JP5037262B2 - 多階調フォトマスクの欠陥修正方法及び欠陥が修正された多階調フォトマスク - Google Patents

多階調フォトマスクの欠陥修正方法及び欠陥が修正された多階調フォトマスク Download PDF

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Description

本発明は、半透過膜を含むハーフトーン型の多階調フォトマスク(以下、単に「多階調フォトマスク」という。)の欠陥修正方法及びこの方法を適用した多階調フォトマスクに関するものである。
多階調露光用のハーフトーンマスクは、透明基板の上に遮光膜と半透過膜が形成され、透明基板が露出した透光部と、遮光部によって光が全く透過しない遮光部と、半透過膜の透過率に応じた量の光が透過するハーフトーン部とで構成される。このようなマスクを用いて露光すると、半透過膜の透過率によって露光量を制限することができるため、1回の露光で複数のパターニングが可能となり、マスク露光工程を削減することができる。
多階調露光用ではないが、ハーフトーン型位相シフトマスクのハーフトーン部に発生した白欠陥を修正する方法として、集束イオンビーム(FIB)を用いて「半透過膜とほぼ同透過率の」半透過膜を修正膜として堆積する方法が知られている。
なお、本明細書では、ハーフトーンマスクに当初から形成されていた半透過膜を「未修正半透過膜」、修正膜として形成された半透過膜を「修正半透過膜」とよび区別する。同様に、ハーフトーンマスクに当初から形成されていた遮光膜を「未修正遮光膜」、修正膜として形成された遮光膜を「修正遮光膜」とよび区別する。
特開平7−295204号公報 特開2003−121992号公報 特開2005−189492号公報 特開平8−314119号公報 特開2002−107913号公報
ハーフトーン型位相シフトマスクは極めて微細な露光を前提とするためF2レーザー(157nm)やArFレーザー(193nm)などの短波長かつ単一波長のレーザー光が用いられ、使用されるレーザーの波長に対して位相シフト量等を計算してその配置や大きさ等が設計される。換言すれば、複数の波長を持つ露光光源は想定されていない。
これに対して、多階調露光用のフォトマスクを用いてパターンを転写する際には、例えば水銀ランプのi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)など、複数の露光波長を含む露光光源を用いることが一般的である。
ところで、修正半透過膜と未修正半透過膜とを比較すると、両者は成膜方法の相違に起因して膜の組成が大きく異なり、ゆえに光学的性質も大きく異なっている。そのため、膜厚を制御するなどの方法により、「ある特定の波長」における透過率を等しくできたとしても、他の波長においては等しくならない。すなわち、露光条件によっては無視できない「波長依存性」の問題が存在する。
図5は、未修正半透過膜の透過率と、従来の修正半透過膜の透過率とを、異なる波長ごとに測定した結果を示す図である。一般に、修正半透過膜を堆積するとき、その透過率を周囲の未修正半透過膜と透過率を等しくする必要があることは知られていたが、従来は波長依存性の問題を考慮せず、単に特定の波長(例えばg線のみ)で透過率がほぼ一致するように修正することが一般的であった。図5は、g線(436nm)において透過率が周囲とほぼ等しく設定されていることを示している。
しかし、この修正半透過膜の透過率は、g線以外の他の波長、例えばi線(365nm)やh線(405nm)においては、透過率が未修正半透過膜よりも小さな値となっていることが分かる。従来は波長依存性を考慮していなかったので露光光源の波長ごとに透過率を複数回測定するということは行われていなかったため、図5のようなデータは現実のプロセス上の問題として殆ど認識されていなかった。
