以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る自走式リサイクル機械である自走式土質改良機の全体構造を表す側面図、図2は平面図である。本実施の形態において、特に断り書きのない場合は図1及び図2中の左側を一方側、右側を他方側と記載する。また、図1及び図2の右側を機体の前方、左側を後方とする。
図1及び図2に示した自走式土質改良機は、自力走行するための走行体1、処理対象土砂(リサイクル原料)を受け入れるためのホッパ12、ホッパ12の上部に設けられホッパ12に投入される土砂から所定粒度以上の大塊や異物を除去する振動篩31、ホッパ12に受け入れられた土砂を搬送するフィーダである搬送コンベヤ13、土砂に土質改良材を供給する土質改良材供給装置14、土砂と土質改良材を混合処理する処理装置としての混合装置19、混合装置19から排出された改良土を搬送し機外に排出するコンベヤ(排出コンベヤ)26、及び各搭載機器の動力源等を内蔵した動力装置21を備えている。
走行体1は、左右一対の走行装置2、及び走行装置2の上部に設けたほぼ平行に前後方向に延在する左右一対の本体フレーム3で構成されている。走行装置2は、本体フレーム3の下部に連設したトラックフレーム4、トラックフレーム4の両端にそれぞれ設けた従動輪(アイドラ)5及び駆動輪6、従動輪5及び駆動輪6に掛け回した履帯(無限軌道履帯)7、駆動輪6に直結した走行用の駆動装置(油圧モータ)8を備えている。なお本例では、履帯7を有するクローラ式の走行装置2を例示しているが、いわゆるホイール式の走行装置を用いることもできる。
左右の本体フレーム3の上部にはそれぞれ支持ポスト9a〜9dが立設されており、これら支持ポスト9a〜9dによって、本体フレーム3の長手方向の一方側の上方に配置した支持フレーム10及び本体フレーム3の長手方向のほぼ中央部の上方に配置した支持フレーム11が支持されている。
振動篩31は、支持フレーム10にばね32を介し支持されており、前方に比して後方が低くなっている。加振装置34によって振動すると、振動篩31に投入された土砂に含まれる種々の大きさの成分のうち、格子部材33の目以上のものを後方側へと流下させて排出し、格子部材33の目よりも小さな土砂成分を選別して下方のホッパ12へと導入するようになっている。
ホッパ12は、上下が開口した枠型の部材であって上方に向かって拡開するように形成されている。このホッパ12は、支持フレーム10を介して本体フレーム3の長手方向の一方側に支持されている。搬送コンベヤ13は、ホッパ12の下方から後述する混合装置19の入口(不図示)の上方に延在するように左右の支持ポスト9b〜9dの間に支持されている。なお、振動篩31を介してホッパ12に土砂が投入される構成を例示したが、振動篩31を省略して直接土砂がホッパ12に投入される構成でも良い。
土質改良材供給装置14は、土質改良材を貯留する貯留タンク15、及び貯留タンク15内の土質改良材を搬送コンベヤ13上の土砂に供給するロータリフィーダ(スクリューフィーダでも良い)16を備えており、上記支持フレーム11を介し本体フレーム3のほぼ中央部上に配設されている。機体幅方向の片側(本例では左側)には、この土質改良材供給装置14の側方には位置するようにクレーン18が配設されている。このクレーン18は、土質改良材を充填した例えばフレキシブルコンテナ(トンパック)等を貯留タンク15の上方に吊るし、フレキシブルコンテナ内の土質改良材の貯留タンク15への充填を補助するのに用いられる。土質改良材としては、生石灰、フライアッシュ(火力発電所で生成される石炭灰)とセメントとの混合物、生石灰とセメントと石膏との混合物等、石灰系の固化材、凝集剤等が用いられる。
混合装置19は、搬送コンベヤ13から導入された土砂及び土質改良材をパドルミキサ(不図示)によって混合し処理物としての改良土を生成するものであって、ロータリフィーダ16の下方に位置するように本体フレーム3の長手方向ほぼ中央上に設けられている。混合装置19で生成された改良土は排出コンベヤ26上に排出される。
動力装置21は、本体フレーム3の長手方向の他方側の端部に支持部材22を介して支持されている。図2に示すように、動力装置21の後方側の区画には運転席23が設けられている。この運転席23には、走行装置2を操作する図示しない操作レバー等が備えられている。また、機体側面の運転席23の下方位置には、走行装置2を除く混合装置19等の各機器を操作する操作盤(不図示)が設けられている。
排出コンベヤ26は、コンベヤフレーム43と、コンベヤフレーム43の前後両端にそれぞれ回転自在に取り付けた図示しない駆動輪20及び従動輪(不図示)と、これら駆動輪20及び従動輪に掛け回した搬送ベルト41と、駆動輪20に連結した駆動装置27と、コンベヤフレーム43に前後方向に所定のピッチで設けられ搬送ベルト41の搬送面(改良土を搬送する面)を裏側から支持するベルト支持ローラ42とを備えており、駆動装置27によって搬送ベルト41を循環駆動させて搬送ベルト41上の改良土を機外に搬出する。この排出コンベヤ26は、混合装置19の下方から本体フレーム3の長手方向の他方側に向かって所定距離ほぼ水平に延在した後、動力装置21の下方付近から上り傾斜に延在しており、上流部分(図1中の左側部分)は図示しない支持部材を介して本体フレーム3に、下流側部分(図1中の右側部分)は支持部材29を介して動力装置21に、それぞれ吊り下げ支持されている。この排出コンベヤ26には、排出コンベヤ26により搬送される処理物の搬送量(ベルト単位長さ当たりの搬送物重量)を作業量として検出する作業量検出器が配設されている。
