JP5028939B2 - 異常検出装置、異常検出方法、温度調節器および熱処理装置 - Google Patents

異常検出装置、異常検出方法、温度調節器および熱処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、加熱処理や冷却処理などの熱処理における異常を検出する装置、異常を検出する方法、および、それを用いた温度調節器並びに熱処理装置に関する。
従来、例えば、液晶装置の製造工程においては、ガラス基板等のワークを、設定温度に加熱した熱板に載置して所定時間の熱処理を行っている(例えば、特許文献1参照)。
かかる熱処理において、例えば、ワークと熱板との間に、異物などが介在したり、ワークが変形しているような場合、すなわち、ワークと熱板との間の距離が正常でない場合には、加熱処理が不完全となり、多量のワークを順番に熱処理するような製造工程では、熱処理が不完全な不良品が大量に発生することがある。
特開2004−134723号公報
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、熱処理の異常を検出できるようにすることを目的とする。
(1)本発明の異常検出装置は、被処理物を、熱処理手段に接近させて熱処理する該熱処理における異常を検出する異常検出装置であって、前記熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルおよび該入力ベクトルに対応する出力ベクトルが格納されたデータベースと、前記データベースのデータと、前記熱処理手段の検出温度に基づく新たな入力ベクトルとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成して熱処理の異常の有無を判定する判定部とを備え、前記データベースには、前記被処理物と前記熱処理手段との間に既知の大きさの異物サンプルを介在させて熱処理したときの前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を前記入力ベクトルとして格納すると共に、前記異物サンプルの大きさ又は位置を、前記出力ベクトルとして格納し、前記判定部では、前記熱処理手段の検出温度に基づいて、前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を新たな入力ベクトルとして生成し、生成される新たな入力ベクトルと前記データベースのデータとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして前記被処理物と前記熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ又は位置を生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定するものである。
ここで、熱処理手段とは、熱板、熱処理炉、連続炉、包装機の熱圧着部などの被処理物を熱処理するものをいい、加熱処理に限らず、冷却処理あるいは加熱冷却処理であってもよい。
熱処理は、被処理物全体を熱処理するものであってもよいし、被処理物の一部、例えば、被処理面のみを熱処理するものであってもよい。
熱処理は、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて行うものであるのが好ましいが、前記被処理物を、前記熱処理手段に接触あるいは密着させて行なうものであってもよい。
また、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて熱処理を行なう場合に、被処理物の一部が、前記熱処理手段に接触していてもよい。
入力ベクトルあるいは出力ベクトルとは、入力あるいは出力をベクトルで表現するものをいう。
入力ベクトルは、熱処理手段の検出温度に基づくものであり、例えば、被処理物の熱処理における検出温度の変化幅や変化率、あるいは、検出温度に基づいて推定される被処理物と熱処理手段との間の距離などであるのが好ましい。
また、出力ベクトルは、入力ベクトルに対応するものであって、熱処理手段の検出温度に関連するものであり、熱処理の異常検出に有効なものであるのが好ましく、例えば、被処理物と熱処理手段との間に介在していると想定される異物の大きさ、異物の位置、熱処理手段を加熱するヒータへの供給電圧、前記ヒータの抵抗や容量、ワークの初期温度、ワークの厚み、ワークの材質、ワークの欠損、熱処理手段に対するワークの位置ズレ量、ワークの反りなどであるのが好ましい。
データベースに予め格納する入力ベクトルおよび出力ベクトルは、実測値であるのが好ましいが、一部を、演算によって算出してもよい。
データベースの入力ベクトルおよび出力ベクトルの格納は、例えば、出力ベクトルとして、異物の大きさを用いる場合には、既知の大きさの異物サンプルを、被処理物と熱処理手段との間に介在させて被処理物を熱処理し、入力ベクトルとして、例えば、被処理物の熱処理における検出温度の変化幅や変化率を実測し、あるいは、実測した検出温度に基づいて被処理物と熱処理手段との間の推定距離を算出し、それら入力ベクトルおよび出力ベクトルとして異物サンプルの既知の大きさを対応させて格納するのが好ましい。
異物サンプルは、被処理物と熱処理手段との間に想定される異物のサンプル、例えば、金属片、毛髪、被処理物のかけら、糸くず、布、皮膚等であるのが好ましいが、異なる既知の大きさの異物サンプルを準備できない場合には、例えば、既知の大きさのセラミック片や金属片等を用いてもよい。
本発明の異常検出装置によると、熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルと対応する出力ベクトルとを、データベースに予め蓄積し、新たな要求点として、新たな入力ベクトルが与えられると、蓄積されたデータベースのベクトルに基づいて、局所モデルとして要求点に対応する出力ベクトルを生成する、いわゆる、Just‐In‐Time(JIT)法あるいはModel‐on‐Demand(MOD)法に基づいて、出力ベクトルを生成するので、この出力ベクトルとして、熱処理の異常検出に有効な情報、例えば、被処理物と熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ、熱処理手段を加熱するヒータ電圧などを用いることによって、異物の介在やヒータ電圧の異常などによる熱処理の異常を検出することができる。
