JP5040019B2 - マイクロリアクター及びマイクロリアクターシステム - Google Patents
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Description
このように構成された反応器において、導入路からポンプ等により化合物を含む被測定試料液を流し込むと、被測定試料液中の化合物が反応槽に予め設置されたセンサの異常蛋白質と反応し、反応後の廃液が廃液路から排出される。なお、センサに予め固定されている物質はリガンドと呼ばれ、溶液として供給される物質はアナライトと呼ばれている。
本発明に係るマイクロリアクターは、液体に含有される特定物質の重量を測定するマイクロリアクターであって、前記液体が導入される液体導入口及び液体が排出される液体排出口を有する基板と、前記基板の表面にパッキンを挟んで接合され、透明な圧電基板の両面に設けられた一対の電極により該圧電基板を所定の周波数で共振させるセンサと、を備え、前記パッキンは、前記圧電基板に接合されると共に、前記一対の電極のうち一方の電極の周囲を囲って前記液体を貯留させ、前記特定物質を該一方の電極に吸着或いは結合させる反応槽を前記液体導入口と前記液体排出口との間に形成し、高分子樹脂を材料とするパッキンとされ、前記一対の電極は、前記一方の電極よりも該電極に対向する他方の電極の方が、外径が大きく形成されていることを特徴とするものである。
本実施形態のマイクロリアクターシステム1は、図1に示すように、マイクロリアクター2と、後述するセンサ12の周波数変化を測定する測定手段3と、サンプル液(液体)Fをマイクロリアクター2内に送液する送液手段4と、を備えている。なお、図1は、マイクロリアクターシステム1の簡略構成図である。
このマイクロリアクター2は、図2から図5に示すように、ホールド基板(基板)10と、樹脂プレート11と、センサ12と、が3層に積層されることで構成されている。なお、図2は、マイクロリアクター2を表面側から見た図である。図3は、マイクロリアクター2を裏面側から見た図である。図4は、マイクロリアクター2の分解斜視図である。図5は、図4における断面矢視A−A図である。但し、図4及び図5においては、図を見易くするため、パッキン23の厚みを誇張して図示している。
この樹脂プレート11には、ホールド基板10に対向する面上において、導入溝14及び排出溝15がそれぞれ形成されている。これら導入溝14及び排出溝15は、一端側が直径1.5mm程度の凹部14a、15aとなっており、他端側が液体導入口10a及び液体排出口10bと同じサイズである直径0.5mm程度の凹部14b、15bとなっている。そして、樹脂プレート11は、図5に示すように、凹部14b、15bと、液体導入口10a及び液体排出口10bと、がそれぞれ連通するように、ホールド基板10の表面に接着されている。よって、本実施形態のマイクロリアクター2は、樹脂プレート11の導入溝14を介して液体導入口10aからサンプル液Fを導入し、樹脂プレート11の排出溝15を介して液体排出口10bからサンプル液Fを排出するようになっている。
水晶基板20は、例えばATカット水晶板であり、8mm角ウエハから正方形状に形成された透明な基板である。検出電極21及び対向電極22は、それぞれ水晶基板20の略中心に位置するように、蒸着やスパッタリングによって形成されている。つまり、検出電極21及び対向電極22は、水晶基板20を間に挟んで対向した状態となっている。
なお、これら検出電極21及び対向電極22は、水晶基板20の両面に、電極形状の孔が開いたマスクを被せた後、該マスクを通して電極材料を水晶基板20に成膜するスパッタリング法や蒸着法等によって形成されたものである。
このパッキン23は、ホールド基板10とセンサ12との間に、図12に示すように、反応槽30と液体導入路31と液体排出路32とを一体的に形成するパッキンであり、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPDMS(ポリジメチルシロキサン)等の高分子樹脂から形成されている。なお、図12は、パッキン23の平面図である。
反応槽30は、検出電極21の周囲を囲ってサンプル液Fを貯留させ、サンプル液Fに含有される特定物質を検出電極21に吸着或いは結合させる空間である。また、液体導入路31は、ホールド基板10の液体導入口10aと反応槽30とを連通させてサンプル液Fを反応槽30に導入させる流路である。また、液体排出路32は、ホールド基板10の液体排出口10bと反応槽30とを連通させてサンプル液Fを反応槽30から排出させる流路である。
