JP5022432B2 - ファイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ファイルおよびその製造方法に関し、特にたとえば、表紙の内側に複数のシートを溶着したファイルとその製造方法に関する。
たとえば、熱可塑性樹脂からなる背部と被綴じシートとを溶着することにより製本されたアルバムなどのようなファイルがある。このようなファイルを作製するには、図19に示すように、多数枚の被綴じシート1が重合して被綴じ体用の保持機構2で保持される。これらの被綴じシート1の重なり端面に、表紙用の保持機構3で保持された表紙4の背部の内側が近付けられ、被綴じシート1の重なり端面と表紙4の背部との間に発熱体5が挿入される。発熱体5による加熱により、被綴じシート1の重なり端面と表紙4の背部が同時に溶融する。この状態で、被綴じシート1と表紙4の背部との間から発熱体5を引き抜き、被綴じシート1の重なり端面と表紙4の背部とを接触させることにより、被綴じシート1と表紙4とが溶着される。
このような製本方法で作製されるファイルとしては、アルバム以外に、名刺ホルダーやはがき整理用ファイルなどがある(特許文献1参照)。
特許第2523261号公報
しかしながら、表紙4の背部4aを溶融させるために加熱すると、図20に示すように、背部4aが膨張して、背部4aの長手方向の両端部が隣接する表表紙4bおよび裏表紙4cの端部を越えて突出してしまう。このように、背部4aの長手方向の端部が隣接する表表紙4bおよび裏表紙4cの端部を越えると、本棚などにファイルを立てて保管したときに、背部4aの端部でファイルを支えることになり、背部4aの端部に大きな力が加わる。そのため、背部4aの端部が潰れて、見栄えが悪くなってしまうことがある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、表紙とその内部のシートとを溶着しても、表紙の背表紙部分が潰れたりすることのないファイルと、そのようなファイルの製造方法を提供することである。
この発明は、背表紙と背表紙の幅方向の両側に形成される表表紙と裏表紙とを含む表紙、および表紙の背表紙に端部が溶着されるシートを含み、予め背表紙の長手方向の両端部を隣接する表表紙および裏表紙の両端部より窪んだ状態としておくことにより、シートを背表紙に溶着したときに、背表紙の長手方向の両端部が隣接する表表紙および裏表紙の両端部を越えないようにした、ファイルである。
このようなファイルにおいて、背表紙には、長手方向に並んで複数の貫通孔が形成されることにより複数の貫通孔間に複数の連結部が設けられ、外側の2つの連結部の端部を隣接する表表紙および裏表紙の端部より窪んだ状態としておくことにより、シートを背表紙に溶着したときに、背表紙に形成された外側の2つの連結部が隣接する表表紙および裏表紙の端部を越えないようにすることができる。
また、この発明は、背表紙と背表紙の幅方向の両側に形成される表表紙と裏表紙とを含み、背表紙の長手方向の両端部を隣接する表表紙および裏表紙の両端部より窪んだ状態とした表紙を準備する工程と、表紙に取り付けられるシートを準備する工程と、背表紙にシートの端部を近付けて、背表紙とシートの対向部を溶融させる工程と、背表紙とシートの溶融した対向部を接触させて背表紙とシートの端部とを溶着する工程とを含む、ファイルの製造方法である。
このようなファイルの製造方法において、表紙を準備する工程において、背表紙の長手方向に並んで複数の貫通孔が形成されることにより複数の連結部が設けられた表紙が準備され、背表紙とシートの対向部を溶融させる工程において、背表紙の連結部とシートの対向部が溶融させられ、背表紙とシートの端部とを溶着する工程において、背表紙の連結部とシートの溶融した対向部を接触させて連結部とシートの端部とを溶着するようにしてもよい。
予め背表紙の長手方向の両端を隣接する表表紙および裏表紙の両端より窪んだ状態とすることにより、背表紙とシートとを溶着するために背表紙を加熱して、背表紙が膨張しても、背表紙の長手方向の両端部が隣接する表表紙および裏表紙の両端部を越えないようにすることができる。
ここで、背表紙の長手方向に並んで貫通孔を形成することにより、背表紙に複数の連結部が形成される。この場合、連結部と複数のシートとが溶着されるが、連結部も加熱されることにより膨張する。そこで、外側にある2つの連結部について、予めその端部を隣接する表表紙および裏表紙の端部より窪んだ状態としておくことにより、連結部とシートとを溶着したときに、外側の連結部の端部が隣接する表表紙および裏表紙の端部を越えないようにすることができる。
