JP5028787B2 - Epma装置 - Google Patents

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この発明はEPMA(Electron Probe Micro Analysis)装置に関する。
従来のEPMA装置には、加速された電子線が照射された試料表面領域から発生する特性X線を分光結晶で分光し、この分光された特性X線をX線検出器で検出し、この検出結果(特性X線の波長および強度)に基づいて試料表面領域の元素の種類および含有量を分析するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−285847号公報
しかしながら、従来のこのようなEPMA装置では、検出感度が0.01wt%(100ppm)程度であり、極微量元素の分析には十分とはいえない。その要因としては、分光結晶の回折効率(入射特性X線と反射特性X線との強度比)が10%程度と低いことが挙げられる。また、X線検出器が比例計数管である場合には、試料表面領域に照射される電子線量を大きくして発生する特性X線量を増加させると、比例計数管が飽和して数え落としが生じるので、S/N比が小さいことが挙げられる。
そこで、この発明は、検出感度を増大することができるEPMA装置を提供することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、加速された電子線が照射された試料表面領域から発生する特性X線を分光してX線検出器で検出するEPMA装置において、前記試料と前記X線検出器との間に設けられ且つ前記試料表面領域から発生する特性X線を集光するためのフレネルゾーンプレートを複数有し、円板の同心円上に遮蔽パターンが異なる複数の前記フレネルゾーンプレートを形成し、前記円板を回転させることにより、該複数のフレネルゾーンプレートのうち、検出すべき特性X線の波長に対応したフレネルゾーンプレートを切り換えて使用することを特徴とするものである。
また、別の発明は、上記目的を達成するため、加速された電子線が照射された試料表面領域から発生する特性X線を分光してX線検出器で検出するEPMA装置において、前記試料と前記X線検出器との間に設けられ且つ前記試料表面領域から発生する特性X線を集光するためのフレネルゾーンプレートを複数有し、円板の同心円上に形成された複数の孔の部分に遮蔽パターンが異なる複数の前記フレネルゾーンプレートを取り付け、前記円板を回転させることにより、該複数のフレネルゾーンプレートのうち、検出すべき特性X線の波長に対応したフレネルゾーンプレートを切り換えて使用することを特徴とするものである。
この発明によれば、試料表面領域から発生する特性X線を集光するためのX線集光手段を有しているので、X線検出器に入射される特性X線量を増加することができ、ひいては検出感度を増大することができる。
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としてのEPMA装置の概略構成図を示す。このEPMA装置は真空容器1を備えている。真空容器1内には、試料2が載置される試料台3が設けられている。試料台3の上方には電子銃4のフィラメント5が設けられている。フィラメント5から加速されて放出された電子線6は、電磁コイル7で走査されて試料台3上の試料2表面に照射される。試料台3上の試料2の斜め上方には分光結晶8が設けられている。試料台3上の試料2と分光結晶8との間にはX線集光手段としての後述するフレネルゾーンプレート9が設けられている。分光結晶8の斜め下方にはX線検出器10が設けられている。
このEPMA装置では、フィラメント5から加速されて放出された電子線6が試料台3上の試料2表面に照射されると、試料2表面領域から特性X線11が発生する。この発生した特性X線11は、後述の如く、フレネルゾーンプレート9により集光されて分光結晶8に入射され、分光結晶8で分光され、X線検出器10に入射される。そして、X線検出器10で特定波長の特性X線の強度が検出され、この検出結果に基づいて、試料2表面領域の元素の種類および含有量が分析される。
次に、フレネルゾーンプレート9の構造について、図2を参照して説明する。このフレネルゾーンプレート9は、円形状の基板の上面に、半径が整数の平方根に比例する同心円によって形成される複数のリング状のX線遮蔽部12が設けられ、それ以外を基板からなるX線透過部13、14とされ、すなわち、中心から第1番目のX線遮蔽部12の内側を基板からなる円形状のX線透過部13とされ、各X線遮蔽部12間を基板からなるリング状のX線透過部14とされたものからなっている。