判定部は、出力ベクトルの値と閾値とを比較して熱処理の異常を判定するのが好ましい。
この実施形態によると、生成した出力ベクトルと閾値とを比較して熱処理の異常を検出するといったことが可能となる。
前記接近は、被処理物を、熱処理手段に対して移動させて行ってもよいし、熱処理手段を、被処理物に対して移動させて行ってもよく、あるいは、両者を移動させて行ってもよい。
この実施形態によると、被処理物を熱処理手段に接近させて行なう熱処理の異常を検出することができる。
前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離は、複数の点における距離、すなわち、熱処理手段の複数の各点と、各点に個別的に対応する被処理物の複数の各点との間の各距離であるのが好ましく、この各点は、熱処理手段の温度を検出する温度検出点に対応するのが好ましい。
この実施形態によると、被処理物と熱処理手段との間の距離を、入力ベクトルとして予めデータベースに蓄積し、入力ベクル生成部では、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、出力ベクトル生成部では、新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定することができる。
この実施形態によると、被処理物を熱処理手段に接近させた後の検出温度の変化幅または変化率を、入力ベクトルとして予めデータベースに蓄積し、入力ベクル生成部では、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、出力ベクトル生成部では、新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定することができる。
(2)上記(1)の実施形態では、前記判定部は、生成された出力ベクトルと閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定するものであり、前記閾値が設定可能である。
この実施形態によると、ユーザが閾値を設定して検出感度を調整することができる。
この実施形態によると、前記被処理物と前記熱処理手段との間に、既知の大きさの異物サンプルを介在させて被処理物の熱処理を行い、被処理物と熱処理手段との間の距離、あるいは、前記接近させた後の検出温度の変化幅または変化率を計測し、入力ベクトルとして、被処理物と熱処理手段との間の距離、あるいは、前記接近させた後の検出温度の変化幅または変化率を、また、出力ベクトルとして、異物サンプルの大きさを予めデータベースに蓄積し、入力ベクル生成部では、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、出力ベクトル生成部では、新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして、前記被処理物と前記熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさを生成し、生成した異物の大きさに基づいて、熱処理の異常の有無を判定することができる。
(3)本発明の異常検出装置の他の実施形態では、前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理に用いられる熱板としてもよい。
被処理物は、熱板に載置されて熱処理される基板などであるのが好ましく、異常検出装置には、熱板に載置されて熱処理される被処理物が熱板に接近するタイミングを示す信号が与えられるのが好ましい。
この実施形態によると、被処理物を熱板に載置して行なう熱処理の異常を検出することができる。
(4)上記(3)実施形態では、前記データベースに出力ベクトルとして格納されている熱処理の異常の有無の判定に用いる物理量が前記熱板を加熱するヒータの電圧である。
この実施形態によると、熱板を加熱するヒータ電圧の異常による熱処理の異常を検出することができる。
(5)本発明の異常検出方法は、被処理物を、熱処理手段に接近させて熱処理する該熱処理における異常を検出する異常検出方法であって、前記熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルおよび該入力ベクトルに対応する出力ベクトルが格納されたデータベースを予め作成する作成ステップと、前記データベースのデータと、前記熱処理手段の検出温度に基づく新たな入力ベクトルとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成して熱処理の異常の有無を検出する検出ステップとを含み、前記作成ステップでは、前記被処理物と前記熱処理手段との間に既知の大きさの異物サンプルを介在させて熱処理したときの前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を前記入力ベクトルとして前記データベースに格納すると共に、前記異物サンプルの大きさ又は位置を、前記出力ベクトルとして前記データベースに格納し、前記検出ステップでは、前記熱処理手段の検出温度に基づいて、前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を新たな入力ベクトルとして生成するステップと、生成される新たな入力ベクトルと前記データベースのデータとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして前記被処理物と前記熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ又は位置を生成するステップと、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定するステップと、を含むものである。
