以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1の実施形態による、住居15に設けられた電気錠システム10の模式図である。電気錠システム10は、住居15の内側17と外側16とを仕切る玄関の扉20に設けられて扉20を電気的に施解錠する電気錠セット100と、住居15の内側17における例えばキッチンといった離れた部屋に設けられる操作盤40と、ユーザ12によって所有される携帯型端末30とを備える。電気錠セット100は、電気的に携帯型端末30のID情報を認証する。操作盤40および携帯型端末30は、外部端末の一例である。
ユーザ12は、例えば住居15の住人や、電気錠システム10の管理会社の人間である。携帯型端末30は、例えば住人によって所有されるスマートフォンや、管理会社の人間によって携帯される管理端末である。携帯型端末30は、近距離無線通信により、電気錠セット100とデータ通信する。近距離無線通信規格として、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などを用いてもよい。NFCとして、電磁誘導式のFeliCa(登録商標)を用いてもよい。
電気錠セット100は、扉20のハンドル22よりも上側に位置する上側電気錠110と、ハンドル22よりも下側に位置する下側電気錠150とを備える。電気錠セット100は、上側電気錠110および下側電気錠150における施解錠動作を実行することによって、扉20を施解錠する。上側電気錠110および下側電気錠150における施解錠動作は、電子キーの接近や外部端末からの遠隔操作により自動で実行されてもよく、鍵穴への鍵の挿入及び回転やサムターンの回転により手動で実行されてもよい。
電気錠セット100は、上記の通り、近距離無線通信等により携帯型端末30と無線通信する他に、電磁誘導式や電波式のRFID(Radio Frequeny Identifer)により、上側電気錠110および下側電気錠150を施解錠するためのカードキー、ノンタッチキー、リモコンキー等の電子キーと無線通信してもよい。また、電気錠セット100は、Wi−Fi(登録商標)などを用いた無線LANにより、操作盤40とデータ通信する。電気錠セット100は、有線通信により、操作盤40とデータ通信してもよい。
電気錠セット100は更に、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を、外部端末である携帯型端末30及び操作盤40の少なくとも一方に出力する。これにより、住居15の内側17又は外側16で携帯型端末30を所持するユーザ12や、住居15の内側17で操作盤40を見ることができるユーザ12に対して、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を通知する。
携帯型端末30は、上側電気錠110および下側電気錠150における施解錠動作を実行させるためのIDキーを有する。ユーザ12は、上側電気錠110および下側電気錠150の何れか一方に携帯型端末30を接近させることによって、又は、携帯型端末30を手持ちのカバン等に入れた状態で扉20に接近することによって、扉20を施解錠できる。外部端末の一例として、上記のIDキーを有する携帯型端末30を例示したが、外部端末には、管理会社の人間によって携帯される、当該IDキーを有さない管理端末が含まれてもよい。例えば、携帯型端末30を所有するユーザ12が住居15の住人である場合には、携帯型端末30は、IDキーで各電気錠の施解錠動作を実行させる機能と、各電気錠の動作に関する情報を取得する機能とを有し、その一方で、管理端末を携帯するユーザ12が管理会社の人間である場合には、管理端末は、各電気錠の動作に関する情報を取得する機能のみを有してもよい。
上側電気錠110および下側電気錠150は、近距離無線通信により、互いにデータ通信する。近距離無線通信規格として、例えばBLEを用いてもよい。BLEを用いる場合、上側電気錠110および下側電気錠150は、互いに予めペアリングしており、電源がONの状態である限り、常に互いに無線通信する。上側電気錠110および下側電気錠150の施解錠動作は、無線通信により互いに連動する。例えば、上側電気錠110および下側電気錠150の一方において施解錠動作を実行する場合に、当該一方から他方に対して、追従して施解錠動作をするよう指示を出し、他方に施解錠動作を実行させてもよい。また、上側電気錠110および下側電気錠150以外に設けられた制御部からの指示により、上側電気錠110および下側電気錠150は互いに同じタイミングで施解錠動作を実行してもよい。
上側電気錠110および下側電気錠150の少なくとも一方は、ユーザ12の操作によって電気錠セット100全体を起動させるための起動ボタンを有してもよい。この場合、ユーザ12によって起動ボタンを押されるまでスリープモードとなり、起動ボタンを押されるとアクティブモードとなり、予め定められた時間が経過すると再びスリープモードとなってもよい。また、上側電気錠110および下側電気錠150は、起動ボタンの操作とは関係なく、定期的に起動して、操作盤40などの外部端末と無線通信を開始してもよい。
操作盤40は、上側電気錠110および下側電気錠150における施解錠動作を実行させるための施解錠ボタンを有する。ユーザ12は、扉20から離れた場所にある操作盤40の施解錠ボタンを操作することによって、扉20を施解錠できる。
次に、図2及び図3を用いて、上側電気錠110および下側電気錠150の詳細を説明する。図2は、第1の実施形態による、扉20に設けられた上側電気錠110の模式図である。
上側電気錠110は、扉20の内側17の面上に設けられる構成として、中空の上側内筐体124と、上側内筐体124の外面に取り付けられ、手動で上側電気錠110を施解錠するための上側サムターン116と、上側内筐体124の内部に収容される、上側制御部112、上側メモリ136、上側電源132、及び、上側残量計測部134とを備える。上側サムターン116、上側メモリ136、上側電源132、及び、上側残量計測部134は何れも、上側制御部112に有線接続される。
上側電気錠110は更に、扉20の内部に組み込まれる構成として、上側デッドボルト120と、上側デッドボルト120を一方向に進退させるように駆動する上側アクチュエータ128と、上側デッドボルト120の進退方向における位置を検出する上側位置検出部138と、扉20の開閉状態を検出する上側開閉検出部140とを備える。上側アクチュエータ128、上側位置検出部138、及び、上側開閉検出部140は何れも、上側制御部112に有線接続される。上側アクチュエータ128は、例えば電気式モータやソレノイドであってもよい。
