以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
<1.全体構成と特徴点>
図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿の正面図である。
この釣竿10は、いわゆるインナーガイドタイプの振出式釣竿である。釣竿10は、釣竿本体11及びグリップ12を備えている。グリップ12は、釣人が釣竿10を把持する部分である。
釣竿本体11は、5つの筒状部材13〜17から構成されている。各筒状部材13〜17は、それぞれ「節」と称され、釣竿本体11の先端側から順に第1番節13、第2番節14と称される。第4番節16は、特に「元上節」と称され、第5番節17は、特に「元節」と称される。各節13〜17は、既知の要領で構成される。例えば、カーボン繊維強化樹脂シート(プリプレグ)が所定形状に裁断され、これがマンドレルの周囲に巻回される。この状態でプリプレグが所定温度にて焼成され、マンドレルが引き抜かれることによって、円筒状の節13〜17が形成される。この釣竿10は、第4番節16(すなわち元上節16)が第5番節17(すなわち元節17)に対して伸縮するズーム機構を搭載している。もっともこのズーム機構は任意的なものであって、当該機構は省略される場合もある。
第1番節13は第2番節14の内部に引き出し自在に収容されている。また、第1番節13の先端には、釣糸が導き出されるトップガイド18が設けられている。第1番節13はテーパ状に形成されており、先端部の外径よりも後端部の外径の方が大きくなるように形成されている。そして、第1番節13の後端径は、第2番節14の先端径よりも大きく設定されており、第1番節13が第2番節14から引き出された際に、第1番節13の後端部分が第2番節14の先端部分と嵌合して両者が固定されるようになっている。なお、第2番節14と第3番節15との関係及び第3番節15と元上節16との関係も同様である。
第2番節14ないし元節17の先端部にリングR1〜R4が装着されている。このリングR1〜R4は、第2番節14ないし元節17の先端部の剛性を向上させ、隣り合う節の嵌合を確実なものとする。また、第4番節16の先端部分に図示しない釣糸導入孔が設けられており、この釣糸導入孔に釣糸を導くための導入ガイド19が取り付けれている。なお、上記トップガイド18及び導入ガイド19は、既知の構成であるので、その詳しい説明は省略される。
元節17は、リールシート20を備えている。リールシート20は、釣用リール(図示せず)を着脱自在に保持するためのものであり、本実施形態では、元節17と一体的に形成されている。同図が示すように、本実施形態では、リールシート20は、上記グリップ12を兼ねており、実釣において釣人がリールシート20を把持して釣竿10及びリールを操作する。本実施形態の特徴とするところは、このリールシート20の構造である。すなわち、このリールシート20は、後に詳述されるように、釣人が違和感なく握ることができるような外形形状に形成されており、しかも、リールの着脱操作を容易に行うことができるようになっている。
なお、本実施形態では、釣竿10はインナーガイドタイプであるが、上記リールシート20は、いわゆるアウターガイドロッドにも適用され得る。
<2.リールシートの構造>
図2は、リールシート20の斜視図である。同図は、リールシート20にリール26が装着された状態を示している。
リールシート20は、(1) 載置面23を有するシート本体24と、(2) 固定フード21と、(3) 矢印30の方向に沿ってスライド移動することによって固定フード21に対して近接し、離反する可動フード22と、(4) 可動フード22のスライドを規制するロック機構25とを備えている。以下、リールシート20の構造が詳細に説明される。
(1) シート本体
図3は、シート本体24の斜視図である。
図2及び図3が示すように、シート本体24は、元節17と一体的に形成されており、前述のようにグリップ12を兼ねている。すなわち、シート本体24は、円筒状に形成されており、元節17の一部を構成している。もっとも、このシート本体24が独立した別部材として構成されていてもよい。たとえば、シート本体24が樹脂等により円筒状に形成され、これが元節17に外嵌されることによって元節17に取り付けられていてもよい。シート本体24の上面側に上記載置面23が形成されている。この載置面23は平面であり、リール26の脚27(図2参照)が載置されるようになっている。この載置面23は、シート本体24に形成された一対の平板部28、29により構成されている。各平板部28、29は、矢印30の方向に直交する方向に対向して配置されている。これら平板部28、29が設けられることにより、各平板部28、29とシート本体24の側面との間に一対の溝31が形成されている。各溝31は、上記矢印30の方向に延びており、後述されるように可動フード22のスライドを案内する。
