これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の施解錠装置1の構成を示す。施解錠装置1は、住宅用のドア2に、室内側および室外側の両側から操作可能に取り付けられている。図中の(A)はドア2の室外側、(B)はドア2の側端側、(C)はドア2の室内側を示す。施解錠装置1は、メイン電気錠3、サブ電気錠4、タッチスイッチ5および制御装置6とからなる。
メイン電気錠3およびサブ電気錠4は、それぞれ、ドア2の内部に組み付けられており、ドア2の側端面から突出または内部に収納可能なデッドボルト7,8を有し、室内側に露出する手動操作部9,10と、室外側に露出するキー操作部11,12と、デッドボルト7,8を駆動する不図示のモータとをそれぞれ備える。手動操作部9,10は、ユーザ(居住者)が回動できるサムターン13,14と、複数のLEDからなる表示器(モニタ手段)15,16とを備えている。キー操作部11,12は、所定の鍵を差し込んで回動させることができるようになっている。
制御装置6は、例えばEEPROMからなる記憶手段17と、RAMからなるワーキングメモリ18と、ユーザがそれぞれ所有する携帯機19と無線通信するアンテナ装置20と、ドア2の端面側に配設された登録スイッチ21とを備える。制御装置6は、サムターン13,14、キー操作部11,12の動作、タッチスイッチ5の状態、携帯機19との通信内容等の様々な制御情報に基づいて、デッドボルト7,8を駆動することで、ドア2を施錠または解錠する。尚、本実施形態の施解錠装置1において、制御装置6は、メイン電気錠3およびサブ電気錠4を共に施錠もしくは解錠することが可能であるだけでなく、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のいずれか一方だけを施錠もしくは解錠することもできる。
制御装置6は、施解錠装置1の制御のために、メイン電気錠3、サブ電気錠4、タッチスイッチ5、或いは、不図示のセンサ等の他の構成要素から受信する各種のデータや制御の過程で生成されるフラグなどの様々な制御情報をワーキングメモリ18に一時的に記憶する。また、制御装置6は、ワーキングメモリ18の制御情報の中から、施解錠動作を開始した操作条件を示す駆動情報コードと、故障検出時にどのような制御情報に基づいて故障と判断したかを示す故障情報コードとを、EEPROM17にも記憶させる。駆動情報コードは、メイン電気錠3、サブ電気錠4のモータを駆動する毎にEEPROM17の所定の領域に上書きされて最新の情報のみが保存されるが、故障情報コードは、EEPROM17の容量が許す限り、故障が発生した順番に書き足される。また、EEPROM17には、ユーザが保有する携帯機19のIDコードなどの登録データも記憶される。ワーキングメモリ18に記憶した制御情報は、制御装置6のリセット時には消去されるが、不揮発性のEEPROM17に記憶した制御情報は、制御装置6のリセットや電源の遮断によっても消去されずに保持される。
図2に、この施解錠装置1の制御装置6の、ドア2の施解錠に係る通常処理の流れを示す。制御装置6は、ステップS1において、タッチスイッチ5の状態を確認する。ステップS1でタッチスイッチ5が押下されていれば、ステップS2に進んで、後述のタッチスイッチ処理を行い、ステップS1に戻る。ステップS1でタッチスイッチ5が押下されていなければ、ステップS3に進んで1つの携帯機19を特定する呼出信号を設定し、アンテナ装置20から設定した呼出信号を含むチャレンジ信号を送出する。そして、ステップS4において、携帯機19からの応答信号を受信する信号受信処理を行う。この信号受信処理は、受信した信号が所定のフォーマットであるか否かを判定する。例えば、受信した信号が所定のビット長でない場合、制御装置6は、「通信異常故障」であると判断し、EEPROM17に、通信異常故障を示す制御情報である通信異常故障情報コードを記憶する。
さらに、制御装置6は、ステップS5に進んで、受信した信号に含まれる携帯機19固有のIDコードがEEPROM17に予め記憶しているIDコードに合致する場合にのみ、チャレンジ信号に応答した携帯機19を認証する信号認証処理を行う。ここで、受信したIDコードが記憶しているIDコードに合致するという操作条件を満たせば、制御装置はユーザを認証し、メイン電気錠3およびサブ電気錠4の施解錠を行う。受信したIDコードが記憶しているIDコードに合致しない場合、制御装置6は、「認証不一致故障」であると判断し、EEPROM17に、認証不一致故障を示す認証不一致故障情報コードを記憶する。