本発明の異常検出方法によると、熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルと対応する出力ベクトルとを格納したデータベースを予め作成し、新たな要求点として、新たな入力ベクトルが与えられると、蓄積されたデータベースのベクトルに基づいて、局所モデルとして要求点に対応する出力ベクトルを生成する、いわゆる、Just‐In‐Time(JIT)法あるいはModel‐on‐Demand(MOD)法に基づいて、出力ベクトルを生成するので、この出力ベクトルとして、熱処理の異常検出に有効な情報、例えば、被処理物と熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ、熱処理手段を加熱するヒータ電圧などを用いることによって、異物の介在やヒータ電圧の異常などによる熱処理の異常を検出することができる。
この実施形態によると、被処理物を熱処理手段に接近させて行なう熱処理の異常を検出することができる。
この実施形態によると、熱処理手段の検出温度に基づく被処理物と熱処理手段との間の推定距離を、入力ベクトルとして格納したデータベースを予め作成し、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、この新たな入力ベクトルとデータベースのデータとに基づいて出力ベクトルを生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定することができる。
この実施形態によると、被処理物と熱処理手段との間に、既知の大きさの異物サンプルを介在させて熱処理したときの検出温度の変化幅または変化率を、入力ベクトルとして格納したデータベースを予め作成し、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、この新たな入力ベクトルとデータベースのデータとに基づいて出力ベクトルを生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定することができる。
この実施形態によると、前記被処理物と前記熱処理手段との間に、既知の大きさの異物サンプルを介在させて被処理物の熱処理を行い、被処理物と熱処理手段との間の距離、あるいは、前記接近させた後の検出温度の変化幅または変化率を計測し、入力ベクトルとして、被処理物と熱処理手段との間の距離、あるいは、前記接近させた後の検出温度の変化幅または変化率を、また、出力ベクトルとして、異物サンプルの大きさをデータベースに格納して予めデータベースを作成し、熱処理手段の検出温度に基づいて、要求点として新たな入力ベクトルを生成し、この新たな入力ベクトルとデータベースのデータとに基づいて、新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして、被処理物と熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさを生成し、生成した異物の大きさに基づいて、熱処理の異常を検出できる。
この実施形態によると、生成した出力ベクトルと閾値とを比較して熱処理の異常を検出するといったことができる。
(6)本発明の温度調節器は、本発明に係る異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御するものである。
本発明の温度調節器によると、熱処理手段の温度を制御しつつ、熱処理の異常を検出することができる。
(7)本発明の熱処理装置は、本発明に係る温度調節器と、前記熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えている。
本発明の熱処理装置によると、熱処理の異常を検出することができる。
本発明によれば、熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルと対応する出力ベクトルとを、データベースに予め蓄積し、要求点として、新たな入力ベクトルが与えられると、蓄積されたデータベースのベクトルに基づいて、局所モデルとして要求点に対応する出力ベクトルを生成する、いわゆる、Just‐In‐Time(JIT)法あるいはModel‐on‐Demand(MOD)法に基づいて、出力ベクトルを生成して異常を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図である。
この実施の形態では、被処理物としてのガラス基板などのワークを、熱処理手段としての熱板1に載置して熱処理する装置に適用して説明する。
この実施の形態では、ワークを加熱処理する熱板1の温度を、該熱板1の内部に設けられた温度センサ(図示せず)で検出して本発明に係る温度調節器2に入力し、温度調節器2では、設定されている目標温度(設定温度)SPと、熱板1の検出温度PVとの偏差に基づいて、温度制御手段としてのPIDコントローラ3でPID演算等を行って操作量を出力し、図示しないSSR等を介して熱板1に配設されている操作手段としてのヒータ(図示せず)の通電を制御して熱板1の温度を目標温度SPになるように制御している。
この熱処理装置においては、図2の概略図に示すように、熱板1で熱処理されるワーク4は、図示しない搬送供給手段によって自動的に熱板1に載置されて順番に熱処理されるものであり、正常な状態では、熱板1に対して、ガラス基板などのワーク4は、熱板1の表面上に設けられている図示しない複数の微小な突起状の支持部(スペーサ)によって一定距離d離間した状態で支持されて熱処理される。
この実施の形態は、ワーク4が、熱板1に載置されて熱処理される際のワーク4と熱板1との間にゴミなどの異物が介在したり、あるいは、ヒータ電圧に異常が生じたりして熱処理の異常が生じたような場合に、それを検出できるように構成されている。
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、温度調節器2は、ワーク4を熱板1に載置した後の熱板1の検出温度PVに基いて、熱処理の異常を検出する異常検出部5を備えている。
