JP5040313B2 - 音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラム - Google Patents

音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラムに関する。
特許文献1には、エンジン等から発生される周期性ノイズをキャンセルするための騒音キャンセル装置が開示されている。
この技術では、エンジンの回転数を検出し、検出された回転数に応じた参照信号を生成する。そして、参照信号に基づいて生成されたキャンセル信号をスピーカから出力し、キャンセルされないで残ったエラー成分に対して、エンジンのノイズに応じた周波数特性を有するフィルタ処理を施し、得られた信号に基づいて参照信号をコントローラによって処理し、キャンセル信号を生成する。
また、特許文献2には、エンジンのイグニッションパルス信号に基づいて、エンジン回転数の変動に応じた可変フィルタ手段が開示されている。
特開平5−11770号公報(特許請求の範囲、要約書) 特開平7−325586号公報(特許請求の範囲、要約書)
ところで、特許文献1に示す技術では、キャンセル信号に対応する音声をスピーカから出力する必要がある。そのため、エンジン等の比較的音量が大きいノイズをキャンセルするためには、装置のサイズが大きくなってしまうという問題がある。また、スピーカから常に音を出力する必要があることから、消費電力が大きくなるという問題がある。
さらに、特許文献1に示す技術では、適応フィルタを利用し、学習処理によってノイズをキャンセルする効率を高めている。ところで、適応フィルタの学習にはある程度の時間を要する。そのため、例えば、エンジンの回転数が変動した場合には、その新たな回転数に応じた学習処理が必要になることから、学習が終了するまでの間、ノイズが十分にキャンセルされない場合があるという問題点もある。
さらに、特許文献2に示す技術では、イグニッションパルス信号を入力する必要があり、機器の構成が煩雑となるという問題点がある。
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、周期性のノイズを効率良く、かつ、確実に除去することが可能な音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラムを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の音声信号処理装置は、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを有し、これら第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルを比較することにより、帯域の周波数を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて、第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波手段が通過または減衰させる帯域を調整する調整手段と、を有する。
また、発明の音声信号処理装置は、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、帯域の周波数を検出する検出手段と、バンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるようにバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波手段が通過または減衰させる周波数を調整する調整手段と、を有する。
また、発明の音声信号処理装置は、上述の発明に加えて、濾波手段に供給する音声信号を集音するための第1のマイクロフォンと、検出手段に供給する音声信号を集音するための第2のマイクロフォンと、を有し、第1のマイクロフォンは、通過または減衰させる対象となる音声信号と、それ以外の音声信号とが混合された音を集音し、第2のマイクロフォンは、通過または減衰させる対象となる音声信号を集音し、濾波手段は、通過または減衰させる対象となる音声信号を通過または減衰させるようにしている。
また、発明の音声信号処理方法は、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波ステップと、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを通過した信号の信号レベルを比較することにより、帯域の周波数を検出する検出ステップと、検出ステップの検出結果に応じて、第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波ステップが通過または減衰させる帯域を調整する調整ステップと、を有している。
また、発明の音声信号処理方法は、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波ステップと、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、帯域の周波数を検出する検出ステップと、バンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるようにバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波ステップが通過または減衰させる周波数を調整する調整ステップと、を有している。
また、発明の音声信号処理プログラムは、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを有し、これら第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルを比較することにより、帯域の周波数を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に応じて、第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波手段が通過または減衰させる帯域を調整する調整手段、としてコンピュータを機能させる。