シート本体24は、スライド規制プレート37を備えている。このスライド規制プレート37は、たとえば樹脂プレートから構成され得る。本実施形態では、スライド規制プレート37は、薄肉細長の平板からなり、上記平板部28、29の間に挟み込まれた状態で配置されている。スライド規制プレート37は、複数のスライド規制片32を備えている。これらスライド規制片32は、上記矢印30の方向、すなわち可動フード22のスライド方向(以下、適宜「矢印30の方向」は「スライド方向30」と称される。)に並設されている。各スライド規制片32は、上記載置面32に直交する方向に凹凸する突起からなる。各スライド規制片32の高さは所定寸法(たとえば0.5mm)に設定されており、各スライド規制片32の上端は上記載置面32と同一平面状に位置している。また、各スライド規制片32は所定のピッチ(たとえば1mm)で並んでいる。本実施形態では、スライド規制プレート37にスライド規制片32が形成されているが、スライド規制プレート37が省略され、シート本体24にスライド規制片32が立設されていてもよい。なお、後述されるように、このスライド規制片32は、ロック機構25の一部を構成する。
(2) 固定フード
固定フード21は、シート本体24と一体的に形成されている。固定フード21は、上記載置面23の前方(すなわち、図1が示すように、上記スライド方向30の竿先側)に配置されている。固定フード21は既知の構造を有する。すなわち、固定フード21は、開口33を有する収容部34を備えており、ドーム状に形成されている。図2及び図3が示すように、リール26の脚27の一方側固定部38は、開口33を通じて収容部34に挿入され保持されるようになっている。本実施形態では、収容部34に樹脂パッド35が取り付けられている。この樹脂パッド35によって開口33の周縁部が覆われている。上記脚27の一方側固定部38が収容部34に挿入された状態で、当該一方側固定部38が樹脂パッド35に当接する。これにより、脚27の一方側固定部38が強固に固定された場合であっても、当該一方側固定部38及び固定フード21が損傷することが防止される。本実施形態では、固定フード21がシート本体24と一体的に形成されているが、固定フード21が独立した部品として構成され、これがシート本体24に取り付けられていてもよいことは勿論である。
なお、シート本体24は化粧板36を備えている。この化粧板36は上記載置面23の後端に取り付けられている。この化粧板36は、上記載置面23とシート本体24の外周面とを滑らかに連続する。これにより、リールシート20の外周面が滑らかになり、外観が向上している。また、化粧板36は、シート本体24に取り付けられることにより、上記溝31の後端(すなわち、上記スライド方向30の竿尻側の端部)を規定する。化粧板36が取り外されると、上記溝31の後端が露出し、この状態で可動フード22がシート本体24に嵌め込まれるようになっている。
(3) 可動フード
図4は、リールシート20の要部拡大斜視図である。
可動フード22は、後に詳述されるように、シート本体24の平板部28、29(図3及び図4参照)に嵌め込まれており、この平板部28、29に沿ってスライドすることができるようになっている。これにより、可動フード22は、矢印30の方向に沿ってスライドし、固定フード21に近接することができ、離反することができる。
図5は、可動フード22の拡大斜視図である。また、図6は、可動フード22の分解斜視図である。
図2、図4及び図5が示すように、可動フード22は、フード本体40と、上記スライド規制片32に係合する係止爪41と、この係止爪41を変位させる操作レバー42とを備えている。なお、後述されるように、係止爪41、操作レバー42は、ロック機構25の一部を構成する。