この実施の形態の異常検出部5は、熱板1の温度変化の傾きに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定する入力ベクトル生成部としての距離推定部6と、推定された距離に基いて、後述のように、データベース9のデータを用いてJIT(Just‐In‐Time)法によって異物の大きさ等を推定する出力ベクトル生成部としての異物等推定部7と、この異物等推定部7によって推定された異物の大きさ等と閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定する判定部8とを備えている。
距離推定部6には、後述のように、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられる一方、ユーザによって設定される距離推定に必要な後述の設定情報t1,A等が与えられる。
PIDコントローラ3および異常検出部5等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
ここで、被処理物をワーク4とし、熱処理手段を熱板1として、図3に基いて、距離推定の基本的な考え方について説明する。
放射による熱移動の影響を考慮しなくてもよい程、ワーク4と熱板1とが接近している場合には、ワーク4と熱板1との間には、次のような関係が成立する。
なお、図3に示すように、ワーク4と熱板1との距離をd、ワーク4の温度をTw、熱板1の温度をTh、ワーク4の熱容量をCw、熱板1の熱容量をCh、両者間の熱抵抗をRhwとする。
熱板1の温度変化の速さΔTh(=dTh/dt)
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱抵抗Rhw
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/距離d
したがって、
距離d∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
距離d=k×(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
ここで、ワーク4を、熱板1に載置した瞬間のワーク4および熱板1の初期温度Tw0,Th0が判っている場合、例えば、ワーク4と熱板1の初期温度が安定しているような場合には、(ワーク初期温度Tw0−熱板初期温度Thw)を、定数と見なし、ワーク4を熱板1に載置した瞬間の距離dは、次式で推定できることになる。
距離d=定数k/熱板の温度変化の速さΔTh(熱板の温度傾き) ……(a)
この実施の形態では、熱板1の温度変化の速さΔThを、熱板1の温度傾きとし、この熱板1の温度傾きを計測し、予め求めた定数kを用いてワーク4と熱板1との距離dを推定するようにしている。
なお、この定数kは、ワーク4と熱板1との距離dを、既知の距離に設定した状態で、熱処理を行なって熱板1の温度を計測し、熱板1の温度傾きを算出することによって、予め求めることができる。
図4は、ワーク4と熱板1との距離によって、熱板1の温度がどのように変化するかを示すものであり、目標温度SPに加熱整定した状態の熱板1に対して、ワーク4を、過大な距離(一点鎖線)、正常な距離(実線)、過小な距離(破線)でそれぞれ載置して加熱処理した場合の熱板1の温度変化を示す図である。
この図4に示すように、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも大きい(過大な)距離で載置して熱処理した場合には、一点鎖線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が少なく、熱板1の温度低下は少ない。
これに対して、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも小さい(過小な)距離で載置して熱処理した場合には、破線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が多く、熱板1の温度低下が大きくなる。
このように、ワーク4と熱板1との距離に応じて、熱板1の温度低下の度合い、すなわち、熱板1の温度の傾きが変化し、上述の(a)式で説明したように、ワーク4と熱板1との距離は、熱板1の温度の傾きに応じて変化することが判る。
そこで、この実施の形態では、図5に示すように、ワーク4を熱板1に載置して熱処理を開始した後の第1の時点t1から一定時間経過した第2の時点t2における熱板1の温度をそれぞれ計測し、この一定の時間幅Aに対する熱板1の温度変化幅B、すなわち、熱板1の温度傾き(=B/A)を算出するようにしている。
熱板1の温度を計測する点は、距離を推定したい点に可及的に近いのが好ましく、この実施形態では、熱板1の内部に配設された複数の温度センサによる各計測点、すなわち、各温度センサの上方の熱板1の表面と、対向するワーク4との間の距離を推定するものである。
図6は、この実施形態の熱板1の平面図であり、5つの温度センサ10が、矩形の熱板1の中央と、4箇所の隅部寄りに配設されており、この実施形態では、5つの温度センサ10の計測温度に基づいて、5つの点で熱板1と対向するワーク4との間の距離を推定するものである。
熱板1の温度傾きの算出は、熱板1の温度低下が生じた時点から最も温度が低下した時点までの期間の少なくとも一部の期間における熱板1の温度を用いて行うのが好ましい。
このようにして算出される熱板1の温度傾きと、予め求めた定数kとに基いて、上述の(a)式に従って距離dを推定するのである。
図1に示す温度調節器2では、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられるように構成されており、このタイミング信号は、例えば、図5に示す時点t3に対応する。
次に、図1に示す距離推定部6による距離推定の処理手順を説明する。
先ず、ワーク4を、熱板1で順番に熱処理するという実運用に先立って、上述の定数kや一定の時間幅A等を決定するための処理を行う。
この処理では、ワーク4が、熱板1に対して正常な既知の距離となるように、ワーク4を、熱板1に載置して熱処理を行い、熱板1の温度を計測する。
