JP2009160279A - 消火設備及び消火方法 - Google Patents
消火設備及び消火方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009160279A JP2009160279A JP2008001745A JP2008001745A JP2009160279A JP 2009160279 A JP2009160279 A JP 2009160279A JP 2008001745 A JP2008001745 A JP 2008001745A JP 2008001745 A JP2008001745 A JP 2008001745A JP 2009160279 A JP2009160279 A JP 2009160279A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mist
- flame
- fire extinguishing
- nozzles
- injection
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Fire-Extinguishing By Fire Departments, And Fire-Extinguishing Equipment And Control Thereof (AREA)
Abstract
【課題】火災の迅速かつ効率的な消火を達成する消火技術を提供する。
【解決手段】この消火設備100は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置され、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストの一部を火炎の外縁に沿って上昇させるように噴射する複数の第1ミストノズル11と、その火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置され、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射する複数の第2ミストノズル21と、各々の第1ミストノズル11及び各々の第2ミストノズル21に対して、消火剤を送給する送給手段とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】この消火設備100は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置され、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストの一部を火炎の外縁に沿って上昇させるように噴射する複数の第1ミストノズル11と、その火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置され、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射する複数の第2ミストノズル21と、各々の第1ミストノズル11及び各々の第2ミストノズル21に対して、消火剤を送給する送給手段とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、消火設備及び消火方法に関し、特に、油等の可燃性液体のプール火災の消火のための消火設備及び消火方法に関する。
従来、例えば、最も消火が困難のものの1つといわれるプール火災の消火に対して、ウォータミストをプール火災に生じる空気流に乗せて火炎基部に到達させることによって消火する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、ウォータミストを火炎内部に到達させることができるので、ウォータミストが火炎と接触することによって発生する水蒸気による冷却効果や酸素濃度低下効果が得られる。しかしながら、酸素も空気流に沿って火炎基部へ流入するため、なお改良の余地がある。
上述の従来技術の問題を解消するため、火炎中心軸に向かって火炎の上方の周囲から放射することによって消火する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法では、ウォータミストによって形成される下降流を形成することができるので、ウォータミストによる冷却効果以外に、水蒸気の生成及び火炎内部の圧力増加による空気流入の抑制効果が得られる。
一方、火炎基部を隙間なく取り囲むようにウォータミストを放射して消火する方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法では、ウォータミストを火炎の流れに対して実質的に平行にして、火炎基部への空気の流入を阻止しているので、ウォータミストの液体から気体への相変化による冷却効果、酸素濃度希釈効果、および窒息効果を発揮することができる。
特開2005−323794号公報
特開2007−244723号公報
特開2007−307096号公報
しかしながら、上述の特許文献2に記載の消火方法では、ウォータミストから水蒸気への相変化に伴う圧力増加が火炎基部領域内で生じることにより、火炎基部領域内に乱流が発生することになる。その結果、かえって燃焼を助長させるという問題が生じる。さらに、発明者らの注意深い観察により、この方法では、ウォータミストから水蒸気への相変化の過程で生じる体積増加により、一時的ではあるが火炎領域を急激に拡大させるという問題も生じることが分かった。その結果、消火までに比較的多量の水と長い時間が必要となるだけでなく、周辺の物や建築物への延焼の危険性も生じうる。
また、上述の特許文献3に記載の消火方法では、火炎基部への空気の流入を阻止するためにウォータミストが利用されるので、火炎基部領域に到達するウォータミストの量がその分だけ減少する。その結果、ウォータミストの使用量に対する消火の効率を十分に上げることができないという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述の従来技術の問題を克服して、特に可燃性液体の燃焼であり、最も消火が困難のものの1つといわれるプール火災の消火技術の更なる向上を図るものである。
ここで、本出願において「燃料面」とは、前述の可燃性液体の最表面を意味する。また、本出願において「火炎基部領域」とは、燃料面からその鉛直上方300mm以下の柱状空間領域を意味する。なお、この「燃料面」は「燃焼面」と呼ばれることもある。また、本出願において「噴射方向」とは、水平面とミストノズルの向きとがなす角度を意味する。また、「噴射角度」とは、代表的に図12に示す、ミストノズル11から噴射される消火剤の飛行範囲の広がり角度θをいう。
本発明の1つの消火設備は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置され、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストの一部をその火炎の外縁に沿って上昇させるように噴射する複数の第1ミストノズルと、その火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置され、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、そのミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射する複数の第2ミストノズルと、前述の各々の第1ミストノズル及び前述の各々の第2ミストノズルに対して、その消火剤を送給する送給手段とを備えている。