次に、フレネルゾーンプレート9の製造方法の一例について説明する。まず、円形状の基板として、質量吸収係数の小さい炭素系材料からなるものを用意する。質量吸収係数の小さい炭素系材料としては、例えば、特性X線CuKα(波長1.542Å)において、質量吸収係数4.60cm2/gの炭素、質量吸収係数4.0cm2/gのポリエチレン、質量吸収係数62.0cm2/gの塩化ビニール、質量吸収係数5.5cm2/gのグラファイト、質量吸収係数34.5cm2/gの単結晶シリコン等が挙げられる。
次に、この用意した基板の上面に、質量吸収係数の大きい材料(例えば、特性X線CuKαにおいて質量吸収係数260cm2/gのクロム)からなるX線遮蔽部形成用膜をスパッタ法等により形成する。次に、X線遮蔽部形成用膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、基板の上面に同心円状の複数のリング状のX線遮蔽部12を形成すると、中心から第1番目のX線遮蔽部12の内側に基板からなる円形状のX線透過部13が形成され、各X線遮蔽部12間に同じく基板からなるリング状のX線透過部14が形成される。
次に、フレネルゾーンプレート9の寸法について、図3を参照して説明する。このフレネルゾーンプレート9はX線の回折および干渉を利用して焦点を形成する平面レンズである。このフレネルゾーンプレート9においては、主点Oから半径rだけ離間した部分に入射されて回折されたX線は焦点Fに集光し、そのときの光路をdとすると、主点Oに入射されたX線の焦点Fまでの光路f(焦点距離)との光路差はd−fとなる。
そして、光路差(d−f)がX線の波長λのn(自然数)倍となるとき、2つのX線は干渉して強度が強くなり、逆に、光路差(d−f)が(n±1/2)λとなるとき、強度が弱くなる。そこで、X線強度が強くなる部分はX線透過部13、14とし、弱くなる部分はX線遮蔽部12とする。また、光路差(d−f)がX線の波長λのn倍となるとき、2つのX線は干渉して強度が強くなるので、次の式(1)が成立する。
d−f=nλ……(1)
一方、図3から、次の式(2)が成立する。
d−f=√(f2+r2)−f……(2)
そして、式(1)および式(2)からrを求めると、次の式(3)のように表される。
r=√((f+nλ)2−f2)……(3)
この式(3)から、X線透過部13、14の半径rは、X線の波長λおよび焦点距離fが決まると、求めることができる。ただし、フレネルゾーンプレート9全体としての透過率およびX線検出器10に入射するX線の強度を確保するため、特に、リング状のX線透過部14は半径rを中心としてある程度の幅を有するように形成する必要がある。この場合、リング状のX線透過部14としては、光路差(d−f)が次の式(4)を満足するようなX線を透過するように設計すると、後述するように、フレネルゾーンプレート9におけるX線透過部13、14とX線遮蔽部12との面積比をほぼ1:1とすることができる。
nλ−λ/4≦d−f≦nλ+λ/4……(4)
そして、リング状のX線透過部14の内径r1および外径r2は、式(3)および式(4)から次の式(5)および式(6)のように表される。ただし、d1、d2は、フレネルゾーンプレート9の主点Oから半径r1、r2だけ離間した部分を透過して焦点Fに集光するX線の光路である。
1=√(d1 2−f2)=√((f+nλ−λ/4)2−f2)……(5)
2=√(d2 2−f2)=√((f+nλ+λ/4)2−f2)……(6)
この式(5)および式(6)から、リング状のX線透過部14の内径r1および外径r2は、X線の波長λおよび焦点距離fが決まると、求めることができる。また、円形状のX線透過部13の半径は、式(6)においてn=0とし、且つ、X線の波長λおよび焦点距離fが決まると、求めることができる。
ここで、具体的な寸法の一例として、代表的な特性X線としてのCuKα(波長λ=1.542Å=1.542×10-8cm)をフレネルゾーンプレート9の焦点F(焦点距離f=10cmとする)に集光させるとすると、円形状のX線透過部13の半径(r2)およびリング状のX線透過部13の内径r1、外径r2は、図4に示すようになる。