このように、修正半透過膜の透過率の波長依存性を考慮せずに修正半透過膜を堆積した場合には、使用する露光光源によって正しく修正できないという問題が生じうる。特に、単一波長のレーザー光のような露光光源ではなく、水銀ランプ等のように複数の波長の混合光が用いられる場合等に、この問題が顕著に生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、修正半透過膜の波長依存性を考慮した最適な透過率を設定する具体的な方法を提供することを主たる技術的課題とする。また、その前提となる新規な修正膜の形成方法を提供することも含まれる。
本発明に係る多階調フォトマスクの欠陥修正方法は、透明基板の上に少なくとも遮光膜のパターンと半透過膜のパターンとが形成された多階調フォトマスクの欠陥修正方法であって、前記半透過膜のパターンに含まれる欠陥に対し、気相堆積法により修正半透過膜を堆積することを特徴とする。
この場合、前記多階調フォトマスクに使用される複数の露光波長を含む露光光源に対し、未修正半透過膜と修正半透過膜のそれぞれについて各波長のスペクトル強度比で加重平均した透過率の値がほぼ等しくなるように、前記修正半透過膜の膜厚を制御することが好ましい。「ほぼ等しく」とは、一定の許容範囲を包含する意図である。この場合、露光光源が水銀ランプである場合には、前記透過率は、その混合波長に含まれるスペクトルのうちのg線、h線およびi線の3波長のスペクトル強度比で加重平均することが好ましい。
さらに、前記遮光膜のパターンに含まれる欠陥に対する修正遮光膜の形成と、前記半透過膜のパターンに含まれる欠陥に対する修正半透過膜の形成とを、同一装置内において連続的に行うように構成してもよい。
本発明に係る多階調フォトマスクの欠陥修正方法によると、修正半透過膜の透過率の目標値が実際に使用される露光光源に含まれる各波長域でのスペクトル強度の比率で加重平均したものとほぼ一致するため、混合波長を含む露光光源で露光した場合でも、波長依存性の影響が軽減される。また、本発明に係る多階調フォトマスクによると、全体としての完成度を要するフォトマスクの利用効率が改善し、欠陥修正を施さなければ不良品として使用不可能として廃棄されていたフォトマスクが修正によって良品になり、製造コスト並びに生産歩留まりが大幅に向上する。
本件発明者たちは、上記に鑑み、修正膜を堆積する新規な成膜方法として気相堆積法に着目した。気相堆積法には、物理気相堆積法(PVD)及び化学気相堆積法(CVD)法が含まれる。特に、膜厚を制御しながら局所的に堆積できる気相堆積法を用いることが好ましい。実験では、化学気相堆積法のうち、特に、「光CVD法(化学気相堆積法)」に着目した。光CVD法とは、レーザー光を照射し、そのレーザー光の照射部に局所的に成膜する技術である。
欠陥(本明細書において、単に「欠陥」というときは、「白欠陥」と「黒欠陥」の両方を含むものとする。)の形状及び大きさは種々のものが考えられるので、先ず欠陥の周囲を除去し(これによって透明基板の一部が露出する)、しかる後に上述した光CVD法による成膜を行う。光CVD法の特徴は、ガスの濃度とレーザー出力を設定することにより一回の光照射で数nm程度ずつ堆積させることができ、繰り返しスキャンすることで所望の透過率に対応する膜厚を極めて高精度に達成できる点にある。さらに、遮光膜の堆積とほぼ同じガスソースを用いることができるため、同一装置内で成膜条件を変えるだけで連続的に修正膜を堆積することができる。なお、欠陥の周囲の除去は必要な場合のみ実施すればよい。
その際、パターンを転写する際の露光波長を考慮して予め露光光源のスペクトルから各波長のスペクトル強度比を推定し、次に周囲の半透過膜(未修正半透過膜)と修正半透過膜のそれぞれについて各波長のスペクトル強度比(推定値)で加重平均した透過率の値が等しくなるように、修正半透過膜の透過率の値を決定する。