図3は排出コンベヤ26に設けた作業量検出器の構造を表す図である。
図3に示した作業量検出器40は、いわゆるコンベヤスケールであり、一対のベルト支持ローラ42,42の概略中間位置に設けられている。この作業量検出器40は、コンベヤフレーム43上に立設したスタンド45と、スタンド45に軸46を介して揺動自在に軸支され、搬送ベルト41の進行方向に延びる揺動板47と、揺動板47の一端側にブラケット48を介して回転自在に取り付けられ、搬送ベルト41の搬送面の裏面に転動するベルト荷重伝達用のローラ49と、揺動板47の他端側上部に当接するように設置され、ローラ49を介して搬送ベルト41からの力を受けて矢印方向に揺動する揺動板47の他端側から受ける荷重を検出する荷重センサ(ロードセル等)50を備えている。
上記構成により、作業量検出器40の前後のベルト支持ローラ42,42の間の区間において、搬送される改良土の重量によって撓むコンベヤベルト41にローラ49に矢印D方向の押圧力(押し下げ力)が作用すると、矢印U方向(上方向)に揺動しようとする揺動板47の他端側が荷重センサ50を付勢する。荷重センサ50は、揺動板47からの押圧力を荷重として計測し、検出信号を制御装置110(後の図4参照)に出力する。制御装置110では、後述するように作業量検出器40からの検出信号と排出コンベヤ26の駆動装置27の駆動速度(改良土搬送速度)とを基に、排出コンベヤ26で搬送される単位時間当たりの改良土の搬送重量が算出される。
図4は排出コンベヤ26及び搬送コンベヤ13に係る部分を抽出して表す油圧回路図である。
図4に示すように、本実施の形態の自走式土質改良機に備えられた油圧駆動装置は、エンジン(不図示)により駆動される油圧ポンプ100と、上記排出コンベヤ用油圧モータ27と、排出コンベヤ用油圧モータ27への圧油の流れ(方向・流量)を制御するコントロールバルブ102と、搬送コンベヤ13を駆動する搬送コンベヤ用油圧モータ103と、搬送コンベヤ用油圧モータ103への圧油の流れ(方向・流量)を制御するコントロールバルブ104と、上記制御装置110と、上記作業量検出器40と、排出コンベヤ26による改良土の搬送速度(排出速度)を検出する排出速度検出器112と、目標作業量(排出コンベヤ26による単位時間当たりの改良土の搬送量(搬出重量))を設定する作業量設定器121と、搬送コンベヤ13による土砂の搬送速度を設定する供給速度設定器122とを備えている。
排出速度検出器112には、排出コンベヤ用油圧モータ27に設けた回転数検出器、或いは搬送ベルト41の進行方向に並ぶ溝(不図示)からパルス信号を検出しベルト移動速度を検出するパルス検出器等が使用できる。
作業量設定器121は目標作業量を設定するものであるが、排出コンベヤ26の駆動速度は主に作業量設定器121による設定値によって定まるので、排出コンベヤ26の駆動速度の設定手段としての側面も有する。実際の現場で管理項目として重要視されるのは作業量であるため、ユーザーフレンドリーの観点からより直感的なインターフェースとなるように作業量を設定するようにしてある。具体的には、例えば“大作業量モード”“中作業量モード”“小作業量モード”等の作業モードを選択するダイヤルやボタン等の操作手段が図示しない操作盤に設けられていて、その操作に応じて制御装置110で排出コンベヤ26の駆動速度が後述するように設定される。
供給速度設定器122は、操作者が搬送コンベヤ13の駆動速度を手動入力するためのもので、例えば作業量設定器122とともに図示しない操作盤に設けられている。ここでは供給速度設定器121で搬送コンベヤ121の駆動速度を直接設定する場合を例に挙げているが、排出コンベヤ26と同じように直接その駆動速度を設定するのではなく、例えば“大供給量モード”“中供給量モード”“小供給量モード”等といったように供給速度設定器121で供給量を設定し、その設定に応じて搬送コンベヤ13の駆動速度が制御装置110により制御される構成とすることもできる。
図4に示した油圧回路では、制御装置110からの信号S102,S104によってコントロールバルブ102,104が遮断位置102a,104aから連通位置102b,104bに切り換えられると、コントロールバルブ102,104を介して油圧ポンプ100から吐出された圧油がそれぞれ油圧モータ27,103に供給され、これにより排出コンベヤ26及び搬送コンベヤ13が駆動する。油圧モータ27,103からの戻り油は、それぞれコントロールバルブ102,104を介してタンク101に戻される。
図5は制御装置110の機能ブロック図である。
