JP5033087B2 - 粉体成形体の製造方法 - Google Patents
粉体成形体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5033087B2 JP5033087B2 JP2008218628A JP2008218628A JP5033087B2 JP 5033087 B2 JP5033087 B2 JP 5033087B2 JP 2008218628 A JP2008218628 A JP 2008218628A JP 2008218628 A JP2008218628 A JP 2008218628A JP 5033087 B2 JP5033087 B2 JP 5033087B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slurry
- dispersion medium
- gelling agent
- powder
- molded body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
Description
そこで、近年、これらの問題を解決し得る方法として、ゲルキャスト成形法(以下、単に「ゲルキャスト法」という。)が注目されている。
これは、濃厚なスラリー中においてゲル化剤と架橋剤の双方を均一に分散させることが困難であり、スラリー全体が均一に固化せず、硬度が不均一となるためである。
このような成形体の密度の低下は、乾燥収縮及び焼成収縮の増大を招いて成形体を乾燥・焼成する際にクラックを生じさせ易くなり、焼結体の形状精度を低下させるものである。
一方、低分子量で粘性が低いプレポリマーを使用する方法も考えられるが、低分子量のプレポリマーではスラリーを充分に固化することができないという問題があった。
本発明の製造方法の最大の特徴は、少量のゲル化剤によりスラリーを充分固化できる点にある。即ち、本発明の製造方法においてはゲル化剤が反応対象の分散媒と常に接触し反応可能な状態にあるため、固化の効率が高く、ゲル化剤が少量であっても充分固化可能である。
本発明における有機分散媒は、(1)ゲル化剤と化学結合し、スラリーを固化可能な液状物質であること、及び(2)注型が容易な高流動性のスラリーを形成できる液状物質であること、の2条件を満たすことが必要である。
非反応性分散媒としては、例えば、エーテル、炭化水素、トルエン等が好ましい。これら非反応性分散媒は、併用する反応性分散媒及び分散剤との相溶性等の化学的性質に応じて適宜選択すればよく、例えば、反応性分散媒としてエステル類を用いる場合には、相溶性等の点でエーテル等が好ましい。
本発明におけるゲル化剤は、分散媒と化学結合し、スラリーを固化可能な物質である。
但し、本発明におけるゲル化剤は、スラリーの流動性を確保する観点から、粘性が低いもの、具体的には20℃における粘度が3000cps以下の物質を使用することが好ましい。
本発明を適用できる粉体の材質は、セラミック及び/又は金属である限りにおいて特に限定されず、ガラス、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミ、ジルコニア、サイアロン等のセラミック粉末や各種金属粉末を使用することができる。なお、これらセラミック粉末及び各種金属粉末は、適宜、一種単独で又は二種以上を組合わせて用いることができる。また、スラリーを調製可能な限りにおいて、粉体の粒子径は特に限定されない。
本発明の成形用スラリーは、(1)分散媒に粉体を分散してスラリーとした後、ゲル化剤を添加することにより、或いは(2)分散媒に粉体及びゲル化剤を同時に添加して分散することにより調製すればよい。
本発明においては、前記成形用スラリーを所望形状の成形型に注型した後、スラリーをゲル化させて固化し成形体を得るものである。
成形用スラリーは、室温下(20℃前後)、分散媒に分散剤を添加・混合した後、得られた分散剤に粉体を添加・分散してスラリーとし、更にゲル化剤を添加・分散した後に反応触媒を添加することにより調製した。
以下に、表1〜表2に記載したスラリーの各組成物(粉体、分散媒、ゲル化剤、分散剤、反応触媒、架橋剤)について詳細に説明する。
アルミナ、窒化珪素のいずれかを使用した。
反応性分散媒として、トリアセチン:グルタル酸ジメチルの質量比が10:90である混合物(以下「エステル」という。粘度(20℃):1.5cps)を使用した。また、非反応性分散媒として、水(粘度(20℃):1cps)、及びトルエン(粘度(20℃):0.6cps)のいずれかを適宜選択して使用した。
以下に示す化合物の中から適宜選択して使用した。また、以下に示すHDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)変性物又はMDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)変性物を使用する場合については、必要に応じて反応触媒としてトリエチルアミンを使用した。
(i)HDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)ウレトジオン:ヘキサメチレンジイソシアネート2量体(粘度(20℃):170cps)、(以下、「HDI変性物」という。)
(ii)MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)変性物:4、4’−ジフェニルメタンジイソシアナート変性物、商品名:SBU0775(住友バイエルウレタン製)、(以下「MDI変性物」という。)
(iii)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体A:商品名:イソバン110(クラレ製、室温で固体)、(以下「プレポリマーA」という。)
(iv)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体B:商品名:イソバン600(クラレ製、室温で固体)、(以下「プレポリマーB」という。)
HDI変性物をゲル化剤に用いた際に、必要に応じて、ポリエステルポリオール(以下「架橋剤A」という。)を使用し、プレポリマーA、Bをゲル化剤に用いた際に、固化剤C(商品名:クラレ製、以下「架橋剤B」という。)を使用した。
以下に示す化合物の中から適宜選択して使用した。
(i)ポリマレイン酸共重合体A:商品名 フローレンG700(共栄社化学製)、(以下「分散剤A」という。)
(ii)ポリマレイン酸共重合体B:商品名 マリアリム(日本油脂製)、(以下「分散剤C」という。)
(iii)ポリカルボン酸アンモニウム:商品名 A−6114(東亜合成製)、(以下「分散剤B」という。)
