JP5025489B2 - 標的配列の特異的高感度増幅法 - Google Patents

標的配列の特異的高感度増幅法 Download PDF

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Description

本発明は、標的配列の特異的高感度増幅法に関する。
近年、生化学的分野における研究技術の飛躍的進歩に伴って、サンプル内でわずかに生じている現象を、詳細に検出できるようになってきた。例えば、蛍光色素を使用することにより、細胞内のイオン分布を詳細に検討したり、タンパク質同士の会合を測定したりすることが可能になった。このような生化学的分野の技術的進歩の一つとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて微量の核酸を増幅・検出することに関する技術的進歩が挙げられる。
PCR法は、DNAについて、1対(2つ)のプライマー(フォワードプライマーおよびリバースプライマー)を使って1回の温度サイクルごとに標的とするDNA分子を2倍に増やす反応を、通常20〜40回繰り返すことで標的DNAを大幅に増幅する反応であり、現在の遺伝子工学的実験においては、なくてはならない技術である。PCR法の開発当初は、この技術は増幅のみを目的として使用されており、DNAの定量という観点から見た場合、単にPCR反応が終了したサンプル中の増幅されたDNAを定量するのみであった。
PCR反応を行う場合、目的としない配列に対してプライマーがハイブリダイズしてしまう結果として、目的としない配列の非特異的増幅が生じる、という欠点が存在する。この問題は、プライマーの設計技術が進歩した現在でも、依然として存在する問題である。この非特異的増幅の問題は、鋳型として使用するサンプル中に標的配列と類似する配列が存在する限り、避けられない問題である。非特異的増幅が避けられない問題であるため、この問題を解決するためには、増幅された配列が標的配列であるか非標的配列であるかを確認しなければならない。
その後、蛍光を測定しながらPCR反応を行うことができるリアルタイムPCRの装置が開発され、PCR反応を行っているあいだ継続的にサンプル内のDNAの増幅を、蛍光色素を使用して検出することができる様になった。リアルタイムPCRの装置が開発された当初は、エチジウムブロマイドなどのインターカレーターを使用して、核酸量に応じた蛍光量を測定していたため、単純にサンプル中の核酸量を測定することしかできなかった。それが、増幅される核酸分子(DNAまたはRNA)のコピー数というレベルで、より厳密な意味での定量が可能になったのは、レポーターとクエンチャーとを結合させたプローブ(例えばTaqMan(商標)プローブ)が開発されてからである。このプローブが開発されたことにより、増幅された配列が標的配列であるか非標的配列であるかを確認することができるようになり、そして、PCRにおいて指数増殖期の状態にある増幅中の核酸量は、PCR開始前にサンプル中に元々存在していた核酸分子のコピー数(量)に依存するため、このプローブを利用することにより、遺伝子発現の定量(程度)をコピー数レベルで数値化できるようになった。
レポーターとクエンチャーとを結合させたプローブを用いた核酸分子のコピー数に基づく定量は、増幅用のプライマーの配列およびプローブの配列と標的となる核酸分子の配列との特異性に依存している。すなわち、増幅用プライマーの配列特異性に基づいてPCR法により標的配列を増幅し、その増幅された標的配列を、特異性のあるプローブを使用して検出することにより、検出感度を上昇させることを特徴としている。
現在、サンプル中の遺伝子発現量を定量する方法として、逆転写酵素を用いたRT-PCR法においてこのようなプローブを使用する方法がしばしば使用される。このRT-PCR法では、通常1 ngのRNAをサンプルとして、数十万コピー程度の標的遺伝子発現産物を定量することができる方法である。しかしながら、上述したような配列特異的検出が可能なプローブを使用しても、サンプル中に存在する標的遺伝子以外の核酸分子の中に含まれる類似配列を有する非標的遺伝子の存在や、類似する配列の反復配列の存在、または選択的スプライシングにより形成されたファミリー配列を有する非標的遺伝子の存在により、非標的配列を含む非標的遺伝子の断片が増幅されてしまい、それが標的核酸分子の定量に対するノイズとなってしまうことが報告されている。そのため、このような類似する配列間の特異的な識別および標的遺伝子の定量を高精度に行うため、標的遺伝子のみを特異的に高精度で増幅するための新たな手段を開発することが、当該技術分野において求められていた。
特に、近年は、例えばテーラーメード医療等の医療分野、および生命科学を基盤とする多くの分野において、遺伝子発現量(RNA生合成量)を、数百コピー程度の微量なRNAを、極めて厳密に、そして高精度(高感度および高特異性)に定量することが求められており、高度な定量性を有する新たな手法が待たれていた。
本発明は、類似する配列間の特異的な識別に基づいて、標的遺伝子を高感度に増幅するための新たな手段を開発することを課題とする。本発明はまた、類似する配列間の特異的な識別に基づいて、標的遺伝子の高精度の定量についての新たな手段を開発することを課題とする。具体的には、類似配列を有する非標的遺伝子からのノイズを低減し、標的遺伝子のみを特異的に増幅する方法、ならびにその増幅された配列からのシグナルを、高精度(高感度および高特異性)に取得することにより、新たな定量方法を開発することを課題とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討を進めた結果、PCR反応混合物中に1または複数の第3のプライマー(本明細書の以下において、「インターセプトプライマー」という)を含有させることにより、上述した課題を解決することができることを明らかにし、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は:
標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;および
標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなる1または複数のインターセプトプライマー;
を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の高感度増幅法であって、
前記1または複数のインターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上に存在する前記第二プライマーの認識部位を欠損した非-標的配列部分を生成して、前記第一プライマーと前記第二プライマーとの組み合わせによる非-標的配列の非特異的増幅を低減し、
前記第一プライマーおよび第二プライマーとにより増幅された標的配列由来の増幅産物を選択的に得ること、
を含む、前記高感度増幅法;
を提供することを特徴とする。
本発明は別の態様において:
標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなる1または複数のインターセプトプライマー;および
標的配列を認識する標的配列認識プローブ;
を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法であって、
前記1または複数のインターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上に存在する標的配列認識プローブ認識部位を欠損した非-標的配列部分を生成して、標的配列認識プローブによる非-標的配列の検出シグナルを低減し、