上側電気錠110は更に、扉20の外側16の面上に設けられる構成として、中空の上側外筐体126と、上側外筐体126の内側に収容される上側通信部113及び上側音声出力部130と、上側外筐体126と隣接して設けられ、工具を用いずに取り外し可能な中空の上側シリンダカバー122と、上側シリンダカバー122の内側に収容される上側シリンダ118とを備える。上側通信部113、上側音声出力部130、及び、上側シリンダ118は何れも、上側制御部112に有線接続される。上側音声出力部130は、電気信号を物理振動に変えて、音楽や音声などの音を生み出すスピーカである。上側シリンダ118は、鍵が差し込まれる穴を有し、鍵の形状が穴の内部形状と合致する場合に、鍵が差し込まれた状態で回転する。上側シリンダ118は、内部での鍵の回転情報を、上側制御部112に出力する。なお、上側外筐体126には、予期せずに上側電気錠110の電源が無くなってしまった場合に外部から給電するための非常用電源端子部が設けられてもよい。
上側制御部112は、CPU等から構成され、上側メモリ136に記憶された制御プログラムを読み込むことによって複数の処理を実行する。また、制御プログラムは、可搬メディアを介してインストールされてもよく、インターネット等からダウンロードされてインストールされてもよい。
上側メモリ136は、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリによって構成される。上側メモリ136は、記録部の一例である。上側メモリ136には、上側制御部112によって使用される制御プログラムの他、複数の電気錠のID情報、上側電気錠110の動作に関する情報のデータベース等が予め記憶されている。上側メモリ136は、上側電気錠110の動作に関する情報が入力されるとデータベースに記録する。
上側メモリ136は、上側電気錠110において予め定められたイベントが生じる毎に、予め定められたイベントに関する情報をデータベースに記録する。予め定められたイベントが何であるかは、上側メモリ136に予め記憶されている。上側電気錠110の動作に関する情報は、予め定められたイベントに関する情報を含む。予め定められたイベントは、上側電気錠110の解錠および施錠、扉20の開扉および閉扉、予め定められた種類のエラー等を含む。予め定められた種類のエラーは、上側電気錠110の施錠エラーおよび解錠エラー、扉20の開扉エラーおよび閉扉エラー、通信機器間の通信エラー等を含む。通信機器間の通信エラーは、上側電気錠110と下側電気錠150との間での通信エラー、上側電気錠110と外部端末との間での通信エラー等を含む。上側電気錠110が外部に更に通信部を有する場合には、上側通信部113と外部の通信部との間の通信エラーも含む。通信エラーとは、例えば一方の通信端末から他方の通信端末に何らかの情報を送信したにも拘わらず他方の通信端末で受信されていない場合や、一方の通信端末から他方の通信端末に対してpingを打ったにも拘わらず応答が返ってこない場合や、一方の通信端末から他方の通信端末に対して、何らかの情報を、アックを返す指示と共に送信したにも拘わらず一方の通信端末でアックを受信できない場合などである。
上側電源132は、例えばリチウム電池であり、上側電気錠110の全体に電力を供給する。上側電源132によって、例えば約2年程度の期間にわたる継続使用が可能になる。上側電源132は、外部電源から無線通信又は有線通信により給電されて蓄電可能な構成としてもよく、例えば操作盤の電源から無線通信又は有線通信により給電されてもよい。
上側残量計測部134は、上側制御部112からの指示信号が入力されると、上側電源132の電源残量を計測して、計測した電源残量値を上側制御部112に出力する。上側制御部112は、入力された電源残量値を上側メモリ136に記録するか、又は、上側通信部113に出力して操作盤40または携帯型端末30に送信させることによってユーザ12に通知する。上側制御部112は、入力された電源残量値が、上側メモリ136に記憶されている予め定められた閾値を下回っているか否かを判断してもよく、更に、閾値を下回っている場合に、予め定められた音声信号を上側音声出力部130に出力し、上側音声出力部130が音声信号に基づいて予め定められた音声を出力してもよい。これにより、ユーザ12は、例えば上側電源132の交換、又は、上側電源132への給電の必要性を知ることができる。
上側デッドボルト120は、扉20が閉じられた状態で扉20の側面から突き出た場合に、扉20の周囲を囲うように住居15に設けられた枠に埋設されているストライクの開口と係合する。上側デッドボルト120は、扉20を施錠するロック部の一例である。ロック部には、上側デッドボルト120と共にストライクの開口と係合することにより扉20の施錠状態を強固に固定するための鎌や、上側デッドボルト120、鎌などを可動させるための複数のカムや軸受などの駆動機構が含まれてもよい。
上側位置検出部138は、光学式、電気式、磁気式などの任意のセンサ、例えば光電センサ、静電容量センサ、ホール素子などであり、上側デッドボルト120の進退方向における位置を検出し、検出した上側デッドボルト120の位置情報を上側制御部112に出力する。上側制御部112は、入力された上側デッドボルト120の位置情報を上側メモリ136に記録するか、又は、上側通信部113に出力して操作盤40または携帯型端末30に送信させることでユーザ12に通知する。上側制御部112は、施錠動作を上側デッドボルト120に実行させた場合には、上側デッドボルト120の位置が施錠位置にあるか否かを判断し、且つ、解錠動作を上側デッドボルト120に実行させた場合には、上側デッドボルト120の位置が解錠位置にあるか否かを判断する。施錠位置とは、上側デッドボルト120が扉20の側面から完全に出切っている位置であり、解錠位置とは、上側デッドボルト120が扉20の側面の内側に完全に退避している位置である。上側制御部112は、上側デッドボルト120に対して施錠動作を実行させたにも拘わらず上側デッドボルト120が施錠位置以外にある場合に、施錠エラーとして上側メモリ136に記録する。上側制御部112は、上側デッドボルト120に対して解錠動作を実行させたにも拘わらず上側デッドボルト120が解錠位置以外にある場合に、解錠エラーとして上側メモリ136に記録する。上側制御部112は、施錠エラーおよび解錠エラーを上側メモリ136に記録することに代えて、又は追加して、施錠エラー情報および解錠エラー情報を上側通信部113に出力して操作盤40または携帯型端末30に送信させることで、ユーザ12に通知してもよい。
