JP5022717B2 - 衣料用パッド部材成形用シートの製造方法 - Google Patents

衣料用パッド部材成形用シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばポリウレタン発泡体を再生したもので、ブラジャーカップ等の下着用パッドなどとして使用される衣料用パッド部材成形用シートの製造方法に関するものである。
一般に、軟質ポリウレタン発泡体は良好なクッション性を有し、長期使用や繰返し使用にへたることなく、柔らかく良好な感触を有することから、ブラジャーパッド、ブラジャーインナー等の下着用パッド、肩パッド、ハンガーパッド等の衣料材料、紙おむつ、ナプキン等のサニタリー材料、医療材料、雑貨素材等として広く使用されている。これら特有の用途に使用されるポリウレタンフォーム(ポリウレタン発泡体)は、白色であることが要求される。
この種の材料として、例えば難黄変性軟質ポリウレタンフォームが知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、係るポリウレタン発泡体は、ポリオール成分とイソシアネートとを含むポリウレタン原料を発泡させてなるものであって、ポリオール成分がポリオール骨格にエステル結合を有するポリエーテルポリオールを含むものである。このポリエーテルポリオールとしては、フタル酸系ポリエーテルポリオール、マレイン酸系ポリエーテルポリオール等が挙げられている。
また、ポリウレタン発泡体の黄変を抑制する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、ポリオールとして該ポリオール100質量部におけるエチレンオキサイドの付加率(ポリオキシエチレン単位)が15質量部未満であるポリエーテルポリオールを使用すると共に、有機スズ触媒の使用量がポリオール100質量部に対して0.1質量部未満に設定するようになっている。
再公表特許WO2002/053618号公報(第2頁、第4頁及び第8頁) 特開2004−51795号公報(第2頁及び第6頁)
前記特許文献1及び2に記載されている難黄変性ポリウレタン発泡体においては、原料のポリイソシアネートとして具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)が使用されている。このため、得られるポリウレタン発泡体は、ウレタン結合の連鎖中に芳香環を有する構造をもち、紫外線の照射を受けたときにキノイド化反応が起きてアゾ化合物やキノンイミド化合物が生成し、黄変が著しい。係る黄変は、特許文献1や2に記載されているポリオール、触媒などの原料の種類、配合量を変更するだけでは改善が不十分であった。
一方、前述した下着用パッド、衣料材料等の用途においては白色材料が多く用いられ、黄変などの変色を極力抑えるように配慮されている。さらに、下着用パッドを着用したときの通気を良くして着用感を向上させるため、通気量の増大が求められている。そのため、これらの用途においては、変色を極力抑制することができると同時に、通気性の高いことが要求されている。
そこで本発明の目的とするところは、変色を抑制することができると共に、通気性を向上させることができる衣料用パッド部材成形用シートの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法では、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたポリウレタン発泡体を破砕してなるチップに、バインダーとして脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを添加し、圧縮してシート状に成形した後、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを反応硬化させ、前記チップ間を結合するパッド部材成形用シートの製造方法であって、前記ウレタンプレポリマーの添加量は、チップ100質量部当たり7〜20質量部であり、前記圧縮時の圧縮倍率は、1〜3倍であり、前記パッド部材成形用シートのJIS K 6400−7:2004に準拠して測定される通気量は、13〜70cm /cm ・secである。
請求項2の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法では、請求項1に係る発明において、前記チップの大きさは、5〜20mmに形成されることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法においては、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたポリウレタン発泡体を破砕してなるチップに、バインダーとして脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが添加される。これらチップ及びバインダーを形成する脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートは共に、変色の原因となる芳香環を有していないことから、得られるパッド部材成形用シートの変色を抑制することができる。さらに、圧縮してシート状に成形した後、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを水などと反応硬化させることにより、チップ間が主に接触部分で結合され、チップ間に十分な空隙が形成される。従って、パッド部材成形用シートの通気性を向上させることができる。
また、ウレタンプレポリマーの添加量がチップ100質量部当たり7〜20質量部であることから、チップ間の結合と空隙の形成を良好に行うことができる。
