JP2013024648A - 感知装置及び感知方法 - Google Patents

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Mitsuaki Koyama
光明 小山
Wakako Shinobu
和歌子 忍
Shunichi Wakamatsu
俊一 若松
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Abstract

【課題】試料液中の感知対象物を簡便にかつ精度よく検出すること。
【解決手段】流路形成部材2の流路21に可変容量形成用の反応電極対41を設けると共に、当該電極対41を構成する電極41a,41bの表面に感知対象物を吸着する吸着層43を形成する。そして、第1の発振回路61から水晶振動子3Aの一方の励振電極33a、他方の励振電極35及び反応電極対41を経て第1の発振回路61に戻る発振ループを形成する。流路21に試料液を供給すると、試料液は流路21内を毛細管現象により流れて行き、当該試料液中に感知対象物が含まれている場合には、前記吸着層43に感知対象物が吸着され、前記反応電極対41同士の間の容量が変化する。このため、前記容量の変化に基づいた発振回路61の発振周波数に対応する周波数情報が検出され、試料液中の感知対象物を検出することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電振動子を用いて試料液中の感知対象物を検出するための感知装置及び感知方法に関する。
臨床分野においては、POCT(point of core TEST)と呼ばれる簡便な検査方法が普及しており、例えば糖尿病患者が行う血糖値自己モニタリングや、インフルエンザウイルスに感染しているか否かを診断するインフルエンザウイルス検査に利用されている。
このような簡便な検査(簡便法)としては、イムノクロマト法を利用した方法が用いられている。このイムノクロマト法とは、試験紙上を試料液が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法である。例えば細長い試験紙の長さ方向の一端側に抗原である感知対象物と選択的に結合する抗体を予め吸着させておき、他端側には感知対象物と結合する例えば金コロイド等の発色性物質を予め染み込ませておく。
そして、前記試験紙の他端側に試料液を滴下すると、試料液に感知対象物が含まれる場合、当該感知対象物は酵素反応により前記発色性物質と結合し、毛細管現象により試験紙の一端側へ移動していく。こうして、試験紙の一端側で感知対象物と抗体とが抗原抗体反応により結合し、感知対象物は抗体及び発色性物質に挟まれた状態で試験紙の一端側に固定されて、当該一端側が発色する。一方、感知対象物が含まれていない場合には、各反応が起こらないので、前記一端側は発色しない。従って、試験紙を目視して発色の有無を確認することにより、試料液中の感知対象物の有無を検出することができる。しかしながら、この手法では、目視による判定であるので判定誤差が生じやすく、反応に時間がかかるというデメリットがある。また、ウイルスや細菌等の形状が大きく、試料液の粘性が大きい場合には、試験紙上を毛細管現象により移動しにくいため、予め試料液を水や分解試薬に溶解させる前処理が必要となる。
一方、QCM(Quartz Crystal Microbalance)を利用した感知センサーも知られている。このようなQCMは、水晶振動子の表面に感知対象物を抗原抗体反応により吸着する吸着膜を設け、吸着膜への感知対象物の吸着量に応じた水晶振動子の周波数変化や共振抵抗変化に基づいて、感知対象物の定量検査を行うものである。しかしながら、この手法では、試料液の粘性が大きい場合、質量や粘性の変化を精密に決定できない。この際、水晶振動子の厚さを薄くして感度を高めることも考えられるが、水晶振動子に直接試料液が接触する構成では、水晶振動子を薄くし過ぎると、試料液の応力で破壊されるおそれがある。このため、従来では30MHz〜50MHz程度が限界であって、それほど感度を高めることはできない。
また、特許文献1には、インダクタンス素子とキャパシタンス素子とバイオチップとを電気的に接続した、バイオ結合の可否による共振周波数変化を利用して、バイオ結合を検出する手法が記載されている。特許文献2には、反応部位の内壁に相対する一対の電極を設けてコンデンサを実現し、溶液の誘電率を計測して、溶液の濃度を決定する技術が記載されている。さらに、特許文献3には、コンデンサとインダクタンスとからなる共振回路を備え、被検ガスの比誘電率に対応した発振周波数を計測して、被検ガスの定性を行う技術が記載されている。しかしながらこれらの手法では、感度をそれ程大きくすることはできないため、試料液中の感知対象物を精度よく検出することはできず、本発明の課題を解決することはできない。
特開2005−315888(段落0019、図1A、図1B) 特開2004−214792(段落0046、図2) 実開昭41−206841(段落0039〜0042、図1)
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、簡便かつ精度の高い感知対象物の検出を行うことができる感知装置及び感知方法を提供することにある。
本発明は、試料液中の感知対象物を検出する感知装置において、