図5に示すように、制御装置110は、排出コンベヤ26や搬送コンベヤ13等の制御プログラムや必要な定数等を格納した記憶部141と、排出コンベヤ26の駆動速度(指令値)を演算する排出速度演算部142と、排出速度演算部142からの指令値に従って排出コンベヤ26を駆動制御する排出コンベヤ制御部143と、作業量検出器40及び排出速度検出器112からの検出信号を基に作業量(改良土の単位時間当たりの排出量)を演算する作業量演算部144と、供給速度設定器122に入力された搬送コンベヤ13の駆動速度の設定値を基に搬送コンベヤ13の駆動速度(指令値)を演算する供給速度演算部145と、供給速度演算部145からの指令値に従って搬送コンベヤ13を駆動制御する搬送コンベヤ制御部146と、排出コンベヤ26の基準排出速度を補正する排出速度補正演算部147と、搬送コンベヤ13の基準供給速度を補正する供給速度補正演算部148とを備えている。
記憶部141は、主な記憶領域として、作業量検出器40の基準検出値を含む基準検出範囲を記憶した基準検出値記憶部141aと、排出コンベヤ26の最小排出速度を記憶した最小排出速度記憶部141bと、排出コンベヤ26の基準排出速度を記憶した基準排出速度記憶部141cと、搬送コンベヤ13の基準供給速度を記憶した基準供給速度記憶部141dと、排出コンベヤ26の最大排出速度を記憶した最大排出速度記憶部141eとを備えている。
基準検出値記憶部141aに記憶された基準検出値は、作業量検出器40の検出容量(検出可能範囲)の中の値であって、作業量検出器40の検出精度の信頼性を考慮した場合に、検出容量の中で検出値として信頼性の最も高い又は十分な信頼性を有する値である。それに対し、基準検出値記憶部141aに記憶された基準検出範囲は、基準検出値を含み作業量検出器40の検出容量の中で検出精度の信頼性を考慮して予め設定された値の領域であり、制御閾値として幅を持たせるための領域である。例えば基準設定値の上下に基準検出範囲の上限値と下限値を設定しても良いし、基準検出範囲の上限値又は下限値を基準検出値とする設定であっても良い。
最大排出速度記憶部141eに記憶された最大排出速度は、文字通り排出コンベヤ26の最大速度であり、例えば排出コンベヤ26の駆動速度として性能又は運転管理上の観点から許容できる最大速度、或いは排出コンベヤ用駆動装置27の仕様(定格速度)等を考慮して予め設定された値である。
最小排出速度記憶部141bに記憶された最小排出速度は、文字通り排出コンベヤ26の最小速度であり、例えば排出コンベヤ26の駆動速度として性能又は運転管理上の観点から許容できる最小速度、或いは排出コンベヤ用駆動装置27の仕様(定格速度)等を考慮して予め設定された値である。
基準排出速度記憶部141cに記憶された基準排出速度は、排出コンベヤ26が作業量設定器121で設定された目標作業量の改良土を搬送することを前提として、作業量検出器40の検出値が基準検出値となるように設定された排出コンベヤ26の速度であり、対応する目標作業量と関連付けられ記憶されている(データテーブル等)。このとき、例えば作業量検出器121で“大作業量モード”を設定しても、供給速度設定器122の設定値が低過ぎて“大作業量モード”で想定される作業量が確保できない場合も想定されるが、基準排出速度記憶部141cに記憶された先のデータテーブルには、処理対象土砂の供給速度も関連付けられている。例えば目標作業量に応じた基準排出速度で実際に作業量検出器40の検出値が基準検出値近辺の値となるようにするには、処理対象土砂の供給量が一定の範囲に納まっている必要がある。したがって、例えば先の目標作業量と基準排出速度の組み合わせの各データテーブルに供給速度の許容範囲を関連付けておき、設定供給速度が目標作業量に応じた基準排出速度で基準検出値を得るための許容範囲内の値であれば供給速度設定器122の設定値通りの速度で搬送コンベヤ13が駆動し、設定供給速度が許容範囲から外れていればその許容範囲内で最も設定供給速度に近い値で搬送コンベヤ13が駆動するようにする。なお、目標作業量よりも供給速度を重視する場合には、供給速度を優先し、基準排出速度側を調整して基準検出値が得られるようにすることも考えられる。
基準供給速度記憶部141dに記憶された基準供給速度は、供給速度設定器122で設定された供給量の処理対象土砂を搬送するように設定された搬送コンベヤ13の速度であり、対応する供給量と関連付けて記憶されている(データテーブル等)。
排出速度演算部142は、作業量設定器121で設定された目標作業量と供給速度設定器122で設定された処理対象土砂の供給速度を入力し、基準排出速度記憶部141cの記憶情報を基に排出コンベヤ26の基準排出速度を演算し、それを指令値として排出コンベヤ制御部143に出力する。なお、基準排出速度で基準検出値を検出する上で、基準排出速度と供給速度にアンバランスが生じた場合、排出速度を優先し供給速度を調整するなら設定供給速度を排出速度演算部142に入力する必要は必ずしもない。供給速度を許容範囲内で最大限調整しても基準検出値を検出するに至らない場合、供給速度を許容範囲内で最大限調整した条件で基準検出値が検出されるように基準排出速度を調整する構成とすることもできる。
排出コンベヤ制御部143は、排出速度演算部142で演算された基準排出速度が最小排出速度以上で最大排出速度以下である場合は演算された基準排出速度を基に、演算された基準排出速度が最小排出速度より小さい場合は最小排出速度を基に、演算された基準排出速度が最大排出速度より大きい場合は最大排出速度を基に、制御信号S102を生成して排出コンベヤ用油圧モータ27を制御するコントロールバルブ102に出力する。これにより、排出コンベヤ26の駆動速度が制御される。