すなわち、円形状のX線透過部13の半径(r2)は、式(6)において、n=0、波長λ=1.542×10-8cm、焦点距離f=10cmを代入すると、0.000278cmとなる。また、代表として、中心から第1番目のリング状のX線透過部14の内径r1および外径r2は、式(5)および式(6)において、n=1、波長λ=1.542×10-8cm、焦点距離f=10cmを代入すると、0.000481cmおよび0.000621cmとなる。
この場合、中心から第1番目のリング状のX線遮蔽部12の内径は、円形状のX線透過部13の半径(r2)と同じ値となり、外径は、中心から第1番目のリング状のX線透過部14の内径r1と同じ値となる。
次に、フレネルゾーンプレート9の開口率について説明する。フレネルゾーンプレート9の半径をrとすると、フレネルゾーンプレート9の面積S0をπで割った値は、式(3)から次の式(7)のように表される。
0/π=r2=(nλ+f)2−f2=2nfλ+n2λ2……(7)
フレネルゾーンプレート9のX線透過部13、14の合計面積S1をπで割った値は、リング状の各X線透過部14の外径r2の円の面積から内径r1の円の面積を引いた面積の合計面積に円形状のX線透過部13の面積を加えた面積S1をπで割った値であり、その詳細な計算は省略するが、次の式(8)のように表される。
1/π=nfλ+n(n+1)/2……(8)
したがって、フレネルゾーンプレート9の開口率S1/S0は、式(7)および式(8)から次の式(9)のように表される。
1/S0=[1+λ/(f+1)]/2……(9)
この式(9)の中括弧内の第2項[λ/(f+1)]は10-9のオーダーであるので、第1項との比較において無視すると、開口率S1/S0は1/2(50%)となる。
次に、フレネルゾーンプレート9の厚さについて説明する。まず、一般的に、強度I0のX線が質量吸収係数a(cm2/g)の物質内に深さt(cm)侵入した後の強度Iは、次の式(10)で表される。ただし、eは自然対数の底(ネピア数ともいう)であり、^はべき乗である。
I=I0e^(−at)……(10)
フレネルゾーンプレート9の基板は、質量吸収係数a1の材料からなり、その基板上に質量吸収係数a2の材料からなるX線遮蔽部12が形成されることによってX線透過部13、14を構成する。そこで、フレネルゾーンプレート9の質量吸収係数a1の材料からなるX線透過部13、14、すなわち、基板の厚さをt1とし、質量吸収係数a2の材料からなるX線遮蔽部12の厚さをt2とすると、強度I0のX線がX線透過部13、14およびX線遮蔽部12を透過した後の強度I1、I2は、式(10)から次の式(11)および(12)のように表される。
1=I0e^(−a11)……(11)
2=I0e^(−a11−a22)……(12)
この式(11)および式(12)から強度比I1/I2を求めると、次の式(13)のように表される。
1/I2=e^(a22)……(13)
この式(13)から、フレネルゾーンプレート9を透過したX線の強度比I1/I2は、X線透過部13、14、すなわち、基板の厚さt1によって変化しない値であり、X線遮蔽部12の厚さt2によって変化する値であることがわかる。
一方、理想的には、X線透過部13、14のX線透過率は100%であり、X線遮蔽部12のX線透過率は0%であるが、実施可能で実用的な値としては、そのX線透過率比すなわち強度比I1/I2は1000位であればよい。
そこで、一例として、X線透過部13、14を炭素(質量吸収係数a1=4.60cm2/g)によって形成し、X線遮蔽部12をクロム(質量吸収係数a2=260cm2/g)によって形成し、強度比I1/I2を1000以上とすると、式(13)から次の式(14)が求められる。
1/I2=e^(260t2)≧1000……(14)
この式(14)からX線遮蔽部12の厚さt2を求めると、次の式(15)のように表される。ただし、lnは自然対数である。
2≧ln(1000)/260≒0.0265(cm)……(15)
したがって、X線遮蔽部12の厚さt2をほぼ0.0265cm=265μm以上とすると、X線透過率比すなわち強度比I1/I2を1000以上とすることができる。なお、X線透過部13、14となる基板は質量吸収係数の小さい炭素系材料から形成されるが、X線がこの基板を透過するときのX線吸収は避けられない。この理由により、基板の厚さt1は、あまり厚くするとX線透過率が小さくなるので、0.5mm以下程度が好ましい。
