JP5025735B2 - 光輝色彩見本票および光輝色彩見本帳 - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、たとえば自動車や家電製品、IT関連機器などをはじめとする各種の工業用デザイン、その他の各種デザインにおいて用いられる塗料による塗装意匠性(意匠性とは、色彩、光輝感性及び表層状態の組み合わせによって得られる塗膜の質感をいう。)の決定に好適な光輝色彩見本票に関し、より詳しくは、メタリックやパールのような光輝色彩の意匠性デザインの決定に資するような光輝色彩見本票および光輝色彩見本帳に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、光輝色彩の体系的な色彩見本は無かった。
【0003】
下記特許文献1には、既存の光輝色彩を再現することを目的とする調色用光輝色彩に関して、測色計を用いずともメタリック感などの光輝感を判定でき、コンピュータ調色できるようにするため、光学的測定機によって測定されたハイライトの粒子感(HG)及びハイライトのキラキラ感(HB)の測定値であるミクロ光輝感の測定値によって分類された光輝感見本色票が開示されている。しかし、これは光輝色彩の体系的な色彩見本ではなく、創造を目的とする意匠性デザインにおいて所望する光輝色彩の決定には利用できない。
【0004】
光輝色彩は、特有の三次元的発色効果を有しているため無限な意匠性を現し、それを的確に把握することは困難で、光輝色彩の決定には、従前通り、塗装された既成の光輝色彩を参考にして色彩イメージを想像し、光輝材と塗料を組み合わせて光輝塗料を試作して塗装するという作業を繰り返して、所望の光輝色彩を決定するほかなかった。しかし、参考とする光輝色彩の処方が大抵の場合不明であるので、デザインイメージと現実の印象との乖離が大きく、目標の光輝色彩を得るには多大な労力と費用がかかるものであった。
【0005】
これまで光輝色彩領域の体系的な光輝色彩見本がなかったので、光輝意匠性を相対的に比較判断することもできず、結果的に光輝色彩の選択の幅も狭まっていた。
【0006】
さらに、参考とする既成の光輝色彩は単一に存在しているだけであるので、カラーイメージの創造に不可欠な目標色域における周辺領域の色彩を認識しにくく、必然的に余分な試みを行うことになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】
日本特許第4234963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、光輝色彩見本のための新規な光輝色彩体系を提供し、デザインするときの光輝色彩の決定が、光輝色彩の有する三次元的発色効果をイメージしながら容易に行えるようにすることを主たる目的とする。また、決定した光輝色彩を容易に再現できるようにすることも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段は、塗料に光輝顔料を混入して得た光輝塗料からなる光輝色彩見本を備えた光輝色彩見本票であって、前記塗料が、純色及び暗清色の有彩色塗料であるとともに、前記光輝顔料がメタリック発色のためのものであり、明度を段階的に推移させた前記塗料と、混入率を段階的に増やした前記光輝顔料で、光輝色み感が段階的に推移する複数の光輝色彩見本を備え、これら光輝色彩見本が、明度及び/又は光輝色み感に従って光輝色彩の推移順に段階的に配設され、前記各光輝色彩見本には、これら光輝色彩見本の色を識別すべく前記明度と前記光輝色み感を示す符号からなる識別符号が付された光輝色彩見本票である。
【0010】
ここで、「光輝色彩」とは、光輝色み感を含む広い意味で、色彩、光輝感性、質感によって得られる光輝意匠性のことである。また、「配設」とは、同一平面上に並べることと、重ねることを含む意味である。
前記光輝色彩見本は縦軸と横軸の2軸に沿って明度及び光輝色み感に従って配設されるとよい。