標的配列認識プローブを使用して、前記第一プライマーおよび第二プライマーとにより増幅された標的配列由来のシグナルを選択的に得ること、
を含む、標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法
を提供することを特徴とする。
本発明はさらに別の態様において:
標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなる1または複数のインターセプトプライマー;
標的配列を認識する第一認識プローブ;および
非-標的配列を認識するが、標的配列は認識しない、第二認識プローブ
を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、サンプル中の標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法であって、
前記1または複数のインターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上の第一認識プローブとのハイブリダイズ部位を欠損した非-標的配列部分を生成し、
第一認識プローブを使用して得られた前記第一プライマーおよび第二プライマーにより増幅された標的配列由来の第一のシグナルと、第二認識プローブを使用して得られた前記非-標的配列部分由来の第二のシグナルとを対比することにより、サンプル中の、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する、
ことを含む、前記標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法
を提供することを特徴とする。
本発明はさらに別の態様において:
標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなる1または複数のインターセプトプライマー;
標的配列を認識する第一認識プローブ;および
非-標的配列を認識するが、標的配列は認識しない、第二認識プローブ
を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、サンプル中の標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法であって、
前記1または複数のインターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上の第一認識プローブとのハイブリダイズ部位を欠損した非-標的配列部分を生成し、
第一認識プローブを使用して得られた前記第一プライマーおよび第二プライマーにより増幅された標的配列由来の第一のシグナルと、第二認識プローブを使用して得られた前記非-標的配列部分由来の第二のシグナルとを対比することにより、サンプル中の、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する、
ことを含む、前記標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法
を提供することを特徴とする。
本発明においては、三種類の増幅用プライマー(すなわち、第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマー)を使用することにより、標的遺伝子を高感度で、特異的に増幅することができること、標的遺伝子の発現量を高精度(高感度、高特異性)に測定すること、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定すること、そしてサンプル中の標的遺伝子の発現量と非標的遺伝子の発現量を、同時に高精度(高感度、高特異性)に定量することができる。
本発明のいずれの態様も、核酸増幅反応混合物中に第三のプライマーとしての1または複数のインターセプトプライマーを混合することのみで実現することができる。そのため、従来から行われている核酸増幅反応の手法(例えば、PCR法、RT-PCR法、LAMP法、もしくはマルチプルPCR(Multiplex PCR)など)のいずれに対しても適用することができるという特長を有する。また、従来から使用されていた核酸の増幅をリアルタイムで検出するための手段(TaqManプローブ法、FRET法など)のいずれを利用しても実現可能であるという特長を有する。そのため、新たな設備・装置を整備する必要なく、従来から使用されている設備・装置をそのまま利用して、これまでよりも10〜100倍精度が高い増幅、定量もしくはそのような精度の高い定量に基づく測定が可能になる。
図1は、第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマーの3種類のプライマーを使用した、本発明の高感度増幅法の概念を示す図である。 図2は、第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマーの3種類のプライマーに加えて、標的配列認識プローブを使用した、本発明の高感度測定法の概念を示す図である。 図3は、第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマーの3種類のプライマーを使用した、ヒト3Rtauおよび4Rtauの高感度識別法の概念図を示す。 図4は、第一のプライマー、第二のプライマーならびにインターセプトプライマーの3種類のプライマーを使用することにより、非標的配列の非特異的増幅に基づくノイズが低減されることを示す図である。 図5は、インターセプトプライマーの存在の有無にかかわらず、第一のプライマーと第二のプライマーとの組み合わせによるヒト3Rtauをコードする核酸分子を鋳型とした標的配列の増幅が何ら影響を受けないことを示す。 図6は、インターセプトプライマーの存在により、標的配列と非標的配列との混合物の中から、標的配列のみを特異的に増幅することができ、標的配列の増幅は、サンプル中に添加された非標的配列の量には影響を受けないことを示す。 図7は、インターセプトプライマーの存在下、標的配列と非標的配列の混合したサンプルを鋳型として、標的配列認識プローブならびに非標的配列認識プローブを同時に使用することにより、標的配列と非標的配列を同時に定量することができることを示す。
発明の実施の形態
本発明は、第一の態様において、標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;および標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなるインターセプトプライマー;の3種類のプライマーを使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の高感度増幅法を提供する。
この方法においては、前記インターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上に存在する前記第二プライマーの認識部位を欠損した非-標的配列部分を生成することを特徴とする。上述のインターセプトプライマーを使用することにより、前記第一プライマーと前記第二プライマーとの組み合わせによる非-標的配列の非特異的増幅を低減することができる。それにより、結果として前記第一プライマーおよび第二プライマーとにより増幅された標的配列由来の特異的増幅産物を選択的に得ることができる。
