JP5026732B2 - マイクロ波導入器、プラズマ発生装置及びプラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
複雑化などを招くことなく、パーティクルや金属汚染などの発生を抑えることのできるマ
イクロ波導入器、これを備えたプラズマ発生装置及びこれを備えたプラズマ処理装置を提
供する。
プラズマを発生させる空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
前記マイクロ波導入器は、前記チャンバの壁面から前記プラズマを発生させる空間に向けて突出した導波体と、前記導波体の先端に設けられ前記プラズマを発生させる空間にマイクロ波を放射させる放射部と、
を備え、
前記導波体は、内導体と、前記内導体の外側に設けられた外導体と、前記内導体と前記外導体との間に設けられマイクロ波を伝搬する内部充填部と、を有し、
前記内導体は、前記放射部を貫通せず前記放射部の内部に突出し、
前記内導体の突出寸法は、前記放射部の厚さ寸法の15%〜60%であり、
前記外導体は、前記放射部の内部に突出していないこと、を特徴とするマイクロ波導入器が提供される。
チャンバと、
前記チャンバに取り付けられた前記マイクロ波導入器と、
を備え、
前記マイクロ波導入器を介して導入されるマイクロ波により前記プラズマを発生させる空間においてプラズマを発生可能としたこと、を特徴とするプラズマ発生装置が提供される。
前記のプラズマ発生装置を備え、
前記発生させた前記プラズマによって被処理物のプラズマ処理を実施可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
クルや金属汚染などの発生を抑えることのできるマイクロ波導入器、これを備えたプラズ
マ発生装置及びこれを備えたプラズマ処理装置を提供することができ、産業上のメリット
は多大である。
図1は、本発明の具体例にかかるプラズマ処理装置の要部基本構成を説明する模式断面図である。
ここで、「上端」及び「天井部」とは導波管200に近い方といい、「下端」及び「底部」とは排気口405に近い方をいう。
図2(a)は、図1の領域Xに含まれるマイクロ波導入器を表す模式断面図であり、図2(b)は、(a)のY−Y線の模式断面図である。
マイクロ波導入器100は、導波体101とこれに接続された円板状の放射部100eと、を備えている。導波体101は、内導体100aと、内導体100aの外側に設けられた外導体100bと、内導体100aと外導体100bとの間に設けられた内部充填部100cと、外導体100bの外側に設けられた外部被覆部100dと、からなる。一方、放射部100eは、単一材料からなる。
マイクロ波導入器100へのマイクロ波MWの導入は、以下のようにして行われる。
図2において、マイクロ波発生手段(図示しない)により発生させたマイクロ波MWは、矩形断面の導波管200によりTE(Transverse Electric)モードでマイクロ波導入器100部分に導かれる。マイクロ波導入器100部分に導かれたマイクロ波MWは、導波管200内に突出している内導体100aに導入され、内部充填部100cを伝搬するが、この際、TEモードからTEM(Transverse Electromagnetic)モードに同軸変換される。
導入されたマイクロ波MWが伝搬する内部充填部100cの外側には同軸の外導体100bがあるので、マイクロ波MWはTEMモードで放射部100eに伝搬する。その際、外導体100bはマイクロ波MWがチャンバ300の内部に向けて漏れ出さないようにするためのシールドとしての役割をも果たす。
次に、内部充填部100cをTEMモードで伝搬したマイクロ波MWは、放射部100eに導入される。
ここで、図4(a)において、横軸は、突出寸法H2(ミリメータ)であり、縦軸が電界強度比(dB)である。電界強度比は、放射部付近Aの電界強度をチャンバ内壁部付近Bの電界強度で除した値(A/B)である。すなわち、図4(b)に表すように、放射部付近A及びチャンバ内壁部付近Bは、チャンバ300の上面から略垂直下方に、距離L、例えば、20ミリメータ程度離れたところを境に区別している。
この結果、チャンバ内壁部付近Bにおけるスパッタリングがなくなり、パーティクルや金属汚染などの発生を防止することができた。