前記識別符号は、同一符号を2つ並べて構成される前記明度と前記光輝色み感を示す符号を2つずつ並べて構成されるとよい。これら光輝色彩見本の色を識別できるとともに、当該識別符号を組み合わせることで隣接する光輝色彩見本同士の間の、具体的に表されていない色を容易に示すことができる。
前記光輝色彩見本票は、色相ごとに設けられるとよい。
別の手段は、前記光輝色彩見本票が複数設けられた光輝色彩見本帳である。ここで、「備えられた」とは、綴ったものはもちろん、単に重ねたりして集合させたものも含む意味である。
この光輝色彩見本帳には、明度と色相を段階的に推移させた純色及び暗清色の有彩色塗料に対して、パール発色又は干渉色発色の光輝顔料を混入して得た光輝塗料からなる光輝色彩見本が、明度及び/又は色相に従って光輝色彩の推移順に段階的に配設されるとともに、当該光輝色彩見本の色を識別すべく前記明度と前記色相を示す符号からなる識別符号を有する光輝色彩見本票が備えられるとよい。
また、前記光輝色彩見本帳において、前記光輝色彩見本票は、前記光輝顔料の種類ごとに設けられるとよく、色相環が添付されるとよい。色相環が添付されると、色相環と前記の光輝色彩見本票によって、光輝色彩の体系を把握しやすくなる。
【0014】
前記光輝色彩見本のうち、下地を隠す隠蔽性の低いものに隠蔽性注意喚起符号が付された光輝色彩見本票であるもよい。光輝色彩の選択に際して、工業生産において塗装技術面で問題が生じると懸念されるものを予め認識するのに役立つ。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、デザインするときの光輝色彩の決定が、光輝色彩の有する三次元的発色効果をイメージしながら容易に行えるようにすることができる。また、光輝色彩見本は段階的に配設されているので、各光輝色彩見本の塗料と光輝顔料の配合が光輝色彩見本ごとに分かるようにしておけば、決定した光輝色彩を容易に再現できる。光輝色彩見本の間に位置する具体的に表されていない色の場合でも、その色を、再現する如くに容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 光輝色彩見本票の平面図。
【図2】 図1の光輝色彩見本票の概念を説明する説明図。
【図3】 色相環の見本票の平面図。
【図4】 光輝顔料の種類と特性を示す注解票の平面図。
【図5】 光輝色彩見本票の平面図。
【図6】 光輝色彩見本票の平面図。
【図7】 光輝色彩見本票の平面図。
【図8】 光輝色彩見本票の平面図。
【図9】 光輝色彩見本票の平面図。
【図10】 光輝色彩見本票の平面図。
【図11】 図10の光輝色彩見本票の概念を説明する説明図。
【図12】 光輝顔料の種類と特性を示す注解票の平面図。
【図13】 光輝色彩見本票の平面図。
【図14】 光輝色彩見本票の平面図。
【図15】 光輝色彩見本票の平面図。
【図16】 光輝色彩見本帳の斜視図。
【図17】 光輝色彩見本帳の他の例を示す説明図。
【図18】 光輝色彩見本帳の他の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、塗料に光輝顔料を混入して得た光輝塗料を紙や金属板、プラスチック板などの適宜の基材に塗布してなる光輝色彩見本11を備えた光輝色彩見本票21の一例を示す平面図であり、複数の光輝色彩見本11が光輝色彩の類似順に従って縦横に段階的に配設されている。そして、各光輝色彩見本11には、それぞれ固有の識別符号12が付され、前記塗料と光輝顔料の混入率や種類等を特定できるようにされている。すなわち、識別符号ごとに、対応する色の塗料を作製するための調色データが別途に蓄積されている。
【0020】
光輝色彩見本11は、上述したように紙等の基材の上に塗料を塗布して構成されるが、このときの塗膜厚は、製品の塗装条件を的確に確認できるようにすべく、産業界で主に採用されている平均塗膜厚に設定されるのが好ましい。
【0021】