供給速度演算部145は、供給速度設定器122で設定された設定供給速度、排出速度演算部142で演算された基準排出速度及び基準供給速度演算部141dの記憶情報を基に搬送コンベヤ13の駆動装置103への指令値を算出し、搬送コンベヤ制御部146に出力する。先述したように、例えば目標作業量に応じて算出された排出コンベヤ26の基準排出速度に対し、基準検出値を検出し得る供給速度の許容範囲内に設定供給速度が収まっていれば供給速度設定器122による設定供給速度を指令値として搬送コンベヤ制御部13に出力する。反対に、設定供給速度が許容範囲外であれば、許容範囲の値のうち設定供給速度に最も近い値を指令値として搬送コンベヤ制御部13に出力する。前出の説明に重複するが、供給速度を優先する場合には、供給速度は供給速度設定器122による設定通りに指令され、基準排出速度側の速度調整で基準検出値近辺の検出値を得ることを前提に供給と排出の速度をバランスさせることも考えられる。
搬送コンベヤ制御部146は、供給速度演算部145からの指令値を基に制御信号S104を生成し、搬送コンベヤ用油圧モータ103を制御するコントロールバルブ104に出力する。これにより、搬送コンベヤ13の駆動速度が制御される。
排出速度補正演算部147は、作業量設定器121及び供給速度設定器122の設定値に応じて排出速度演算部142により算出された基準排出速度で運転中に、例えば処理対象土砂の投入作業の状態に応じて生じる供給量の変動に起因し、作業量検出器40による検出値(ベルト単位長さ当たりの搬送重量)が低下して基準検出値記憶部141aに記憶した基準検出範囲の下限値を下回った場合には、排出コンベヤ26の基準排出速度をそれよりも遅い補正速度に減じて減速運転に移行させる。また、反対に、運転中に作業量検出器40による検出値が増大して基準検出値記憶部141aに記憶した基準検出範囲の上限値を上回った場合には、排出コンベヤ26の搬送速度をそれよりも速い補正速度に上げて増速運転に移行させる(詳細は後述)。さらに、供給速度設定器122による設定供給速度が排出コンベヤ26の駆動速度(排出速度)の割に遅い場合、排出コンベヤ26上の改良土の減少により作業量検出器40の精度低下が起こり得るため、運転中に供給速度設定器122の操作があった場合、設定供給速度の増減に合わせて排出コンベヤ26の基準排出速度を増減させる機能を排出速度補正演算部147、或いは排出速度演算部142に付加しても良い。
供給速度演算補正部148は、排出速度演算補正部147によって排出コンベヤ26の搬送速度が調整されてもなお作業量検出器40による検出値が基準検出範囲の下限値を下回る場合に、搬送コンベヤ13の駆動速度をそれよりも設定量だけ上げて増速運転に移行させる。反対に、排出速度演算補正部147によって排出コンベヤ26の搬送速度が調整されてもなお作業量検出器40による検出値が基準検出範囲の上限値を上回る場合に、搬送コンベヤ13の駆動速度をそれよりも設定量だけ下げて減速運転に移行させる。
作業量演算部144は、作業量検出器40で検出された排出コンベヤ26による改良土の搬送量と排出速度検出器112で検出された排出コンベヤ26による改良土の搬送速度から作業量(改良土の単位時間当たりの排出量)を演算し、演算結果を例えば操作盤(不図示)に設けたモニタ等の作業量表示装置150に表示させる。
なお、特に図示していないが、制御装置110は、供給速度設定器122による設定供給速度に応じて土質改良材供給装置14のロータリフィーダ16の駆動速度を制御する。すなわち、土砂供給速度が大きい場合にはそれに見合う土質改良材添加量を確保するためロータリフィーダ16の駆動速度を上げ、土砂供給速度が低下した場合にはロータリフィーダ16の駆動速度を下げる。したがって、供給速度設定器122の設定値に応じてロータリフィーダ16の駆動速度が制御されることとなるが、ロータリフィーダ16の駆動速度は、土砂供給速度の設定値が予め与えた閾値に対して大きいか小さいかによって段階的に制御されるようにしても良いし、閾値を用いず土砂供給速度に応じて無段階に変動する構成としても良い。
図6は制御装置110による排出コンベヤ26の駆動速度の制御概念を表す説明図である。図6においては、時間当たりの改良土の生産量(搬出量)を作業量として横軸に、作業量検出器40の出力(検出信号)を縦軸に採ってある。
前述したように、例えば運転開始時の作業量設定器121・供給速度設定器122の設定に応じて排出速度演算部142により算出される基準排出速度の幾つかをV1,V2,V3(V1>V2>V3)と示す。ここでは、基準排出速度V1は作業量設定器121で“大作業量モード”が設定された場合(若しくは作業量W1が選択された場合)の速度、基準排出速度V2は“中作業量モード”が設定された場合(若しくは作業量W2(<W1)が選択された場合)の速度、基準排出速度V3は“小作業量モード”が選択された場合(若しくは作業量W3(<W2)が選択された場合)の速度とする。これら基準速度V1〜V3は、排出コンベヤ26の最大速度Vmaxよりも小さな値であり、なおかつ作業量検出器40で基準検出値F1近辺の値が検出されることを想定した値である。
