JP5033554B2 - 石油タンクの消火方法、石油タンクの消火システム、消火ノズル及び消火設備付き石油タンク - Google Patents

石油タンクの消火方法、石油タンクの消火システム、消火ノズル及び消火設備付き石油タンク Download PDF

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Description

本発明は、特に石油タンク火災のような可燃物を収容した大容量タンクの全面火災に対して有効な石油タンクの消火方法、石油タンクの消火システム、消火ノズル及び消火設備付き石油タンクに関する。
2003年9月26日に発生した十勝沖地震(M=8.0)では、苫小牧市を中心として、数多くの石油タンクが被害を受け、それらのうち2基のタンクからは火災が発生した。2件の火災のうち、特に、ナフサタンクにおける火災は全面火災となった。このナフサタンクは浮き屋根式タンクであったが、地震や設備の老朽化により石油タンクの浮き屋根が沈む事故が起き、このナフサタンクのように全面火災になることもある。
従来、大容量の石油タンクに全面火災が発生した場合、その消火は非常に困難である。上の苫小牧市の石油タンク火災の場合、調達した泡原液量(約647,300リットル)から計算される泡水溶液の放射量は約15000リットル/m(3%の泡水溶液とする)にも達した。それにも関わらず、有効に消火することはできなかった。
石油タンク火災の場合に採用される消火方法は、泡放水砲から燃えさかる火炎に向けて消火用泡を放射投入する方法が主である。しかしながら、火炎により熱せられて周囲の空気が強い上昇気流を作っているので、このような従来の消火用泡の投入方法では、消防車から火炎に向けて放射された消火用泡の多くがその上昇気流によって吹き上げられてしまって油面に到達できず、さらに、油面に到達した泡も輻射熱により破壊されてしまうため、油面に充分な消火用泡の泡膜を作ることができず、効果的に消火できない問題点があった。
このような問題点に対して、特開2005−323794号公報(特許文献1)によれば、油槽の側方においてノズルからウォータミストを放出し、油槽の近傍において火炎基部に生じる空気流に乗せて火炎内部に到達させ、ミストの相変化(液体から気体へ)による「蒸発の潜熱による冷却効果」、「水蒸気による空気中の酸素濃度低下効果」、「ミストが水蒸気になることで体積膨張が起こり上方への流れが加速される」ことで火炎を油面から引き伸ばし、酸素濃度低下と相まって火炎が付着ができなくして消火する方法が知られている。しかしながら、この方法では、大容量タンクの場合には有効に働かない問題点がある。
また、特開2006−101902号公報(特許文献2)によれば、油貯蔵タンクの消火方法に関し、火勢による熱上昇気流に抗して軽い消火用泡や化学粉末消火剤を可燃性液体の液面に届けるために、予め消火剤を容器に封入してタンク内に投入する方法が知られている。この方法も、大容量タンクに対する消火方法としては有効に働かない問題点がある。
また、特開昭58−121969号公報(特許文献3)によれば、燃料タンク火災に際して、タンク外壁近くで燃えさかる火炎による上昇気流によって水の微細噴霧を火炎基部に運び、その火炎基部を吹き飛ばして消火する方法が知られている。しかしながら、これもタンク外壁近くが最も高温に燃えることを前提にしたもので、タンク全体が火炎に包まれて燃えさかっている状態では有効に消火することは期待できない。
さらに、特開昭54−27298号公報(特許文献4)によれば、消火対象物に対し、消火剤による主放射流の外側に外界空気の影響を遮断するための副放射流を形成し消火する方法が知られている。しかしながら、この消火方法は、消火剤の外側にウォータカーテンを形成するものであり、燃えさかる火炎により激しい上昇気流が発生している場合には油面に消火剤を到達させることは困難であり、有効な消火方法とはなり得ない。
特開2005−323794号公報 特開2006−101902号公報 特開昭58−121969号公報 特開昭54−27298号公報
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、大容量石油タンクのタンク火災に対しても効果的に消火が可能な石油タンクの消火技術を提供することを目的とする。
本発明の1つの特徴は、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成し、前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる石油タンクの消火方法である。
本発明の別の特徴は、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射手段とを備えた石油タンクの消火システムである。
本発明のまた別の特徴は、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射ノズルと、前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射ノズルとを併せ持つ消火ノズルである。
本発明のさらに別の特徴は、石油タンクと、前記石油タンクのトップ外周縁部に向けて水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、前記減酸素気体放射手段による減酸素気体の放射によって火炎中に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を大量に放射する消火用泡放射手段とを備えた消火設備付き石油タンクである。