上側開閉検出部140は、上側位置検出部138と同様に、光学式、電気式、磁気式などの任意のセンサ、例えば光電センサ、静電容量センサ、ホール素子などであり、扉20の開閉状態を検出し、検出した扉20の開閉情報を上側制御部112に出力する。上側制御部112は、入力された扉20の開閉情報を上側メモリ136に記録するか、又は、上側通信部113に出力して操作盤40または携帯型端末30に送信させることでユーザ12に通知する。上側制御部112は、上側開閉検出部140によって検出された扉20の状態が閉状態である場合には、上側位置検出部138によって検出された上側デッドボルト120の位置が施錠位置にあるか否かを判断し、且つ、上側開閉検出部140によって検出された扉20の状態が開状態である場合には、上側位置検出部138によって検出された上側デッドボルト120の位置が解錠位置にあるか否かを判断する。上側制御部112は、扉20の状態が閉状態であるにも拘わらず上側デッドボルト120が施錠位置以外にある場合に、閉扉エラーとして上側メモリ136に記録する。上側制御部112は、扉20の状態が開状態であるにも拘わらず上側デッドボルト120が解錠位置以外にある場合に、開扉エラーとして上側メモリ136に記録する。上側制御部112は、閉扉エラーおよび開扉エラーを上側メモリ136に記録することに代えて、又は追加して、閉扉エラー情報および開扉エラー情報を上側通信部113に出力して操作盤40または携帯型端末30に送信させることで、ユーザ12に通知してもよい。
上側通信部113は、上記の通信方式の何れか、例えばBLEを用いて、携帯型端末30と無線通信する。上側通信部113は、同様に、下側電気錠150とも無線通信する。
住居の外側16にいるユーザ12は、通常、電子キーや携帯型端末30を上側通信部113に接近させてID情報を読み取らせることにより、上側電気錠110の施解錠動作を自動で実行させる。上側電気錠110の施解錠動作が自動で実行される場合、上側電気錠110と下側電気錠150との間の無線通信により、下側電気錠150の施解錠動作も連動して自動で実行される。すなわち、上側電気錠110の施錠動作が自動で実行される場合、下側電気錠150の施錠動作も自動で実行され、上側電気錠110の解錠動作が自動で実行される場合、下側電気錠150の解錠動作も自動で実行される。
具体的には、先ず、上側通信部113に読み取られたID情報は、上側制御部112に出力される。上側制御部112は、上側メモリ136に記憶された登録ID情報を参照し、読み取ったIDが登録されているか否かを判断する。
上側制御部112は、読み取ったIDが登録IDであると判断した場合に、上側デッドボルト120を一方向に進退させるための信号を上側アクチュエータ128に出力し、上側アクチュエータ128を駆動させることで上側デッドボルト120を施錠位置または解錠位置に移動させる。上側アクチュエータ128への信号出力と同時に、上側制御部112は、下側電気錠150においても同じ施解錠動作を実行させるための信号を上側通信部113に出力し、上側通信部113は当該信号を下側電気錠150に送信する。このとき、上側制御部112は、読み取ったIDが登録IDであることをユーザ12に通知すべく、予め定められた音声信号を上側音声出力部130に出力し、上側音声出力部130が音声信号に基づいて予め定められた音声を出力してもよい。
上側制御部112は、読み取ったIDが登録IDではないと判断した場合、上側アクチュエータ128に上側デッドボルト120を一方向に進退させるための信号を出力しない。このとき、上側制御部112は、読み取ったIDが登録IDではないことをユーザ12に通知すべく、予め定められた音声信号を上側音声出力部130に出力し、上側音声出力部130が音声信号に基づいて予め定められた音声を出力してもよい。
しかしながら、例えば上側電気錠110の動作が適切に行われない場合には、ユーザ12は、上側シリンダカバー122を取り外して、所有している鍵を上側シリンダ118に挿入及び回転することにより、上側電気錠110の施解錠動作を手動で実行させてもよい。具体的には、上側シリンダ118内での鍵の回転情報は、上側制御部112に出力され、上側制御部112が上側アクチュエータ128に上側デッドボルト120を一方向に進退させるための信号を出力し、上側アクチュエータ128を駆動させることで上側デッドボルト120を施錠位置または解錠位置に移動させる。
住居15の内側17にいるユーザ12は、通常、上側サムターン116を把持して回転することにより、上側電気錠110の施解錠動作を手動で実行する。具体的には、上側サムターン116は、ユーザ12によって回転されると、回転方向を示す情報を上側制御部112に出力する。上側制御部112は、回転方向を示す情報に基づいて、上側デッドボルト120を一方向に進退させるための信号を上側アクチュエータ128に出力し、上側アクチュエータ128を駆動させることで上側デッドボルト120を施錠位置または解錠位置に移動させる。上側アクチュエータ128への信号出力と同時に、上側制御部112は、下側電気錠150においても同じ施解錠動作を実行させるための信号を上側通信部113に出力し、上側通信部113は当該信号を下側電気錠150に送信する。なお、上側サムターン116は、他の方法で上側電気錠110が施解錠されると、上側電気錠110の施解錠動作に連動して、当該施解錠動作に対応する方向に自動で回転する。なお、上側シリンダ118も同様に、鍵の挿入及び回転以外の方法で上側電気錠110が施解錠されると、上側電気錠110の施解錠動作に連動して、当該施解錠動作に対応する方向に自動で回転する。
図3は、第1の実施形態による、扉20に設けられた下側電気錠150の模式図である。下側電気錠150は、上側電気錠110の各構成と同じ構成を有し、図3に示される通り、各構成の配置も上側電気錠110の各構成の配置と同じである。下側電気錠150は、下側制御部152、下側通信部153、下側サムターン156、下側シリンダ158、下側デッドボルト160、下側シリンダカバー162、下側内筐体164、下側外筐体166、下側アクチュエータ168および下側音声出力部170を備える。下側電気錠150は更に、下側電源172、下側残量計測部174、下側メモリ176、下側位置検出部178および下側開閉検出部180を備える。下側電気錠150の各構成の機能は、上側電気錠110の対応する構成の機能と同じなので、説明の簡略化を目的として、重複する説明を省略する。