さらに、圧縮時の圧縮倍率が1〜3倍であることから、通気性を保持しつつ、引張強さ、伸び等の機械的物性を向上させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のパッド部材成形用シートの製造方法では、ポリウレタン発泡体を破砕してなるチップに、バインダーとしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを添加する。ここで、ポリウレタン発泡体は脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたものであり、ウレタンプレポリマーは脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたものである。次に、圧縮操作を行ってシート状に成形した後、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを水などと反応及び硬化させ、前記チップ間を結合することにより、パッド部材成形用シートが製造される。
前記チップは、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートとポリオールとを触媒、発泡剤及び整泡剤等の存在下に反応させて製造されるポリウレタン発泡体を破砕してなるものである。ポリウレタン発泡体は、軟質又は半硬質のいずれでもよいが、パッド部材成形用シートを下着用パッド、衣料材料などとして使用するために軟質であることが好ましい。ここで、軟質ポリウレタン発泡体は、一般にセルが連通構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン発泡体の着色を抑制するために脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート、或いはそれらの変性体が用いられる。脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートの変性体としては、イソシアヌレート変性体、プレポリマー変性体、ビウレット変性体などが用いられる。ポリイソシアネートはイソシアネート基を複数有する化合物である。
脂肪族ポリイソシアネートとして具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ブテンジイソシアネート(BDI)、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、又はそれらの変性体等が挙げられる。
また、脂環族のポリイソシアネートとして具体的には、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート(水添XDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、又はそれらの変性体等が挙げられる。これらのポリイソシアネートのうち、脂環族ポリイソシアネートはポリウレタン発泡体の機械的物性を高めることができる点で好ましい。
ポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの変性体等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオールと重縮合反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。
触媒はポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応などの反応を促進するためのものである。係る触媒としては、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の3級アミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)等のアミジノ基を有するアミン、スズオクトエート等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。ポリウレタン発泡体の原料としては、シリコーン化合物、界面活性剤等の整泡剤、縮合リン酸エステル等の難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を添加することもできる。
ポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応を行なう場合には、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオールとポリイソシアネートとを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオールとポリイソシアネートとの各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール又はポリイソシアネートを反応させる方法である。
また、ポリウレタン発泡体は、スラブ成形法、モールド成形法等によって製造される。スラブ成形法は前記ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。モールド成形法は、金型の成形凹部に発泡体原料(原料混合液)を注入し、型締めして金型内で原料成分を反応及び発泡させることによりポリウレタン発泡体を製造する方法である。この場合、金型の加熱温度及び加熱時間は、例えば50〜70℃、5〜10分の条件が採用される。
このようにして得られたポリウレタン発泡体の成形品(端材)は、使用後廃棄処分されるときに破砕機によって破砕されてチップの形態となり、再利用される。チップの大きさは、例えば5〜20mmに形成される。チップの大きさが5mmより小さい場合には、破砕機によって破砕に時間を要したり、破砕が困難になったりして好ましくない。その一方、20mmより大きい場合には、チップ間に隙間ができやすくなり、チップ間の結合が不十分になる傾向を示して好ましくない。
