以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラのブロック図である。
以下、その構成を動作と併せて説明する。
図1に示すように、カメラ本体100には、レンズユニット200が不図示のマウント機構を介し着脱可能に取り付けられる。マウント部には、接点群210を有している。
接点群210は、カメラ本体100とレンズユニット200との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合う。また、それと共に、接点群210は、各種電圧の電流を供給する機能と、レンズユニット200が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も備えている。
これにより、カメラ本体100とレンズユニット200の間で通信を行い、装着されたレンズユニット200内の撮影レンズ201、絞り202の駆動を行うことが可能となる。また、接点群210は、電気通信のみならず、光通信、音声通信等を伝達する構成としても良い。
尚、本実施の形態では便宜上1枚の撮影レンズを示しているが、実際は、更に多数のレンズから構成されていることは周知の通りである。また、接点群210とシステムコントローラ120とでレンズ検出手段を構成している。
図示されない被写体像からの撮影光束が、撮影レンズ201及び絞り202を介して、図示する矢印方向に駆動可能なクイックリターンミラー102に導かれる。クイックリターンミラー102の中央部はハーフミラーになっており、クイックリターンミラー102がダウンした際に一部の光束が透過する。そして、この透過した光束は、クイックリターンミラー102に設置されたサブミラー103で下方に向けて反射される。
位相差方式のAFセンサユニット104は、不図示の結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、及び、複数のCCDからなるラインセンサ等から構成されている。そして、システムコントローラ120からの制御信号により、焦点検出回路105は、AFセンサユニット104を制御して、周知の位相差検出方式により焦点検出を行う。
尚、AFセンサユニット104と焦点検出回路105とから焦点検出手段を構成している。
一方、クイックリターンミラー102で反射された撮影光束は、ペンタプリズム101、接眼レンズ106を介して撮影者の目に至る。
また、クイックリターンミラー102がアップした際には、撮影レンズ201からの光束は、機械シャッタであるフォーカルプレーンシャッタ108、フィルタ109を介して撮像手段である撮像素子としてのCMOS等に代表されるイメージセンサ112に至る。
フィルタ109は2つの機能を有している。1つは赤外線をカットし可視光線のみをイメージセンサ112へ導く機能であり、もう1つは光学ローパスフィルタとしての機能である。
また、フォーカルプレーンシャッタ108は、先幕及び後幕を有しており、撮影レンズ201からの光束の透過、遮断を制御する。
尚、クイックリターンミラー102のアップ時には、サブミラー103は折り畳まれるようになっている。
また、本実施の形態のカメラ本体100は、デジタルカメラ全体の制御を司るCPUにより構成されるシステムコントローラ120を備え、後述する各部の動作を適宜制御する。尚、システムコントローラ120は周辺光量落ち補正手段(補正手段)に相当する。
システムコントローラ120には、撮影レンズ201を光軸方向に移動してピント合わせを行うためのレンズ駆動機構203を制御するレンズ制御回路204と、絞り202を駆動するための絞り駆動機構205を制御する絞り制御回路206とが接続されている。
また、システムコントローラ120には、クイックリターンミラー102のアップ・ダウンの駆動及びフォーカルプレーンシャッタ108のシャッタチャージを制御するシャッタチャージ・ミラー駆動機構110が接続されている。
また、システムコントローラ120には、フォーカルプレーンシャッタ108の先幕、後幕の走行を制御するためのシャッタ制御回路111が接続されている。また、システムコントローラ120には、接眼レンズ106の近傍に配設された不図示の測光センサに接続された自動露出装置である測光回路107が接続されている。
また、システムコントローラ120には、記憶手段であるEEPROM122が接続されている。EEPROM122には、カメラ本体100を制御する上で調整が必要なパラメータやデジタルカメラの個体識別が可能なカメラID情報や基準レンズで調整されたAF補正データや自動露出補正値等が記憶されている。