この消火設備によれば、第1ミストノズルから噴射されるミストの一部が火炎の外縁に沿って上昇することによって、火炎の周囲に存在する空気(特に酸素)が火炎へ侵入することを防止するいわば「障壁」が形成される。また、第2ミストノズルから噴射されるミストが、火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突して下降流を形成する。その結果、ミストによる冷却効果に加えて、ミストから蒸気への相変化に伴う火炎内部における圧力増加による空気流入の抑制効果が得られる。
さらに、第1ミストノズルと第2ミストノズルが協働することにより、第1ミストノズルから噴射されるミストの一部が上述の「障壁」に利用されることによる火炎基部領域に到達するミストの量の損失分が第2ミストノズルから噴射されるミストで補われるため、極めて迅速かつ効率的な消火が達成され得る。なお、詳細な理由は未だ不明であるが、第1ミストノズルからのミストにより、上述の第2ミストノズルからのミストの火炎内部での圧力増加に伴う火炎領域の一時的拡大現象が著しく抑制された。
また、本発明の1つの消火方法は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置される複数の第1ミストノズルから、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射する第1ミスト噴射工程と、その第1ミストノズルから噴射されるミストの一部をその火炎の外縁に沿って上昇させるミスト上昇工程と、その火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置される複数の第2ミストノズルから、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射する第2ミスト噴射工程と、前述の第2ミストノズルから噴射されるミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射するミスト衝突工程とを備えている。
この消火方法によれば、第1ミストノズルから噴射されるミストの一部が火炎の外縁に沿って上昇することによって、火炎の周囲に存在する空気(特に酸素)が火炎へ侵入することを防止する障壁が形成される。また、第2ミストノズルから噴射されるミストが、火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突する工程を経ることにより、火炎基部領域に向かう下降流が形成される。この下降流により、ミストによる冷却効果に加えて、ミストから蒸気への相変化に伴う火炎内部における圧力増加による空気流入の抑制効果が得られる。
さらに、第1ミストノズルと第2ミストノズルが協働することにより、第1ミストノズルから噴射されるミストの一部が上述の「障壁」に利用されることによる火炎基部領域に到達するミストの量の損失分が第2ミストノズルから噴射されるミストで補われるため、極めて迅速かつ効率的な消火が達成され得る。なお、詳細な理由は未だ不明であるが、第1ミストノズルからのミストにより、上述の第2ミストノズルからのミストの火炎内部での圧力増加に伴う火炎領域の一時的拡大現象が著しく抑制された。
本発明の消火設備及び消火方法によれば、第1ミストノズルから噴射されるミストによる消火作用と第2ミストノズルから噴射される消火作用とが相俟って、従来の消火設備と比較して、より少量のミストにもかかわらず迅速に消火することができる。
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の構成部材又は符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の消火装置100の全体概略図であり、図2は、図1のX−X断面図である。また、図3は、図1の一部である第1リング状配管10、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、第2リング状配管20、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽70を示す側断面図である。また、図4は、図1の一部である第1リング状配管10、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、第2リング状配管20、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽70を示す平面図である。
図1は、本実施形態の消火装置100の全体概略図であり、図2は、図1のX−X断面図である。また、図3は、図1の一部である第1リング状配管10、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、第2リング状配管20、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽70を示す側断面図である。また、図4は、図1の一部である第1リング状配管10、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、第2リング状配管20、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽70を示す平面図である。
図1に示す消火設備100は、複数の第1ミストノズル11,・・・,11と、複数の第2ミストノズル21,・・・,21と、各々の第1ミストノズル11及び各々の第2ミストノズル21に対して消火剤を送給する送給手段とを備える。
本実施形態の送給手段は、消火剤(本実施形態では水)を貯留するタンク19、ポンプ17、ポンプ制御部18、第1リング状配管10及び第2リング状配管20への消火剤の送給のON/OFFを切り替える開閉動作を行う手動バルブ14a,14b及び電動バルブ15a,15b、バルブ制御部16、第1圧力調整バルブ13a、第2圧力調整バルブ13b、第1リング状配管10及び第2リング状配管20を備える。また、第1リング状配管10には複数の第1ミストノズル11,・・・,11が接続され、第2リング状配管20には複数の第2ミストノズル21,・・・,21が接続される。
これらの構成により、タンク19内の消火剤は、バルブ制御部16からの信号による電動バルブ15a,15b又は手動バルブ14a,14bの「開」動作と、ポンプ制御部18からの信号によるポンプ17の送給動作によって、第1リング状配管10及び/又は第2リング状配管20に送給される。その後、第1圧力調整バルブ13a及び第2圧力調整バルブ13bによって別個独立に制御された圧力条件で、複数の第1ミストノズル11,・・・,11と複数の第2ミストノズル21,・・・,21からミストが噴射される。
また、本実施形態におけるバルブ制御部16は、電動バルブ15a,15bの開閉動作及びその開閉のタイミングを制御する。従って、第1リング状配管10に対する消火剤の送給開始時刻と第2リング状配管20に対するその送給開始時刻との間に差を設けることが可能となる。なお、上述のバルブ制御部16は、公知の制御装置及び制御プログラムが適用される。