圧電片の一面側及び他面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成される圧電振動子と、
前記一方の励振電極に電気的に接続された発振回路と、
試料液を収容するための液収容部が形成された液収容部形成部材と、
前記液収容部内に収容された試料液を介して互いに対向するように設けられた一方の電極及び他方の電極からなり、当該一方の電極が前記他方の励振電極と電気的に接続された可変容量形成用の電極対と、
前記液収容部内の試料液と接触するように前記一方の電極及び他方の電極の少なくとも一方の表面に形成され、試料液中の感知対象物を吸着する吸着層と、
前記感知対象物の有無あるいは吸着量の評価に用いるために、前記発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を検出するための周波数情報検出部と、を備え、
前記発振回路から一方の励振電極、他方の励振電極及び電極対を経て発振回路に戻る発振ループが形成され、
前記吸着層に感知対象物が吸着されることにより、前記電極対同士の間の容量が変化することを特徴とする。
また、本発明の感知方法は、圧電片の一面側及び他面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成される圧電振動子を用いて、試料液中の感知対象物を検出する感知方法において、
液収容部形成部材に設けられた液収容部に試料液を収容する工程と、
この液収容部内に設けられた可変容量形成用の電極対に吸着層を介して感知対象物を吸着させる工程と、
一方の励振電極、他方の励振電極及び電極対を含む発振ループにより、前記感知対象物の有無あるいは吸着量の評価に用いるために、圧電振動子からの発振周波数に対応する周波数情報を検出する工程と、を含み、
前記吸着層に感知対象物が吸着されることにより、前記電極対同士の間の容量が変化することを特徴とする。
本発明によれば、圧電振動子を用いて試料液中の感知対象物を検出するための感知装置において、液収容部形成部材の液収容部に可変容量形成用の電極対を設けると共に、当該電極対を構成する電極に感知対象物を吸着する吸着層を形成し、発振回路から圧電振動子の一方の励振電極、他方の励振電極及び電極対を経て発振回路に戻る発振ループを形成している。液収容部に試料液を収容すると、当該試料液中に感知対象物が含まれている場合には、前記吸着層に感知対象物が吸着され、前記電極対同士の間の容量が変化する。このため、周波数情報検出部では、前記容量の変化に基づいた発振回路の発振周波数に対応する周波数情報が検出され、試料液中の感知対象物を検出することができる。
本発明の感知装置の第1の実施の形態を示す概略斜視図である。 前記感知装置に設けられた流路形成部材を示す長さ方向の縦断面図である。 前記流路形成部材を示す幅方向の縦断面図である。 前記流路形成部材を示す概略拡大断面図である。 前記流路形成部材の形成方法の一例を示す縦断面図である。 前記感知装置に設けられる水晶振動子の一例を示す平面図である。 前記感知装置に設けられる感知センサーの等価回路を示す回路図である。 前記感知装置に設けられる演算部を示す構成図である。 前記感知装置に設けられる第1の発振回路及び第2の発振回路からの発振周波数の差分と時間との関係を示す特性図である。 前記感知装置の他の例を示す縦断面図である。 前記感知装置のさらに他の例を示す縦断面図である。 前記感知装置のさらに他の例を示す構成図である。 前記感知装置の第2の実施の形態に用いられる液収容部形成部材を示す斜視図である。 前記液収容部形成部材の一部を示す縦断面図である。 前記感知装置の他の例の一部を示す縦断面図である。 前記感知装置のさらに他の例の一部を示す縦断面図である。 前記感知装置のさらに他の例の一部を示す平面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態に係る感知装置1について説明する。この感知装置1は感知センサー12と、発振回路ユニット13と、演算部14とを備えており、前記発振回路ユニット13と演算部14とにより測定部が構成されている。前記感知センサー12は、液収容部形成部材をなす流路形成部材2と圧電振動子をなす水晶振動子3とを備えている。前記流路形成部材2は例えばポリスチレンや、石英ガラス等により角板状に形成され、その内部には長さ方向(図1中X方向)に沿って液収容部をなす流路21が形成されている。この流路21は、毛細管現象により液体を通流させることができる程度の大きさに設定されている。また、当該流路21の両端は、流路形成部材2の表面に開口しており、夫々の開口部は試料液の注入部22及び廃液部23を成している。
この例では、流路形成部材2は、例えば前記長さ方向の大きさが100mm、幅方向(図1中Y方向)の大きさが50mm、厚さ(図1中Z方向)が5mm程度に夫々設定されている。また、前記流路21は、図1及び図3に示すように、その幅方向の断面形状が矩形状、この例では一辺が例えば10μmの正方形状に構成されている。さらに、前記注入部22及び廃液部23は、夫々10〜20μLの試料液を貯留できる程度の容量に構成され、注入部22と廃液部23との間の流路21の長さL1は例えば50mm程度に設定されている。