尚、本実施形態の制御装置6は、EEPROM17の異なる3つのエリアに、同じデータを記憶させるようになっている。例えばEEPROM17からIDコードの読み出し処理を行うステップS4やステップS5において、制御装置6は、EEPROM17の3つのエリアからそれぞれデータを読み出して照合し、3つのエリアのデータが不一致である場合は、「EEPROM故障」であると判断し、EEPROM17に、EEPROM故障を示すEEPROM故障情報コードを記憶する。3つのエリアの内2つ以上のエリアのデータが一致する限り、制御装置6は、多数のデータに基づいて制御を継続する。
ステップS5の信号認証処理が終了したなら、制御装置6は、ステップS6に進んで、登録されている携帯機19の数だけチャレンジ信号を送出したかどうかを確認する。携帯機19の登録数だけチャレンジ信号を送出していない場合は、ステップS1に戻ってステップS1からS5の処理を繰り返す。登録された携帯機19の全てにチャレンジ信号を送信したなら、ステップS7に進む。
ステップS7では、ドア2が開放された後に開放状態から閉鎖状態に変化したかどうかを確認する。ドア2が開放状態から閉鎖状態に変化していればステップS8に進んで、ワーキングメモリ18に扉開閉後施錠自動駆動フラグを設定し、ステップS9で、後述(図6)のモータ駆動処理を施錠方向に実行する。モータ駆動処理が完了すると、ステップS10において、EEPROM17に扉開閉後施錠自動駆動情報コードを記憶し、ステップS11で次の操作が行われるまで待機する。扉開閉後施錠自動駆動情報コードは、EEPROM17に最新のものが上書き保存される駆動情報コードの1つであって、制御装置6が制御情報の変化がユーザがドア2を通過することによってドア2が開状態から閉状態に変化したことを示す1つの自動駆動条件に一致するものと判断し、ユーザ操作によらず自動的に電気錠3,4を施錠したことを示す自動駆動情報である。
ステップS7で、ドア2が開放状態から閉鎖状態に変化していなければ、ステップS12に進んで、ドア2が開いているかどうかを確認する。ドア2が開いていれば、ステップS11に進んで待機状態になる。ステップS12で、ドア2が閉じていれば、ステップS13で電気的に解錠が行われたか否か、つまり、制御装置6が電気錠3,4を解錠させる命令を行って、施解錠を検出する不図示のスイッチが解錠状態を検出したか否かを確認する。電気的解錠が行われていなければ、ステップS14において後述(図4)の施錠追従処理を行い、さらに、ステップS15において後述(図5)の施錠復帰処理を行ってから、ステップS11で次の操作が行われるまで待機する。
ステップS13で、電気的に解錠が行われていれば、ステップS16に進んで、電気的解錠から30秒以上経過しているかどうか確認する。電気的解錠から30秒以上経過していなければ、ステップS11に進んで待機するが、30秒以上経過していれば、ステップS17で、ワーキングメモリ18に30秒施錠自動駆動フラグを設定する。そして、ステップS18において、後述(図6)のモータ駆動処理を施錠方向に実行する。モータ駆動処理が完了すると、ステップS19において、EEPROM17に30秒施錠自動駆動情報コードを記憶する。この30秒施錠自動駆動情報コードは、制御装置6が、制御情報の変化がメイン電気錠3およびサブ電気錠4を解錠してから30秒(所定時間)以内にドア2が開状態とならなかったことを示す1つの自動駆動条件に一致するものと判断し、ユーザ操作によらず自動的に電気錠3,4を施錠したことを示す自動駆動情報(駆動情報の1つ)である。
続いて、図3に、図2のステップS2のタッチスイッチ処理の詳細を示す。制御装置6は、図2のステップS1でタッチスイッチ5が押下されている場合、図3のステップS21において、タッチスイッチ5の室内側のボタンが押下されたか否かを確認し、室内側のボタンが押下されていなければ、さらに、ステップS22で、タッチスイッチ5の室外側のボタンが押下されたか否かを確認する。制御装置6は、タッチスイッチ5の室内側または室外側のいずれかのボタンが押下されていれば、ステップS23に進み、タッチスイッチ5が30秒以上継続して押下されているか否かを確認する。タッチスイッチ5が30秒以上継続して押下されていれば、制御装置6は、「タッチスイッチ異常故障」であると判断し、ステップS24に進んで、EEPROM17にタッチスイッチ故障を示す制御情報であるタッチスイッチ故障情報コードを記憶する。ステップS23でタッチスイッチ5の押下時間が30秒未満であると判定されれば、制御装置6は、ステップS25でEEPROM17からIDコードを読み込み、ステップS26でアンテナ装置20のアンテナ出力を準備して、図2の通常処理に戻る。