また、本発明の音声信号処理プログラムは、音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、帯域の周波数を検出する検出手段と、バンドパスフィルタを通過した信号成分と、バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるようにバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて濾波手段が通過または減衰させる周波数を調整する調整手段、としてコンピュータを機能させる。
本発明によれば、周期性のノイズを効率良く、かつ、確実に除去することが可能な音声信号処理装置、音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラムを提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、(A)第1の実施の形態の構成例、(B)第1の実施の形態の動作の概要、(C)第1の実施の形態の動作の詳細、(D)第2の実施の形態の構成例、(E)第2の実施の形態の動作の詳細、および、(F)変形実施の態様の順に説明する。
(A)第1の実施の形態の構成例
図1は、本発明の第1の実施の形態の音声信号処理装置の構成例を示すブロック図である。この図に示すように、本発明の音声信号処理装置は、マイクロフォン10、マイクアンプ15、バンドパスフィルタ20,25、ノッチフィルタ群30、および、周波数検出制御部40を主要な構成要素としている。なお、本発明の音声信号処理方法、および、音声信号処理プログラムについては、音声信号処理装置の動作として説明する。
ここで、マイクロフォン10は、話者1からの音声信号および原動機としてのエンジン2からのノイズを捕捉し、対応する音声信号に変換して出力する。なお、マイクロフォンとしては、例えば、コンデンサ型またはダイナミック型のマイクロフォンを使用することができる。
話者1は、音声信号処理装置によって抽出しようとする対象となる音声を発する。エンジン2は、例えば、レシプロエンジンまたはロータリーエンジンのように周期性を有するノイズを発生する。なお、本実施の形態では、音声信号処理装置は、エンジン2を搭載した車両等に搭載された各種の機器に内蔵されて使用される。
図2(A)は、エンジン2から放射される音の周波数スペクトラムを示している。この図に示すように、エンジン2から放射される音は、エンジン2の回転数によって定まる基本周波数fと、基本周波数fを整数倍(2倍、3倍、4倍、・・・(N−1)倍)した高調波成分とを有している。また、エンジン2の回転数が変化すると、それに応じて基本周波数fが変化するとともに、追随して高調波成分も変化する。換言すると、エンジン2の回転数の変化に応じて、図2(A)に示すスペクトラムが、周波数軸上を図の右方向または左方向に移動する。なお、図2(A)の例は一例であって、エンジンの種類等に応じてスペクトラムの状態は異なる。
マイクアンプ15は、マイクロフォン10から出力された音声信号を所定のゲインで増幅し、バンドパスフィルタ20,25にそれぞれ供給する。
バンドパスフィルタ20は、音声信号処理装置によって処理しようとする所定の周波数帯域の音声信号を通過させ、それ以外の成分については減衰させる特性を有している。例えば、音声信号処理装置を、車載用の無線機に使用する場合には、バンドパスフィルタ20は、無線通信に必要な帯域のみを抽出する特性とすればよい。
バンドパスフィルタ25は、マイクアンプ15から出力された音声信号のうち、エンジン2に対応するノイズ成分を通過させ、それ以外の成分は減衰させる。なお、このバンドパスフィルタ25の通過帯域としては、例えば、基本周波数fの想定される最低の周波数を低域側の遮断周波数とし、基本周波数fの想定される最高の周波数の4倍程度の周波数を高域側の遮断周波数とすればよい。
濾波手段としてのノッチフィルタ群30は、例えば、コムフィルタ(Comb Filter)であり、図2(B)に示すように、図2(A)に示す、周波数fC0〜fCNを遮断(または減衰)帯域の中心周波数(以下、単に「遮断周波数」と称する)とする(N+1)個のノッチフィルタによって構成される。また、ノッチフィルタ群30は、周波数検出制御部40からの制御信号に応じて、遮断周波数fC0〜fCNを変化させることができる。
図3は、ノッチフィルタ群30を構成する所定のノッチフィルタの利得特性を示す図である。この図の例のノッチフィルタは、遮断周波数は約500Hzであり、Q値は約20程度とされており、急峻な遮断特性を有している。なお、Q値はエンジン2の種類にもよるが、例えば、10〜20の間で設定することが望ましい。Q値が高いと、エンジン2のノイズを選択的に除去できるが、余り高すぎると周波数の制御が困難となる。逆にQ値が低すぎると周波数測定精度は楽になるが、通過させる音声信号に大きな影響が出てしまう。したがって、Q値は前述した範囲に収めることが望ましい。なお、エンジン2の種類、および、使用の目的によってはこれら以外の範囲でもよい。
図1に戻って、検出手段および調整手段としての周波数検出制御部40は、バンドパスフィルタ25を通過した音声信号に含まれている基本周波数fの信号成分の周波数を検出するとともに、検出された周波数に基づいて、ノッチフィルタ群30の遮断帯域の周波数を変化させる。
図4は、図1に示す周波数検出制御部40の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、周波数検出制御部40は、バンドパスフィルタ141,142、コンパレータ143、および、制御部144を主要な構成要素としている。