この発明によれば、背表紙とシートとを溶着しても、背表紙の長手方向の両端部が隣接する表表紙および裏表紙の両端部を越えないため、ファイルを立てて保管しても、特定の場所に力が集中しない。そのため、特定の場所が潰れたりせず、長期間きれいな外観を保つことができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明のファイルの一例を示す斜視図である。 図1に示すファイルに用いられる表紙を示す平面図である。 図2に示す表紙のA−A断面図である。 背表紙の貫通孔部分におけるシートの状態を示す図解図である。 図1に示すファイルの背表紙側の外観を示す斜視図である。 図1に示すファイルの製造工程において、表紙を準備する工程を示す図解図である。 図6に示す表紙の要部を示す平面図である。 シートと合紙とを積層する工程を示す図解図である。 「1」の日付が表示されたインデックスを有するシートの平面図である。 「2」の日付が表示されたインデックスを有するシートの平面図である。 「16」の日付が表示されたインデックスを有するシートの平面図である。 「17」の日付が表示されたインデックスを有するシートの平面図である。 黒いドットが表示されたインデックスを有するシートの平面図である。 背表紙にシートを溶着する工程を示す図解図である。 表紙の背表紙にシートを溶着したときの表紙の要部を示す平面図である。 表紙に背見出しを形成する工程を示す図解図である。 シート間に書類を挟み込んだ状態を示す図解図である。 実施例における背表紙の端部付近の寸法を示す図解図である。 従来の製本方法の一例を示す図解図である。 図19に示す方法で作製されたファイルの一例を示す図解図である。
図1は、この発明のファイルの一例を示す斜視図である。このファイル10は、たとえば、1か月のうちのそれぞれの日に必要な書類を管理するために用いられる。ファイル10は、たとえばポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂などで形成された表紙12を含む。表紙12は、図2に示すように、長方形状の背表紙14と、背表紙14の幅方向の一方側に連続して形成される表表紙16と、背表紙14の幅方向の他方側に連続して形成される裏表紙18とを含む。表表紙16は、たとえば長方形に形成され、その幅方向の一端側が背表紙14に連結されている。また、裏表紙18は、たとえば、幅方向の一端側に複数の略円弧状の凹部18aが形成されるとともに、他の3辺が直線状に形成される。そして、裏表紙18の凹部18a形成部の反対側の端部が、背表紙14に連結されている。そして、この実施の形態では、裏表紙18の幅は、表表紙16の幅より大きくなるように形成される。背表紙14、表表紙16および裏表紙18は、たとえばシート状の材料を切断することにより、一体的に形成される。
背表紙14には、その長手方向の上端側から下端側まで並ぶように、複数の略4角形の貫通孔20が形成される。なお、貫通孔20の4つの角部分は、円弧状に形成されている。これらの貫通孔20は、その幅が揃うようにして長手方向に連なるように、直線状に並んで配置される。したがって、貫通孔20の間には、帯状の連結部22が形成される。背表紙14と表表紙16との間および背表紙14と裏表紙18との間には、表紙12の上端から下端にわたってヒンジ溝24が形成される。さらに、ヒンジ溝24から間隔を隔ててヒンジ溝24と平行に、表表紙16および裏表紙18の上端から下端にわたって別のヒンジ溝24が形成される。ヒンジ溝24は、図3に示すように、表紙12の一方面および他方面に形成される。表紙12の一方面側においては、略円弧状の断面形状を有する第1の溝24aが形成される。また、表紙12の他方面側においては、若干窪んだ断面形状を有する第2の溝24bが形成される。そして、第1の溝24aの形成された側が表側となり、第2の溝24bの形成された側が内側となるように、表紙12が折りたたまれる。
断面円弧状の第1の溝24a側は比較的自由に変形するが、断面窪み状の第2の溝24b側の自由度は低いため、表紙12を折りたたむと、表表紙16および裏表紙18によって背表紙14に応力がかかる。背表紙14に形成された貫通孔20により帯状に形成された連結部22は、表表紙16や裏表紙18に比べて応力に弱いため、外側に向かって突出するように湾曲する。なお、第1の溝24aと第2の溝24bとの間の間隔が小さい場合、溝24部分で表紙12が折れ曲がりやすく、背表紙14が湾曲しにくくなる。また、第1の溝24aと第2の溝24bとの間の間隔が大きい場合、溝24部分で表紙12が折れ曲がりにくくなる。そのため、表紙12を閉じたときに、表表紙16と裏表紙18とが開いた状態となったり、背表紙14が応力に耐えられなくなり、連結部22の中央部で折れ曲がって背表紙14が湾曲しなくなったりする。そのため、第1の溝24aと第2の溝24bとの間の間隔は、背表紙14がきれいに湾曲するような間隔となるように設定される。