図5及び図6が示すように、フード本体40は、たとえば鋼板を折曲加工することにより構成されている。フード本体40は既知の構造を有する。すなわち、フード本体40は、断面形状がC字状を呈するようにドーム状に形成されており、内部に収容室43を備えている。フード本体40の上面に開口47が設けられている。この開口47の周縁部48は、係止爪41を載置する取付座を構成している。フード本体40の下縁部は、L字状に折り曲げられ、係合片46を構成している。すなわち、この係合片46は、フード本体40の内側に突出しており、この係合片46がシート本体24に設けられた溝31(図4参照)に嵌め込まれている。これにより、フード本体40は、シート本体24に装着され、矢印30の方向にのみスライドすることができる。なお、フード本体40は前述の要領でシート本体24に着脱される。すなわち、図3が示すように、化粧板36が取り外された状態で上記溝31の後端が露出するので、その状態でフード本体40の係合片46が溝31に嵌め込まれる。フード本体40がシート本体24に装着された状態で化粧板36が取り付けられることにより、フード本体40はシート本体24から脱落することが防止される。
図5及び図6が示すように、フード本体40の収容室43に連通するように開口44が設けられている。リール26の脚27の他方側固定部39(図2及び図4参照)は、開口44を通じて収容室43に挿入され保持されるようになっている。このとき、可動フード22は固定フード21側へスライドされ、上記脚27は、固定フード21及び可動フード22によって確実に挟持される。固定フード21と同様に、本実施形態では、収容室43に樹脂パッド45が取り付けられている。この樹脂パッド45によって開口44の周縁部が覆われている。上記脚27の他方側固定部39が収容室43に挿入された状態で、当該他方側固定部39が樹脂パッド45に当接する。これにより、他方側固定部39が強固に固定された場合であっても、当該他方側固定部39及びフード本体40が損傷することが防止される。
図5及び図6が示すように、係止爪41は、ベース49と変位部50とを備えている。係止爪41は、既知の構造を有し、弾性材(典型的にはバネ鋼)により構成される。ベース49は、細長平板からなり、上記開口47の周縁部48に架け渡すように配置されている。変位部50も矩形平板からなる。変位部50は、図6が示すようにベース49と一体的に形成されており、後方(すなわち、上記スライド方向30の竿尻側)に延びている。図6が示すように、変位部50の端部は折り曲げられており、谷部51及び山部52が形成されている。
換言すれば、変位部50は、ベース49に対して片持ち状に連続しており、上記開口47に対して進退する方向、すなわち上記載置面23(図3参照)に直交する方向(矢印53の方向)に弾性的に変位する。具体的には、変位部50は、第1姿勢と第2姿勢との間で変位する。この場合、第1姿勢とは、変位部50が上記載置面23の方向に弾性的に変位して山部52の先端54が上記スライド規制片32に当接係合した姿勢である。また、第2姿勢とは、図6が示す姿勢であって、第1姿勢における変位部50の弾性変形が復元され、変位部50が上記スライド規制片32から離反した姿勢である。なお、同図が示すように、本実施形態では、変位部50は、常時第2姿勢となるように形成されている。
図7は、操作レバー42の斜視図である。
同図が示すように、操作レバー42は、レバー本体75と、延設部80と、取付脚部76とを有する。操作レバー42は、たとえばステンレス鋼、真鍮その他の耐腐食性に優れた金属あるいは樹脂等からなり、レバー本体75、延設部80及び取付脚部76が一体的に形成されている。後に詳述されるが、操作レバー42は、図2、図4が示すように倒伏した姿勢(倒伏姿勢)と、図5が示すように起立した姿勢(起立姿勢)との間で自由に姿勢変化が可能となっている。
取付脚部76は、ベース77と、ベース77の両側に突設された一対の支持軸78(回動中心軸)とを有する。ベース77は矩形状の平板であり、このベース77に支持軸78が一体的に形成されている。支持軸78はベース77に連続する平板からなり、三角形状を呈する。図5及び図6が示すように、取付脚部76は、フード本体40の開口47を通じてフード本体40の内側に挿入される。そして、ベース77が上記係合爪41の変位部50に対して上方から押圧するように当接し、一対の支持軸78が上記開口47の周縁部48にフード本体40の内側から当接する。このとき、ベース77が変位部50を押さえつけるから、変位部50は第2姿勢側へ若干弾性的に変位する。したがって、支持軸78は、変位部50の弾性変形に起因した弾性力でフード本体40の内側に押し付けられ、その結果、支持軸78は、軸方向79(ベース77から突出する方向)を中心に回動自在な状態でフード本体40に支持される。つまり、操作レバー42は、軸方向79を中心にして起立姿勢(図5参照)と倒伏姿勢(図4参照)との間で自由に姿勢変化することができるようになっている。