ここで、第2の濾波手段としてのバンドパスフィルタ141は、例えば、図5に示すような利得特性および位相特性を有するフィルタである。この例では、通過周波数は約200Hzであり、Q値は5〜10程度とされている。また、バンドパスフィルタ141は、制御部144からの制御信号に応じて通過帯域の中心周波数(以下、単に「通過周波数」と称する)を変化させる。一方、第1の濾波手段としてのバンドパスフィルタ142は、バンドパスフィルタ141と同様の利得特性および位相特性を有し、また、制御部144からの制御信号に応じて通過周波数を変化させるが、通過周波数がバンドパスフィルタ141とは異なっている。
図6は、バンドパスフィルタ141,142の利得特性の関係を示す図である。この図に示すように、バンドパスフィルタ141は、中心周波数fよりもαだけ低い周波数を通過周波数とする。一方、バンドパスフィルタ142は、中心周波数fよりもαだけ高い周波数を通過周波数とする。また、バンドパスフィルタ141,142の通過周波数は、制御部144の制御に応じて、図6に示す関係を保ったままで周波数軸上を図の右方向または左方向に移動する。したがって、入力された信号の周波数がfと等しい場合には、バンドパスフィルタ141,142からは同じレベルの信号が出力される。一方、入力された信号の周波数がfよりも低い場合には、バンドパスフィルタ141の出力信号のレベルの方がバンドパスフィルタ142の出力信号のレベルよりも大きくなる。逆に、入力された信号の周波数がfよりも高い場合には、バンドパスフィルタ142の出力信号のレベルの方がバンドパスフィルタ141の出力信号のレベルよりも大きくなる。
コンパレータ143は、バンドパスフィルタ141,142の出力信号のレベルを比較し、比較結果を制御部144に通知する。具体的には、コンパレータ143は、バンドパスフィルタ141の出力信号のレベルから、バンドパスフィルタ142の出力信号のレベルを減算した結果を出力する。これにより、fのfからのずれに応じた大きさを有する正または負の信号が出力される。例えば、f<fの場合にはずれ量に応じた正の信号が出力され、f>fの場合にはずれ量に応じた負の信号が出力される。
制御部144は、コンパレータ143の出力に基づいて、バンドパスフィルタ141,142の中心周波数fが、エンジン2から放射される音の基本周波数fと等しくなるように制御するとともに、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0がfに等しくなるように調整する。
なお、バンドパスフィルタ20,25、ノッチフィルタ群30、および、周波数検出制御部40については、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を用いて構成することができる。その場合、バンドパスフィルタ20,25,141,142、および、ノッチフィルタ群30については、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタ等によって構成することができる。あるいは、マイクロフォン10から出力される信号をA/D(Analog to Digital)変換し、CPU(Central Processing Unit)等を有するマイクロコンピュータによって処理し、得られた結果をD/A(Digital to Analog)変換して出力するようにしてもよい。あるいはまた、これらを全てハードウエアとして実現することも可能である。
(B)第1の実施の形態の動作の概要
つぎに、図1に示す第1の実施の形態の動作の概要について説明する。
図1に示す実施の形態では、マイクロフォン10には話者1からの音声と、エンジン2からのノイズが入力される。マイクロフォン10は、音声およびノイズを電気信号に変換してマイクアンプ15に供給する。マイクアンプ15は、入力された音声信号を所定のゲインで増幅して出力する。バンドパスフィルタ20は、マイクアンプ15から出力された音声信号から所望の帯域の信号だけを抽出し、ノッチフィルタ群30に供給する。また、バンドパスフィルタ25は、マイクアンプ15から出力された音声信号からエンジン2のノイズ成分を抽出し、周波数検出制御部40に供給する。周波数検出制御部40では、制御部144が、コンパレータ143の出力に基づいて、バンドパスフィルタ141,142の通過周波数fがノイズの基本周波数fと等しくなるように制御する。そして、その結果に基づいて、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0がfに等しくなるように調整する。これにより、ノッチフィルタ群30のfC0〜fCNは、ノイズの周波数成分であるf〜fに等しくなるので、エンジン2から放射されたノイズ成分が除去され、話者1の発話に対応する音声信号のみが出力される。
(C)第1の実施の形態の動作の詳細
つぎに、本発明の第1の実施の形態の詳細な動作について説明する。
話者1によって発話された音声と、エンジン2から放射されたノイズ(図2(A)の特性を有する音)とは、マイクロフォン10によって捕捉され、対応する電気信号に変換される。その結果、マイクロフォン10から出力される信号は、話者1からの音声に対応する音声信号に、エンジン2から放射されたノイズに対応する信号が重畳された信号となる。
マイクアンプ15は、マイクロフォン10から出力される音声信号を所定のゲインで増幅して出力する。
バンドパスフィルタ20は、マイクアンプ15から出力される信号の中から、処理の対象とする所定の帯域を通過させる。なお、通過させる帯域としては、例えば、電話等の周波数帯域である300Hz〜3000Hzの帯域が少なくとも含まれていればよい。また、当該帯域を包含するより広い帯域であってもよい。どのような帯域を通過させるかは、用途に応じて決めればよい。
バンドパスフィルタ25は、マイクアンプ15から出力される信号の中から、エンジン2のノイズ成分を通過させる。なお、通過させる成分としては、前述した通りである。
バンドパスフィルタ25を通過した信号は、周波数検出制御部40に入力される。周波数検出制御部40は、入力された信号に含まれているエンジン2のノイズ成分の基本周波数fを検出し、これに基づいてノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0がfと等しくなるように調整する。