湾曲する背表紙14の内側には、複数のシート30が形成される。シート30は、背表紙14の長手方向の両端から内側に入った位置に形成される。シート30は、たとえばポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂などで長方形状に形成される。つまり、シート30の幅方向の一端側は、背表紙14の内側に密着するように、長手方向において直線状となるように形成される。そして、隣接するシート30が所定の間隔を隔てて配置されるようにして、シート30の幅方向の一端側が、背表紙14に溶着される。このとき、背表紙14の連結部22にシート30が溶着されるが、貫通孔20部分においては、図4に示すように、シート30の端部が溶融して、隣接するシート30の端部を連結するブリッジ30aが形成される。背表紙14は湾曲しているため、表表紙16と裏表紙18との間において、全てのシート30が背表紙14から遠ざかるにしたがって表表紙16と裏表紙18の間の中央部に向かって集中する。したがって、表紙12を閉じたとき、背表紙14との溶着部においては、それぞれのシート30が互いに間隔を隔てているが、背表紙14から離れた部分においては、表表紙16と裏表紙18との間において全てのシート30が密着した状態となる。
シート30には、たとえば5つの円形の貫通孔32が形成される。貫通孔32は、たとえば正方形の各頂点とその中央部に対応する位置に形成される。さらに、シート30の幅方向において、背表紙16との溶着部の反対側端部に、インデックス34が形成される。インデックス34は、シート30の幅方向の端部の一部が突出するように形成される。
この実施の形態では、表表紙16側の16枚のシート30に、互いに位置をずらして日付表示用のインデックス34が形成される。このとき、表表紙16側から内側に向かうにしたがって、シート30の長手方向の一端側から他端側に位置をずらしてインデックス34を形成することにより、全てのシート30のインデックス34が見えるように配置することができる。そして、表表紙16側から内側に向かうにしたがって数字が大きくなるように、各インデックス34に「1」から「16」までの日付が印刷される。それにより、シート30がまとまったとき、シート30の長手方向の一端側から他端側に向かって、「1」から「16」までの日付が順序よく並んで表示される。
さらに、「16」の日付が表示されたインデックス34に続いて、「17」から「31」までの日付が表示されたインデックス34を有するシート30が配置される。そして、「31」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30に続いて、つまり裏表紙18側に、黒いドットが表示されたインデックス34を有するシート30が配置される。「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34を有するシート30の幅は、「1」から「16」まで表示されたインデックス34を有するシート30の幅より大きく形成される。それにより、「1」から「16」までの表示と「17」から黒いドットまでの表示とが段違いに表示され、全ての表示を見ることができる。なお、「17」から黒いドットまでの表示がされたインデックス34についても、「1」から「16」までの表示がされたインデックス34と同様の位置関係となるように、各シート30にインデックス34が形成されている。
裏表紙18の端部は、「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34より外側にくるように、裏表紙18の幅が設定される。ここで、裏表紙18の端部に凹部18aが形成されていない場合、シート30と裏表紙18との間に指を入れて、所望の日付が表示されたインデックス34を有するシート30を開く必要がある。しかしながら、このファイル10の場合、裏表紙18の幅方向の端部に形成された凹部18aが、「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34のそれぞれに対応する位置に形成される。したがって、「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34の背面には、それぞれ裏表紙18の凹部18aが配置される。それにより、凹部18aに沿って指を動かすことにより、「17」から黒いドットが表示されたインデックス34のそれぞれに指を当てることができ、所望の日付が表示されたインデックス34を有するシート30を開くことができる。また、「1」から「16」まで表示されたインデックス34が見えるように、表表紙16の幅が設定される。したがって、表紙12を閉じたとき、表表紙16側から見ると、下から順に、裏表紙18、「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34、「1」から「16」まで表示されたインデックス34、表表紙16が見えることになる。
さらに、図5に示すように、背表紙14の外面側を覆うように、表紙12の長手方向の上端から下端まで、背見出し40が形成される。背見出し40は、たとえば透明な長方形状の熱可塑性フィルムを背表紙14と平行な位置で表表紙16および裏表紙18に溶着することにより形成される。そして、背見出し40に背見出し紙42を挿入することにより、必要な情報を表示することができる。このとき、裏表紙18側よりも表表紙16側のほうに多くの背見出し40がくるようにすることにより、表表紙16側から背見出し紙42に表示された情報が確認しやすくなる。
