するか、またはそのようなモノクローナル抗体がC35に結合するのを競合的に阻害し得る。
ある特定の実施形態において、上に記載されたVHポリペプチドの1つ以上を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる抗体またはその抗原結合フラグメントは、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mまたは10−15Mより大きくない解離定数(KD)を特徴とする親和性で、C35、HER2もしくはEGFRポリペプチドまたはそれらのフラグメント、あるいはC35、HER2またはEGFRバリアントポリペプチドに特異的または優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる単離されたポリペプチドを提供し、ここで、その軽鎖可変領域のCDRのうちの少なくとも1つまたはその軽鎖可変領域のCDRのうちの少なくとも2つは、上で参照されたC35、HER2またはEGFR抗体由来の参照重鎖CDR1、CDR2またはCDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%同一である。あるいは、そのVLのCDR1、CDR2およびCDR3領域は、上で参照された抗体の参照軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%同一である。
ある特定の実施形態において、上に記載されたVLポリペプチドのうちの1つ以上を含むか、それらから本質的になる抗体またはその抗原結合フラグメントは、1F2、1B3、MAbc0009、MAb163、MAb165およびMAb171からなる群から選択されるモノクローナル抗体と同じエピトープに特異的または優先的に結合するか、またはそのようなモノクローナル抗体がC35に結合するのを競合的に阻害し得る。
ある特定の実施形態において、上に記載されたVLポリペプチドのうちの1つ以上を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる抗体またはその抗原結合フラグメントは、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mまたは10−15Mより大きくない解離定数(KD)を特徴とする親和性で、C35、HER2もしくはEGFRポリペプチドまたはそれらのフラグメントあるいはC35、HER2またはEGFRバリアントポリペプチドに特異的または優先的に結合する。
上に記載されたポリペプチドのいずれかは、追加のポリペプチド、例えば、コードされるポリペプチド、本明細書中に記載されるような抗体定常領域、または本明細書中に記載されるような他の異種性ポリペプチドの分泌を指示するシグナルペプチドをさらに含み得る。さらに、本発明のポリペプチドは、他の個所に記載されるようなポリペプチドフラグメントを含む。さらに、本発明のポリペプチドは、本明細書中に記載されるような、融合ポリペプチド、Fabフラグメントおよび他の誘導体を含む。
本明細書中に開示されるようなC35、HER2またはEGFR抗体ポリペプチドは、それらが由来する天然に存在する結合ポリペプチドとアミノ酸配列が異なるように改変され得ることも、当業者によって理解されるだろう。例えば、指定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、出発配列と類似であり得、例えば、出発配列とある特定の同一性パーセントを有し、例えば、出発配列と60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一であり得る。
さらに、「非必須」アミノ酸領域において保存的な置換または変更をもたらすヌクレオチドまたはアミノ酸の置換、欠失または挿入が、行われ得る。例えば、指定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、1つ以上の個別のアミノ酸の置換、挿入または欠失、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20個またはそれ以上の個別のアミノ酸の置換、挿入または欠失を除いて、出発配列と同一であり得る。ある特定の実施形態において、指定のタンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、出発配列と比べて、1〜5、1〜10、1〜15または1〜20個の個別のアミノ酸の置換、挿入または欠失を有する。
本発明のある特定の抗体ポリペプチドは、ヒトアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。しかしながら、ある特定の抗体ポリペプチドは、別の哺乳動物種に由来する1つ以上の連続したアミノ酸を含む。例えば、本発明の抗体は、霊長類の重鎖部分、ヒンジ部分または抗原結合領域を含み得る。別の例では、1つ以上のマウス由来のアミノ酸が、非マウス抗体ポリペプチドに、例えば、C35、HER2またはEGFR抗体の抗原結合部位に存在し得る。ある特定の治療的な適用において、C35、HER2またはEGFRに特異的な抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくはアナログは、その抗体が投与される動物において免疫原性でないように設計される。
ある特定の実施形態において、本発明の抗体ポリペプチドは、抗体に通常関連しないアミノ酸配列または1つ以上の部分を含む。例示的な改変は、以下でより詳細に記載される。例えば、本発明の一本鎖fv抗体フラグメントは、可撓性のリンカー配列を含み得るか、または機能的部分(例えば、PEG、薬物、トキシンまたは標識)を付加するために改変され得る。
本発明の抗体ポリペプチドは、融合タンパク質を含み得るか、それから本質的になり得るか、またはそれからなり得る。融合タンパク質は、例えば、少なくとも1つの標的結合部位を有する免疫グロブリン抗原結合ドメイン、および少なくとも1つの異種性部分、すなわち、実際は天然に連結されていない部分を含む、キメラ分子である。そのアミノ酸配列は、通常、融合ポリペプチドにおいて一体になる別個のタンパク質に存在し得るか、または通常は、同じタンパク質に存在し得るがその融合ポリペプチドにおいて新しい配置で位置される。融合タンパク質は、例えば、化学的合成によって、またはそのペプチド領域が所望の関係性においてコードされるポリヌクレオチドを生成し、翻訳することによって、生成され得る。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野において定義されている。したがって、免疫グロブリンポリペプチドにおける非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置き換えられる。別の実施形態において、一続きのアミノ酸は、順序および/または側鎖ファミリーメンバーの組成が異なる構造的に類似の一続きで置き換えられ得る。
あるいは、別の実施形態において、変異は、免疫グロブリンコード配列の全部または一部にわたってランダムに(例えば、飽和突然変異誘発によって)導入され得、そして得られた変異体が、本明細書中に開示される処置方法において使用するためのC35またはHER2抗体に組み込まれ得る。
V.融合タンパク質および抗体結合体
本発明の方法において使用するためのC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、さらに、NもしくはC末端において異種性ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的に結合体化され得る(共有結合性および非共有結合性の結合体化を含む)。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識およびエフェクター分子(例えば、異種性ポリペプチド、薬物、放射性核種またはトキシン)として有用な分子に組換え的に融合され得るか、または結合体化され得る。例えば、PCT公開WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP396,387を参照のこと。
本発明のC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、すなわち、その抗体への任意のタイプの分子の共有結合(共有結合は、その抗体がそれぞれC35、HER2、EGFRまたはIGFRに結合するのを妨げない)によって改変された誘導体を含む。例えば、限定されないが、その抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスホ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって改変された抗体を含む。数多くの化学修飾のうちのいずれかが、公知の手法(特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない)によって行われ得る。さらに、その誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
本発明のC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、ペプチド結合または改変されたペプチド結合によって互いに結合されたアミノ酸から構成され得(すなわち、ペプチド同配体)、遺伝子によってコードされる20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。本発明の抗体は、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセスまたは当該分野で周知の化学修飾手法によって修飾され得る。そのような修飾は、基礎的な教科書およびより詳細なモノグラフ、ならびに膨大な研究文献に十分に記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキシル末端を含む抗体内のどの箇所でも、または炭水化物などの部分上で、起き得る。同じタイプの修飾が、所与の抗体内のいくつかの部位において同程度または様々な程度で存在し得ることが認識されるだろう。また、所与の抗体は、多くのタイプの修飾を含み得る。抗体は、例えば、ユビキチン化の結果として、分枝状であり得、そして分枝ありまたはなしで、環状であり得る。環状、分枝状および分枝状で環状の抗体は、翻訳後の天然のプロセスに起因し得るか、または合成方法によって作製され得る。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化などのタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性付加およびユビキチン化が挙げられる(例えば、Proteins−Structure And Molecular Properties,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York 2nd Ed.,(1993);Posttranslational Covalent Modification Of Proteins,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York,1−12頁(1983);Seifterら、Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48−62(1992))。
本発明は、C35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体および異種性ポリペプチドを含む融合タンパク質も提供する。その抗体が融合される異種性ポリペプチドは、機能にとって有用であり得るか、またはC35、HER2、EGFRもしくはIGFRを発現する細胞を標的化するために有用である。1つの実施形態において、本発明の融合タンパク質は、本発明の抗体の任意の1つ以上のVH領域のアミノ酸配列あるいは本発明の抗体またはそのフラグメントもしくはバリアントの任意の1つ以上のVL領域のアミノ酸配列、および異種性ポリペプチド配列を有するポリペプチドを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。別の実施形態において、本明細書中に開示される診断方法および処置方法において使用するための融合タンパク質は、C35、HER2、EGFRもしくはIGFRに特異的な抗体、またはそのフラグメント、バリアントもしくは誘導体の任意の1、2、3個のVHCDRのアミノ酸配列、あるいはC35、HER2、EGFRもしくはIGFRに特異的な抗体、またはそのフラグメント、バリアントもしくは誘導体の任意の1、2、3個のVLCDRのアミノ酸配列、および異種性ポリペプチド配列を有するポリペプチドを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。1つの実施形態において、融合タンパク質は、本発明のC35特異的抗体またはそのフラグメント、誘導体もしくはバリアントのVHCDR3のアミノ酸配列、および異種性ポリペプチド配列を有するポリペプチドを含み、その融合タンパク質は、C35の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。別の実施形態において、融合タンパク質は、本発明のC35特異的抗体の少なくとも1つのVH領域のアミノ酸配列および本発明のC35特異的抗体またはそのフラグメント、誘導体もしくはバリアントの少なくとも1つのVL領域のアミノ酸配列、ならびに異種性ポリペプチド配列を有するポリペプチドを含む。好ましくは、その融合タンパク質のVHおよびVL領域は、C35の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する単一起源の抗体(またはscFvまたはFabフラグメント)に対応する。さらに別の実施形態において、本明細書中に開示される診断方法および処置方法において使用するための融合タンパク質は、C35特異的抗体のVHCDRの任意の1、2、3個またはそれ以上のアミノ酸配列およびC35特異的抗体またはそのフラグメントもしくはバリアントのVLCDRの任意の1、2、3個またはそれ以上のアミノ酸配列、ならびに異種性ポリペプチド配列を有するポリペプチドを含む。好ましくは、2、3、4、5、6個またはそれ以上のVHCDRまたはVLCDRは、本発明の単一起源の抗体(またはscFvもしくはFabフラグメント)に対応する。これらの融合タンパク質をコードする核酸分子もまた、本発明によって包含される。
文献において報告されている例示的な融合タンパク質としては、T細胞レセプター(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936−2940(1987));CD4(Caponら、Nature 337:525−531(1989);Trauneckerら、Nature 339:68−70(1989);Zettmeisslら、DNA Cell Biol.USA 9:347−353(1990);およびByrnら、Nature 344:667−670(1990));L−セレクチン(ホーミングレセプター)(Watsonら、J.Cell.Biol.110:2221−2229(1990);およびWatsonら、Nature 349:164−167(1991));CD44(Aruffoら、Cell 61:1303−1313(1990));CD28およびB7(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721−730(1991));CTLA−4(Lisleyら、J.Exp.Med.174:561−569(1991));CD22(Stamenkovicら、Cell 66:1133−1144(1991));TNFレセプター(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883−2886(1991);およびPeppelら、J.Exp.Med.174:1483−1489(1991));ならびにIgEレセプターa(Ridgway and Gorman,J.Cell.Biol.Vol.115,Abstract No.1448(1991))の融合物が挙げられる。
本明細書中の他の箇所で述べられるように、本発明の方法において使用するためのC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、それらのポリペプチドのインビボ半減期を延長するために異種性ポリペプチドに融合され得る。例えば、1つの実施形態において、インビボにおける半減期を延長するために、PEGが本発明の抗体に結合体化され得る。Leong,S.R.ら、Cytokine 16:106(2001);Adv.in Drug Deliv.Rev.54:531(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512(2002)。