ここで、導波体101の上端は、チャンバ300の上面に対して略垂直方向に接続されている。導波体101の下端は、チャンバ内壁と略平行に設けられた放射部100eの中央に接続されている。内導体100aの下端は、放射部100eを貫通せずに放射部100eの内部に突出した構造を有する。構造解析は、例えば、株式会社エー・イー・ティ・ジャパン社製の「MW−Studio」を用いて行うことができる。電界強度比分布は、モノトーン色の濃淡で表し、電界強度比が高い程濃く、低いほど淡くなるように表示した。
放射部100eは、直径をφ101ミリメータとし、厚さを10ミリメータとする。内導体100aの突出寸法H2は、約2ミリメータとする。
図5から、電界強度は、放射部100eの端部が特に高く、導波体101の下端、導波体101の上端、の順に小さくなることが分かる。このように電界強度の高い放射部100eをチャンバ300の上面から離して設けることで、チャンバ300の内壁などがスパッタリングされるのを抑制することができる。
ここで、横軸がプラズマ電子密度(cm−3)であり、縦軸が電界強度比(dB)である。プラズマ電子密度はチャンバ300内のプラズマ密度の平均値である。電界強度比は、図4と同様に、放射部付近Aにおける電界強度をチャンバ内壁部付近Bにおける電界強度で除した値(A/B)である。この時の測定条件は、図4の場合と同一である。
本発明者は、検討の結果、放射部100eの直径寸法を100ミリメータ〜102ミリメータとすれば、放射部100e付近に発生する定在波を工業用マイクロ波電源周波数(2.46ギガヘルツプラスマイナス30メガヘルツ)で共振させることができるとの知見を得た。
本具体例においては、外部被覆部100d側に雄ねじ部100gを、放射部100e側に雌ねじ部100fを設けている。
本発明においては、このような構成により放射部100eを着脱自在としているため、マイクロ波電源周波数の変更や変動、プラズマ処理条件の変更や変動などに合わせて最適な寸法を持つ放射部100eに簡単に交換することができる。なお、前述の構造は例示にすぎず、放射部100eを着脱自在とするものはすべて本発明に包含される。例えば、外部被覆部100d側に雌ねじ部100fを、放射部100e側に雄ねじ部100gを設けてもよいし、結合には摩擦力を使ったものでもよい。分離位置も図7に例示したものに限定されず適宜変更が可能である。
このような構成にしておけばメンテナンスなどの際の部品交換においても、最小限の部分の交換ですむため経済的でもある。
図10は、本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の要部基本構成を例示する斜視一部断面図である。
本具体例のプラズマ処理装置701は、減圧状態でプラズマ処理を実施可能としたものであり、チャンバ300と、これに取り付けられた複数のマイクロ波導入器100と、を有する。マイクロ波導入器100は、図1乃至図9に関して前述した本発明の実施の形態にかかるものである。これらマイクロ波導入器100は、例えば、図10に例示したように、チャンバ300の中心軸からみて同一円周上に等間隔に配置することができる。これらマイクロ波導入器100のそれぞれには、導波管201を介してマイクロ波MWが導入される。
すなわち、図10において導入導波管220に矢印の方向から導入されたマイクロ波MWは、導入導波管220と導波管201(ループ状共振器)との間に設けられた結合部210(スロット)を介して導波管201(ループ状共振器)に導入される。導波管201(ループ状共振器)は、マイクロ波MWがループ状に伝搬しながら共振するように設計されている。そして、導波管201(ループ状共振器)内で共振したマイクロ波MWは、マイクロ波導入器100の内導体100aから内部充填部100cに導入される。
このような導波管201(ループ状共振器)を設ければ、導入導波管220から導入されたマイクロ波MWを共振させることができるので、それだけ強力なマイクロ波MWをマイクロ波導入器100に送ることができる。
本具体例のプラズマ処理装置710も、基本的な構成は前述した図10のプラズマ処理装置701と同様であるが、ステージ400に高周波電源410が接続されている点が異なる。高周波電源410によりステージ400に高周波バイアスをかけることができるので、活性種や分解種を被処理物Wの表面に引き込むことができる。そのため、活性種や分解種のチャンバ内壁面側への移動がますます少なくなり、パーティクルや金属汚染の発生をさらに抑えることができる。本具体例において、チャンバ300の天井部に、2つのマイクロ波導入器100が設けられた構造を有する。これにより、パーティクルや金属汚染の発生を抑制したまま、より短時間でプラズマ処理を行うことが可能となる。ただし、本発明はこれには限定されず、マイクロ波導入器が1つであっても、2つ以上であっても、本具体例と同様の効果が得られる。