レンズ制御回路204は、レンズ固有の情報、例えば、焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り振られるレンズIDという情報とシステムコントローラ120から受け取った情報を記憶するレンズ記憶装置も有している。
測光回路107に接続される測光センサは、被写体の輝度を測定するためのセンサであり、その出力は測光回路107を経てシステムコントローラ120へ供給される。
また、システムコントローラ120は、レンズ駆動機構203を制御することにより、合焦状態を調整した被写体像をイメージセンサ112上に結像させる。また、システムコントローラ120は、設定されたAv値に基づいて、絞り202を駆動する絞り駆動機構205を制御し、更に、設定されたTv値に基づいて、シャッタ制御回路111へ制御信号を出力する。
フォーカルプレーンシャッタ108の先幕、後幕は、駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。シャッタチャージ・ミラー駆動機構110は、このバネチャージを制御するようになっている。また、シャッタチャージ・ミラー駆動機構110によりクリックリターンミラー102のアップ・ダウンが行われる。
また、上記システムコントローラ120には、画像データコントローラ115が接続されている。この画像データコントローラ115は、DSP(デジタル信号プロセッサ)により構成され、イメージセンサ112の制御、イメージセンサ112から入力された画像データの補正や加工等をシステムコントローラ120の指令に基づいて実行するものである。
画像データの補正・加工の項目の中にはオートホワイトバランスも含まれている。オートホワイトバランスとは、環境光や照明によって被写体に与えられる色の影響を補償するための機能である。例えば、撮影画像中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する方法が考えられる。オートホワイトバランスは、システムコントローラ120からの命令により補正量を変更することが可能である。
更に、システムコントローラ120と画像データコントローラ115とから、第2の測光手段を構成している。第2の測光手段は、画像データコントローラ115によって、画像信号を領域分割し、それぞれの領域でベイヤ画素毎に積分した値をシステムコントローラ120に供給し、システムコントローラ120で積分信号を評価することで測光を行う。
更に、システムコントローラ120と画像データコントローラ115とDRAM121とから周辺光量落ち補正量算出手段(算出手段)を構成している。周辺光量落ち補正量算出手段の動作に関しては後述する。
画像データコントローラ115には、イメージセンサ112を駆動する際に必要なパルス信号を出力するタイミングパルス発生回路114が接続されている。また、画像データコントローラ115には、タイミングパルス発生回路114で発生されたタイミングパルスを受けて、イメージセンサ112から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ113が接続されている。
また、画像データコントローラ115には、得られた画像データ(デジタルデータ)を一時的に記憶しておくDRAM121、D/Aコンバータ116、画像圧縮回路119、及びコントラスト検出回路140が接続されている。
DRAM121は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するために使用される。更に、画像圧縮回路119には、記録手段である記録媒体401が接続される。
画像圧縮回路119は、DRAM121に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG)を行うための回路である。変換された画像データは、記録媒体401へ格納される。この記録媒体としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク(登録商標)等が使用される。
尚、画像データコントローラ115と画像圧縮回路119と記録媒体401とから記録手段を構成している。
