JP5033068B2 - 場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法 - Google Patents

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この発明は、場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法に関し、さらに詳細には、杭頭と建築物の柱とをフーチングを介さずに直接接合するための杭頭処理方法に関する。
近年、杭頭と建築物の柱とをフーチングを介さずに直接接合する、いわゆるノンフーチング工法(あるいはフーチングレス工法)が採用されつつある。このノンフーチング工法は、コンクリート杭や鋼管杭等の既製杭、場所打ちコンクリート杭いずれにも適用されるが、場所打ちコンクリート杭の場合は、従来、以下のような方法で杭頭処理を行っている。
図7は、杭孔にコンクリートを打設し、硬化した後の場所打ちコンクリート杭50を示している。まず、(a)に示すように、杭頭部51まわりの地盤表層部52を掘削し、杭頭部51を露出させる。次いで、(b)に示すように、杭頭部51のコンクリートを設計杭頭レベルAまでハツリ、鉄筋籠53の頭部を露出させる。
次いで、(c)に示すように、露出させた鉄筋籠53の頭部外周に補強鉄筋籠54を配置する。さらに(d),(e)に示すように、鉄筋籠53と補強鉄筋籠54との間にラス材からなる内型枠55を配置し、また補強鉄筋籠54の外周には外型枠56を配置する。そして、(f)に示すように、内型枠55と外型枠56との間にコンクリートを打設する。
打設コンクリートの硬化後、(g)に示すように外型枠56を脱型し、さらに(h)に示すように、掘削した地盤表層部を埋め戻す。この結果、コンクリート杭50の杭頭部上には鉄筋籠53の頭部が内部で露出している筒状コンクリート部57が形成される。この筒状コンクリート部57に図示しない建築物の柱脚部を挿入して、膨張コンクリートを充填し、柱脚部とコンクリート杭50とが一体化される。
上記のような従来工法において、筒状コンクリート部57は膨張コンクリート充填のためのRC型枠となるのであるが、従来工法はこの筒状コンクリート部57を形成するために、コンクリート杭50の構築後に、掘削、杭頭部のハツリ、内外二重型枠の設置、地盤修復等の一連の作業工程を実施しなければならない。
この出願の発明に関連する先行技術情報としては次のようなものがある。しかし、いずれの文献にも、筒状コンクリート部の内部に鉄筋籠の頭部を露出させるという技術思想の開示はない。
特開20001−220737号公報 特開20002−201652号公報
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、コンクリート杭構築後の掘削や杭頭部のハツリ等の作業を不要とし、筒状コンクリート部の形成を場所打ちコンクリート杭施工に伴って同時に行うことにより、作業工程の簡略化とコストダウンを図ることができる場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法を提供することにある。
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、地盤を掘削して形成した杭孔に鉄筋籠を建て込んでコンクリートを打設し、コンクリート杭を築造する場所打ちコンクリート杭工法において、
前記鉄筋籠としてその頭部外周に補強鉄筋籠を取り付けた鉄筋籠を前記杭孔に建て込む工程と、
前記打設したコンクリートの硬化前にその天端面を前記杭孔内で設計杭頭レベルに略一致させ、設計杭頭レベルよりも上方に前記鉄筋籠の頭部及び補強鉄筋籠を露出させる工程と、
前記露出した鉄筋籠の頭部及び補強鉄筋籠の間に筒状型枠を配置して、その外周にコンクリートを打設し、内側に凹状空間を区画する筒状コンクリート部を形成する工程と
を備えてなることを特徴とする場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法にある。
