JP5032241B2 - 固体酸化物形燃料電池の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は,固体酸化物形燃料電池の作製方法に関するものであり,特にグリーンシートの積層工程で生じるセラミックスグリーン体の内部応力を抑制し、固体酸化物形燃料電池の単セルの平坦性と信頼性を向上する作製方法に関するものである。
固体酸化物形燃料電池は、他の燃料電池より高い電気変換効率・出力密度を有するため、分散電源として積極的に開発が進められている。固体酸化物形燃料電池では電解質に固体酸化物のセラミックスを用いるため、充分高いイオン伝導性を確保するために他の燃料電池より動作温度が高い。一般的な構成材料として電解質には安定化ジルコニアを、空気極として希土類をドープしたランタンマンガナイトを、燃料極としてニッケル−ジルコニアサーメットが用いられている。電池はすべての構成部がセラミックス材料であり、異なる材料の積層構造となっている。SOFCの構成材料の中では電解質の抵抗が最も高いため、支持構造体として厚くなる部分には電極を用い、この支持体としての電極の上に薄膜状の電解質及び対極を形成し、単セルの内部抵抗を小さくした電極支持型構造の単セルの開発が活発に行われている(非特許文献1参照)。
このようなセルの作製方法として各構成部のセラミックスグリーンシートを積層し、これらを同時に焼結する共焼結法がある(特許文献1参照)。セラミックスグリーンシートは、各構成部を構成する原料粉末のスラリーを所定の板形状(シート状)に成形したものであり、焼成をしていない未焼結状態である。共焼結法は、プラズマ溶射法やEVD法などにより各層を順次形成して焼結する手法に比較し、用いる装置が簡単で、プロセスの単純化も図れる。これらのことより、共焼結法の適用による製造コストの低減が期待される。また、ドクターブレード法により作製するグリーンシートの厚みは、0.01〜0.6mm程度の範囲で制御が可能であり、特に電極を支持体として薄膜電解質を形成する平板型セルの作製においては、シート積層体の共焼結法はよく用いられる方法である。
通常、セラミックスグリーンシート(グリーンシート)の積層による単セルの作製では、単セルの各部材のグリーンシートを適宜積層し、これをホットプレスして単セルとしている。例えば、図5(a)に示すように、まず、一方の電極となる材料より構成されたグリーンシート511を複数枚積層して全体の膜厚を1mm程度とする。この上に、電解質となる材料より構成された膜厚20〜50μmのグリーンシート512を積層し、これらをホットプレスする。この積層体を焼成した後、他方の電極となる材料より構成されたグリーンシート513を形成して焼成する。この結果、図5(b)に示すように、厚さ1mm程度の電極基板部501と、この上に積層された電解質層502及び他方の電極層503とから構成された電極支持型単セルが形成される。
特開平5−170444号公報 B.W.Chung et al,"Development and Characterization of a High Performance Thin-Film Planar SOFC Stack", Journal of the Electrochemical Society, 152(2), pp.A265-A269,2005.
上述した構成の電極支持型単セルの製造において、特に燃料極を支持電極とする場合においては、1層で1mm以上の膜厚のグリーンシートを一体に形成することも考えられる。しかしながら、このような厚膜のグリーンシートの形成は、スラリー条件(粘度や添加剤量など)の最適化が難しく、また、形成したグリーンシートが乾燥時にひび割れを起こしやすくなる。このため、一般的には、1層で厚いグリーンシートを形成することはなく、300〜500μm程度の膜厚のグリーンシートを、目的の厚みになるよう積層している。
ところが、この積層による製造においても、次に示すような問題がある。例えば、グリーンシートを積層する際、積層したグリーンシートの界面に気泡が残りやすく、このような残存した気泡は焼結の際の破損や、グリーンシート間の接触不良の原因になるため望ましくない。また、ホットプレスの条件が不適切な場合にも問題が生じる。例えば、プレス圧が低い場合はグリーンシート間で剥離が生じやすい。一方、プレス圧が高すぎると、膜厚20〜30μmと薄い電解質薄膜の破損が発生し、また、グリーンシート積層体内部に応力が残り焼結後の基板(単セル)のひずみの原因となる。
従って、複数のグリーンシートを積層して支持電極とする電極支持型単セルの作製では、適切なホットプレス条件の選定が必要となる。このようなホットプレス条件の最適化は、グリーンシートサイズ(面積)が大きくなるほど難しい。また、用いるグリーンシートのスラリー組成が変わると、最適な条件を選定し直す必要があるなど、作業が煩雑となる問題点があった。このような問題は、実用サイズの大面積単セルの作製において特に影響が顕著となるため、大きな問題となっている。