図4は、第1の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。図4に示される通り、本実施形態における上側通信部113は上側リーダ114および上側錠間通信部115を含み、下側通信部153も同様に、下側リーダ154および下側錠間通信部155を含む。上側錠間通信部115および下側錠間通信部155は、相互に無線通信する。
ここで、先ず、住居15の外側16にいるユーザ12が、所持している携帯型端末30を用いて住居15の内側17に入る場合の流れを説明する。上側リーダ114および下側リーダ154は、ユーザ12によって接近された携帯型端末30のID情報を、無線通信により読み取る。上側リーダ114で携帯型端末30のID情報を読み取った場合には、読み取られた携帯型端末30のID情報は、有線通信により上側制御部112に出力される。上側制御部112は、上側メモリ136に記憶された登録ID情報を参照し、携帯型端末30のIDが登録IDであるか否かを判断し、登録IDの場合には、有線通信により上側錠間通信部115に解錠の指示信号を出力して、上側錠間通信部115に、当該指示信号を下側錠間通信部155へと送信させる。なお、上側制御部112は、解錠の指示信号を上側錠間通信部115に出力すると同時に、上側シリンダ118に上側デッドボルト120を解錠動作させるための指示信号を出力する。なお、上側電気錠110の上側制御部112が、携帯型端末30のIDが登録IDであるか否かを判断し、解錠の指示信号を上側シリンダ118のみならず下側電気錠150にも出力し、下側電気錠150が当該指示信号に従って動作する場合、上側電気錠110はいわゆるマスタであり、下側電気錠150はいわゆるスレイブである。
下側リーダ154で携帯型端末30のID情報を読み取った場合には、読み取られた携帯型端末30のID情報は、有線通信により下側制御部152に出力される。下側制御部152は、上記と同様に、携帯型端末30のIDが登録IDの場合には、有線通信により下側錠間通信部155に解錠の指示信号を出力して、下側錠間通信部155に、当該指示信号を上側錠間通信部115へと送信させる。なお、下側制御部152は、解錠の指示信号を下側錠間通信部155に出力すると同時に、下側シリンダ158に下側デッドボルト160を解錠動作させるための指示信号を出力する。なお、下側電気錠150の下側制御部152が、携帯型端末30のIDが登録IDであるか否かを判断し、解錠の指示信号を下側シリンダ158のみならず上側電気錠110にも出力し、上側電気錠110が当該指示信号に従って動作する場合、下側電気錠150はマスタであり、上側電気錠110はスレイブである。
なお、追加的に又は代替的に、上側リーダ114および下側リーダ154の何れか一方で携帯型端末30のID情報を読み取った場合に、ID情報を読み取った側のリーダから他方のリーダにID情報を無線通信により送信し、他方のリーダが属する電気錠の制御部に出力して、当該制御部が登録ID情報を参照して携帯型端末30のIDが登録IDであるか否かを判断してもよい。
住居15の外側16にいるユーザ12が、所持している携帯型端末30を用いて扉20を施錠する場合の流れは、上記の流れと同じである。本実施形態においては、上側制御部112および下側制御部152は、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を解錠位置に移動させた後に、上側リーダ114または下側リーダ154で再び携帯型端末30のID情報を読み取るまで、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を解錠位置のままとする。同様に、上側制御部112および下側制御部152は、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を施錠位置に移動させた後に、上側リーダ114または下側リーダ154で再び携帯型端末30のID情報を読み取るまで、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を施錠位置のままとする。
なお、代替的に、上側制御部112および下側制御部152は、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を解錠位置に移動させた後に、上側リーダ114または下側リーダ154で再び携帯型端末30のID情報を読み取ることなく、扉20が閉状態で予め定められた時間が経過したときに、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を施錠位置に移動させてもよい。また、上側制御部112および下側制御部152は、予め定められた時間内に、上側リーダ114または下側リーダ154で携帯型端末30のID情報を繰り返し読み取った回数に応じて、上側デッドボルト120および下側デッドボルト160を解錠位置に移動させたり、施錠位置に移動させたり、解錠位置のままとしたり、施錠位置のままとしてもよい。
次に、住居15の外側16にいるユーザ12が、所持している携帯型端末30を用いて、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を取得する場合の流れを説明する。
ここで、先ず、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報について改めて説明する。上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150の解錠情報および施錠情報、扉20の開扉情報および閉扉情報が含まれてもよい。
また、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、各電気錠の動作のエラーに関する情報が含まれてもよい。動作のエラーに関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150の各ロック部の一例である、上側サムターン116および下側サムターン156における施錠動作および解錠動作が適切に実行されたか否かの情報が含まれてもよい。この施解錠動作のエラーに関する情報には、上記で説明したものの他に、上側サムターン116および下側サムターン156のそれぞれの、施錠位置と解錠位置との間の移動時間の遅延情報や、上側サムターン116の移動時間と下側サムターン156の移動時間との相違情報などが含まれてもよい。また、当該動作のエラーに関する情報には、扉20の開状態で上側サムターン116および下側サムターン156の解錠状態が維持されて、扉20の閉状態で上側サムターン116および下側サムターン156の施錠状態が維持されているか否かの情報が含まれてもよい。