本発明の方法において使用するための抗体は、非結合体化型で使用され得るか、あるいは例えば、その分子の治療的な特性を改善するため、標的の検出を促進するため、またはイメージングもしくは患者の治療のために種々の分子のうちの少なくとも1つに結合体化され得る。本発明の方法において使用するための抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、精製が行われるときは精製の前または後に、標識され得るか、または結合体化され得る。
特に、本発明のC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、治療薬、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答変更因子(modifiers)、薬学的調製物またはPEGに結合体化され得る。
本発明は、さらに、診断薬または治療薬に結合体化された、本発明の方法において使用するための抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を包含する。それらの抗体は、例えば、臨床試験手順の一部として疾患の発症または進行をモニターするため、例えば、所与の処置レジメンおよび/または予防レジメンの有効性を判定するために、診断的に使用され得る。検出は、本抗体またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を検出可能物質に結合することによって容易になり得る。検出可能物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、様々な陽電子放出断層撮影を用いるときの陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。例えば、本発明に従って診断薬として使用するための抗体に結合体化され得る金属イオンについて、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適当な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適当な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適当な蛍光材料の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光材料の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;そして適当な放射性材料の例としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
VI.抗体ポリペプチドの発現
周知のとおり、RNAは、もとのハイブリドーマ細胞または他の形質転換された細胞から、標準的な手法(例えば、グアニジニウムイソチオシアネート抽出および沈殿後の遠心分離またはクロマトグラフィ)によって単離され得る。所望であれば、mRNAは、オリゴdTセルロースにおけるクロマトグラフィなどの標準的な手法によって、全RNAから単離され得る。適当な手法は、当該分野で知られている。
DNA、代表的にはプラスミドDNAは、当該分野で公知の手法を用いて細胞から単離され得、例えば、組換えDNA手法に関する前述の参考文献に詳細に示されている標準的な周知の手法に従って、制限酵素地図にマッピングされ得、そして配列決定され得る。当然のことながら、そのDNAは、単離プロセス中またはその後の解析中の任意の時点において本発明に従って合成のものであり得る。
本発明のC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を提供する、単離された遺伝物質の操作の後、それらの抗体をコードするポリヌクレオチドは、代表的には、所望の量の本発明の抗体を生成するために使用され得る宿主細胞に導入するために発現ベクター内に挿入される。
本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ、例えば、本明細書中に記載される標的分子に結合する抗体の重鎖または軽鎖の組換え発現は、その抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。いったん、本発明の抗体分子あるいは抗体の重鎖もしくは軽鎖またはその一部(好ましくは、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む)をコードするポリヌクレオチドが得られると、その抗体分子を生成するためのベクターは、当該分野で周知の手法を用いる組換えDNA技術によって作製され得る。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製するための方法は、本明細書中に記載される。当業者に周知の方法を用いることにより、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳調節シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA手法、合成手法、およびインビボ遺伝的組換えが挙げられる。したがって、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された、本発明の抗体分子あるいはその重鎖もしくは軽鎖または重鎖または軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、PCT公開WO86/05807;PCT公開WO89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照のこと)、その抗体の可変ドメインは、重鎖全体または軽鎖全体を発現するためのそのようなベクターにクローニングされ得る。
用語「ベクター」または「発現ベクター」は、宿主細胞に導入するため、および宿主細胞において所望の遺伝子を発現するためのビヒクルとして本発明に従って使用されるベクターを意味するために本明細書中で使用される。当業者に公知であるように、そのようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルスおよびレトロウイルスからなる群から容易に選択され得る。一般に、本発明と適合性のベクターは、選択マーカー、所望の遺伝子のクローニングを容易にするための適切な制限酵素認識部位、ならびに真核細胞もしくは原核細胞に進入する能力および/または真核細胞もしくは原核細胞において複製する能力を含み得る。
より一般には、いったん、C35、HER2、EGFRまたはIGFR抗体の単量体サブユニットをコードするベクターまたはDNA配列が調製されると、その発現ベクターは、適切な宿主細胞に導入され得る。そのプラスミドを宿主細胞に導入することは、当業者に周知の様々な手法によって達成され得る。これらとしては、トランスフェクション(電気泳動およびエレクトロポレーションを含む)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープ(enveloped)DNAとの細胞融合、マイクロインジェクションおよびインタクトなウイルスによる感染が挙げられるが、これらに限定されない。Ridgway,A.A.G.“Mammalian Expression Vectors”Vectors,Rodriguez and Denhardt,Eds.,Butterworths,Boston,Mass.,Chapter 24.2,pp.470−472(1988)を参照のこと。代表的には、宿主へのプラスミドの導入は、エレクトロポレーションを介する。発現構築物を含む宿主細胞は、軽鎖および重鎖の生成に適切な条件下で生育され、そして重鎖および/または軽鎖のタンパク質合成についてアッセイされる。例示的なアッセイ手法としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または蛍光励起細胞分取解析(FACS)、免疫組織化学などが挙げられる。
その発現ベクターは、従来の手法によって宿主細胞に移入され、次いで、トランスフェクトされた細胞は、本明細書中に記載される方法において使用するための抗体を生成する従来の手法によって培養される。したがって、本発明は、異種性プロモーターに作動可能に連結された、本発明の抗体もしくはそのフラグメントまたはその重鎖もしくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二重鎖の抗体を発現するための好ましい実施形態において、重鎖と軽鎖の両方をコードするベクターが、以下で詳述されるように、免疫グロブリン分子全体を発現するために宿主細胞において同時発現され得る。
本明細書中で使用されるとき、「宿主細胞」とは、組換えDNA手法を用いて構築され、かつ少なくとも1つの異種性遺伝子をコードする、ベクターを含む細胞のことを指す。組換え宿主から抗体を単離するためのプロセスの説明において、用語「細胞」および「細胞培養物」は、別段はっきりと明記されない限り、抗体の起源を表すために交換可能に使用される。換言すれば、その「細胞」からのポリペプチドの回収は、遠心された細胞全体からの回収、または培地と懸濁された細胞との両方を含む細胞培養物からの回収を意味し得る。
種々の宿主発現ベクターシステムは、本明細書中に記載される方法において使用するための抗体分子を発現するために利用され得る。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を生成し得、その後、精製され得るビヒクルを表すだけでなく、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされたときに、本発明の抗体分子をインサイチュにおいて発現し得る細胞のことも表す。これらとしては、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;抗体コード配列を含む、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染された、または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された、植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を含む哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BLK、293、3T3細胞)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、Escherichia coliなどの細菌細胞、より好ましくは、真核細胞、特に、組換え抗体分子全体の発現に対する真核細胞が、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期(major intermediate early)遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併用されるチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体に対して有効な発現系である(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(1990))。
タンパク質発現に使用される宿主細胞株は、しばしば哺乳動物起源であり;当業者は、宿主細胞内で発現されるべき所望の遺伝子産物に最も適した特定の宿主細胞株を優先的に決定する能力を有していると考えられている。例示的な宿主細胞株としては、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)、DG44およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(サル腎臓株)、COS(SV40T抗原を有するCVIの誘導体)、VERY、BHK(ベビーハムスター腎臓)、MDCK、293、WI38、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウスミエローマ)、P3x63−Ag3.653(マウスミエローマ)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)および293(ヒト腎臓)が挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞株は、代表的には、商業的サービスであるAmerican Tissue Culture Collectionまたは公開されている文献から入手可能である。
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾し、そしてプロセシングする宿主細胞株が、選択され得る。タンパク質生成物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、そのタンパク質の機能にとって重要であり得る。様々な宿主細胞が、翻訳後プロセシングならびにタンパク質および遺伝子産物の修飾に対して特徴的かつ特異的な機序を有する。適切な細胞株または宿主系が、発現される外来タンパク質の適切な修飾およびプロセシングを確実にするために選択され得る。この目的を達成するために、1次転写物の適当なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化に対する細胞機構を有する真核生物宿主細胞が、使用され得る。
組換えタンパク質の長期間にわたる高収率の生成のために、安定な発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が、操作され得る。ウイルス複製開始点を含む発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって調節されるDNAおよび選択マーカーで形質転換され得る。外来DNAを導入した後、操作された細胞は、強化培地中で1〜2日間生育され得、次いで、選択培地に切り換えられる。組換えプラスミド内の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がその染色体にプラスミドを安定的に組み込むこと、および生育されることにより細胞増殖巣が形成されることを可能にし、そしてそれは、細胞株にクローニングされ得、増幅され得る。この方法は、抗体分子を安定的に発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加され得る(概説として、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Academic Press,New York,Vol.3.(1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクターシステム内のマーカーが、増幅可能であるとき、宿主細胞の培養物中に存在するインヒビターのレベルの上昇は、そのマーカー遺伝子のコピー数を増加させ得る。その増幅される領域は、抗体遺伝子と会合されているので、その抗体の生成も増加し得る(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
インビトロにおける生成をスケールアップすることにより、大量の所望のポリペプチドを得ることが可能になる。組織培養条件下での哺乳動物細胞の培養についての手法は、当該分野で公知であり、それには、例えば、エアリフトリアクターもしくは連続的な撹拌リアクターにおける均一な懸濁培養、または、例えば、中空糸内、マイクロカプセル内、アガロースマイクロビーズ上もしくはセラミックカートリッジ上の、固定化もしくは捕捉された細胞培養が含まれる。必要であれば、および/または所望であれば、ポリペプチドの溶液は、例えば、合成ヒンジ領域ポリペプチドの優先的な生合成の後または本明細書中に記載されるHICクロマトグラフィ工程の前もしくは後の、慣例のクロマトグラフィ法、例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィ、DEAE−セルロースにおけるクロマトグラフィまたは(イムノ−)アフィニティークロマトグラフィによって精製され得る。
本発明の方法において使用するためのC35、HER2、EGFRもしくはIGFR抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体をコードする遺伝子は、細菌または酵母または植物細胞などの非哺乳動物細胞においても発現され得る。容易に核酸を取り込む細菌としては、Escherichia coliまたはSalmonellaの菌株などの腸内細菌;Bacillus subtilisなどのBacillaceae;Pneumococcus;StreptococcusおよびHaemophilus influenzaeのメンバーが挙げられる。異種性ポリペプチドは、細菌内で発現されるとき、代表的には封入体の一部になることがさらに認識されるだろう。その異種性ポリペプチドは、単離され、精製され、次いで、機能的分子に組み立てられなければならない。四価型の抗体が望まれるとき、サブユニットは、四価抗体に自己組織化し得る(WO02/096948A2)。