図1の光輝色彩見本票21は、光輝顔料がメタリック発色のための光輝顔料の一例としてのアルミニウム顔料を用いたメタリック系光輝色彩見本票21である。各光輝色彩見本11の配列は、縦軸が暗清色の明度、横軸が光輝顔料の混入率となるように、色相ごと、また光輝顔料の種類ごとになれさている。光輝顔料としてのアルミニウム顔料には、金属そのもののアルミニウムフレークのほか、色彩顔料や染料で被覆着色されたアルミニウムフレークもあり、上述と同様に使用される。
【0022】
すなわち、図1に示した例では、色相が赤(R−Color area)であるメタリック系の光輝色彩見本票21を示し、純色の赤に光輝色彩効果を表現するのに最も少ない混入率で光輝顔料を混入した光輝色彩見本11を左上に配置して、その下(縦軸)に、段階的に黒の塗料を増やした、光輝感が同じで明度が異なる暗清色の光輝色見本11を明度が段階的に推移するように並べ、これらの右側(横軸)に、段階的に光輝顔料の混入量を増やした、明度が同じで光輝色彩のみを変化させた光輝色彩見本11を光輝色み感(光輝色彩の色みや、光輝顔料の金属光輝感)が段階的に推移するように並べている。
【0023】
図示例では、明度階調を6段階、光輝色み感の階調を8段階としているが、その他の数の階調に分けることもできる。各明度階調および各光輝色み感階調は、色相や光輝顔料の種類等に応じて適宜定められる。
【0024】
また、各明度階調(縦軸)には、左上のものから順に、「11」、「22」、……「66」と、同一符号を2つ並べて構成する明度符号13が付される。同様に、各光輝色み感階調(横軸)には、左上のものから順に、「AA」、「BB」、……「HH」と、同一符号を2つ並べて構成する光輝色み感符号14が付されている。これは、組み合わせることで隣接する光輝色彩見本11との間の中間色を示すことができるようにするためである。
【0025】
これらの明度符号13および光輝色み感符号14と前記の色相を表す色相符号15を組み合わせたものが、前記識別符号12となる。色相が赤(色相符号は「10」)である場合には、識別符号12は、赤を示す「10」と、メタリックであることを示す「M」(たとえば、パール顔料は「P」)と光輝顔料の種類を示す「W」(たとえば、着色系は「C」、干渉色系は「T」など)とを組み合わせて、「MW10−11AA」、「MW10−66HH」などとなる。光輝顔料が複数種類ある場合には、色彩の具体的な特定に際しては、上記「MW10−11AA」に光輝顔料の特定も必要となる。このため、「MW10−11AA」に、光輝顔料を特定する顔料符号16、たとえば「AW01」を付加して、「MW10−11AA−AW01」となる。
【0026】
また、下地を隠す隠蔽性の低い見本については、「●」の隠蔽性注意喚起符号17を付している。隠蔽性が低いと色彩性能を十分に発揮させることができないためである。隠蔽性注意喚起符号17の存在によって色の選択においての注意を喚起できる。
【0027】
前記識別符号12の概念を説明すると、図2に示したようになる。この図において、色相を示す色相符号15、つまり前記の例「MW10−11AA」における「MW10」は省略している。また、光輝色彩見本11がある識別符号12は四角で囲んでいる。図2では、光輝色彩体系の根幹をなす共通のカラートーンを示しており、これに前述の色相符号および光輝顔料の種類の識別情報を付与することによって、さらに特定のメタリック光輝色彩を特定することができるように意図している。
【0028】
すなわち、光輝色彩見本11は光輝色彩の類似順に前述のように段階的に並んでいるので、所望の色がない場合には、それを作る必要がある。このとき、たとえば光輝色み感は「AA」でよいが、明度が「22」と「33」の間であるとよいと考える場合には、「23AA」という識別符号12を決めることができる。同様に、光輝色み感は「DD」と「EE」の中間が良く、明度は「33」と「44」の中間が良いと考える場合には、「34DE」という識別符号12を決めることができる。
【0029】
このため、光輝色彩見本11によって実際に表されている色は勿論のこと、無い色であっても中間値として顕在化させることができる。そして顕在化された色は、識別符号12に基づいて、塗料や光輝顔料の混入率等が予め作成された前述の調色データを拠り所として得られるので、周知のコンピュータ計量調色を用いて適切に塗料を製造することができる。