次に、バインダーについて説明する。
バインダーは、水と反応して硬化物を生成すると共に、チップ同士を結合する役目を果たす。このバインダーとしては、前述のように過剰量の脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート又はそれらの変性体と、ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが用いられる。このウレタンプレポリマーを用いることにより、パッド部材成形用シートの変色を抑えることができる。脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートとしては、前記チップを形成するポリウレタン発泡体の原料として挙げた各ポリイソシアネートが使用される。また、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートの変性体としては、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体などが用いられる。
ウレタンプレポリマーは水蒸気などの水によって反応、硬化するが、ウレタンプレポリマーに硬化触媒としてトリエチルアミン、塩化第2スズ、塩化アンモニウム等を配合し、反応、硬化を促進させることもできる。
ウレタンプレポリマーの添加量は、チップやパッド部材成形用シートの大きさなどにより適宜定められるが、チップ100質量部当たり7〜20質量部であることが好ましい。ウレタンプレポリマーの添加量が7質量部未満の場合には、バインダーが不足してチップ間の結合が不十分になりやすく、好ましくない。その一方、20質量部を超える場合には、ウレタンプレポリマーが過剰になって過剰量のウレタンプレポリマーが未反応の状態で残存し、得られるパッド部材成形用シートが硬くなり過ぎたりしてその物性が悪化するため好ましくない。
次に、パッド部材成形用シートを製造する場合には、公知のブレンダーを用いてウレタンプレポリマーよりなる液状のバインダーを前述したチップに吹き付け、混合撹拌する。バインダーの付着したチップを成形型内に投入して型締めし、パンチングメタルなどを用い、所定の圧縮倍率となるように圧縮する。この圧縮倍率は、得られるパッド部材成形用シートの見掛け密度や機械的物性などによって決定されるが、1〜3倍程度が好ましい。圧縮倍率が1倍に満たない場合には、シート材として十分な機械的物性が得られなくなる。その一方、3倍を超える場合には、パッド部材成形用シートの見掛け密度が高くなり過ぎて軽量化を図ることができなくなると共に、通気性が低下し、さらに硬くなり過ぎる傾向を示して好ましくない。
続いて、成形型内に水蒸気を通常1〜5分間導入し、ウレタンプレポリマーを加熱すると共に、水と反応、硬化させる。これにより、ウレタンプレポリマーの反応硬化物が生成されると共に、チップ間が結合される。その後、金型を型開きして成形体を取出すことにより、目的とするパッド部材成形用シートを製造することができる。
得られたパッド部材成形用シートは、下着用パッドなどの材料として使用するために、所定の見掛け密度、通気量、変色性、引張強さ、伸びなどの物性を有していることが望ましい。JIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度は、45〜110kg/mであることが好ましい。この見掛け密度が45kg/m未満の場合、パッド部材成形用シートが柔らかくなり過ぎ、強度が不足する傾向を示す。一方、110kg/mを超える場合、パッド部材成形用シートが重くなると共に、硬くなり過ぎる傾向を示す。JIS K 6400−7に準拠して測定される通気量は、13〜70cm/cm・secであることが好ましい。通気量が13cm/cm・sec未満の場合、パッド部材成形用シートを下着用パッドなどに用いたとき、通気性が悪くなって汗を十分に放出することができず、蒸れる状態となり、着心地の悪いものとなる。一方、70cm/cm・secを超える場合、通気性は十分であるが、強度などの物性が低下して好ましくない。
また、温度30℃、湿度75%、NOガス濃度10ppmの加速試験機に、パッド部材成形用シートを2時間放置する前後のパッド部材成形用シートの色差を表す変色性(ΔYI)は、小さい方が好ましく、具体的にはΔYIが3.2以下であることがより好ましい。ΔYIが3.2より大きくなると、パッド部材成形用シートの黄変性などの変色性が大きくなり、下着用パッドなどの材料として適しなくなる。JIS K 6400−5:2004に準拠して測定される引張強さは、30〜130kPaであることが好ましい。引張強さが30kPaより低い場合、パッド部材成形用シートの強度が弱く、下着用パッドなどの成形を良好に行うことができなくなると共に、下着用パッドの形状保持性も悪くなる傾向を示す。その一方、130kPaより高い場合、柔軟性が不足するようになり、下着用パッドが硬くなり過ぎて好ましくない。JIS K 6400−5に準拠して測定される伸びは、20〜50%であることが好ましい。この伸びが20%より小さいときには、パッド部材成形用シートにより下着用パッドを成形したとき、下着用パッドが弾力性の少ないものとなり、感触が悪くなって好ましくない。一方、50%より大きい場合には、パッド部材成形用シートを下着用パッドとしたとき、変形が大きくなり、形状を良好に保持できなくなって好ましくない。
以上説明したパッド部材成形用シートは、ブラジャーカップ、ブラジャーインナー等の下着用パッドなどの材料として使用されるが、そのための所定形状への成形は常法に従って行われる。例えば、ブラジャーカップを成形する場合、加熱プレス成形機を使用し、上型及び下型を共に180℃に加熱し、0.6MPaの圧力でプレス成形することによって行われる。このようにして得られたブラジャーカップについて、通気性をさらに向上させるため、ニードルパンチを施すことも可能である。