このような、固体酸化物形燃料電池の単セル製造におけるグリーンシート間の接着性の問題を解決する方法として、燃料極となるグリーンシートを乾燥した後に、この上に燃料極スラリーを塗布して塗布膜を形成する工程を繰り返すことにより、支持基板用の厚膜グリーンシートを得る方法も考えられる。この場合、積層体の膜厚が500μm以上になると、この上に塗布して形成される部分が乾燥する際の収縮により、形成されるグリーンシートの両端が反り易くなり、平坦なグリーンシートの形成が難しくなる。このようなグリーンシートの反りはグリーン成形体に応力として残り、焼結したセラミックス板の反りの原因となる。このような単セルの反りは、スタック形成時の作業性を阻害するだけでなく、集電に関わる接触抵抗の増加を招くため、高効率な燃料電池システムの実現において、大きな問題となる。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、固体酸化物形燃料電池の電極を支持体とした電極支持型単セルを、割れや反りなどの発生が抑制された状態で作製できるようにすることを目的とする。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の作製方法は、固体酸化物形燃料電池の一方の電極を構成する原料の粉末より形成された電極スラリーを成形して乾燥することで電極グリーンシートが形成された状態とする電極グリーンシート形成工程と、複数の電極グリーンシートの各々を、一方の電極を構成する原料の粉末より形成された接着用スラリーを塗布して形成した接着層で接着して積層し、複数の電極グリーンシートが接着層を介して積層された積層体が形成された状態とする接着積層工程と、積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とする工程と、電解質の層の上に固体酸化物形燃料電池の他方の電極が形成された状態とする工程とを少なくとも備え、接着積層工程では、接着層が乾燥する前に電極グリーンシートの積層を行うようにしたものである。
上記固体酸化物形燃料電池の作製方法において、積層体の上に、電解質を構成する原料の粉末より形成された電解質スラリーを塗布して電解質塗布層が形成された状態とし、この後、積層体及び電解質塗布層を焼成することで、積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とすればよい。
また、上記固体酸化物形燃料電池の作製方法において、電解質を構成する原料の粉末より形成された電解質スラリーを成形して乾燥することで電解質グリーンシートが形成された状態とし、電解質グリーンシートの上に接着用スラリーを塗布して接着層を形成し、この後、電解質グリーンシートの上に、複数の電極グリーンシートの各々を接着層で接着して積層し、積層体が形成された状態とする接着積層工程を行い、電解質グリーンシート及び接着層で接着して積層された積層体を焼成することで、積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とすればよい。
この場合、電解質グリーンシートの上に、一方の電極を構成する原料の粉末より形成された保護層用スラリーよりなる保護層が形成された状態とした後、接着用スラリーを塗布して接着層を形成し、電極基板を、保護層,複数の電極グリーンシート,及び複数の接着層より構成すればよい。また、この場合、一方の電極は、燃料極であり、保護層は、スカンジア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした保護層スラリーより形成し、電極グリーンシートは、イットリア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした電極スラリーより形成し、接着層は、イットリア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした接着用スラリーより形成すればよい。
なお、上記固体酸化物形燃料電池の作製方法において、接着用スラリーは、分散媒体にアルコール系溶媒が用いられているとよい。また、接着用スラリーは、電極スラリーより低粘度に形成するとよい。
以上説明したように、本発明によれば、複数の電極グリーンシートを、電極を構成する原料の粉末より形成された接着用スラリーを塗布して形成した接着層で接着して積層し、これらで電極基板を構成するようにしたので、固体酸化物形燃料電池の電極を支持体とした電極支持型単セルを、割れや反りなどの発生が抑制された状態で作製できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
始めに、本発明の実施の形態1について説明する。図1(a)〜図1(j)は、本発明の実施の形態1における固体酸化物形燃料電池の作製方法の1例を説明するための工程図である。
まず、図1(a)に示すように、燃料極を構成する原料粉末のスラリー(電極スラリー)より形成された厚み0.3mmの燃料極グリーンシート101が形成された状態とする。燃料極グリーンシート101は、電極スラリーを所定の板形状(シート状)に成形したものであり、未焼結状態である。
例えば、まず、Sc23とAl23とが添加されたジルコニア(Zr(Sc,Al23)O2、アルミナ添加スカンジア安定化ジルコニア:SASZ)の粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)と、酸化ニッケル(NiO)の粉体(平均粒径1〜8μm)とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,フタル酸ジ−n−ブチル(可塑剤),消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電極スラリーを作製する。電極スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。例えば、有機溶媒の量により粘度を調整すればよく、粘度は、約200Pa・sとすればよい。なお、アルミナ(Al23)の代わりに、酸化セリウム(CeO2)もしくは酸化イットリウム(Y23)が添加されたスカンジア安定化ジルコニアを用いるようにしても良い。これは、電解質においても同様である。