各実施例及び各比較例については、以下に示す方法で、スラリー濃度、スラリーの流動性、スラリーの固化状態、乾燥後の状態、焼結体の密度、焼結体の強度、及び硬度を測定等することにより評価した。その結果を、表1〜3、及び図1に示す。
なお、分散媒、ゲル化剤の粘度についても同様の方法により測定した。
4点曲げ強度はJIS1601に記載の4点曲げ法により測定した。
(参考例1)
反応性分散媒としてエステル、ゲル化剤としてHDI変性物を使用し、セラミック粉体としてアルミナを用いて、円盤形状の成形体の製造を行った。その結果、スラリーの流動性、成形体の固化状態は良好であった。
参考例1において、ゲル化剤をMDI変性物に代えたこと(実施例2では、MDI変性物の添加量を、実施例1の半分にして実施した。)、及び触媒を使用しないこと以外については、参考例1と同じ条件で成形体の製造を行った。その結果、実施例1では、注型後10分で離型が可能であり、実施例2では、注型後15分で離型が可能であった。
実施例3において、固化温度を0℃に変更し、実施例4では更に触媒を添加したこと以外については実施例1と同じ条件で成形体の製造を行った。
その結果、いずれの実施例でも注型時に粘性の増加は認められず、容易に注型作業が行えた。また、実施例3では、固化開始後2時間で離型が可能であり、触媒を添加した実施例4では、固化開始後15分で離型が可能であった。このことから、固化時間は、温度及び触媒の添加によりコントロール可能であることが認められ、温度コントロール及び触媒添加により、注型中に固化が開始せず、注型作業が容易に行える条件を設定することができることがわかった。また、注型まではスラリーを冷却しておき、注型寸前又は注型後加熱することで、注型の作業性を保ちながらも固化時間を短縮できると考えられた。
セラミック粉体として窒化珪素を用い、反応性分散媒としてエステルを350.0g、ゲル化剤としてMDI変性物を14.0g添加したこと、及び分散剤Aの添加量を26.3gとしたこと以外については実施例1と同じ条件で成形体の製造を行った。
それぞれ参考例1及び実施例1において、外径φ100×内径φ90×高さ100mmの円筒形状の成形体を作製したこと以外については、それぞれ参考例1、実施例1と同様の条件で成形体の製造を行った。
参考例1において、分散媒を水に変更したこと、反応触媒量を1.5gとしたこと、及び分散剤として分散剤Bを2.0g用いたこと以外については参考例1と同様の条件で成形体の製造を行った。その結果、スラリーの流動性、成形体の固化状態は良好であったものの、水とイソシアネートとの反応に起因する炭酸ガスによって、成形体内部に気泡が入り、焼結体の密度、強度とも参考例1に劣る結果となった。
参考例1において、分散媒をトルエンに変更したこと、反応触媒量を1.5gとしたこと、及び分散剤として分散剤Bを4.0g用いたこと以外については参考例1と同様の条件で成形体の製造を行った。その結果、スラリーの流動性は良好であったが、スラリーは固化しなかった。
比較例2において、架橋剤として架橋剤Aを添加したこと以外については比較例2と同様にして成形体の製造を行った。但し、スラリーの粉体濃度を高めるため、分散媒のトルエンは減量し、架橋剤Aは分散媒に粉体を分散してスラリーとした後に添加した。また、ゲル化剤の量を12.0gと半分にし、分散剤として分散剤Cを用いた。その結果、スラリーの流動性は良好であったが、ゲル化剤や架橋剤を多量に添加したにもかかわらず、スラリーは固化しなかった。即ち、ゲル化の効率が低かった。
比較例3において、ゲル化剤と架橋剤の量をそれぞれ24.0g及び96.0gと増量したこと以外は比較例3と同様の条件で成形体の製造を行った。
その結果、スラリーの流動性は良好であったが、ゲル化剤や架橋剤を多量に添加したにもかかわらず、スラリーの固化が不充分で成形体がゲル状となった。即ち、ゲル化の効率が低かった。乾燥により成形体にクラックが生じるとともに、焼成後の焼結体の密度も3.9g/cm3と小さく、焼結体の強度を測定したところ荷重後直ちにクラックが発生した。
比較例1において、ゲル化剤としてプレポリマーA(分子量16000)を40.0g添加し、架橋剤として架橋剤Bを用いたこと、及び80℃、4時間の固化条件としたこと以外については比較例1と同様の条件で成形体の製造を行った。
その結果、スラリーは全く流動せず、注型を行うことができなかった。
比較例5において、分散媒である水の量を300.0gと増量したこと以外は比較例5と同様の条件で成形体の製造を行った。
比較例5において、ゲル化剤を低分子量のプレポリマーB(分子量10000以下)に変更したこと以外は比較例5と同様の条件で成形体の製造を行った。
その結果、スラリーの流動性は良好であったが、スラリーは固化しなかった。
Claims (3)
- 前記有機分散媒が、2以上の反応性官能基を有する請求項1に記載の粉体成形体の製造方法。
- 前記MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート変性物である請求項1又は2に記載の粉体成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008218628A JP5033087B2 (ja) | 2000-03-22 | 2008-08-27 | 粉体成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000080538 | 2000-03-22 | ||
JP2000080538 | 2000-03-22 | ||
JP2008218628A JP5033087B2 (ja) | 2000-03-22 | 2008-08-27 | 粉体成形体の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001044500A Division JP4536943B2 (ja) | 2000-03-22 | 2001-02-21 | 粉体成形体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009030061A JP2009030061A (ja) | 2009-02-12 |
JP5033087B2 true JP5033087B2 (ja) | 2012-09-26 |
Family
ID=40400890