前記流路21の内部には、図2及び図3に示すように、可変容量形成用の電極対が設けられている。この例では、前記流路21の上流側と下流側に夫々第1の電極対41と第2の電極対42とが設けられており、これら第1及び第2の電極対41,42は、夫々互いに対向する一対の電極41a,41b、42a,42bを備えている。なお、図2及び図3では、図示の便宜上、流路21は、その径を大きく、長さを短く描いている。
これら電極41a,41b,42a,42bは、例えばアルミニウム、金、銀等の金属膜により構成されている。そして、この例では、前記第1の電極対41(電極41a,電極41b)が流路21の上部側、第2の電極対42(電極42a,電極42b)が流路21の下部側に夫々設けられるように、前記金属膜が流路形成部材21の内面に例えば蒸着されている。前記電極41a,41b(42a,42b)の厚さは例えば100nm〜200nm、互いに対向する面の面積は1mm程度に設定される。こうして、電極41a及び電極41b(電極42a及び電極42b)は互いに略平行に設けられ、これら電極41a及び電極41b(電極42a及び電極42b)同士の間隔L2は例えば9μm〜10μm程度に設定されている。
前記第1の電極対41(41a,41b)は反応電極対として作用するものであり(以下「第1の電極対41」を「反応電極対41」として説明を進める)、前記電極41a,41bの表面には、図2〜図4に示すように、感知対象物であるインフルエンザウイルス10と選択的に結合する抗体により構成された吸着層43が設けられている。一方、前記第2の電極対42は基準電極対として作用するものであり(以下「第2の電極対42」を「基準電極対42」として説明を進める)、前記電極42a,42bの表面には、前記吸着層43は設けられていない。
前記反応電極対41の電極41a,41bは、流路形成部材2の内部に設けられた引き出し電極41c,41dを介して、流路形成部材2の外部に設けられた接続電極41e,41fに接続されている。同様に、前記基準電極対42の電極42a,42bは、流路形成部材2の内部に設けられた引き出し電極42c,42dを介して、流路形成部材2の外部に設けられた接続電極42e,42fに接続されている。これら引き出し電極41c,41d,42c,42d、接続電極41e,41f,42e,42fは、例えば金等により形成されている。
このような流路形成部材2は、例えば図5(a)に示すように、流路形成部材2を上下方向に2分割した上部側の上部部材2Aと、下部側の下部部材2Bを形成する。そして、これら上部部材5Aと下部部材5Bの夫々に、流路21に相当する凹部24と、引き出し電極41c,41dが設けられる位置に孔部25を形成する。次いで、凹部24内に金属膜を例えば蒸着により形成した後エッチングすることにより電極41a,41bを形成すると共に、孔部25内に孔部材料と金属とが互いに疎水性を有することを利用して金属を埋め込み、引き出し電極41c,41dを形成する。この後上部部材5A及び下部部材5Bの外面に金属膜を例えば蒸着により形成した後エッチングすることにより、夫々接続電極41e,41fを形成した後、図5(b)に示すように、これら上部部材2A及び下部部材2Bを互いに接合して、流路形成部材2を形成する。
ここで、感知センサー12の構成に説明を戻し、水晶振動子3の一例について、その表面及び裏面を夫々示した図6(a),(b)も参照しながら説明する。水晶振動子3は、第1の水晶振動子3A及び第2の水晶振動子3Bにより構成されており、これら第1及び第2の水晶振動子3A,3Bは、共通の水晶片31を備えている。この水晶片31は圧電片をなすものであり、例えばATカットされた矩形状に形成され、その長さ方向の一端側、他端側が夫々第1の振動領域32a、第2の振動領域32bとして構成される。これらの振動領域32a,32bは互いに独立して振動し、夫々前記第1の水晶振動子3A、第2の水晶振動子3Bを構成する。図6中には第1の振動領域32a,第2の振動領域32bを各々点線で囲って示している。第1の振動領域32aの一面側には励振電極33aが形成されており、第2の振動領域32bの一面側には励振電極33bが形成されている。これら励振電極33a,33bは互いの厚さを僅かに変えて形成され、第1の水晶振動子3A,第2の水晶振動子3Bからの主モードの発振周波数を異ならせている。
励振電極33a,33bからは、水晶片31の長さ方向の外側に向って引き出し電極34a,34bが引き出されており、これら引き出し電極34a,34bは、水晶片31の側面を介して水晶片31の裏面の周縁部へと引き回されている。水晶片31の他面側には、その中央部に第1の振動領域32a及び第2の振動領域32bに跨って励振電極35が形成されている。この励振電極35において、振動領域32a,32bの境目から水晶片31の外方へ向かって引き出されるように引き出し電極36が形成されている。
このように形成された感知センサー12を、発振回路ユニット13及び演算部14に電気的に接続することにより感知装置1が構成される。前記発振回路ユニット13には、第1の発振回路61及び第2の発振回路62が設けられており、第1の発振回路61は第1の水晶振動子3Aを、第2の発振回路62が第2の水晶振動子3Bを夫々発振させる。