次に、図1に示すEPMA装置の検出感度について説明する。まず、図1に示すようなEPMA装置では、一般的に、ブラッグの法則を満たすため、試料2、分光結晶8、X線検出器10がローランド円と呼ばれる1つの円周上に位置するように配置され、且つ、この配置関係を維持しながら分光結晶8への特性X線の入射角を変化させ、これに伴い、試料2表面から分光結晶8までの距離が変化するが、この距離は平均10cm程度である。なお、従来のこのようなEPMA装置において使用されている分光結晶は、一例として、幅1cm、長さ3cm程度の円弧状に湾曲した結晶である。
そこで、この実施形態では、フレネルゾーンプレート9の直径を5cmとし、このフレネルゾーンプレート9を試料2表面における電子線6照射領域の中心と分光結晶8の中心とを結ぶ線分の中点の位置に、線分に垂直となるように配置する。この場合、フレネルゾーンプレート9と試料2表面における電子線6照射領域の中心との距離は5cmとなる。また、フレネルゾーンプレート9の最外周のX線透過部14で回折された特性X線が、直径3cmの円形の分光結晶8の端部に入射されるとする。
ここで、視野的な広さを表す立体角は次の式(16)で表される。
Ω=S/r2……(16)
式(16)では、立体角を求める対象の立体等を中心から半径rの球面上に投影してできる閉曲面の面積をSとしている。
フレネルゾーンプレート9を試料2表面における電子線6照射領域の中心から見たときの立体角は、詳細は省略するが、式(16)から、Ω=6.25π/(52+2.52)≒0.628となる。上記フレネルゾーンプレート9の開口率は50%であるから、実効的な立体角は上記立体角の半分である0.314となり、この実効的な立体角に放射される特性X線11が、フレネルゾーンプレート9により集光されて直径3cmの円形の分光結晶8に入射されることになる。
一方、直径3cmの円形の分光結晶8を試料2表面における電子線6照射領域の中心から見たときの立体角は、式(16)から、概算で、Ω≒1.52×π/102≒0.0707となる。したがって、フレネルゾーンプレート9を用いない場合と比較しちときの立体角の比は、0.628/0.0707≒8.88となり、円形の分光結晶8に入射される特性X線量が約8.8倍に増加し、X線検出器10に入射される特性X線量を約8.8倍に増加することができ、検出感度を約8.8倍に増大することができる。
ところで、分光結晶8として幅1cm×長さ3cm(面積3cm2)の長方形のものを用い、且つ、フレネルゾーンプレート9を用いない場合の立体角は、概算で、Ω≒3/102=0.03となる。この場合、上記長方形の分光結晶の面積(3cm2)は、上記円形の分光結晶の面積(約7cm2)の約3/7であるので、フレネルゾーンプレート9のX線透過部13、14(実効立体角約0.314)を透過した特性X線のうち、円形の分光結晶を用いた場合と比べると、約3/7が上記長方形の分光結晶(面積3cm2)に集光されて入射されることになる。
したがって、上記長方形の分光結晶を用い、且つ、フレネルゾーンプレート9を用いない場合と比較したときの立体角の比は、(0.314×3/7)/(3/102)≒4.486となり、上記円形の分光結晶に入射される特性X線量が約4.4倍に増加し、X線検出器10に入射される特性X線量を約4.4倍に増加することができ、検出感度を約4.4倍に増大することができる。
以上のように、このEPMA装置では、試料2表面に照射される電子線量をある程度少なくして検出されるノイズ量を抑制したまま、検出感度だけをある程度増大することができるので、S/N比を向上することができる。この結果、試料2表面に照射される電子線の加速電圧を低くし、試料2表面領域における特性X線の発生領域の深さをかなり浅くしても分析可能となり、試料2表面のプロセス汚染や異物の分析に非常に有効である。なお、フレネルゾーンプレート9の直径を5cmよりも大きくすれば、検出感度をより一層増大することができる。
(第2実施形態)
図5はこの発明の第2実施形態としてのEPMA装置の概略構成図を示す。このEPMA装置において、図1に示すEPMA装置と異なる点は、分光結晶8を設けずに、所定の箇所に固定されて配置されたフレネルゾーンプレート9の主点を通る垂線(中心軸)上にX線検出器10を移動可能に配置した点である。この場合、X線検出器10は、図示していないが、例えば、ステップモータの駆動により回転されるボールネジにより、その中心軸に沿う方向、すなわち、フレネルゾーンプレート9の中心軸に沿う方向に往復動されるようになっている。
ここで、上記式(3)をfまたはλについて解くと、次の式(17)および式(18)のようになる。