また、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150の電源に関する情報が含まれてもよい。電源に関する情報には、上側電源132および下側電源172の有無情報、上側電源132および下側電源172における電源残量の情報などが含まれてもよい。
また、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150の通信状態に関する情報が含まれてもよい。通信状態に関する情報には、上側通信部113と下側通信部153との間における通信状態の良不良の情報や、上側通信部113および下側通信部153の少なくとも一方と、携帯型端末30または操作盤40の少なくとも一方との間における通信状態の良不良の情報などが含まれてもよい。上側電気錠110および下側電気錠150の少なくとも一方が外部に更に通信部を有する場合には、上側通信部113および下側電気錠150の少なくとも一方と外部の通信部との間における通信状態の良不良の情報などが含まれてもよい。
通信状態に関する情報は、通信エラーの予め定められた種類の詳細情報を含んでもよい。予め定められた種類の詳細情報は、空きチャネルの有無情報、通信電波の強弱情報、および、通信ノイズの多少情報の少なくとも1つを含む。これらの詳細情報は、それぞれの検出結果から直接的に把握できる情報である。
また、通信状態に関する情報は、予め定められた種類の通信エラー発生原因の情報を含んでもよい。通信エラー発生原因とは、通信エラーが発生する原因である。予め定められた種類の通信エラー発生原因は、外乱、通信環境不良、ハードウェアの故障、ソフトウェアのバグ、通信設定の不備、および、通信機器の取り付け不備の少なくとも1つを含む。これらの発生原因は、上記の詳細情報に基づいて導出されてもよい。例えば、外乱および通信環境不良が、空きチャネルが無い、通信電波が弱い、通信ノイズが多い等の情報から導出されてもよい。なお、ここで言う通信設定の不備とは、例えば、そもそもの通信の初期設定の誤りや、通信開始後に生じる設定内容のバグや、通信の設定後に電源交換を行って初期化されたことで生じる設定内容の不意の変更などである。
なお、通信ノイズの多少は、例えば一方の電気錠から他方の電気錠に対して異なる周波数の信号を順に送信して、検出された受信強度から算出してもよい。受信強度の検出は、上側電気錠110および下側電気錠150で行ってもよく、携帯型端末30で行ってもよい。また、空きチャネルの有無は、予め定められた複数のチャネルを順に切り替え、それぞれのチャネルで一方の電気錠から他方の電気錠に対して送信した信号が受信できたか否かで判断してもよい。
また、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150の設定に関する情報が含まれてもよい。設定に関する情報には、上側電気錠110および下側電気錠150について予め設定されている解錠時間の情報、通知音の音量の情報、通知音の長さの情報、左右勝手の情報などが含まれてもよい。解錠時間とは、電気錠が解錠動作を実行してから自動的に施錠状態に戻るまでの時間である。また、設定に関する情報には、上側電気錠110についての設定と、下側電気錠150についての設定との間の整合性に関する情報が含まれてもよい。ユーザ12は、上側電気錠110についての設定と、下側電気錠150についての設定との間で整合性が取れていないことを知ることによって、具体的には例えば、上側電気錠110の解錠時間と下側電気錠150の解錠時間とが異なって設定されていることを知ることによって、解錠時間の相違に起因する不具合の発生を未然に防ぐことや、不具合が出る可能性があることを事前に認知することや、不具合が生じたときに迅速に原因を特定できることができる。
このような上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報が、上側メモリ136および下側メモリ176の各データベースに記録されている場合について説明する。
上側リーダ114および下側リーダ154は、ユーザ12によって接近された携帯型端末30から送信される、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を要求する要求信号を、無線通信により受信する。当該要求信号には、上記の上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報のうちの特定の種類のもの指定する情報や特定の期間を指定する情報などが含まれてもよい。上側リーダ114で要求信号を受信した場合、上側リーダ114は、要求信号を有線通信により上側制御部112に出力する。また、上側リーダ114は、当該要求信号を無線通信により下側リーダ154に送信し、下側リーダ154は当該要求信号を有線通信により下側制御部152に出力する。上側制御部112は、上側メモリ136のデータベースに記録された上側電気錠110の動作に関する情報を読み出して上側リーダ114に出力し、上側リーダ114に、上側電気錠110の動作に関する情報を携帯型端末30へと送信させる。下側制御部152も同様に、下側メモリ176のデータベースに記録された下側電気錠150の動作に関する情報を読み出して下側リーダ154に出力する。下側制御部152は、下側リーダ154に対して、下側電気錠150の動作に関する情報を、上側リーダ114を介して又は介さずに、携帯型端末30へと送信させる。
下側リーダ154で要求信号を受信した場合、下側リーダ154は、要求信号を有線通信により下側制御部152に出力する。また、下側リーダ154は、当該要求信号を無線通信により上側リーダ114に送信し、上側リーダ114は当該要求信号を有線通信により上側制御部112に出力する。下側制御部152は、下側メモリ176のデータベースに記録された下側電気錠150の動作に関する情報を読み出して下側リーダ154に出力し、下側リーダ154に、下側電気錠150の動作に関する情報を携帯型端末30へと送信させる。上側制御部112も同様に、上側メモリ136のデータベースに記録された上側電気錠110の動作に関する情報を読み出して上側リーダ114に出力する。上側制御部112は、上側リーダ114に対して、上側電気錠110の動作に関する情報を、下側リーダ154を介して又は介さずに、携帯型端末30へと送信させる。
なお、追加的に又は代替的に、上側メモリ136および下側メモリ176の少なくとも一方が、上側電気錠110および下側電気錠150の両方の動作に関する情報を記録しておき、上側リーダ114および下側リーダ154の何れか一方から、上側電気錠110および下側電気錠150の両方の動作に関する情報を一括して携帯型端末30に送信してもよい。