なお、例えば作業量設定器121で目標作業量を任意に設定できる構成とした場合、設定した目標作業量Wng1が小さ過ぎ、設定供給速度を最小にしても最小速度Vminよりも小さな排出速度Vng1でなければ作業量検出器40の検出値を基準検出値F1程度に抑えることができない場合、排出速度演算部142は、基準排出速度を最小速度Vminに設定する。また、設定した目標作業量が大き過ぎ、設定供給速度Wng2を最大にしても最大速度Vmaxよりも大きな排出速度Vng2でなければ作業量検出器40の検出値を基準検出値F1程度に抑えることができない場合、排出速度演算部142は、基準排出速度を最大速度Vmaxに設定する。
次に排出速度補正演算部147による基準速度の補正制御について説明する。
まず、作業量検出器40の検出値には、基準検出値F1を含む基準検出範囲F1min〜F1maxが設定されている。本例ではF1min<F1<F1maxの設定となっているが、F1=F1min又はF1=F1maxであっても良い。例えば運転開始時に排出速度演算部142で基準排出速度V3が算出された場合、基準排出速度V3で排出コンベヤ26の運転を開始した後、実際に作業量検出器40で検出される搬送量が基準検出範囲の下限値F1minを下回った場合には、排出速度補正演算部147は基準排出速度を、その時点で検出される搬送量で基準検出値F1近辺の値が得られる補正速度V3Lに減じる。逆に、作業量検出器40で検出される搬送量が基準検出範囲の上限値F1maxを超えた場合には、排出速度補正演算部147は基準排出速度を、その時点で検出される搬送量で基準検出値F1近辺の値が得られる補正速度V3Hに上げる。
続いて、基準排出速度F1の補正と作業量検出器40の検出精度の関係を、作業量検出器40の仕様を含めて説明する。
まず、作業量検出器40には検出誤差がある。この誤差率Eは、許容容量Fmaxに対する誤差率をeとした場合、
E=e×Fmax・・・(1)
で表される。
図6に示したように、排出コンベヤ26の搬送速度がV3の場合、作業量が0(ゼロ)のときの作業量検出器40の出力をF0、作業量W3のときの作業量検出器40の出力を基準検出値F1、作業量検出器40の検出容量の上限値をFmaxとした場合、作業量W3における作業量検出器40の出力の誤差率e1は、
e1=e×Fmax/(F1−F0)・・・(2)
で表される。
同様に、排出コンベヤ26の搬送速度がV3の場合、作業量W3’(<W3)における作業量検出器の出力をF1’(<F1)としたとき、作業量W3’における作業量検出器40の出力の誤差率e2は、
e2=e×Fmax/(F1’−F0)・・・(3)
で表される。
式(2)(3)を比較して判る通り、作業量W3’のときの作業量検出器40の誤差率e2は作業量W3のときの誤差率e1に比べて増加し、改良土の生産量の変動により排出コンベヤ26による改良土の搬送量がさらに減少した場合には、作業量検出器40の出力誤差がさらに増加する可能性がある。つまり、許容容量Fmaxに対して測定対象の改良土の搬送量が小さくなるにつれ出力の誤差率が増すので、測定値の信頼性の低下が懸念される。
この場合、排出コンベヤ26による改良土の搬送速度を遅くしてやれば、混合装置19からの改良土の排出速度は同じでも、排出コンベヤ26上の改良土の層厚が増し、改良土の搬送量すなわちベルトの単位長さ当たりの改良土の重量が増加する。図6の例では、排出コンベヤ26による改良土の搬送速度をV3L(<V3)に減速することにより、作業量W3’のときの出力がF1’(<F1min)からF1(>F1min)に増加し、同示に誤差率もe1に減少する。これにより、改良土の搬送量低下に伴う作業量検出器40の出力精度の低下を抑制することができ、一定の精度が保証される。
一方、土砂供給量が増加して検出値が基準検出範囲の上限値F1maxを超えるような場合には、誤差率は必ずしも増大しないが、基準検出範囲は最大検出値Fmax近くに想定されるため、作業量検出値が最大検出値Fmaxを超えないように上限値F1maxを超えた場合には基準排出速度を増速する。
なお、補正速度はV3L,V3Hのように特定の基準排出速度に対して上下に1つずつでなく、その後の更なる作業量検出値の変動に応じて順次基準排出速度が増減する構成とすることができる。また、段階的でなく、搬送量の検出値の増減に伴って、排出コンベヤ26の駆動速度が無段階に増減する構成とすることも考えられる。
次に上記構成の自走式土質改良機の動作及び作用を順次説明する。
上記構成の自走式土質改良機において、油圧ショベル等の投入重機等によって建設作業現場等で発生した土砂がホッパ12に投入されると、土砂は搬送コンベヤ13によって混合装置19に供給される。混合装置19では、搬送コンベヤ13からの土砂が土質改良材供給装置14からの土質改良材とともに撹枠混合され、一般建設残土と同等の強度を有する改良土に改質される。混合装置19から排出された改良土は排出コンベヤ26によって機外に搬出され、例えばトラックの荷台等の所定の場所に堆積する。
排出コンベヤ26や搬送コンベヤ13の駆動速度は、作業量設定器121や供給速度設定器122の設定に応じて、基準検出値F1程度の値が作業量検出器40で検出されるように制御装置110で自動設定される。その後、運転中の供給量の変動等によって作業量検出器40の検出値が基準検出範囲F1min〜F1maxを外れるような場合には、排出速度補正演算部147によって基準排出速度が調整される。