具体的には、制御部144は、コンパレータ143の出力を参照し、バンドパスフィルタ141からの出力信号のレベルが、バンドパスフィルタ142の出力信号のレベルよりも大きい場合(例えば、コンパレータ143の出力が正である場合)には、fを小さくするように制御する。一方、制御部144は、コンパレータ143の出力を参照し、バンドパスフィルタ142からの出力信号のレベルが、バンドパスフィルタ141の出力信号のレベルよりも大きい場合(例えば、コンパレータ143の出力が負である場合)には、fを大きくするように制御する。その結果、f=fとなるようにバンドパスフィルタ141,42が調整される。
つぎに、制御部144は、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0がfと等しくなるように調整するとともにfC1〜fCNについても同様に調整を行う。
これにより、図2(B)に示すノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0〜fCNは、エンジン2のノイズ成分のf〜fと等しくなるので、バンドパスフィルタ20から出力された信号のうち、エンジン2からのノイズ成分は遮断(または減衰)され、その他の成分(主に音声信号の成分)は通過される。
その結果、ノッチフィルタ群30から出力される信号には、エンジン2からのノイズ成分が殆ど含まれておらず、話者1の発生した音声に対応する音声信号が主に含まれた信号となる。したがって、エンジン2の音が大きい場合であっても、ノッチフィルタ群30から出力される信号を利用することで、話者1の発話を明瞭に聞くことができる。
図7は、本発明の第1の実施の形態の音声信号処理装置を用いた実測データである。図7(A)は、エンジン2から放射されたノイズ成分を含む信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)演算を施した結果を示している。また、図7(B)は図7(A)の信号に対して本発明の第1の実施の形態の処理を施した結果を示している。図7(A)では、図2(A)に示すような周期性ノイズのピークが複数現れている。一方、図7(B)ではこれらのピーク成分が減衰されている。また、聴覚上も、図7(A)の場合では、エンジン2のノイズがかなり耳障りであり、話者1が発話した場合でも、当該音声はマスクされてしまって聞き取ることが困難である。一方、図7(B)の場合には、エンジン2のノイズはあまり聞こえず、話者1の発話した音声は明瞭に聞き取れる。
なお、エンジン2の回転数が変化した場合には、回転数の増減に応じてf〜fが変化する。その場合には、バンドパスフィルタ141,142の出力信号のレベルが変化するので、制御部144は直ちにこれを検出して、バンドパスフィルタ141,142の通過周波数fを追随させるとともに、ノッチフィルタ群30についても同様にして追随させる。これにより、f〜fは常にfC0〜fCNにそれぞれ等しくなるように制御がなされるので、エンジン2の回転数が変化した場合でも、ノイズが出力されることを防止できる。また、話者1の発話した音声を明瞭に聞き取ることができる。
ところで、以上は、エンジン2が始動された状態(定常状態)での動作である。音声信号処理装置の動作中にエンジン2が始動された場合、または、エンジン2が動作中に音声信号処理装置が動作を開始した場合には、つぎのような処理が実行され、ノッチフィルタ群30が調整される。
すなわち、周波数検出制御部40によってfが検出されていない状態においては、周波数検出制御部40は、バンドパスフィルタ141,142を、定められた最低の周波数から定められた最高の周波数までの間をスキャンさせる動作を行う。その結果、fに対応する信号成分が検出された場合には、当該成分に対してロックする動作を行う。これにより、音声信号処理装置の動作中にエンジン2が始動された場合、または、エンジン2が動作中に音声信号処理装置が動作を開始した場合であっても、f〜fがfC0〜fCNにそれぞれ等しくなるように制御を行うことができる。
なお、単純にスキャンだけを行った場合には、エンジン2のノイズ成分であるf以外の成分に対してロックしてしまう可能性がある。そのような不具合を避けるために、例えば、周波数検出制御部40が、ノッチフィルタ群30の出力を参照し、出力信号のレベルが最低となる周波数に対してロックするようにすればよい。そのような方法によれば、fC0をfに確実にロックすることが可能になる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、複数の遮断周波数fC0〜fCNを有するノッチフィルタ群30を、周波数検出制御部40の検出結果に応じて制御するようにしたので、エンジン2等から放射される周期性のノイズを確実かつ効率良く低減することが可能になる。
また、本発明の第1の実施の形態では、ノッチフィルタ群30として、Q値が20程度の高い峻別性を有するノッチフィルタを用いるようにしたので、エンジン2からのノイズのみを選択的に減衰させ、音声信号については減衰される割合が低くなるようにした。これにより、話者の音声の明瞭度を低下させることなく、ノイズ成分のみを確実に減衰させることが可能になる。
また、本発明の第1の実施の形態では、バンドパスフィルタ141,142を通過した信号のレベルに基づいて、基本周波数fを検出するようにした。これにより、例えば、FFT演算によって基本周波数fを検出する場合に比較すると、少ない演算量で検出を行うことができるので、応答速度を向上させることができる。その結果、例えば、エンジン2の回転数が急激に変化した場合であっても追従することができる。
(D)第2の実施の形態の構成例
つぎに、本発明の第2の実施の形態の構成例について説明する。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較すると、周波数検出制御部40の構成のみが異なっている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