このようなファイル10を作製するために、図6に示すように、表紙12が準備される。ここで、表紙12として、図7に示すように、予め背表紙14の長手方向の両端部が表表紙16および裏表紙18の長手方向の両端部より窪んだ状態となるように形成されたものが用いられる。つまり、貫通孔20の間に形成された連結部22の最も外側にあるものについて、貫通孔20の反対側に窪み部22aが形成されている。窪み部22aは、たとえば背表紙14の幅と略同じとなるように形成され、窪み部22aと表表紙16との境界部分および窪み部22aと裏表紙18との境界部分は円弧状に形成される。このような表紙12について、背表紙14が平らになるように保持される。
次に、図8に示すように、複数のシート30が準備される。シート30の大きさは、ファイル10に保管する書類の大きさより大きくなるように設定される。ここで、図9に示すように、「1」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅をL(1)とし、図10に示すように、「2」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅をL(2)とすると、L(2)がL(1)より長くなるように形成される。同様にして、図11に示すように、「16」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅L(16)まで、順次シート30の幅が長くなるように形成される。
さらに、図12に示すように、「17」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅L(17)は、「16」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅L(16)より大きく形成される。これは、図1に示すように、「1」から「16」までの日付が表示されたインデックス34と「17」から黒いドットまで表示されたインデックス34とが、段違いに配置されるようにするためである。そして、「17」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30の幅L(17)から、図13に示すような黒いドットが表示されたインデックス34を有するシート30の幅L(dot)まで、順次幅が小さくなっていくように、各シート30が形成される。したがって、表表紙16側および裏表紙18側から中央部のシート30に向かって幅が大きくなるように各シート30が配置されている。
なお、それぞれのシート30において、複数の円形の貫通孔32のうちの対応するものは、シート30の長手方向の同じ位置に形成される。また、それぞれのシート30において、複数の円形の貫通孔32のうちの対応するものは、シート30のインデックス34とは反対側の幅方向端部から等距離となる位置に形成される。したがって、幅の異なるシート30であっても、長手方向の端部およびインデックス34とは反対側の幅方向端部を揃えて重ねることにより、全てのシート30の貫通孔32を揃えることができる。
このように配置されたシート30の間に、隔幅部材としての合紙50が挟み込まれる。合紙50は、図7に示すように、所定の厚みを有する長方形状に形成される。合紙50の長手方向の長さは、シート30の長手方向と同じ長さとなるように形成される。そして、合紙50の長手方向の両端に、一部が突出する突出部50aが形成される。また、合紙50の幅方向の長さは、たとえばシート30の幅方向の長さより長くなるように形成される。
合紙50には、3つの貫通孔52が形成される。合紙50の貫通孔52は、インデックス34とは反対側のシート30の幅方向端部に近い3つの貫通孔32に対応して形成される。つまり、シート30の長手方向と合紙50の長手方向とを合わせるとともに、インデックス34とは反対側のシート30の幅方向端部と合紙50の幅方向の一端側とを合わせるようにして、シート30と合紙50とを重ねたとき、インデックス34とは反対側のシート30の幅方向端部側にある3つの貫通孔32と合紙50の貫通孔52とが重なるように形成される。このような合紙50を複数のシート30の間に挟み込み、シート30の貫通孔32と合紙50の貫通孔52とを揃えることにより、全てのシート30について、インデックス34とは反対側の端部が揃うように配置することができる。次に、図14に示すように、表紙12の背表紙14にシート30が溶着される。
そして、表紙12の第2の溝24bが形成された側において、インデックス34とは反対側のシート30の幅方向端部が背表紙14側に配置される。この状態で、背表紙14とシート30との間に発熱体が挿入され、背表紙14とシート30の対向部を溶融し、互いを押し当てることにより、背表紙14とシート30とが溶着される。このとき、連結部22部分において、シート30の幅方向端部が接続され、背表紙14の貫通孔20部分において、シート30の端部間にブリッジ30aが形成される。このように、合紙50を挟んでシート30を背表紙14に溶着することにより、隣接するシート30間に合紙50の厚み分の隙間を形成することができる。