図4に、図2のステップS14の施錠追従処理の詳細を示す。制御装置6は、ステップS31で、ワーキングメモリ18に施錠追従フラグが設定されているか否かを確認する。施錠追従フラグが設定されていれば、ステップS32に進み、メイン電気錠3が施錠状態であって、且つ、サブ電気錠4が解錠状態であれば、ステップS33でドア2の開閉状態を確認する。ドア2が開いていれば処理を終了するが、ドア2が閉じていればステップS34において、サブ電気錠4を施錠し、ステップS35でEEPROM17に施錠追従自動駆動情報コードを記憶する。この施錠追従自動駆動情報コードは、制御装置6が制御情報の変化がメイン電気錠3が手動で施錠されたことを示す1つの自動駆動条件に一致するものと判断し、ユーザ操作によらず自動的にサブ電気錠4を施錠したことを示す自動駆動情報(駆動情報の1つ)である。EEPROM17に施錠追従自動駆動情報コードを記憶したなら、ステップS36で、ワーキングメモリ18の施錠追従フラグを消去して、この施錠追従処理を終了する。
また、ステップS32で、メイン電気錠3が施錠状態、且つ、サブ電気錠4が解錠状態でなければ、制御装置6は、電気錠3,4の駆動も、駆動情報コードの記憶も行わずに、ステップS36に進んでワーキングメモリ18の施錠追従フラグを消去し、この施錠追従処理を終了する。また、ステップS31において、施錠追従フラグが設定されていない場合、ステップS37に進み、メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠状態であれば、ステップS38でワーキングメモリ18施錠追従フラグを設定し、この施錠追従処理を終了する。ステップS37で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のいずれかが施錠状態であれば直ちにこの施錠追従処理を終了する。本実施形態では、メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠した状態から、メイン電気錠3が手動で施錠されたときにのみサブ電気錠4を追従して施錠するが、サブ電気錠4が手動で施錠されたときにメイン電気錠3を追従して施錠するようにしてもよい。
図5に、図2のステップS15の施錠復帰処理の詳細を示す。制御装置6は、ステップS41で、ドア2が閉じているか、ステップS42でワーキングメモリ18に施錠復帰フラグが設定されているか、ステップS43で前回の動作がメイン電気錠3およびサブ電気錠4を共に施錠するものであったか、ステップS44で施錠から所定時間が経過しているかを確認する。これら全ての条件を満たさなければ、何もしないで、この施錠復帰処理を終了する。ステップS41からステップS44の全ての条件を満たせば、ステップS45に進んで、メイン電気錠3が解錠状態または施解錠の途中の状態であり、且つ、サブ電気錠4が施錠状態であるか確認する。この条件を満たせば、ステップS46でメイン電気錠3を施錠する。ステップS45の条件を満たさない場合、ステップS47に進んで、メイン電気錠3が施錠状態であり、且つ、サブ電気錠4が施解錠の途中の状態または解錠状態であるか確認し、この条件を満たせば、ステップS48でサブ電気錠4を施錠する。ステップS45の条件およびステップS47の条件をいずれも満たさない場合は、ステップS49で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4を共に施錠する。
その後、制御装置6は、ステップS50で再びドア2が閉じているか確認し、ドア2が開いていれば直ちにこの施錠復帰処理を終了する。ドア2が閉じていれば、ステップS51に進み、メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に施錠状態であるか確認する。電気錠3,4が共に施錠状態であれば、ステップS52で、EEPROM17に施錠復帰自動駆動情報コードを記憶してこの施錠追従処理を終了する。施錠復帰自動駆動情報コードは、制御装置6が、制御情報の変化がメイン電気錠3およびサブ電気錠4の一方が手動で解錠され、所定時間内に他方が解錠されなかったことを示す1つの自動駆動条件に一致するものと判断し、手動で解錠された電気錠3,4をユーザ操作によらず自動で施錠したことを示す自動駆動情報(駆動情報の1つ)である。ステップS51で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のいずれかが施錠状態でなければ、ステップS53で施錠操作が3回行われたかどうかを確認する。施錠操作が3回未満であれば、ステップS45に戻ってメイン電気錠3およびサブ電気錠4の状態に応じた施錠操作を繰り返す。ステップS53で、3回以上施錠操作が行われていれば、ステップS54に進む。