本実施の形態によれば、前述したように目標作業量等を設定することで作業者が排出コンベヤ26の基準排出速度を調整することができ、目標作業量を信頼性の高い検出領域(基準検出値、或いは基準検出領域)で検出することができるので、運転中の作業量の検出結果の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態の自走式土質改良機は走行体1を備えているため、現場に搬入された後は現場内を自走して比較的狭隘な場所にも入り込むことができ、処理対象土砂の発生現場付近へのレイアウトの自由度が高い。このことから、事前に処理対象土砂の性状や処理量が概ね判っている定置式の固定プラントに比べ、自走式土質改良機の処理対象土砂はその発生現場に行ってみて詳細が判る場合がある。そのため、ホッパ12への土砂の投入も不規則かつ間欠的で搬送コンベヤ13や排出コンベヤ26を一定の設定速度で駆動していても、土砂の供給速度が安定せず改良土の搬送量が変動し易い場合がある。
本実施の形態では、前述したように運転開始時に基準排出速度が適当に設定されることで一定の作業量の検出結果の信頼性が確保されるが、運転中の負荷変動等によって改良土の搬送量が変動すると、誤差率の増加により前述したような作業量検出器40による改良土の搬送量の検出値の信頼性の低下が懸念される。このような場合、改良土の搬送量の変動に応じて排出コンベヤ26の駆動速度を増減することにより、作業量検出器40の出力に一定の信頼性を伴う入力値となるように改良土搬送量が調整されるので、作業量の変動に柔軟に対応し排出コンベヤの搬送物重量の検出精度の低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、排出速度や供給速度の設定に関係する設定器として作業量設定器121及び供給速度設定器122を備えた構成を例に挙げて説明したが、供給速度設定器122は省略することができる場合もある。供給速度設定器122は、搬送コンベヤ13の駆動速度を手動入力するためのものであるが、処理対象物の性状が一定であれば搬送コンベヤ13の駆動速度と作業量との間には一定の関係性があり、搬送コンベヤ13の駆動速度を上げると作業量が増大し、搬送コンベヤ13の駆動速度を下げると作業量も減少する。この関係性を利用して、供給速度を別途設定せずとも作業量設定器121の設定に応じて搬送コンベヤ13の駆動速度が設定される構成とすることができる。より具体的には、基準供給速度記憶部141dに搬送コンベヤ13による土砂の供給速度と目標作業量とを関連付けて記憶しておき、作業量設定器121で設定された目標作業量に対する搬送コンベヤ13の基準供給速度を基準供給速度記憶部141dの記憶情報を基に供給速度演算部145で演算し、演算された基準供給速度を基に搬送コンベヤ制御部146で搬送コンベヤ13を駆動制御する。こうすることで、作業量設定器121を設定するだけで、搬送コンベヤ13の駆動速度が排出コンベヤ26の駆動速度とともに設定されるので、設定作業がより簡便になる。また、例えば作業量設定器121を“大作業量モード”に設定し、供給速度設定器122を“小作業量モード”に設定するといった矛盾した組合せが生じなくなるため、制御ロジックを簡素化することができる。
図7は本発明の第2の実施の形態に係る自走式リサイクル機械の排出コンベヤ26に備えられた作業量検出器の構造を表す図である。
第1の実施の形態では、作業量検出器として排出コンベヤ26上の改良土の搬送重量を検出するコンベヤスケールを例示したが、図7に示したように排出コンベヤ26上の改良土の搬送体積を検出する種の検出器に代えても同様の効果を得ることができる。
図7に示した作業量検出器200は、搬送される改良土の上方から改良土表面までの距離を測定することにより被接触で改良土の高さを検出するものである。この作業量検出器200は、搬送ベルト41を跨ぐようにコンベヤフレーム43に取り付けたフレーム202と、排出コンベヤ26の搬送ベルト41の搬送面に対面するようにフレーム202に取り付けた複数の超音波センサ201とを備えている。本実施の形態においては、搬送ベルト41の搬送方向と直交する方向において、それぞれベルト幅の中間位置とその左右両側に同じ距離だけ離間した位置に計3つの超音波センサ201が設けられている。超音波センサ201は、搬送ベルト41に向けて超音波パルスを発振してから、搬送ベルト41上の改良土の表面からの反射エコーを受信するまでの時間を測定し、制御装置110の排出速度演算部142に出力する。排出速度演算部142では、超音波センサ201からの信号を基にベルト上の改良土の厚みを演算し、さらにベルト幅を乗じて算出した改良土の断面積に排出コンベヤ26の搬送速度を乗じることで、単位時間当たりの改良土の搬送体積が算出される。第1の実施の形態では改良土の搬送重量に対して閾値を設けたが、これと同じ要領で本実施の形態では搬送体積に閾値を設けて排出コンベヤ26の搬送速度を制御することで、第1の実施の形態と同等に排出コンベヤ26を制御することができる。