本発明の石油タンクの消火方法によれば、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射することで火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成してその部分の燃焼を抑制し上昇気流を弱めることができる。そこで、その火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射することで消火用泡が強い上昇気流に巻き込まれて巻き上げられて油面に到達できなくなるのを防止し、当該消火用泡を確実に油面に着面させて覆うことができ、同時に燃焼の抑制により火炎からの輻射熱も抑えることで油面に到達した消火用泡の消泡を抑制することもでき、石油タンク火災を効果的に消火することができる。
本発明の石油タンクの消火システムによれば、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、減酸素気体放射手段の減酸素気体の放射によって火炎中に局所的に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射手段とを備えているので、このシステムを使用することで、減酸素気体放射手段にて石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成し、消火用泡放射手段にてその火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射する上記の消火方法をとることができ、石油タンク火災を効果的に消火することができる。
本発明の消火ノズルによれば、石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射ノズルと、減酸素気体放射ノズルからの減酸素気体の放射によって火炎中に局所的に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射ノズルとを併せ持つので、これを使用することで、減酸素気体放射ノズルから石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成し、消火用泡放射ノズルからその火炎中に局所的に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射する上記の消火方法をとることができ、当該消火用泡を確実に油面に着面させて覆うことができ、石油タンク火災を効果的に消火することができる。
本発明の消火設備付き石油タンクによれば、石油タンクのトップ外周縁部に向けて水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、減酸素気体放射手段による減酸素気体の放射によって火炎中に局所的に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を大量に放射する消火用泡放射手段とを備えているので、万一石油タンクに火災が発生した場合には、減酸素気体放射手段にて石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成し、消火用泡放射手段にてその火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射する上記の消火方法をとることができ、石油タンク火災を効果的に消火することができ、火災に対する安全性の高い石油タンクとすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
(第1の実施の形態)
本発明の1つの実施の形態の石油タンクの消火システム、それを用いた消火方法について、図1を用いて説明する。消火システムは、石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して局所的に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3を放射する減酸素気体放射装置4と、この減酸素気体放射装置4にて減酸素気体3を放射した同じ場所に大量の消火用泡5を放射する消火用泡放射装置6とから構成される。この減酸素気体放射装置4、消火用泡放射装置6それぞれは、減酸素気体3、消火用泡5それぞれを放射する専用の消防車や専用の高圧放射装置であってもよい。
次に、本実施の形態の消火システムによる石油タンク火災の消火方法について説明する。図1(a)に示すように石油タンク1の火災が発生して火炎2が生じると、減酸素気体放射装置4と消火用泡放射装置6とを用意する。そして、図1(b)に示すように石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して局所的に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3を放射する。これにより、火炎2の一部に局所的に低酸素雰囲気エリア7を作り、火勢を低下させる。
続いて、図1(c)に示すように、減酸素気体放射装置4にて減酸素気体3を放射し続けながら、火勢が低下している低酸素雰囲気エリア7に向けて消火用泡放射装置6にて大量の消火用泡5を放射する。これにより、従来であれば火炎2の勢いにて激しい上昇気流が発生していてそれに巻き込まれて石油タンク1の油面8に到達することができなかった消火用泡5を、火勢が落ちて上昇気流の勢いも落ちている低酸素雰囲気エリア7において油面8に到達させることができるようになる。そして尚も、減酸素気体3と消火用泡5を大量に放射し続けることにより、油面8に到達した消火用泡5の面積を漸次拡大させていくことができ、最終的には図1(d)に示すように石油タンク1の油面8の全体を消火用泡5にて覆い切ることができ、完全に消火できるようになる。