例えば、露光光源がi線とh線とg線との3波長の混合光である場合には、予め露光光源のスペクトルから各光線のスペクトル強度比J:J:Jを推定する。次に、半透過膜に対して実際にこの混合波長の光を照射し、各光線に対応する透過率α,α,αを測定する。次に、得られた測定値の加重平均値Aを求める。
この加重平均値Aは以下の計算式で求められる。
A=α×J/(J+J+J)+α×J/(J+J+J)+α×J/(J+J+J) ・・・・(1)
一方、修正半透過膜を光CVD法で堆積する。その後、上述と同様の混合波長の光を照射し、各光線に対応する透過率β,β,βを測定する。次に、得られた測定値の加重平均Bを求める。
この加重平均値Bは以下の計算式で求められる。
B=β×J/(J+J+J)+β×J/(J+J+J)+β×J/(J+J+J) ・・・・(2)
修正半透過膜の透過率の加重平均値Bが、先に求めた加重平均値Aよりも大きいときは、修正半透過膜をさらに形成し、再び加重平均値Bの値を計算する。この作業を繰り返し、半透過膜の透過率の加重平均値Aの値が修正半透過膜の透過率の加重平均値Bの値と等しくなった時点で、膜厚が最適化されたと判断し、終了する。
なお、この方法を数学的帰納法により一般化すれば、加重平均値A及びBの計算式は、以下ように記述される。
A=Σα×J/ΣJ ・・・・(1’)
B=Σβ×J/ΣJ ・・・・(2’)
そして、先ずAの値を求め、次にBの値がAとほぼ一致するまで修正半透過膜の形成と透過率の加重平均値Bの測定を繰り返すのである。
なお、発生した欠陥が半透過部だけでなく遮光部にも達する場合には、従来の黒欠陥の修正方法を組み合わせることで修正が可能となる。以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
(第1の実施形態)
本発明に係る多階調フォトマスクの欠陥修正方法は、大きく分けて、ステップS0からステップS7から構成される。最初のステップであるステップS0では、露光光源に含まれる各光線のスペクトル強度比の推定を行う。これは、事前準備にあたるもので、最初に一度だけ実施すれば次回からは不要である。
図1(a)は、超高圧水銀ランプの分光分布を示す図である。横軸は波長を示し、縦軸はスペクトル強度を示している。この図に示すように、水銀ランプには、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの複数の波長が含まれているが、各光線のスペクトル強度は異なっていることが分かる。そこで、以下に示す方法により、各光線のスペクトル強度比を推定する。
例えば、i線を350nm〜380nmまでと規定し、その区間の図1(a)のグラフの面積Jを求める。同様に、h線を390nm〜420nmと規定し、同様にその区間のグラフの面積Jを求める。同様に、g線を420nm〜450nmと規定し、同様にその区間のグラフの面積Jを求める。
図1(b)は、各光線に対応づけた面積比からそのスペクトル強度比を求めた結果を示している。すなわち、このようにして求められた面積J〜Jが各光線(i線、h線、g線に対応する)のスペクトル強度比にほかならない。なお、図1(a)の縦軸のスペクトル強度は任意単位で図示しているが、相対的なスペクトル強度比を求めるので絶対値は必要ない。
このようにして、露光光源として図1(a)に示すような分光分布を持つ水銀ランプを用いる場合、露光光源に含まれる各光線のスペクトル強度比が求められる。なお、上述の例では、350nm〜380nmまでの波長域をi線と対応付けたが、スペクトル強度比は、どの程度の波長幅で露光波長に対応付けるかによって、異なってくる。
次のステップS1では、欠陥修正の対象となるハーフトーンマスクの半透過部の透過率を測定する。この透過率は波長依存性を持つので、各光線(i線、h線、g線)ごとに透過率αを求める。
露光光源には複数の波長の光線が含まれており、各光線の相対強度は異なっている一方で、露光光源が照射されるハーフトーンマスクの半透過膜の透過率は、波長依存性を持っている。従って、各光線の相対強度比を考慮して、加重平均値Aを求めることにより、全ての光線波長において平均的に未修正半透過膜に近い値の透過率が得られることになる。