核酸増幅反応において、非特異的増幅を低減し、特異的増幅を選択的に行わせることができる方法として、特開2003-159100に開示された方法が知られている。この特許文献に記載された方法は、一塩基多型を検出する方法として開発されたものであり、一塩基多型の塩基変異部分に特異的なプライマー、ブロックプライマーを作成し、そのブロックプライマーのハイブリダイズ特性に基づいて、一塩基多型の塩基変異を有する鋳型となる配列の非特異的増幅が生じないようにする方法である。この方法は、単に一塩基多型を有する変異した鋳型の増幅を低減するのみであり、さらにLAMP法(Notomi et. al., Nucleic Acids Research (2000), Vo1.28, e63およびWO00/28082)を利用することを必須の要件としている等の点を特徴としている。
これに対して、本発明のインターセプトプライマーを利用する方法においては、利用できる核酸増幅反応の種類に限定がなく、インターセプトプライマーを利用した非標的配列の非特異的増幅を積極的に行わせることを特徴としている。そしてその様な構成を採用することにより、一塩基多型だけでなく、広く標的配列以外の非特異的増幅が生じる場合の標的配列の特異的増幅を選択的に行うことができるものである。
ここで、本明細書中で「標的配列」とは、第一プライマーおよび第二プライマーにより増幅される標的遺伝子上の配列のことをいい、「非-標的配列」とは、同一の一対のプライマーにより増幅される非-標的遺伝子の配列のことをいう。
従来の核酸増幅法(例えば、PCR法)においては、サンプル中に鋳型に対してハイブリダイズする2種類のプライマー(本発明における第一プライマーおよび第二プライマーに相当する)を添加して、増幅反応を行っていた。しかしながら、サンプル中に種々の配列を有する遺伝子発現産物が混在している場合、従来の核酸増幅法では、第一プライマーおよび第二プライマーを使用して核酸増幅反応を行った際に、目的としていない非標的配列が非特異的に増幅され、目的とする標的配列が増幅しない事例がしばしば存在していた。本発明の方法は、そのような非特異的な増幅が生じる場合に適用される。
本発明においては、上述した2種類のプライマー(第一プライマーおよび第二プライマー)に加えて、1または複数の第三のプライマー、インターセプトプライマーをサンプル中にさらに添加して、増幅反応を行うことを特徴とする。そこで、本発明においては、使用するインターセプトプライマーを設計することから始める。
あるサンプルに対して、第一プライマーと第二プライマーをプライマーとして核酸増幅反応を行った場合に、目的としない配列(すなわち非-標的配列)が増幅されることが確認された場合に、増幅された標的配列および非標的配列をそれぞれ配列決定し、それらの配列を対比する。このような配列解析に基づいて、そのような非標的配列にはハイブリダイズするが、標的配列にはハイブリダイズしない様に、かつ第一プライマーとインターセプトプライマーの組み合わせにより、非-標的配列上に存在する前記第二プライマーの認識部位を欠損した非標的配列の部分を増幅する様に、インターセプトプライマーを設計する。この様な特徴を有するインターセプトプライマーと上述の第一プライマーとを組み合わせることにより、標的配列を増幅することはできないが、非-標的配列の一部を増幅することができる。
ここで、インターセプトプライマーは、その骨格の構造により特に限定されるものではなく、核酸標的に対する親和性の亢進、そしてヌクレアーゼの存在下における安定性の増加などの特性を考慮して、いずれの構造の骨格を有するものを使用してもよい。本発明においては、例えば、インターセプトプライマーの骨格として、リボ核酸(RNA)骨格、デオキシリボ核酸(DNA)骨格、またはオリゴヌクレオチドの糖-バックボーンがアミド含有骨格により置換されたペプチド核酸(PNA)骨格などのその他の骨格から構成されるもののいずれを採用してもよい。
このようにして設計した第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマーを、同一の核酸増幅反応混合物中に添加し、前述したサンプルに対して核酸増幅反応を行う。この核酸増幅反応においては、第一プライマーとインターセプトプライマーの組み合わせにより、非標的配列の部分が増幅されるが、増幅された非標的配列の部分には第二プライマーとハイブリダイズする配列が存在しないため、非標的配列の部分を鋳型とするその後の核酸増幅反応においては、第一プライマーと第二プライマーの組み合わせによる増幅反応は起こり得ない。
一方、標的配列は第一プライマーと第二プライマーの組み合わせにより増幅されるが、インターセプトプライマーは標的配列にハイブリダイズしないため、第一プライマーとインターセプトプライマーの組み合わせによる標的配列を鋳型とした非特異的増幅は生じない。その結果、前記第一プライマーと第二プライマーによる非-標的配列の非特異的増幅を消去することができる。1つのインターセプトプライマーを使用した本発明のこの態様の概念を、図1に示す。
第一プライマーと第二プライマーをプライマーとして核酸増幅反応を行った場合に、複数の目的としない配列(すなわち複数の非-標的配列)が増幅されることが確認された場合には、複数のインターセプトプライマーを作成し、そして同一サンプル中で使用することもできる。したがって、本発明の方法においては、複数のインターセプトプライマーを使用することもできる。複数のインターセプトプライマーを使用する場合にも、前述の1つのインターセプトプライマーを使用する場合と同様に、複数のインターセプトプライマーを設計・作製し、第一プライマー、第二プライマーおよび複数のインターセプトプライマーを、同一の核酸増幅反応混合物中に添加し、前述したサンプルに対して核酸増幅反応を行う。
本発明の高感度増幅法は、当該技術分野において使用される核酸増幅反応のいずれにも適用することができ、そのような核酸増幅反応には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、マルチプルPCR(Multiplex PCR)が含まれるが、これらには限定されない。
本発明の方法を、PCR法もしくはRT-PCR法に適用する場合には、直鎖のオリゴヌクレオチドプライマー(第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマー)を使用し、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法に適用する場合には、第一プライマー領域に対する2種類のプライマー(本明細書中では、便宜上、これらを併せて第一プライマーと呼ぶ)および第二プライマー領域に対する2種類のプライマー(本明細書中では、便宜上、これらを併せて第二プライマーと呼ぶ)ならびにインターセプトプライマー領域に対する2種類のプライマー(本明細書中では、便宜上、これらを併せてインターセプトプライマーと呼ぶ)を使用する。
また、本発明の方法を、マルチプルPCR(Multiplex PCR)法に適用することもできる。マルチプルPCRは、現在、巨大な遺伝子上に点在する複数の変異のうちの1または複数のものが疾患と関連していることが知られている遺伝子、例えばジストロフィン遺伝子、の変異部位を特定するためなどに実際に利用されている方法であり、複数組のプライマーを使用して同時的にPCRを行うことを特徴としている。すなわち、ジストロフィン遺伝子は、遺伝子の大きさが2.4 Mbp、79個のエクソンを有すると言う巨大な遺伝子であるため、全長を増幅することにより変異部位を検出することは現実的ではないため、既知の変異部位のみを増幅することにより筋ジストロフィーに関連する変異が存在するか否かを特定することができる。したがって、本発明の方法をマルチプルPCR(Multiplex PCR)法に適用する場合には、PCR法もしくはRT-PCR法に適用する場合に使用する1セットの直鎖のオリゴヌクレオチドプライマー(第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマー)を、複数セット使用して、同一反応サンプル中で同時的に核酸増幅反応を行うことができる。