また、D/Aコンバータ116には、エンコーダ回路117を介して画像表示回路118が接続される。画像表示回路118は、イメージセンサ112で撮像された画像データを表示するための回路であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。
画像データコントローラ115は、DRAM121上の画像データを、D/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換してエンコーダ回路117へ出力する。エンコーダ回路117は、このD/Aコンバータ116の出力を、画像表示回路118を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。
尚、D/Aコンバータ116と画像表示回路118とエンコーダ回路117とから画像表示手段を構成している。
また、コントラスト検出回路140は、システムコントローラ120の指令に基づいて動作する。即ち、コントラスト検出回路140は、画像データコントローラ115によって補正された画像データに対し、所定の周波数特性を持つフィルタを通し、所定のガンマ処理を行って得られる画像信号の所定方向のコントラストの評価を行う。そして、その結果はシステムコントローラ120に供給される。
システムコントローラ120は、レンズ制御回路204と通信を行い、焦点位置を調節し、コントラスト評価値が所定レベル以上であって、かつ、最も高くなるように焦点位置を調節する。尚、画像データコントローラ115とコントラスト検出回路140とシステムコントローラ120とレンズ制御回路204とレンズ駆動機構203と撮影レンズ201から第2の自動焦点検出手段を構成している。
また、システムコントローラ120には、デジタルカメラの動作モードの情報や露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)等を外部液晶表示装置124や内部液晶表示装置125に表示させる動作表示回路123が接続されている。
また、システムコントローラ120には、通信インターフェース回路126が接続されており、システムコントローラ120は、通信インターフェース回路126を介して、外部のパソコンやデイスプレイと接続される。
また、システムコントローラ120には、ユーザが所望の動作をデジタルカメラに実行させるべくモードを設定する撮影モード選択ボタン130と、メイン電子ダイヤル131と、決定SW(スイッチ)132とが接続されている。
また、システムコントローラ120には、AFセンサユニット104が持つ複数の焦点検出位置から使用する焦点検出位置を選択するための測距点選択ボタン133(測距点選択手段に相当する)と、AFモード選択ボタン134とが接続されている。
また、システムコントローラ120には、測光モード選択ボタン135と、測光・測距等の撮影準備動作を開始させるためのレリーズSW1(136)(測光開始手段)とが接続されている。
更に、システムコントローラ120には、撮像動作を開始させるためのレリーズSW2(137)と、ファインダーモード選択SW138と、周辺光量落ち補正キャリブレーション選択SW139とが接続されている。
尚、外部液晶表示装置124と内部液晶表示装置125とが動作表示手段に相当し、外部液晶表示装置124は外部表示手段、内部液晶表示装置125は内部表示手段にそれぞれ相当する。更に、動作表示回路123とシステムコントローラ120とから表示制御手段を構成している。
また、ファインダーモード選択SW138は、ファインダーモード選択手段に相当する。ファインダーモード選択手段は、接眼レンズ106を通過する光束を確認することが可能な光学ファインダーモードと、イメージセンサ112で受光した象信号を、逐次、画像表示回路118によって表示を行うライブビュー表示モードとを切り替える。
また、周辺光量落ち補正キャリブレーション選択SW139は、周辺光量落ちの補正量を生成し、カメラ内に記憶させるキャリブレーションモードの切り替え手段に相当する。
更に、カメラ本体100には、ストロボ装置300が不図示のマウント機構を介し着脱可能に取り付けられる。マウント部には、接点群310を有している。
接点群310は、カメラ本体100とストロボ装置300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、ストロボ装置300が接続されるとシステムコントローラ120へ信号を送信する機能も備えている。
これにより、カメラ本体100とストロボ装置300の間で通信を行い、ストロボの発光制御を行うことが可能となる。また、接点群310は電気通信のみならず、光通信、音声通信等を伝達する構成としても良い。