細菌系において、いくつかの発現ベクターが、発現される抗体分子に対して意図される用途に応じて、有利に選択され得る。例えば、多量のそのようなタンパク質が生成されるべきであるとき、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが、望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1983))(ここで、抗体コード配列は、個別に、lacZコード領域とともにそのベクターにインフレームでライゲートされ得、その結果、融合タンパク質が生成される);pINベクター(Inouye & Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989));などが挙げられるが、これらに限定されない。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために使用され得る。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスのグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合の後の、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解された細胞から容易に精製され得る。クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、そのpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
原核生物に加えて、真核生物の微生物も使用され得る。Saccharomyces cerevisiae、すなわち、通常のパン酵母は、真核生物微生物の中で最もよく使用されるが、いくつかの他の系統(例えば、Pichia pastoris)も一般に利用可能である。
Saccharomycesにおいて発現するために、例えば、プラスミドYRp7(Stinchcombら、Nature 282:39(1979);Kingsmanら、Gene 7:141(1979);Tschemperら、Gene 10:157(1980))が、一般に使用される。このプラスミドは、トリプトファン中で生育する能力を欠く酵母の変異株、例えば、ATCC No.44076またはPEP4−1(Jones,Genetics 85:12(1977))に対して選択マーカーを提供するTRP1遺伝子をすでに含んでいる。次いで、酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp1損傷が存在することにより、トリプトファンの非存在下における成長によって形質転換を検出するための有効な環境がもたらされる。
昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するベクターとして代表的に使用される。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞内で成長する。抗体コード配列が、そのウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の支配下に配置され得る。
いったん、本発明の方法において使用するための抗体分子が、組換え的に発現されると、それは、免疫グロブリン分子を精製するための当該分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、アフィニティ、特に、プロテインAの後の特定の抗原に対するアフィニティおよびサイジングカラムクロマトグラフィ)、遠心分離、異なる溶解性、またはタンパク質を精製するための他の任意の標準的な手法によって、精製され得る。あるいは、本発明の抗体の親和性を高めるための好ましい方法は、US 2002/0123057A1に開示されている。
VII.抗C35抗体を含む併用療法を用いた処置方法
本発明は、過剰増殖性疾患を処置するため、例えば、癌を処置するために、本発明の抗体の組み合わせを使用することに関する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗C35抗体および少なくとも1つの抗HER2抗体が、投与される。特定の実施形態において、1つの抗C35抗体1つの抗HER2抗体が、投与される。より特定の実施形態において、抗C35抗体は、1B3もしくは1F2またはそれらのバリアントもしくは誘導体である。別の実施形態において、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。他の実施形態において、少なくとも1つの抗C35抗体および少なくとも1つの抗EGFR抗体が、投与され得る。特定の実施形態において、1つの抗C35抗体1つの抗EGFR抗体が、投与される。より特定の実施形態において、抗C35抗体は、1B3もしくは1F2またはそれらのバリアントもしくは誘導体である。別の実施形態において、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。
他の実施形態において、2つ以上の抗C35抗体ならびに/または2つ以上の抗HER2および/もしくは2つ以上の抗EGFR抗体が、投与される。他の実施形態において、1つ以上の抗IGFR抗体が、1つ以上の抗C35抗体と併用して投与される。さらに、さらなる実施形態において、上述の抗体の組み合わせのいずれかが、治療薬とともに投与される。特定の実施形態において、治療薬は、化学療法剤である。より特定の実施形態において、化学療法剤は、パクリタキセルである。別の特定の実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。別の特定の実施形態において、化学療法剤は、シスプラチンである。さらなる実施形態において、治療薬は、放射線である。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。
特定のポリペプチドに対する少なくとも2つの抗体(例えば、2つの抗C35、2つの抗HER2、2つの抗EGFRおよび/または2つの抗IGFR抗体)が投与される実施形態において、それらの抗体は、各々が、そのポリペプチド内の異なるエピトープに結合し得る。例えば、C35については、一方の抗体が、C35(配列番号2)の残基105〜115内に位置するエピトープに結合し得、他方は、C35(配列番号2)の残基(resides)48〜104内に位置するエピトープに結合し得る。特定の実施形態において、C35のこれらの領域内のエピトープ(eptiopes)に結合するC35抗体は、1B3および1F2、またはそれらのバリアントもしくは誘導体(例えば、ヒト化1B3および/またはヒト化1F2)である。
本発明は、同じエピトープに結合する2つの抗体の投与も包含する。例えば、C35(配列番号2)の残基105〜115内に位置するエピトープに結合する2つの異なるC35抗体が、投与され得る。同様に、C35(配列番号2)の残基48〜104内に位置するエピトープに結合する2つの異なるC35抗体が、投与され得る。
いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用するための抗体は、参照モノクローナル抗体の解離定数(KD)未満のKDを特徴とする親和性で、C35、HER2もしくはEGFRポリペプチドまたはそのフラグメント、あるいはC35、HER2またはEGFRバリアントポリペプチドに結合する能力に基づいて選択され得る。本発明は、これらの実施形態の目的で、参照モノクローナル抗体として、本明細書中に開示されるC35、HER2またはEGFR抗体のすべてを含む。特定の実施形態において、本明細書中ならびに米国出願公開番号2005/0158323A1および20040063907A1(それらの全体が本明細書中で参考として援用される)に開示されるような、モノクローナル抗体の1B3および1F2が、参照抗体である。別の実施形態において、参照モノクローナル抗体は、同時係属中の米国出願番号11/812,996(その全体が本明細書中で参考として援用される)に開示されているようなMAb163である。したがって、いくつかの実施形態において、C35抗体は、MAb1B3、MAb1F2またはMAb163の解離定数(KD)未満のKDを特徴とする親和性で、C35ポリペプチドもしくはそのフラグメント、またはC35バリアントポリペプチドに結合する。また、いくつかの実施形態において、本発明において使用するための抗C35抗体は、参照抗体、特に、米国出願公開番号2005/0158323A1および20040063907A1ならびに米国出願番号11/812,996(例えば、MAb1B3、MAb1F2またはMAb163に開示されている抗C35抗体と同じエピトープに結合する。
別の特定の実施形態において、抗EGFR抗体であるセツキシマブが、参照抗体である。したがって、いくつかの実施形態において、抗EGFR抗体は、セツキシマブの解離定数(KD)未満のKDを特徴とする親和性で、EGFRポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはEGFRバリアントポリペプチドに結合する。別の特定の実施形態において、抗HER2抗体であるトラスツズマブが、参照抗体である。したがって、いくつかの実施形態において、抗HER2抗体は、トラスツズマブの解離定数(KD)未満のKDを特徴とする親和性で、HER2ポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはHER2バリアントポリペプチドに結合する。
他の実施形態において、本発明の方法において使用するための抗体は、IGFRに特異的に結合する参照モノクローナル抗体の解離定数(KD)未満のKDを特徴とする親和性で、IGFRポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはIGFRバリアントポリペプチドに結合する能力に基づいて選択され得る。IGFR抗体の例としては、米国特許第7,217,796号に記載されているような1H3、15H12、19D12、15H12/19D12 LCA、15H12/19D12 LCB、15H12/19D12 LCC、15H12/19D12 LCD、15H12/19D12 LCE、15H12/19D12 LCF、15H12/19D12 HCAまたは15H12/19D12 HCB;α−IR3(Kullら、J.Biol.Chem.258:6561(1983));1H7(Liら、Biochem.Biophys.Res.Comm.196:92−98(1993),Santa Cruz biotechnology,Inc.Santa Cruz,Calif.)およびMAB391(R&D Systems;Minneapolis,Minn.)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰増殖性疾患、例えば、癌を処置するためのさらなる治療薬ありまたはなしでの、1つの抗C35抗体および1つの抗HER2抗体の投与を含む。本明細書中に開示される抗体を含むがこれらに限定されない、C35またはHER2に特異的に結合する任意の抗体が、この方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、それらの抗体は、その治療薬の投与の前、後、または同時に投与される。1つの実施形態において、MAb1F2または1B3が、トラスツズマブおよび治療薬とともに投与される。1つの実施形態において、治療薬は、パクリタキセル、アドリアマイシンおよびシスプラチンからなる群から選択される化学療法剤である。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰増殖性疾患、例えば、癌を処置するためのさらなる治療薬ありまたはなしでの、1つの抗C35抗体および1つの抗EGFR抗体の投与を含む。本明細書中に開示される抗体を含むがこれらに限定されない、C35またはEGFRに特異的に結合する任意の抗体が、この方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、それらの抗体は、その治療薬の投与の前、後、または同時に投与される。1つの実施形態において、MAb1F2または1B3が、セツキシマブおよび治療薬とともに投与される。1つの実施形態において、治療薬は、パクリタキセル、アドリアマイシンおよびシスプラチンからなる群から選択される化学療法剤である。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰増殖性疾患、例えば、癌を処置するためのさらなる治療薬ありまたはなしでの、1つの抗C35抗体および1つの抗IGFR抗体の投与を含む。本明細書中に開示される抗体を含むがこれらに限定されない、C35またはIGFRに特異的に結合する任意の抗体が、この方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、それらの抗体は、その治療薬の投与の前、後、または同時に投与される。1つの実施形態において、MAb1F2または1B3が、セツキシマブおよび治療薬とともに投与される。1つの実施形態において、治療薬は、パクリタキセル、アドリアマイシンおよびシスプラチンからなる群から選択される化学療法剤である。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。
いくつかの実施形態において、上に記載されたC35/HER2またはC35/EGFRの併用療法は、IGFR抗体とともに施される。C35/HER2/IGFRまたはC35/EGFR/IGFR抗体組成物は、治療薬の投与ありまたはなしで投与され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、治療薬とともに、少なくとも2つのC35抗体および1つのHER2抗体を投与することを含む。他の実施形態において、少なくとも2つのC35抗体および少なくとも2つのHER2抗体が、治療薬とともに投与される。C35抗体およびHER2抗体の任意の組み合わせが、投与され得、すべての組み合わせが、本発明に含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、治療薬とともに、少なくとも2つのC35抗体および1つのEGFR抗体を投与することを含む。他の実施形態において、少なくとも2つのC35抗体および少なくとも2つのEGFR抗体が、治療薬とともに投与される。C35抗体およびEGFR抗体の任意の組み合わせが、投与され得、すべての組み合わせが、本発明に含まれる。互いとの併用および治療薬(例えば、化学療法剤)との併用での、これらの抗体のうちのいずれかのバリアント(例えば、ヒト化バージョン、親和性最適化バージョン)または誘導体の投与もまた、本発明に包含される。治療薬ありまたはなしでの抗体の組み合わせを含む組成物もまた、本発明に包含される。
癌を有する被験体がヒトである実施形態において、投与される抗体は、好ましくは、完全ヒト抗体またはヒト化抗体である。これらのヒト化抗体は、本明細書中に開示される任意の抗体のヒト化型、例えば、1F2および/または1B3のヒト化バージョンを含み得る。1B3および1F2を含むがこれらに限定されない抗体の親和性最適化バージョンもまた、本発明の中に包含される。
本発明の方法および組成物は、新生物を含む過剰増殖性の疾患、障害および/または状態を処置するために使用され得る。本発明の方法によって処置され得る過剰増殖性の疾患、障害および/または状態の例としては:前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頚部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、胸郭および尿生殖器に位置する新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