また、本実施形態では、複数の第1ミストノズル11,・・・,11が1つの第1リング状配管10に公知の技術により螺合、接着、又は接合(以下、これらを総称して接続という)しているため、複数の第1ミストノズル11,・・・,11は一括して制御される。同様に、第2ミストノズル21,・・・,21が1つの第2リング状配管20に接続されているため、複数の第2ミストノズル21,・・・,21は一括して制御される。
本実施形態の消火設備100に対しては、公知の種々のミストノズルが適用できる。また、本実施形態のミストノズルの代わりに、既に出願人が特願2007−235227号の中で提案している薄型ミストノズルを採用することも好ましい一態様である。また、その他の例として、特開2004−135742号公報に記載の消火器と同じ原理でミストを噴射させることもできる。いずれのミストノズルを採用した場合であっても、消火効果を最大限に発揮させるためには、消火剤を含むミストが火炎を通過した後、全て蒸気に変わるように噴射することが望ましい。これは、例えば、水蒸気の体積はウォータミストの体積の1000倍以上であることからも分かるように、蒸気に変わった方が、火炎に対する圧力が増し、火炎内部の酸素濃度が低下するとともに火炎内部への空気(主に酸素)流入抑制効果が高まるためである。
本実施形態では、図1に示すように、第1リング状配管10及び第2リング状配管20は円状に形成されている。ここで、第1リング状配管10に接続する複数の第1ミストノズル11,・・・,11及び第2リング状配管20に接続する複数の第2ミストノズル21,・・・,21の具体的な態様と役割は次の通りである。
まず、本実施形態の各々の第1ミストノズル11は、火炎基部領域を囲むように、略均等な間隔で第1リング状配管10に接続している。このため、火炎に対して偏り無くミストを噴射することができる。さらに、各々の第1ミストノズル11は、消火剤を含むミストを、その一部が前記火炎の外縁に沿って上昇するように噴射する。なお、上述の通り、本実施形態の複数の第1ミストノズル11,・・・,11の噴射方向は、直接燃料面に向かないように設定されている。これは、たとえミストが軽量であっても燃料面に直接到達させるようにミストを噴射すると、火炎基部領域の燃料ガスや突入したミスト自体が、火炎基部領域内を乱すだけでなく、周囲の空気(特に酸素)が火炎基部領域に送り込まれるためである。また、複数の第1ミストノズル11,・・・,11の噴射方向は、燃焼時に火炎基部領域から火炎中央部に流入する空気の流れをミストが阻止するように、火炎の流れに対して実質的に平行でかつ同じ方向にすることが好ましい。
ところで、各々の第1ミストノズル11から噴射されるミストの平均粒径は、10μm以上200μm以下であることが好ましい。これは、ミストの平均粒径が10μm未満であると火炎の輻射熱を受け火炎に到達する前に気化してしまう一方、ミストの平均粒径が200μmを超えると火炎を通過した後も完全に気化せず液滴が残ることになるためである。
また、各々の第1ミストノズル11から噴射されるミストの噴射流速は、0.1m/s(メートル/秒)以上10m/s以下が好ましい。これは、ミストの流速が0.1m/s未満であれば、噴射されたミストが火炎によって巻き上げられてしまうため、ミストが火炎に殆ど到達せず、実質的に消火に寄与しなくなるからである。他方、その流速が10m/s以上になれば、噴射されたミストが周囲の空気を火炎に流入させることになって火炎を煽ってしまうことになる。上記観点からいえば、そのミストの流速は、0.3m/s以上6m/s以下がさらに好ましい。
次に、本実施形態の各々の第2ミストノズル21は、火炎基部領域の鉛直上方の領域を囲むように第2リング状配管20に均等な間隔で配置される。また、各々の第2ミストノズル21は、消火剤を含むミストを、火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射する。
本実施形態では、各々の第2ミストノズル21は、各々の第1ミストノズル11よりも上方に配置される。これは、火炎又は火炎上方に対して各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストが、各々の第1ミストノズル11からのミストが形成する障壁に妨げられることなく、火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突して下降流を形成することができるようにするためである。また、図4に示すように、各々の第2ミストノズル21は、平面視において、換言すれば、正射影した場合に、各々の第1ミストノズル11の位置よりも内側に配置される。この配置により、第1ミストノズル11から噴射されるミストの影響をより低減できるため、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストは、より容易に互いに衝突することができる。
また、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストの平均粒径は、50μm以上500μm以下であることが好ましい。これは、ミストの平均粒径が50μm未満であると、火炎の輻射熱を受け火炎に到達する前に気化してしまう虞や、火炎に巻き上げられて火炎の熱エネルギーを吸収することができない虞があるためである。他方、ミストの平均粒径が500μmを超えると、火炎を通過した後も完全に気化せず液滴が残り得るためである。
また、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストの噴射流速は、1m/s以上3m/s以下であることが好ましい。この範囲の噴射流速では、噴射されるミストが火炎によって巻き上げられることがないためである。
本実施形態の消火設備100では、バルブ制御部16により、第2ミストノズル21からのミストの噴射は、第1ミストノズル11からのミストの噴射開始より4秒遅れるように設定された。この設定により、第2ミストノズル21から噴射されるミストが下降するときに液体から気体への相変化により生じる火炎内部の圧力の増加により火炎の横幅が拡大するという現象が殆ど観察されなかった。他方、第2ミストノズル21と第1ミストノズルの噴射を同時に開始した場合、消火の過程で若干火炎の拡がりが確認されたが、第2ミストノズル21のみによって消火する場合と比較して顕著にその拡がりの低減が確認された。従って、上述の観点から、第2ミストノズル21からのミストの噴射は、第1ミストノズル11からのミストの噴射と同時か、又は第1ミストノズル11からのミストの噴射の後に行われることが好ましい。さらに、消火の過程での火炎の拡がりをより顕著に抑えるためには、第2ミストノズル21からのミストの噴射は、第1ミストノズル11からのミストの噴射より2秒以上遅れて開始されることが好ましい。なお、この第2ミストノズル21からの噴射の遅れ時間の上限は特に定めるものではないが、総消火時間を出来る限り低減することを考慮すれば、第2ミストノズル21からの噴射の遅れが15秒以下であることが好ましい。
上述の通り、複数の第1ミストノズル11,・・・,11から噴射されるミストは、火炎の周囲に存在する空気(特に酸素)が火炎へ侵入することを防止するいわば障壁を形成する。また、複数の第2ミストノズル21,・・・,21から噴射されるミストは、火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突して下降流を形成するため、ミストによる冷却効果に加えて、ミストから蒸気への相変化に伴う火炎内部における圧力増加による空気流入の抑制効果が得られる。