f=(r2−n2λ2)/2nλ……(17)
λ=[√(r2+f2)−f]/n……(18)
これらの式(17)および式(18)において、rを定数とすると、f(またはλ)はλ(またはf)の関数として表される。式(17)を参照すると、例えば、フレネルゾーンプレート9の焦点距離fは、半径rに設けられたリング状のX線透過部14を透過する特性X線の波長λによっ変化する。
一方、式(3)から、第1実施形態と同一のフレネルゾーンプレート9に形成されたn番目のX線透過部中央部の主点Oからの距離rnは次の式(19)を満たす。
n=√(2nλf+n2λ2)……(19)
例えば、前述の如く、波長λ=1.542Å、焦点距離f=10cmの条件で作成したフレネルゾーンプレート9では、式(19)においてλ=1.542Å、f=10cmとしたrnを、式(17)に代入すると、次の式(20)が求められる。
n=√(30.84n+2.378×n2)……(20)
したがって、このフレネルゾーンプレート9を透過する特性X線の波長をλとすると、その焦点距離fは次の式(21)を満たすことがわかる。
f=(30.84n+2.378×n2)/2nλ
=(15.42+1.189×n)/λ……(21)
具体的に、透過する特性X線の波長λが10Åのときは、λ=10を式(21)に代入すると、焦点距離fが次の式(22)のように求められる。
f=(15.42+1.189×n)/10
=1.542+0.1189×n……(22)
式(22)から、このフレネルゾーンプレート9を透過する波長λが10Åである特性X線の焦点距離fは、ほぼ1.54cmとなり、同様の手順により、波長λが1Åである特性X線の焦点距離fは、ほぼ15.4cmとなる。なお、概算のため、右辺第2項を無視している。
ここで、式(22)を見ると、焦点距離fは同じ波長λの特性X線についてみるとnによって変化するため、焦点位置はフレネルゾーンプレート9の中心軸に沿って広がりをもっていると考えられる。一方、X線透過部14を透過するX線の、焦点位置におけるX線強度に対する寄与率はnが小さいほど大きいので、式(22)においてn=1となる焦点距離におけるX線強度が最も強い。したがって、n=1のときの焦点距離fを、波長λである特性X線の代表的な焦点距離fとみなしている。
式(21)からも明らかな通り、n=1とすると、焦点距離fはフレネルゾーンプレート9を透過するX線の波長λによって変化するが、その代表的な焦点距離f1は波長λが決まれば一意的に決定する。したがって、X線検出器10をフレネルゾーンプレート9の中心軸に沿う方向に移動可能に設置し、このX線検出器10とフレネルゾーンプレート9の主点Oとの距離を変化させることにより、任意の波長の強度を検出することができる。具体的には、この実施形態のフレネルゾーンプレート9を用いた場合、X線検出器10の設置位置を1.54cm〜15.4cmに変化させることにより、波長が10Å〜1Åである特性X線を検出することができる。
このように、このEPMA装置では、X線検出器10を、検出すべき特性X線11の波長λに応じた焦点距離fに対応する位置に位置させているので、試料2表面領域から発生した特性X線11を分光する際に分光結晶が不要となり、上述の如く、分光結晶を備えていない。したがって、回折効率が10%程度と低い分光結晶によるX線強度の低下がなくなり、検出感度をより一層向上することができる。この場合、X線検出器10のX線検出側にピンホール15を設けるようにすると、空間分解能を向上することができる。
ここで、主な特性X線の波長は、Li〜UのK線で230〜0.128Åであり、Ca〜UのL線で36.303〜0.911Åであり、La〜UのM線で14.88〜3.910Åである。1枚のフレネルゾーンプレート9でこれら全ての特性X線を検出しようとすると、焦点距離が長すぎることによって装置が大型化したり、逆に焦点距離が短すぎることによって、分解能が下がるおそれがあるので実際的ではない。
このため、検出したい波長領域を複数に分け、各波長領域のX線について、例えば上記実施形態のように適当な焦点距離が得られるようなフレネルゾーンプレートをそれぞれ作成し、これら複数のフレネルゾーンプレートを具備するEPMA装置とすることが望ましい。
この場合のEPMA装置では、特性X線の全波長領域を測定するため、フレネルゾーンプレートとして、遮蔽パターンが異なるものが複数用意されている。例えば、ある程度大きめの円板の同心円上に遮蔽パターンが異なる5つの円形状のフレネルゾーンプレートを形成し、あるいは、ある程度大きめの円板の同心円上に形成された5つの円孔の部分に遮蔽パターンが異なる5つの円形状のフレネルゾーンプレートを取り付け、円板を間歇的に回転させることにより、検出すべき特性X線の波長に応じたフレネルゾーンプレートを切り換えて使用する。