制御装置6は、ステップS54で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に施解錠の途中の状態であるか確認する。電気錠3,4が共に施解錠の途中であれば、ステップS55でメイン電気錠3およびサブ電気錠4を共に解錠する。ステップS54で、電気錠3,4が共に施解錠の途中でなければ、ステップS56に進み、メイン電気錠3が施解錠の途中、サブ電気錠4が施錠状態または解錠状態である場合は、ステップS57でメイン電気錠3を解錠する。ステップS56でメイン電気錠3が施解錠の途中、サブ電気錠4が施錠状態または解錠状態でなければ、ステップS58に進み、メイン電気錠3が施錠状態または解錠状態、サブ電気錠4が施解錠の途中である場合には、ステップS59でサブ電気錠4を解錠する。ステップS55,S57,S59で電気錠3,4の解錠を行ったとき、或いは、ステップS58で、メイン電気錠3が施錠状態または解錠状態、サブ電気錠4が施解錠の途中でなかったときは、ステップS60でワーキングメモリ18の施錠復帰フラグを消去して、この施錠復帰処理を終了する。
図6に、メイン電気錠3およびサブ電気錠4の施解錠動作、つまり、デッドボルト7,8を駆動するモータの制御の流れを示す。この処理は、図2のステップS9およびS18、さらには、ステップS5の信号認証処理の中でも制御装置6が受信したIDコードが認証されたときに行われる。制御装置6は、ステップS71で後述(図7)のモータ駆動処理およびモータ駆動処理を実行してから、ステップS72で、後述(図8)のモータ停止処理においてワーキングメモリ18に設定される制御情報の1つである施解錠スイッチ故障情報コードと、後述のタッチスイッチ操作駆動情報処理(図10)においてワーキングメモリ18に設定される駆動情報の1つである施解錠駆動情報コードとをEEPROM17に記憶させる。そして、ステップS73で、後述(図9)のモータエラー処理においてワーキングメモリ18に設定されるモータエラーフラグの有無を確認する。モータエラーフラグが確認されれば、ステップS74に進み、ステップS71において実行されたモータ駆動処理とは逆方向へモータを駆動処理する。つまり、モータエラーの際には、デッドボルト7または8が施錠位置と解錠位置との間で止まっている可能性があるため、制御装置6がユーザの操作によらず、デッドボルト7,8を元の位置へ戻すように制御する。そして、ステップS75で、EEPROM17にモータエラーを検出して自動的にデッドボルト7,8のモータを駆動したことを示す自動駆動情報(駆動情報の1つ)であるモータエラー自動駆動情報コードを記憶させ、さらに、ステップS76でワーキングメモリ18に異常を示すエラーブザーフラグを設定する。
制御装置6は、さらに、ステップS77で、ドア2が開いているか否かを不図示のセンサによって確認する。ドア2が開いていれば、ステップS78で、ワーキングメモリ18に開扉ブザーフラグを設定する。最後に、ステップS79で、設定されているエラーに応じて定められたブザー音、エラーが設定されていなければ、施錠完了または解錠完了を知らせるブザー音を出力して、モータ制御処理を終了する。
図7に、図6のステップS71およびステップS74で実行するモータ駆動処理の詳細を示す。モータ駆動処理では、制御装置6は、先ず、ステップS81で、ドア2が閉じているか否かを確認し、ドア2が閉じていなければ、ステップS82に進んで、メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠、つまり、デッドボルト7,8がいずれも収納されているかどうかを確認する。メイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠状態であれば、ステップS83においてワーキングメモリ18に開扉ブザーフラグを設定し、処理を終了する。ステップS81でドア2が閉じているか、ステップS82でメイン電気錠3およびサブ電気錠4の少なくともいずれかが施錠(デッドボルト7,8が突出)状態であれば、制御装置6は、ステップS84に進んで、後述(図10)のタッチスイッチ操作駆動情報処理を行う。
そして、制御装置6は、ステップS85で、ワーキングメモリ18に上述の30秒施錠自動駆動フラグまたは扉開閉後施錠自動駆動フラグが設定されているか否かを確認する。これらの自動駆動フラグが設定されていなければ、ステップS86に進んで、デッドボルト7の位置を検出する不図示のスイッチの検出結果に応じて、デッドボルト7を駆動するモータを動作させ、さらに、ステップS87で、デッドボルト8の位置を検出する不図示のスイッチの検出結果に応じて、デッドボルト8を駆動するモータを動作させる。ステップS85で、自動駆動フラグが設定されていれば、ステップS88で、メイン電気錠3を施錠し(既に施錠状態であれば駆動しない)、ステップS89で、サブ電気錠4を施錠する(既に施錠状態であれば駆動しない)。