さらに、詳細な理由は未だ不明であるが、本実施形態の消火設備100では、第1ミストノズル11及び第2ミストノズル21による2種類のミストが噴射されるので、第1ミストノズルからのミストにより、第2ミストノズルからのミストの火炎内部での圧力増加に伴う火炎領域の一時的拡大現象が著しく抑制される。その結果、消火が顕著に促進されるとともに、延焼の危険性が大きく低減することが分かった。
<実施例>
図3に示すように、n−ヘプタン71を貯留する油槽70に着火された火炎を用いて、本実施形態の消火設備100の性能を調査する実験を行った。
図3に示すように、n−ヘプタン71を貯留する油槽70に着火された火炎を用いて、本実施形態の消火設備100の性能を調査する実験を行った。
この油槽70は、直径1440mm、深さ300mmの円筒形であり、底面から150mmの深さが燃料面となるように、水の層の上に約48L(リットル)のn−ヘプタン71が貯留されている。
24個の第1ミストノズル11,・・・,11は均等な間隔で油槽70の略上端を囲うように配置されている。このとき、各々の第1ミストノズル11の噴射方向は、油槽70の中央上方に、より具体的には、水平面から仰角30°に向くように配置された。また、その噴射角度は60°に設定されている。
また、16個の第2ミストノズル21,・・・,21は、油槽70の円心を中心とする直径1250mmの円周上に均等な間隔で、この油槽70の縁から990mmの高さに配置された。このとき、各々の第2ミストノズル21は、油槽70の中央下方に、より具体的には、水平面から俯角15°に向くように配置された。また、その噴射角度は60°に設定されている。
また、各々の第1ミストノズル11及び各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストの平均粒径は100μmに設定され、噴射時のミストの圧力は0.9MPaに設定された。また、各々の第1ミストノズル11からの流量は9.6L/minに設定され、ノズルのオリフィスから20cmの距離におけるミストの流速が3m/sであった。また、各々の第2ミストノズル21からの流量は32L/minに設定され、ノズル出口から20cm離間した位置におけるミストの流速が4m/sであった。
本実施例では、上述の通り、第1ミストノズル11からのミストの噴射を、第2ミストノズル21からのミストの噴射よりも4秒早く開始した。
上述の各条件下で消火実験を行った結果、火炎は13秒で消火された。また、このときの複数の第1ミストノズル11,・・・,11による消火剤使用量は約2.1L、第2ミストノズル21,・・・,21による消火剤使用量は約4.8Lであった。従って、消火に要した消火剤は総計で約6.9Lであった。
次に、2つの比較例について説明する。
比較例1は、約48Lのn−ヘプタン71を貯留した上述の実施例と同じ油槽70に着火された火炎を用いて行われた実験である。
比較例1では、24個のミストノズルが均等な間隔で油槽70の略上端を囲うように配置されている。他方、上述の実施例のように、第2ミストノズル21に相当するミストノズルは配置されていない。なお、比較例1における24個のミストノズルの噴射方向は、上述の実施例の第1ミストノズル11のそれと同じ値に設定されている。また、各ミストノズルの形状及び構造は、実施例とそれらと同一である。
また、比較例1における24個のミストノズルのミストノズルから噴射されるミストの平均粒径は100μmに設定され、噴射時のミストの圧力は0.9MPaに設定された。また、それらのミストノズルからの流量は48L/minに設定され、ノズルのオリフィスから20cmの距離におけるミストの流速が5m/sであった。
他方、比較例2も、比較例1と同じ油槽70に着火された火炎を用いて行われた実験である。
比較例2では、24個のミストノズルが油槽70の円心を中心とする直径1250mmの円周上に均等な間隔で、この油槽70の縁から990mmの高さに配置されているが、上述の実施例のように、第1ミストノズル11に相当するミストノズルは配置されていない。なお、比較例2における24個のミストノズルの噴射方向は、上述の実施例の第2ミストノズルのそれと同じ値に設定されている。また、各ミストノズルの形状及び構造は、実施例とそれらと同一である。
また、比較例2における24個のミストノズルから噴射されるミストの平均粒径は100μmに設定され、噴射時のミストの圧力は0.9MPaに設定された。また、それらのミストノズルからの流量は48L/minに設定され、ノズルのオリフィスから20cmの距離におけるミストの流速が5m/sであった。
上述の各実験の結果、消火するまでに使用された消火剤の量を比較すると、実施例では6.9Lであったのに対し、比較例1では13.6Lであり、比較例2では20.8Lであった。すなわち、本実施形態の消火設備100を用いることにより、従来の約3割〜5割の量の消火剤で消火することが可能であることが分かった。
また、消火するまでに要した時間は、実施例では13秒であったのに対し、比較例1では17秒であり、比較例2では26秒であった。すなわち、本実施形態の消火設備100を用いることにより、従来の約5割〜8割の時間で消火することが可能であることが分かった。
従って、本実施形態の消火設備100が採用されることによって、消火剤の量及び消火時間が、従来と比較して格段に低減されることが確認された。また、本実施形態で使用されるノズル数が単純に比較例1と比較例2を加算した数より少なくても前述の効果がえられることが分かった。さらに、第2ミストノズルに相当するミストノズルによる油槽上方からのミストの噴射によって形成される下降流が引き起こす消火過程の火炎の横方向への拡大が、油槽の縁からのミストにより防止されることが明らかとなったことは特筆に価する。
<第2の実施形態>
本実施形態の消火設備200は、図5に示すように、第1リング状配管10及び第2リング状配管20が、それぞれ、一対の第1直線状配管210,210及び一対の第2直線状配管220,220に変更された点以外は、第1の実施形態の消火設備100と同じ構成を備える。従って、重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火設備200は、図5に示すように、第1リング状配管10及び第2リング状配管20が、それぞれ、一対の第1直線状配管210,210及び一対の第2直線状配管220,220に変更された点以外は、第1の実施形態の消火設備100と同じ構成を備える。従って、重複する説明は省略され得る。
図5は、本実施形態の第1直線状配管210、第2直線状配管220及び油槽70を示す平面図であり、第1の実施形態における図4に相当する。
本実施形態の消火設備200は、その一部として、一対の第1直線状配管210,210と一対の第2直線状配管220,220を備える。第1直線状配管210,210は、油槽70との関係において第1の実施形態の第1リング状配管10と同様の位置に配置されている。また、第2直線状配管220,220も、油槽70との関係において第1の実施形態の第2リング状配管20と同様の位置に配置されている。ここで、一対の第1直線状配管210,210が備える9個ずつの第1ミストノズル11,・・・,11は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟むように互いに対向している。また、一対の第2直線状配管220,220が備える7個ずつの第2ミストノズル21,・・・,21も互いに対向することによって、噴射されるミストが火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突するように配置されている。