【0030】
また、この光輝色彩見本票21は、前述のように明度変化させたベースカラーに光輝顔料を加えることによって光輝色彩独特のトーンマトリックス体系を作り出しているので、立体的に変化する光輝色彩でも表現でき、新しい色彩の創造・開発にも役立つ。
【0031】
なお、上記の光輝色彩見本票21には、図3に示すような色相(Hue)を示した色彩見本票22と、図4に示したように光輝顔料の種類と特性を示す光輝顔料注解票23と、図5〜図9に示したような光輝顔料ごとの違いを示す光輝色彩見本票24を添付する。
【0032】
図3の色彩見本票22には、色相環22aを等間隔に10等分した色彩の色彩見本22bが配設されている。色彩見本票22の色相環22aは、上記の光輝色彩見本票21に設けられるもよい。図4の光輝顔料注解票23にも、光輝見本を付するようにしてもよい。
【0033】
図4の光輝顔料注解票23では、アルミニウム顔料の粒度(Particle)を縦軸に、白さ(Whiteness)を横軸にして、どの種類の光輝顔料がどの程度の粒度と白さを有するのかが視覚的に分かり易いように升目上に表している。また、それぞれのアルミニウム顔料について、光を正反射するハイライト部と光反射角度で変化するシェード部とのコントラストを表すパラメータとなるFlip−Flopも、順に一列に並べて容易に視認できるように表示されている。また、着色アルミニウム顔料については、その色相(Hue)がどの程度であるのかが分かるように順に一列に並べて表示している。
【0034】
図5は、アルミニウム顔料と黒の混色による光輝色彩の無彩色の明度階調の光輝色彩見本11が配設された基準票としての光輝色彩見本票24の平面図である。図中、14は光輝色み感符号である。明度階調(明度符号13参照)は、純粋な無彩色と実用性の高い僅かに色みを有するカラードグレーの階調を表すことができる。
【0035】
図6は、その光輝顔料の種類(縦軸)と色相(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票24の平面図である。図中、15は色相符号である。これにより同一のベースカラーと異なった種類のアルミニウム顔料とを混色することによって、現れてくる質感の違いを観察することができ、所望のカラーイメージと具体的に対照することができる。
【0036】
図7は、着色アルミニウム顔料と黒の混色による、低明度領域を示す光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票24の平面図である。
【0037】
図8は、光輝顔料としての着色アルミニウム顔料の種類(縦軸)と色相(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票24の平面図である。図中、15は色相符号である。これにより、着色アルミニウム顔料を色材として使用することにより一般顔料との混色による混色色彩を観察することができ、所望のカラーイメージと具体的に対照することができる。
【0038】
図9は、光輝顔料としてアルミニウム顔料と着色アルミニウム顔料を混合して用いた場合の、光輝顔料の種類(縦軸)と混入率(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票24の平面図である。図中、14は光輝色み感符号、16は顔料符号である。
【0039】
図5〜図8の光輝色彩見本票24において、縦軸の左端には、光輝顔料の光輝特性を示す光輝見本24aを付している。図9の光輝色彩見本票24においては、縦軸の左右両側にそれぞれ、アルミニウム顔料を用いた光輝見本24aと着色アルミニウム顔料を用いた光輝見本24aが配設されている。
【0040】
前述の光輝色彩見本票21にこのような見本票22,23,24などを添付すると、光輝色彩のイメージを三次元的に把握することが容易にでき、所望する光輝色彩の選定や開発に大きく貢献する。
【0041】
これらの他に、図10に示したような光輝色彩見本票25を添付することもできる。