さて、本実施形態の作用について説明すると、ポリウレタン発泡体の端材を再利用する場合、そのポリウレタン発泡体を破砕して得られるチップに、バインダーとしてウレタンプレポリマーを添加した後、圧縮し、続いて水蒸気を作用させる。このとき、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が水と反応(泡化反応)して尿素化合物が生成されると共に、その尿素化合物がウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応(ビューレット反応)して架橋反応生成物が生成され、さらにチップのウレタン結合に対してウレタンプレポリマーのイソシアネート基が反応(アロファネート反応)して架橋反応生成物が生成される。これらの反応に伴って、反応硬化物が生成されると共に、チップ間が接着される。
この場合、チップ及びウレタンプレポリマーは共に変色の少ない脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートで形成されており、変色の原因となる芳香環を有していないことから、得られるパッド部材成形用シートの変色が抑えられ、白色が維持される。しかも、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを反応硬化させることにより、チップ間が主に接触部分で結合され、チップ間の非接触部分には十分な空隙が形成され、その空隙を空気が容易に通過することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のパッド部材成形用シートの製造方法においては、チップとして変色の原因とならない脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたポリウレタン発泡体の破砕物を用いる。同時に、バインダーとして変色の原因とならない脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用いる。従って、変色が抑制されると共に、通気性が高められたパッド部材成形用シートを容易に製造することができる。
・ 前記ウレタンプレポリマーの添加量をチップ100質量部当たり7〜20質量部に設定することにより、チップ間の結合と空隙の形成を良好に行うことができる。
・ 前記圧縮時における圧縮倍率を1〜3倍に設定することにより、通気性を保持しつつ、引張強さ、伸び等の機械的物性を向上させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1〜10並びに比較例1及び2)
ポリウレタン発泡体のチップ及びバインダーとして下記に示すものを使用した。ポリウレタン発泡体のチップをブレンダーに投入し、バインダーを噴射、撹拌してチップにバインダーを吹き付けた。その後、縦400mm、横400mm及び高さ50mmの成形型内にチップを投入した。表1中におけるスキン層の有無は、チップを形成するポリウレタン発泡体についてのものである。バインダーの吹き付け量は、チップ100質量部に対して表1に示す質量部とした。次いで、パンチングメタルを用いて表1に示す圧縮倍率で圧縮した後、成形型内に100℃の水蒸気を2分間供給し、バインダーを反応、硬化させ、チップ間の特に接触部分を接着した。このようにしてポリウレタン発泡体のシート状物を得た。このシート状物は、表面に皺などがなく、綺麗な表面状態を有していた。そして、これを所定厚さにスライスすることにより、パッド部材成形用シートを製造した。表1中における厚さは、スライスした後のパッド部材成形用シートの厚さである。ここで、比較例1及び2では、チップ間をバインダーで接着するのではなく、軟質スラブ発泡体のブロックを剥いでシート状としたものを使用した。
ポリウレタン発泡体のチップ:下記に示すポリエステルポリオール100質量部、脂環族ポリイソシアネートとしてのイソホロンジイソシアネート63質量部、発泡剤としての水3.6質量部、触媒としての1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7を1.2質量部及び整泡剤としてのシリコーン1.5質量部を反応及び発泡させて得られたポリウレタン発泡体を6mmの大きさに破砕したもの。
ポリエステルポリオール:アジピン酸、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパンを重縮合して得られたポリエステルポリオール、水酸基価56(mgKOH/g)
バインダーとしてのウレタンプレポリマー:
(a):ヘキサメチレンジイソシアネートの一部をポリオールと反応させたポリイソシアネート体であって、可塑剤で粘度調整したもの、イソシアネート基(−NCO)含有量が21.8質量%、粘度2600mPa・s、旭化成ケミカルズ(株)製、デュラネートTKA−100
(b):ヘキサメチレンジイソシアネートの一部をポリオールと反応させたポリイソシアネート体、イソシアネート基含有量が20.5質量%、粘度380mPa・s、旭化成ケミカルズ(株)製、デュラネートTSR−10
(c):イソホロンジイソシアネートの一部をポリオールと反応させたポリイソシアネート体、イソシアネート基含有量が11.8質量%、住友バイエルウレタン(株)製、デスモジュールZ4470 BA
そして、製造されたパッド部材成形用シートについて、見掛け密度、通気量、変色性、引張強さ及び伸びを下記に示す方法で測定した。それらの結果を表1に示した。
見掛け密度(kg/m):JIS K 7222:1999に準拠して測定した。
通気量(cm/cm・sec):JIS K 6400−7:2004に準拠して測定した。
変色性:温度30℃、湿度75%、NOガス濃度10ppmの加速試験機に、パッド部材成形用シートを2時間放置した後の変色と試験前のパッド部材成形用シートの色を測定し、それらの差ΔYIを算出した。