なお、図5に示すように、各々の第2ミストノズル21は、平面視において各々の第1ミストノズル11の位置よりも内側に配置される。この配置により、第1ミストノズル11から噴射されるミストの影響をより低減できるため、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストは、より容易に互いに衝突することができる。
本実施形態の各々の第1ミストノズル11の噴射方向は、油槽70の中央上方に、より具体的には、水平面から仰角30°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。また、各々の第2ミストノズル21は、油槽70の中央下方に、より具体的には、水平面から俯角15°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。
上述の構成を採用した場合であっても、迅速で効率的な消火が達成できる。
<第2の実施形態の変形例>
本実施形態の消火設備201は、図6に示すように、上述の第2の実施形態の一対の第1直線状配管210,210及び一対の第2直線状配管220,220が、それぞれ、4つの第1直線状配管210,・・・,210及び4つの第2直線状配管220,・・・,220に変更されている点以外は、第2実施形態の消火設備200と同じ構成を備えている。従って、重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火設備201は、図6に示すように、上述の第2の実施形態の一対の第1直線状配管210,210及び一対の第2直線状配管220,220が、それぞれ、4つの第1直線状配管210,・・・,210及び4つの第2直線状配管220,・・・,220に変更されている点以外は、第2実施形態の消火設備200と同じ構成を備えている。従って、重複する説明は省略され得る。
ここで、4つの第1直線状配管210,・・・,210が備える総計36個の第1ミストノズル11,・・・,11は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を囲うように配置されている。また、4つの第2直線状配管220,・・・,220が備える総計20個の第2ミストノズル21,・・・,21も、2つずつが対向することによって、噴射されるミストが火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突するように配置されている。この変形例では、上述の第2実施形態と比較してミスト同士の衝突確率が格段に高まると考えられる。
本実施形態の各々の第1ミストノズル11の噴射方向は、油槽70の中央上方に、より具体的には、水平面から仰角30°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。また、各々の第2ミストノズル21は、油槽70の中央下方に、より具体的には、水平面から俯角15°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。
上述の構成を採用した場合であっても、迅速で効率的な消火が達成できる。
ところで、第2の実施形態及びその変形例の消火設備200及び201は、複数の第1直線状配管及び複数の第2直線状配管から構成されているため、火炎の大きさによって比較的自由に配置を変更することができる。その結果、火炎基部領域との適切な位置関係を容易に得ることができる点は特筆に価する。また、第1直線状配管及び第2直線状配管が直線状に形成されていることから、製造が容易になってコストを低減できることに加え、輸送の際にも便利である。
<第3の実施形態>
本実施形態の消火設備300は、図7に示すように、第1リング状配管10及び第2リング状配管20が、それぞれ、一対の第1U字状配管310,310及び一対の第2U字状配管320,320に変更された点以外は、第1の実施形態の消火設備100と同じ構成を備える。従って、重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火設備300は、図7に示すように、第1リング状配管10及び第2リング状配管20が、それぞれ、一対の第1U字状配管310,310及び一対の第2U字状配管320,320に変更された点以外は、第1の実施形態の消火設備100と同じ構成を備える。従って、重複する説明は省略され得る。
図7は、本実施形態の一対の第1U字状配管310,310、一対の第2U字状配管320,320、および油槽70を示す平面図であり、第1の実施形態における図4に相当する。
本実施形態の消火設備300は、その一部として、一対の第1U字状配管310,310と一対の第2U字状配管320,320を備える。第1U字状配管310,310は、油槽70との関係において第1の実施形態の第1リング状配管10と同様の位置に配置されている。また、第2U字状配管320,320も、油槽70との関係において第1の実施形態の第2リング状配管20と同様の位置に配置されている。ここで、一対の第1U字状配管310,310が備える14個ずつの第1ミストノズル11,・・・,11は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟むように互いに対向している。また、一対の第2U字状配管320,320が備える9個ずつの第2ミストノズル21,・・・,21も互いに対向することによって、噴射されるミストが火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突するように配置されている。
本実施形態においても、図7に示すように、各々の第2ミストノズル21は、平面視において各々の第1ミストノズル11の位置よりも内側に配置される。この配置により、第1ミストノズル11から噴射されるミストの影響をより低減できるため、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストは、より容易に互いに衝突することができる。
本実施形態の各々の第1ミストノズル11の噴射方向は、油槽70の中央上方に、より具体的には、水平面から仰角30°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。また、各々の第2ミストノズル21は、油槽70の中央下方に、より具体的には、水平面から俯角15°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。
上述の構成を採用した場合であっても、迅速で効率的な消火が達成できる。
<第3の実施形態の変形例>