そのような過剰増殖性の障害の他の例としては:急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂および尿管の癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部性視路神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、小児原発性肝臓癌、小児横紋筋肉腫、小児軟部組織肉腫、小児視路および視床下部性神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌、子宮体癌、上衣腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫および関連腫瘍、外分泌膵癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸腫瘍、胚細胞性腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、ヘアリーセル白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼球内黒色腫、島細胞癌、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇癌および口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、転移性不顕性原発性扁平上皮性頸部癌、転移性原発性扁平上皮性頸部癌、転移性扁平上皮性頸部癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄白血病、骨髄増殖性障害、鼻腔癌および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非メラノーマ性皮膚癌、非小細胞肺癌、不顕性原発性転移性扁平上皮性頸部癌、中咽頭癌、骨肉腫/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、パラプロテイン血症、紫斑、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂癌および尿管癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮性頸部癌、胃癌、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行細胞癌、移行性腎盂癌および尿管癌、絨毛性腫瘍、尿管細胞癌および腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視路および視床下部性神経膠腫、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、および新形成に加えて上に列挙された臓器系に位置する他の任意の過剰増殖性の疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの特定の実施形態において、過剰増殖性障害は、乳房、膀胱、肝臓、結腸、卵巣および皮膚からなる群から選択される組織または臓器の癌である。特定の実施形態において、癌は、乳癌である。より特定の実施形態において、乳癌は、乳管内癌である。いくつかの実施形態において、過剰増殖性の障害は、上で言及した癌のうちの1つの転移である。
本発明の方法および組成物を使用することにより、前癌状態を処置すること、および上に記載された障害を含むがこれらに限定されない新生物または悪性の状態への進行を予防することができる。そのような用途は、特に、過形成、化生または最も特に異形成からなる非新生物性の細胞増殖が生じている、新形成または癌への上記の進行が判明しているかまたは疑われる状態において示唆されている(そのような異常な増殖状態に関する概説として、Robbins and Angell,1976,Basic Pathology,2d Ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,pp.68−79を参照のこと)。
過形成は、構造または機能が有意に変化することのない、組織または臓器における細胞数の増加を伴う、調節された細胞増殖の形態である。本発明の方法によって処置され得る過形成性障害としては、脈管濾胞性縦隔リンパ節増殖症、好酸球性血管リンパ球増殖症、非定型メラニン細胞過形成、基底細胞過形成、良性巨大リンパ節増殖症、セメント質過形成、先天性副腎過形成、先天性皮脂線過形成、嚢胞性過形成、乳房嚢胞性過形成、義歯性過形成、導管過形成、子宮内膜増殖症、線維筋過形成、局所性上皮肥厚、歯肉増殖症、炎症性線維性過形成、炎症性乳頭状過形成、血管内乳頭状内皮過形成、結節性前立腺過形成、結節性再生性過形成、偽上皮腫性過形成、老人性脂腺増殖症および疣贅性肥厚が挙げられるが、これらに限定されない。
化生は、1つのタイプの成体(adult)細胞または完全に分化した細胞が別のタイプの成体細胞と置き換わる、調節された細胞増殖の形態である。本発明の方法によって処置され得る化生性障害としては、原因不明骨髄様化生、アポクリン化生、異型化生、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸上皮化生、化生性貧血、変形骨化(metaplastic ossification)、化生性ポリープ、骨髄様化生、原発性骨髄様化生、二次性骨髄様化生、扁平上皮化生、羊膜の扁平上皮化生および症候性骨髄様化生が挙げられるが、これらに限定されない。
異形成は、しばしば、癌の前兆であり、主に上皮に見られ;異形成は、個別の細胞の一様性の喪失および細胞の構造上の配向性の喪失を伴う最も無秩序な形態の非新生物性の細胞増殖である。異形成細胞は、異常に大きく、濃く染まる核を有することが多く、また、多形性を示すことが多い。慢性の刺激または炎症が存在する場合に、異形成が特徴的に生じる。本発明の方法によって処置され得る異形成の障害としては、無汗性外胚葉形成不全、前後異形成、窒息性胸郭異形成、心房指異形成、気管支肺異形成、終脳形成異常、子宮頸部異形成、軟骨外胚葉異形成、鎖骨頭蓋異形成症、先天性外胚葉形成異常、頭蓋骨幹異形成、頭蓋骨手根骨足根骨形成不全、頭蓋骨幹端異形成、象牙質異形成、骨幹異形成、外胚葉異形成、エナメル質形成異常、脳眼異形成、足根骨肥大(dysplasia epiphysialis hemimelia)、多発性骨端異形成(dysplasia epiphysialis multiplex)、点状骨端異形成、上皮異形成、顔面指趾生殖器形成異常、家族性線維性顎異形成、家族性白色襞性異形成、線維筋性異形成、線維性骨異形成、開花性骨性異形成、遺伝性腎網膜異形成、発汗性外胚葉形成異常、無汗性外胚葉性形成異常、リンパ性減少性胸腺異形成、乳腺異形成、下顎顔面形成異常、骨幹端異形成、モンディーニ型内耳形成異常、単骨性線維性骨異形成、粘膜上皮異形成、多発性骨端異形成(multiple epiphysial dysplasia)、眼耳脊椎異形成、眼歯指異形成、眼脊椎異形成、歯牙形成不全、眼下顎四肢形成不全、根尖性セメント質異形成、多発性線維性骨異形成、偽軟骨発育不全脊椎骨端異形成、網膜異形成、中隔視覚異形成、脊椎骨端異形成および心室橈骨異形成が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法および組成物によって処置され得るさらなる前新生物障害としては、良性の異常増殖性(dysproliferative)障害(例えば、良性腫瘍、線維嚢胞状態、組織肥大、腸管ポリープ、結腸ポリープおよび食道異形成)、白斑症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎および日光性角化症が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、本発明の方法および組成物は、癌、特に上に列挙された癌の増殖、進行および/または転移を阻害するために使用される。
好ましい実施形態において、本発明の方法および組成物は、癌、特に、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、膵癌、結腸癌およびメラノーマからなる群から選択される癌の成長、進行および/または転移を処置するため、阻害するために使用され得る。
過剰増殖性疾患を処置するために投与される抗体は、必要に応じて、アポトーシスを誘導することができる薬剤とともに投与され得る。アポトーシス誘導治療としては、化学療法剤(抗悪性腫瘍剤としても知られる)、放射線療法および放射線療法と化学療法との併用が挙げられる。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、過剰増殖性疾患、例えば、癌を処置するために投与され、化学療法剤とともに投与される。例えば、本発明は、癌を処置する方法を含み、その方法は、治療薬とともに少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのHER2抗体を投与する工程、ならびに治療薬とともに少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのEGFR抗体を投与する工程を包含する。
例示的な治療薬は、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、アントラサイクリン抗生物質、アクチノマイシンD、プリカマイシン、ピューロマイシン、グラミシジンD、パクリタキセル(TaxolTM.,Bristol Myers Squibb)、コルヒチン、サイトカラシンB、エメチン、メイタンシンおよびアムサクリン(または「mAMSA」)である。そのビンカアルカロイドクラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985),pp.1277−1280に記載されている。例示的なビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビンデシンである。エピポドフィロトキシンクラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985),pp.1280−1281に記載されている。例示的なエピポドフィロトキシンは、エトポシド、エトポシドオルトキノンおよびテニポシドである。そのアントラサイクリン抗生物質クラスは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985),pp.1283−1285に記載されている。例示的なアントラサイクリン抗生物質は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン(mitoxantraone)およびビサントレンである。ダクチノマイシンとも呼ばれるアクチノマイシンDは、Goodmand and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed.),(1985),pp.1281−1283に記載されている。ミトラマイシンとも呼ばれるプリカマイシンは、Goodmand and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(7th ed),(1985),pp.1287−1288に記載されている。さらなる化学療法剤としては、シスプラチン(PlatinolTM.,Bristol Myers Squibb)、カルボプラチン(ParaplatinTM ,Bristol Myers Squibb)、マイトマイシン(MutamycinTM.,Bristol Myers Squibb)、アルトレタミン(altretamine)(HexalenTM,U.S.Bioscience,Inc )、シクロホスファミド(CytoxanTM,Bristol Myers Squibb)、ロムスチン(CCNU)(CeeNUTM Bristol Myers Squibb)、カルムスチン(BCNU)(BiCNUTM,Bristol Myers Squibb)が挙げられる。
例示的な化学療法剤としては、アクラシノマイシンA、アクラルビシン、アクロニン(acronine)、アクロニシン(acronycine)、アドリアマイシン、アルデスロイキン(インターロイキン−2)、アルトレタミン(altretamine)(ヘキサメチルメラミン(hexamiethylmelamine))、アミノグルテチミド、アミノグルテチミド(シタドレン(cytadren))、アミノイミダゾールカルボキサミド、アムサクリン(m−AMSA;アムシジン(amsidine))、アナストラゾール(anastrazole)(アリミデックス(arimidex))、アンシタビン、アントラサイクリン(anthracyline)、アントラマイシン、アスパラギナーゼ(エルスパー(elspar))、アザシトジン(azacitdine)、アザシチジン(ラダカマイシン(ladakamycin))、アザグアニン、アザセリン、アザウリジン、1,1’,1”−ホスフィノチオイリジントリスアジリジン、アジリノ(2’,3’:3,4)ピロロ(1,2−a)インドール−4,7−ジオン、BCG(テラシス(theracys))、BCNU、BCNUクロロエチルニトロソ尿素、ベンズアミド、4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)ベンゼンブタン酸、ビカルタミド、ビスクロロエチルニトロソ尿素、ブレオマイシン、ブレオマイシン(ブレノキサン(blenozane))、ブレオマイシン類、ブロモデオキシウリジン、ブロクスウリジン、ブスルファン(ミレラン)、カルバミン酸エチルエステル、カルボプラチン、カルボプラチン(パラプラチン(paraplatin))、カルムスチン、カルムスチン(BCNU;BiCNU)、クロラムブシル(リューケラン(leukeran))、クロロエチルニトロソ尿素、クロロゾトシン(chorozotocin)(DCNU)、クロモマイシンA3、シス−レチノイン酸、シスプラチン(シス−ddpl;プラチノール(platinol))、クラドリビン(2−クロロデオキシアデノシン;2cda;ロイスタチン(leustatin))、コホルマイシン、シクロロイシン、シクロホスファミド、シクロホスファミド無水物、クロラムブシル、シタラビン、シタラビン、シタラビンHCl(サイトサール(cytosar)−u)、2−デオキシ−2−(((メチルニトロソアミノ)カルボニル)アミノ)−D−グルコース、ダカルバジン、ダクチノマイシン(コスメゲン)、ダウノルビシン、ダウノルビシン(Daunorubincin)HCl(セルビジン(cerubidine))、デカルバジン(decarbazine)、デカルバジン(DTIC−dome)、デメコルチン、デキサメタゾン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアゾオキソノルロイシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシンHCl(アドリアマイシン)、ドキソルビシン塩酸塩、エフロミチン(eflomithine)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム(emcyt)、ヨード化ケシ油エチルエステル、エトグルシド(ethoglucid)、カルバミン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、エトポシド(VP16−213)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスウリジン、フロクスウリジン(fudr)、フルダラビン(フルダラ(fludara))、フルオロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン(ハロテスチン(halotestin))、フルタミド、フルタミド(オイレキシン(eulexin))、フラックスウリジン(fluxuridine)、硝酸ガリウム(花崗岩(granite))、ゲムシタビン(ゲムザール(gemzar))、ゲニステイン、2−デオキシ−2−(3−メチル−3−ニトロソウレイド)−D−グルコピラノース、ゴセレリン(ゾラデックス(zoladex))、ヘキセストロール、ヒドロキシ尿素(ヒドラ(hydra))、イダルビシン(イダマイシン(idamycin))、イホスファゲムシタビン(ifosfagemcitabine)、イホスファミド(iflex)、メスナ(mesna)(MAID)との併用のイホスファミド、インターフェロン、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、アルファ−n3、インターロイキン−2、イオベングアン(iobenguane)、イオベングアンイオベングアン、イリノテカン(カンプトサール(camptosar))、イソトレチノイン(アキュテイン)、ケトコナゾール、4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)−L−フェニルアラニン、L−セリンジアゾアセテート、レンチナン、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド(LHRH−アナログ)、レバミゾール(エルガミソール(ergamisol))、ロムスチン(CCNU;cee−NU)、マンノムスチン、メイタンシン、メクロレタミン、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メドロキシプロゲステロン(プロベラ(provera)、デポプロベラ(depo