さらに、制御装置6は、ステップS90において、デッドボルト7,8を駆動する間の電圧変化を監視し、さらに、ステップS91において、デッドボルト7,8の駆動時間を監視する。デッドボルト7,8の駆動中に電圧低下が検出されず、所定の時間までにデッドボルト7,8の駆動が完了すれば、ステップS92に進んで、後述(図8)のモータ停止処理を実行し、デッドボルト7,8の駆動中に電圧低下が検出された場合および所定の時間までにデッドボルト7,8の駆動が完了しなかった場合には、ステップS93に進んで、後述(図9)のモータエラー処理を実行する。このモータ停止処理が終了したなら、図6のモータ制御処理に戻り、ステップS72に進む。
図8に、上記モータ停止処理の詳細を示す。モータ停止処理では、制御装置6は、先ず、ステップS101で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のモータ駆動命令が、施錠方向の駆動であるか解錠方向の駆動であるかを確認する。施錠方向の駆動命令でない場合、つまり、解錠方向の駆動命令である場合は、ステップS102からステップS111までの処理を行い、施錠方向の駆動命令である場合は、ステップS112からステップS121までの処理を行う。
ステップS101で解錠方向の駆動命令を確認した場合、ステップS102において、メイン電気錠3の解錠(デッドボルト7の収納)を検出する不図示のメイン解錠スイッチの状態を確認し、メイン解錠スイッチがオフでなければ、ステップS103でメイン電気錠3のモータの駆動開始から所定時間が経過していないか確認する。所定時間が経過していれば、ステップS104でメイン電気錠3を解錠するためのモータの出力を停止し、ステップS105で、メイン電気錠3の施錠(デッドボルト7の突出)を検出する不図示のメイン施錠スイッチの状態を確認する。解錠駆動命令があったにも拘わらずメイン施錠スイッチがオンしていれば、ステップS106で、ワーキングメモリ18にメイン施錠スイッチ故障情報コードを設定し、ステップS107に進む。ステップS102でメイン解錠スイッチがオン、ステップS103で所定時間が未経過、ステップS105でメイン施錠スイッチがオフの場合は、いずれもそのままステップS107に進む。
ステップS107では、サブ電気錠4の解錠(デッドボルト8の収納)を検出する不図示のサブ解錠スイッチの状態を確認し、サブ解錠スイッチがオフであれば、ステップS122に進み、サブ解錠スイッチがオンであれば、ステップS108でサブ電気錠4のモータの駆動開始から所定時間が経過していないか確認する。所定時間が経過していれば、ステップS109でサブ電気錠4を解錠するためのモータの出力を停止し、ステップS110で、サブ電気錠4の施錠(デッドボルト8の突出)を検出する不図示のサブ施錠スイッチの状態を確認する。解錠駆動命令があったにも拘わらずサブ施錠スイッチがオンしていれば、ステップS111で、ワーキングメモリ18にサブ施錠スイッチ故障情報コードを設定し、ステップS123に進む。ステップS107でサブ解錠スイッチがオフ、ステップS109で所定時間が未経過、ステップS110でサブ施錠スイッチがオンの場合は、いずれも直接ステップS123に進む。
ステップS101で施錠方向の駆動命令を確認した場合、ステップS112において、メイン電気錠3の施錠(デッドボルト7の突出)を検出する不図示のメイン施錠スイッチの状態を確認し、メイン施錠スイッチがオフでなければ、ステップS113でメイン電気錠3のモータの駆動開始から所定時間が経過していないか確認する。所定時間が経過していれば、ステップS114でメイン電気錠3を施錠するためのモータの出力を停止し、ステップS115で、メイン電気錠3の解錠(デッドボルト7の収納)を検出する不図示のメイン解錠スイッチの状態を確認する。施錠駆動命令があったにも拘わらずメイン解錠スイッチがオンしていれば、ステップS116で、ワーキングメモリ18にメイン解錠スイッチ故障情報コードを設定し、ステップS117に進む。ステップS112でメイン施錠スイッチがオン、ステップS113で所定時間が未経過、ステップS115でメイン解錠スイッチがオフのいずれも場合は、そのままステップS117に進む。