また、取付脚部76がフード本体40に挿入されると、ベース77の先端が係合爪41の谷部51に当接する。取付脚部76が支持軸78を中心に回動すれば、ベース77は係合爪41を下方へ(上記載置面23側へ)押圧するようになっている。ベース77が係合爪41を押圧することによる作用効果については後述される。
図7が示すように、レバー本体75は、平板からなる。平板は若干湾曲されており、これにより、レバー本体75はドーム状に形成されている。レバー本体75の幅寸法81は、フード本体40の幅寸法に合致している。したがって、図2が示すように、操作レバー42が倒伏姿勢となったときは、レバー本体75がフード本体40から側方に突出することはなく、レバー本体75の側縁がフード本体40の側面と略同一面上に配置され、レバー本体75の外面とフード本体40の外面とが滑らかに連続する。また、レバー本体75がドーム状に形成されているから、操作レバー42が倒伏姿勢となったときは、フード本体40の上面を覆う滑らかな曲面を構成する。
図7が示すように、延設部80は、レバー本体75の先端に連続して形成されている。図5及び図6が示すように、延設部80の断面形状は、略C字状に形成されている。この延設部80は、被覆部82及び一対の摘み部83を備えている。図2が示すように、被覆部82は、レバー本体75から固定フード21の近傍まで延びている。図4が示すように、被覆部82は、レバー本体75に対して若干屈曲している。具体的には、被覆部82は、レバー本体75に連続して若干上方に凸となるように湾曲され、続いて下方に凸となるように湾曲されることにより、リール26の脚27の他方側固定部39を覆うと共に主脚74に沿うように形成されている。したがって、この操作レバー42は、フード本体40の上面及び上記脚27の他方側固定部39を覆うように成形されている。
図4が示すように、延設部80のうち上記脚27の主脚74に近接する部位85は下方に凸となるように湾曲している。この部位85は、釣人が当該リールシート20を握った際に釣人の指が当接される座部を構成している。以下、この部位85は座部85と称される。この座部85は、同図が示すように滑らかに凹んでいるから、釣人の指は座部85によって確実に保持される。本実施形態では、この座部85は延設部80の一部として構成されている。すなわち、延設部80が座部85を兼ねている。ただし、釣人の指が保持される座部材が独立した別部材として構成され、これが延設部80に取り付けられていてもよい。
一対の摘み部83は、被覆部82の両側面に設けられている。本実施形態では、各摘み部83は、左右対称に配置されている。各摘み部83は被覆部82と一体的に形成されており、図2及び図4が示すように、被覆部82から下方に(シート本体24の載置面23側に)延びている。本実施形態では、摘み部83は、略半円形に形成されており、釣人が指で摘み易い形状となっている。摘み部83の外面は、被覆部82の側面と同一平面上に配置されている。したがって、図2が示すように、操作レバー42が倒伏姿勢となったときは、レバー本体75の外面、延設部80の外面及びフード本体40の外面が滑らかに連続し、これら相互の間に段差が形成されることはない。
(4) ロック機構
ロック機構25は、前述のように、可動フード22がスライド方向30へスライドすることを規制する。ロック機構25は、上記スライド規制片32(図2及び図3参照)と、上記係止爪41(図6参照)と、上記操作レバー42とを備えている。これらスライド規制片32、係止爪41及び操作レバー42の構造は前述の通りであるから、その説明は省略される。