ユーザは、計測された熱板1の温度波形に基いて、上述の図5のタイミング信号の時点t3を基準に、第1の時点t1および一定の時間幅Aを、温度調節器2に設定するとともに、前記既知の距離を、温度調節器2に設定する。
温度調節器2の距離推定部6は、設定された第1の時点t1および一定の時間幅Aに基いて、計測された熱板1の温度傾きを算出し、さらに、設定された既知の距離を用いて、上述の定数kを算出して格納する。
以上のようにして温度調節器2の距離推定部6に、第1の時点t1、一定の時間幅Aおよび定数kが予め設定される。
次に、以上のようにして距離推定部6で推定される複数の点の推定距離に基づく異物等推定部7における異物の大きさ等の推定処理について説明する。
この実施形態では、情報ベクトルとシステム出力とを予め実測してデータベース9に蓄積しておき、距離推定部6から新たな情報ベクトルである要求点、すなわち、複数の推定距離が与えられると、蓄積されたデータベース9の情報ベクトルに基づいて、局所モデルとして要求点に対応するシステム出力を生成する、いわゆる、Just‐In‐Time(JIT)法あるいはModel‐on‐Demand(MOD)法に基づいて、異物の大きさ等を推定するものである。
ここで、先ず、JITモデリング法について説明する。
今、次式で表される離散時間非線形システムを考える。
y=f(φ)+e ……(1)
ここで、yはシステム出力、f(・)は非線形関数、eは観測雑音、φはシステムの状態を表しており、情報ベクトルと呼ぶこととする。情報ベクトルφは次式で定義される。
φ:=[u(1)、u(2)、u(3)…、u(n)] ……(2)
ここで、u(・)はシステム入力、nは入力の次数である。JITモデリングでは、(2)式の情報ベクトルの形式でデータベースへの蓄積が行われる。また、出力yの予測値を得るために必要な情報ベクトルφを要求点qと呼ぶ。JITモデリング法とは、この要求点に類似した情報ベクトルをデータベースから近傍として抽出し、局所モデルを構成する方法である。
この実施の形態では、以上のようなJIT法に基づいて、熱板1の温度情報に基づく推定距離から異物の大きさ等を推定するものである。
以下に、JIT法のアルゴリズムを示す。
[STEP1] 初期データベースの作成
本手法においては、実測によって初期データベースであるデータベース9を作成する。
図7は、この実施形態のデータベース9に蓄積されるデータの構成を示すものである。
この実施の形態では、データベース9には、入力ベクトルとしての情報ベクトルと、この情報ベクトルに対応するシステム出力ベクトルとからなるデータが、蓄積される。すなわち、1組の入力ベクトルである情報ベクトルに、1組のシステム出力ベクトルが対応している。
また、この実施形態では、情報ベクトルは、図8に示されるように、距離推定部6で推定された複数の推定距離d1〜dnuからなり、システム出力ベクトルyは、異物寸法、異物の位置のX座標、Y座標、および、ヒータ電圧からなる。
以上のようなデータを蓄積した初期データベース9を作成するために、寸法が既知の、例えば、球状の異物サンプルを、熱板1の既知の位置に載置し、ワーク4を熱処理して距離推定部6で、上述の図6の5つの温度センサ10の各検出点に個別的に対応する熱板1とワーク4との各距離をそれぞれ推定し、推定した5つの距離d1〜d5を、情報ベクトルとして、また、既知の異物サンプルの寸法、既知の異物サンプルの配置位置のX座標、Y座標、および、既知のヒータ電圧をシステム出力ベクトルとしてデータベース9に蓄積する。
この実施形態では、球状の異物サンプルの寸法については、想定される異物に応じて任意に選択すればよく、例えば、直径、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm…とすることができる。また、既知の寸法の異物サンプルの配置位置は、例えば、図9に示すように、矩形の熱板1上に、仮想の升目のいずれかの点に対応させて既知寸法の異物サンプル11を配置したり、あるいは、図10に示すように、矩形の熱板1上に、仮想の同心円状のいずれかの点に配置すればよく、配置位置は、図9のように、X,Y座標で規定してもよいし、図10に示すように、矩形の基板1上に、半径および角度からなる仮想の極座標で規定してもよい。なお、図9,図10は、異物サンプルの配置例の一部を示しており、満遍なく配置して実測するのが好ましい。
以上のように、或る既知寸法(実測寸法)の異物サンプルを、熱板1の或る既知の位置(実測位置)に配置し、ワーク4を熱処理し、上述のようにして距離推定部6で推定した5点の推定距離を、情報ベクトルとしてデータベース9に蓄積するとともに、その既知寸法、既知の位置の座標およびヒータ電圧を、システム出力ベクトルとしてデータベース9に蓄積するという処理を、各配置位置および各異物寸法について行なってデータベース9を作成する。
なお、全て実測してもよいが、異物の配置位置が対称となるものについては、対称な配置位置について実測したデータを、コピーして用いてもよく、更に、実測したデータを補間して用いる、例えば、直径1.4mmおよび1.8mmの異物サンプルを用いた実測値から直径1.6mmの異物サンプルを用いた場合の値を補間によって算出するようにしてもよい。
また、このように初期データベースを作成した後に、初期データベースと同様にして評価用データを取得し、この評価用データを用いて検出精度を評価したり、あるいは、判定部8の閾値の調整を行なうようにしてもよい。
この評価用データは、初期データベースの作成の条件とは、異なる条件で取得するのが好ましい。例えば、初期データベース作成の際の異物の寸法が、1.5mm、2mm、3mm等であれば、評価用データは、異物の寸法を、例えば、1mm、2.5mm、4mmといったように異ならせるものである。
[STEP2] 距離の計算、近傍の選択
次に、データベース9のデータを用いた距離の計算および近傍の選択について説明する。
システム出力yの予測値を得るために必要な情報ベクトルを要求点qと呼ぶ。その要求点qとデータベース9に蓄えられている情報ベクトルとの距離を、次式の重みつきL1ノルムにより求める。
Figure 0005028939
この距離が小さいものからk個のベクトルを近傍として選択する。