なお、溶着のために背表紙14が加熱されるが、それにより連結部22が膨張して、その幅が増大する。中間部の連結部22については、幅が増大しても特に問題はないが、背表紙14の両端にある連結部22の幅が増大すると、連結部22の端部が表表紙16および裏表紙18の端部を越えて突出する。この場合、ファイル10を立てて保管するときに、突出した連結部22にファイル10の重量が集中し、背表紙14が潰れて、見栄えが悪くなる。しかしながら、背表紙14の長手方向の両端部、つまり外側に位置する2つの連結部22の端部に予め窪み部22aが形成されていることにより、図15に示すように、熱による連結部22の膨張により幅が増大しても、表表紙16および裏表紙18の端部を越えないようにすることができる。したがって、ファイル10を立てて保管したとき、背表紙14に重量が集中するのを防止することができる。
次に、図16に示すように、表紙12には、シート30が溶着された側と反対側に長方形状の透明な樹脂フィルムが溶着され、背見出し40が形成される。ここで、上述のように、表表紙16側が裏表紙18側より多く背見出し40で覆われるようにして、背見出し40の幅方向の両側が表紙12に溶着される。この背見出し40に、背見出し紙42が挿入される。次に、突出部50aを利用して合紙50を引き抜くことにより、シート30間の合紙50が除去される。
そして、シート30が内側となるようにして、表表紙16と裏表紙18とが閉じられる。それにより、背表紙14がシート30と反対側に突出するように湾曲し、図1に示すファイル10が得られる。なお、シート30の幅が異なるため、背表紙14が平らな状態でシート30を溶着したとき、インデックス34側のシート30の幅方向端部は不揃いとなる。しかしながら、表紙12を閉じることにより、背表紙14が湾曲するため、中央部にあるシート30ほど背表紙14側に引き込まれる。複数のシート30は、外側から内側に向かうにしたがって、幅が大きくなるように配置されているため、表紙12を閉じて背表紙14が湾曲することにより、インデックス34側のシート30の幅方向端部が揃えられる。このように、表紙12を閉じたときに、シート30のインデックス34側の幅方向端部を揃えるために各シート30の幅を変えているが、背表紙14の幅、曲率半径および隣接するシート30間の間隔などにより、表紙12を閉じたときのシート30の引き込み量が異なる。そのため、表紙12を閉じたときのシート30の引き込み量に応じて、隣接するシート30間の幅の差が設定される。
このようにして得られたファイル10は、たとえば1か月分の書類管理用ファイルとして用いられる。たとえば、その月の1日に必要な書類60は、図1に示すように、「1」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30と「2」の日付が表示されたインデックス34を有するシート30との間に挟み込まれる。ここで、隣接するシート30間には、合紙50の厚み分の隙間が形成されているが、図17に示すように、背表紙14が湾曲しているため、背表紙14から離れるにしたがって、表表紙16と裏表紙18との間で全てのシート30が中央側に集合し、隣接するシート30が密着した状態となる。そのため、表紙12を閉じれば、隣接するシート30によって書類60が押し付けられ、書類60はファイル10から外れることなく保持される。書類60が複数枚の場合であっても、隣接するシート30間に合紙50の厚み分の隙間があるため、書類60をまとめてシート30間に保持することができる。
ファイル10に保持した書類を取り出すときには、必要とする日付が表示されたインデックス34を有するシート30を開くことにより、書類60を取り出すことができる。ここで、シート30には円形の貫通孔32が形成されているため、シート30と書類60との間が真空状態となって、シート30に書類60が貼り付くことを防止することができる。このように、このファイル10は、隣接するシート30間に書類を挟み込むだけで保持することができるため、書類60の出し入れが容易である。
さらに、このファイル10では、背表紙14の端部が表表紙16および裏表紙18の端部を越えない形状となっているため、ファイル10を本棚などに立てて保管しても、ファイル10の重量が特定箇所に集中しない。そのため、ファイル10の端部が潰れたりすることを防止することができ、きれいな外観を保つことができる。なお、背表紙14としては、貫通孔20が形成されていないものを用いることもできる。この場合においても、背表紙14の長手方向の両端部に隣接する表表紙16および裏表紙18の端部より窪んだ窪み部22aを形成しておくことにより、シート30を溶着したときに、背表紙14の端部が隣接する表表紙16および裏表紙18の端部を越えないようにすることができる。