操作レバー42が起立姿勢となったときは(図5参照)、図6が示すように、ベース77の先端は軸方向79を中心に回動して上方へ変位する。すなわちベース77の先端は、載置面23(図3参照)から離れる方向に移動する。このため、係止爪41が第1姿勢から第2姿勢へと弾性的に変位し、変位部50がスライド規制片32から離反する。したがって、可動フード22は、スライド方向30に沿ってスライド自在となる。可動フード22がスライド方向30の後側にスライドした状態で、リール26の脚27が載置面23上に載置される。そして、可動フード22がスライド方向30の前方へスライドされることにより、脚27の一方側固定部38及び他方側固定部39は、固定フード21及び可動フード22によって挟持される。この状態で操作レバー42が倒伏姿勢に変化される。操作レバー42が起立姿勢から倒伏姿勢へ変化すると(図4参照)、ベース57の先端は軸方向59を中心に回動して下方へ変位する(図6参照)。すなわち、ベース57の先端は、載置面23(図3参照)側へ移動し、ベース57に押された係止爪41が第2姿勢から第1姿勢へと変位する。これにより、変位部50がスライド規制片32に当接係合し、可動フード22のスライドが規制される。つまり、可動フード22が移動不能となり、リール26がリールシート20に固定される。
<3.リールシートの作用・効果>
操作レバー42が倒伏姿勢に変化すると、図4が示すように、操作レバー42がフード本体40の上面からリール26の脚27の他方側固定部39までを覆う。このとき、レバー本75体がドーム状に形成されているから、フード本体40の上面及び上記脚27の他方側固定部39の全体が簡単に且つ滑らかに取り囲まれ、操作レバー42の外面に大きな凹凸が形成されることはない。しかも、前述のように、釣人がリールシート20を把持した際に、釣人の指は座部85に保持される。したがって、釣人にとって指に違和感がなく、実釣において釣竿10を長時間にわたって快適に操作することができるし、仮に大型の魚が掛かった場合であっても、手や指に痛みを感じることはない。しかも、操作レバー42は、リール26の主脚74の近傍まで延びているから、釣人は、延設部80を摘むことにより、操作レバー42を簡単に操作することができる。その結果、釣人は、リール26の着脱を容易に行うことができる。
操作レバー42が倒伏姿勢に変化したときに、上記レバー本体75とフード本体40の側面との間に段差が形成されることはない。したがって、釣人は、一層違和感なくリールシート20を把持することができる。また、操作レバー42に摘み部83が設けられているから、釣人は、摘み部83を把持して操作レバー42をきわめて簡単に操作し、可動フード22をスライドさせることができる。その結果、釣人は、リール26の着脱を一層容易に行うことができる。なお、摘み部83は載置面23側へ延びているから、摘み部83が設けられることによって操作レバー42とフード本体40との間に段差や突起が形成されることはない。
本実施形態では、摘み部83は、レバー本体75の両側に左右対称に配置されているから、釣人は、摘み部83を把持しやすく、きわめて容易に操作レバー42を操作することができるという利点がある。
また、本実施形態では、摘み部83は、上記載置面23側に凸となる半円形に形成されているから、釣人にとって非常に把持し易いという利点があり、さらに、簡単且つ安価に構成されるという利点もある。
<4.本実施形態の変形例>
次に、本実施形態の第1の変形例について説明される。
図8は、本実施形態の第1の変形例に係るリールシートの要部拡大斜視図である。
本変形例に係るリールシート84が上記実施形態に係るリールシート20と異なるところは、上記リールシート20では、操作レバー42の摘み部83が半円形に形成されていたのに対して、本変形例に係るリールシート84では、摘み部83に切欠部86が設けられている点、及び操作レバー42が倒伏姿勢にあるときは、上記載置面23に対する摘み部83の下縁87の高さは、上記載置面23に対するフード本体40の下縁88の高さと同一となるように設定されている点である。なお、リールシート84のその他の構成については上記実施形態に係るリールシート20と同様である。
上記切欠部86は、左右の摘み部83に対称に形成されている。この切欠部86は、固定フード21側に凹むように滑らかに形成されている。これにより、釣人が摘み部83を指で摘んだときは、釣人の指は、フード本体40摘み部83との間に食い込む。したがって、釣人の指は、この切欠部86に引っ掛かる。したがって、釣人は、操作レバー42の起立操作を一層容易に行うことができるという利点がある。