[STEP3] 局所モデルの構成
続いて、STEP2において選択された近傍に対して、以下で示される、重みつき局所線形平均法(LWA)により局所モデルを構成する。
Figure 0005028939
ここで、wiは、近傍の第iサンプルに対応する重みであり、次式で与える。
Figure 0005028939
式(4)によって、システム出力yが推定できる。
以上のように、異物等推定部7は、新たな情報ベクトルである要求点が与えられることにより、該要求点に近い情報ベクトルをデータベース9から選択し、選択した情報ベクトルに基づいて、前記要求点に対応するシステム出力を生成するものである。
すなわち、距離推定部6から5点の推定距離が、要求点である情報ベクトルとして与えられると、この情報ベクトルと、データベース9に蓄積されている情報ベクトルとの距離を、上述の(3)式の重みつきL1ノルムにより求め、この距離の小さいものからk個の情報ベクトルを近傍として選択する。
そして、選択された近傍の情報ベクトルに対して、重みつき局所線形平均法により、システム出力である異物の寸法、異物の位置の座標およびヒータ電圧を求める。すなわち、選択された近傍のk個の情報ベクトルを用いて上述の(5)式に従って重みを決定し、この重みを、上述の(4)式に従って前記k個の情報ベクトルに乗じて(加重平均して) システム出力を求めるのである。
図11は、データベース9に蓄積されているデータおよび要求点が与えられた場合の距離およびシステム出力の算出過程のデータの一部を示す図である。
データベース9には、図11のch1〜ch5の5点の推定距離(Gap)が情報ベクトルφとして、また、既知(実測)の異物の配置位置に対応する角度および半径からなる座標、異物の寸法である高さ、ヒータ電圧からなるシステム出力ベクトルyが蓄えられている。
今、ch1〜ch5の推定距離が要求点として与えられると、データベース9に蓄積されている各情報ベクトルとの距離がそれぞれ算出され、この距離の小さいものを近傍として抽出する。図11においては、No.78のベクトルが要求点との距離が2番目に近く、近傍として抽出されている。
これら抽出されたベクトルに対して、重み係数および加重平均用データを用いて重みつき局所線形平均法により、システム出力ベクトルyの推定値として、異物の位置に対応する角度、半径、異物の高さ、および、ヒータ電圧を求めている。
以上のようにして熱板1上に、ワーク4が載置されて熱処理される度に、距離推定部6によって距離を推定し、この推定距離を要求点として、異物等推定部7によって、異物寸法およびヒータ電圧等が推定され、この異物寸法またはヒータ電圧が、判定部8によって、予め定めた閾値とそれぞれ比較され、異物寸法が閾値以上であるとき、あるいは、ヒータ電圧が閾値で規定された正常範囲を外れたときには、熱処理の異常であると判定して検出信号を、例えば、上位装置に出力し、上位装置は、熱処理の異常を報知したり、熱処理を停止させるなどの適宜の措置をとることができる。
この実施形態によれば、例えば、直径2mmの既知の異物サンプルについて、出力ベクトルとして推定された異物高さは、2mm±0.3mmとなり、精度よく検出できることが分かる。
また、図1の距離推定部6では、図6に示される温度センサ10が設置されている近傍の距離しか精度よく推定できないが、JIT法による異物の大きさの推定は、温度センサ10の近傍に限らず、精度よく行なえる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の他の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
上述の実施形態では、距離推定部6で推定される距離を、情報ベクトルとしたけれども、この実施形態では、特徴量抽出部12で抽出される熱板1の温度の変化量を情報ベクトルとしている。
すなわち、この実施形態では、上述の図5に示される、ワーク4を熱板1に載置して熱処理を開始した後の第1の時点t1から一定時間経過した第2の時点t2までの熱板1の温度変化幅Bを情報ベクトルとしている。
したがって、データベース9−1には、図13に示すように、上述の実施形態1と同様に、異物サンプルを用いて5つの温度センサ10によってそれぞれ測定された各点の温度変化幅Bが、情報ベクトルとして蓄積されるとともに、実施形態1と同様のシステム出力ベクトルが蓄積されている。
この実施形態では、特徴量抽出部12で抽出された5点の温度変化幅Bが、新たな情報ベクトルである要求点として、異物等推定部7−1に与えられると、異物等推定部7−1は、上述の実施形態1と同様に、要求点に近い情報ベクトルをデータベース9−1から選択し、選択した情報ベクトルに基づいて、要求点に対応するシステム出力である異物の寸法、異物の位置の座標およびヒータ電圧を求める。
なお、情報ベクトルとし、熱板1の温度変化幅Bに代えて、図5に示す一定の時間幅Aに対する熱板1の温度変化量幅、すなわち、熱板1の温度傾き(=B/A)を用いてよい。
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、異常検出部5,5−1を、温度調節器2,2−1にそれぞれ内蔵させたけれども、本発明の他の実施形態として、異常検出部を、温度調節器とは分離して独立の異常検出装置として構成してもよい。
上述の実施形態では、熱板1とワーク4との間に介在すると想定される異物の大きさを出力ベクトルとして推定したけれども、他の実施形態として、異物の大きさに代えて、ワーク4を、熱板1上で支持するための複数の突起状の支持部(スペーサ)の高さを出力ベクトルとし、熱板1の支持部(スペーサ)の高さの異常に起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。この場合には、予め、支持部(スペーサ)の高さが異なる熱板1を用いてワークの熱処理をそれぞれ行い、上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させて熱板1の支持部(スペーサ)の高さを出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルである熱板の支持部(スペーサ)の高さを推定するものである。