次に、作製した電極スラリーを例えばよく知られたドクターブレード法により成形して電極スラリーの層を形成し、この電極スラリーの層より分散媒体を除去することで乾燥すれば、燃料極グリーンシート101が得られる。分散媒体としては、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒に限らず、トルエン,キシレン,及びケトン系などの他の有機溶媒を用いてもよい。また、有機溶媒に限らず、上記混合粉末が、水に分散されたスラリーを用いるようにしてもよい。例えば、所定の界面活性剤を用いることで、上記混合粉末が水に分散された状態とすることができる。
次に、図1(b)に示すように、形成した燃料極グリーンシート101の上に、燃料極と同じ原料粉末のスラリー(接着用スラリー)よりなる接着層111が形成された状態とする。
例えば、燃料極グリーンシート101と同様のSASZの粉体とNiOの粉体とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコールからなる分散媒体に分散されている接着用スラリーを作製する。接着用スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。ここで、接着用スラリーは、後述するように燃料極グリーンシート101の上に塗布するため、この塗布が均一に行えるように、適宜粘度を設定して用いる。例えば、上述した電極スラリーの70〜80%の低粘度に調整しておけば、均一な塗布面が得られる。また、接着用スラリーでは、後述する理由により、トルエンを用いず、イソプロピルアルコールのみを用いるとよい。
次に、作製した接着用スラリーを、燃料極グリーンシート101の上に塗布することで、接着層111が形成された状態が得られる。例えば、よく知られたドクターブレード法により、接着用スラリーを塗布すればよい。また、スクリーン印刷法により塗布するようにしても良い。
次に、図1(c)に示すように、塗布された接着層111の上に、燃料極グリーンシート102を積層し、燃料極グリーンシート102が燃料極グリーンシート101に接着層111により接着された状態とする。燃料極グリーンシート102は、接着層111が乾燥する前に配置(積層)する。燃料極グリーンシート102は、燃料極グリーンシート101と同様であり、燃料極を構成する原料粉末のスラリーより形成され、厚み0.3mmに成形されたものである。上記状態は、燃料極グリーンシート102が、接着層111により燃料極グリーンシート101に接着された状態である。ここで、例えば、燃料極グリーンシート102に、ローラーを転動させてローラーの自重による荷重を加えるようにしても良い。例えば、1〜3kgのローラーを用いればよい。
なお、前述したように、接着用スラリーには、トルエンを用いずにイソプロピルアルコールを用いたので、燃料極グリーンシート101,燃料極グリーンシート102に皺が発生するなどの問題が発生しない。トルエンが含まれてるスラリーを塗布すると、塗布されたグリーンシートでは、これに含まれているバインダーなどの有機系添加物が溶解し、グリーンシートに皺などを発生させる原因となる。これに対し、接着用スラリーの分散媒体に、有機系添加物をあまり溶解しないイソプロピルアルコールなどのアルコール系の溶媒を用いることで、接着用スラリーを塗布する対象に、皺などを発生させる問題が抑制できる。
次に、図1(d)に示すように、燃料極グリーンシート102の上に、前述同様に、接着層112が塗布された状態とする。接着層112は接着層111と同様であり、燃料極と同じ原料粉末の接着用スラリーを塗布することで形成すればよい。
次に、図1(e)に示すように、塗布された接着層112の上に、前述同様に、接着層112が乾燥する前に、燃料極グリーンシート103が配置(積層)された状態とする。燃料極グリーンシート103は、燃料極グリーンシート101と同様であり、燃料極を構成する原料粉末のスラリーより形成され、厚み0.3mmに成形されたものである。
次に、図1(f)に示すように、燃料極グリーンシート103の上に、前述同様に、接着層113が塗布された状態とする。接着層113は接着層111と同様であり、燃料極と同じ原料粉末の接着用スラリーを塗布することで形成すればよい。
次に、図1(g)に示すように、塗布された接着層113の上に、前述同様に、接着層113が乾燥する前に、燃料極グリーンシート104が配置(積層)された状態とする。燃料極グリーンシート104は、燃料極グリーンシート101と同様であり、燃料極を構成する原料粉末のスラリーより形成され、厚み0.3mmに成形されたものである。
次に、図1(h)に示すように、燃料極グリーンシート104の上に、電解質を構成する原料粉末のスラリー(電解質スラリー)より形成された膜厚10〜15μmの電解質塗布層130が形成された状態とする。
例えば、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)を所定の媒体にバインダーと共に分散させて電解質スラリーを作製する。例えば、エチルセルロース系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがテルピオーネなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電解質スラリーを作製する。この電解質スラリーをスクリーン印刷法により燃料極グリーンシート104の上に塗布(及び乾燥)し、塗布膜が形成された状態とする。この塗布を複数回行って塗布膜を積層させることで、所望とする膜厚の電解質塗布層130が形成された状態とする。
以上のようにして、複数の燃料極グリーンシートが接着層を挟んで積層され、この上に電解質塗布層が形成された後、これら積層体を加熱焼成することで、図1(i)に示すように、燃料極基板120の上に電解質層131が形成されたハーフセルが得られる。燃料極基板120は、焼成する前は燃料極グリーンシートであったグリーンシート部分121と、焼成する前は接着層であった接着層部分122とが交互に積層されたものである。ただし、グリーンシート及び接着層は、いずれも燃料極を構成する原料粉末のスラリーより形成されたものであり、焼成された燃料極基板120は、同一の原料粉末の焼結体から構成されたものとなる。