provera))、酢酸メゲストロール(メナス(menace))、酢酸メレンゲストロール、メルファラン(アルケラン(alkeran))、メノガリル(menogaril)、メルカプトプリン、メルカプトプリン(プリネトール(purinethol))、メルカプトプリン無水物、MESNA、メスナ(mesna)(mesne)、メタンスルホン酸、エチルエステル、メトトレキサート(mtx;メトトレキサート)、メチル−ccnu、ミモシン(mimosine)、ミソニダゾール、ミトラマイシン、ミトアントロン(mitoantrone)、ミトブロニトール、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン(ムタマイシン(mutamycin))、マイトマイシンC、ミトタン(o,p’−DDD;リソドレン(lysodren))、ミトキサントロン、ミトキサントロンHCl(ノバントロン(novantrone))、モピダモール(mopidamol)、N,N−ビス(2−クロロエチル)テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−アミン−2−オキシド、N−(1−メチルエチル)−4−((2−メチルヒドラジノ)メチル)ベンズアミド、N−メチル−ビス(2−クロロエチル)アミン、ニカルジピン、ニルタミド(ニランドロン(nilandron))、ニムスチン、ニトラクリン(nitracrine)、ナイトロジェンマスタード、ノコダゾール、ノガラマイシン(nogalamycin)、オクトレオチド(サンドスタチン)、パシラタキセル(pacilataxel)(タキソール)、パクリタキセル、パクタマイシン、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)(PEGx−1)、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、ペプロマイシン、ペプチケミオ(peptichemio)、フォトフォレシス(photophoresis)、ピカマイシン(ミトラシン(mithracin))、ピシバニール、ピポブロマン、プリカマイシン、ポドフィロックス(podofilox)、ポドフィロトキシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プレドニゾン、プロカルバジン、プロカルバジンHCl(マチュレーン(matulane))、プロスピジウム(prospidium)、ピューロマイシン、ピューロマイシンアミノヌクレオシド、PUVA(ソラレン+紫外線a)、ピラン共重合体、ラパマイシン、s−アザシチジン、2,4,6−トリス(1−アジリジニル)−s−トリアジン、セムスチン、ショードマイシン(showdomycin)、シロリムス、ストレプトゾシン(ザノサール(zanosar))、スラミン、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(nolvadex))、タキソン(taxon)、テガフール、テニポシド(VM−26;ブモン(vumon))、テヌアゾン酸、TEPA、テストラクトン、チオ−テパ、チオグアニン、チオテパ(チオプレックス(thioplex))、チロロン、トポテカン、トレチノイン(ベサノイド(vesanoid))、トリアジクォン(triaziquone)、トリコデルミン(trichodermin)、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメトレキサート(ニュートレキシン(neutrexin))、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンスルフィド、トリス(アジリジニル)−p−ベンゾキノン、トリス(アジリジニル)ホスフィンスルフィド、ウラシルマスタード、ビダラビン、ビダラビンリン酸、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン(ベルバン(velban))、硫酸ビンクリスチン(オンコビン)、ビンデシン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン)、(l)−ミモシン、1−(2−クロロエチル)−3−(4−メチルシクロヘキシル)−1−ニトロソ尿素、(8S−cis)−10−((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−アルファ−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン、131−メタ−ヨードベンジルグアニジン(I−131MIBG)、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼニル)−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド、5−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、2,4,6−トリス(1−アジリジニル)−s−チアジン、2,3,5−トリス(1−アジリジニル)−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン、2−クロロ−N−(2−クロロエチル)−N−メチルエタンアミン、N,N−ビス(2−クロロエチル)テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−アミン−2−オキシド、3−デアザウリジン、3−ヨードベンジルグアニジン、5,12−ナフタセンジオン、5−アザシチジン、5−フルオロウラシル、(1aS,8S,8aR,8bS)−6−アミノ−8−(((アミノカルボニル)オキシ)メチル)−1,1a,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8a−メトキシ−5−メチルアジリノ(2’,3’:3,4)ピロロ(1,2−a)インドール−4,7−ジオン、6−アザウリジン、6−メルカプトプリン、8−アザグアニンおよびそれらの組み合わせも挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の方法において使用される化学療法剤は、パクリタキセルである。別の特定の実施形態において、本発明の方法において使用され化学療法剤は、アドリアマイシンである。
アポトーシス誘導治療として投与され得る好ましい治療薬およびそれらの組み合わせとしては、ドキソルビシンおよびドキセタキセル、トポテカン、パクリタキセル(タキソール)、カルボプラチンおよびタキソール、シスプラチンおよび放射線、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−FUおよび放射線、トキソテール(Toxotere)、フルダラビン、Ara C、エトポシド、ビンクリスチンならびにビンブラスチンが挙げられる。1つの実施形態において、治療薬は、シスプラチンである。
本発明の方法において投与され得る化学療法剤としては、抗生物質誘導体(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシンおよびダクチノマイシン);抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);代謝拮抗物質(例えば、フルオロウラシル、5−FU、メトトレキサート、フロクスウリジン、インターフェロンアルファ−2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリンおよび6−チオグアニン);細胞傷害剤(例えば、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチンおよびビンクリスチンスルフェート);ホルモン(例えば、メドロキシプロゲステロン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、ジエチルスチルベストロールジホスフェート、クロロトリアニセンおよびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例えば、メルファラン(mephalen)、クロラムブシル(chorambucil)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイドおよび組み合わせ(例えば、リン酸ベタメタゾンナトリウム(bethamethasone sodium phosphate));ならびにその他(例えば、ダカルバジン(dicarbazine)、アスパラギナーゼ、ミトタン、ビンクリスチンスルフェート、ビンブラスチンスルフェートおよびエトポシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本発明の抗体は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)またはCHOPの構成要素の任意の組み合わせと組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、治療的な放射線とともに、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのHER2抗体を投与することに関する。他の実施形態において、方法は、治療的な放射線とともに、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのEGFR抗体を投与することに関する。必要に応じて、これらの方法は、化学療法剤の投与も含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、化学療法剤または治療的な放射線とともに、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのHER2抗体を投与することを含み得る。他の実施形態において、本発明は、化学療法剤または治療的な放射線とともに、少なくとも1つのC35抗体および少なくとも1つのEGFR抗体を投与することを含み得る。
治療的な放射線には、例えば、分割放射線療法、非分割放射線療法および過分割放射線療法ならびに放射線と化学療法との組み合わせが含まれる。放射線のタイプには、電離(ガンマ)放射線、粒子放射線、低エネルギー透過(LET)、高エネルギー透過(HET)、紫外線、赤外線、可視光線および光感作性放射線も含まれる。本明細書中で使用されるとき、化学療法は、単一の化学療法剤または薬剤の組み合わせを用いる処置を含む。処置の必要な被験体において、化学療法は、外科的処置もしくは放射線療法、または他の抗新生物性の処置様式と併用される。
さらなる実施形態において、本発明の抗体またはそれらの組み合わせは、抗ウイルス剤と併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得る抗ウイルス剤としては、アシクロビル、リバビリン、アマンタジンおよびレマンチジン(remantidine)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の抗体またはそれらの組み合わせは、制吐薬(例えば、2−(エチルチオ)−10−(3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル)−10H−フェノチアジン(エチルチオペラジン)、1−(p−クロロ−アルファ−フェニルベンジル)−4−(m−メチルベンジル)−ピペラジン(メクロジン、メクリジン)など、およびそれらの組み合わせ)とともに投与され得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、本明細書中に開示されるかまたは当該分野で公知である他の治療薬およびそれらの組み合わせとともに投与され得る。
本発明の抗体またはそれらの組み合わせと併用して投与され得る従来の非特異的な免疫抑制剤としては、ステロイド、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミドメチルプレドニゾン、プレドニゾン、アザチオプリン、FK−506、15−デオキシスペルグアリン、およびT細胞に応答する機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本発明の抗体またはそれらの組み合わせは、免疫抑制薬と併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得る免疫抑制薬調製物としては、ORTHOCLONETM(OKT3)、SANDIMMUNETM/NEORALTM/SANGDYATM(シクロスポリン)、PROGRAFTM(タクロリムス)、CELLCEPTTM(ミコフェノレート)、アザチオプリン、グルコルチコステロイドおよびRAPAMUNETM(シロリムス)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、免疫抑制薬は、臓器または骨髄の移植の拒絶を予防するために使用され得る。
追加の実施形態において、本発明の抗体は、単独で、または1つ以上の静脈内免疫グロブリン調製物との併用で、投与される。本発明の抗体とともに投与され得る静脈内免疫グロブリン調製物としては、GAMMARTM、IVEEGAMTM、SANDOGLOBULINTM、GAMMAGARD S/DTMおよびGAMIMUNETMが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本発明の抗体は、移植治療(例えば、骨髄移植)において、静脈内免疫グロブリン調製物と併用して投与される。
追加の実施形態において、本発明の抗体は、単独で、または抗炎症剤との併用で、投与される。本発明の抗体とともに投与され得る抗炎症剤としては、糖質コルチコイド、および非ステロイド性抗炎症薬、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、ピホキシム(pifoxime)、プロカゾン(proquazone)、プロキサゾール(proxazole)およびテニダプが挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる実施形態において、本発明の抗体は、サイトカインと併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得るサイトカインとしては、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL13、IL15、抗CD40、CD40L、IFN−ガンマおよびTNF−アルファが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、本発明の抗体は、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20およびIL−21を含むがこれらに限定されない任意のインターロイキンとともに投与され得る。
追加の実施形態において、本発明の抗体は、脈管形成タンパク質と併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得る脈管形成タンパク質としては、欧州特許番号EP−399816に開示されているような神経膠腫由来成長因子(GDGF);欧州特許番号EP−682110に開示されているような血小板由来成長因子−A(PDGF−A);欧州特許番号EP−282317に開示されているような血小板由来成長因子−B(PDGF−B);国際公開番号WO92/06194に開示されているような胎盤成長因子(PIGF);Hauserら、Growth Factors,4:259−268(1993)に開示されているような胎盤成長因子−2(PIGF−2);国際公開番号WO90/13649に開示されているような血管内皮成長因子(VEGF);欧州特許番号EP−506477に開示されているような血管内皮成長因子−A(VEGF−A);国際公開番号WO96/39515に開示されているような血管内皮成長因子−2(VEGF−2);血管内皮成長因子B(VEGF−3);国際公開番号WO96/26736に開示されているような血管内皮成長因子B−186(VEGF−B186);国際公開番号WO98/02543に開示されているような血管内皮成長因子−D(VEGF−D);国際公開番号WO98/07832に開示されているような血管内皮成長因子−D(VEGF−D);および独国特許番号DE19639601に開示されているような血管内皮成長因子−E(VEGF−E)が挙げられるが、これらに限定されない。上で言及した参考文献は、本明細書中で参考として援用される。
追加の実施形態において、本発明の抗体は、造血性成長因子と併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得る造血性成長因子としては、LEUKINETM(SARGRAMOSTIMTM)およびNEUPOGENTM(FILGRASTIMTM)が挙げられるが、これらに限定されない。
追加の実施形態において、本発明の抗体は、線維芽細胞成長因子と併用して投与される。本発明の抗体とともに投与され得る線維芽細胞成長因子としては、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FGF−12、FGF−13、FGF−14およびFGF−15が挙げられるが、これらに限定されない。
投与のタイミング