ステップS117では、サブ電気錠4の施錠(デッドボルト8の突出)を検出する不図示のサブ施錠スイッチの状態を確認し、サブ施錠スイッチがオフであれば、ステップS122に進むが、サブ施錠スイッチがオンであれば、ステップS118でサブ電気錠3のモータの駆動開始から所定時間が経過していないか確認する。所定時間が経過していれば、ステップS119でサブ電気錠4を施錠するためのモータの出力を停止し、ステップS120で、サブ電気錠4の解錠(デッドボルト8の収納)を検出する不図示のサブ解錠スイッチの状態を確認する。施錠駆動命令があったにも拘わらずサブ解錠スイッチがオンしていれば、ステップS121で、ワーキングメモリ18にサブ解錠スイッチ故障情報コードを設定し、ステップS123に進む。ステップS117でサブ施錠スイッチがオフ、ステップS119で所定時間が未経過、ステップS120でサブ解錠スイッチがオンの場合は、いずれも直接ステップS123に進む。
ステップS122では、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のモータの駆動を開始してから、所定の時間が経過しているかどうかを確認し、所定の時間が未経過であれば、ステップS101に戻って、上記の制御を繰り返す。ステップS123では、メイン電気錠3のモータが未だ回転中であるかどうかを確認し、モータが回転中であればステップS122に進む。ステップS123でメイン電気錠3のモータが停止していれば、ステップS124に進んでさらにサブ電気錠4のモータが回転中であるかどうかを確認する。サブ電気錠4のモータが回転中であれば、やはり、ステップS122に進んで、ステップS101からステップS121までの処理を繰り返すか否かを判断する。ステップS122で、所定時間が経過していれば、ステップS125に進んで、後述(図9)のモータエラー処理を実行する。
ステップS123およびステップS124で、メイン電気錠3およびサブ電気錠4のモータがいずれも停止していれば、ステップS126に進んで、メイン電気錠3およびサブ電気錠4に対する駆動命令を停止する。そして、ステップS127においてメイン電気錠3およびサブ電気錠4の状態を確認し、メイン施錠スイッチとメイン解錠スイッチとが共にオン、或いは、サブ施錠スイッチとサブ解錠スイッチとが共にオンになっていれば、ステップS125に進んでモータエラー処理を実行する。メイン電気錠3およびサブ電気錠4においてデッドボルト7,8の位置を検出する2つのスイッチが同時にオンしていなければ、ステップS128に進み、ワーキングメモリ18に施錠復帰フラグを設定して、ステップS129で、モータ駆動処理(図7)において、電気錠3,4の駆動方向を確認する。電気錠3,4を施錠方向に駆動したと確認されれば直ちにこのモータ停止処理を終了するが、電気錠3,4が施錠方向に駆動されていなければ、ステップS130でワーキングメモリ18に施錠追従フラグを設定してからこのモータ停止処理を終了する。以上のモータ停止処理を終了すると、図6のモータ制御処理に戻り、ステップS72に進む。図6のステップS72では、本モータ停止処理のステップS106,S111,S116,S121でワーキングメモリ18に施解錠スイッチ故障情報コードが設定されている場合、設定されている施解錠スイッチ故障情報コードをEEPROM17に記憶する。
図9に、モータエラー処理の詳細を示す。この処理では、制御装置6は、先ず、ステップS131において、上述のモータ制御処理において、ワーキングメモリ18にエラーブザーフラグ(図6ステップS136)が設定されているかどうかを確認する。エラーブザーフラグが設定されていなければ、ステップS132でメイン電気錠3のモータ駆動命令が発せられているかどうかを確認し、メイン電気錠3のモータ駆動命令がなければステップS133でさらにサブ電気錠4のモータ駆動命令の有無を確認する。ステップS131でエラーブザーフラグ設定されている場合、および、ステップS132,S133でメイン電気錠3およびサブ電気錠4のモータ駆動命令がいずれも発せられていない場合は、ステップS134に進んでメイン電気錠3およびサブ電気錠4の出力を停止し、ステップS135でワーキングメモリ18の施錠追従フラグを消去して処理を終了する。ステップS132,S133でメイン電気錠3およびサブ電気錠4のいずれかのモータ駆動命令が発せられている場合は、ステップS136に進んで、ワーキングメモリ18にモータエラーフラグとエラーブザーフラグとを設定し、ステップS137で、メイン電気錠3の駆動命令を削除して、メイン電気錠3のモータ駆動出力を停止する。さらに、ステップS138に進み、モータ駆動開始から所定時間が経過しているかどうかを確認し、所定時間が経過していなければ、上述のモータ停止処理(図8)を再度実行し、所定時間が経過していれば、ステップS131に戻る。ステップS131ではエラーブザーフラグが設定されているため、ステップS134に進んでメイン錠およびサブ錠への出力を停止してから処理を終了する。このモータエラー処理が終了したときも、図6のモータ制御処理に戻り、ステップS72に進む。