以上のようにしてハーフセルを形成した後、図1(j)に示すように、電解質層131の上に空気極140が形成された状態とすることで、固体酸化物形燃料電池の単セルが形成された状態が得られる。なお、空気極140は、例えば、Bサイトに鉄(Fe)をドープしたLaNi(Fe)O3よりなる平均粒径1μm程度の粉体の焼結体である。
上述した本実施の形態1の作製方法によれば、積層したグリーンシートに大きな圧力を加えることなく、ハーフセル(単セル)が形成できるので、大きな圧力を加えるホットプレスによる従来の作製方法に比較して、亀裂,割れ,及び層間剥離などの破損の発生を抑制できるようになる。また、本実施の形態1の作製方法によれば、多層に塗布を繰り返して所望の厚膜に形成する場合に発生する単セル(ハーフセル)の反りが、抑制されるようになる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図2(a)〜図2(g)は、本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池の作製方法の1例を説明するための工程図である。
まず、図2(a)に示すように、電解質を構成する原料粉末のスラリー(電解質スラリー)より形成された厚み0.03mmの電解質グリーンシート201が形成された状態とする。電解質グリーンシート201は、電解質スラリーを所定の板形状(シート状)に成形したものであり、未焼結状態である。
例えば、まず、SASZの粉体よりなる原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電解質スラリーを作製する。電解質スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。粘度は、約200Pa・sとすればよい。このようにして作製した電解質スラリーを、例えばよく知られたドクターブレード法により成形して電解質スラリーの層を形成し、この電解質スラリーの層より分散媒体を除去することで乾燥すれば、電解質グリーンシート201が得られる。
次に、図2(b)に示すように、電解質グリーンシート201の上に、燃料極を構成する原料粉末のスラリーより構成された膜厚0.02〜0.04mmの保護層202が形成された状態とする。保護層202は、電解質グリーンシート201の上(主表面)の全域を覆うように形成された状態とする。
例えば、SASZの粉体とNiOの粉体とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている保護層用スラリーを作製する。保護層用スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。
次に、作製した保護層用スラリーを電解質グリーンシート201の上に塗布(及び乾燥)することで、保護層202が形成された状態が得られる。例えば、よく知られたドクターブレード法により、保護層用スラリーを塗布すればよい。また、スクリーン印刷法により塗布するようにしても良い。ここで、保護層202は、0.02〜0.04mmと薄く形成するため、保護層用スラリーに含まれている有機溶媒は、塗布と共に短時間で揮発していくため、トルエンなどの溶媒が含まれていても、下層の電解質グリーンシート201に悪影響を与えることがない。
次に、図2(c)に示すように、形成した保護層202の上に、燃料極と同じ原料粉末のスラリー(接着用スラリー)よりなる接着層211が形成された状態とする。
例えば、保護層202と同様のSASZの粉体とNiOの粉体とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコールからなる分散媒体に分散されている接着用スラリーを作製する。接着用スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。ここで、接着用スラリーでは、トルエンを用いず、また、粘度を後述する電極スラリーの70〜80%と低めに調整する。
次に、作製した接着用スラリーを、保護層202の上に塗布することで、接着層211が形成された状態が得られる。例えば、よく知られたドクターブレード法により、接着用スラリーを塗布すればよい。また、スクリーン印刷法により塗布するようにしても良い。
次に、図2(d)に示すように、塗布された接着層211の上に、燃料極グリーンシート203が配置(接着)された状態とする。燃料極グリーンシート203は、電極スラリーを所定の板形状(シート状)に成形した未焼結状態のものであり、予め用意しておく。また、燃料極グリーンシート203は、接着層211が乾燥する前に、接着層211の上に積層された状態とする。
例えば、まず、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)と、NiOの粉体(平均粒径1〜8μm)とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び分散剤を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電極スラリーを作製する。電極スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。粘度は、約200Pa・sとすればよい。