本発明の第二の態様として、上述した高感度増幅方法において、さらに認識プローブを使用することにより、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法を提供することもできる。本発明のこの態様は、核酸分子のコピー数を定量的に測定しながら核酸分子を増幅することができる、定量的核酸増幅反応のいずれにも適用することができる。そのような定量的核酸増幅反応には、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR法、定量的LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、マルチプルPCR(Multiplex PCR)が含まれるが、これらには限定されない。
本発明のこの態様においては、前述した高感度増幅法と同様に、第一プライマー、第二プライマーおよび1または複数のインターセプトプライマーの3種類のプライマーを使用することに加えて、標的配列を認識する認識プローブ(標的配列認識プローブ)を使用することを特徴とする。したがって、本発明のこの態様においては、プライマーに加えて、認識プローブを設計する。1つのインターセプトプライマーを使用したこの態様の概念を、図2に示す。
標的配列認識プローブは、第一プライマーと第二プライマーにより増幅される標的配列上には存在するが、インターセプトプライマーと前記第一プライマーにより増幅される非-標的配列の一部上には存在しない配列を認識する様に設計する。標的配列認識プローブの認識部位を、例えば、インターセプトプライマーと第二プライマーとの間の非-標的配列部分(すなわち、インターセプトプライマーと第一プライマーでは増幅されない部分)に対応する標的配列部分に設定するか、または選択的スプライシングにおけるスプライスジャンクション部位に設定することが好ましい。
定量的核酸増幅反応を行う際には、反応混合物中での核酸分子の増幅をリアルタイムで検出することができる核酸増幅反応、例えばリアルタイム定量が可能な核酸増幅法を使用する。このようなリアルタイム定量が可能な核酸増幅反応において使用する標的配列認識プローブとしては、当該方法において一般的に使用される、非放射性標識化合物などを使用して、例えば蛍光的に検出することが可能なプローブ(例えば、TaqMan(商標)プローブ(Applied Biosystems)、QuantiTect(商標)Probes(QIAGEN)、QIAGEN Operon(商標)Dual-Labeled Probes(QIAGEN)、FRET法ハイブリダイゼーションプローブ(例えば、LightCycler(商標)Hybridyzation (FRET) Probe(Roche Diagnostics)など)、Molecular Beacons(商標)(Invitrogen)などの、レポーターとクエンチャーを有するプローブを設計・作製する。このような3種類のプライマーを使用して標的配列および非標的配列を増幅し、そして標的配列認識プローブを用いて増幅配列を検出する結果、前記第一プライマーと第二プライマーによる標的配列由来のシグナルのみを検出することができ、非-標的配列の非特異的増幅に基づくノイズを消去することができる。
本発明においては、第三の態様として、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法もまた、提供する。この態様を実施する場合には、核酸増幅反応混合物中に、認識プローブとして、上述した標的配列認識プローブ(第一の認識プローブ)の他に、非-標的配列認識プローブ(第二の認識プローブ)を含有させる。この場合、非-標的配列認識プローブは、前記第一プライマーとインターセプトプライマーとの組み合わせにより増幅される非-標的配列の一部上の配列とハイブリダイズするが、前記第一プライマーと第二プライマーの組み合わせにより増幅される標的配列上の配列とはハイブリダイズしないように設計・調製する。
従って、本発明の第三の態様においては、上述した三種類の増幅用プライマー(すなわち、第一プライマー、第二プライマーおよび1または複数のインターセプトプライマー)と二種類の認識プライマー(標的配列認識プローブ(第一認識プローブ)および非-標的配列認識プローブ(第二認識プローブ))とを使用して、リアルタイム定量可能な核酸増幅反応装置を使用して、リアルタイムで蛍光を測定しながらRT-PCRまたはPCR反応などの核酸増幅反応を行う。
ここで、標的遺伝子について初期コピー数をA、増幅の曲線が指数的に立ち上がるサイクル数がnサイクルとし、非標的遺伝子について初期コピー数をB、増幅の曲線が指数的に立ち上がるサイクル数がkサイクルとして検討する。標的配列の増幅の指標である第一認識プローブから得られるnサイクル時におけるシグナルは、理論的には、A×2n-1コピーの標的配列に対応することを意味し、非標的配列の増幅の指標である第二認識プローブから得られるkサイクル時におけるシグナルは、理論的には、B×2k-1コピーの標的配列に対応することを意味する。ある核酸分子の増幅の曲線が指数的に立ち上がる時点では、含まれる核酸分子コピー数が一定であると推測できることから、A×2n-1=B×2k-1が理論的には成立し、これより、A/B=2k-nが理論的には成立する。
したがって、第一認識プローブから得られるシグナルと第二認識プローブから得られるシグナルとを比較し、増幅の曲線が指数的に立ち上がるサイクル数が何サイクル相違するか(すなわち、k-n)を明らかにすることにより、初期のサンプル中に含まれる標的遺伝子と非標的遺伝子の比をA/B=2k-nとして測定することができる。
本発明においては、第四の態様として、標的配列存在量と非-標的配列存在量とを、1サンプル内で同時的に定量する方法もまた、提供する。この態様においては、上述した三種類の増幅用プライマー(すなわち、第一プライマー、第二プライマーおよび1または複数のインターセプトプライマー)と二種類の認識プライマー(標的配列認識プローブ(第一認識プローブ)および非-標的配列認識プローブ(第二認識プローブ))とを使用して、リアルタイム定量核酸増幅装置を使用して、リアルタイムで蛍光を測定しながらRT-PCRまたはPCR反応などの核酸増幅反応を行う。インターセプトプライマーを添加することで、第一プライマーと第二プライマーの組み合わせによる非標的核酸分子に由来するDNA断片の非特異的増幅を阻害し、したがって、標的配列認識プローブが非標的配列にハイブリダイズすることに由来するノイズを低減することができ、結果として標的遺伝子の発現量を高精度(高感度、高特異性)に測定することができる。一方、第二認識プローブは、非-標的配列にハイブリダイズすることができ、したがって、第一プライマーとインターセプトプライマーの組み合わせによる非標的核酸分子の特異的増幅を検出することができる。それにより、結果として非標的遺伝子の発現量を高精度(高感度、高特異性)に測定することができる。このようにして、サンプル中の標的遺伝子の発現量と非標的遺伝子の発現量を、同時に高精度(高感度、高特異性)に定量することもまた可能である。
本発明のいずれの態様においても、cDNAまたはゲノムDNAを鋳型とする核酸増幅反応を行っても、または核酸増幅に先だってRNAを使用し逆転写酵素反応を行う、RT-PCR法を行ってもよい。
本明細書の以下において、発明をより詳細に説明する目的で、実施例を記載する。この実施例の記載は、本発明の範囲を限定することを目的としたものではなく、単に発明をより詳細に説明することを目的としたものである。
実施例1:ヒト3リピートタウをコードする核酸分子およびヒト4リピートタウをコードする核酸分子の増幅用プライマーおよび認識用プローブの設計