本具体例のプラズマ処理装置720も、基本的な構成は前述した図10のプラズマ処理装置701と同様であるが、チャンバ壁面内に冷却媒体を循環させる冷却手段330を設けた点が異なる。すなわち、本具体例のプラズマ処理装置720では、冷却手段330によりチャンバ内壁面の温度を下げることができる。そのため、チャンバ内壁面と活性種や分解種との反応が弱くなり、パーティクルや金属汚染の発生をさらに抑えることができる。ここで、本発明の効果により冷却手段330の冷却能力は、冷却手段330のみによりパーティクルや金属汚染の発生を抑える場合に比べて大幅に低いものでも足りる。そのため、冷却手段330を設ける場合でも、冷却手段330自体が簡略化、小型化できプラズマ処理装置の機構の複雑化や装置寸法の肥大化を抑えることができる。
本具体例のプラズマ処理装置730の基本構造は、図1に関して前述したプラズマ処理装置700と同様であるが、ステージ400とチャンバ300の底部の間に加熱用ヒータ420が設けられた構造を有する。このように加熱ヒータを設けることで、プラズマ処理を促進させ、アッシング処理などをより高速で行うことが可能となる。
本具体例のプラズマ処理装置740は、基本的な構成は前述した図1のプラズマ処理装置700と同様である。しかし、ステージ400の主面上に静電チャック430が設けられた構造を有する。また、図13と同様に、ステージ400とチャンバ300の底部の間には加熱用ヒータ420が設けられている。このように、ステージ400上に静電チャック430を設けることで、例えば、被処理物Wを吸着し固定した状態にでき、加熱用ヒータ420からの熱に対する熱接触もより向上させてプラズマ処理することが可能となる。
以上具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
導波管、導入導波管も完全な方形である必要はない。
Claims (8)
- プラズマを発生させる空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
前記マイクロ波導入器は、前記チャンバの壁面から前記プラズマを発生させる空間に向けて突出した導波体と、前記導波体の先端に設けられ前記プラズマを発生させる空間にマイクロ波を放射させる放射部と、
を備え、
前記導波体は、内導体と、前記内導体の外側に設けられた外導体と、前記内導体と前記外導体との間に設けられマイクロ波を伝搬する内部充填部と、を有し、
前記内導体は、前記放射部を貫通せず前記放射部の内部に突出し、
前記内導体の突出寸法は、前記放射部の厚さ寸法の15%〜60%であり、
前記外導体は、前記放射部の内部に突出していないこと、を特徴とするマイクロ波導入器。 - 前記導波体は、前記外導体の外側に設けられた外部被覆部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波導入器。
- 前記放射部は、前記マイクロ波を共振させることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ波導入器。
- 前記マイクロ波の周波数は、2.46ギガヘルツプラスマイナス30メガヘルツであり、
前記放射部は、円板状でその直径寸法が100ミリメータ以上102ミリメータ以下であること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロ波導入器。 - チャンバと、
前記チャンバに取り付けられた請求項1〜4のいずれか1つに記載のマイクロ波導入器と、
を備え、
前記マイクロ波導入器を介して導入されるマイクロ波により前記プラズマを発生させる空間においてプラズマを発生可能としたこと、を特徴とするプラズマ発生装置。 - 前記チャンバの外側に設けられ、前記マイクロ波導入器にマイクロ波を導入する導波管をさらに備えたこと、を特徴とする請求項5記載のプラズマ発生装置。
- 前記導波管が環状共振器であること、を特徴とする請求項6記載のプラズマ発生装置。
- 請求項5〜7のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置を備え、
前記発生させた前記プラズマによって被処理物のプラズマ処理を実施可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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