次に、作製した電極スラリーを例えばよく知られたドクターブレード法により成形して電極スラリーの層を形成し、この電極スラリーの層より分散媒体を除去することで乾燥すれば、燃料極グリーンシート203が得られる。燃料極グリーンシート203は、厚み0.3mm程度に形成する。このようにして得られた燃料極グリーンシート203を、接着層211の上に配置すればよい。この状態は、燃料極グリーンシート203が、接着層211により保護層202(電解質グリーンシート201)に接着された状態である。ここで、例えば、燃料極グリーンシート203に、ローラーを転動させてローラーの自重による荷重を加えるようにしても良い。例えば、1〜3kgのローラーを用いればよい。
なお、前述したように、接着用スラリーには、トルエンを用いずにイソプロピルアルコールを用いたので、燃料極グリーンシート203などに皺が発生するなどの問題が発生しない。トルエンが含まれてるスラリーを塗布すると、塗布されたグリーンシートでは、これに含まれているバインダーなどの有機系添加物が溶解し、グリーンシートに皺などを発生させる原因となる。上述した接着層211によれば、このような問題が発生しない。
次に、上述同様に、接着層211の形成と燃料極グリーンシート203の配置とを繰り返し、図2(e)に示すように、電解質グリーンシート201(保護層202)の上に、4層の燃料極グリーンシート203が、各々接着層211により接着されて積層された状態が得られる。
ここで、接着層211及び燃料極グリーンシート203の形成及び重ね合わせについて、より詳細に説明する。接着層211の形成(塗布)、及びこの上への燃料極グリーンシート203の配設は、図3に示す装置を用いればよい。図3に示す装置は、ドクターブレード法により接着層211を塗布すると共に、この上に燃料極グリーンシート203を配置するようにした装置である。
この装置は、ステージ301を備えこの上に搬送シート302が設けられている。搬送シート302は、ステージ301の一端側に設けられた巻き取り機構303により巻き取られることにより、図において右から左方向に、ステージ301の上を移動可能とされている。また、本装置は、ステージ301の他端に設けられたスラリータンク304に接着用スラリー305が収容され、スラリータンク304の装置中央側にはドクターブレード306が配置されている。スラリータンク304及びドクターブレード306を含む部分により、接着層塗布部が構成されている。加えて、この装置は、送りローラー307及び接着ローラー308を備え、ステージ301の上方より送りローラー307の上に、長尺のグリーンシートが供給可能とされている。
本装置においては、まず、保護層202が形成された電解質グリーンシート201を搬送シート302の上に載置して搬送し、スラリータンク304に収容されている接着用スラリー305を、搬送している電解質グリーンシート201(保護層202)の上に塗布し、接着層211を形成する。この塗布においては、ドクターブレード306の状態(開放状態)などにより、塗布している接着層211の膜厚が制御される。
このようにして接着層211が塗布されている状態で、長尺の燃料極グリーンシート203が、送りローラー307により搬送され、塗布されている接着層211の上に接着ローラー308により押し付けられると共に供給される。このようにして供給される燃料極グリーンシート203は、下層の電解質グリーンシート201,保護層202,及び接着層211と共に、搬送シート302により搬送される過程で、接着層211が乾燥することにより保護層202に接着して固定される。前述した他の三層の燃料極グリーンシート203についても、同様にすれば良い。
また、上述したことにより電解質グリーンシート201(保護層202)及び複数の燃料極グリーンシートが接着・積層された後、これらを適宜所望とする単セルの寸法に切り出し、焼成することで、図2(f)に示すように、燃料極基板220に電解質層230が形成されたハーフセルが得られる。燃料極基板220は、焼成する前は燃料極グリーンシートであったグリーンシート部分221及び焼成する前は接着層であった接着層部分222とが交互に積層された部分と、焼成する前は保護層であった保護層部分223とから構成されたものである。ただし、保護層,グリーンシート,及び接着層は、いずれも燃料極を構成する原料粉末のスラリーより形成されたものであり、焼成された燃料極基板220は、同一の原料粉末の焼結体から構成されたものとなる。
以上のようにしてハーフセルを形成した後、前述した実施の形態1と同様に、電解質層230の上に空気極が形成された状態とすることで、固体酸化物形燃料電池の単セルが形成された状態が得られる。
上述した装置を用いた接着層211の塗布及び燃料極グリーンシート203の接着において、まず、塗布の膜厚は、40〜120μm程度とする。また、ドクターブレード306を含む接着層塗布部により塗布する接着層211の塗布幅は、電解質グリーンシート201及び燃料極グリーンシート203の幅より1〜2mm程度狭くなるようにする。塗布膜厚は、上述した値より薄くすると、均一な塗布が容易ではなくなる。また、塗布膜厚を厚くしすぎ、また、塗布幅を広くしすぎると、塗布した接着層が積層しているグリーンシートの幅方向端部よりはみ出し、材料の無駄が発生すると共に装置の汚染につながり、作業性が低下する。従って、接着層211の形成は、塗布膜厚及び幅を適宜最適な状態として行った方がよい。
次に、接着層塗布部を構成しているドクターブレード306の箇所より、接着ローラー308までの距離は、燃料極グリーンシート203が接触するまでに塗布された接着層211が乾燥しないように、5〜10cm程度としておくことが好ましい。