図10に示した光輝色彩見本票25も、前述の図1に示した光輝色彩見本票21と同様に、複数の光輝色彩見本11が外観の類似順に従って縦横に段階的に配設されている。そして、各光輝色彩見本11には、それぞれ固有の識別符号12が付され、前記塗料と光輝顔料の種類等を特定できるようにされている。すなわち、識別符号12ごとに、対応する色の塗料を作製するための調色データが別途に蓄積されている。
【0042】
光輝色彩見本11の塗膜厚についても前述と同様で、産業界で主に採用されている平均塗膜厚であるのが好ましい。
【0043】
図1の光輝色彩見本票21は、メタリック系の光輝色彩見本票21であったのに対して、図10に例示した光輝色彩見本票25は、光輝顔料がホワイトシルバー系パール顔料を用いたパール系光輝色彩見本票25である。各光輝色彩見本11の配列は、縦軸が暗清色の明度、横軸が色相となるように、光輝顔料の種類ごとになれさている。光輝顔料としてのパール顔料には、上記のホワイトシルバー系のほか、着色された着色系や偏光性の干渉色系のものなどもあり、同様に使用される。
【0044】
すなわち、図10に示した例では、ホワイトシルバー系パール顔料の一例である「PW01」(顔料符号16参照)を用いたパール系の光輝色彩見本票25を示し、純色の赤(10)に所定量の光輝顔料を混入した光輝色彩見本11を左上に配置して、その下に、段階的に黒の塗料を増やした、明度が異なる暗清色の光輝色彩見本11を、明度が段階的に推移するように並べ、これらの右側に、色相を段階的に異にした色相の異なる光輝色彩見本11を色相が段階的に推移するように並べている。
【0045】
図示例では、明度階調を6段階、色相の階調を10段階としているが、その他の数の階調に分けることもできる。各明度階調および色相階調は、色相や光輝顔料の種類等に応じて適宜定められる。
【0046】
また、各明度階調(縦軸)には、左上のものから順に、「11」、「22」、……「66」と、同一符号を2つ並べて構成する明度符号13が付される。同様に、各色相階調(横軸)には、左上のものから順に、「10」、「20」、……「00」と、同一符号を2つ並べて構成する色相符号15が付されている。これは、前述と同様に、組み合わせることで隣接する光輝色彩見本との間の色を示すことができるようにするためである。なお、色相は色相環を構成するものであるので、両端、すなわち「00」と「10」の間の色も観念できる。
【0047】
これらの明度符号13および色相符号15を組み合わせたものが、前記識別符号12となる。すなわち、識別符号12は、明度を示す「11」等と色相を示す「10」等を結合して表される。つまり、「1110」、「6600」などとなる。光輝顔料が複数種類ある場合には、色彩の具体的な特定に際しては、上記「1110」等に加えて、光輝顔料の特定も必要となる。このため、「1110」に、光輝顔料を特定する顔料符号16、たとえば「PW01」を付加して、「PW01−1110」等となる。
【0048】
前記識別符号12の概念を説明すると、図11に示したようになる。この図において、光輝色彩見本11がある符号は四角で囲んでいる。図11では、色相とカラートーンとの関係によってもたらされる基本的な光輝色彩体系を示しており、これに光輝顔料の識別情報を付与することによって、さらに特定のパール光輝色彩を特定することができるように意図している。
【0049】
すなわち、光輝色彩見本11は類似順に前述のように段階的に並んでいるので、所望の色がない場合には、それを作る必要がある。このとき、たとえば色相は「10」でよいが、明度が「22」と「33」の間であるとよいと考える場合には、「2310」という識別符号12を決めることができる。同様に、色相は「50」と「60」の間が良く、明度は「33」と「44」の間が良いと考える場合には、「3456」という識別符号12を決めることができる。また、色相は「10」と「00」の間が良く、明度は「33」と「44」の間が良いと考える場合には、「3401」という識別符号12を決めることができる。
【0050】