まず反応槽30は、上述した液体導入口10aと液体排出口10bとの中心間距離Lの中心に位置し、半径Rが1.95mmで形成されている。即ち、直径が3.9mmに形成されている。ここで、本実施形態の対向電極22は上述したように直径が3.4mmであるので、反応槽30の内径よりも小さい径となっている。また、液体導入路31及び液体排出路32の幅は、液体導入口10a及び液体排出口10bの直径と同じ0.5mmで形成されている。なお、パッキン23の厚みは、略80μmとされている。
この接合方法は、特に1つの方法に限定されるものではないが、例えば珪素と酸素とが交互に接合するシロキサン結合により接合されている。この接合を行う場合には、まずセンサ12の所定位置にパッキン23を重ね合わせた後、紫外線を照射する。すると、センサ12の水晶基板20とパッキン23とが、シロキサン結合により接合される。特に、このシロキサン接合は、共有結合であるので、センサ12とパッキン23とを高い強度で結合させることができ、好ましい方法である。また、紫外線を照射するだけであるので、いずれも加熱されることがなく、接合後に水晶基板20に残留応力が発生しない。この点においても、好ましい。
この吸着膜35は、例えばSAM(自己組織膜:Self-assembled Monolayer)と、該SAMに修飾された抗体(リガンド)とから構成されており、以下の方法により形成されている。
まず、純水で検出電極21の表面を洗浄した後、SAM試薬(カルボキシル基末端ジスルフィド型)により検出電極21上にSAMを形成する。続いて、リン酸バッファにより洗浄を行う。続いて、ヒドロキシこはく酸イミドによりSAMを活性化した後、再度リン酸バッファにより洗浄を行う。その後、SAMに抗体を固定化させる。このようにして、吸着膜35は形成されている。なお、この吸着膜35の形成は、センサ12を接合する前に行っても構わないし、センサ12を接合した後に行っても構わない。
始めに測定を開始する前に、予めセンサ12を作動させておく。つまり、交流電源40により検出電極21と対向電極22との間に交流電圧を印加して水晶基板20を共振させておく。そして、この状態での共振周波数を電流計41の電流値より測定しておく。
これに加え本実施形態では、インピーダンスが1KΩ以下で、液中で安定に発振させることが可能な直径3mmの検出電極21を利用しているので、より正確に測定を行うことができる。
1 マイクロリアクターシステム
2 マイクロリアクター
3 測定手段
4 送液手段
10 ホールド基板(基板)
10a 液体導入口
10b 液体排出口
12 センサ
20 水晶基板(圧電基板)
21 検出電極(一方の電極)
22 対向電極(他方の電極)
23 パッキン
30 反応槽
31 液体導入路
32 液体排出路
Claims (5)
- 液体に含有される特定物質の重量を測定するマイクロリアクターであって、
前記液体が導入される液体導入口及び液体が排出される液体排出口を有する基板と、
前記基板の表面にパッキンを挟んで接合され、透明な圧電基板の両面に設けられた一対の電極により該圧電基板を所定の周波数で共振させるセンサと、を備え、
前記パッキンは、
前記圧電基板に接合されると共に、前記一対の電極のうち一方の電極の周囲を囲って前記液体を貯留させ、前記特定物質を該一方の電極に吸着或いは結合させる反応槽を前記液体導入口と前記液体排出口との間に形成し、高分子樹脂を材料とするパッキンとされ、
前記一対の電極は、前記一方の電極よりも該電極に対向する他方の電極の方が、外径が大きく形成されていることを特徴とするマイクロリアクター。 - 請求項1に記載のマイクロリアクターにおいて、
前記他方の電極は、前記反応槽の内径よりも外径が小さく形成されていることを特徴とするマイクロリアクター。 - 請求項1に記載のマイクロリアクターにおいて、
前記他方の電極は、透明電極とされていることを特徴とするマイクロリアクター。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロリアクターにおいて、
前記一方の電極は、直径が3mmに形成されていることを特徴とするマイクロリアクター。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロリアクターと、
前記センサの周波数変化を測定する測定手段と、
前記液体導入口及び前記液体排出口に接続されて、前記液体を送液する送液手段と、を備えていることを特徴とするマイクロリアクターシステム。
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