また、接着ローラー308による押し付けは、接着ローラー308の自重により行う。例えば、接着ローラー308による荷重は、1〜3kgである。これより軽いと、グリーンシート間の接着が不均一になる場合があり、これより重くなると、接着ローラー308を通過する燃料極グリーンシート203の送りが平滑に進行せず、接着層211のうねり発生の原因となる。また、図4に示すように、接着ローラー308及び接着ローラー308’を備えるようにしても良い。この場合、接着ローラー308による荷重は0.5〜1kgとし、接着ローラー308’による荷重は1〜3kgとなるようにすればよい。また、接着ローラー308と接着ローラー308’との間隔は、10〜15cm程度が望ましい。
なお、本実施の形態2における方法で作製した固体酸化物形燃料電池では、燃料電極の組成を厚さ方向に変化させることも可能である。例えば、保護層202は、SASZとNiOを原料粉末としたスラリーから形成し、接着層211及び燃料極グリーンシート203は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)とNiOを原料粉末としたスラリーから構成することで、図2(g)に示すように、燃料極基板220及びこれとは異なる組成(成分)の燃料電極223’とを備えるようにしても良い。この構成とすることで、比較的材料価格が高価ではあるが、導電率が高いSASZが用いられている燃料電極223’は、電解質層230に接触する薄い部分に抑制されるため、高性能な固体酸化物形燃料電池をより低コストに実現することができる。
上述した本実施の形態2の作製方法によれば、積層したグリーンシートに大きな圧力を加えることなく、ハーフセル(単セル)が形成できるので、大きな圧力を加えるホットプレスによる従来の作製方法に比較して、亀裂,割れ,及び層間剥離などの破損の発生を抑制できるようになる。また、本実施の形態1の作製方法によれば、多層に塗布を繰り返して所望の厚膜に形成する場合に発生する単セル(ハーフセル)の反りが、抑制されるようになる。さらに、シート積層及びホットプレスのためにシートを切断する必要がないため、長尺のグリーンシートを用いて積層して接着し、これらより直接成形体を切り出すことで単セル(ハーフセル)の形状を形成できるので、グリーンシートの無駄となる部分が従来方法より抑制できるようになる。このためセルの製造歩留まりが向上し、コストの低減につながると考えられる。また1つのシートを積層する時に生じる基板部の残留応力がほとんどないため、焼結体の反りが抑制され、平板型セルの性能及び信頼性が大きく向上する。
次に、上述した本発明の実施の形態による方法で作製したハーフセルの特性について、比較例との比較により説明する。まず、前述した実施の形態1の作製方法により試料セル1を作製し、実施の形態2の作製方法により試料セル2を作製する。また、比較例として、次に示す2つの比較試料セルを作製する。
[比較例1]
まず、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)と、NiOの粉体(平均粒径1〜8μm)とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び分散剤を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電極スラリーを作製する。電極スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。粘度は、約200Pa・sとすればよい。
また、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)を所定の媒体にバインダーと共に分散させて電解質スラリーを作製する。例えば、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電解質スラリーを作製する。電解質スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。粘度は、約200Pa・sとすればよい。
次に、上述した電極スラリー及び電解質スラリーより、ドクターブレード法により、厚み0.3mmの燃料極グリーンシート及び厚み0.03mmの電解質グリーンシートを作製する。このようにして作製した燃料極グリーンシートを4枚積層し、これをホットプレスして板厚1.2mmの燃料極グリーンシート積層体を形成する。燃料極グリーンシートの積層は、積層面に可塑剤としてのフタル酸ジ−n−ブチルを塗布し、各グリーンシート間の気泡を押し出しながら行った。
このようにして作製した燃料極グリーンシート積層体の上に、上記電解質グリーンシート(1枚)を同様に貼り合わせた。ここで、電解質グリーンシートは、薄いために、ホットプレスを行うと、加圧により破損する恐れがある。このため、燃料極グリーンシート積層体に対して電解質グリーンシートを貼り合わせるときには、加圧をほとんど行わず、燃料極グリーンシート積層体と電解質グリーンシートとを挟んで加熱のみで接着を行う。
以上のようにして、燃料極グリーンシート積層体の上に、電解質グリーンシートを貼り合わせた後、所望の形状に切り出し、これらを焼成し、燃料極支持型のハーフセル(比較試料セル1)を作製した。
[比較例2]
まず、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)を所定の媒体にバインダーと共に分散させて電解質スラリーを作製する。例えば、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び界面活性剤(分散剤)を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電解質スラリーを作製する。電解質スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。次に、上述した電解質スラリーより、ドクターブレード法により、厚み20〜50μmの電解質グリーンシートを作製する。作製した電解質グリーンシートは、乾燥させる。