このため、光輝色彩見本11によって実際に表されている色は勿論のこと、無い色であっても中間値として顕在化させることができる。そして顕在化された色は、識別符号12に基づいて、塗料や光輝顔料の混入率等が予め作成された前述の調色データを拠り所として得られるので、周知のコンピュータ計量調色を用いて塗料を製造することができる。
【0051】
また、この光輝色彩見本票25は、明度変化させたベースカラーに光輝顔料を加えることによって光輝色彩独特のトーンマトリックス体系を作り出しているので、立体的に変化する光輝色彩でも表現でき、新しい色彩の創造・開発にも役立つ。
【0052】
なお、上記の光輝色彩見本票25には、図12に示したように光輝顔料の種類と特性を示す光輝注解票26と、図13〜図15に示したような光輝顔料ごとの違いを示す光輝色彩見本票27を添付する。
【0053】
図12の光輝顔料注解票26では、ホワイトシルバー系パール顔料の粒度(Particle)を縦軸に、白さ(Whiteness)を横軸にして、どの種類の光輝顔料がどの程度の粒度と白さを有するのかが視覚的に分かり易いように升目上に表している。また、着色パール顔料については、その色相(Hue)がどの程度であるのかが分かるように順に一列に並べて表示している。干渉色パール顔料についても、その偏光して現れる色相(Hue)がどの程度であるのかが分かるように一列に並べて表示されている。この光輝顔料注解票26にも、光輝見本を付するようにするとなお良い。
【0054】
図13は、光輝顔料としてホワイトシルバー系パール顔料の種類(縦軸)と色相(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された基準票としての光輝色彩見本票27の平面図である。図中、15は色相符号である。図14は、光輝顔料としての着色パール顔料の種類(縦軸)と色相(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票27の平面図である。図中、15は色相符号である。図15は、光輝顔料として干渉色パール顔料を用いた場合の、光輝顔料の種類(縦軸)と色相(横軸)に従って光輝色彩見本11が配設された光輝色彩見本票27の平面図である。図中、15は色相符号である。図12〜図15の光輝色彩見本票27において、縦軸の左端には、光輝顔料の光輝特性を示す光輝見本27aを付している。この光輝見本27aは、下地を左右に2分割して、一方の下地を白、他方の下地を黒としている。
【0055】
前述の光輝色彩見本票25にこのような見本票26,27などを添付すると、光輝色彩のイメージを三次元的に把握することが容易にでき、所望する光輝色彩の選定や開発に大きく貢献する。
【0056】
以上のような光輝色彩見本票21等(以下、「見本票」という。)は、一つにまとめられ、あるいはいくつかに分冊された状態で綴じられて、たとえば図16に示したような光輝色彩見本帳31とされる。
【0057】
図16に示した光輝色彩見本帳31は、いわゆるブックタイプであり、綴じ具32aを備えた外装部材32に保持される。保持に際しては、綴じ具32aに透明フイルムからなる袋シート33が着脱自在に綴じられ、この袋シート33に、抜き差しできるように前記見本票34が収納される。
【0058】
袋シート33によって、見本票34の光輝色彩見本11が汚れなどから保護されるとともに、必要に応じて見本表34を簡単に取り出すことができる。このため、光輝色彩を十分に確認することができ、光輝色彩見本11特有の三次元的発色効果を把握しやすい。
【0059】
また、前述のように独特な三次元的発色効果を有する光輝色彩のイメージを容易に把握できるようにすることができ、しかも広がりのあるイメージを把握できるので、従来のような労力や費用の無駄を省き、簡易迅速に所望の光輝色彩を選定し製造することができる。
【0060】
さらに、光輝色彩イメージの把握が的確にできるため、光輝性を相対的に比較判断することも可能になる。このため、光輝色彩の選択の幅が大幅に広がり、特に新しい色彩の開発に好適に利用できる。この結果、工業デザインの発展に多大な貢献を期待できる。