次のステップS2では、各光線のスペクトル強度比J〜Jと、測定した半透過膜の透過率α〜αとから、この加重平均値Aを計算する。
次のステップS3では、修正半透過膜を堆積するために、先ず欠陥部周囲の半透過膜を除去する。なお、欠陥の周囲の除去は必要な場合のみ実施すればよい。次に、ステップS4では、光CVD法により実際に修正半透過膜を堆積する。
次のステップS5では、修正半透過膜の透過率を測定する。このステップは、ステップS1に対応するものであり、修正半透過膜の透過率を測定するステップである。透過率は「波長依存性」を持つので、各光線(i線、h線、g線)ごとに透過率βを求めることが重要である。
次のステップS6では、各光線のスペクトル強度比J〜Jと、測定した修正半透過膜の透過率β〜βとから、加重平均値Bを計算する。修正半透過膜を堆積する前は、ステップS3において欠陥部は透明基板が露出しているので透過率は全ての波長において100%となる。ゆえに加重平均値Bも初期値は100%となる。しかし、ステップS4において修正半透過膜を堆積するにつれて、加重平均値Bは100%から低下していく。
次のステップS7では、加重平均値Bの大きさと未修正半透過膜の加重平均値Aの値とを比較し、両者の大きさがほぼ一致するまでステップS4〜S6を繰り返す。Bの値がAとほぼ一致した時点で、修正半透過膜の堆積を終了する。
図2は、上述の水銀ランプを露光光源として用いることを前提として、ステップS0〜ステップS7を実行することにより得られた修正半透過膜の透過率とを、異なる波長ごとに測定した結果を示す図である。なお、従来のg線(436nm)のみで透過率を等しく合わせ込んだ結果(図5)を比較例として破線で示している。
このように、各露光波長に対応する各光線のスペクトル強度比から未修正半透過膜の透過率について加重平均値を算出し、この透過率に対応する膜厚を前記修正半透過膜の最終膜厚として設定することにより、修正半透過膜の透過率が、周囲の未修正半透過膜の透過率と全ての光線波長において平均的に未修正半透過膜に近い値の透過率が得られるという効果が得られる。これは、特定の波長のみで透過率がほぼ一致していても他の波長域において大きく相違する従来の修正半透過膜と対照的な結果である。
(第2の実施形態)
次に、上述した欠陥修正方法を実際のプロセスに適用した例について説明する。
図3(a)〜(c)及び図4(d)〜(e)は、ハーフトーンマスクのマスクパターンを拡大した図であり、本発明に係る欠陥修正方法を適用した具体例を説明するための工程図を示している。
図3(a)は、マスクパターンの一部に白欠陥が発生したことを示している。このマスクパターンの構造は、透明基板10の表面に遮光膜のパターン11が形成され、その上に未修正半透過膜のパターン12が形成されている。このマスクパターンは本来図中に示した一点鎖線X−Xに対して対称的な形状及び構造をしているべきものであるが、本来あるべき部位に所定の膜が存在しない欠陥(すなわち白欠陥)P,Qが存在している。すなわち、図3(a)における白欠陥Pには、本来遮光膜のパターン11が形成されていなければならず、白欠陥Qには本来、未修正半透過膜のパターン12が形成されていなければならないが、それらが両方とも欠損している。
このような白欠陥を修正するために、本件発明者たちは、光CVD法を利用することを検討したところ、光CVD法は、成膜条件を僅かに変化させるだけで、遮光膜と半透過膜の両方を極めて高い位置精度と膜厚精度で堆積することが可能であることを見いだした。
図3(b)は、光CVD法を適用する前に、一旦未修正半透過膜のパターン12を除去した様子を示している。この方法は特に限定されるものではないが、例えばレーザーザッピングとよばれる手法を用いることができる。レーザーザッピングとは、レーザービームを照射した部分の金属がレーザービームを吸収した際に発生する熱により蒸散する現象を用いて金属膜を除去する方法の一つであり、「レーザー蒸散法」という場合もある。