次に、SASZの粉体(平均粒径0.3〜0.6μm)と、NiOの粉体(平均粒径1〜8μm)とを4:6の重量比で混合した原料粉末に、ポリビニル系のバインダー,可塑剤,消泡剤,及び分散剤を加え、これらがイソプロピルアルコール及びトルエンなどの有機溶媒からなる分散媒体に分散されている電極スラリーを作製する。電極スラリーの作製では、上記各材料をボールミルにより48時間混合してから脱泡して粘度を調整する。粘度は、約200Pa・sとすればよい。
このようにして作製した電極スラリーを、前述した電解質グリーンシートの上にドクターブレード法により塗布し、膜厚300〜600μmの燃料極塗布膜が、電解質グリーンシートの上に形成された状態とし、これを乾燥する。この、電極スラリーの塗布と乾燥とを繰り返し、電解質グリーンシートの上に層厚1.0mm程度の燃料極塗布膜が形成された状態とする。最後に、この積層体を乾燥させた後、所望の形状に切り出し、これらを焼成し、燃料極支持型のハーフセル(比較試料セル2)を作製した。
以上のように作製した試料セル1,2,及び比較試料セル1,2について、各々セルサイズ(直径)60mmφ,100mmφ,120mmφの円盤としたハーフセルを5枚ずつ作製し、これらについて、歩留まりと反り(平坦度)の測定を行った結果とを以下の表1に示す。なお、歩留まりは、ひびや割れなどの破損がない試料セルの数を5で除した値で示している。また、反りは、基準となる平面に対する円盤の中央部の変位量と周辺部の変位量との差(mm)を示している。
Figure 0005032241
表1から明らかなように、比較試料セル1は、100mmφ以上の大口径セルになると、歩留まりが50%未満となり、また反りの値も500μm以上に大きくなる。また、比較試料セル2では、歩留まりは比較試料セル1より改善されるが、大口径セルで特に反りが大きくなっている。これらに対し、本願発明による試料セル1及び試料セル2は、特に大口径セルで歩留まりが高い。試料セル1及び試料セル2では、試験の範囲内では、全く破損が見られなかった。また、本願発明による試料セル1及び試料セル2は、反りが抑制されていることが分かる。特に、電解質の厚みを薄くできる実施例1の手法(試料セル1)では反りは、比較例の1/3以下に抑制された。
なお、上述では、燃料電極を積層して燃料極基板を形成する場合について説明したが、これに限るものではない。本発明は、空気極を支持体とする電極支持型単セルの、空気極基板を形成する場合にも同様に適用可能である。例えば、空気極を構成する原料粉末のスラリー(電極スラリー)より形成された所定の厚みの空気極グリーンシートが形成された状態とし、また、空気電極を構成する原料の粉末より形成された接着用スラリーで接着して積層し、複数の空気極グリーンシートが積層された積層体を形成して空気極基板を作製すればよい。このように作製した積層体の上に電解質スラリーを塗布して電解質塗布層を形成し、これらを焼成してハーフセルを形成すればよい。また、前述した実施の形態2と同様に、電解質グリーンシートの上に、各々接着用スラリーを介して複数の空気極グリーンシートを積層し、これらを焼成してハーフセルを形成しても良い。また、燃料極支持基板もしくは空気極支持基板を焼成して作製してから、電解質の層や一方の電極を形成するようにしても良い。
以上に説明したように、本発明の作製方法によれば、固体酸化物形燃料電池の電極を支持体とした電極支持型単セルを、割れや反りなどの発生が抑制された状態で作製できるようになる。従来、燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池の作製においては、燃料極のセラミックスグリーンシートの積層、ホットプレスにより燃料極基板を形成していたが、このグリーンシートの貼り合わせによる基板の形成では、積層したシートの界面に気泡が残存しやすく、焼結時の破損や剥離の原因となっていた。また、厚み数10μmの電解質薄膜と厚み1mm程度の電極基板のホットプレスによる接着は、プレス圧が不足するとシート剥離が生じ、高すぎると電解質が破損するなどし、最適なプレス条件を選定しなければならないという問題があった。
また、これに代わる方法のひとつにドクターブレードシート上に連続してシートを形成する多層シート成形による方法があるが、この場合、シート間の接着は良好であるが、厚いシートを重ねて形成する場合には、スラリーの乾燥時にグリーンシートの反りが生じやすく、焼結体の歪の原因となっていた。
上述した従来の技術に対し、本発明による固体酸化物形燃料電池の作製方法は、予め作製したグリーンシートを、接着用スラリーを塗布して積層し、接着及び乾燥するものである。この作製方法により、グリーンシートのホットプレスの工程の省略が可能となり、また、多層スラリー積層で問題となったスラリー乾燥工程でのシートの反りの発生が抑制されるようになる。また、ホットプレス工程で問題となっていたシート間の剥離や電解質の破損などを解決することができる。さらに、グリーンシートの積層及びホットプレスのために積層したグリーンシートを切断する必要がないため、積層した長尺シートから直接成形体の大きさを切り出すことが可能となり、グリーンシートの無駄となる部分が従来方法より抑制できるようになる。このため、セルの製造歩留まりが向上し、コストの低減につながると考えられる。また1シート積層時に生じる基板の残留応力がほとんどないため、焼結体の反りが抑制され、平板型セルの性能及び信頼性が大きく向上する。