引張強さ(kPa):JIS K 6400−5:2004に準拠して測定した。
伸び(%):JIS K 6400−5:2004に準拠して測定した。
Figure 0005022717
表1に示したように、実施例1〜10においては、チップ及びバインダーを形成するポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールを使用したことから、変色性を表すΔYIを0.53〜3.18に抑えることができた。しかも、上記チップ間の接触部分をバインダーで結合させたことから、通気量を15.5〜60.5cm/cm・secに増加させることができた。なお、チップを形成するポリウレタン発泡体のスキン層の有無は、パッド部材成形用シートの通気量にはほとんど影響がなかった(実施例1と2との比較)。
一方、比較例1及び2では軟質スラブ発泡体のブロックを剥いでシート状としたものを使用したことから、チップ間に生ずる空隙が元来存在せず、通気量は軟質スラブ発泡体の物性値であり、低い結果となった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記チップとして、脂肪族ポリイソシアネートを用いて形成されたものと、脂環族ポリイソシアネートを用いて形成されたものとを混合して使用することもできる。
・ バインダーのウレタンプレポリマーとして、脂肪族ポリイソシアネートを用いて形成されたものと、脂環族ポリイソシアネートを用いて形成されたものとを混合して使用することもできる。
・ バインダーとして、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基をブロックしたものを使用することもできる。このように構成すれば、空気中の水分との反応を抑制することができ、バインダーのポットライフを長くすることができる。
・ バインダーには、ウレタンプレポリマーが水蒸気と反応する前に空気中の水分と反応するのを抑制する反応遅延剤として、オレイン酸等を配合することも可能である。
・ バインダーとして、ウレタンプレポリマーに加え、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート又はそれらの変性体を使用することもできる。
・ パッド部材成形用シートを、肩パッド、ハンガーパッド等の衣料材料、紙おむつ、ナプキン等のサニタリー材料、医療材料、雑貨素材等に使用することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記パッド部材成形用シートは、下着用パッド成形用シートであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法。このように構成した場合、下着用パッド成形用シートについて、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を最も有効に発揮させることができる。
・ 前記パッド部材成形用シートのJIS K 7222:1999に準拠して測定される見掛け密度は、45〜110kg/m3であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、パッド部材成形用シートの機械的物性と軽量性のバランスを図ることができる。
・ 前記チップとウレタンプレポリマーを形成するポリイソシアネートは同種のものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣料用パッド部材成形用シート。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、チップとウレタンプレポリマーの相溶性を高めることができ、チップ間の接着性を一層向上させることができる。
・ 脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたポリウレタン発泡体を破砕してなるチップに、バインダーとして脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを添加し、圧縮してシート状に成形した後、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを反応硬化させ、前記チップ間を結合することを特徴とするパッド部材成形用シート。この構成によれば、パッド部材成形用シートの変色を抑制することができると共に、通気性を向上させることができる。

Claims (2)

  1. 脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたポリウレタン発泡体を破砕してなるチップに、バインダーとして脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートをポリオールと反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを添加し、圧縮してシート状に成形した後、水蒸気で加熱してウレタンプレポリマーを反応硬化させ、前記チップ間を結合するパッド部材成形用シートの製造方法であって、
    前記ウレタンプレポリマーの添加量は、チップ100質量部当たり7〜20質量部であり、前記圧縮時の圧縮倍率は、1〜3倍であり、前記パッド部材成形用シートのJIS K 6400−7:2004に準拠して測定される通気量は、13〜70cm /cm ・secであることを特徴とする衣料用パッド部材成形用シートの製造方法。
  2. 前記チップの大きさは、5〜20mmに形成されることを特徴とする請求項1に記載の衣料用パッド部材成形用シートの製造方法。
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