JP5021952B2 - 選択的セロトニン再取込阻害成分を含有する製剤 - Google Patents
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Description
即ち、うつ病患者にセロトニン再取込阻害剤を投与することにより、シナプス間隙のセロトニン量が増加するため、うつ状態が改善されるものと推定されている。
このうつ病処置方法によれば、うつ病患者に投与されたSSRIがセロトニントランスポーターに選択的に結合するので、上述したような副作用の発現を抑制できる。
ここで(2)の発明によれば、皮膚刺激低減化成分を更に含有させたので、SSRIによる皮膚刺激が低減される。これにより、使用者に与える不快感を軽減できる。
ここで(3)の発明によれば、SSRIとして、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム、又はこれらの薬理学的に許容できる塩を採用したので、従来の知見等を活用して、より容易にSSRIによる副作用を抑制できる。
ここで(4)の発明によれば、非水系テープ剤、非水系パッチ剤、リザーバ型貼付剤の形態を採用したので、SSRIの経皮吸収を実質的に一定速度とすることができる。
SSRIは、セロトニントランスポーターに選択的に結合し、このセロトニントランスポーターによるセロトニン再取込を阻害する。
本発明の貼付剤は、薬理活性成分が実質的に一定速度で経皮吸収される形態である。このような形態としては、非水系テープ剤、非水系パッチ剤、リザーバ型貼付剤が挙げられる。
非水系テープ剤は、支持体上に、薬物保持層と粘着剤層とが均一に混合された層が積層された構造を有する。非水系パッチ剤は、支持体上に、薬物保持層と粘着剤層とが順次積層され、別々に配置された構造を有する。
支持体としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等の伸縮性又は非伸縮性の織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等のフィルム、あるいはウレタン、ポリウレタン等の発泡性支持体が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、あるいは複数種が積層されたものを使用してもよい。
薬物保持層には、上述したSSRIが薬理活性成分として含有される。また、薬物保持層には、SSRIによる皮膚刺激が低減される点から、皮膚刺激低減化成分が更に含有されることが好ましい。皮膚刺激低減化成分としては、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン等が挙げられる。
粘着剤層を構成する粘着基剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等の感圧性粘着剤が挙げられる。
アクリル系粘着剤は、アクリル系単量体の(共)重合体を主成分とする。アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ゴム系粘着基剤は、粘着性及び薬理活性成分の放出性に優れる。
ゴム系粘着基剤としては、エラストマー100質量部に対して、粘着付与樹脂を通常50〜250質量部の範囲で添加し、さらに必要に応じて、軟化剤、経皮吸収促進剤、充填剤、酸化防止剤等を配合する。ゴム系粘着剤のエラストマー成分としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS共重合体)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)等が挙げられる。
シリコン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサン等のシリコンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA系粘着剤)が挙げられる。
(放出制御膜)
非水系テープ剤又は非水系パッチ剤は、SSRIの経皮吸収を精密に調節できる点で、SSRIの放出制御膜を更に備えることが好ましい。放出制御膜としては、多孔質ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜等が挙げられる。
非水系テープ剤又は非水系パッチ剤は、貼付剤の使用時に、粘着剤層から剥離される剥離ライナーを備えてもよい。剥離ライナーの素材は、薬物及び水に非透過性の素材であればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルム、アルミニウム、亜鉛等の金属箔、紙、及び繊維からなる群より選ばれる1種で形成されるフィルム、又は上記群より選ばれる2種以上の素材が積層されたラミネートフィルムが挙げられる。粘着剤層に接着される側の剥離ライナーの面には、シリコン等で薄いコーティング膜を施してもよい。
ゴム系粘着剤は粘着力が比較的弱いため、粘着付与剤を配合することが好ましい。粘着付与剤としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂(「アルコンP100(商品名)」)、脂肪族炭化水素樹脂(ポリブテン)、脂環族不飽和炭化水素樹脂、ロジンエステル、水素添加ロジングリセリンエステル、テルペン樹脂が挙げられる。
経皮吸収促進剤としては、従来皮膚での吸収促進作用が認められている化合物のいずれでもよい。具体例としては、炭素鎖数6〜20の脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、アミド、又はエーテル類、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステル又はエーテル(以上は飽和、不飽和のいずれでもよく、環状、直鎖状分枝状のいずれでもよい)、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、アゾン、アゾン誘導体、ピロチオデカン、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類ポリソルベート系、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油等が挙げられる。
可塑剤としては、ハイシスポリイソプレンゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン等の液状ゴム;プロセスオイル、エキステンダーオイル、流動パラフィン等の石油系軟化剤;ミリスチン酸イソプロピルやパルミチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸エステル;等が挙げられる。軟化剤は、必要に応じて、粘着剤成分全量に対して、通常0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%で用いられる。