また、他の実施形態として、ワーク4の反りや熱板1の反りを、例えば、ワーク4と熱板1との間の最大の距離として推定してもよい。例えば、予め、反りの異なる複数のワーク4について、ワーク4と熱板1との間の最大距離をそれぞれ実測しておき、それらワーク4をそれぞれ熱処理して上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させてワーク4と熱板1との間の最大距離を出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークと熱板との最大距離を推定するものである。熱板1の反りについても同様に出力ベクトルとして推定することができる。
ワーク4の初期温度が低いほど、熱処理の際の熱板1の温度の低下が大きくなる。そこで、他の実施形態として、出力ベクトルを、ワークの初期温度とし、ワークの初期温度の異常に起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。この場合には、予め、ワークの初期温度を、例えば、10℃、20℃、30℃といったように異ならせてそれぞれ熱処理を行い、上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させてワークの初期温度を出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークの初期温度を推定するものである。
熱板1を加熱するヒータの抵抗や容量は経時変化し、ヒータに印加される電源電圧が、定電圧Vである場合、ヒータ容量(=V/R)は、ヒータ抵抗Rが増加すると、小さくなり、熱板1の温度の低下が大きくなる。そこで、他の実施形態として、出力ベクトルを、ヒータ抵抗やヒータ容量とし、ヒータの異常に起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。この場合には、例えば、予め、正常なヒータ抵抗、例えば、10Ωでワークの熱処理を行い、上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、更に、複数のチャンネルchに対応する複数のヒータについて、各ch毎にヒータの抵抗を変えて、例えば、ヒータ抵抗を20Ωとして熱処理し、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、それを各チャンネルch毎に行ない、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させてヒータ抵抗を出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるヒータの抵抗を推定するものである。
ワーク4の熱板1への載置位置にズレが生じると、ズレによってワークの占める面積が小さくなった熱板部分の温度の低下が小さくなる。そこで、他の実施形態として、出力ベクトルを、ワークの位置ズレ量や位置ズレ方向とし、ワークの位置ズレに起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。この場合には、予め、正常なワーク位置にワークを載置して熱処理を行い、上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、更に、想定されるズレによる様々なワークの載置位置で熱処理をそれぞれ行い、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させてワークの位置ズレ量および位置ズレ方向を出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークの位置ズレ量や位置ズレ方向を推定するものである。
ワーク4の厚さやワークの比熱が大きくなると、ワークの熱容量が大きくなり、熱処理の際の熱板1の温度の下がり方が小さくなり、逆に、ワークに欠損や鬆(す)があると、ワークの熱容量が小さくなり、その部分の熱板1の温度の下がり方が大きくなる。そこで、他の実施形態として、出力ベクトルを、ワークの厚さ、ワークの材質、ワークの欠損、ワークの鬆(す)とし、ワークの異常に起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。例えば、ワークの厚さを出力ベクトルとする場合には、予め、正常な厚さのワーク4を熱板1に載置して熱処理を行い、上述の実施形態2と同様に、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどを実測し、更に、想定される様々な厚さのワークを載置して熱処理をそれぞれ行い、熱板1の温度変化量Bや変化率B/Aなどをそれぞれ実測し、実測した温度変化量Bや変化率B/Aなどを入力ベクトルとする一方、この入力ベクトルに対応させてワークの厚さを出力ベクトルとしてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークの厚さを推定するものである。ワークの材質、ワークの欠損、ワークの鬆(す)についても基本的に同様であり、予め正常な場合のワークを熱処理したときの熱板の温度変化を実測し、想定される範囲で、出力ベクトルを変えて熱処理を行なって熱板の温度変化を実測し、実測した熱板の温度変化を入力ベクトルとし、この入力ベクトルとワークの材質等の出力ベクトルとを対応させてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークの材質等を推定するものである。
また、ワーク4の熱板1側の面に形成されている膜の厚さが大きい程、熱板1の温度の下がり方が小さくなる。そこで、出力ベクトルを、ワークに形成された膜厚とし、ワークの膜厚異常に起因する熱処理の異常を検出するようにしてもよい。この場合も上述と同様に、予め正常な膜厚のワークを熱処理したときの熱板の温度変化を実測し、想定される範囲で、膜厚の異なるワークをそれぞれ熱処理し、熱板の温度変化をそれぞれ実測し、実測した熱板の温度変化を入力ベクトルとし、この入力ベクトルと出力ベクトルであるワークの膜厚とを対応させてデータベースに格納して初期データベースを作成する。その後、実運用において、新たな入力ベクトルが与えられると、上述の実施形態と同様にして出力ベクトルであるワークの膜厚を推定するものである。