図2は、図1のデジタルカメラによって実行される第1の実施の形態に係る撮像(撮影)処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、図1におけるシステムコントローラ120の制御の下に実行される。
図2において、ステップS201では、電池交換等の電源投入により、システムコントローラ120は、フラグや制御変数等の初期化を行い、制御パラメータや設定値を不揮発性メモリであるEEPROM122に記録(記憶)する。
ステップS202では、システムコントローラ120は、接点群210を介し、レンズユニット200と通信を行い、レンズ情報を取得してステップS203に移行する。尚、レンズ情報には、レンズの種類を判別することが可能なレンズID、絞りの開放F値、最小絞り値、焦点距離、及び、射出瞳位置情報等が含まれる。また、レンズによっては、開放絞り時の周辺光量落ち補正量であるレンズビネッティング情報を含む場合もある。
ステップS203では、周辺光量落ち補正キャリブレーション選択SW139の状態を確認し、OFF状態であれば、ステップS205の通常撮影モードに移行し、処理を終了する。通常撮影モードについては後述する。また、ON状態であれば、ステップS204の周辺光量落ち補正キャリブレーションモードに移行する。
図3は、図2のステッS204で実行される周辺光量落ち補正キャリブレーションの処理の手順を示すフローチャートである。
図3において、ステップS301では、システムコントローラ120の指令により、外部液晶表示装置124は、キャリブレーションモードであることと、カメラを所定輝度レベルの均一面の被写体に向けて設置することが分かるメッセージを表示する。そして環境設定待ちとする。
ステップS302では、ステップS301における環境設定が終了したかどうかの確認画面を表示し、決定SW132によって、環境設定が終了したと通知された場合ステップS303に移行し、まだ、終了していない場合はステップS301に戻る。
ステップS303では、システムコントローラ120は、接点群210を介し、レンズユニット200と通信を行い、レンズ情報を取得してステップS304に移行する。尚、レンズ情報には、レンズの種類を判別することが可能なレンズID、絞りの開放F値、最小絞り値、焦点距離、及び、射出瞳位置情報等が含まれる。また、レンズによっては、開放絞り時の周辺光量落ち補正量であるレンズビネッティング情報を含む場合もある。
ステップS304では、システムコントローラ120は、測光回路107の出力に基づいて測光値を算出し、適正輝度レベルの露光条件になるように、絞り、シャッタスピード、センサゲイン等を設定する。
このとき、ステップS303で、開放絞り時の周辺光量落ち補正量が取得できた場合は、システムコントローラ120は、絞り制御回路206を介して絞り駆動機構205を制御し、絞り202を開放させる。周辺光量落ち補正量が取得できなかった場合は、絞り駆動機構205は、絞り202を最大まで絞り込んで、周辺光量落ちが小さくなる条件に設定する。また、射出瞳位置についても、最も周辺光量落ちによる影響が少なくなるように設定を行う。
ステップS305では、ステップS304で設定した露光条件で静止画撮影を行い、画像データコントローラ115によって画像補正を行った後、画像信号をDRAM121に記憶する。
ステップS306では、設定されている射出瞳位置が最大か否かの判定を行い、最大位置でない場合はステップS307に移行する。最大位置の場合はステップS315に移行する。
ステップS307では、システムコントローラ120は、絞り制御回路206、絞り駆動機構205を介して絞り202を最大まで絞り込むように制御する。
ステップS308では、絞り202の状態が開放絞りであるか否かの判定を行い、開放絞りで合った場合ステップS314に移行する。また、開放絞りでない場合はステップS309に移行する。
ステップS309では、静止画撮影を行い、画像データコントローラ115によって画像補正を行った後、画像信号をDRAM121に記憶する。
ステップS310では、ステップS309で記憶した画像信号の輝度レベルや各像高位置の輝度が所定レベル範囲内に収まっているか否かの判定を行う。この判定は、ステップS309で撮影した画像信号がキャリブレーションを行う画像信号として、相応しいか否かの信頼性判定を行うもので(判定手段)、手法に関しては特に限定しない。
信頼性があると判定した場合はステップS311に移行し、信頼性なしと判定した場合はステップS316に移行して、キャリブレーションモードを中断し終了する。
ステップS311では、ステップS305で記憶した第1の画像信号とステップS309で記憶した第2の画像信号を用いて周辺光量落ち補正量算出手段により、現在の絞り状態、射出瞳位置状態における周辺光量落ち補正量を求める。第1の画像信号と第2の画像信号は、異なる露光条件で撮影した複数枚の画像信号である。
ここで、周辺光量落ち補正量算出手段による補正量算出方法について、図5から図9を用いて説明する。
周辺光量落ち補正量算出手段では、周辺光量落ちの無い第1の画像信号と周辺光量落ちのある第2の画像信号(図5を参照)で対応する画素または所定領域毎に減光比の逆数を取る(図6を参照)。
そして、得られた結果を所定領域に分割して分割領域内で平均した後、中央領域で正規化を行い(図7を参照)、続いて、各光軸からの像高毎に比較を行い、各像高における影響度が所定レベル内にあるかどうかの判定を行う。影響度が所定レベル内である場合、各所定の像高位置毎の影響度を平均し(図8を参照)、像高位置毎の補正量を求める(図9を参照)。
各像高における比較結果が所定レベル内に収まらない場合は、結果NGとして補正量算出を中止する。
ここで、第1の画像信号と第2の画像信号の差分を取る場合に、対応する画素毎に行わずに所定領域毎に差分を求めても良い。また、領域毎に平均化した後に差分を計算しても構わない。また、補正データ量を減らすために、領域毎に分割し、像高位置毎に補正量を求めているが、補正データのデータ形式に関してはこれに限定されない。
ステップS312では、ステップS311で求めた補正量をレンズID(レンズ識別子)、絞り状態、射出瞳位置とともにメモリ(EEPROM122)に記憶する(記憶手段)。
ステップS313では、絞り制御回路206、絞り駆動機構205を介して絞り202の絞り込み位置を所定量、開放側に駆動し、ステップS308に戻る。
ステップS314では、射出瞳位置を所定量、最大側へ駆動してステップS306に戻る。
ステップS306からステップS314の動作により、絞り条件と射出瞳位置条件を所定量ずつ変更し、異なる組み合わせの条件における周辺光量落ち補正量が求まる。ステップS315では、以上で求めた絞り条件と射出瞳位置条件と補正量、及び、レンズIDを対としてEEPROM122に保存する。
図4は、図2のステップS205で実行される通常撮影モードの処理の手順を示すフローチャートである。
図4において、ステップS401では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、OFF状態であればステップS401へ戻る。また、ON状態であればステップS402に移行する。
ステップS402では、システムコントローラ120は、AFセンサユニット104、及び焦点検出回路105の出力に応じて、レンズ制御回路204と通信を行い、レンズ駆動機構203によって撮影レンズ201を所望の位置へ駆動させ、焦点状態を調節する。
また、システムコントローラ120は、測光モード選択ボタン135の状態と測光回路107の出力に応じて、測光演算を行い、露出制御値(Bv値)を算出し、露出制御値を保持する。
ここで、露出制御値(Bv値)とは、輝度レベルを表す指標であり、Bv= Tv + Av −Sv で表すことができる。尚、Tvとはシャッタ速度(蓄積時間に相当する)、Avは絞り込み量、SvはISO感度等のゲインレベルを表している。
ステップS403では、レリーズSW2(137)の状態を確認し、OFF状態であればステップS404に移行する。また、ON状態であればステップS405に移行し、撮影動作に入る。
ステップS404では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS403へ移行する。また、OFF状態であれば保持している露出制御値を破棄し、ステップS401へ戻る。
ステップS405では、ステップS401で算出した露出制御値(Bv値)及び、撮影モードの状態に応じて、撮影時のTv、Av、ISO値を決定する。尚、撮影モードは、撮影モード選択ボタン130によって選択可能な撮影パラメータであり、Av優先モード、Tv優先モード、自動設定モード、マニュアル設定モード等がある。
システムコントローラ120は、絞り制御回路206と通信を行い、決定したAv値を通知する。絞り制御回路206は、通知されたAv値を基に、所望の絞り状態に絞り202を駆動するために、絞り駆動量に対応するパルスを絞り駆動機構205に送る。絞り駆動機構205は、送られたパルス信号を基にステッピングモータを動作させ、絞り202を所望の位置まで絞り込み、コイルの通電状態を継続して、絞り込み状態を保持する。
ステップS406では、シャッタ制御回路111を通し、ステップS402で決定したTv値で先幕、後幕を走らせ、イメージセンサ112から画像信号を読み出す。読み出された画像信号は、画像データコントローラ115によって画像補正処理が行われ、ステップS407に移行する。
ステップS407では、周辺光量落ち補正手段(システムコントローラ120)によって、ステップS406で画像処理された画像信号に対して補正を行う。
ここで、周辺光量落ち補正手段による補正方法について説明する。
周辺光量落ち補正手段では、レンズID、絞り状態、及び射出瞳位置を基に対応する補正値をメモリ(EEPROM122)から読み出す。続いて、補正値内にある所定の各像高位置での補正量を基に近似式を立てて、イメージセンサ112上の所定領域毎の補正量を求め、補正対象の画像信号に対して所定領域毎に周辺光量落ち補正を行う。
補正された画像は、画像圧縮回路119によってJPEG等への画像変換が行われた後、記録媒体401へ画像が記録される。
ステップS408では、レリーズSW2(137)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS406へ移行する。また、OFF状態であれば保持している露出制御値を保持したままステップS409へ移行する。
ステップS409では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS403へ移行する。また、OFF状態であれば、保持している露出制御値を破棄し、絞り202を開放位置に駆動して、通電を切った後、ステップS401へ戻る。
また、通常撮影モードの処理の各状態において、電源OFFが通知された場合、システムコントローラ120は、即座に処理を中断し、制御パラメータやバッファメモリに蓄積された画像データを書き出して電源OFF状態になる。
本実施の形態の撮像装置は、周辺光量落ち補正データを持たないレンズや開放絞り時の周辺光量落ち補正データのみ持っているレンズに対して、各絞り状態、及び各射出瞳位置状態における高精度な周辺光量落ち補正データを生成する。そして、この周辺光量落ち補正データをレンズIDと対応させてカメラに記憶する。
そのため、レンズの種類の如何に関わらず、周辺光量落ち補正を行うことができる。また、記憶した周辺光量落ち補正データを使用して静止画撮影を行うことが可能になる。
図10は、図1のデジタルカメラによって実行される第2の実施の形態に係る撮像(撮影)処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、図1におけるシステムコントローラ120の制御の下に実行される。
図10において、ステップS1001では、電池交換等の電源投入により、システムコントローラ120は、フラグや制御変数等の初期化を行い、制御パラメータや設定値を不揮発性メモリであるEEPROM122に記録(記憶)する。
ステップS1002では、システムコントローラ120は、接点群210を介し、レンズユニット200と通信を行い、レンズ情報を取得してステップS1003に移行する。尚、レンズ情報には、レンズの種類を判別することが可能なレンズID、絞りの開放F値、最小絞り値、焦点距離、及び、射出瞳位置情報等が含まれる。また、レンズによっては、開放絞り時の周辺光量落ち補正量であるレンズビネッティング情報を含む場合もある。
ステップS1003では、ミラーがアップされ、メカシャッタが開かれ、レンズユニット200を通過した光束がイメージセンサ112へ露光され続ける状態になる。また、システムコントローラ120は、ミラーアップの直前の測光回路107からの出力結果を基にBv値を求める。
尚、Bv値(露出制御値)とは、輝度レベルを表す指標であり、Bv= Tv + Av −Sv で表すことができる。尚、Tvとはシャッタ速度(蓄積時間に相当する)、Avは絞り込み量、SvはISO感度等のゲインレベルを表している。