本実施例においては、標的遺伝子と非標的遺伝子が混在するサンプルを用いて核酸増幅反応を行う際に、インターセプトプライマーを使用することにより、標的配列を特異的に増幅・定量することを示すために行った。
具体的には、本実施例は、標的配列であるヒト3リピートタウ(3Rtau)をコードする核酸分子(NCBI: NM_016841(5464 bp))と非標的配列であるヒト4リピートタウ(4Rtau)をコードする核酸分子(NCBI: NM_016834(5557 bp))とが混在するサンプル中から、4Rtauをコードする核酸分子由来のノイズを低減し、3Rtauをコードする核酸分子を特異的に増幅・定量することを目的とする。このような目的を達成するため、3Rtauをコードする核酸分子およびヒト4Rtauをコードする核酸分子の増幅用プライマーおよび認識用プローブの設計をおこなった。
ヒト3Rtauとヒト4Rtauは単一の遺伝子から選択的スプライシングにより発現する2種類のタンパク質であり、アルツハイマー病の病態に関連するタンパク質である。ヒトにおいては、アルツハイマー病、第17番染色体に連鎖するパーキンソン症候群を伴った前頭側頭型痴呆(FTDP-17)、ピック病、進行性核上性麻痺(PSP)、および大脳皮質基底核変性症(CBD)など、変性神経細胞内におけるtau遺伝子産物の異常蓄積を特徴とする、痴呆を伴う疾患が知られている。3Rtauおよび4Rtauは、いずれも変性神経細胞内に異常に蓄積した構造物の主要な構成成分として認められるが、3Rtauおよび4Rtauいずれが蓄積するかは、各疾患によって異なっている。例えば、アルツハイマー病においては3Rtauと4Rtauが両方とも蓄積するのに対して、ピック病については3Rtauのみが蓄積し、一方FTDP-17のうち家族性の突然変異、PSP、およびCBDにおいては4Rtauのみが蓄積することが知られている。このため、3Rtauをコードする核酸分子および4Rtauをコードする核酸分子の発現量を高精度に識別して定量することは、tau遺伝子が関与する疾患の病態を検討する上で非常に重要である。
これらの3Rtauをコードする核酸分子および4Rtauをコードする核酸分子は、同一のゲノム領域から転写されたRNAが選択的スプライシングを起こすことにより、生成される。具体的には、ヒト3Rtauをコードする核酸分子は、タウ遺伝子領域のエクソン9とエクソン11との間でスプライシングを生じ、結果的にエクソン10を含まない配列からなる構造(すなわち、〜エクソン9〜エクソン11〜;SEQ ID NO: 1)を有する。一方、4Rtauをコードする核酸分子は、エクソン9とエクソン11との間にエクソン10を含むようにスプライシングを生じ、結果的にエクソン10を含む配列からなる構造(すなわち、〜エクソン9〜エクソン10〜エクソン11〜;SEQ ID NO: 2)を有する。そのため、エクソン9上に第一のプライマーを設定し、エクソン11上に第二のプライマーを設定すると、3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子由来の増幅産物と4Rtauをコードするエクソン10の配列およびエクソン11由来の配列を含む核酸分子由来の配列由来の増幅産物という、2種類の配列が増幅され、3Rtauをコードする核酸分子を特異的に増幅することが困難である。
本実施例においては、ヒトタウ遺伝子を増幅するためのプライマーとして、ヒトタウ遺伝子のエクソン9のセンス鎖配列由来の第一のプライマー、htauR1_F:5'-gaacctgaagcaccagccg-3'(SEQ ID NO: 3)およびヒトタウ遺伝子のエクソン11のアンチセンス鎖由来の第二のプライマー、htauR3_R:5'-tcaggtcaactggtttgt-3'(SEQ ID NO: 4)を設計し、調製した(北海道システム・サイエンス(株))。これらのプライマーを使用すると、ヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)およびヒト4Rtauをコードするエクソン10の配列およびエクソン11由来の配列を含む核酸分子(155 bp)を共に増幅することができる(図3)。
同時に、ヒト3Rtauをコードする核酸分子にはハイブリダイズせずヒト4Rtauをコードする核酸分子にはハイブリダイズするエクソン10のアンチセンス鎖由来のインターセプトプライマー、htauR2_R:5'-gacgtgtttgatattatcctttg-3'(SEQ ID NO: 5)を構築した。このプライマーを前述のヒトタウ遺伝子のエクソン9のセンス鎖配列由来の第一のプライマー(htauR1_F)と組み合わせて使用することにより、ヒト4Rtauをコードする核酸分子のエクソン9〜エクソン10の配列(109 bp)を増幅することができるが、ヒトtauのエクソン11由来の配列を含む核酸分子は増幅されない(図3)。
本実施例においてはまた、レポーターとクエンチャーを結合したプローブとして、レポーターVIC(商標)とクエンチャーとを結合したヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)を認識するプローブ(TaqMan(商標)MGBプローブ、Applied Biosystems)、3RVIC:5'-aggtgcaaatagtct-3'(SEQ ID NO: 6)を設計し、調製した。このプローブ3RVICは、ヒト3Rtauをコードする核酸分子のエクソン9とエクソン11の連結部分にハイブリダイズするように構築したプローブであり、ヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)を特異的に認識することができる(図3)。
本実施例においてはさらに、レポーターとクエンチャーを結合した別のプローブとして、レポーターFAM(商標)とクエンチャーとを結合したヒト4Rtauをコードする核酸分子を認識するプローブ(TaqMan(商標)MGBプローブ、Applied Biosystems)、4RFAM:5'-tagcaacgtccagtcca-3'(SEQ ID NO: 7)を設計し、調製した。このプローブ4RFAMは、ヒト4Rtauをコードする核酸分子のエクソン10にハイブリダイズする様に構築したプローブであり、前述の第一のプライマー(htauR1_F)とインターセプトプライマー(htauR2_R)とを組み合わせて増幅されるヒト4Rtauをコードする核酸分子の一部を認識することができるように設計してある。一方、このプローブ4RFAMの認識部位は、第一のプライマー(htauR1_F)および第二のプライマー(htauR3_R)を用いて増幅されるヒト3Rtauをコードする核酸分子上に対応する配列は存在しないため、ヒト3Rtauは認識しない(図3)。
実施例2:インターセプトプライマーを使用したヒト4Rtauをコードする核酸分子由来ノイズの低減
本実施例においては、ヒト4Rtauをコードする核酸分子を鋳型として、インターセプトプライマーを用いた核酸増幅反応を行う際に、4Rtauをコードする核酸分子由来のノイズが減少することを確認することを目的として行った。
試験群においては、実施例1において上述した第一のプライマー、第二のプライマーならびにインターセプトプライマーの3種類のプライマーを増幅用プライマーとして使用して、対照群においては上述した第一のプライマーおよび第二のプライマーの2種類のプライマーを増幅用プライマーとして使用して、それぞれ増幅を行った。本実施例においては、増幅されたヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)を認識するプローブ3RVICを、認識用プローブとして使用して、リアルタイムPCRを行った。
PCR試薬はQIAGEN社より入手した。PCR反応は、tau遺伝子の発現が十分に低い神経芽細胞種由来のSHSY-5Y細胞中でtau遺伝子の配列を含むベクターをトランスフェクトすることによりtau遺伝子を強制発現させた、tau mRNAを含む全RNA(1μg)を4Rtauの鋳型として使用して、最終容量25μLのPCRカクテル(0.2μMのhtauR1_Fプライマー、0.2μMのhtauR3_Rプライマーおよび0.4μMのhtauR2_Rプライマー、0.1μMの3RVICプローブ、および2×QuantiTect(商標)Probe RT-PCR Master Mix(QIAGEN社))を加えることにより実行した。PCR反応は、50℃にて30分間インキュベートすることにより逆転写反応を行った後、95℃にて15分間インキュベーションして逆転写酵素の不活性化ならびにHotStar(商標)Taq DNAポリメラーゼ(QIAGEN社)を活性化した後、40サイクルの2-ステップPCRプロトコル:95℃にて15秒間(変性)その後60℃にて1分間(アニーリング/伸長)を、ABI PRISM7700または7300(ともにApplied Biosystems社)を用いて行った。
結果を図4に示す。この図において示されているように、インターセプトプライマーが存在しない対照群においては、3RVICプローブ由来の蛍光が、10〜11サイクルで増幅の曲線が指数的に立ち上がったのに対して(図4中の4Rtau/R2(-))、インターセプトプライマーをPCR反応混合物中に添加した試験群においては、ヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)を認識する3RVICプローブで検出される配列が、陰性対照とほぼ同一のレベルまで低減することができることが明らかになった(図4中の4Rtau/R2(+))。
この結果から、対照群においては、ヒト4Rtauをコードする核酸分子を鋳型として第一のプライマーと第二のプライマーとを増幅用プライマーとして使用すると、4Rtauをコードするエクソン10の配列およびエクソン11由来の配列を含む核酸分子由来の配列(155 bp)がノイズとして増幅するのに対して、同一の鋳型に対して第一のプライマー、第二のプライマーならびにインターセプトプライマーの3種類のプライマーを使用することにより、4Rtauをコードする核酸分子由来のノイズ配列(155 bp)が増幅することがなくなり、ノイズが低減されることが明らかになった。
実施例3:インターセプトプライマーの、ヒト3Rtauをコードする核酸分子増幅に対する影響
本実施例においては、インターセプトプライマーを用いてPCRを行う際に、インターセプトプライマーがヒト3Rtauをコードする核酸分子の増幅に対して、何らかの影響を及ぼすかいなかについて確認することを目的として行った。
実験は、tau遺伝子の発現が十分に低い神経芽細胞種由来のSHSY-5Y細胞中でtau遺伝子の配列を含むベクターをトランスフェクトすることにより、tau遺伝子を強制発現させたtau mRNAを含む全RNA(1μg)を3Rtauの鋳型として使用し、試験群においては、上述した第一のプライマー、第二のプライマーならびにインターセプトプライマーの3種類のプライマーを増幅用プライマーとして使用して、対照群においては上述した第一のプライマーおよび第二のプライマーの2種類のプライマーを増幅用プライマーとして使用して、実施例2に記載の通り核酸増幅反応を行った。
結果を図5に示す。この図において示されているように、試験群および対照群共に、ほぼ同様のサイクル数の時点で増幅の曲線が指数的に立ち上がることが明らかになった(図5、3Rtau/R2(-)および3Rtau/R2(+))。この結果から、ヒト3Rtauをコードする核酸分子を鋳型として核酸増幅反応を行った場合、インターセプトプライマーの存在の有無にかかわらず、上述した第一のプライマーと第二のプライマーとの組み合わせによる増幅は、影響を受けないことが明らかになった。
実施例4:インターセプトプライマー存在下における、ヒト3Rtauをコードする核酸分子の特異的増幅
本実施例においては、インターセプトプライマーを用いてPCRを行う際に、インターセプトプライマーの存在によりヒト3Rtauをコードする核酸分子の特異的増幅が生じることを確認するために行った。
実験は、ヒト3Rtauをコードする核酸分子を含む3Rtauを強制的に発現させたCOS7細胞由来の全RNAとヒト4Rtauをコードする核酸分子を含む4Rtauを強制的に発現させたCOS7細胞由来の全RNAとを、全RNAの量に基づいて3Rtau:4Rtauを以下の混合比、A群:10 ng:0 ng;B群:10 ng:10 ng;およびC群:10 ng:50 ngで混合し、これらの混合物それぞれを鋳型として使用した。実施例1において上述した第一のプライマー(0.4μM)、第二のプライマー(0.4μM)ならびにインターセプトプライマー(0.8μM)の3種類のプライマーを増幅用プライマーとして使用して、実施例2に記載するように、核酸増幅反応を行った。この核酸増幅反応においては、0.1μMの3RVICプローブ使用して、増幅産物を検出した。
結果を図6に示す。この図において示されているように、A群〜C群のいずれの混合物を鋳型として使用しても、ほぼ同様の速度で3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)が増幅されることが明らかになった(図6)。したがって、インターセプトプライマーの存在により、ヒト3Rtauをコードする核酸分子とヒト4Rtauをコードする核酸分子との混合物の中から、標的配列であるヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)のみを特異的に増幅することができ、そのヒト3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)の増幅は、サンプル中に添加された4Rtauをコードする核酸分子の量には影響を受けなかった。
実施例5:インターセプトプライマーを用いたマウス3Rtauをコードする核酸分子とマウス4Rtauをコードする核酸分子の同時定量
本実施例においては、インターセプトプライマーを用いてPCRを行うことにより、マウス3Rtauをコードする核酸分子とマウス4Rtauをコードする核酸分子とを、同時に定量することができることを確認することを目的として行った。
マウスcDNA(3Rtauおよび4Rtau)をサブクローニングしたプラスミドを作製し、それぞれを鋳型として、in vitro転写反応キット(RiboMAXTM Large scale RNA production system-T7: Promega)でcRNAを合成した。3RtauのcRNA、4RtauのcRNA(図7Aにおいては各1.0 fg、そして図7Bにおいては各0.1 fg)を1:1の量比で混合したものを鋳型として、RT-PCRによる定量をおこなった。
本実施例においては、マウスタウ遺伝子を増幅するためのプライマーとして、第一のプライマー、第二のプライマーならびにインターセプトプライマーの3種類のプライマーを、それぞれマウスタウ遺伝子のエクソン9のセンス鎖配列由来の第一のプライマー、MMtauR1_F:5'-gaacctgaagcaccagcca-3'(SEQ ID NO: 8)、マウスタウ遺伝子のエクソン11のアンチセンス鎖由来の第二のプライマー、MMtauR3_R:5'-tcaggtccaccggcttgt-3'(SEQ ID NO: 9)、およびマウス3Rtauをコードする核酸分子には存在せずマウス4Rtauをコードする核酸分子には存在するエクソン10のアンチセンス鎖由来のインターセプトプライマー、MMtauR2_R:5'-gacgtgtttgatattatccttcg-3'(SEQ ID NO: 10)を設計・作製した(北海道システム・サイエンス(株))。