前記第1の水晶振動子3Aの励振電極33aは、引き出し電極34aを介して導電路51により第1の発振回路61に電気的に接続され、第1の水晶振動子3Aの励振電極35は、引き出し電極36を介して導電路52により反応電極対41の一方の接続電極41eに電気的に接続されている(図2参照)。また、反応電極対41の他方の接続電極41fは、アースに接続されると共に、導電路53を介して第1の発振回路61に電気的に接続されている。こうして、第1の発振回路61から第1の水晶振動子3Aの一方の励振電極33a、他方の励振電極35及び反応電極対41を経て第1の発振回路61に戻る発振ループが形成される。
さらに、前記第2の水晶振動子3Bの励振電極33bは、引き出し電極34bを介して導電路54により第2の発振回路62に電気的に接続され、第2の水晶振動子3Bの励振電極35は、引き出し電極36を介して導電路55により基準電極対42の一方の接続電極42eに電気的に接続されている(図2参照)。また、基準電極対42の他方の接続電極42fは、アースに接続されると共に、導電路56を介して第2の発振回路62に電気的に接続されている。こうして、第2の発振回路62から第2の水晶振動子3Bの一方の励振電極33b、他方の励振電極35及び基準電極対42を経て第2の発振回路62に戻る発振ループが形成される。
図7は、感知センサー12の等価回路を示している。Lは水晶振動子3A(3B)の質量に対応する直列インダクタンス、Cは直列容量、Rは直列抵抗、Cは電極間容量を含む実行並列容量、Cは発振回路61(62)の負荷容量である。一面側の励振電極33a(33b)及び他面側の励振電極35は発振回路61(62)に接続されるが、他面側の励振電極35と発振回路61(62)との間に、前記反応電極対41(基準電極対42)の間に形成される可変容量Cが介在することになる。
ここで、本発明の感知装置1の測定原理について説明する。前記感知センサー12では、反応電極対41の吸着層43に吸着された試料液中の感知対象物であるインフルエンザウイルス10の量に基づいて反応電極対41の容量が変化し、これによって第1の発振回路61にて取得される周波数が変化するため、この周波数変化に基づいてインフルエンザウイルス10の有無を判定している。
より具体的に説明すると、国際規格IEC 60122−1によれば、水晶発振回路の一般式は次の(1)式のように表わされる。
FL=Fr×(1+df/f)
df/f=C/{2×(C+C)}・・・(1)
FLは、水晶振動子に負荷が加わったときの発振周波数であり、Frは水晶振動子そのものの共振周波数である。
本実施の形態では、図2及び図7に示されるように、水晶片31の負荷容量は、CにCが加わったものである。Cは固定の値であり、Cは後述するように、インフルエンザウイルス10の吸着量によって変化する可変の値である。従って、インフルエンザウイルス10の吸着反応前は発振周波数がFであるが、反応後の発振周波数はF±dFとなり、dF分変化する。このdFは、反応電極対41の容量の変化に基づく変化である。
ここで、反応電極対41の吸着層43にインフルエンザウイルス10が吸着されると、電極41a,41b間の状態が変化し、比誘電率が変化する。この際、静電容量Cは次の(2)にて表わされる。
C=S×ε/d ・・・(2)
S:電極の対向する面の面積、ε:比誘電率、d:電極間の距離
従って、反応前の静電容量Caと、反応後の静電容量Cbは、夫々次のようになり、反応前の比誘電率εaと反応後の比誘電率εbが変化すると、その分静電容量が変化する。ここで、前記反応とは吸着層43にインフルエンザウイルス10が吸着される反応をいう。
Ca=S×εa/d ・・・(3)
Cb=S×εb/d ・・・(4)
ここで、前記(1)式において、df=df/fとすることにより、(5)式及び(6)式を導くことができる。
df =C/{2×(C+C)}・・・(5)
df =C/{2×(C+C)}・・・(6)
このため、静電容量Ca、Cbに基づく、発振周波数の変化量dFは次の(7)式により表わされる。
dF=df−df
=C/2×{1/(C+C)−1/(C+C)}・・・(7)
そして、(3)式、(4)式、(7)式により、次の(8)式及び(9)式が導き出される。
dF=C/2×[{1/(C+(S×εa)/d)}−{1/(C+(S×εb)/d)}・・・(8)
εb=d×{(2×C ×d×dF)+(C×S×εa)+(
2×C×dF×S×εa)}/[S×{(−C×d)+2×dF×(C×d+S×εa)}]・・・ (9)
このように、(8)式、(9)式から、比誘電率と発振周波数とが互いに対応関係にあることが分かる。この際、反応電極対41と基準電極対42とを用いてインフルエンザウイルス10の有無の判定を行う場合には、前記比誘電率εaは基準電極対42側の比誘電率、前記比誘電率εbは反応電極対41側の比誘電率に夫々相当する。
続いて、発振回路ユニット13及び演算部14を構成する各部について、図8のブロック図を参照しながら説明する。前記演算部14は、感知対象物の有無の評価に用いるために、発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を検出するための周波数情報検出部に相当する。前記発振回路61,62の後段にはスイッチ部63が設けられており、このスイッチ部63によって2つの発振回路61,62からの周波数信号を時分割して後段に取り込み、各振動領域の発振周波数を並行して求めることができる。第1の発振回路61からの出力をチャンネル1、第2の発振回路62からの出力をチャンネル2とすると、例えば1秒間をn分割(nは偶数)し、各チャンネルの発振周波数を1/n秒例えば1mHz/秒の処理で順次求めることにより、1秒間に少なくとも1回以上周波数を取得しているため、実質同時に各チャンネルの周波数を取得することができる。