図8は、第2の実施の形態の周波数検出制御部40の構成例を示している。この例では、周波数検出制御部40は、バンドパスフィルタ241、位相差検出部242、および、制御部243を主要な構成要素としている。
ここで、バンドパスフィルタ241は、図5と同様の周波数特性を有しており、所定の周波数の信号を通過させ、それ以外は減衰させる。なお、バンドパスフィルタ241の通過帯域の中心周波数(以下、単に「通過周波数」と称する)は、制御部243の制御に応じて変化させることができる。
位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241を通過した信号の位相と、バンドパスフィルタ241に入力された信号(バンドパスフィルタ241をバイパスした信号)の位相を比較し、その比較結果を制御部243に通知する。
制御部243は、位相差検出部242の検出結果に基づいて、バンドパスフィルタ241の通過周波数を変化させるとともに、ノッチフィルタ群30の遮断周波数を変化させる。
(E)第2の実施の形態の動作
つぎに、本発明の第2の実施の形態の動作について説明する。
バンドパスフィルタ25を通過した信号がバンドパスフィルタ241に入力されると、バンドパスフィルタ241は、エンジン2からのノイズに対応する信号から、図2(A)に示す基本周波数fの信号を通過させ、それ以外については減衰させる。
図9は、バンドパスフィルタ241の利得特性と周波数特性の概略の関係を示している。この図に示すように、バンドパスフィルタ241を通過した信号の位相は、信号の周波数とバンドパスフィルタの通過周波数fとが等しい場合には、位相ずれは生じない(0度)となる。一方、通過した信号の周波数が通過周波数fよりも低い場合には、その周波数の相違に応じて位相が進む。他方、通過した信号の周波数が通過周波数fよりも高い場合には、その周波数の相違に応じて位相が遅れる。
位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241を通過した信号と、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号を比較し、これらの位相差を求める。位相差が生じている場合には、当該位相差を解消するようにバンドパスフィルタ241の通過周波数を調整するとともに、ノッチフィルタ群30の遮断周波数を調整する。具体的には、バンドパスフィルタ241を通過した信号の位相が、バイパスした信号よりも進んでいる場合には、バンドパスフィルタ241の通過周波数を上げる方向に調整する。また、バンドパスフィルタ241を通過した信号の位相が、バイパスした信号よりも遅れている場合には、バンドパスフィルタ241の通過周波数を下げる方向に調整する。これにより、バンドパスフィルタ241の通過周波数fはノイズの基本周波数fと等しくなる。
図10は、バンドパスフィルタ241を通過した信号と、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号の位相差を検出する方法を示す図である。この図の方法では、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号(以下、「第1の信号」と称する)をY軸に、通過した信号(以下、「第2の信号」と称する)をX軸に対応付けし、XY平面上に形成される軌跡を参照することによって位相差を検出する。具体的には、これらの信号の位相差が等しい場合には、軌跡はXY平面上のY=Xの直線上を移動する。一方、第2の信号の位相が進んでいる場合には反時計回りのリサージュ曲線(図中の矢印参照)を描き、逆に、第2の信号の位相が遅れている場合には時計回りのリサージュ曲線(図中の矢印参照)を描く。そこで、軌跡の回転方向から位相の進み具合を判定することができる。
より詳細な判定方法をつぎに説明する。位相差検出部242は、まず、第2の信号の増減を調べる。すなわち、位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241を通過した信号の今回の信号値から前回の信号値を減算し、これを信号の増減値とする。つぎに、位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号(第1の信号)が正の状態であれば増減値をそのまま加算し、負の状態であれば増減値を減算する。そして、このような演算を一定期間(例えば、512サンプル期間)実行し、得られた合計値が正であれば、位相が遅れている状態(時計回りの状態)であると判定し、合計値が負であれば、位相が進んでいる状態(反時計回りの状態)であると判定する。
図11は、前述の判定方法を説明する図である。図11(A),(B)は第1および第2の信号の位相が揃った状態を示している。ここで、図11(A)は第1の信号を示し、(B)は第2の信号を示している。このような場合、(A)に示す第1の信号が正の期間内において、(B)に示す第2の信号の傾きが正である期間と、傾きが負である期間は等しいので、増減値(傾きに対応する値)を当該期間において加算した値は“0”となる。また、第1の信号が負の期間も同様である。
図11(C),(D)は、第2の信号の位相が遅れた状態を示している。このような場合、(C)に示す第1の信号が正の期間内において、(D)に示す第2の信号の傾きが正である期間は、傾きが負である期間よりも長いので、増減値を当該期間において加減算した値は正の値となる。また、第1の信号が負の期間内では、傾きが負である期間の方が長いので、増減値を加減算した値の合計値は正になる。
図11(E),(F)は、第2の信号の位相が進んだ状態を示している。このような場合、(E)に示す第1の信号が正の期間内において、(F)に示す第2の信号の傾きが正である期間は、傾きが負である期間よりも短いので、増減値を当該期間において加減算した値は負の値となる。また、第1の信号が負の期間内では、傾きが負である期間の方が短いので、増減値を加減算した値の合計値は負になる。