本発明は、熱処理の異常検出に有用である。
本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。 ワークと熱板との位置関係を概略的に示す図である。 図1の実施の形態の距離推定の基本的な考え方を説明するための図である。 熱板の温度変化を示す図である。 熱板の温度傾きを示す図である。 熱板における温度センサの配置を示す平面図である。 データベースに格納されるデータの構成を示す図である。 図7のデータの構成例を示す図である。 熱板上における異物サンプルの配置例を示す平面図である。 熱板上における異物サンプルの他の配置例を示す平面図である。 データベースに蓄積されているデータおよび要求点が与えられた場合の距離およびシステム出力の算出過程のデータの例の一部を示す図である。 本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。 図12の実施形態のデータ構成例を示す図8に対応する図である。
符号の説明
1 熱板 2,2−1 温度調節器
3 PIDコントローラ 4 ワーク(被処理物)
5,5−1 異常検出部 9,9−1 データベース
7,7−1 異物等推定部 8,8−1 判定部

Claims (7)

  1. 被処理物を、熱処理手段に接近させて熱処理する該熱処理における異常を検出する異常検出装置であって、
    前記熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルおよび該入力ベクトルに対応する出力ベクトルが格納されたデータベースと、
    前記データベースのデータと、前記熱処理手段の検出温度に基づく新たな入力ベクトルとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成して熱処理の異常の有無を判定する判定部とを備え、
    前記データベースには、前記被処理物と前記熱処理手段との間に既知の大きさの異物サンプルを介在させて熱処理したときの前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を前記入力ベクトルとして格納すると共に、前記異物サンプルの大きさ又は位置を、前記出力ベクトルとして格納し、
    前記判定部では、前記熱処理手段の検出温度に基づいて、前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を新たな入力ベクトルとして生成し、生成される新たな入力ベクトルと前記データベースのデータとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして前記被処理物と前記熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ又は位置を生成し、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定する、ことを特徴とする異常検出装置。
  2. 前記判定部は、生成された出力ベクトルと閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定するものであり、前記閾値が設定可能である請求項1に記載の異常検出装置。
  3. 前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理に用いられる熱板である請求項1または2に記載の異常検出装置。
  4. 前記データベースに出力ベクトルとして格納されている熱処理の異常の有無の判定に用いる物理量が前記熱板を加熱するヒータの電圧である請求項3に記載の異常検出装置。
  5. 被処理物を、熱処理手段に接近させて熱処理する該熱処理における異常を検出する異常検出方法であって、
    前記熱処理手段の検出温度に基づく入力ベクトルおよび該入力ベクトルに対応する出力ベクトルが格納されたデータベースを予め作成する作成ステップと、
    前記データベースのデータと、前記熱処理手段の検出温度に基づく新たな入力ベクトルとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルを生成して熱処理の異常の有無を検出する検出ステップとを含み、
    前記作成ステップでは、前記被処理物と前記熱処理手段との間に既知の大きさの異物サンプルを介在させて熱処理したときの前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を前記入力ベクトルとして前記データベースに格納すると共に、前記異物サンプルの大きさ又は位置を、前記出力ベクトルとして前記データベースに格納し、
    前記検出ステップでは、前記熱処理手段の検出温度に基づいて、前記検出温度の変化幅または変化率を計測し、当該計測結果に基づいて前記被処理物と前記熱処理手段との間の距離を推定し、該推定距離を新たな入力ベクトルとして生成するステップと、生成される新たな入力ベクトルと前記データベースのデータとに基づいて、前記新たな入力ベクトルに対応する出力ベクトルとして前記被処理物と前記熱処理手段との間に介在すると想定される異物の大きさ又は位置を生成するステップと、生成した出力ベクトルに基づいて、熱処理の異常の有無を判定するステップと、を含む、ことを特徴とする異常検出方法。
  6. 前記請求項1〜のいずれか1項に記載の異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御することを特徴とする温度調節器。
  7. 前記請求項に記載の温度調節器と、前記熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
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