スイッチ部63の後段には測定回路部64が設けられている。測定回路部64は、入力信号である周波数信号をディジタル処理して、各チャンネルの発振周波数を測定する。以下、チャンネル1,2の出力を夫々F1,F2で表わす。また、演算部14は、データバス60を備えており、データバス60にはCPU65、データ処理プログラム66を格納した記憶手段、メモリ67、表示部68及び既述の測定回路部64が接続されている。前記表示部68は、判定結果等を表示する手段である。
データ処理プログラム66は、測定回路部64から出力される信号に基づいて発振周波数「F1」の時系列データ及び発振周波数「F2」の時系列データを取得し、メモリ67に格納する。また、例えばこのデータ取得動作と同時に、同一の時間帯におけるチャンネル1から取得した発振周波数F1、チャンネル2から取得した発振周波数F2の各時系列データの差分「F1−F2」を夫々演算し、当該差分データの時系列データを取得してメモリ64に格納する。さらに、例えば測定開始のある時刻t1から時刻t2までの「F1−F2」の値aと、時刻t2以降の「F1−F2」の値bとの差分値a−bを演算し、この差分値が所定の許容値に収まっていれば、試料液中にインフルエンザウイルスが無いものと判定し、超えていれば試料液中にインフルエンザウイルスがあるものと判定するプログラムも含まれている。
次に、感知装置1を用いて試料液中のインフルエンザウイルス10の有無を判定する工程について説明する。なお、感知センサー12に供給する液を総称して供給液と記載する。そして、その供給液において、感知対象物を含まずに水晶振動子3の周囲を液体雰囲気にするための液を参照液と記載し、感知対象物を含むか否か判定を行うために感知センサーに供給する液を試料液と記載する。この例では、参照液は生理食塩水とし、試料液は人間の鼻腔拭い液を用いる。また、図9(a)は測定中の周波数変化の一例として概略的に示したものであり、このグラフも適宜参照しながら説明する。グラフの縦軸はチャンネル間の周波数差「F1−F2」を、縦軸は時間を夫々表わしている。
先ず、感知装置1を起動させると、各水晶振動子3A,3Bが発振し、夫々の周波数に対応する周波数信号F1,F2が取り出される。そして、これら周波数信号は時分割されて測定回路部64に取り込まれ、A/D変換された後、各ディジタル値が信号処理される。そして2つのチャンネルの周波数信号から、前記周波数「F1,F2]が取り出されてメモリ67に記憶され、例えば記憶された「F1,F2]に基づいて、「F1−F2」が演算されてメモリ67に記憶される動作が継続される。具体的な発振周波数としては、例えばF1が30.834MHz、F2が30.934MHzである。図8(a)中の時刻t0は、このように感知装置1を起動した後の所定の時刻である。
次いで、ユーザが感知センサーの注入部22にスポイトにより例えば参照液(生理食塩水)を滴下する(グラフ中時刻t1)。参照液は、毛細管現象により流路21を廃液部23に向けて流れ、ここに貯留される。こうして、流路21に設けられた反応電極対41及び基準電極対42の環境雰囲気が気相から液相に変わり、これらの間の比誘電率が変化する。そして、各チャンネルの出力周波数F1,F2が低下する。
続いて、試料液を注入部22に滴下する。試料液は、参照液と混合しながら、毛細管現象によって、流路21を排液部23に向けて流れていく。試料液にインフルエンザウイルス10が含まれる場合、インフルエンザウイルス10が抗原抗体反応により、図4に示すように吸着層43に吸着され、これにより既述のように反応電極対41の静電容量が変化する。そしてこの静電容量の変化に伴い、第1の水晶振動子3Aからの搬出周波数「F1」の値が低下する。また、反応電極対41では、試料液の温度や粘性によっても静電容量が変化し、これに伴い第1の水晶振動子3Aでは周波数が変化する。一方、第2の水晶振動子3B側のチャンネルからは、試料液の温度や粘性に応じて変化する周波数「F2」が出力される。このような周波数変化の結果、図9(a)に示すように、周波数差「F1−F2」が低下する。
また、試料液がインフルエンザウイルス10を含まない場合には、第1の水晶振動子3Aでは前記抗原抗体反応が起こらず、チャンネル1及びチャンネル2からは試料液の温度や粘性に応じて変化する周波数「F1」,「F2」が取り出されるので、図9(b)に示すように、周波数差「F1−F2」がほとんど変化しない。
そして、例えば時刻t1から時刻t2までの「F1−F2」の値aと、時刻t2以降の「F1−F2」の値bとの差分値a−bを演算し、この差分値が所定の許容値に収まっていれば、試料液中にインフルエンザウイルスが無いものと判定し、超えていれば試料液中にインフルエンザウイルスがあるものと判定して、例えば前記図9(a),(b)に示すグラフと共に、判定結果を表示部68に表示する。