したがって、位相差検出部242の出力の正負を判定することにより、第1および第2の信号の位相差を検出できる。
制御部243は、位相差検出部242によって検出された位相差に基づいて、バンドパスフィルタ241の通過周波数を調整する。具体的には、位相差検出部242の出力がプラスである場合には、f<fの状態であるので、通過周波数を信号レベルに応じて増大させる。一方、位相差検出部242の出力がマイナスである場合には、f>fの状態であるので、通過周波数を信号レベルに応じて減少させる。これにより、バンドパスフィルタ241の通過周波数をノイズの基本周波数fに合わせることができる。すなわち、f=fの状態に制御することができる。
制御部243は、ノッチフィルタ群30の遮断周波数についても併せて調整を行っている。すなわち、制御部243は、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0がバンドパスフィルタ241の通過周波数fと等しくなるように制御を行う。これにより、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0と、ノイズの基本周波数fとが等しくなるように調整される。ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC1〜fCNは、遮断周波数fC0の整数倍となるように設定されており、これは、ノイズの場合と同様である。したがって、ノイズの周波数成分f〜fは、ノッチフィルタ群30の遮断周波数fC0〜fCNとそれぞれ等しくなる。したがって、ノッチフィルタ群30から出力される信号に含まれるエンジン2のノイズ成分は減衰される。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、複数の遮断周波数fC0〜fCNを有するノッチフィルタ群30を、周波数検出制御部40の検出結果に応じて制御するようにしたので、エンジン2等から放射される周期性のノイズを確実かつ効率良く低減することが可能になる。また、ノッチフィルタ群30として、Q値が20程度の高い峻別性を有するノッチフィルタを用いるようにしたので、エンジン2からのノイズのみを選択的に減衰させ、音声信号については減衰される割合が低くなるようにした。これにより、話者の音声の明瞭度を低下させることなく、ノイズ成分のみを確実に減衰させることが可能になる。
また、第2の実施の形態では、バンドパスフィルタ241を通過した信号と、バイパスした信号の位相を比較し、これらの位相差に基づいてノッチフィルタ群30の遮断周波数を調整するようにしたので、FFT等を用いて周波数を検出する場合に比較して、調整を精密に行うことができる。これにより、エンジンの回転数が微妙に変化した場合であっても、帯域の狭いフィルタを確実に追随させることができる。
(F)変形実施の態様
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、以上の各実施の形態では、バンドパスフィルタ20,25、ノッチフィルタ群30、および、周波数検出制御部40をDSPによって構成するようにしたが、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータによって構成したり、アナログ回路またはディジタル回路によって構成したりすることも可能である。マイクロコンピュータによって実現する場合には、例えば、ROMに対して、上述した処理を実現するためのプログラムを記憶しておき、当該プログラムを実行することにより、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより、図1に示す機能ブロックを実現する。なお、当該プログラムは、ROM等に格納された状態で出荷されてもよいし、出荷された後にROM等に格納されるようにしてもよい。
また、以上の各実施の形態では、エンジン2からのノイズを除去する場合を例に挙げて説明したが、除去の対象となるのはエンジン2からのノイズのみには限定されず、それ以外のノイズであっても、周期性があれば本発明の実施の形態によって除去することが可能である。
また、以上の実施の形態では、エンジン2のノイズ成分のうち、基本周波数の信号を検出して、ノッチフィルタ群30の遮断周波数を調整するようにしたが、倍音成分のいずれか、または、基本周波数成分または倍音成分の2つ以上の組み合わせに基づいてノッチフィルタ群30を調整するようにしてもよい。
また、以上の各実施の形態では、図3(B)に示す特性を有するノッチフィルタ群30を利用して、周期性のノイズを除去するようにしたが、図3(B)に示す通過帯域と同じ通過帯域を有するバンドパスフィルタ群(例えば、0〜fC0,fC0〜fC1・・・を通過帯域に有するバンドパスフィルタ群)を通過した信号を減算することにより、図3(B)と同等の特性を得るようにしてもよい。その場合には、入力信号を複数のバンドパスフィルタ群に並列に与えて処理することができるので、カスケードに接続した場合に比較して、個々のフィルタにおける歪みが累積しなくなる。このため、通過する音声信号の質を向上できる。
また、以上の各実施の形態では、ノッチフィルタ群によって周期性ノイズを除去する場合を例に挙げて説明したが、例えば、バンドパスフィルタ群によって周期性の信号を取り出すようにすることも可能である。その場合には、図3(B)に示す遮断周波数fC0〜fCNに対応する通過帯域に有するバンドパスフィルタ群を用いることで実現できる。