本実施形態の消火設備301は、図8に示すように、上述の第3の実施形態の一対の第1U字状配管310,310及び一対の第2U字状配管320,320が、それぞれ、一対の第1円弧状配管330,・・・,330及び一対の第2円弧状配管340,・・・,340に変更されている点以外は、第3実施形態の消火設備300と同じ構成を備えている。従って、重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火設備301は、図8に示すように、上述の第3の実施形態の一対の第1U字状配管310,310及び一対の第2U字状配管320,320が、それぞれ、一対の第1円弧状配管330,・・・,330及び一対の第2円弧状配管340,・・・,340に変更されている点以外は、第3実施形態の消火設備300と同じ構成を備えている。従って、重複する説明は省略され得る。
ここで、一対の第1円弧状配管330,・・・,330が備える9個ずつの第1ミストノズル11,・・・,11は、火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を実質的に囲うように配置されている。また、一対の第2円弧状配管340,・・・,340が備える9個ずつの第2ミストノズル21,・・・,21も、2つずつが略対向することによって、噴射されるミストが火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突するように配置されている。
本実施形態の各々の第1ミストノズル11の噴射方向は、油槽70の中央上方に、より具体的には、水平面から仰角30°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。また、各々の第2ミストノズル21は、油槽70の中央下方に、より具体的には、水平面から俯角15°に向くように配置される。また、その噴射角度は60°に設定される。
上述の構成を採用した場合であっても、迅速で効率的な消火が達成できる。
ところで、第3の実施形態及びその変形例の消火設備300及び301は、2つの第1U字状配管及び2つの第2U字状配管、2つの第1円弧状配管及び2つの第2円弧状配管から構成されているため、火炎の大きさによって比較的自由に配置を変更することができる。その結果、火炎基部領域との適切な位置関係を容易に得ることができる点は特筆に価する。また、上述のU字状又は円弧状の配管を採用することにより、直線状配管と比較して少数の配管数によって火炎基部領域を囲むことができる。
<第4の実施形態>
図9は、本実施形態の消火設備400の全体概略図であり、図10は図9のY−Y断面図である。また、図11は図9の一部である共通配管410、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽72を示す側断面図である。なお、この油槽72は、直径1440mm、深さ500mmの円筒形であり、底面から150mmの深さまで約48L(リットル)のn−ヘプタン73が貯留されている。
図9は、本実施形態の消火設備400の全体概略図であり、図10は図9のY−Y断面図である。また、図11は図9の一部である共通配管410、複数の第1ミストノズル11,・・・,11、複数の第2ミストノズル21,・・・,21及び油槽72を示す側断面図である。なお、この油槽72は、直径1440mm、深さ500mmの円筒形であり、底面から150mmの深さまで約48L(リットル)のn−ヘプタン73が貯留されている。
本実施形態の消火設備400は、第1の実施形態の第1リング状配管10、第2リング状配管20及び圧力調整バルブ13a,13bが、共通配管410及び圧力調整バルブ413に変更された点以外は、第1の実施形態の消火設備100と同じ構成を備える。従って、重複する説明は省略され得る。
本実施形態の共通配管410は、油槽72に沿った略円状に形成されており、油槽72の略上端の略水平面上に配置される。複数の第1ミストノズル11,・・・,11は、均等な間隔で油槽72の略上端を囲うように接続している。
また、本実施形態の第2ミストノズル21は、上述の各実施形態とは異なり、各々の第1ミストノズル11よりも上側の位置で共通配管410と接続するとともに、各々の第1ミストノズル11よりも高い仰角、換言すれば、大きな仰角を向くように接続される。前述のような配置により、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストを、出来るだけ各々の第1ミストノズル11から噴射されるミストが形成する壁に遮られること無く互いに衝突させることができる。他方、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストが、第1ミストノズル11から噴射されるミストにより形成される壁を破壊するリスクを低減することができる。
また、各々の第2ミストノズル21から噴射されるミストを、火炎内又は火炎上方のいずれかで互いに衝突させるために、第2ミストノズル21の噴射方向は、第1ミストノズル11のそれよりも高い仰角、換言すれば、大きな仰角を向くように共通配管410に接続される。
なお、図9乃至図11に示すように、上述の第4の実施形態における各々の第2ミストノズル21が各々の第1ミストノズル11よりも上側の水平面上に配置されることは好ましい一態様である。しかしながら、この配置に限定されるものではない。例えば、同一水平面上に第1ミストノズルと第2ミストノズルが共に配置されていた場合であっても、それらの噴射方向が異なってさえいれば、本実施形態の効果が奏される。すなわち、一例としては、噴射方向の異なる2種類のミストノズルが、1つのリング状配管の1つの水平面上に交互に配置されても、本実施形態の効果が実質的に奏される。
また、本実施形態の消火設備400は、複数の第1ミストノズル11,・・・,11及び複数の第2ミストノズル21,・・・,21が接続する共通配管410の圧力を調整する共通の圧力調整バルブ413を備える。従って、各々の第1ミストノズル11と各々の第2ミストノズル12から噴射されるミストの圧力を、画一に制御することができる。
ところで、上述の各実施形態の第1リング状配管10、第2リング状配管20、第1直線状配管210、第2直線状配管220、第1U字状配管310、第2U字状配管320、第1円弧状配管330、第2円弧状配管340、共通配管410、各々の第1ミストノズル11及び各々の第2ミストノズル21は、耐熱性の樹脂材料又は金属材料で構成されることが好ましい。なお、上述の各実施形態では、SUS304が採用されている。
また、上述の各実施形態では、第1ミストノズルの噴射方向は、水平面に対して仰角30°を例示したが、これに限定されない。上記方向が水平面に対して仰角0°(つまり、水平面と平行)以上、仰角90°未満であれば、本発明の効果を実質的に損なわないといえる。但し、火炎基部領域内に周囲の空気が流入することを防止するとともに、ミストを十分に火炎基部領域に供給させるためには、上記方向は水平面に対して10°以上、仰角60°以下であることが好ましい。また、この観点から言えば、最も好ましい範囲は、水平面に対して20°以上、仰角45°以下である。
また、上述の各実施形態では、第2ミストノズルの噴射方向は、水平面に対して仰角15°を例示したが、これに限定されない。上記方向が水平面に対して俯角0°(つまり、水平面と平行)以上、俯角90°未満であれば、本発明の効果を実質的に損なわないといえる。但し、ミストの流速を上げることなく、下降流の成分の有効量、すなわち消火に寄与するミストの量を増やすためには、上記方向は、5°以上60°以下であることが好ましい。また、この観点から言えば、最も好ましい範囲は、10°以上30°以下である。