また、追加的に又は代替的に、上側通信部113と下側通信部153との間で無線通信エラーが生じている可能性を考慮して、先ず、上側リーダ114および下側リーダ154のそれぞれが要求信号を受信し、両リーダ間で要求信号の送受信を行わずに、各電気錠の動作に関する情報を携帯型端末30に送信することで、ユーザ12に各電気錠での異常の有無などを通知してもよい。その後に続けて、上側リーダ114および下側リーダ154の何れか一方から要求信号を受信し、上側通信部113と下側通信部153との間で無線通信を実行して、そのときの通信結果を携帯型端末30に出力することで、上側通信部113と下側通信部153との間の通信状態に関する情報をユーザ12に通知してもよい。また、これに代えて、上側リーダ114から要求信号を受信する場合には上側メモリ136を参照して上側通信部113と下側通信部153との間の無線通信エラーの記録を携帯型端末30に出力し、下側リーダ154から要求信号を受信する場合には下側メモリ176を参照して上側通信部113と下側通信部153との間の無線通信エラーの記録を携帯型端末30に出力することで、上側通信部113と下側通信部153との間の通信状態に関する情報をユーザ12に通知してもよい。
次に、上側メモリ136および下側メモリ176のそれぞれに予め格納されているデータベースの一例を、図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態による、エラー履歴データベースの一例を説明するための説明図である。エラー履歴データベースには、各電気錠の動作のエラーに関する情報、具体的には施錠解錠エラーに関する情報および開扉閉扉エラーに関する情報と、通信エラーに関する情報とが記録されている。より具体的には、エラー履歴データベースには、エラーが生じたときに読み取られた携帯型端末30のIDを記録するための携帯型端末ID欄と、エラーの種類をフラグ「1」で特定するための解錠欄、施錠欄、開扉欄、閉扉欄、錠−錠間通信欄、錠−携帯型端末間通信欄および錠−操作盤間通信欄と、エラーが生じたときの時間を記録するための時間欄とが設けられている。携帯型端末30のIDは、例えば、3桁の数字から構成される。なお、各通信機器間の通信エラーに関しては、例えば、通信良好、一定以上通信可能、及び、全く通信不可能の3段階表示のように、通信状態を段階的な表示で記録してもよい。
図5に示した例において、エラー履歴データベースの上段から、2015年4月15日11時50分に、ID「001」を有する携帯型端末30が使用され、解錠エラーが生じたことを示している。同様に、2015年5月30日17時03分にID「001」を有する携帯型端末30が使用されて錠−錠間通信エラーが生じたこと、2015年6月15日17時06分にID「004」を有する携帯型端末30が使用されて閉扉エラーが生じたことが記録されている。そして、2015年6月16日7時3分にID「001」を有する携帯型端末30が使用されて錠−操作盤間通信エラーが生じたこと、2015年6月18日7時6分にID「003」を有する携帯型端末30が使用されて施錠エラーが生じたことも記録されている。更には、2015年6月18日8時16分にID「002」を有する携帯型端末30が使用されて錠−携帯型端末間通信エラーが生じ、直後の2015年6月18日8時23分にID「003」を有する携帯型端末30が使用されて同じ錠−携帯型端末間通信エラーが立て続けに生じたことが記録されている。
ユーザ12は、図5に示されるエラー履歴データベースに記録されている上側電気錠110および下側電気錠150のエラーに関する情報を取得することで、上側電気錠110および下側電気錠150のエラーの発生原因を容易に知ることができるだけでなく、特定の種類のエラーが頻発していること等を知ることによって、上側電気錠110および下側電気錠150におけるメンテナンスすべき箇所を迅速に特定することができる。
以上、図1から図5を用いて第1の実施形態による電気錠システム10を説明した。電気錠システム10の上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報について、ユーザ12が携帯型端末30を用いて当該情報を取得する流れとして、上側メモリ136および下側メモリ176に記録されている履歴を読み出すことを主に説明した。
追加的に又は代替的に、電気錠システム10は、携帯型端末30などの外部端末から上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を出力する要求を受けると、予め定められた手順を上側電気錠110および下側電気錠150に実行させ、予め定められた手順を実行したときの上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を取得し、外部端末に出力してもよい。
予め定められた手順は、例えば施解錠動作、錠−錠間の無線通信、錠−携帯型端末間の無線通信、錠−操作盤間の無線通信などを含んでもよい。ユーザ12は、上記のエラーが生じる前に、当該手順を上側電気錠110および下側電気錠150に実行させて上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を取得することができれば、上記のエラーの発生を未然に防ぐことや、エラーが出る可能性があることを事前に認知することができる。
更にまた、電気錠システム10は、外部端末からの要求を受けずに、定期的に上記の予め定められた手順を実行し、予め定められた手順を実行したときの上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を、当該手順を実行する度に外部端末に出力してもよく、又は、当該手順を実行する度に上側メモリ136および下側メモリ176の少なくとも一方に当該情報を記憶させて、予め定められた回数だけ当該手順を実行した後に当該情報の履歴を外部端末に出力してもよい。
これに代えて、電気錠システム10は、外部端末からの要求を受けずに、且つ、上記の予め定められた手順を実行せずに、定期的に上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を取得して、取得する度に外部端末に出力してもよく、又は、当該手順を実行する度に上側メモリ136および下側メモリ176の少なくとも一方に当該情報を記憶させて、予め定められた回数だけ当該情報を取得した後に当該情報の履歴を外部端末に出力してもよい。