上述したように、このEPMA装置では、X線検出器10を往復移動させ、且つ、複数例えば5つのフレネルゾーンプレートを有する円板を間歇的に回転させればよいため、試料、分光結晶およびX線検出器をローランド円と呼ばれる1つの円周上で移動させるための複雑な機構が不要となり、装置の簡略化を図ることができる。
(第3実施形態)
図6はこの発明の第3実施形態としてのEPMA装置の要部の概略構成図を示す。このEPMA装置において、図1に示すEPMA装置と異なる点は、フレネルゾーンプレート9の代わりに、全反射筒状鏡構成体21を用いた点である。すなわち、全反射筒状鏡構成体21は、全反射筒状鏡22を複数同心円状に配置した構造となっている。この場合、全反射筒状鏡22は、中央部を回転放物面鏡とされ、その両側を回転双曲面鏡とされたものからなっている。
このような全反射筒状鏡22では、その反射面を金やプラチナ等の電子密度の高い材料で形成すると、特性X線11の入射角が約0.5°以下であると全反射が生じる。この実施形態の場合、特性X線11の入射角は0.2〜0.3°となっている。そして、試料2表面領域で発生したある立体角の特性X線11は、全反射筒状鏡構成体21によって集光されて分光結晶8に入射される。
この場合、試料2表面から見たときの全反射筒状鏡構成体21によって集光される特性X線11の立体角を、全反射筒状鏡構成体21がない場合における分光結晶8に入射される特性X線11の立体角よりも大きくしておけば、その分だけ、分光結晶8に入射される特性X線量が増加し、検出感度を増大することができる。
(その他の実施形態)
X線検出器としては、比例計数管に限らず、Si(Li)半導体検出器等であってもよい。Si(Li)半導体検出器の場合には、検出感度を比例計数管の場合よりも10倍程度向上することができる。
この発明の第1実施形態としてのEPMA装置の概略構成図。 フレネルゾーンプレートの構造を説明するために示す図。 フレネルゾーンプレートの寸法を説明するために示す図。 フレネルゾーンプレートのX線透過部の内径および外径を説明するために示す図。 この発明の第2実施形態としてのEPMA装置の概略構成図。 この発明の第3実施形態としてのEPMA装置の要部の概略構成図。
符号の説明
1 真空容器
2 試料
3 試料台
4 電子銃
5 フィラメント
6 電子線
7 電磁コイル
8 分光結晶
9 フレネルゾーンプレート
10 X線検出器
11 特性X線
12 X線遮蔽部
13、14 X線透過部
21 全反射筒状鏡構成体
22 全反射筒状鏡

Claims (4)

  1. 加速された電子線が照射された試料表面領域から発生する特性X線を分光してX線検出器で検出するEPMA装置において、前記試料と前記X線検出器との間に設けられ且つ前記試料表面領域から発生する特性X線を集光するためのフレネルゾーンプレートを複数有し、円板の同心円上に遮蔽パターンが異なる複数の前記フレネルゾーンプレートを形成し、前記円板を回転させることにより、該複数のフレネルゾーンプレートのうち、検出すべき特性X線の波長に対応したフレネルゾーンプレートを切り換えて使用することを特徴とするEPMA装置。
  2. 加速された電子線が照射された試料表面領域から発生する特性X線を分光してX線検出器で検出するEPMA装置において、前記試料と前記X線検出器との間に設けられ且つ前記試料表面領域から発生する特性X線を集光するためのフレネルゾーンプレートを複数有し、円板の同心円上に形成された複数の孔の部分に遮蔽パターンが異なる複数の前記フレネルゾーンプレートを取り付け、前記円板を回転させることにより、該複数のフレネルゾーンプレートのうち、検出すべき特性X線の波長に対応したフレネルゾーンプレートを切り換えて使用することを特徴とするEPMA装置。
  3. 請求項またはに記載の発明において、前記円板を間歇的に回転させることにより、前記フレネルゾーンプレートを切り換えることを特徴とするEPMA装置。
  4. 請求項1乃至の何れか一項に記載の発明において、前記X線検出器はその中心軸に沿う方向に移動可能であることを特徴とするEPMA装置。
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