以上において、本発明では、流路形成部材2に形成された流路21内に、可変容量形成用の反応電極対41を設けると共に、この電極対41の表面に吸着層43を形成している。そして、流路21内において試料液を毛細管現象により通流させることにより、試料液中の感知対象物を吸着層43に吸着させ、このときの反応電極対41の容量の変化を、水晶振動子3Aの発振周波数の変化として検出し、これに基づいて前記感知対象物の有無を判定している。
このように、流路21内に試料液を毛細管現象により通流させることによって検査を行うことができるので、試料液を送液するためのポンプ等の機器や試料液の分解薬や、検出用の試薬を用いる必要がなく、感知装置1の大型化や複雑化を防いで、簡便に測定を行うことができる。
また、試料液を流路21内に毛細管現象により通流させているので、例えば鼻腔拭い液のように粘性が高い試料液であっても通流しやすい。このため、粘性が高い試料液を分解薬等で分解せずにそのまま用いることができ、こうして形状が大きく、粘性の大きな感知対象物についても、吸着層43に効率よく吸着させることができる。さらに、前記感知対象物の吸着層43への吸着に基づく、反応電極対41の容量の変化を水晶振動子3Aの発振周波数の変化として捉えているので、感知対象物の有無を試薬の発色変化により目視により確認するイムノクロマト法に対して、精度の高い検査を行うことができる。
さらにまた、流路21は毛細管現象を発生させることができるように微小に構成されているため、容積が非常に小さい。このため、例えば既述のように参照液にて満たされている流路21内に試料液(鼻腔拭い液)を滴下した場合であっても、試料液が希釈される程度が小さく、感知対象物の有無を精度よく検出することができる。また、既述のように、粘性の大きな試料液をそのまま流路21に供給することができるため、分解薬による分解処理等の前処理は不要であり、より簡便に感知対象物の検査を行うことができる。
また、本発明の構成では、流路21の外部に水晶振動子3が設けられているので、水晶振動子3は試料液と接触しない。このため、水晶振動子3の厚さを薄くしても、試料液の応力により水晶振動子3が破壊されるおそれがないため、水晶振動子3を薄くして、例えば150MHz程度まで周波数を高くすることができる。これにより水晶振動子3の感度を高めることができ、ウイルス付着時の容量変化を大きくできることから、より精度の高い検査を行うことができる。
以上において、本発明の感知センサー12では、可変容量形成用の電極対は、流路21内に供給された試料液を介して互いに対向するように設けられればよく、例えば図10(a)に反応電極対44(44a,44b)を例にして示すように、流路21の側面に設けるようにしてもよい。図10(a)中45(45a,45b)は引き出し電極、46(46a,46b)は接続電極であり、前記引き出し電極45(45a,45b)は例えば上部部材2Aの下面又は下部部材2Bの上面に金属膜を形成した後、電極形状に合わせてエッチングすることにより形成されている。
また、図10(b)に反応電極対41を例にして示すように、反応電極対41を構成する電極41a,41bと、これら電極41a,41bと流路形成部材2を挟んで対向するように夫々設けられた接続電極41e,41fとの間の対向間隔が狭く、これら電極41aと接続電極41eとの間、及び電極41bと接続電極41fとの間で容量結合が得られる場合には、必ずしも引き出し電極を設ける必要はない。
さらに、流路形成部材2に形成される流路26は、図11(a)に示すように、その上面が開口しているものであってもよい。図11(a)中、47a,47bは接続電極を兼ねる引き出し電極である。さらにまた、図11(b)に示すように、流路27の断面形状は矩形状に限らず円形状であってもよく、この場合には、反応電極対41を例にして示すように、電極対41を構成する電極41a,41bは例えば流路27の曲面に沿って形成される。
また、流路形成部材2に複数の流路を形成し、一の流路に反応電極対41を設け、他の流路に基準電極対42を設けるようにしてもよい。この際、基準電極対42は一つの流路に設ける一方、反応電極対41は複数の流路に設けておき、基準電極対42からの検出値を共通の基準検出値として用いて、当該基準検出値と、夫々の反応電極対41からの検出値とに基づいて、感知対象物の有無を判定してもよい。
さらにまた、流路形成部材に複数の流路を形成し、夫々の流路に反応電極対と基準電極対を設けるようにしてもよい。この際、例えば図12に示すように、流路形成部材2に2つの流路21a,21bを設ける場合を例にして説明すると、水晶振動子3を共通にして、夫々の流路21aの反応電極対411,412及び基準電極対421,422を夫々スイッチ部48a,48bにより切り替えて水晶振動子3に接続するようにしてもよい。なお図12では、図示の便宜上、反応電極対411,412及び基準電極対421,422を流路形成部材2の表面に描いている。
さらに流路形成部材2では、試料液中の感知対象物の有無検査と並行して、他の検査を行うようにしてもよく。例えば流路において最も下流側に設けられた電極よりもさらに下流側にて、他の検査を行うための検査薬を当該流路内に供給するようにしてもよい。