充填剤としては、シリカ等の酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。充填剤は、必要に応じて、粘着剤成分全量に対して、通常0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%で用いられる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やジブチルヒドロキシアニソール(BHA)等のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は、ゴム系粘着剤を用いる場合に有効であり、その使用量は、粘着剤成分全量に対して、通常0.2〜2質量%、好ましくは0.5〜1質量%である。
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が挙げられる。
リザーバ型貼付剤は、支持体上に薬物貯蔵層が形成され、この薬物貯蔵層上に放出制御膜及び粘着剤層が積層された構造を有する。なお、非水系テープ剤又は非水系パッチ剤と共通するものについては、その説明を省略又は簡略化する。
支持体は、液状又はゲル状の薬剤に対して実質的に非透過性で、且つ、外部からの湿気及び空気に対して非透過性であって、皮膚又は粘膜面の動きに追随性のある素材であればよい。ただし、支持体は、放出制御膜とヒートシールされるため、ヒートシール可能な素材であることが好ましい。
放出制御膜は、適宜の速度で薬物含有液又はゲルを透過できるものである。放出制御膜としては例えば微孔質又は多孔質のフィルムを使用できる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のフィルムを使用できる。このうち、多孔質ポリエチレンフィルムや多孔質エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム等は、強度や風合い、ヒートシール等の加工性に優れる点で好ましい。
粘着剤層は、リザーバ型貼付剤を皮膚に接着固定するだけでなく、放出制御膜と共に薬理活性成分及び吸収促進剤等の放出性にも関与する。よって、優れた皮膚への接着性や剥離性を得るため、上述したような粘着付与剤や可塑剤等を必要に応じて配合してよい。
粘着剤層に無機塩を配合し、均一に分散させると、高分子ポリマー間の結合が弱まり、無機塩が溶解することによって粘着剤層内が部分的に空隙化することで、薬物や吸収促進剤の通過を促進できる。無機塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩が使用される。無機酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。無機塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。硫酸バリウムのような水不溶性の塩の場合には、微粒子の塩と粘着剤との僅かな空隙を薬物や吸収促進剤が通過するものと考えられる。
粘着剤層に水溶性高分子を配合し均一に分散させることによって、無機塩の場合と同様に、高分子ポリマー間の結合が弱まり、溶解や膨潤、ゼリー化により粘着剤層内が部分的に空隙化され、薬物や吸収促進剤の通過を促進できる。粘着剤層に含まれる水溶性高分子は、水を含むと溶解又はゼリー状になるものであれば、特に限定されない。水溶性高分子の例としては、ペクチン、カラヤガム、グアーガム、ジェランガム、キサンタンガム等が挙げられる。水溶性高分子の含有量は、粘着剤層の総質量に対して35〜70質量%が適当である。
ヒートシールは、放出制御膜と支持体層とを接着するために行われる。ヒートシールによる接着部位は、放出制御膜の薬物貯蔵層よりも外側の外周部分に、1個又は複数個設けられる。強度等の関係上、通常は、同心円状に適宜の間隔で複数個の接着部位が設けられるのが好ましい。シールの幅は好ましくは1〜6mmであり、シール同士の間隔(トラック間の間隔)は好ましくは1〜15mmである。薬剤含有液又はゲルがそのヒートシール部からの漏出を抑制するため、接着部位は支持体フィルムと放出制御膜とが完全に固着されるように形成される。
薬物貯蔵層には、水溶性又は親水性の薬剤液体成分が含有される。薬物貯蔵層中に封入される薬剤液体成分の形態としては、液状の他、ゲルやクリーム等の半固形状でもよい。薬剤は、薬理活性成分と、必要に応じて、剤型ごとに必要な成分、例えば基剤、補助剤、添加剤とを組み合わせて、常法に従って製造できる。
フルボキサミン、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体樹脂エマルジョン(「ニカゾールTS−620(商品名)」、日本カーバイト工業社製)を混合し、支持体であるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に塗膏し乾燥させた後、剥離ライナーを貼り合せてテープ剤を得た。
SIS共重合体(「クレイトンD−1112CP(商品名)」、クレイトンポリマージャパン社製)、水素添加ロジングリセリンエステル(「エステルガムH(商品名)」、荒川化学工業社製)、流動パラフィン(「モレスコホワイト(商品名)」、松村石油研究所製)、フルボキサミン、及びトルエンを混合した。この混合物を、支持体であるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に塗膏後、溶剤であるトルエンを乾燥除去した後、剥離ライナーを貼り合せてテープ剤を得た。
アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体樹脂エマルジョンの代わりに、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体(「ウルトラゾールW−50(商品名)」、ガンツ化成社製)を用いたことを除き、実施例1と同様にしてテープ剤を得た。
フルボキサミンの代わりに、マレイン酸フルボキサミンを用いたことを除き、実施例1と同様にしてテープ剤を得た。
フルボキサミンの代わりに、マレイン酸フルボキサミンを用いたことを除き、実施例2と同様にしてテープ剤を得た。
フルボキサミンの代わりに、マレイン酸フルボキサミンを用いたことを除き、実施例3と同様にしてテープ剤を得た。
フルボキサミンを用いなかったことを除き、実施例2と同様にしてテープ剤を得た。
各投与形式におけるSSRIの吸収速度を評価するために、以下の手順で試験を行った。
Claims (2)
- 選択的セロトニン再取込阻害成分を薬理活性成分として含有する貼付剤であって、
前記選択的セロトニン再取込阻害成分が実質的に一定速度で経皮吸収されるような形態を有し、
前記選択的セロトニン再取込阻害成分は、フルボキサミン又はその薬理学的に許容できる塩であり、
前記実質的に一定速度で経皮吸収されるような形態は、非水系テープ剤、又は非水系パッチ剤である貼付剤。 - 皮膚に与える刺激を低減化する皮膚刺激低減化成分を更に含有する請求項1記載の貼付剤。
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