より具体的には、前記杭孔は杭頭部が形成される地盤表層部においてその下方の杭孔部分よりも拡径されている。また、前記型枠はその軸線方向に関して複数に分割された分割型枠であり、前記筒状コンクリート部の形成後、脱型する。前記筒状コンクリート部のコンクリート打設の際に、前記型枠の内方を覆う錐形のキャップを配置するようにしてもよい。
この発明によれば、杭コンクリートの築造に伴って建築物の柱脚部を挿入するための筒状コンクリート部を形成するので、杭コンクリート築造後の掘削、ハツリ、埋め戻し等の一連の作業工程が不要となる。したがって、作業工程を大幅に簡略化することができ、コストダウンを図ることができる。また、筒状コンクリート部は補強鉄筋籠を有し、杭コンクリートの鉄筋籠を補強して、強度に優れた杭頭部を形成することができ、杭の水平耐力の向上を図ることができる。
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1〜図3は、この発明の実施形態を示す施工手順図である。図示の工程は、場所打ちコンクリート杭工法における鉄筋籠の建て込み以降の工程を示している。すなわち、図1(a)は、地盤表層部Sに形成した掘削孔にケーシング1(スタンドパイプ)を建て込み、ケーシング1から下方の地盤を安定液を満たしながら杭孔2を掘削し、杭孔2に鉄筋籠3を建て込むところを示している。
ケーシング1は地盤表層部Sから所定長さ突出するように地盤表層部Sに建て込まれている。施工する場所打ちコンクリート杭は拡頭杭であり、このためケーシング1の径は、その下方の杭孔2の径よりも大きくなっている。
鉄筋籠3は、図6にも詳細に示すように、同一円周上に縦向きに配置される多数本の主筋4とそれらを取り巻く多数のフープ筋5によって形成されるが、鉄筋籠3の頭部3aにおいてはフープ筋5は配置されていない。この鉄筋籠3は杭孔2への建て込み中に、その建て込みをいったん停止し、ケーシング1に設けた治具6によって頭部3aが保持される。
そして、図1(b)に示すように、頭部3aの外周に補強鉄筋籠7を取り付ける。この補強鉄筋籠7は後述する筒状コンクリート部の補強筋となる鉄筋籠である。補強鉄筋籠7は、縦方向に間隔を置いて配置される複数の円環状の主筋8と、これら主筋8を組み立てるための組立筋9とからなる(図6参照)。補強鉄筋籠7は鉄筋籠3よりも大径のものであり、両者間には所定大きさの間隔が形成される。この補強鉄筋籠7は、連結筋21を介して鉄筋籠3の主筋4に固定される。なお、鉄筋籠3及び補強鉄筋籠7の各外周、補強鉄筋籠7の内周にはブレ止めのためのスペーサ10が設けられている。
次いで、図1(c)に示すように、鉄筋籠3を完全に杭孔2内に建て込む。そして、図1(d)に示すように、杭孔2にトレミー管11を挿入し、コンクリート12を打設する。コンクリート12は設計杭頭レベルAよりも上方のケーシング内レベルまで打設し、余盛り部12aを形成する。この余盛り部12aには、周知のように、特にその上部にスライム等の不純物が含まれている。
次いで、図2(e)に示すように、ケーシング1をその下端が設計杭頭レベルAと略一致するまで引き上げる。そして、図2(f)に示すように、余盛り部12aのコンクリートをバキューム手段19等の適宜手段により除去する。この余盛り部12aの除去によって打設コンクリート12の天端面を設計杭頭レベルAに一致させ、また、設計杭頭レベルAの上方に鉄筋籠3の頭部3a及び補強鉄筋籠7を露出させる(図6(a)も併せて参照)。
上記のようにして鉄筋籠3の頭部3a及び補強鉄筋籠7を露出させたら、図2(g)に示すように、両鉄筋籠3a,7間に筒状型枠13を配置する。この筒状型枠13はその軸線方向に複数に分割された分割型枠であり(実施形態では2つ割り)、外周面に剥離剤を塗布しておく。筒状型枠13はスペーサ10により位置決めされるが、コンクリート打設時の浮き上がりを防止するために、筒状型枠13の下端とその下方に位置する鉄筋籠3とを図示しない番線等の適宜手段で緊結しておくとよい。そして、図2(h)に示すように、型枠13の外周すなわち型枠13とケーシング1との間にコンクリート14を打設する。