本明細書中に記載される任意のアポトーシス誘導治療は、本発明の抗C35抗体の1つ以上の前、同時または後に施され得る。特定の実施形態において、アポトーシス誘導剤は、抗HER2抗体、抗EGFR抗体および抗IGFR抗体から選択される抗体である。いくつかの実施形態において、抗C35抗体と1つ以上のアポトーシス誘導抗体とが、同時に投与される。例えば、抗C35抗体は、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体と同時に投与される。他の実施形態において、それらの抗体は、別々に投与される。例えば、抗HER2抗体が、一度に投与され得、次いで、抗C35抗体が、同日中の後で投与され得るか、または1つ目の抗体が投与された日の1日以上後で投与され得る。同様に、抗EGFR抗体が、一度に投与され得、次いで、抗C35抗体が、同日中の後で投与され得るか、または1つ目の抗体が投与された日の1日以上後で投与され得る。同様に、抗IGFR抗体が、一度に投与され得、次いで、抗C35抗体が、同日中の後で投与され得るか、または1つ目の抗体が投与された日の1日以上後で投与され得る。抗C35抗体は、他の抗体(例えば、抗HER2、抗EGFRまたは抗IGFR)が投与されない日に、例えば、抗HER2抗体、抗EGR抗体もしくは抗IGFR抗体のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを投与する前の日に、あるいは、抗HER2抗体、抗EGR抗体もしくは抗IGFR抗体のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを投与した後の日に、投与され得る。
他の実施形態において、複数の抗体(例えば、抗C35抗体ならびに抗HER2および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)の投与は、化学療法剤、例えば、パクリタキセル(TaxolTM)、アドリアマイシン、シスプラチンまたは本明細書中に記載される他の任意の薬剤の投与の、前、後または同時に行われ得る。例えば、それらの抗体の1つまたは2つ以上が、パクリタキセル、アドリアマイシン、シスプラチンまたは他の薬剤と同時に、または同じ日に、投与され得る。あるいは、パクリタキセル、アドリアマイシン、シスプラチンまたは他の薬剤は、抗体が投与されない日、例えば、少なくとも1つの抗体を投与する前の日またはそれらの抗体のうちの少なくとも1つを投与した後の日に投与され得る。
いくつかの実施形態において、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体(antiobdy)および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、少なくとも1つの抗C35抗体の投与の前に投与され得る。例えば、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、処置の必要のある被験体に少なくとも1つの抗体を投与する約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間前に投与され得る。いくつかの実施形態において、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、本発明の抗C35抗体の少なくとも1つを投与する約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30または31日前に投与され得る。特定の実施形態において、アポトーシス誘導治療は、抗体、詳細には、抗HER2抗体、抗EGFR抗体または抗IGFR抗体である。特定の実施形態において、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。別の特定の実施形態において、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。他の実施形態において、アポトーシス誘導剤は、化学療法剤、例えば、パクリタキセルまたはアドリアマイシンまたはシスプラチンである。
いくつかの実施形態において、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、少なくとも1つの抗C35抗体の投与後に投与され得る。例えば、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、処置の必要のある被験体に少なくとも1つの抗C35抗体を投与した約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間後に投与され得る。いくつかの実施形態において、アポトーシス誘導剤(例えば、抗HER2抗体および/または抗EGFR抗体および/または抗IGFR抗体)は、本発明の抗C35抗体の少なくとも1つを投与した約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30または31日後に投与され得る。特定の実施形態において、アポトーシス誘導治療は、抗体、詳細には、抗HER2抗体、抗EGFR抗体または抗IGFR抗体である。特定の実施形態において、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。別の特定の実施形態において、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。他の実施形態において、アポトーシス誘導剤は、化学療法剤、例えば、パクリタキセルまたはアドリアマイシンまたはシスプラチンである。
1つの実施形態において、抗体は、処置の経過中において週1回の間隔で投与される。特定の実施形態において、抗体は、処置の経過中において2週間にわたって1週間に1回投与される。より特定の実施形態において、抗体は、処置経過の最初の2週間において1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、抗体は、処置の経過中において1週間に1回、2回または3回投与される。特定の実施形態において、抗体は、処置の経過中において1週間に2回投与される。
1つの実施形態において、抗体は、週2回投与される。別の実施形態において、治療薬(例えば、パクリタキセル、アドリアマイシンまたはシスプラチンなどの化学療法剤)は、1週間に1回投与される。1つの実施形態において、治療薬は、処置の1日目に投与され、2回目の治療薬の投薬は、1週間後に投与されるが、抗体の組み合わせは、1週間に2回投与される。
特定の実施形態において、処置の過程は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または1年継続され得る。処置の経過の期間は、癌のタイプ、使用される抗体、化学療法剤、患者の年齢などに依存し得る。これらのパラメータは、当業者によって決定され得る。
治療活性の証明
本発明の方法および抗体は、ヒトにおいて使用する前に、所望の治療的または予防的な活性について、インビトロにおいて試験され得、次いで、インビボにおいて試験され得る。例えば、化合物または薬学的組成物の治療的または予防的な有用性を証明するインビトロアッセイは、細胞株または患者組織サンプルに対する化合物の効果を含む。その細胞株および/または組織サンプルに対する化合物または組成物の効果は、細胞増殖アッセイおよび細胞溶解アッセイを含むがこれらに限定されない当業者に公知の手法を利用して測定され得る。本発明によると、特定の化合物の投与が必要とされるか否かを判定するために使用され得るインビトロアッセイとしては、患者組織サンプルが培養において生育され、化合物に曝露されるか、または別途化合物を投与され、そして組織サンプルに対するそのような化合物の効果を観察するインビトロ細胞培養アッセイが挙げられる。
キット
本発明は、上記の方法において使用され得るキットを提供する。1つの実施形態において、キットは、少なくとも1つのC35、および少なくとも1つのHER2抗体または少なくとも1つのEGFR抗体または少なくとも1つのIGFR抗体のいずれか、好ましくは、1つ以上の精製された抗体を、1つ以上の容器内に備える。
VIII.薬学的組成物および投与方法
本発明の抗体の1つ以上、または本発明のそれらの抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体を調製する方法、およびそれらを必要とする被験体にそれらを投与する方法は、当業者に周知であるか、または当業者によって容易に決定される。それらの抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入または局所的であり得る。非経口という用語は、本明細書中で使用されるとき、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣投与を含む。これらの形態の投与のすべてが、本発明の範囲内であると明確に企図されるが、投与するための形態は、注射用、特に、静脈内もしくは動脈内注射用または点滴用の溶液であり得る。通常、注射に適した薬学的組成物は、緩衝液(例えば、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、必要に応じて、安定剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含み得る。しかしながら、本明細書中の教示に適合性の他の方法では、本発明の抗体、または本発明のその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、有害な細胞集団の部位に直接送達されることにより、その治療薬への患部組織の曝露が増加し得る。
前に述べたように、少なくとも1つの抗C35抗体、および少なくとも1つの抗HER2抗体または少なくとも1つの抗EGFR抗体または少なくとも1つの抗IGFR抗体、あるいは本発明のその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体は、癌、特に、乳癌などの過剰増殖性疾患のインビボ処置に対して薬学的に有効な量で投与され得る。
この点において、投与が容易になるように、および活性な薬剤の安定性を促進するように、開示される抗体が製剤化され得ることが、認識されるだろう。好ましくは、本発明に記載の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な無毒性の滅菌キャリア(例えば、生理食塩水、無毒性緩衝液、保存剤など)を含む。本願の目的で、結合体化されているかまたは結合体化されていない、抗体、またはその抗原結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体の薬学的に有効な量は、標的への効率的な結合を達成するのに十分な量、および利益を達成するのに十分な量、例えば、疾患もしくは障害の症状を改善するのに十分な量、または物質もしくは細胞を検出するのに十分な量のことを意味すると考えられなくてはならない。
1つの実施形態において、抗体全体の用量は、単回のボーラスで提供される。あるいは、その用量は、長期間にわたる注入方法などの複数回の投与、または数時間もしくは数日間、例えば、約2〜約4日間にわたって投与される反復注射によって提供され得る。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗C35抗体および少なくとも1つの抗HER2抗体または抗EGFR抗体または抗IGFR抗体が、同じ薬学的調製物内において同時に投与される。他の実施形態において、それらの抗体は、別個の薬学的調製物として、同時にまたは連続的に、投与される。
化合物が核酸または免疫グロブリンを含むときに使用され得る処方物および投与方法が、上に記載されている;追加の適切な処方物および投与経路は、本明細書中の以下に記載されるものから選択され得る。
様々な送達系(例えば、リポソーム内、微小粒子内、マイクロカプセル内、化合物を発現することができる組換え細胞内への封入、レセプター媒介性のエンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築など)が、知られており、本発明の化合物を投与するために使用され得る。導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口の経路が挙げられるがこれらに限定されない。それらの化合物または組成物は、任意の都合の良い経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚の裏打ち(例えば、口の粘膜、直腸および腸管の粘膜など)を通過する吸収によって、投与され得、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与され得る。投与は、全身性または局所的であり得る。さらに、本発明の薬学的化合物または薬学的組成物を脳室内および髄腔内注射を含む任意の適当な経路によって中枢神経系に導入することが望ましい場合がある;脳室内注射は、例えば、オマヤレザバーなどのレザバーに取り付けられている、脳室内カテーテルによって容易になり得る。肺投与もまた、例えば、吸入器または噴霧器およびエアロゾル化剤を含む処方物を使用することによって、使用され得る。
特定の実施形態において、本発明の薬学的化合物または薬学的組成物を、処置の必要な領域に局所的に投与することが望まれる場合がある;これは、例えば、限定されないが、手術中の局所的な注入によって、局所的適用によって、例えば、手術後の創傷被覆材と併用して、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、または埋没物を用いて(前記埋没物は、シラスティック(sialastic)膜などの膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性もしくはゼラチン状の材料である)、達成され得る。好ましくは、本発明の抗体を含むタンパク質を投与するときは、そのタンパク質を吸収しない材料を使用することに注意を払わなければならない。
別の実施形態において、化合物または組成物は、ベシクル内、特に、リポソーム内において送達され得る(Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353−365(1989);Lopez−Berestein,同書.,pp.317−327を参照のこと;広く同書を参照のこと)。
さらに別の実施形態において、化合物または組成物は、放出制御システムにおいて送達され得る。1つの実施形態において、ポンプが使用され得る(Langer,前出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料が使用され得る(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,New York(1984);Ranger and Peppas,J.,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照のこと;Levyら、Science 228:190(1985);Duringら、Ann.Neurol.25:351(1989);Howardら、J.Neurosurg.71:105(1989)もまた参照のこと)。さらに別の実施形態において、放出制御システムが、治療的な標的、すなわち、脳の近位に置かれ得、それゆえ、全身性用量の一部だけが必要となる(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,前出,vol.2,pp.115−138(1984)を参照のこと)。他の放出制御システムは、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による概説において考察されている。