このように、このファイル10を用いれば、1か月のそれぞれの日に必要な書類を管理することができる。なお、シート30の数は任意に変更可能であり、たとえば1週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「7」までの日付が表示されたインデックス34を有するシート30と、ドットが表示されたインデックス34を有するシート30とを用いればよい。また、2週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「14」までの日付が表示されたインデックス34を有するシート30と、ドットが表示されたインデックス34を有するシート30を用いればよい。さらに、インデックス34の表示としては、日付に限らず、ファイル10の用途に応じて他の項目を表示してもよい。
また、この発明の製造方法を用いることにより、シート30を溶着した背表紙14が湾曲しているにもかかわらず、インデックス34側の幅方向端部が揃うように、シート30を配置することができる。そのため、インデックス34をきれいに並べることができ、インデックス4の表示を見やすくすることができる。しかも、背表紙14の端部が表表紙16および裏表紙18の端部を越えないファイル10を作製することができ、ファイル10の重量による特定箇所の破損などを防止することができるファイル10を得ることができる。
厚さ1mmのポリプロピレンシートを用いて、図6に示す表紙12を形成した。ここで、ポリプロピレンシートの延伸方向が表表紙16から裏表紙18に向かう方向となるようにして、表紙12を形成した。表紙12の全体の大きさは、499mm×318mmである。このような表紙12において、図18に示すように、背表紙14の長手方向の端部における貫通孔20の幅を30mm、貫通孔20の角部における円弧の曲率半径を2mm、連結部22の幅を5mm、窪み部22aの長さを37mm、窪み部22aと表表紙16との間の円弧および窪み部22aと裏表紙18との間の円弧の曲率半径を0.5mmとした。
このような表紙12の背表紙14に、ポリプロピレンシートからなるシート30を32枚重合して溶着したところ、連結部22の外側への張出し量は0.5mm以内におさまり、隣接する表表紙16および裏表紙18の端部を越えることはなかった。なお、表紙12の背表紙14の長手方向両端における窪み部22aの深さは、表紙12の材質、表紙12の熱膨張率、表紙12の厚み、背表紙14の長手方向両端部における連結部22の長さおよび幅、シートを溶着するときの加熱温度および加熱時間、製本後における表表紙16および裏表紙18に対する背表紙14のへこみの許容量などによって影響される。したがって、製本後において、背表紙14の長手方向の両端が隣接する表表紙16および裏表紙18の端部を越えないように、これらのパラメータを選択すればよい。
10 ファイル
12 表紙
14 背表紙
16 表表紙
18 裏表紙
20 貫通孔
22 連結部
24 溝
30 シート
32 貫通孔
34 インデックス
40 背見出し
42 背見出し紙
50 合紙
60 書類

Claims (4)

  1. 背表紙と前記背表紙の幅方向の両側に形成される表表紙と裏表紙とを含む表紙、および
    前記表紙の前記背表紙に端部が溶着されるシートを含み、
    予め前記背表紙の長手方向の両端部を隣接する前記表表紙および前記裏表紙の両端部より窪んだ状態としておくことにより、前記シートを前記背表紙に溶着したときに、前記背表紙の長手方向の両端部が隣接する前記表表紙および前記裏表紙の両端部を越えないようにした、ファイル。
  2. 前記背表紙には、長手方向に並んで複数の貫通孔が形成されることにより複数の前記貫通孔間に複数の連結部が設けられ、外側の2つの前記連結部の端部を隣接する前記表表紙および前記裏表紙の端部より窪んだ状態としておくことにより、前記シートを前記背表紙に溶着したときに、前記背表紙に形成された外側の2つの前記連結部が隣接する前記表表紙および前記裏表紙の端部を越えないようにした、請求項1に記載のファイル。
  3. 背表紙と前記背表紙の幅方向の両側に形成される表表紙と裏表紙とを含み、前記背表紙の長手方向の両端部を隣接する前記表表紙および前記裏表紙の両端部より窪んだ状態とした表紙を準備する工程、
    前記表紙に取り付けられるシートを準備する工程、
    前記背表紙に前記シートの端部を近付けて、前記背表紙と前記シートの対向部を溶融させる工程、および
    前記背表紙と前記シートの溶融した対向部を接触させて前記背表紙と前記シートの端部とを溶着する工程を含む、ファイルの製造方法。
  4. 前記表紙を準備する工程において、前記背表紙の長手方向に並んで複数の貫通孔が形成されることにより複数の連結部が設けられた前記表紙が準備され、
    前記背表紙と前記シートの対向部を溶融させる工程において、前記背表紙の前記連結部と前記シートの対向部が溶融させられ、
    前記背表紙と前記シートの端部とを溶着する工程において、前記背表紙の前記連結部と前記シートの溶融した対向部を接触させて前記連結部と前記シートの端部とを溶着する、請求項3に記載のファイルの製造方法。
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