ステップS1004では、ステップS1002でレンズの周辺光量落ち補正量が取得できているか否か判定する。かつ、ステップS1003で求めたBv値が、絞り202を開放で露光した場合にイメージセンサ112の出力を蓄積時間とゲイン制御の調節によって所定の適正レベルにすることが可能である値か否か判定する。周辺光量落ち補正量が取得できており、Bv値が上記の値である場合はステップS1010へ移行し、そうでない場合はステップS1005に移行する。
ステップS1005では、システムコントローラ120は、レンズ情報を基に、接点群210、絞り制御回路206を通し、絞り202を最大まで絞り込む。また、システムコントローラ120は、ステップS1003で求めたBv値を基に、イメージセンサ112からの出力信号が所定レベルの輝度になるように、蓄積時間やISO感度等のゲインを調節する。
ステップS1006では、システムコントローラ120は、イメージセンサ112からの出力信号をA/Dコンバータ113、画像データコントローラ115によって処理した第1の画像信号をメモリに記憶する。ここで記憶した第1の画像信号は、絞り202を最大まで絞り込んで露光しているため、レンズ周辺光量落ちが極めて少ない画像信号である。
ステップS1007では、ステップS1003で求めたBv値を基に、絞り202を開放優先で駆動して、イメージセンサ112からの出力信号が所定レベルの輝度になるように、蓄積時間やISO感度等のゲインを調節する。
ステップS1008では、イメージセンサ112からの出力信号をA/Dコンバータ113、画像データコントローラ115によって処理した第2の画像信号をメモリに記憶する。ここで得られる第2の画像信号は、開放優先で制御された絞り状態であるため、レンズ周辺光量落ちが大きい画像信号である。
ステップS1009では、第1の画像信号と第2の画像信号を用いて周辺光量落ち補正量算出手段により、第2の画像信号の周辺光量落ちを補正する補正値を求める。周辺光量落ち補正量算出手段による補正量の算出方法は第1の実施の形態と同じ方法であるため、ここでは説明を省略する。
ステップS1010では、ステップS1009で求めた補正量をレンズID、絞り状態、射出瞳位置とともにメモリに記憶して、ステップS1011に移行し、ライブビューモードの動作が開始する。
図11は、図10のステップS1011で実行されるライブビューモードの動作(ライブビュー動作)の手順を示すフローチャートである。
図11において、ステップS1101では、システムコントローラ120は、イメージセンサ112から読み出された画像信号を、A/Dコンバータ113によってデジタル信号に変換した後、画像データコントローラ115で画像処理を行う。
そして、システムコントローラ120は、処理された画像データをD/Aコンバータ116でD/A変換し、エンコーダ回路117でエンコードを行って画像表示回路118を介してカメラの背面等に設置されたLCDモニタに順次表示する。
ステップS1102では、ステップS1101において画像データコントローラ115で処理された画像信号に対して、周辺光量落ち補正手段によって周辺光量落ちの補正を行う。周辺光量落ち補正手段による補正は第1の実施の形態と同じ方法であるため、ここでは省略する。
ステップS1103では、ステップS1102で補正を行った画像信号を第3の画像信号としてメモリに記憶する。
ステップS1104では、ステップS1101において画像データコントローラ115で処理された画像信号を基に、AF(自動焦点検出制御)、及び、AE(自動露出調節制御)を行う。AF、AEについては、公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、ライブビュー動作時の露出制御値(絞り、蓄積時間、ISO感度等)の決定方法に関して簡単に説明する。
周辺光量落ちの影響を軽減させるためには、絞り202をできるだけ絞るよう制御することが好ましい。しかし、同時に動作しているAFの焦点検出精度の低下を防ぐことや液晶パネル等に表示される画像を見てピント確認を行うために、ライブビューは、通常、絞り202を開放優先で制御し、露出の調節は蓄積時間やゲインで行われる。
そのため、露出条件によって、絞り202の状態は変化し、それに伴いレンズ周辺光量落ちの影響も変化する。
一方、同時に動作する測光機能では、変化するレンズ周辺光量落ちの影響を受けずに測光を行い、測光精度の低下を防ぐことが求められる。そのため、各レンズの状態(絞り込み位置、射出瞳位置)における周辺光量落ちの補正を行う必要がある。