また、操作レバー42が倒伏された状態で、摘み部83の下縁87とフード本体40の下縁88とが同一レベルに配置されるから、摘み部83とフード本体40とがより一層滑らかに連続する。その結果、釣人は、リールシート84及びリール26をより一層握り易くなる。
次に、本実施形態の第2の変形例について説明される。
図9は、本実施形態の第2の変形例に係るリールシート90の斜視図である。図10は、リールシート90の要部拡大斜視図である。図11は、リールシート90の可動フードの拡大斜視図である。図12は、リールシートの可動フードの分解斜視図である。図13は、リールシートの操作レバーの斜視図である。
本変形例に係るリールシート90が上記実施形態に係るリールシート20と異なるところは、操作レバー92の構造である。具体的には、上記実施形態では(図2参照)、操作レバー42の延設部80は、リール26の脚27の主脚74の近傍まで延びるように形成されていたのに対し、本変形例では(図9参照)、延設部60が滑らかに脚27の他方側固定部39に連続している点である。なお、リールシート90のその他の構成については上記実施形態に係るリールシート20と同様である。
図9ないし図13が示すように、操作レバー92は、レバー本体55と、延設部60と、取付脚部56とを有する。操作レバー92は、たとえばステンレス鋼、真鍮その他の耐腐食性に優れた金属あるいは樹脂等からなり、レバー本体55、延設部60及び取付脚部56が一体的に形成されている。本変形例においても、操作レバー92は、図9、図10が示すように倒伏した姿勢(倒伏姿勢)と、図11が示すように起立した姿勢(起立姿勢)との間で自由に姿勢変化が可能となっている。
取付脚部56は、ベース57と、ベース57の両側に突設された一対の支持軸58とを有する。ベース57は矩形状の平板であり、このベース57に支持軸58が一体的に形成されている。支持軸58はベース57に連続する平板からなり、三角形状を呈する。図11及び図12が示すように、取付脚部56は、フード本体40の開口47を通じてフード本体40の内側に挿入される。そして、ベース57が上記係合爪41の変位部50に対して上方から押圧するように当接し、一対の支持軸58が上記開口47の周縁部にフード本体40の内側から当接する。このとき、ベース57が変位部50を押さえつけるから、変位部50は第2姿勢側へ若干弾性的に変位する。したがって、支持軸58は、変位部50の弾性変形に起因した弾性力でフード本体40の内側に押し付けられ、その結果、支持軸58は、軸方向59(ベース57に対して突出する方向)を中心に回動自在な状態でフード本体40に支持される。つまり、操作レバー92は、軸方向59を中心にして起立姿勢(図11参照)と倒伏姿勢(図10参照)との間で自由に姿勢変化することができるようになっている。
また、取付脚部56がフード本体40に挿入されると、ベース57の先端が係合爪41の谷部51に当接する(図12参照)。取付脚部56が支持軸58を中心に回動すれば、ベース57は係合爪41を下方へ(上記載置面23側へ)押圧するようになっている。
図13が示すように、レバー本体55は、平板からなる。平板は若干湾曲されており、これにより、レバー本体55はドーム状に形成されている。レバー本体55の幅寸法61は、フード本体40の幅寸法に合致している。したがって、操作レバー92が倒伏姿勢となったときは、レバー本体55がフード本体40から側方に突出することはなく(図9参照)、レバー本体55の側縁がフード本体40の側面と同一面上に配置され、レバー本体55の外面とフード本体40の外面とが滑らかに連続する。また、レバー本体55がドーム状に形成されているから、操作レバー92が倒伏姿勢となったときは、フード本体40の上面を覆う滑らかな曲面を構成する。
図13が示すように、延設部60は、レバー本体55の先端に連続して形成されている。延設部60は、図11及び図12が示すように略C字状に形成されており、被覆部62及び一対の摘み部63を備えている。図10が示すように、被覆部62は、レバー本体55から固定フード21側へ延びている。また、被覆部62は、レバー本体55に対して若干屈曲している。これにより、被覆部62は、リール26の脚27の他方側固定部39に滑らかに近接するように延びている。しかも、被覆部62の先端部64は、上記脚27の他方側固定部39にさらに近接するように湾曲されている。これにより、被覆部62と上記脚27の他方側固定部39とが滑らかに連続され、両者間に急激な段差が形成されることはない。