なお、超音波センサ201の場合、搬送ベルト41上の改良土の高さを検出するので、測定精度を上げるには改良土の重量による搬送ベルト41の撓み量を抑制する必要がある。したがって、第1の実施の形態に比して搬送ベルト41に剛性の高いものを用い、超音波センサ201のフレーム202の前後に位置する2つのベルト支持ローラ42(図7に図示したローラ42)の間隔を狭めることが好ましい。この点は図8〜図10で後述する例においても同様である。また、超音波センサ202は3個に限定されず、2個以下でも良いし4個以上でも良い。検出精度は、超音波センサ202の数が多いほど向上する。
このような改良土の体積を基に改良土の搬送量を検出する場合でも、超音波検出器202による検出結果には一定の誤差が含まれているため、検出精度の高い領域(基準検出値等)近辺で搬送量が検出できれば、その検出結果の信頼性を向上させることができる。さらには、この種のセンサでも、改良土の搬送量が減少すると前出の式(2)(3)を比較して説明したのと同じ理由により検出値に対する誤差率が増す恐れがあるが、作業量検出器200の検出値と基準検出範囲との比較によって排出コンベヤ26の駆動速度を増減することにより、一定の検出精度を確保することができる。
図8及び図9は本発明の第3の実施の形態に係る自走式リサイクル機械の排出コンベヤ26に備えられた作業量検出器の構造を表す図である。
本実施の形態で用いる作業量検出器210は、排出コンベヤ26上の改良土の高さを検出する接触式の高さ検出器を用いたものである。この作業量検出器210は、コンベヤフレーム43上に立設した図示しないフレームに取り付けたエンコーダ211と、エンコーダ211の入力軸212に回転円板213を介して取り付けた検出ロッド214とを備えている。検出ロッド214は搬送ベルト41に向かって垂設されており、排出コンベヤ26上の改良土の表面に当接し改良土の搬送に応じて鉛直状態に対する角度θが変化する。この検出ロッド214の角度θが制御装置110の排出速度演算部142に出力される。排出速度演算部142では、エンコーダ211からの信号を基にベルト上の改良土の厚みを演算し、さらにベルト幅と排出コンベヤ26の搬送速度を乗じることで、単位時間当たりの改良土の搬送体積が算出される。
このようなセンサを用いる場合も、検出精度の高い領域(基準検出値等)近辺で搬送量が検出できれば、その検出結果の信頼性を向上させることができる。さらには、第2の実施の形態と同じ要領で作業量検出器210の検出値に応じて排出コンベヤ26の搬送速度を制御することができ、前述した各実施の形態と同等の効果を得ることができる。
なお、図8及び図9では図示していないが、作業量検出器210はベルト幅方向に複数設けることが検出精度の向上の観点から好ましい。
図10は本発明の第4の実施の形態に係る自走式リサイクル機械の排出コンベヤ26に備えられた作業量検出器の構造を表す図である。
本実施の形態で用いる作業量検出器220も排出コンベヤ26上の改良土の高さを非接触で検出するものである。この作業量検出器220は、搬送ベルト41を跨ぐようにコンベヤフレーム43に取り付けたフレーム221と、フレーム221に取り付けたスリット光源222及び撮像手段223とを備えている。スリット光源222によって搬送ベルト41の搬送方向と直交する方向に延びるスリット状の照明光を斜方照射し、撮像手段223はスリット照明箇所からの反射光を撮影する。撮像手段223で撮影されたスリット光の稜線を図示しないが総処理装置により画像解析し、画像上での稜線の位置を測定することによって、搬送ベルト41上の改良土の高さを検出する。制御装置110では、画像処理装置からの信号を基にベルト上の改良土の厚みを演算し、さらにベルト幅と排出コンベヤ26の搬送速度を乗じることで、単位時間当たりの改良土の搬送体積が算出される。
このようなセンサを用いる場合も、検出精度の高い領域(基準検出値等)近辺で搬送量が検出できれば、その検出結果の信頼性を向上させることができる。さらには、第2の実施の形態と同じ要領で作業量検出器210の検出値に応じて排出コンベヤ26の搬送速度を制御することができ、前述した各実施の形態と同等の効果を得ることができる。
なお、既述した実施の形態では、自走式土質改良機に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、その他の自走式リサイクル機械にも本発明は適用可能である。例えば、破砕装置として平行に配置された軸にカッタを有し、互いに逆回転させることにより古タイヤや畳等の被破砕物をせん断する破砕装置(シュレッダ)を備えた自走式破砕機、ロール状の回転体に破砕用の刃を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に岩石・建設廃材等を挟み込んで破砕を行う回転式破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)を備えた自走式破砕機、動歯を固定歯に対して揺動させそれらの間に岩石・建設廃材等を挟みこんで破砕を行う破砕装置(いわゆるジョークラッシャ)を備えた自走式破砕機、複数個の刃物を備えた打撃板を高速回転させ、この打撃板からの打撃及び反発板との衝突を用いて岩石・建設廃材等を衝撃的に破砕する破砕装置(いわゆるインパクトクラッシャ)を備えた自走式破砕機、ビットを備えたロータに木材・枝木材・建設廃木等の木材を投入することにより細片にする木材破砕装置を備えた自走式破砕機において、それぞれ生産量管理・供給量制御等の目的で排出コンベヤ上の処理物の搬送量を作業量検出器で検出する場合には、前述した各実施の形態が適用可能であり同様の効果を得ることができる。次にその代表例として自走式破砕機(ジョークラッシャ)の構成を簡単に説明する。