コンクリート14の打設の際には、型枠13の上部にキャップ20を被せるとよい。キャップ20は円錐形や角錐形等の錐形のキャップであり、これを型枠13の上部に被せることにより、コンクリート14が型枠13の内周側に落下することなく、コンクリートを型枠13の外側に確実に打設することができ、打設作業が容易になる(図6(b)も併せて参照)。コンクリート14の打設後、ケーシング1を引抜く。そして、コンクリート14の硬化後、図3(i)に示すように型枠13を脱型する。
以上のようにして、図3(j)に示すように、コンクリート杭15の杭頭部上に筒状コンクリート部16が形成される。筒状コンクリート部16は内側に凹状空間を区画し、この凹状空間17には鉄筋籠3の主筋4のみからなる頭部3aが露出している。凹状空間17には建築物の柱脚部18が挿入され、膨張コンクリートを充填して筒状コンクリート部16と一体化される。
上記のような杭頭処理方法によれば、杭コンクリートの築造に伴って建築物の柱脚部を挿入するための筒状コンクリート部を形成するので、杭コンクリート築造後の掘削、ハツリ、埋め戻し等の一連の作業工程が不要となる。したがって、作業工程を大幅に簡略化することができ、コストダウンを図ることができるとともに、ハツリ作業や掘削に伴う騒音の発生をなくすことができる。また、筒状コンクリート部の補強鉄筋籠は杭コンクリートの鉄筋籠に取り付けられて一体となっているので、強度に優れた筒状コンクリート部を形成することができ、杭の水平耐力の向上を図ることができる。
この発明の施工手順を示す断面図である。 図1に引き続く施工手順を示す断面図である。 図2に引き続く施工手順を示す断面図である。 図2(g)のB−B線矢視断面図である。 図3(i)のC−C線矢視断面図である。 鉄筋籠頭部及び補強鉄筋籠の詳細を示し、(a)は筒状コンクリート部のコンクリート打設前の状態であり、(b)は同コンクリートの打設中の状態を示している。 従来の施工手順を示す断面図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 杭孔
3 鉄筋籠
3a 鉄筋籠の頭部
4 主筋
7 補強鉄筋籠
12 コンクリート
12a 余盛り部
13 筒状型枠
14 コンクリート
15 コンクリート杭
16 筒状コンクリート部
17 凹状空間
18 柱脚部
19 バキューム手段
20 キャップ
A 設計杭頭レベル
S 地盤表層部

Claims (4)

  1. 地盤を掘削して形成した杭孔に鉄筋籠を建て込んでコンクリートを打設し、コンクリート杭を築造する場所打ちコンクリート杭工法において、
    前記鉄筋籠としてその頭部外周に補強鉄筋籠を取り付けた鉄筋籠を前記杭孔に建て込む工程と、
    前記打設したコンクリートの硬化前にその天端面を前記杭孔内で設計杭頭レベルに略一致させ、設計杭頭レベルよりも上方に前記鉄筋籠の頭部及び補強鉄筋籠を露出させる工程と、
    前記露出した鉄筋籠の頭部及び補強鉄筋籠の間に筒状型枠を配置して、その外周にコンクリートを打設し、内側に凹状空間を区画する筒状コンクリート部を形成する工程と、
    を備えてなることを特徴とする場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法。
  2. 前記杭孔は杭頭部が形成される地盤表層部においてその下方の杭孔部分よりも拡径していることを特徴とする請求項1記載の場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法。
  3. 前記型枠はその軸線方向に関して複数に分割された分割型枠であり、前記筒状コンクリート部の形成後、脱型することを特徴とする請求項1又は2記載の場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法。
  4. 前記筒状コンクリート部のコンクリート打設の際に、前記型枠の内方を覆う錐形のキャップを配置することを特徴とする請求項1,2又は3記載の場所打ちコンクリート杭工法における杭頭処理方法。
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