ステップS1105では、ステップS1104でのAF、AE結果によってレンズの状態に変化があったかどうかの判定を行う。レンズの状態に変化が無い場合は、周辺光量落ちの特性に変化が無いものとみなし、ステップS1110へ移行する。また、レンズの状態に変化があった場合はステップS1106に移行する。
ステップS1106では、現在のレンズのレンズID、絞り状態、射出瞳位置情報を基に、同じ条件での周辺光量落ち補正量のデータがメモリ上にあるか否かの判定を行う。補正量のデータが存在する場合は、ステップS1110に移行する。また、補正量のデータがメモリ上に存在しない場合は、ステップS1107に移行する。
ステップS1107では、現在のレンズの状態で露光されたイメージセンサ112からの出力信号をA/Dコンバータ113、画像データコントローラ115によって処理した第4の画像信号をメモリに記憶して、ステップS1108に移行する。
ステップS1108では、第3の画像信号と第4の画像信号を用いて周辺光量落ち補正量算出手段により、第4の画像信号の周辺光量落ちを補正する補正値を求める。周辺光量落ち補正量算出手段による補正量の算出方法は第1の実施の形態と同じ方法であるため、ここでは省略する。
ステップS1109では、ステップS1108で求めた補正量をレンズID、絞り状態、射出瞳位置とともにメモリに記憶してステップS1110に移行する。
ステップS1110では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、OFF状態であればステップS1101へ戻る。また、ON状態であれば、図10のステップS1012に移行する。
図11のフローチャートに示すライブビュー動作では、以上の処理を繰り返し行うことで、連続して読み出した画像信号をカメラの背面等に設置された液晶パネル等に表示してライブビューを実現している。
図10に戻り、ステップS1012では、イメージセンサ112からの出力信号をA/Dコンバータ113、画像データコントローラ115によって処理した画像信号の補正を行う。その際、現在のレンズのレンズID、絞り状態、射出瞳位置に対応する周辺光量落ちの補正量をメモリから読み出し、その補正量に基づいて画像信号の補正を行う。
ステップS1013では、ステップS1012で周辺光量落ち補正した画像信号を用いて、AF、及び、AEを行い、露出制御値を保持する。
ステップS1014では、ステップS1013で調節されたレンズ状態、及び、露出状態を固定してライブビューを行う。
ステップS1015では、レリーズSW2(137)の状態を確認し、OFF状態であればステップS1016に移行する。また、ON状態であればステップS1017に移行し、撮影動作に入る。
ステップS1016では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS1014へ移行する。また、OFF状態であれば保持している露出制御値を破棄し、ステップS1011へ戻る。
ステップS1017では、ステップS1013で算出した露出制御値(Bv値)及び、撮影モードの状態に応じて、撮影時のTv、Av、ISO値を決定する。そして、シャッタ制御回路111を通し、決定したTv値で先幕、後幕を走らせ、イメージセンサ112から画像信号を読み出す。
読み出された画像信号は、画像データコントローラ115によって画像補正処理が行われ、画像圧縮回路119によってJPEG等への画像変換が行われた後、記録媒体401へ画像が記録される。
尚、撮影モードは、撮影モード選択ボタン130によって、選択可能な撮影パラメータであり、Av優先モード、Tv優先モード、自動設定モード、マニュアル設定モード等がある。
ステップS1018では、レリーズSW2(137)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS1017へ移行する。また、OFF状態であればステップS1019へ移行する。
ステップS1019では、レリーズSW1(136)の状態を確認し、ON状態が保持されていたら再びステップS1014へ移行する。また、OFF状態であれば保持している露出制御値を破棄し、ステップS1011へ戻る。
本実施の形態で説明した撮像装置によって、レンズ内に開放絞りのみ補正データのみを持っているレンズや、全く補正データを持たないレンズに対して周辺光量落ち補正を行うことが可能になる。
また、補正した画像信号を基に測光を行うことで、周辺光量落ちによる測光精度の低下を防ぐことが可能になる。また、ライブビューをしながらリアルタイムに周辺光量落ちの補正量を求め、補正を行うことが可能である。