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。この例は、例えば図13に示すように、液収容部形成部材7として、複数の液収容部をなす凹部71が形成されたプレートを用いる構成である。当該液収容部形成部材7としては、例えばELISA法に用いられる検査プレートを利用することができる。この液収容部形成部材7は例えばポリスチレンや、石英ガラス等により角板状に形成され、例えばその大きさの一例を挙げると、長さ方向(図13中Y方向)の大きさが127mm、幅方向(図13中X方向)の大きさが85mm、厚さ(図13中Z方向)が14mm程度である。また、凹部71は例えば開口部の面積が13.3mm程度、深さが10.4mm程度に夫々設定されている。
前記凹部71は、一つの試料液の検査に対して例えば2個用いられる。例えば図14に示すように、一方の凹部71aには反応電極対72、他方の凹部71bには基準電極対73が夫々設けられており、反応電極対72の表面には、吸着層70が形成されている。以下、反応電極対72が設けられる凹部71aを第1の凹部71a、基準電極対73が設けられる凹部71bを第2の凹部71bとして説明を続ける。図中74は引き出し電極であり、その一端側は液収容部形成部材7の表面に伸び出して、接続電極の役割を果たしている。
これら反応電極対72、基準電極対73、引き出し電極74は、例えば金やアルミニウム等により構成され、前記反応電極対72を構成する電極72a,72bの対向する面の面積は例えば16mm、厚さは300nm、電極72a,72b間の距離は0.7mm程度に夫々設定されている。また、基準電極73を構成する電極73a,73bについても反応電極対72と同様に形成されている。このような反応電極対72、基準電極対73、引出電極74は、例えば凹部71a,71bに金属膜を形成した後、各電極形状に合わせてエッチングを行うことにより形成される。
前記反応電極対72の一方の電極72bは、第1の水晶振動子3Aの励振電極35に接続され、当該水晶振動子3Aの励振電極33aは第1の発振回路61に接続されている。また、前記反応電極72の他方の電極72bは第1の発振回路61に接続されている。こうして、第1の発振回路61から、一方の励振電極33a、他方の励振電極35及び反応電極対72を経て第1の発振回路61に戻る発振ループが形成されている。
さらに、前記基準電極対73の一方の電極73bは、第2の水晶振動子3Bの励振電極35に接続され、当該水晶振動子3Bの励振電極33bは第2の発振回路62に接続されている。また、前記基準電極73の他方の電極73aが第2の発振回路62に接続されている。こうして、第2の発振回路62から、一方の励振電極33b、他方の励振電極35及び基準電極対73を経て第2の発振回路62に戻る発振ループが形成されている。
このような感知装置では、第1の凹部71a及び第2の凹部71bに夫々例えば参照液(生理食塩水)を滴下した後、第1の凹部71a及び第2の凹部71bに試料液である鼻腔拭い液を夫々滴下する。試料液にインフルエンザウイルス10が含まれる場合、既述のように反応電極対72の容量が変化し、第1の水晶振動子3A及び第2の水晶振動子3Bからの発振周波数の周波数差「F1−F2」が大きくなるが、インフルエンザウイルス10を含まない場合には、前記周波数差「F1−F2」がほとんど変化しないため、既述のようにインフルエンザウイルス10の有無を判定できる。
以上において、本発明においても、上述の第1の実施の形態と同様に、試料液中の感知対象物の検査を簡便かつ精度よく行うことができる。また、感知対象物の検査を他のELISA法による検査と同じ検査プレート上で行うことができ、便利である。
以上において、当該実施の形態では、複数個の第1の凹部71aに対して共通の第2の凹部72aを用意し、基準電極対73からの検出値を共通の基準検出値として用いて、複数の反応電極対72からの検出値に組み合わせて検査を行うようにしてもよい。
また、第1の凹部71a及び第2の凹部72a毎に第1の水晶振動子3A及び第2の水晶振動子3Bを夫々接続すると共に、第1の水晶振動子3A毎に第1の発振回路61を、第2の水晶振動子3B毎に第2の発振回路62を夫々接続するようにしてもよい。さらに、第1の凹部71a及び第2の凹部72a毎に第1の水晶振動子3A及び第2の水晶振動子3Bを夫々接続すると共に、複数の第1の水晶振動子3Aに共通の第1の発振回路61と、複数の第2の水晶振動子3Bに共通の第2の発振回路62とを用意し、使用する第1の凹部71a、第2の凹部71bに応じて、対応する第1の水晶振動子3Aと第2の水晶振動子3Bを、夫々第1の発振回路61及び第2の発振回路62に切替え接続するようにしてもよい。
さらにまた、図15に示すように、複数の第1の凹部71aに共通の第1の水晶振動子3Aと、複数の第2の凹部71bに共通の第2の水晶振動子3Bとを夫々用意し、使用する第1の凹部71a、第2の凹部71bに応じて、夫々第1の水晶振動子3Aと第2の水晶振動子3Bにスイッチ部75により切替え接続するようにしてもよい。
また、図16に反応電極対77を例にして示すように、反応電極対及び基準電極対を構成する電極77a,77bは、必ずしも凹部71の壁面に接触して設ける必要はなく、凹部71の壁面から離隔して設けるようにしてもよい。さらに、図17に凹部71の平面図を示すように、一つの凹部71に反応電極対72と基準電極対73とを設けるようにしてもよい。
以上において、上述の感知装置では、流路又は凹部に参照液を供給せずに、直接試料液を供給して検査を行うようにしてもよく、この場合であっても、第1の発振回路と第2の発振回路からの発振周波数の差分を取得し、当該差分が予め設定された許容値を越えていれば感知対象物が有ると判定し、前記許容値以内であれば感知対象物が無いと判定することができる。