この工程により半透過膜が局所的に除去され、この部分では透明基板が露出する。なお、欠陥の周囲の除去は必要な場合のみ実施すればよい。
図3(c)は、遮光パターンの白欠陥Pが存在する部位に、光CVD法を用いて修正遮光膜21を形成した様子を示している。この工程により、遮光膜のパターン11が設計通りの形状に修復される。なお、修正遮光膜21は、例えばクロム膜等の遮光性材料により構成される。光CVD法により堆積する場合、透過率が0になる条件で堆積すればよいため、レーザー出力も十分に大きく一括照射し、原料ソースも所定の濃度以上となるように流量及び膜厚を制御する。但し、その制御はそれほど困難なものではない。
図4(d)は、半透過膜パターンの白欠陥Qを含む前記半透過膜を除去した部位に、光CVD法を用いて修正半透過膜22を堆積している様子を示している。この工程により、半透過膜のパターン12が設計通りの形状に修復される。なお、修正半透過膜22は酸化クロム膜や窒化クロムなどのクロム系材料により構成される。光CVD法により堆積する場合、透過率が「所定の設定値」となるように膜厚を制御しながら堆積する必要があるため、クロム系原料ソースを酸素或いは窒素で希釈すると共にレーザー出力を小さくし、かつレーザー照射部20を繰り返しスキャンして膜厚を徐々に増大させ、透過率を100%から徐々に下げていくようにする。レーザー照射のスキャンは所定の透過率が得られるまで繰り返される。効率よく目標の透過率に達するため、最初のうちは大きく透過率が下がる条件で堆積し、目標の透過率に近づくにつれて微調整してもよい。
このように、修正遮光膜の堆積と修正半透過膜の堆積は、使用するガスの濃度とレーザーの照射方式及びレーザー出力を異ならせるだけでよいため、同一の光CVD装置を用いて連続的に行うことが可能である。
実験では、修正遮光膜の堆積はレーザーを一括照射したのに対し、修正半透過膜の堆積は予めレーザーザッピングにより半透過膜を矩形状に除去した後、除去した部位にレーザーをスキャンしながら繰り返し照射した。なお、図示は省略するがパターンによってはスキャンの端部(初端と終端)は光強度が不足し、形成される修正半透過膜の膜厚が薄くなり易いので両端部の膜厚が不均一な部分をレーザーザッピングによって除去する工程を追加してもよい。
図4(e)は、修正半透過膜22の堆積が終了した状態を示している。この時点で、修正半透過膜22の膜厚を測定する。図中の点Rは、修正半透過膜22の透過率測定部位を示している。透過率を測定する場合は、実際の露光光源と同じ条件で測定する。露光光源が複数の波長を含む場合には、各光線のスペクトル強度比を予め求め、加重平均値Aを求めておく。そして、透過率測定点Rにおいても各光線の波長ごとに透過率を求め、その値から加重平均値Bの値を算出する。これらの加重平均値の計算方法は、第1の実施形態において説明した方法を適用することができる。
透過率測定点Rにおける各波長ごとの実測値から計算される透過率の加重平均値Bの値がAよりも大きいときは膜厚が不足しているので、修正半透過膜22の堆積を継続する。そして、BがAとほぼ一致した時点で修正半透過膜の堆積を終了する。
なお、第2の実施形態では、遮光膜と半透過膜の両方について白欠陥が発生した場合にその修正方法について説明したが、別々に発生する場合もあることは当然である。また、白欠陥に限らず、黒欠陥でも構わない。黒欠陥が半透過膜上にある場合、レーザーザッピング等によって一旦半透過膜を除去するのでその際に黒欠陥が除去されるからである。結局、半透過膜に対しては、白欠陥と黒欠陥の区別なく、「欠陥」を修正することができる。一方、白欠陥が遮光膜上にある場合、レーザーザッピング等によって遮光膜を除去する必要はなく、直接白欠陥の上から光CVD法或いはその他の方法例えば集束イオンビーム法によって修正できる。また、黒欠陥が遮光膜上にあっても修正の必要はない。