図10に、モータ駆動処理におけるタッチスイッチ操作駆動情報処理(図7ステップS34)の詳細を示す。この処理では、先ず、ステップS141で、呼出信号の出力回数、つまりチャレンジ信号の送信回数を確認する。呼出回数が0であれば、直ちにこの処理を終了するが、呼出回数が1回以上であり、チャレンジ信号が送信されていれば、ステップS142に進む。ステップS142において、呼出回数を再確認し、呼出回数が1回で施解錠動作を行っていた場合、ステップS143に進んで、その駆動前のメイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠状態であるか否かを確認する。駆動前のメイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠状態であれば、ステップS144において、ワーキングメモリ18に1番目に登録された携帯機19を認証して施錠することを示す施錠駆動情報コード1を記憶させて処理を終了する。駆動前にメイン電気錠3およびサブ電気錠4が共に解錠状態でなく、施錠状態であれば、ステップS145において、ワーキングメモリ18に1番目に登録された携帯機19を認証して解錠することを示す情報コードである解錠駆動情報コード1を記憶させて処理を終了する。
ステップS142で、呼出回数が1回でなかった場合、ステップS146に進んで、呼出回数が2回であったかどうかを確認する。呼出回数が2回であれば、ステップS147からステップS149において、ステップS143からステップS145と同様に、ワーキングメモリ18に2番目に登録された携帯機19を認証して施錠すること示す施錠駆動情報コード2、または、2番目に登録された携帯機19を認証して解錠することを示す解錠駆動情報コード2を記憶させて処理を終了する。
さらに、ステップS150からステップS172では、同様に、3番目から8番目のいずれに登録された携帯機19を認証して、施錠または解錠を行うときは、施錠駆動情報コード3〜8、および、解錠駆動情報コード3〜8のいずれかをワーキングメモリ18に記憶して処理を終了する。本実施形態では、最大8つの携帯機19を登録できるようになっており、いずれの携帯機19を認証したか、および、解錠と施錠のいずれの動作を行うかを示す最新の駆動情報コードをワーキングメモリ18の所定領域に上書きして記憶する。このタッチスイッチ操作駆動情報処理が終了して図7のモータ駆動処理に戻り、さらにモータ駆動処理が終了して図6のモータ制御処理に戻ったとき、ステップS72において、ワーキングメモリ18に記憶されている駆動情報コードは、EEPROM17の所定領域に記憶される。
先に述べたように、EEPROM17には、駆動情報コードが逐次上書きして記憶され、最新の駆動情報コードだけが記憶されるので、EEPROM17の容量が小さくて済む。しかしながら、必ずしも最新の駆動情報コードのみを記憶する必要はなく、時系列に沿って駆動情報コードを蓄積して記憶してもよい。
続いて、図11に、施解錠装置1の制御装置6の制御プログラムの起動処理の流れを示す。この処理は、制御装置6をリセットしたときや、ドア2の側端面に露出するように設けられた登録スイッチ21が押下されたときに起動する。この処理では、先ず、ステップS181で、登録スイッチ21が押下されたか否かを確認し、登録スイッチ21が押下されていたときは、ステップS182でドア2が開放されているか確認する。ドア2が開いていれば、さらに、ステップS183でタッチスイッチ5の室内側のボタンが押下されているか、ステップS184でタッチスイッチ5の室外側のボタンが押下されているかを確認する。登録スイッチ21が押下され、ドア2が開いており、且つ、タッチスイッチ5の室内側および室外側のいずれのボタンも押下されていない場合には、ステップS185に進んで、後述する自己診断モード(図12)を起動する。自己診断モードの実行が終了すると、ステップS186に進んで、自己診断モードにおいて自己診断を完了したかどうかを確認する。自己診断を完了していない場合は、ステップS187に進んで、携帯機19を登録するための登録モードの制御を行う。ステップS181で登録スイッチ21が押下されていないか、ステップS182でドア2が閉まっているか、ステップS183,S184でタッチスイッチ5の室内側および室外側のいずれかのボタンが押下されたか、ステップS186で自己診断が完了していないことが確認されたときには、ステップS188に進んで登録スイッチ21の押下回数のカウントをクリアし、ステップS189に進んで上述の通常処理(図2)を起動する。尚、携帯機19の登録処理は公知であるので、詳細な制御の説明は省略する。
図12に、自己診断モードの制御の流れを詳細に示す。自己診断モードを起動すると、先ず、制御装置6は、ステップS191で、登録スイッチ21の押下された回数のカウントを確認する。登録スイッチ21の押下回数が3回未満であれば、ステップS192に進んで、登録スイッチ21の押下回数のカウントに1加算して、以下の自己診断を行うことなく、自己診断モードを終了して、上述した制御起動処理(図11)に戻る。
ステップS191で登録スイッチ21の押下回数が3回以上であれば、ステップS193以下の自己診断を行う。先ず、ステップS193でEEPROM17から駆動情報コードおよび故障情報コードを読み込む。ステップS194でメイン施錠スイッチ故障情報コードが確認されれば、ステップS195でメイン電気錠3の手動操作部9の表示器15のLEDをメイン施錠スイッチ故障を示す所定のパターンで点滅させる。続いて同様に、ステップS196でメイン解錠スイッチ故障情報コードが確認されれば、ステップS197で表示器15のLEDをメイン解錠スイッチ故障を示すパターンで点滅させる。ステップS198でサブ施錠スイッチ故障情報コードが確認されれば、ステップS199で表示器15のLEDをサブ施錠スイッチ故障を示すパターンで点滅させ、ステップS200でサブ解錠スイッチ故障情報コードが確認されれば、ステップS201で表示器15のLEDをサブ解錠スイッチ故障を示すパターンで点滅させる。ステップS202でタッチスイッチ故障情報コードが確認されれば、ステップS203で表示器15のLEDをタッチスイッチ故障を示すパターンで点滅させる。ステップS204で通信異常故障情報コードが確認されれば、ステップS205で表示器15のLEDを通信異常故障を示すパターンで点滅させる。ステップS206で認証不一致故障情報コードが確認されれば、ステップS207で表示器15のLEDを認証不一致故障を示すパターンで点滅させる。ステップS208でEEPROM故障情報コードが確認されれば、ステップS209で表示器15のLEDをEEPROM故障を示すパターンで点滅させる。そして、ステップS210で、施解錠を行った条件を示す駆動情報コードうちEEPROM17に記憶されている最新の駆動情報コードを示すパターンで、表示器15のLEDを点滅させる。最後に、ステップS211で、登録スイッチ21の押下回数のカウントをクリアして、自己診断を完了し、上述した起動処理(図11)に戻る。
以上の自己診断処理により、サービスマン(または居住者などの操作者)は、施解錠装置1に発生した直近のエラーの種類と、そのエラーがいかなる動作の過程で発生したかを知ることができる。本実施形態では、ユーザが操作を行って電気錠3,4の施解錠を行ったことを示す駆動情報コードの他に、制御装置6が自動的に電気錠3,4の施解錠を行ったときにも、いかなる条件によって施錠または解錠の動作を行ったかを示す自動駆動情報コードがEEPROM17に記憶されるので、施解錠装置1にエラーが発生したとき、人為的ミスによるものか、制御装置6の不具合なのかを判別することができ、エラーの発生原因の特定と、その対策立案が迅速に行える。
尚、本実施形態では、通信異常故障などの故障があったときでも、携帯機19を特定する駆動情報コードや、自動的な施解錠を示す自動駆動情報コードがEEPROM17に保存されているが、モータの駆動が完了しなかったときは、モータエラーが検出されて逆方向のモータ駆動処理(図6のステップS74)が実行されるので、EEPROM17には、モータエラーによって施解錠を行ったこと示すモータエラー自動駆動情報コードが記憶されている(ステップS75)。つまり、モータ自体の故障なのか、デッドボルト7,8の進路中にゴミ等の障害物があり、デッドボルト7,8の進退を邪魔しているだけなのかという理由にかかわらず、モータを正常に駆動できないのでデッドボルト7,8を元の位置に戻したことを示すモータエラー情報を、故障情報コードではなく、駆動情報コードの1つとして保存している。したがって、施解錠装置1にエラーが発生したとき、正常にモータ駆動が行われていたのに不具合が起きているのか、何らかの異常によってモータが駆動できなかったのかを判別することができる。
また、施解錠装置1は、防犯カメラなどの周辺機器と連動してもよく、周辺機器からの入力を施解錠を行うための操作条件とすることができ、周辺機器の不具合を示す制御情報などをEEPROM17に記憶するようにしてもよい。