なお、上述した各平均粒径は、次に示す粒度分布測定条件で測定した値である。測定装置:堀場製作所株式会社製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910型。測定モード:マニュアルフロー式セル測定。測定範囲:0.02μm〜1000μm。分散媒:イオン交換水200ml。分散方法:試料を、上記測定装置内で超音波5分照射して測定を行う。屈折率:1.40−0.00i。
本発明の実施の形態1における固体酸化物形燃料電池の作製方法の1例を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池の作製方法の1例を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池の作製方法で用いる装置の概略構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池の作製方法で用いる装置の概略構成を示す構成図である。 従来よりある作製方法で作製した電極支持型単セルのグリーンシートの積層状態の断面を示す説明図である。
符号の説明
101,102,103,104…燃料極グリーンシート、111,112,113…接着層、120…燃料極基板、121…グリーンシート部分、122…接着層部分、130…電解質塗布層、131…電解質層、140…空気極。

Claims (7)

  1. 固体酸化物形燃料電池の一方の電極を構成する原料の粉末より形成された電極スラリーを成形して乾燥することで電極グリーンシートが形成された状態とする電極グリーンシート形成工程と、
    複数の前記電極グリーンシートの各々を、前記一方の電極を構成する原料の粉末より形成された接着用スラリーを塗布して形成した接着層で接着して積層し、複数の前記電極グリーンシートが前記接着層を介して積層された積層体が形成された状態とする接着積層工程と、
    前記積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とする工程と、
    前記電解質の層の上に前記固体酸化物形燃料電池の他方の電極が形成された状態とする工程と
    を少なくとも備え、
    前記接着積層工程においては、前記接着層が乾燥する前に前記電極グリーンシートの積層を行う
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  2. 請求項1記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記積層体の上に、前記電解質を構成する原料の粉末より形成された電解質スラリーを塗布して電解質塗布層が形成された状態とし、
    この後、前記積層体及び電解質塗布層を焼成することで、前記積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とする
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  3. 請求項1記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記電解質を構成する原料の粉末より形成された電解質スラリーを成形して乾燥することで電解質グリーンシートが形成された状態とし、
    前記電解質グリーンシートの上に前記接着用スラリーを塗布して前記接着層を形成し、この後、前記電解質グリーンシートの上に、複数の前記電極グリーンシートの各々を前記接着層で接着して積層し、前記積層体が形成された状態とする前記接着積層工程を行い、
    前記電解質グリーンシート及び接着層で接着して積層された前記積層体を焼成することで、前記積層体よりなる電極基板の上に電解質の層が形成された状態とする
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  4. 請求項3記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記電解質グリーンシートの上に、前記一方の電極を構成する原料の粉末より形成された保護層用スラリーよりなる保護層が形成された状態とした後、前記接着用スラリーを塗布して前記接着層を形成し、
    前記電極基板を、前記保護層,複数の前記電極グリーンシート,及び複数の前記接着層より構成する
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  5. 請求項4記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記一方の電極は、燃料極であり、
    前記保護層は、スカンジア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした保護層スラリーより形成し、
    前記電極グリーンシートは、イットリア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした電極スラリーより形成し、
    前記接着層は、イットリア安定化ジルコニアとNiOとの混合粉体を原料粉末とした接着用スラリーより形成する
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記接着用スラリーは、分散媒体にアルコール系溶媒が用いられている
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の作製方法において、
    前記接着用スラリーは、前記電極スラリーより低粘度に形成する
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作製方法。
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