上記の予め定められた手順を実行せずに、定期的に取得する上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報には、例えば上側電源132および下側電源172の電源残量に関する情報、設定に関する情報、上側電気錠110および下側電気錠150と他の通信端末との間の通信状態に関する情報といった、施解錠動作を伴わない情報が含まれる。この場合の通信状態に関する情報は、例えば一方の通信端末から他方の通信端末にテスト信号を送った場合における他方の通信端末での受信強度情報である。
次に、図6から図10の各実施形態を用いて、通信方式のバリエーションを説明する。図6から図8の実施形態による電気錠システム10は、通信方式が、主に図4を用いて説明した第1の実施形態による電気錠システム10の通信方式と部分的に異なる点、各通信部の配置が異なる点、及び、一部の構成を備えない点を除いては、同じ構成を備える。図9から図10の実施形態による電気錠システム10は、通信方式が、図1から図8の各実施形態による電気錠システム10の通信方式と部分的に異なる点、各通信部の配置が異なる点、一部の構成を備えない点、一部の構成が一部の機能を有さない点、及び、追加的に又は代替的に他の構成を備える点を除いては、同じ構成を備える。よって、以降の実施形態の説明においては、説明の簡略化を目的として、重複する説明を省略する。
図6は、第2の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。図6に示される通り、第2の実施形態による電気錠セット100は、上側電気錠110における上側通信部113の上側リーダ114および上側錠間通信部115が、扉20の室内側と室外側とに別個に設けられ、互いに有線通信する。更に、下側電気錠150における下側通信部153は、リーダを有さず、上側錠間通信部115とのみ無線通信する。
図7は、第3の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。図7に示される通り、第3の実施形態による電気錠セット100は、下側電気錠150における下側通信部153は、リーダを有さず、上側錠間通信部115とのみ無線通信する。なお、本実施形態の上側電気錠110の構成は、第1の実施形態における上側電気錠110の構成と同じである。
図8は、第4の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。図8に示される通り、第4の実施形態による電気錠セット100は、上側電気錠110における上側通信部113の上側リーダ114および上側錠間通信部115が、共に扉20の室内側に設けられ、上側リーダ114は扉20を間に挟んで室外側の携帯型端末30と無線通信する。更に、下側電気錠150における下側通信部153は、リーダを有さず、上側錠間通信部115とのみ無線通信する。
図9は、第5の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。図9に示される通り、第5の実施形態による電気錠セット100は、上側通信部113および下側通信部153が共にリーダを有さず、携帯型端末30、操作盤40などの外部端末とは通信しない。上側通信部113および下側通信部153は、相互間での無線通信を行う。本実施形態の電気錠セット100は、追加的に、扉20の室外側の面上に設けられたリーダ190を備える。リーダ190は、携帯型端末30、操作盤40などの外部端末、及び、上側通信部113と無線通信する。リーダ190は、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を外部端末に出力する。リーダ190は、第1の実施形態による上側通信部113および下側通信部153の各機能と実質的に同じ機能を有する。なお、リーダ190は、外部通信部の一例である。
図10は、第6の実施形態による、各構成間での通信方式を説明するための説明図である。第6の実施形態による電気錠セット100は、第5の実施形態による電気錠セット100と異なる構成として、上側通信部113および下側通信部153が相互間での無線通信を行わず、それぞれリーダ190のみと無線通信する。
以上、図6から図10を用いて、通信方式のバリエーションの一例を説明した。図4および図6から図10の各通信方式は、上記の電気錠システム10を実現する限りにおいて、任意に変更または組合せが可能である。
次に、図11を用いて、第1の実施形態による電気錠システム10の、携帯型端末30、操作盤40といった外部端末の変形例を説明する。図11は、第7の実施形態による、住居15に設けられた電気錠システム10の模式図である。本実施形態の電気錠システム10は、第1の実施形態による電気錠システム10に対して追加的に又は代替的に、ルータ45と、サーバ装置60と、PC70とを備える。ルータ45とサーバ装置60とは、互いにネットワーク50を介して無線通信する。ネットワーク50は、例えばLANである。サーバ装置60とPC70とは、互いに有線通信又は無線通信する。サーバ装置60およびPC70は、例えば電気錠セット100の管理会社が所有するものである。ルータ45、サーバ装置60およびPC70のそれぞれは、外部端末の一例である。なお、サーバ装置60に代えて、クラウドを用いてもよい。
本実施形態の電気錠セット100は、追加的に又は代替的に、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報をルータ45に送信し、ルータ45に対して、受信した上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を、ネットワーク50を介してサーバ装置60に送信させ、サーバ装置60に対して、受信した当該情報をPC70に出力させる。これにより、PC70を所有する遠隔地のユーザ12、例えば管理会社の人間に、上側電気錠110および下側電気錠150の動作に関する情報を通知する。当該情報を取得したユーザ12は、遠隔操作により、又は、住居15に直接出向いて、扉20のメンテナンスなどを行うことができる。なお、本実施形態のように、例えばPC70や携帯型端末30といった外部端末を所有するユーザ12が住居15に不在のときに住居15に訪問者が来た場合、外部端末が電気錠セット100における登録IDを有するのであれば、住居15に設けられたルータ45とネットワーク50とを介して、外部端末から電気錠セット100の施解錠を実行させてもよい。