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008218628A Expired - Lifetime JP5033087B2 (ja) | 2000-03-22 | 2008-08-27 | 粉体成形体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5033087B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10603624B2 (en) * | 2017-07-03 | 2020-03-31 | Marsulex Environmental Technologies Corporation | Wet flue gas desulfurization process and apparatus |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115246158B (zh) * | 2021-04-28 | 2024-04-12 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种高密度陶瓷素坯的制备方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4129952C2 (de) * | 1991-09-10 | 1995-02-09 | Bayer Ag | Formmassen zur Herstellung von anorganischen Sinterformteilen sowie Verfahren zur Herstellung von anorganischen Sinterformteilen |
JP2843212B2 (ja) * | 1992-08-12 | 1999-01-06 | 川崎製鉄株式会社 | 焼結性粉末射出成形用バインダおよび組成物 |
JPH0664965A (ja) * | 1992-08-19 | 1994-03-08 | Kawasaki Steel Corp | 焼結性粉末射出成形用バインダおよび組成物 |
JPH08133844A (ja) * | 1994-10-31 | 1996-05-28 | Kyocera Corp | セラミック成形用組成物 |
JP2652144B2 (ja) * | 1995-03-27 | 1997-09-10 | 菊水化学工業株式会社 | セラミック生成形体の製造装置 |
-
2008
- 2008-08-27 JP JP2008218628A patent/JP5033087B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10603624B2 (en) * | 2017-07-03 | 2020-03-31 | Marsulex Environmental Technologies Corporation | Wet flue gas desulfurization process and apparatus |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009030061A (ja) | 2009-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4536943B2 (ja) | 粉体成形体の製造方法 | |
EP1380396B1 (en) | Method of producing a molded article and slurry for molding | |
EP0577740B1 (en) | Use of agar gel-forming agent in the production of shaded ceramic bodies | |
US4906424A (en) | Reaction injection molding of ceramic or metallic greenbodies | |
US20080286590A1 (en) | Ceramic and Metallic Components and Methods for Their Production from Flexible Gelled Materials | |
CN107445615A (zh) | 氧化锆陶瓷及其制备方法、陶瓷柱塞和柱塞泵 | |
JP4614767B2 (ja) | セラミック成形体の製造方法 | |
JP5033087B2 (ja) | 粉体成形体の製造方法 | |
JPH1148222A (ja) | 粉体成形方法 | |
JPH02167868A (ja) | 多孔質セラミックス及びその製造用乾燥体並びにそれらの製造方法 | |
JP2007261925A (ja) | セラミックス成形体の製造方法およびこれを用いたセラミックス焼結体の製造方法 | |
JPH03174356A (ja) | 射出成形用ジルコニア組成物及びその焼結体 | |
JP4925160B2 (ja) | 透光性アルミナ用成形体の製造方法および透光性アルミナ焼結体の製造方法 | |
JP4047956B2 (ja) | 炭化ケイ素粉末の成形方法 | |
JP3463885B2 (ja) | セラミック多孔体及びその製造方法 | |
JPH06227854A (ja) | セラミックス成形体の製造方法 | |
JPWO2012108222A1 (ja) | 粉末成形体の製造方法及び粉末成形体 | |
JPH09169572A (ja) | 押出成形用組成物 | |
JP2005162540A (ja) | セラミック部品 | |
JPH11322441A (ja) | 無機粉末成形体の製造方法および無機粉末成形体 | |
Yang | Yong Huang | |
JPH10138215A (ja) | セラミックス焼結体の製造方法及びその製造方法において使用されるセラミックス混合物 | |
JPH06285825A (ja) | 型材及び成形型の製造法 | |
JPH09267313A (ja) | サイアロン質粉末の鋳込成形方法 | |
JPS63274648A (ja) | セラミックスの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120626 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120629 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5033087 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150706 Year of fee payment: 3 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |