JP5024152B2 - 張り剛性測定用圧子、張り剛性測定方法および装置 - Google Patents
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Description
これまで張り剛性の評価方法として以下の方法が用いられてきた。
しかし、このような官能評価は熟練を要し、熟練者の確保に難がある。熟練者でない人が検査するとばらつきが大きく信頼性に乏しい。
そのため、機械的に張り剛性を評価するための方法がいくつか提案されている。
特許文献2に開示されている方法は、荷重計と変位計とを一体に備えた張り剛性測定ヘッドを用いて、予め決められた荷重を被測定物に加え、その状態から荷重が除去するまでの圧子変位量を測定することにより、張り剛性の測定を正確に行おうとするものである。
特許文献4に開示されている方法は、自動車ルーフパネルの張り剛性測定を目的に、圧子に荷重を加えるためのシャフトとシャフトの移動量を検出する変位計、シャフトの端部に対向する荷重計が設けられた装置を遠隔操作することにより張り剛性を評価するものである。
また、これらの圧子では荷重の増大とともに、パネル面が塑性変形を起こす場合があり、測定精度の低下につながる問題もあった。
さらに上述した従来の技術は、圧子の位置の変位量と圧子に加わる荷重の関係を精度よく記録し、その荷重‐変位曲線から張り剛性の良否を評価することに主眼を置いたものである。一般に荷重‐変位曲線は、図1に示すように初期に急激に立ち上がり、パネルの変形とともに荷重増加が緩やかになり、ベコツキが発生する場合には、荷重の急激な低下を伴う変化を示す。このような荷重の変化は、圧子負荷に伴うパネルの変形状態と密接な関係があることが知られている。特に、ベコツキ挙動は、パネル飛び移り座屈現象による、不連続なパネル変形が原因と考えられている。
1. 曲率半径Rの金属パネルの張り剛性を測定するための圧子であって、前記金属パネルに押し付ける底面の直径Dが35〜55mm、高さがD/6〜D/2の円柱形状の弾性体からなり、該弾性体の硬さIRHDが下記式(1)を満足し、該弾性体の頂面を金属板で押されて前記金属パネルと当接することを特徴とする張り剛性測定用圧子。
30≦IRHD≦0.283×D4/R2−9.063×D2/R+103.2 …(1)
2. 前項1に記載の張り剛性測定用圧子を使用して前記金属パネルの張り剛性を測定する方法であって、押圧装置により前記金属板を介した前記圧子から前記金属パネルの被測定面への押圧荷重を連続的かつ静的に負荷しつつ、前記金属パネルの被測定面の裏面側から該被測定面の変位量を連続的に測定することを特徴とする張り剛性測定方法。
4. 前項3に記載の張り剛性測定方法の実施に用いる装置であって、前記測定材に荷重を加える負荷手段と、該加えた荷重およびそれによる変位量を測定する手段と、これら荷重‐変位データを記録する手段と、複数の明暗パターンを切替えて出力する演算手段と、前記出力された明暗パターンを投影する投影手段と、該投影手段からの投影像を表示する表示手段と、前記表示された投影像を前記測定材中の所定の類鏡面部に映してなる鏡像を撮影および記録する手段とを有することを特徴とする張り剛性測定装置。
荷重‐変位挙動には、圧子と測定対象パネルとの接触面積が影響することが発明者らの調査により明確になった。
手のひらの接触面積をAとして、圧子の形状は押し込みの荷重負荷中の安定性の点で好ましい円柱形状とし、その圧子底面の直径Dは、D=2×√(A/π)で表される。なお、Dの値としては、一般的な大きさの手の接触面積を調査した結果、35〜55mmが必要であることも分かった。
圧子の円柱底面積=パネルとの接触面積、となるには、圧子が荷重負荷後パネルに完全に馴染む必要がある。それはパネルの曲率半径Rと関係があると考え、調査した結果、パネルと馴染むには以下の条件を満たす必要があることを見出した。
式(1A)の導出方法について以下に述べる。
硬さを10水準違えた弾性体(ここではゴムを用いた)製円柱形状の圧子の底面を、曲率半径R1200の前記パネル上に置き、圧子の頂面に当て板(鋼製)を当ててその上からパネル面に対し荷重550gfで垂直に押込んだ時のパネルとの圧子底面側のたわみ量(凹み量)δを実測し、そのデータから最小二乗法により以下の曲線近似式(2)を求めた。なお、この際、パネルの変形およびゴムのせん断変形は無いことを確認している。
(ただし、δ>0のときである。δ=0のときは、IRHD=100とする)
また、パネル変形の無い状態で、圧子底面がパネルに完全に接触する(馴染む)ために必要な圧子のたわみ量dは、図4に示すように幾何学的な方法により以下のように求められる。
一方、荷重負荷を受けた圧子がたわみ、底面がパネルに完全に馴染むためには、式(2)において、δ=dを満たすことが必要である。
式(2)にδ=dを代入し、さらに式(3)より以下の式
IRHDMAX=0.283×D4/R2−9.063×D2/R+103.2
(ただし、R=∞のときは、IRHD=100とする)
が求まり、この硬度IRHDMAX以下であれば圧子がパネル面に馴染むので、前記式(1A)の関係が求められた。
30≦IRHD≦0.283×D4/R2−9.063×D2/R+103.2 …(1)
を満たすものとした。
板厚0.8mmの引張強さ340MPa級ハイテン鋼板を350mm角のカマボコ形状(曲率半径R1200)の金型でプレス成形したモデルパネルについて、底面直径Dが35〜55mm、厚さ(高さ)がD/18〜D×(9/10)の円柱形状で、硬度が30〜100IRHDであるゴム圧子にてパネル中央部を押下し、荷重‐変位曲線を測定した。
圧子厚さ(円柱高さ)とΔXの関係を図5に示した。圧子硬さ(圧子とした弾性体の硬さ)IRHDが、式(1)を満たす場合(発明範囲の場合)は圧子厚さD/6〜D/2の広い範囲でΔX=0を満たし良好な結果を示すが、IRHDMAXを超えた場合はΔX=0となる領域が狭まることが分かる。
特に、荷重負荷面の裏側から変位を検出するようにしたことで、圧子の弾性変形の影響を受けることなく、パネルのたわみ量を正確に測定することができる。
2 底面(圧子底面)
3 金属パネル(略してパネル)
4 金属板(例えば鋼板)
5 定盤
6 変位計(変位量を測定する手段)
7 ロードセル(荷重を測定する手段)
8 測定材(測定対象パネル、モデルパネルまたは金属パネルともいう)
9 カメラ(鏡像を撮影する手段)
10 レコーダ(荷重‐変位データ、投影明暗パターンおよび鏡像の画像データを記録する手段)
11 スクリーン(表示手段)
12 反射投影パターン(鏡像)
13 プロジェクタ(投影手段)
14 演算手段
Claims (4)
- 曲率半径Rの金属パネルの張り剛性を測定するための圧子であって、前記金属パネルに押し付ける底面の直径Dが35〜55mm、高さがD/6〜D/2の円柱形状の弾性体からなり、該弾性体の硬さIRHDが下記式(1)を満足し、該弾性体の頂面を金属板で押されて前記金属パネルと当接することを特徴とする張り剛性測定用圧子。
記
30≦IRHD≦0.283×D4/R2−9.063×D2/R+103.2 …(1) - 請求項1に記載の張り剛性測定用圧子を使用して前記金属パネルの張り剛性を測定する方法であって、押圧装置により前記金属板を介した前記圧子から前記金属パネルの被測定面への押圧荷重を連続的かつ静的に負荷しつつ、前記金属パネルの被測定面の裏面側から該被測定面の変位量を連続的に測定することを特徴とする張り剛性測定方法。
- 測定材である前記金属パネルとして、前記被測定面の裏面が類鏡面であるものを用い、該裏面側から前記被測定面の変位量を連続的に測定するに併せて、該裏面に明暗パターンを反射投影して該明暗パターンの鏡像を得、該鏡像により、前記測定材全体の変形状態を、同時かつ連続的に、可視化することを特徴とする請求項2に記載の張り剛性測定方法。
- 請求項3に記載の張り剛性測定方法の実施に用いる装置であって、前記測定材に荷重を加える負荷手段と、該加えた荷重およびそれによる変位量を測定する手段と、これら荷重‐変位データを記録する手段と、複数の明暗パターンを切替えて出力する演算手段と、前記出力された明暗パターンを投影する投影手段と、該投影手段からの投影像を表示する表示手段と、前記表示された投影像を前記測定材中の所定の類鏡面部に映してなる鏡像を撮影および記録する手段とを有することを特徴とする張り剛性測定装置。
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