図11は本発明の第5の実施の形態に係る自走式リサイクル機械である自走式破砕機の全体構造を表す側面図、図12は平面図である。本実施の形態において、特に断り書きのない場合は図11及び図12中の左側を一方側、右側を他方側と記載する。また、図11及び図12の右側を機体の前方、左側を後方とする。
図11及び図12に示した自走式破砕機は、例えばビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊などの建設現場で発生する大小様々な建設廃材・産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等の被破砕物を処理対象物とする。この自走式破砕機は、走行体301と、走行体301上に設けた本体フレーム302と、本体フレーム302の長手方向の一方側に設けられ、被破砕物を受け入れるホッパ303と、本体フレーム302の長手方向の中央部上に設けられ、ホッパ303に受け入れた被破砕物を所定の大きさに破砕し下方へ排出する破砕装置(ジョークラッシャ)304と、ホッパ303の下部に設けられ、ホッパ303に受け入れた被破砕物を破砕装置304へと搬送し導くフィーダ305と、破砕装置304で破砕された破砕物を機外に搬出する排出コンベヤ306と、本体フレーム302の長手方向の他方側に設けた動力装置307と、排出コンベヤ306の上方に設けられ排出コンベヤ306上を運搬中の破砕物に含まれる磁性物(鉄筋等)を磁気的に吸引除去する磁選機308とを有する。
破砕装置304は、ホッパ303及びフィーダ305の前方側に位置しており、クラッシャ用油圧モータ309によりフライホイール310を駆動し、フライホイール310の駆動力を動歯(不図示)の揺動運動に変換する。これによって揺動運動する動歯と固定歯(不図示)との間にフィーダ305から被破砕部が供給され、所定の大きさに破砕された破砕物が砂利や骨材等の再生物として排出コンベヤ306上に排出される。
フィーダ305は、いわゆるグリズリフィーダと称されるもので、フィーダ用油圧モータ311で発生した駆動力によって複数枚(例えば2枚)の鋸歯状プレート312を加振し、ホッパ303に受け入れられ鋸歯状プレート312に載置された被破砕物を破砕装置304に搬送する。このとき、被破砕物中に含まれる細粒や細かい土砂等は鋸歯状プレート312の鋸歯の隙間からシュート313を介して排出コンベヤ306上に導かれる。
排出コンベヤ306は、排出コンベヤ用油圧モータ314によって搬送ベルト315を駆動し、これによって破砕装置304からの破砕物及びシュート313からの細粒落下物を搬送ベルト315に載せて機外に搬出する。
その他、走行体301、動力装置307、排出コンベヤ306等の構成は図1及び図2に示した自走式土質改良機のものと基本的に同様の構成である。
本実施の形態において、排出コンベヤ306には、破砕物の生産量管理やフィーダ305による被破砕物の供給速度制御等のために作業量検出器が設けられる。したがって、第1の実施の形態と同様に検出精度の高い領域(基準検出値等)近辺で搬送量が検出されるようにすることで、その検出結果の信頼性を向上させることができる。さらには、前述した各実施の形態のように作業量検出器の検出値の変動に応じて排出コンベヤ306の駆動速度を制御することにより、作業量検出器の検出結果の一定の信頼性を維持することができる。このように排出コンベヤを有する各種の自走式リサイクル機械に本発明は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
なお、以上の各実施の形態においては、目標作業量の設定等に応じて排出コンベヤ26の速度を調整し一定の作業量の検出精度を確保する上では基準排出速度の補正機能は必ずしも必要ない。また、基準排出速度の設定に供給速度の設定値を考慮する必要も必ずしも必要ない。特に、いわゆる自走式のシュレッダや自走式スクリーンのように、処理装置への処理対象物の供給手段(例えば、第1の実施の形態の搬送コンベヤ13や第5の実施の形態のフィーダ305)を持たない自走式リサイクル機械では、単に目標作業量の設定に応じて基準排出速度が設定されるように構成すれば足りる。また、スクリーンや混合装置、破砕機等のような処理装置を備えた自走式リサイクル機械に限らず、例えば搬送量検出手段付きのベルトコンベヤと動力装置を走行体上に搭載した自走式コンベヤ装置にも本発明は適用可能であり、同様の効果を奏する。搬送量検出機能を有する自走式コンベヤ装置も、他の自走式リサイクル機械と組み合わせて使用する場合には、自走式リサイクル機械の作業量を計測する手段として利用することができるので、本発明の適用によるメリットは大きい。
また、各実施の形態では、排出コンベヤの駆動装置に油圧モータを使用した場合を例示したが、電動モータを使用しても良い。この場合、交流モータを使用してインバータにより電源周波数を制御することで電動モータの回転速度を制御するようにし、電動モータの回転速度すなわち排出コンベヤの搬送速度が一定に保てる構成であれば、排出コンベヤの速度検出器は必ずしも必要でなく、電源周波数から搬送速度を換算するようにすれば良い。