従って、本発明に係る欠陥修正方法によると、遮光膜及び半透過膜上に形成されたあらゆる白欠陥及び黒欠陥を除去できる。そして、修正半透過膜の透過率については露光光源に含まれる各光線のスペクトル強度比を考慮して設定値を決定するため、全ての光線波長において平均的に未修正半透過膜に近い値の透過率が得られる。
なお、水銀ランプを例にとり、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)のスペクトル強度比で加重平均をとる例を示したが、本発明の技術的思想は、露光光源が複数の露光波長を持つ場合に、各露光波長ごとの透過率に対してそのスペクトル強度比で未修正半透過膜の透過率の加重平均求め、これを修正半透過膜の透過率の設定値とする点にある。また、透明基板・遮光膜・半透過膜の順に形成された膜構成について例示したが、これ以外の膜構成、例えば、透明基板・半透過膜・遮光膜の順に堆積したものであってもよい。また、半透明基板が2層以上形成された4階調以上の多階調フォトマスクであっても当然に適用可能である。
本発明は、ハーフトーンマスクの欠陥を露光光源の特性を考慮して透過率の波長依存性が抑えられる効果的な欠陥修正方法であり、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
図1(a)は、水銀ランプの分光分布を示す図である。図1(b)は、各光線に対応づけた面積比からそのスペクトル強度比を求めた結果を示している。 図2は、未修正半透過膜の透過率と修正半透過膜の透過率とを異なる波長ごとに測定した結果を示す図である。なお、従来のg線(436nm)のみで透過率を等しく合わせ込んだ結果(図5)を比較例として破線で示している。 図3(a)〜(c)は、ハーフトーンマスクのマスクパターンを拡大した図であり、本発明に係る欠陥修正方法を適用した具体例を説明するための工程図を示している。 図4(d)〜(e)は、ハーフトーンマスクのマスクパターンを拡大した図であり、本発明に係る欠陥修正方法を適用した具体例を説明するための工程図を示している。 図5は、未修正半透過膜の透過率と従来の修正半透過膜の透過率とを異なる波長ごとに測定した結果を示す図である。
符号の説明
10 透明基板
11 未修正遮光膜
12 未修正半透過膜
20 レーザー照射部
21 修正遮光膜
22 修正半透過膜
P 遮光パターンの白欠陥
Q 半透過膜の白欠陥

Claims (4)

  1. 透明基板の上に少なくとも遮光膜のパターンと半透過膜のパターンとが形成された多階調フォトマスクの欠陥修正方法であって、
    気相堆積法により、前記多階調フォトマスクに使用される複数の露光波長を含む露光光源に対し未修正半透過膜と修正半透過膜のそれぞれについて各波長のスペクトル強度比で加重平均した透過率の値がほぼ等しくなるように、前記修正半透過膜の膜厚を制御して前記半透過膜のパターンに含まれる欠陥に対する修正半透過膜を堆積することを特徴とする欠陥修正方法。
  2. 請求項1記載の欠陥修正方法であって、前記遮光膜のパターンに含まれる欠陥に対する修正遮光膜の形成と、前記半透過膜のパターンに含まれる欠陥に対する修正半透過膜の形成とを、同一装置内において連続的に行うことを特徴とする欠陥修正方法。
  3. 請求項1記載の欠陥修正方法であって、前記露光光源は水銀ランプであり、前記透過率は、その混合波長に含まれるスペクトルのうちのg線、h線およびi線の3波長のスペクトル強度比で加重平均したことを特徴とする欠陥修正方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法により欠陥が修正されたことを特徴とする多階調フォトマスク。
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