さらに、上述の感知装置では、必ずしも反応電極対と基準電極対を設ける必要はなく、反応電極対のみを設けるようにしてもよい。この場合には、例えば流路又は凹部に参照液を供給したときに検出される発振周波数の検出値と、流路又は凹部に試料液を供給したときに検出される発振周波数の検出値との差分を取得する。そして、この差分が予め設定された許容値を越えていれば感知対象物が有ると判定し、前記許容値以内であれば感知対象物が無いと判定する。また、この際参照液を供給せずに、直接試料液を供給して検査を行うようにしてもよく、この場合には、予め試料液中に感知対象物が含まれないときの発振周波数を基準値として把握しておき、この基準値と、流路又は凹部に試料液を供給したときに検出される発振周波数の検出値との差分を取得して、感知対象物の有無を判定する。
また、本発明の感知装置は、試料液中の感知対象物の定量に適用することができる。この場合には、演算部14は、感知対象物の吸着量の評価に用いるために、発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を検出するように構成される。例えば、予め吸着層に吸着された感知対象物の量と、このときの発振周波数の差分(F1−F2)との関係を把握しておき、検査時に取得される発振周波数の差分から感知対象物の量を定量するように構成する。
さらに、本発明では、周波数情報としては、周波数差に限らず、周波数の差分に対応する情報である周波数の変化率{(f1−f0)/f0}であってもよい。また、吸着層は反応電極対を構成する一方の電極及び他方の電極の少なくとも一方に形成すればよい。さらにまた、周波数の計測は発振回路を用いる方法に限らず、ネットワークアナライザやインピーダンスアナライザを用い、伝送法や反射法によって行うようにしてもよい。
以上において、本発明の試料液としては、血液や尿等を用いることができ、例えば白血球やCRP等のたんぱく質、細胞、リケッチャ、ウイルス等の感知対象物の検査に適用することができる。
1 感知装置
12 感知センサー
13 発振回路ユニット
14 演算部
2 流路形成部材
21 流路
3A 第1の水晶振動子
3B 第2の水晶振動子
33a,33b 一方の励振電極
35 他方の励振電極
41 反応電極対
42 基準電極対
41a,42a 一方の電極
41b,42b 他方の電極
43 吸着層
61 第1の発振回路
62 第2の発振回路

Claims (5)

  1. 試料液中の感知対象物を検出する感知装置において、
    圧電片の一面側及び他面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成される圧電振動子と、
    前記一方の励振電極に電気的に接続された発振回路と、
    試料液を収容するための液収容部が形成された液収容部形成部材と、
    前記液収容部内に収容された試料液を介して互いに対向するように設けられた一方の電極及び他方の電極からなり、当該一方の電極が前記他方の励振電極と電気的に接続された可変容量形成用の電極対と、
    前記液収容部内の試料液と接触するように前記一方の電極及び他方の電極の少なくとも一方の表面に形成され、試料液中の感知対象物を吸着する吸着層と、
    前記感知対象物の有無あるいは吸着量の評価に用いるために、前記発振回路の発振周波数に対応する周波数情報を検出するための周波数情報検出部と、を備え、
    前記発振回路から一方の励振電極、他方の励振電極及び電極対を経て発振回路に戻る発振ループが形成され、
    前記吸着層に感知対象物が吸着されることにより、前記電極対同士の間の容量が変化することを特徴とする感知装置。
  2. 前記圧電振動子及び電極対からなる組として第1の組及び第2の組を設け、
    前記吸着層は、第1の組及び第2の組の一方の電極対にのみ設けられ、
    前記周波数情報検出部は、前記第1の組に対応する発振周波数及び第2の組に対応する発振周波数の差分に応じた信号を求めるものであることを特徴とする請求項1記載の感知装置。
  3. 前記液収容部は、毛細管現象により試料液が通流する流路であることを特徴とする請求項1又は2記載の感知装置。
  4. 前記液収容部は、液収容部形成部材に設けられた凹部であることを特徴とする請求項1又は2記載の感知装置。
  5. 圧電片の一面側及び他面側に夫々一方の励振電極及び他方の励振電極を設けて構成される圧電振動子を用いて、試料液中の感知対象物を検出する感知方法において、
    液収容部形成部材に設けられた液収容部に試料液を収容する工程と、
    この液収容部内に設けられた可変容量形成用の電極対に吸着層を介して感知対象物を吸着させる工程と、
    一方の励振電極、他方の励振電極及び電極対を含む発振ループにより、前記感知対象物の有無あるいは吸着量の評価に用いるために、圧電振動子からの発振周波数に対応する周波数情報を検出する工程と、を含み、
    前記吸着層に感知対象物が吸着されることにより、前記電極対同士の間の容量が変化することを特徴とする感知方法。
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