また、上述の各実施形態では、第1ミストノズル及び第2ミストノズルの噴射角度は、60°を例示したが、これに限定されない。上記角度が40°以上、120°以下であれば、本発明の効果を実質的に損なわないといえる。但し、火炎の周囲に存在する空気が火炎内に侵入することを防止する「障壁」を効率よく形成するためには、上記角度は、40°以上100°以下であることが好ましい。また、この観点から言えば、最も好ましい範囲は、50°以上90°以下である。
また、上述の各実施形態第2ミストノズルは、火炎基部領域の鉛直上方の領域を囲むように第2リング状配管に均等な間隔で配置されていたが、これに限定されない。例えば、上述の各実施形態第2ミストノズルが、火炎基部領域を囲むように第2リング状配管に均等な間隔で配置されていてもよい。火炎基部領域内でミストを衝突させる場合であっても、その衝突によって火炎内でのミストの滞留が促進されるため、相変化を生じさせるだけの十分な時間が与えられると考えられるからである。但し、第2ミストノズルから噴射されるミストが、直接燃料面に到達しないようにその噴射方向を調整することが好ましい。
なお、本実施形態では、水を消火剤として用いたが、これに限定されない。水と比較して消火能力の高い他の代替消火剤も適用しうる。例えば、アルカリ性強化液や中性強化液等の公知の消火薬液、界面活性剤及びエタノール等のアルコール類の群から選ばれた少なくとも一種類を添加剤として含む水は、本実施形態及び以下の各変形例に適用しうる。ただし、消火剤として水を用いる場合は、人体への安全性が格段に高まるとともに、環境への負荷は大きく低減される。
また、上述した第2の実施形態及びその変形例の消火設備200及び消火設備201は、2個または4個の第1直線状配管及び2個または4個の第2直線状配管を備えるが、第1直線状配管及び第2直線状配管の数は3個又は5個以上であっても良い。より具体的には、例えば3個の第1直線状配管210,・・・,210の場合、複数の第1ミストノズル11,・・・,11が、平面視において三角形状に火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を囲むように配置されることも好ましい一態様である。
また、上述した第3の実施形態及びその変形例の消火設備300及び消火設備301は、2個の第1U字状配管310と2個の第2U字状配管320、または、2個の第1円弧状配管330と2個の第2円弧状配管340とを備えるが、これらの数は2個に限定されない。例えば、第1U字状配管310、第2U字状配管320、第1円弧状配管330及び第2円弧状配管340の数が1個または3個以上であっても本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
また、上述した各実施形態において、各々の第2ミストノズル21は水平面上に配置されているが、配置位置はこれに限定されない。例えば、1つの第2ミストノズル21の最低位置の水平面の高さと最高位置の水平面の高さとの差が、300mm以下、より好ましくは50mm以下であれば、実質的に上述と同じ効果が奏される。なお、これは、上述の各実施形態における第1ミストノズル11についても当てはまる。
さらに、上述した第4実施形態の消火設備400は円状の共通配管410を備えるが、この共通配管410は円状に限定されず、上述の第2の実施形態の直線状の配管、第3の実施形態の略U字状の配管、または、円弧状の配管の形状を用いてもよい。以上、述べたとおり、本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、種々の火災に対する消火設備又は消火方法として広く利用されうる。
10 第1リング状配管
11 第1ミストノズル
13a,13b,413 圧力調整バルブ
14a,14b 手動バルブ
15a,15b 電動バルブ
16 バルブ制御部
17 ポンプ
18 ポンプ制御部
19 タンク
20 第2リング状配管
21 第2ミストノズル
70,72 油槽
71,73 n−ヘプタン
100,200,201,300,301,400 消火設備
210 第1直線状配管
220 第2直線状配管
310 第1U字状配管
320 第2U字状配管
330 第1円弧状配管
340 第2円弧状配管
410 共通配管
11 第1ミストノズル
13a,13b,413 圧力調整バルブ
14a,14b 手動バルブ
15a,15b 電動バルブ
16 バルブ制御部
17 ポンプ
18 ポンプ制御部
19 タンク
20 第2リング状配管
21 第2ミストノズル
70,72 油槽
71,73 n−ヘプタン
100,200,201,300,301,400 消火設備
210 第1直線状配管
220 第2直線状配管
310 第1U字状配管
320 第2U字状配管
330 第1円弧状配管
340 第2円弧状配管
410 共通配管
Claims (9)
- 火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置され、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、前記ミストの一部を前記火炎の外縁に沿って上昇させるように噴射する複数の第1ミストノズルと、
前記火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置され、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射するとともに、前記ミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射する複数の第2ミストノズルと、
前記各々の第1ミストノズル及び前記各々の第2ミストノズルに対して、前記消火剤を送給する送給手段とを備える
消火設備。 - 前記各々の第1ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向が、水平面に対して仰角0°以上90°未満である
請求項1に記載の消火設備。 - 前記各々の第1ミストノズルが第1配管に接続され、
前記各々の第2ミストノズルが前記第1配管よりも上方に配置された第2配管に接続され、
前記各々の第2ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向が、水平面に対して俯角0°以上90°未満である請求項1に記載の消火設備。 - 前記各々の第1ミストノズル及び前記各々の第2ミストノズルが1つの配管に接続され、
前記各々の第2ミストノズルが、前記各々の第1ミストノズルよりも上側に配置されるとともに、各々の第2ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向が、前記各々の第1ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向よりも高い仰角である
請求項1に記載の消火設備。 - 前記第2ミストノズルによるミストの噴射が、前記第1ミストノズルによるミストの噴射と同時、又は前記第1ミストノズルによるミストの噴射の後に開始するように制御する制御部をさらに備えた
請求項1に記載の消火設備。 - 火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の鉛直上方の領域を挟む又は囲むように配置される複数の第1ミストノズルから、燃料面を除いて火炎に対して消火剤を含むミストを噴射する第1ミスト噴射工程と、