本発明は、薬学的組成物も提供する。そのような組成物は、治療有効量の化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む。特定の実施形態において、用語「薬学的に許容可能な」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されていることまたは米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。用語「キャリア」とは、治療薬とともに投与される、希釈剤、佐剤、賦形剤またはビヒクルのことを指す。そのような薬学的キャリアは、滅菌された液体(例えば、水および油(石油、動物起源、植物起源または合成起源のものを含む)(例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など))であり得る。薬学的組成物が、静脈内に投与されるとき、水が、好ましいキャリアである。食塩水溶液ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液もまた、特に注射溶液に対する液体キャリアとして使用され得る。適当な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、穀粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。本組成物は、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤も含み得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、徐放処方物などの形態をとり得る。本組成物は、従来の結合剤およびキャリア(例えば、トリグリセリド)とともに坐剤として製剤化され得る。経口処方物は、標準的なキャリア(例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含み得る。適当な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによって“Remington’s Pharmaceutical Sciences”に記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、適当量のキャリアとともに、治療有効量の化合物を好ましくは精製された形態で含み得る。その処方物は、投与様式に適合しているべきである。
好ましい実施形態において、組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合された薬学的組成物として、通例の手順に従って製剤化される。代表的には、静脈内投与用の組成物は、滅菌された等張性水性緩衝液中の溶液である。必要であれば、本組成物は、可溶化剤、および注射部位における疼痛を和らげるためにリグノカインなどの局所麻酔剤も含み得る。一般に、それらの成分は、別々に供給されるか、または単位剤形内に、例えば、活性な薬剤の量を示しているアンプルまたはサシェ(sachette)などの密閉された容器内の、凍結乾燥粉末として、もしくは水を含まない濃縮物として、共に混合される。その組成物が、注入によって投与されるとき、滅菌された製薬グレードの水または食塩水が入った注入ボトルを用いて調剤され得る。その組成物が、注射によって投与される場合、注射用の滅菌水または食塩水のアンプルが、提供され得、それらの成分が投与前に混合され得る。
本発明の化合物は、中性の形態または塩の形態として製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから得られる塩などの陰イオンを用いて形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから得られる塩などの陽イオンを用いて形成される塩が挙げられる。
本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連する疾患または障害の処置、阻害および予防において有効であり得る本発明の化合物の量は、標準的な臨床上の手法によって決定され得る。さらに、最適な投薬量の範囲を特定するのを助けるために、インビトロアッセイが、必要に応じて使用され得る。処方物において使用されるべき正確な用量は、投与経路および疾患または障害の重症度にも依存し得、また、専門家の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムから得られた用量反応曲線から外挿され得る。1つの例において、化学療法剤の最大耐用量の決定および代表的な化学療法プロトコルは、米国特許出願番号2005/0158323A1(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
抗体の場合、患者に投与される投薬量は、代表的には、約0.1mg/kg〜約100mg/kg患者体重である。好ましくは、患者に投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kg患者体重、より好ましくは、約1mg/kg〜約10mg/kg患者体重である。いくつかの実施形態において、抗体は、約10mg/kg〜約50mg/kg患者体重の総用量で投与される。別の実施形態において、抗体は、約20mg/kg〜約40mg/kgの総用量で投与される。一般に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドに対する免疫応答に起因して、他の種由来の抗体よりもヒトの体内で長い半減期を有する。したがって、より少ない投薬量およびより低い頻度のヒト抗体の投与が、可能であることが多い。さらに、本発明の抗体の投薬量および投与頻度は、例えば、脂質化などの修飾によって、抗体の取り込みおよび組織浸透を高めることにより、減少し得る。
上で述べたように、本発明は、本発明の薬学的組成物の成分のうちの1つ以上で満たされた1つ以上の容器を備えた薬学的パックまたはキットも提供する。例えば、その薬学的パックまたはキットは、2つ以上の抗体(例えば、少なくとも1つの抗C35抗体および少なくとも1つの抗HER2抗体または少なくとも1つの抗EGFR抗体または少なくとも1つの抗IGFR抗体)およびパクリタキセルまたはアドリアマイシンなどの化学療法剤を含む抗体調製物を備え得る。いくつかの実施形態において、抗体は、同じ容器に入っている。他の実施形態において、抗体は、別個の容器に入っている。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、抗体調製物として同じ容器に入っている。他の実施形態において、化学療法剤は、別個の容器に入っている。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制している行政機関によって規定されている形態での警告が、必要に応じてそのような容器に付随され得、その警告は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する機関による承認を表している。
抗体は、当業者に公知の従来の免疫組織学的方法を用いて、生物学的サンプル中の本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのレベルをアッセイするために使用され得る(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987)を参照のこと)。タンパク質の遺伝子発現の検出に有用な他の抗体ベースの方法としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが挙げられる。適当な抗体アッセイ標識は、当該分野で公知であり、それらとしては、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識;放射性同位体(例えば、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113In、112In、111In)およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、88Re、142Pr、105Rh、97Ru);ルミノールなどの発光標識;ならびにフルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識およびビオチンが挙げられる。
生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルのアッセイに加えて、タンパク質は、イメージングによってインビボにおいても検出され得る。タンパク質のインビボイメージングのための抗体標識またはマーカーとしては、X線撮影、NMRまたはESRによって検出可能なものが挙げられる。X線撮影の場合は、適当な標識としては、検出可能な放射線を放射するが、被験体にとって明らかに有害でない、バリウムまたはセシウムなどの放射性同位体が挙げられる。NMRおよびESRに対する適当なマーカーとしては、関連するハイブリドーマに対する栄養分の標識によって抗体に組み込まれ得る、ジュウテリウムなどの検出可能で特徴的なスピンを有するものが挙げられる。
適切な検出可能なイメージング部分(例えば、放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc、(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F、153Sm、177Lu、59Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru))、放射線不透過性物質または核磁気共鳴によって検出可能な材料)で標識されたタンパク質特異的抗体または抗体フラグメントが、免疫系障害について調べられる哺乳動物に、導入される(例えば、非経口的、皮下または腹腔内に)。被験体のサイズおよび使用されるイメージングシステムが、診断的画像を生成するのに必要なイメージング部分の量を決定することが当該分野において理解されるだろう。放射性同位体部分の場合、ヒト被験体に対しては、注射される放射能の量は、通常、99mTcの約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フラグメントは、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する細胞の位置に優先的に蓄積し得る。インビボ腫瘍イメージングは、S.W.Burchielら、“Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments”(Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of CancerのChapter 13,S.W.Burchiel and B.A.Rhodes,eds.,Masson Publishing Inc.(1982))に記載されている。
当該分野で公知の手法が、本発明のポリペプチド(抗体を含む)を標識するために適用され得る。そのような手法としては、二機能性の結合体化剤の使用が挙げられるが、これに限定されない(例えば、米国特許第5,756,065号;同第5,714,631号;同第5,696,239号;同第5,652,361号;同第5,505,931号;同第5,489,425号;同第5,435,990号;同第5,428,139号;同第5,342,604号;同第5,274,119号;同第4,994,560号;および同第5,808,003号を参照のこと;これらの各々の内容が、本明細書によってその全体が参考として援用される)。
本発明の実施は、別段示されない限り、当該分野の技術の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の手法を用いる。そのような手法は、文献において十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,Sambrookら、ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:(1989);Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、ed.,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1992)、DNA Cloning,D.N.Glover ed.,Volume IおよびII(1985);Oligonucleotide Synthesis,M.J.Gait ed.,(1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984);Transcription And Translation,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984);Culture Of Animal Cells,R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,(1987);Immobilized Cells And Enzymes,IRL Press,(1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);学術論文のMethods In Enzymology,Academic Press,Inc.,N.Y.;Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,J.H.Miller and M.P.Calos eds.,Cold Spring Harbor Laboratory(1987);Methods In Enzymology,Vol.154および155(Wuら、eds.);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology,Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London(1987);Handbook Of Experimental Immunology,Volume I〜IV,D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.,(1986);Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)を参照のこと。
抗体工学の一般原理は、Antibody Engineering,2nd edition,C.A.K.Borrebaeck,Ed.,Oxford Univ.Press(1995)に示されている。タンパク質工学の一般原理は、Protein Engineering,A Practical Approach,Rickwood,D.ら、Eds.,IRL Press at Oxford Univ.Press,Oxford,Eng.(1995)に示されている。抗体および抗体−ハプテン結合の一般原理は:Nisonoff,A.,Molecular Immunology,2nd ed.,Sinauer Associates,Sunderland,MA(1984);およびSteward,M.W.,Antibodies,Their Structure and Function,Chapman and Hall,New York,NY(1984)に示されている。さらに、当該分野で公知であり、詳細に記載されない、免疫学における標準的な方法は、広く、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Stitesら(eds),Basic and Clinical−Immunology(8th ed.),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)およびMishell and Shiigi(eds),Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)におけるように従う。
免疫学の一般原理を示している標準的な参考資料としては、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Klein,J.,Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination,John Wiley & Sons,New York(1982);Kennett,R.ら、eds.,Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,New York(1980);Burden,R.ら、eds.,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.13の中のCampbell,A.,“Monoclonal Antibody Technology”,Elsevere,Amsterdam(1984),Kuby Immunnology 4th ed.Ed.Richard A.Goldsby,Thomas J.Kindt and Barbara A.Osborne,H.Freemand & Co.(2000);Roitt,I.,Brostoff,J.and Male D.,Immunology 6th ed.London:Mosby(2001);Abbas A.,Abul,A.and Lichtman,A.,Cellular and Molecular Immunology Ed.5,Elsevier Health Sciences Division(2005);Kontermann and Dubel,Antibody Engineering,Springer Verlan(2001);Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Press(2001);Lewin,Genes VIII,Prentice Hall(2003);Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988);Dieffenbach and Dveksler,PCR Primer Cold Spring Harbor Press(2003)が挙げられる。