尚、図1に示すように石油タンク1毎にそのトップ外周縁近くに向けて減酸素気体を放射する減酸素気体放射装置4と消火用泡5を放射する消火用泡放射装置6をその放射方向を可変調節できる態様にて常設して消火設備付き石油タンクを構成しておくことも可能である。
(第2の実施の形態)
図2を用いて、本発明の第2の実施の形態の石油タンクの消火システム及び消火方法について説明する。第1の実施の形態では、減酸素気体放射装置4、消火用泡放射装置6をそれぞれ個別の装置として用意したが、本実施の形態では、減酸素気体放射専用車4A、消火用泡放射専用車6Aを用意し、これにて第1の実施の形態の消火方法と同様の手順にて石油タンク火災の消火を行うことを特徴とする。
つまり、石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して減酸素気体放射専用車4Aから水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3を放射して火炎2の一部に局所的に低酸素雰囲気エリア7を作って火勢を低下させ、続いて、減酸素気体放射専用車4Aにて減酸素気体3を放射し続けながら、火勢が低下している低酸素雰囲気エリア7に向けて消火用泡放射専用車6Aから大量の消火用泡5を放射する。これにより、消火用泡5を効果的に油面8に到達させてその着面積を漸次拡大させていくことができ、完全に消火できるようになる。
(第3の実施の形態)
図3を用いて、本発明の第3の実施の形態の石油タンクの消火システム及びそれを用いた石油タンクの消火方法について説明する。本実施の形態の消火システムは、石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して局所的に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3Aを放射する減酸素気体放射装置4Bと、この減酸素気体放射装置4Bにて減酸素気体3Aが放射されている場所に大量の消火用泡5を放射する消火用泡放射砲6Bとから構成される。
本実施の形態の消火システムによる石油タンク火災の消火方法は第1、第2の実施の形態と同様であり、石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して減酸素気体3Aを減酸素気体放射装置4Bから放射して火炎2の一部に局所的に低酸素雰囲気エリア7を作り、火勢を低下させ、続いて、減酸素気体を放射し続けながら、火勢が低下している低酸素雰囲気エリア7に向けて消火用泡放射砲6Bから大量の消火用泡5を放射する。これにより、消火用泡5を効果的に油面8に到達させてその着面積を漸次拡大させていくことができ、完全に消火できるようになる。
(第4の実施の形態)
図4を用いて、本発明の第4の実施の形態の消火ノズル及びそれを用いた石油タンクの消火方法について説明する。本実施の形態の消火ノズル10は同軸二重構造のノズルであって、外側のノズルを水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3を放射する減酸素気体放射ノズル4Cとし、内側のノズルを消火用泡5を放射するための消火用泡放射ノズル6Cとしている。そして減酸素気体放射ノズル4Cから減酸素気体3を放射するように減酸素気体供給チューブ11がこのノズル4Cに接続してあり、また、消火用泡放射ノズル6Cから消火用泡5を放射するように消火用泡供給チューブ12がこのノズル6Cに接続してある。
本実施の形態にあっても、上記3つの実施の形態と同様に、石油タンク1のトップ外周縁から燃え盛る火炎2の基部に対して減酸素気体放射ノズル4Cから水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体3を放射して火炎2の一部に局所的に低酸素雰囲気エリア7を作って火勢を低下させ、続いて、減酸素気体放射ノズル4Cから減酸素気体3を放射し続けながら、火勢が低下している低酸素雰囲気エリア7に向けて消火用泡放射ノズル6Cから大量の消火用泡5を放射する。これにより、消火用泡5を効果的に油面8に到達させてその着面積を漸次拡大させていくことができ、完全に消火できるようになる。
尚、上記のいずれの実施の形態にあっても、減酸素気体の放射と消火用泡の放射の開始順序については減酸素気体を必ずしも先とする必要はない。しかしながら、消火用泡の放射を先に開始しても、減酸素気体を火炎に向けて放射することで火炎の一部分に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成させてからでなければ、消火用泡にて油面を覆い尽くすことはできないので、結局、消火用泡の放射を先に開始してもその泡が一部無駄になることがあり得る。
図5は実施例1の小規模実験の様子を示す写真である。図5(a)は実験設備の模式図、図5(b)は実験設備の写真を示している。直径D=320mmの小規模燃焼タンク101の縁に100mmまで近接させて空気ダクト102を設置している。空気ダクト102の口径は80mm×80mmである。図5(c)、(d)はこの空気ダクト102からの窒素富化空気の放射状態を示す写真である。この設備を用いて、小規模実験を実施した。
この小規模実験では、図5(b)、(e)の写真に見られるように、小規模燃焼タンク101にノルマルヘプタンを入れて燃焼させ、空気ダクト102からO10%、N90%の窒素富化空気を200リットル/分の流量で放射した。図5(e)は窒素富化空気を放射しないときの燃焼状態の写真であり、ノルマルヘプタンが激しく燃えているのが分かる。これに対して、図5(f)の写真に示すように、燃え盛る火炎に対して窒素富化空気を放射した結果、窒素富化空気が当たっているエリアではヘプタンの燃焼を抑制してヘプタンの液面を露出させることができた。