以上の複数の実施形態において、電気錠セットは、上側電気錠および下側電気錠の動作に関する情報を外部端末、例えばスマホやタブレットなどの携帯型端末、住居内の操作盤やルータ、遠隔地にある管理会社のサーバ装置やPCに出力する構成として説明した。追加的に又は代替的に、電気錠セットは、上側電気錠および下側電気錠の動作に関する情報を、上記の上側音声出力部や下側音声出力部に出力してもよく、上側電気錠および下側電気錠に設けられるLEDランプやモニタに出力してもよい。これらの構成は、表示部の一例であって、上側電気錠および下側電気錠の動作に関する情報が入力されると、当該動作に関する情報を表示する。表示部は、上側電気錠および下側電気錠の両方に設けられてもよく、何れか一方に設けられてもよい。表示部が上側電気錠および下側電気錠の両方に設けられる場合、上側電気錠および下側電気錠のそれぞれには、動作に関する情報を出力させるためのトリガとなる開始ボタンが設けられてもよい。表示部が上側電気錠および下側電気錠の一方に設けられる場合、当該開始ボタンは、当該一方の電気錠のみに設けてもよく、両方の電気錠に設けてもよい。
上側電気錠および下側電気錠の動作に関する情報を上側音声出力部および下側音声出力部に出力する場合、上側電気錠と下側電気錠との間で無線通信が適切に行われていることをユーザに知らせるべく、上側電気錠が下側電気錠から信号を受信したら上側音声出力部に音声を出力させ、下側電気錠が上側電気錠から信号を受信したら下側音声出力部に音声を出力させ、これを交互に実行してもよい。あるいは、通信状態が維持されている間に決められた順序でそれぞれから音声を出力してもよい。このように上側電気錠および下側電気錠で交互に又は決められた順序で音声を出力することで、ユーザは感覚的に上側電気錠と下側電気錠との間で無線通信が適切に行われていることを認識できる。
また、上側電気錠および下側電気錠の動作に関する情報を上側電気錠および下側電気錠のそれぞれに設けられるLEDランプに出力する場合、上記の音声で知らせる場合と同様にして上側電気錠および下側電気錠で交互にLEDランプを発光させてもよく、決められた順序で発光させてもよい。例えばユーザは、LEDランプの点滅の仕方がスムーズでない場合に通信が滞っていることを感覚的に知ることができる。また、LEDランプの色で通信状態に関する情報をユーザに知らせてもよい。具体的には、通信状態が良好である場合には緑色に発光し、通信エラーの発生率が高まっている場合には黄色に発光し、通信エラーが生じていて、且つ、通信エラーの詳細が、空きチャネルが無いことである場合には赤色に発光し、通信エラーの詳細が、通信ノイズが予め定められた閾値よりも多いことである場合には白色に発光してもよい。
このように、音声や光で電気錠間の通信状態をユーザに知らせる場合において、ユーザが、上述した上側電気錠および下側電気錠のそれぞれに設けられる開始ボタンを順に押して、一方から他方に送信した信号の返答が確認できたときに、音声を出力したり発光したりしてもよい。
以上の複数の実施形態において、2つの電気錠は別個に電源を備える構成として説明した。この場合において、一方の電気錠に、2つの電気錠のそれぞれに対応する表示部を2つ設け、各電気錠の電源残量が予め定められた閾値を下回ったことを各表示部に警告表示させてもよい。この場合の動作の一例として、2つの電気錠のいずれか一方の電源残量が予め定められた閾値を下回ったときに、両方の表示部に警告表示させ、一方の電源交換が終了したら対応する表示部のみの警告表示を消し、続けて他方の電源交換も終了したら対応する表示部の警告表示も消す。当該動作によれば、電気錠間で、電源残量が予め定められた閾値を下回るタイミングに差が生じている場合にも、2つの電気錠の電源を一度に交換できるため、電気錠セットにおける電源交換頻度を減らすことができる。
以上の複数の実施形態において、主に、電気錠セットは、外部端末から要求を受けると、各電気錠の動作に関する情報を外部端末に出力する構成として説明した。追加的に又は代替的に、電気錠セットは、電気錠に設けられるボタンの押下によって発せられる信号により、各電気錠の動作に関する情報を電気錠の表示部に出力してもよく、そのようなトリガに拘わらず定期的に、各電気錠の動作に関する情報を電気錠の表示部または外部端末に出力してもよい。
以上の複数の実施形態において、電気錠セットは2つの電気錠からなる構成として説明した。これに代えて、電気錠セットは、3つ以上の電気錠からなってもよい。3つ以上の電気錠間での無線通信は相互に実行されてもよく、何れか1つをマスタと定めて他をスレイブと定める場合には、マスタと各スレイブとの間のみで無線通信が実行されてもよい。
以上の複数の実施形態において、制御部は、各電気錠に1つずつ設ける構成として説明した。これに代えて、制御部を、何れか1つの電気錠にのみ設ける構成としてもよい。また、電気錠セットが外部通信部を備える場合には、制御部を、複数の電気錠および外部通信部の何れか1つにのみ設ける構成としてもよい。電気錠セットが制御部を1つのみ備える場合、制御部は無線通信を利用して両電気錠の各構成を制御する。両電気錠が制御部を備えずに外部通信部のみが制御部を備える場合、制御部は外部通信部のみならず両電気錠の各構成も無線通信を利用して制御する。
以上の複数の実施形態において、各電気錠に設けられた制御部が、それぞれ各電気錠の動作に関する情報を出力するように制御する構成として説明した。これに代えて、何れか一方の電気錠に設けられた制御部のみが統括して、無線通信を利用し、両電気錠の動作に関する情報を出力するように制御してもよい。また、何れか一方の電気錠に設けられた制御部のみが統括して、無線通信を利用し、両電気錠の各構成の全て又は一部を制御してもよい。
以上の複数の実施形態において、メモリは、各電気錠に1つずつ設ける構成として説明した。これに代えて、メモリを、何れか1つの電気錠にのみ設ける構成としてもよい。また、電気錠セットが外部通信部を備える場合には、メモリを、複数の電気錠および外部通信部の何れか1つにのみ設ける構成としてもよい。電気錠セットがメモリを1つのみ備える場合、メモリは両電気錠の各種情報を記憶する。
以上の複数の実施形態において、メモリは、各電気錠に1つずつ設けて、各電気錠の各種情報を別個に記憶する構成として説明した。具体的には、上側電気錠に設けられたメモリは上側電気錠の各種情報を記憶し、下側電気錠に設けられたメモリは下側電気錠の各種情報を記憶するものとして説明した。これに代えて、上側電気錠に設けられたメモリは上側電気錠の各種情報のみならず下側電気錠の各種情報も記憶し、下側電気錠に設けられたメモリは下側電気錠の各種情報のみならず上側電気錠の各種情報も記憶してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。