上で引用された参考文献のすべて、ならびに本明細書中および本明細書中の以下で引用される参考文献のすべてが、本明細書中でそれらの全体が参考として援用される。
実施例1
C35陽性乳房腫瘍におけるEGFRおよびHER2の発現
C35陽性ヒト乳癌におけるEGFRおよびHER2の発現プロファイルを解析した。一般に、すべてのHER2陽性腫瘍は、C35陽性でもある。しかしながら、すべてのC35陽性腫瘍が、HER2陽性であるとは限らない。C35陽性腫瘍の臨床上のプロファイルをよりよく理解するために、免疫組織学的なスコアによる、C35hi発現と、HER2過剰発現(HER2hi腫瘍)およびEGFR発現との相関を表3に示す。C35hi腫瘍は、スコア2+または3+と定義した。
腫瘍サンプル
腫瘍組織サンプルは、腋窩の手術を受けていて、補助療法を受けておらず、そして病理においてリンパ節陰性だった、乳癌と診断された患者由来のものだった。乳癌組織の3つの0.6mm2芯を、代表的な腫瘍領域から取り出した。これらの芯を用いることにより、組織マイクロアレイを3つ組で構築した。
免疫組織化学
C35を、アフィニティ精製されたウサギポリクローナル抗体78.2を0.42μg/mlで用いて検出した。クエン酸ナトリウム緩衝液(18μMクエン酸、82μMクエン酸ナトリウム,pH6.0)を用いて、抗原回収を行った。ウサギポリクローナル抗体(Dako,Carpinteria,CA)を1:50希釈で用いて、サイトケラチン5/6(CK5/6)を検出した。Tris/EDTA緩衝液(1mM EDTA、10mM Tris−HCl塩基,pH8.0)を用いて、抗原回収を行った。
マウス抗体(31G7クローン,Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いてEGFRを検出し、37℃において10分間、抗原を回収した(0.1%トリプシン、0.1%塩化カルシウム)。REAL EnVisionマウス/ウサギキット(Dako)を製造者の指示書に従って用いて、C35およびEGFRに対する標準的な免疫組織化学プロトコルを行った。
製造者の指示書に従ってHercepTest(Dako)を用いて、HER2免疫組織化学を行った;96℃において40分間、抗原回収を行った。Autostainer(Dako)において染色を行った。
フィッシャーの直接両側検定による統計解析から、C35hi群内のEGFR発現が、HER2hiサブセットとHER2−/lowサブセットとの間で有意に異なることが示された:p=0.0048。
30(30)個のC35陽性腫瘍を、Her2/neuおよびEGFRの発現についてスコアづけした。その30個の腫瘍のうち7(7)個が、C35+/Her2+/EGFR−であり、17/30個が、C35+/Her2−/EGFR+であり、3/30個が、C35+/Her2+/EGFR+であり、3/30個が、C35+/Her2−/EGFR−である。そのC35陽性腫瘍の90パーセントが、HER2またはEGFRについて陽性だった。
上の表3に示される結果から、C35形質転換活性は、第2のトランスフォーミング遺伝子と関連させるときに最も高いことが説明される。
実施例2
癌を処置するためのC35抗体とHER2抗体との組み合わせ
図1および2に図示され、そしてこの実施例において記載されるように、抗C35抗体および抗HER2抗体の投与に関する癌の処置方法を試験した。この実施例は、天然のHer2+/C35+ヒト乳癌異種移植モデルであるBT474−MDにおいてトラスツズマブと併用される、抗C35マウスモノクローナル抗体1F2および1B3の効果を示す。
1F2および1B3抗体の作製
72時間にわたる保存培養を用いて、合計3.5LのCDハイブリドーマを、2.0×105細胞/mlで播種した。その培養物を、700ml/フラスコで3L振盪フラスコに分割した。それらのフラスコを、90〜120rpmで振盪している37℃の7%CO2恒温器内に、いかなる培地も追加せずに7日間置いた。7日目に、回収する前に細胞を数えるためにサンプルを各フラスコから採取した。トリパンブルー排除によって計数した。細胞培養物の3.5Lすべてを、3200rpm(2100×g)で遠心することによって清澄にした。清澄にされた培地を、0.22μmフィルターユニットを用いて濾過滅菌した。精製するまで、清澄にされた/濾過された上清を4℃で一晩保存した。
抗体1B3の場合、上清を、毎週、約10〜12ml/回収/工場で回収した。抗体ロットは、最初の6回の連続した回収物からなった。
抗体の精製
その上清中の抗体を、Gammabind G(GE Healthcare)カラムに結合させた。その結合した抗体を、1M NaClを含むPBS,pH7.2中で洗浄することにより、エンドトキシンを減少させた。洗浄された抗体を、0.1Mグリシン,pH2.7を用いて1:5体積の1M Tris,pH8.0を含む画分に溶出した。G25PD10カラム(GE Healthcare)を用いて、溶出された抗体を含む画分の緩衝液交換を行った。その緩衝液交換された抗体をプールし、Centricon Plus−70限外濾過(ultrafitration)(Millipore,30kDA MWCO)を用いて7.5mg/mLに濃縮した。その濃縮された抗体を、陰イオン交換Mustang Q(Pall)膜に通した。抗体を含む通過液を回収した。この最終的な製剤化された抗体を、0.2μmシリンジフィルター(Pall)を用いてバイオセイフティーフード内で濾過滅菌した。Nanodrop分光光度計を用いてA280によってタンパク質濃度を測定した。
細胞培養
天然のC35+/HER2+ヒト乳房腫瘍BT474−MD細胞株は、Jose Baselga氏からの許可を得て移された、MD AndersonのRonald Bast氏からの厚意による贈与だった。この細胞株の履歴:Jose Baselga氏の研究室においてATCCからBT474を取得し、それをマウスに継代し、そしてエキソビボ培養することにより、インビボにおいて絶えず腫瘍を形成することができる系統を作製した。その細胞株を限界希釈によってサブクローン化し、そしてインビボにおいて好ましい成長動態および生着速度(take rates)を有するクローンを同定した。その細胞株をBT474−MDと命名し、10%ウシ胎児血清を含むように調整されたダルベッコ改変イーグル培地(Invitrogen)中で培養する。移植のための調製において、細胞を、トリプシン−EDTAを用いて剥離し、PBS中で洗浄し、そして108/mlの体積に再懸濁した。
動物
4週齢のSwissヌードマウスをTaconic Farmsから購入した。動物を、特定病原体が除去されたバリア設備の条件下に収容した。すべての実験が、Animal Resources承認プロトコルにおいてUniversity Committeeのもとに行われた。
アポトーシス誘導薬物
抗HER2抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標),Genentech)を、供給されるビヒクル中に21mg/mlに希釈した。トラスツズマブの最終的な用量は、10または100μg/用量(約0.5または5mg/kg)であり、移植後の12日目に開始して3週間にわたって各週において2回静脈内注射を介して投与された。
移植および処置
1000万個のC35陽性BT474−MD腫瘍細胞を、4週齢のSwissヌードマウスの乳房脂肪パッドにおいて皮下に移植した。90日間放出するエストロゲン植込剤を、移植の24時間前に各動物に移植した。6〜9匹のマウスの群の各々は、以下の処置のうちの1つを受けた:
1.処置なし(コントロール群)。
2.12日目に開始し、3週間にわたって1週間に2回継続する、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
3.12日目に開始し、3週間にわたって1週間に2回継続する、1F2マウスモノクローナル抗体の800μg/i.v.注射(40mg/kg)と併用される、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
4.12日目に開始し、3週間にわたって1週間に2回継続する、1B3マウスモノクローナル抗体の800μg/i.v.注射(40mg/kg)と併用される、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
移植後の様々な時点において、平均マウス腫瘍体積を測定した(図1)。ノギスを用いて、各腫瘍について2つの測定を行った;式(縦×横2)/2を用いて、腫瘍体積を計算した。各腫瘍について、(X日目の腫瘍体積/11日目の腫瘍体積)×100として、腫瘍体積のパーセント変化を計算した。図1に示されるように、1F2または1B3抗C35抗体無しで、記載の用量において単独で投与された(IgGとともに)トラスツズマブは、抗C35抗体と併用して投与されたトラスツズマブに対して、マウスにおける腫瘍成長の阻害について有効ではなかった。トラスツズマブと併用された、2つの試験されたマウス抗C35抗体1F2および1B3の各々が、C35陽性腫瘍の成長をインビボにおいて約5倍阻害した。さらに、これらの併用処置されたマウスは、腫瘍退縮の延長も示した(図2)。従って、抗C35抗体と、抗HER2抗体との併用は、腫瘍成長の減少に有意な効果を有した。
実施例3
抗HER2抗体処置後のC35転位の誘導およびスコアづけ
図3に図示され、そしてこの実施例に記載されるように、抗HER2抗体であるトラスツズマブは、C35タンパク質を細胞膜の外側に転位させること(これは、抗体染色によって検出され得る)が示された。BT474細胞を、完全培地(ダルベッコ改変イーグル培地+ 10%ウシ胎児血清)中に2.5×105細胞/フラスコで播種した。トラスツズマブを、最終濃度4μg/ml(37.5μM)となるようにその完全培地に加えた。その細胞を、37℃で5日間インキュベートし、次いで、トリプシン−EDTAを用いて、浮遊細胞を含めて回収した。
抗体染色:
100万個の細胞をPAB(リン酸緩衝食塩水、0.01%アジド、1%BSA)中で洗浄し、そして0.5μgのウサギ抗C35ポリクローナル抗体78−2またはウサギIgGコントロールとともに30分間インキュベートし、その後、Cy5に結合体化されたロバ抗ウサギ抗体とインキュベートした。細胞を、1×アネキシン結合緩衝液中で洗浄し、そして4μlのアネキシン−PE(BD Pharmingen,アポトーシス細胞上のホスファチジル(phospatidyl)セリンに結合する)および0.1μM Sytox Green(DNA色素、生細胞によって排除される)とともに室温において15分間インキュベートした。
FACS解析:
細胞集団をFSC/SSCについてゲーティングをかけることにより、残骸を排除した。次いで、サンプルを、アネキシンV/Sytox green染色によって2Dで表示し、そして以下の集団にゲーティングをかけた:
a.生存:アネキシンV−/Sytox Green DNA色素−
b.アポトーシス初期:アネキシンV+/Sytox Green DNA色素−
c.アポトーシス後期:アネキシンV+/Sytox Green DNA色素low
d.死滅:アネキシンV+/Sytox Green DNA色素hi
以下の表4は、アポトーシスを起こしていた、および/または死滅していた、トラスツズマブ処理BT474細胞のパーセンテージが、無処理細胞よりも高かったことを示している。
図3に示されるように、生存BT474細胞の集団は、抗C35抗体染色について陰性だった(パネルA)が、アポトーシス後期細胞は、抗C35抗体染色について陽性だった(パネルB)。本明細書中の上で述べたように、通常、内側の細胞膜と会合しているC35抗原は、放射線および/または化学療法によってアポトーシスを起こすように誘導された腫瘍細胞の表面膜上に露出するようになる。米国出願公開番号2005/0158323A1の図1〜3を参照のこと。表4に示されるように、トラスツズマブ処理によって、アポトーシス後期細胞の集団が増加し、そしてアポトーシス後期細胞は、C35について陽性に染色された。ゆえに、トラスツズマブは、アポトーシスを誘導することができ、そしてC35タンパク質を細胞膜の外側表面に転位させることができることから、C35タンパク質を抗C35抗体に対して接近可能な標的にする。したがって、抗HER2抗体とC35抗体との併用処置の1つの利点は、抗HER2抗体が、アポトーシスを誘導し、C35を腫瘍細胞膜の外側に転位させるという点である。
実施例4
相対的に大きい腫瘍を処置するためにHER2抗体と併用されるC35抗体
図4および5に図示され、そしてこの実施例に記載されるように、BT474−MD移植マウスに抗C35抗体を抗HER2抗体と併用して投与することにより、相対的に大きい腫瘍の腫瘍成長が失速されるか、または阻害される。処置を約50mm3の腫瘍サイズにおいて開始したとき、1F2抗C35抗体の単独での使用およびトラスツズマブとの併用での使用によって、腫瘍の成長が失速することまたは減少することが、図4に示されている。図5は、処置を開始する時点における腫瘍サイズが、一層大きい約100mm3であるとき、トラスツズマブと併用される抗C35マウスモノクローナル抗体1F2が、腫瘍の成長を阻害することを示している。
トラスツズマブ単独、1F2単独、または1F2との併用のトラスツズマブで処置されたマウスにおける平均腫瘍体積を試験した。平均腫瘍体積を測定するための方法は、この実施例では、処置を、平均腫瘍サイズが約50mm3または100mm3だったそれぞれ15または22日目に開始したことを除いて、実施例2に記載した方法と同様であった。
15日目に開始する処置の場合、9〜12匹のマウスの群の各々は、以下の処置のうちの1つを受けた:
1.処置なし(食塩水コントロール群)。
2.15日目に開始し、約2週間にわたって1週間に2回継続する、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
3.15日目に開始し、約2週間にわたって1週間に2回継続する、1F2マウスモノクローナル抗体の800μg/i.v.注射(40mg/kg)と併用される、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
4.コントロールIgG単独。
5.15日目に開始し、約2週間にわたって1週間に2回継続する、1F2マウスモノクローナル抗体の800μg/i.v.注射(40mg/kg)。
22日目に開始する処置の場合、7〜12匹のマウスの群の各々は、以下の処置を受けた:
1.処置なし(食塩水コントロール群)。
2.22日目に開始し、約2週間にわたって1週間に2回継続する、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
3.22日目に開始し、約2週間にわたって1週間に2回継続する、1F2マウスモノクローナル抗体の800μg/i.v.注射(40mg/kg)と併用される、10μg/用量(約0.5mg/kg)トラスツズマブ/i.v.注射。
移植後の様々な時点において、平均マウス腫瘍体積を測定した(図4)。15日目の処置開始時は、腫瘍体積は、約50mm3だった。平均腫瘍体積を、移植の少なくとも45日後まで測定した。図4に示されるように、トラスツズマブと1F2抗C35抗体との併用は、トラスツズマブ、1F2抗C35抗体単独、IgG単独および無処理と比べて、腫瘍体積の増加を減少させた。
腫瘍成長を減少させるトラスツズマブとの併用での1F2抗C35抗体の使用は、処置開始時において腫瘍体積が約100mm3だったときも、腫瘍の成長の失速または減少について有効だった。移植後の様々な時点において、平均マウス腫瘍体積を測定した(図5)。トラスツズマブと1F2抗C35抗体との併用は、トラスツズマブ単独または無処理と比べて、腫瘍体積を失速させたか、または減少させた。
以下の表5は、抗C35抗体と抗HER2抗体の併用もまた、抗HER2抗体単独と比べて腫瘍成長の妨害に有効であったことを示している。表5に示されるように、静的な腫瘍、すなわち、処置の開始から研究の終わりまで成長しないかまたは相対的に一定のままである腫瘍を有するマウスのパーセンテージは、抗C35 1F2単独またはトラスツズマブ単独と比べて、1F2抗C35抗体とトラスツズマブとの処置の併用によって増加した。その増加は、処置が15日目(腫瘍体積約50mm3)に開始されるか、処置が22日目(腫瘍体積約100mm3)に開始されるかに関係ないことが示された。
したがって、この実施例から、抗C35抗体と抗HER2抗体との併用が、処置を15日目(腫瘍体積約50mm
3)に開始するか、処置を22日目(腫瘍体積約100mm
3)に開始するかに関係なく、抗HER2抗体単独または抗C35抗体単独と比べて、平均腫瘍成長の阻害においてより有効であったことが示される。したがって、この実施例および上の実施例から、併用される抗C35および抗HER2処置が、いずれかの単独の処置よりも、相対的に小さいおよび大きい腫瘍の腫瘍成長の阻害または失速に有効であったことが示される。
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