【0061】
なお、光輝色彩見本帳31は、たとえば、図17に示したような扇子状の、いわゆるファンデッキタイプの見本帳にすることもできる。このとき、図17(a)に示した光輝色彩見本帳31のように、1枚の見本票34に、たとえば明度や光輝顔料の混入率等の条件ごとに配列された複数の光輝色彩見本11を付することも、図17(b)に示した光輝色彩見本帳31のように1枚の見本票34に1色の光輝色彩見本11を付することもできる。また、これらのように台紙34aに光輝色彩見本11を貼り付けて見本票34を構成するのではなく、図17(c)に示した光輝色彩見本帳31のように、台紙34aなしで光輝色彩見本11のみで見本票34を構成することもできる。図17(b)(c)の場合には、見本票34を綴じるときに、前述のような明度や光輝顔料の混入率などが段階的に推移するように重ねられる。
【0062】
そのほかに、単色ごとのカードタイプなどの他の形態とすることも可能である。カードタイプの光輝色彩見本帳31は、例えば図18に示したように多数のカードタイプの見本票34(光輝色彩見本11)を適宜整列させてケース35に収納して構成できる。図中、35aは仕切りを示す。単色ごとのカードタイプであれば、光輝色彩見本11の移動や組み合わせが自由であるので、光輝色彩を含む各種の組み合わせ色によるデザインや意匠がイメージし易くなる。
【0063】
前述の光輝色彩見本票21,25等では、中間色を示すことのできる識別符号12を用いた例を示したが、たとえば、識別符号を3桁ずつの符号の組み合わせで構成すれば、中間色のほかに、いずれか一方に寄った色も特定し、製造することができる。この偏向する中間色彩を求めるために、分数による数式や特定の記号を設定することもできる。
【符号の説明】
【0064】
11…光輝色彩見本
12…識別符号
17…隠蔽性注意喚起符号
21,24,25,27…光輝色彩見本票
22a…色相環
31…光輝色彩見本帳
Claims (8)
- 塗料に光輝顔料を混入して得た光輝塗料からなる光輝色彩見本を備えた光輝色彩見本票であって、
前記塗料が、純色及び暗清色の有彩色塗料であるとともに、
前記光輝顔料がメタリック発色のためのものであり、
明度を段階的に推移させた前記塗料と、混入率を段階的に増やした前記光輝顔料で、光輝色み感が段階的に推移する複数の光輝色彩見本を備え、
これら光輝色彩見本が、明度及び/又は光輝色み感に従って光輝色彩の推移順に段階的に配設され、
前記各光輝色彩見本には、これら光輝色彩見本の色を識別すべく前記明度と前記光輝色み感を示す符号からなる識別符号が付された
光輝色彩見本票。 - 前記光輝色彩見本が縦軸と横軸の2軸に沿って明度及び光輝色み感に従って配設された
請求項1に記載の光輝色彩見本票。 - 前記識別符号が、同一符号を2つ並べて構成される前記明度と前記光輝色み感を示す符号を2つずつ並べて構成された
請求項1または請求項2に記載の光輝色彩見本票。 - 色相ごとに設けられた
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の光輝色彩見本票。 - 前記請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の光輝色彩見本票が複数設けられた
光輝色彩見本帳。 - 明度と色相を段階的に推移させた純色及び暗清色の有彩色塗料に対して、パール発色又は干渉色発色の光輝顔料を混入して得た光輝塗料からなる光輝色彩見本が、明度及び/又は色相に従って光輝色彩の推移順に段階的に配設されるとともに、当該光輝色彩見本の色を識別すべく前記明度と前記色相を示す符号からなる識別符号を有する光輝色彩見本票が備えられた
請求項5に記載の光輝色彩見本帳。 - 前記光輝色彩見本票が、前記光輝顔料の種類ごとに設けられた
請求項5または請求項6に記載の光輝色彩見本帳。 - 色相環が添付された
請求項5から請求項7のうちのいずれか一項に記載の光輝色彩見本票帳。
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