一対の摘み部63は、被覆部62の先端部の両側面に設けられている。本実施形態では、各摘み部63は、左右対称に配置されている。各摘み部63は被覆部62と一体的に形成されており、図9及び図10が示すように、被覆部62から下方に(シート本体24の載置面23側に)延びている。本実施形態では、摘み部63は、半円形に形成されており、釣人が指で摘み易い形状となっている。摘み部63の外面は、被覆部62の側面と同一平面上に配置されている。したがって、図9が示すように、操作レバー92が倒伏姿勢となったときは、レバー本体55の外面、延設部60の外面及びフード本体40の外面が滑らかに連続し、これら相互の間に段差が形成されることはない。
上記実施形態に係るリールシート20と同様に、操作レバー92が起立姿勢となったときは(図11参照)、図12が示すように、ベース57の先端は軸方向59を中心に回動して上方へ変位する。すなわちベース57の先端は、載置面23(図3参照)から離れる方向に移動する。このため、係止爪41が第1姿勢から第2姿勢へと弾性的に変位し、変位部50がスライド規制片32から離反する。したがって、可動フード22は、スライド方向30に沿ってスライド自在となる。可動フード22がスライド方向30の後側にスライドした状態で、リール26の脚27が載置面23上に載置される。そして、可動フード22がスライド方向30の前方へスライドされることにより、脚27は固定フード21及び可動フード22によって挟持される。この状態で操作レバー92が倒伏姿勢に変化される。操作レバー92が起立姿勢から倒伏姿勢へ変化すると(図9参照)、ベース57の先端は軸方向59を中心に回動して下方へ変位する(図11参照)。すなわち、ベース57の先端は、載置面23(図3参照)側へ移動し、ベース57に押された係止爪41が第2姿勢から第1姿勢へと変位する。これにより、変位部50がスライド規制片32に当接係合し、可動フード22のスライドが規制される。つまり、リール26がリールシート20に固定される。
操作レバー92が倒伏姿勢に変化すると、図9が示すように、レバー本体55がフード本体40の上面を覆い、フード本体40の側面との間に段差を形成することなくフード本体40の側面と滑らかに連続する(図10参照)。しかも、レバー本体55に連続する延設部60はドーム形状に形成され且つ固定フード21側へ延びているから、リール26の脚27に滑らかに連続する。したがって、釣人は、リール26が装着されたリールシート20を違和感なく把持することができ、実釣において釣竿10を長時間にわたって快適に操作することができるし、仮に大型の魚が掛かった場合であっても、手や指に痛みを感じることはない。
また、操作レバー92に摘み部63が設けられているから、操作レバー92とフード本体40とが滑らかに連続することによって釣人が指を掛ける部位が存在しなくても、釣人は、摘み部63を把持して操作レバー92を簡単に操作し、可動フード22をスライドさせることができる。その結果、釣人は、リール26の着脱を容易に行うことができる。なお、摘み部63は載置面23側へ延びているから、摘み部63が設けられることによって操作レバーとフード本体40との間に段差や突起が形成されることはない。
本変形例では、摘み部63は、レバー本体55の両側に左右対称に配置されているから、釣人は、摘み部63を把持しやすく、きわめて容易に操作レバーを操作することができるという利点がある。
また、本変形例では、摘み部63は、上記載置面23側に凸となる半円形に形成されているから、釣人にとって非常に把持し易いという利点があり、さらに、簡単且つ安価に構成されるという利点もある。
なお、本変形例においても、上記第1の変形例に係るリールシート84と同様に、摘み部63に切欠部が設けられ、且つ操作レバー92が倒伏姿勢にあるときは、上記載置面23に対する摘み部63の下縁の高さが上記載置面23に対するフード本体40の下縁の高さと同一となるように設定されていてもよい。
このように構成されることにより、第1の変形例に係るリールシート84と同様に、釣人が摘み部63を指で摘んだときは、釣人の指は、フード本体40摘み部63との間に食い込み、釣人の指が切欠部に引っ掛かる。したがって、釣人は、操作レバー92の起立操作を一層容易に行うことができる。また、操作レバー92が倒伏された状態で、摘み部63とフード本体40とがより一層滑らかに連続する。その結果、釣人は、リールシート90及びリール26をより一層握り易くなる。