また、以上の各実施の形態では、1つのマイクロフォンによって集音された音声信号を使用するようにしたが、例えば、ノッチフィルタ群30に供給する音声信号を集音する第1のマイクロフォンと、周波数検出制御部40に供給する音声信号を集音する第2のマイクロフォンとを個別に設けるようにしてもよい。この場合、第1のマイクロフォンは、話者1の口元近くに配置され、第2のマイクロフォンはエンジン2のノイズのみを集音する位置(例えば、エンジン2の近辺)に配置される。そのような方法によれば、第2のマイクロフォンによって集音される音声信号には、エンジン2のノイズのみが含まれるので、周波数検出制御部40は、ノイズの基本周波数成分であるfをより精度よく検出することができる。なお、その場合、第1のマイクロフォンと、ノッチフィルタ群30の間には話者1の音声信号から抽出しようとする帯域を通過帯域に有するバンドパスフィルタを配置し、第2のマイクロフォンと周波数検出制御部40の間にはfの変動範囲を通過帯域に有するバンドパスフィルタを配置するようにすれば、一層精度よくノイズを除去することができる。
また、以上の第2の実施の形態では、位相差を検出する方法として、図10に示す方法を用いるようにしたが、例えば、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号と、通過した信号のそれぞれのゼロクロス信号を用いて位相差を検出することも可能である。このような方法の詳細についてつぎに説明する。
図12は、ゼロクロス信号を用いた位相差検出部242の動作を説明する図である。図12(A)〜(E)は、バンドパスフィルタ241の通過周波数fがノイズの基本周波数fと等しい場合の動作を説明する図である。図12(A)はバンドパスフィルタ241をバイパスした信号を示し、図12(C)はバンドパスフィルタ241を通過した信号を示している。この例では、f=fであるので、位相ずれは生じていない。位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241を通過した信号とバイパスした信号の双方を入力し、それぞれの信号が信号レベル“0”を通過するタイミングで2値化し、ゼロクロス信号を生成する(図12(B),(D)参照)。
位相差検出部242は、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号のゼロクロス信号(以下「第1の信号」と称する)と、バンドパスフィルタ241を通過した信号のゼロクロス信号(以下「第2の信号」と称する)の位相を比較し、前者の位相が進んでいる場合(図12(F)〜(J)の場合)には、出力信号(E)としてプラスのパルスを出力し、後者の位相が進んでいる場合(図12(K)〜(O)の場合)には、出力信号(E)としてマイナスのパルスを出力する。また、位相が同一である場合(図12(A)〜(E)の場合)には出力は生じない。なお、プラスおよびマイナスのパルスのパルス幅は位相差に応じて変化する。したがって、出力されたパルスをローパスフィルタを通過させて平均を求めれば、信号のレベルによって位相差を知ることができる。
なお、位相差に基づいてプラスまたはマイナスのパルスを生成する方法としては、例えば、以下のような方法がある。すなわち、バンドパスフィルタ241をバイパスした信号のゼロクロス信号である第1の信号(図12(B),(G),(L)参照)の立ち上がりエッジにおいて、バンドパスフィルタ241を通過した信号のゼロクロス信号である第2の信号(図12(D),(I),(N)参照)がローの状態である場合には出力信号をプラスの状態とし、第2の信号の立ち上がり“0”とする(図12(F)〜(J)参照)。また、第1の信号の立ち下がりエッジにおいて、第2の信号がハイの状態である場合には出力信号をプラスの状態とし、信号第2の信号の立ち下がりで“0”とする(図12(F)〜(J)参照)。また、第2の信号の立ち上がりエッジにおいて、第1の信号がローの状態である場合には出力信号をマイナスの状態とし、第1の信号の立ち上がりで“0”とする(図12(K)〜(O)参照)。また、第2の信号の立ち下がりエッジにおいて、第2の信号がハイの状態である場合には出力信号をマイナスの状態とし、第2の信号の立ち下がりで“0”とする(図12(K)〜(O)参照)。以上のような方法によっても、位相差を検出することができる。なお、これ以外の方法で位相差を検出してもよい。
また、以上の音声信号処理装置を、例えば、車載の無線機に搭載し、音声信号からエンジンのノイズを除去するようにしてもよい。あるいは、音声認識機能を有するカーナビゲーション装置に搭載し、音声認識処理の前処理として利用することにより、認識精度を向上させることも可能である。
本発明は、例えば、自動車に搭載される音声信号処理装置に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置の構成例を示すブロック図である。 (A)はエンジンから発生するノイズの周波数特性を示し、(B)はノッチフィルタ群の周波数特性を示している。 ノッチフィルタ群を構成するノッチフィルタの周波数特性を示す図である。 図1に示す周波数検出制御部の詳細な構成例を示す図である。 図2に示す2つのバンドパスフィルタの周波数および位相特性を示す図である。 図2に示す2つのバンドパスフィルタの特性の関係を示す図である。 本発明の実施の形態の実測結果を示す図であり、(A)は処理前の周波数スパクトラムであり、(B)は処理後の周波数スペクトラムを示す。 本発明の第2の実施の形態の周波数検出制御部の構成例を示す図である。 図8に示すバンドパスフィルタの周波数および位相特性を示す図である。 図9に示す位相差検出部の動作の一例を示す図である。 図10に示す位相差の具体的な検出方法を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の変形例を示す図である。
符号の説明
10 マイクロフォン
20,25 バンドパスフィルタ
30 ノッチフィルタ群(濾波手段)
40 周波数検出制御部(検出手段、調整手段)
141 バンドパスフィルタ(第2のバンドパスフィルタ)
142 バンドパスフィルタ(第1のバンドパスフィルタ)
241 バンドパスフィルタ

Claims (7)

  1. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、