図6は実施例2の中規模実験の様子を示す写真である。図6(a)は実験設備の模式図を示し、直径D=1128mmの中規模燃焼タンク111の縁に200mmまで近接させて噴霧ノズル112を設置している。図6(b)はこの噴霧ノズル112から水噴霧している状態を示す写真である。この設備を用いて、中規模実験を実施した。
この中規模実験では、中規模燃焼タンク111にノルマルヘプタンを入れて燃焼させ、噴霧ノズル112から0.95MPaの水圧、0.276リットル/分の流量で水を噴霧した。この結果、図6(c)の写真に示すように、水霧が当たっているエリアではその燃焼を抑制してノルマルヘプタンの液面を露出させることができた。
図7は実施例3の中規模実験の様子を示す写真である。図7(a)は実験設備の模式図を示し、実施例2と同様の直径D=1128mmの中規模燃焼タンク111の縁に200mmまで近接させて実施例1と同口径80mm×80mmの空気ダクト113を設置している。図7(b)はこの空気ダクト113から窒素富化空気を放射している状態を示す写真である。この設備を用いて、中規模実験を実施した。
この中規模実験では、中規模燃焼タンク111にノルマルヘプタンを入れて燃焼させ、空気ダクト113からO10%、N90%の窒素富化空気を777リットル/分の流量で放射した。図7(c)の写真に示すように、火炎基部に対して窒素富化空気を放射した結果、窒素富化空気が当たっているエリアではヘプタンの燃焼を抑制してヘプタンの液面を露出させることができた。
このように、実施例1の小規模実験のみならず実施例2、実施例3の中規模実験によっても、水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を燃料タンクの縁近くに放射することで減酸素気体が当たるエリアを低酸素状態にし、火炎温度を低下させて燃料の燃焼を抑制できることが確認できた。これらの実験を踏まえ、窒素富化空気や水噴霧のような減酸素気体が当たり燃焼が抑制されている低酸素雰囲気エリアをねらって消火用泡を大量に放射すればその消火用泡を燃料表面に到達させることができ、また消火用泡を大量に放射し続けることで燃料の表面に消火用泡を確実に展開させ、やがては完全に燃料表面を覆ってその燃焼を効果的に消火できるようになると期待できる。
シミュレーションを実施例4とする。本発明者らによるシミュレーション結果は、次の通りであった。
(1)目標酸素濃度(水の空間密度d)を18%(d=115g/m)以下とする。ちなみに、消火の条件は、酸素(O)濃度が16%以下(HOの存在割合が182g/m以上)である。
(2)水噴霧の放射幅は、燃料タンクの直径Dに対して、D/10以上にすると効果的である。
(3)水噴霧の放射量Qは、Q=d・(D/10)・uと表せる。ここで、水の空間密度dをd=115g/mとし、接炎時の水噴霧の速度uをu=10m/sとすると、Q≧69(D/10)[リットル/分]に設定することで燃料タンクの表面に水噴霧を効果的に到達させ、火炎に覆われているタンク表面の一部に低酸素雰囲気エリアを形成できることがシミュレートできた。
本発明の第1の実施の形態の石油タンクの消火システムの構成と消火方法を示す説明図。 本発明の第2の実施の形態の石油タンクの消火システムと消火方法を示す説明図。 本発明の第3の実施の形態の石油タンクの消火システムと消火方法を示す説明図。 本発明の第4の実施の形態の消火ノズルとそれを用いた石油タンクの消火方法の説明図。 本発明の実施例1の小規模実験の模様を示す写真。 本発明の実施例2の中規模実験の模様を示す写真。 本発明の実施例3の中規模実験の模様を示す写真。
符号の説明
1 石油タンク
2 火炎
3 減酸素気体
3A 減酸素気体
4 減酸素気体放射装置
4A 減酸素気体放射専用車
4B 減酸素気体放射装置
4C 減酸素気体放射ノズル
5 消火用泡
6 消火用泡放射装置
6A 消火用泡放射専用車
6B 消火用泡放射砲
6C 消火用泡放射ノズル
7 低酸素雰囲気エリア
8 油面
10 消火ノズル

Claims (4)

  1. 石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成し、
    前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させることを特徴とする石油タンクの消火方法。
  2. 石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、
    前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射手段とを備えたことを特徴とする石油タンクの消火システム。
  3. 石油タンクのトップ外周縁部に水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射ノズルと、前記火炎中の局所的な低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を放射し、油面に当該消火用泡を着面させる消火用泡放射ノズルとを併せ持つ消火ノズル。
  4. 石油タンクと、
    前記石油タンクのトップ外周縁部に向けて水噴霧、窒素富化空気のような減酸素気体を放射して火炎中に局所的に低酸素雰囲気エリアを形成する減酸素気体放射手段と、
    前記減酸素気体放射手段による減酸素気体の放射によって火炎中に生じた低酸素雰囲気エリアに向けて消火用泡を大量に放射する消火用泡放射手段とを備えたことを特徴とする消火設備付き石油タンク。
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