実験は、6群に分けて行い、それぞれを○、●、□、■、△および▲で示す(図7Aおよび図7Bを参照)。
○および●の実験群では、各1.0 fgの3RtauのcRNAおよび4RtauのcRNAを1:1で混合したものを鋳型として使用し、□および■の実験群では、各0.1 fgの3RtauのcRNAおよび4RtauのcRNAをを1:1で混合したものを鋳型として使用し、そして△および▲の実験群では、反応混合物中に鋳型を含まなかった。
また、認識用プローブとして、図7Aの○、□、および△では3RVICプローブ(SEQ ID NO: 6)(0.1μM)のみを、図7Bの○、□、および△では4RFAMプローブ(SEQ ID NO: 7)(0.1μM)のみを使用し、●、■、および▲では、図7Aおよび図7B共に、3RVICプローブ(SEQ ID NO: 6)(0.1μM)および4RFAMプローブ(SEQ ID NO: 7)(0.1μM)の両方のプローブを使用した。図7Aにおいては、3RVICプローブ由来の蛍光のみを検出し、図7Bにおいては、4RFAMプローブ由来の蛍光のみを検出した。
すべての群に、プライマーとして上述した3種類のプライマー、すなわち、第一のプライマー(MMtauR1_F、0.3μM)、第二のプライマー(MMtauR3_R、0.3μM)、およびインターセプトプライマー(MMtauR2_R、0.6μM)を添加した。
それ以外の実験条件は実施例2に記載するように、核酸増幅反応を行った。
本実施例において鋳型として使用した1.0 fgのマウス3Rtauをコードする核酸分子およびマウス4Rtauをコードする核酸分子は、約12000〜15000コピーに相当し、0.1 fgのマウス3Rtauをコードする核酸分子およびマウス4Rtauをコードする核酸分子は、約1200〜1500コピーに相当するため、理論的には、増幅の曲線が指数的に立ち上がるサイクル数が、3〜4サイクルずれることが予想される。
図7Aにおいて、○および●は、1.0 fgの3Rtau cRNA由来の増幅産物から得られた3RVICプローブ由来の蛍光の増加曲線を、□および■は、0.1 fgの3Rtau cRNA由来の増幅産物から得られた3RVICプローブ由来の蛍光の増加曲線を、それぞれ示す。
この図において示されているように、1.0 fgの3Rtau cRNAが鋳型として含まれる場合、マウス3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)の増幅に伴う3RVICプローブからのシグナルが31サイクルで指数的に立ち上がったのに対して(図7A中の○および●)、0.1 fgの3Rtau cRNAが鋳型として含まれる場合、マウス3Rtauをコードするエクソン11由来の配列を含む核酸分子(62 bp)の増幅に伴う3RVICプローブからのシグナルは34サイクルで指数的に立ち上がることが明らかになった(図7A中の□および■)。この結果は、サンプル中に検出プローブとして3RVICプローブのみを用いても、3RVICプローブと4RFAMプローブとを混在させて用いても、影響を受けなかった。
一方、図7Bにおいて、○および●は、1.0 fgの4Rtau cRNA由来の増幅産物から得られた4RFAMプローブ由来の蛍光の増加曲線を、□および■は、0.1 fgの4Rtau cRNA由来の増幅産物から得られた由来の蛍光の増加曲線を、それぞれ示す。
この図において示されているように、1.0 fgの3Rtau cRNAが鋳型として含まれる場合、マウス4Rtauをコードするエクソン10の配列を含むがエクソン11由来の配列を含まない核酸分子(109 bp)の増幅に伴う4RFAMプローブからのシグナルが31サイクルで指数的に立ち上がったのに対して(図7B中の○および●)、0.1 fgの4Rtau cRNAが鋳型として含まれる場合、マウス4Rtauをコードするエクソン10の配列を含むがエクソン11由来の配列を含まない核酸分子(109 bp)の増幅に伴う4RFAMプローブからのシグナルは34サイクルで指数的に立ち上がることが明らかになった(図7B中の□および■)。この結果は、サンプル中に検出プローブとして4RFAMプローブのみを用いても、3RVICプローブと4RFAMプローブとを混在させて用いても、影響を受けなかった。
この結果は、核酸増幅反応開始時において混合物中に含まれていたヒト3Rtauをコードする核酸分子のコピー数に比例して蛍光の増加曲線が指数的に立ち上がるサイクル数がずれ(図7A)、理論的に推測されたサイクル数のずれ(3〜4サイクルのずれ)と一致していた。また、同様の結果は、ヒト4Rtauをコードする核酸分子の場合にも得られた(図7B)。
このことから、PCR反応混合物中にインターセプトプライマーを混合することにより、サンプル中のヒト3Rtauをコードする核酸分子とヒト4Rtauをコードする核酸分子を同時に定量することができ、その結果サンプル中に存在する両遺伝子の発現量の比を測定することができる。
本発明においては、三種類の増幅用プライマー(すなわち、第一プライマー、第二プライマーおよびインターセプトプライマー)を使用することにより、標的配列を有する核酸を高精度(高感度、高特異性)に増幅すること、標的遺伝子の発現量を高精度(高感度、高特異性)に測定すること、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定すること、そしてサンプル中の標的遺伝子の発現量と非標的遺伝子の発現量を、同時に高精度(高感度、高特異性)に定量することができる。
本発明のいずれの態様も、核酸増幅反応混合物中に第三のプライマーとしてのインターセプトプライマーを混合することで実現することができる。そのため、従来から行われている核酸増幅反応の手法(例えば、PCR法、RT-PCR法、LAMP法、マルチプルPCR(Multiplex PCR)など)のいずれに対しても適用することができるという特長を有する。また、従来から使用されていた核酸の増幅をリアルタイムで検出するための手段(TaqManプローブ法、FRET法など)のいずれを利用しても実現可能であるという特長を有する。そのため、新たな設備・装置を整備する必要なく、従来から使用されている設備・装置をそのまま利用して、これまでよりも10〜100倍精度が高い定量もしくはそのような精度の高い定量に基づく測定が可能になる。

Claims (16)

  1. 標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;および
    標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなる1または複数のプライマー(インターセプトプライマー);
    を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の高感度増幅法であって、
    インターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上に存在する前記第二プライマーの認識部位を欠損した非-標的配列部分を生成して、前記第一プライマーと前記第二プライマーとの組み合わせによる非-標的配列の非特異的増幅を低減し、
    前記第一プライマーおよび第二プライマーとにより増幅された標的配列由来の増幅産物を選択的に得ること、
    を含む、前記高感度増幅法。
  2. 1または複数のインターセプトプライマーを使用する、請求項1に記載の標的配列を有する核酸の高感度増幅法。