    記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを有し、これら第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルを比較することにより、前記帯域の周波数を検出する検出手段と、
    記検出手段の検出結果に応じて、前記第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように前記第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波手段が通過または減衰させる帯域を調整する調整手段と、
    を有することを特徴とする音声信号処理装置。
  2. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、
    前記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを有し、前記バンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、前記帯域の周波数を検出する検出手段と、
    前記バンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるように前記バンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波手段が通過または減衰させる周波数を調整する調整手段と、
    を有することを特徴とする音声信号処理装置。
  3. 前記濾波手段に供給する音声信号を集音するための第1のマイクロフォンと、
    前記検出手段に供給する音声信号を集音するための第2のマイクロフォンと、を有し、
    前記第1のマイクロフォンは、通過または減衰させる対象となる音声信号と、それ以外の音声信号とが混合された音を集音し、
    前記第2のマイクロフォンは、通過または減衰させる対象となる音声信号を集音し、
    前記濾波手段は、通過または減衰させる対象となる音声信号を通過または減衰させる、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の音声信号処理装置。
  4. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波ステップと、
    記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを通過した信号の信号レベルを比較することにより、前記帯域の周波数を検出する検出ステップと、
    記検出ステップの検出結果に応じて、前記第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように前記第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波ステップが通過または減衰させる帯域を調整する調整ステップと、
    を有することを特徴とする音声信号処理方法
  5. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波ステップと、
    前記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、前記帯域の周波数を検出する検出ステップと、
    前記バンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるように前記バンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波ステップが通過または減衰させる周波数を調整する調整ステップと、
    を有することを特徴とする音声信号処理方法
  6. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、
    前記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域よりも所定量だけ高い周波数を有する信号成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、検出する帯域よりも所定量だけ低い周波数を有する信号成分を通過させる第2のバンドパスフィルタとを有し、これら第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルを比較することにより、前記帯域の周波数を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1および第2のバンドパスフィルタを通過した信号の信号レベルが略同一となるように前記第1および第2のバンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波手段が通過または減衰させる帯域を調整する調整手段、
    としてコンピュータを機能させるコンピュータ読取可能な音声信号処理プログラム。
  7. 音声信号に含まれる1または複数の帯域の信号成分を通過または減衰させる濾波手段と、
    前記音声信号に含まれる所定の帯域の信号成分の周波数を検出するとともに、検出する帯域の信号成分を通過させるバンドパスフィルタを有し、前記バンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相を比較することで、前記帯域の周波数を検出する検出手段と、
    前記バンドパスフィルタを通過した信号成分と、前記バンドパスフィルタに入力される信号成分との位相が略同一となるように前記バンドパスフィルタの通過周波数を調整するとともに、当該調整結果に基づいて前記濾波手段が通過または減衰させる周波数を調整する調整手段、
    としてコンピュータを機能させるコンピュータ読取可能な音声信号処理プログラム。
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