前記第1ミストノズルから噴射されるミストの一部を前記火炎の外縁に沿って上昇させるミスト上昇工程と、
前記火炎基部領域及び/又は火炎基部領域の上方の略水平面上に配置される複数の第2ミストノズルから、火炎又は火炎上方に対して消火剤を含むミストを噴射する第2ミスト噴射工程と、
前記第2ミストノズルから噴射されるミストを火炎内又は火炎上方のいずれかの位置で互いに衝突させるように噴射するミスト衝突工程とを備える
消火方法。 - 前記第1ミスト噴射工程において、前記各々の第1ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向が、水平面に対して仰角0°以上90°未満である
請求項6に記載の消火方法。 - 前記第2ミスト噴射工程において、前記各々の第2ミストノズルが、前記各々の第1ミストノズルよりも上方から噴射するとともに、前記各々の第2ミストノズルから噴射されるミストの噴射方向が、水平面に対して俯角0°以上90°未満である
請求項6に記載の消火方法。 - 前記第2ミスト噴射工程におけるミストの噴射が、前記第1ミスト噴射工程におけるミストの噴射と同時、又は前記第1ミスト噴射工程におけるミストの噴射の後に開始する
請求項6に記載の消火方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008001745A JP2009160279A (ja) | 2008-01-09 | 2008-01-09 | 消火設備及び消火方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008001745A JP2009160279A (ja) | 2008-01-09 | 2008-01-09 | 消火設備及び消火方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009160279A true JP2009160279A (ja) | 2009-07-23 |
Family
ID=40963569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008001745A Pending JP2009160279A (ja) | 2008-01-09 | 2008-01-09 | 消火設備及び消火方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009160279A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013102822A (ja) * | 2011-11-10 | 2013-05-30 | Daiso Co Ltd | 化学物質飛散抑制装置、化学物質貯留装置、及び化学物質飛散抑制方法 |
CN104027922A (zh) * | 2014-06-10 | 2014-09-10 | 常州大学 | 大型罐区储罐火灾水幕喷淋防护系统 |
CN106581912A (zh) * | 2017-01-09 | 2017-04-26 | 西安科技大学 | 一种脉冲式变成份细水雾灭火系统 |
CN111346327A (zh) * | 2020-03-09 | 2020-06-30 | 安徽建筑大学 | 一种水平管道气体射流火的气体灭火装置 |
-
2008
- 2008-01-09 JP JP2008001745A patent/JP2009160279A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013102822A (ja) * | 2011-11-10 | 2013-05-30 | Daiso Co Ltd | 化学物質飛散抑制装置、化学物質貯留装置、及び化学物質飛散抑制方法 |
CN104027922A (zh) * | 2014-06-10 | 2014-09-10 | 常州大学 | 大型罐区储罐火灾水幕喷淋防护系统 |
CN106581912A (zh) * | 2017-01-09 | 2017-04-26 | 西安科技大学 | 一种脉冲式变成份细水雾灭火系统 |
CN106581912B (zh) * | 2017-01-09 | 2022-02-15 | 西安科技大学 | 一种脉冲式变成份细水雾灭火系统 |
CN111346327A (zh) * | 2020-03-09 | 2020-06-30 | 安徽建筑大学 | 一种水平管道气体射流火的气体灭火装置 |
CN111346327B (zh) * | 2020-03-09 | 2021-12-21 | 安徽建筑大学 | 一种水平管道气体射流火的气体灭火装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11027160B2 (en) | Fire sprinkler system | |
US20110259617A1 (en) | Atomizing nozzle for a fire suppression system | |
JP4160080B2 (ja) | プール火災の消火方法及び消火用ノズル | |
JP2009160279A (ja) | 消火設備及び消火方法 | |
CN104906722A (zh) | 双驱混合细水雾灭火系统 | |
TWM624506U (zh) | 車輛底盤火災用消防裝置 | |
JP5015927B2 (ja) | タンク火災消火時の突入ゾーン、重液、大型タンク、構造的障害及びタイミングに関する問題に対処するための方法 | |
CN104906736A (zh) | 厨房设备细水雾灭火装置 | |
JPH08266677A (ja) | 消火薬剤複合噴射ノズル | |
CN104941094A (zh) | 一种用能量转换的方式产生灭火细水雾的方法及其装置 | |
JP2007244723A5 (ja) | ||
JP2009125235A (ja) | 消火方法及び消火装置 | |
US20070215364A1 (en) | Fire-extinguishing method of a pool fire | |
CN104941098A (zh) | 侧喷式自动细水雾灭火装置 | |
JP2009148377A (ja) | ミストによる消火設備及びその消火方法 | |
JP2010012064A (ja) | ミストによる消火設備及びその消火方法 | |
JP2016182225A (ja) | 消火用泡ヘッド | |
JP2008012158A (ja) | プール火災の消火方法 | |
KR20180128270A (ko) | 증발 냉방 장치와 연동되는 화재 확산 지연 장치 | |
KR20110085509A (ko) | 질소발생기와 물분사시스템이 결합된 복합소화시스템 | |
JP2015071981A (ja) | ロケット用エンジン燃焼試験装置 | |
JP2010012096A (ja) | ミストによる消火設備及びその消火方法 | |
KR101799182B1 (ko) | 소화용 분사노즐 | |
WO2005079923A1 (ja) | タンクへの消火剤供給方法及びタンク用消火剤供給設備 | |
CN106492377B (zh) | 一种泡沫消防灭火装置及其应用 |