  3. 核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはLAMP法(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、もしくはマルチプルPCR(Multiplex PCR)である、請求項1または2に記載の標的配列を有する核酸の高感度増幅法。
  4. 標的配列が3Rtauであり、非標的配列が4Rtauである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の標的配列を有する核酸の高感度増幅法。
  5. 標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
    標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなるプライマー(インターセプトプライマー);および
    標的配列を認識する標的配列認識プローブ;
    を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法であって、
    インターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上に存在する標的配列認識プローブ認識部位を欠損した非-標的配列部分を生成して、標的配列認識プローブによる非-標的配列の検出シグナルを低減し、
    標的配列認識プローブを使用して、前記第一プライマーおよび第二プライマーとにより増幅された標的配列由来のシグナルを選択的に得ること、
    を含む、標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法。
  6. 1または複数のインターセプトプライマーを使用する、請求項5に記載の標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法。
  7. 定量的核酸増幅反応が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)または定量的LAMP法(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、もしくはマルチプルPCR(Multiplex PCR)である、請求項5または6に記載の標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法。
  8. 標的配列が3Rtauであり、非標的配列が4Rtauである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の標的配列を有する核酸の発現の高感度測定法。
  9. 標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
    標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなるプライマー(インターセプトプライマー);
    標的配列を認識する第一認識プローブ;および
    非-標的配列を認識するが、標的配列は認識しない、第二認識プローブ
    を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、サンプル中の標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法であって、
    インターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上の第一認識プローブとのハイブリダイズ部位を欠損した非-標的配列部分を生成し、
    第一認識プローブを使用して得られた前記第一プライマーおよび第二プライマーにより増幅された標的配列由来の第一のシグナルと、第二認識プローブを使用して得られた前記非-標的配列部分由来の第二のシグナルとを対比することにより、サンプル中の、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する、
    ことを含む、前記標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法。
  10. 1または複数のインターセプトプライマーを使用する、請求項9に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法。
  11. 定量的核酸増幅反応が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)または定量的LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、もしくはマルチプルPCR(Multiplex PCR)である、請求項9または10に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法。
  12. 標的配列が3Rtauであり、非標的配列が4Rtauである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する方法。
  13. 標的配列を増幅するが、それに類似する非-標的配列もまた増幅しうる、第一プライマーおよび第二プライマー;
    標的配列にはハイブリダイズせず非-標的配列にハイブリダイズする配列からなるプライマー(インターセプトプライマー);
    標的配列を認識する第一認識プローブ;および
    非-標的配列を認識するが、標的配列は認識しない、第二認識プローブ
    を使用して、標的配列と非-標的配列とを含有するサンプル中で、定量的核酸増幅反応を行うことを特徴とする、サンプル中の標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法であって、
    インターセプトプライマーと前記第一プライマーとにより非-標的配列の一部を増幅することにより、非-標的配列上の第一認識プローブとのハイブリダイズ部位を欠損した非-標的配列部分を生成し、
    第一認識プローブを使用して得られた前記第一プライマーおよび第二プライマーにより増幅された標的配列由来の第一のシグナルと、第二認識プローブを使用して得られた前記非-標的配列部分由来の第二のシグナルとを対比することにより、サンプル中の、標的配列発現量と非-標的配列発現量との比を測定する、
    ことを含む、前記標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法。
  14. 1または複数のインターセプトプライマーを使用する、請求項13に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法。
  15. 定量的核酸増幅反応が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)または定量的LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、もしくはマルチプルPCR(Multiplex PCR)である、請求項13または14に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法。
  16. 標的配列が3Rtauであり、非標的配列が4Rtauである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の標的配列発現量と非-標的配列発現量とを同時的に測定する方法。
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