JP5019450B2 - 抗菌性・架橋性を有する塩化ビニル樹脂ペースト用組成物及び抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シート - Google Patents

抗菌性・架橋性を有する塩化ビニル樹脂ペースト用組成物及び抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シート Download PDF

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Description

本発明は抗菌性と架橋性を有する塩化ビニル樹脂ペースト用組成物、及び抗菌性と架橋による耐シガレット性、耐薬品性を兼ね備えた塩化ビニル樹脂製シートに関するものである。
塩化ビニル樹脂製シートは、建築物、鉄道車両などの床材、壁装材等に広く用いられているが、従来の塩化ビニル樹脂製シートは、煙草の火による焼け焦げ、ならびに黒灰の粘着による損傷で、煙草の火の踏み消し跡がスポット状に付いたり、あるいは化学薬品が飛散した際に、薬品によってシート表面が変色、艶変化、膨潤、溶解等して、美観を大きく損なうなどの欠点がある。また、これらの場所は不特定多数の人が出入りする場所でもあるため、集団感染を防止するという意味でも抗菌性を有する建材製品を使う事が好ましい。
近年、院内感染や食中毒といった細菌による事例が社会問題化した事をきっかけにして抗菌製品が注目されるようになり、現在では繊維や衣類、キッチン用品、トイレタリー、家電製品、建材等、生活空間の中にあらゆる抗菌製品が利用されている。このことは建材についても同様であり、主に製造・加工時に抗菌剤を添加することにより製品に抗菌性を付与しているのが現状である。
現在、使用されている抗菌・防カビ剤には、従来から殺菌剤として知られた薬剤の中で、樹脂製品の加工時の加熱に耐える事ができ、且つ樹脂製品に練り込んだ状態で持続性を有する安定なものが用いられており、代表的な有機系抗菌・防カビ剤には、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)−ピリジン、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛等がある。
しかしながら、こうした有機系抗菌・防カビ剤には、揮発・溶出により樹脂組成物の加工製品より拡散し即効効果を示すため、その有効期間が比較的短く、そして人体への影響が比較的強いといえる。これら有機系抗菌・防カビ剤の中には催奇性の疑いのあるものや、廃棄物が毒性を有するものがあるなど、その安全性の確保に難点がある。また、有機系抗菌・防カビ剤には樹脂組成物の加工温度において、単品での耐熱性はあるが、樹脂組成物に添加した場合には、その加工温度で分解して樹脂を黄変させたり、成形に悪影響を及ぼす場合もある。さらに、抗菌・防カビ剤自体の潜在的毒性やガス化した場合の毒性、熱分解物生成物の毒性などが考えられ、加工、使用、廃棄の全ての段階において安全であることが望まれるような用途では、特にその安全性の確保に難点があるといえる。加えて、こうした有機系抗菌・防カビ剤は比較的高価である。
他方、無機系の抗菌・防カビ剤としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属を、燐酸ジルコニウム、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、シリカ、アルミナ、シリカゲル等の無機イオン交換体ないし多孔質体の担体に担持した金属置換型の抗菌・防カビ剤がほとんどであり、中でも抗菌・防カビ効果が大きく安全性の高い銀系無機抗菌剤が一般に多く使用されている。こうした無機系の抗菌剤・防カビ剤では、有機系抗菌・防カビ剤のような上記諸問題は生じないものの、有効成分である金属イオンが触媒的に母材樹脂を劣化させたり、銀系無機抗菌剤では、特に光(紫外線)により金属銀に変化し変色し易いなど耐光性に難点があるものもある。また、これらの無機系抗菌剤・防カビ剤に使用されている金属が、人体に対して金属アレルギーを発症させる事も懸念されている。加えて、こうした無機系の抗菌・防カビ剤は、無機イオン交換体や多孔質体に担持させる必要があり、所定の製造工数を要するため比較的高価である。
こうした従来の無機系抗菌・防カビ剤は、有機系抗菌・防カビ剤のような揮発・溶出はほとんど起こさず、加工製品等の樹脂製品の表面に分散したものが細菌・カビ類と接触する事によって初めて効果を生じるため、母材樹脂(或いは樹脂表面に抗菌性塗膜を形成する場合には、該塗膜原料である塗料の樹脂成分)に所定の比率で従来既知の無機系抗菌・防カビ剤を添加混入しても(或いは樹脂表面に抗菌性塗膜を加工しても)、樹脂組成物表面での無機系抗菌・防カビ剤の存在は限られるため十分な抗菌性を発揮する事は難しい。
一方、近年、酸化カルシウムや酸化マグネシウムなどの金属酸化物に抗菌性があることが報告されている(特許文献1)。これらは、天然鉱物や天然廃棄物などを原料としているため比較的安価であり、有機系抗菌・防カビ剤に比べて安全性も高いことが知られている。また、抗菌性を有する樹脂組成物として消石灰と生石灰をプラスチックに添加する方法も提案されている(特許文献2)。
しかしながら、床材、幅木、腰壁、壁装材などの建材は、内装や外装の装飾用として使用されるため、色や柄、耐磨耗性、表面外観などが製品価値を大きく左右する。上記の技術に示された酸化カルシウム、酸化マグネシウム、消石灰や生石灰などを用い、建材を製造した場合、加工時に母材樹脂を着色や劣化させてしまう問題や、表面外観や耐摩耗性の悪化などが起こり、製品価値を低下させてしまう恐れがあった。上記の問題を解決し、抗菌性、安全性、耐シガレット性、耐薬品性などの優れた建材の開発が望まれていた。
特開2001−058188号公報 特開2001−302615号公報
本発明は、耐シガレット性、耐薬品性が優れた抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物、及び該ペースト用組成物を架橋して得られる抗菌性、安全性、耐シガレット性、耐薬品性が優れた塩化ビニル樹脂製シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために講じた本発明の手段は、塩化ビニル樹脂ペースト中に、架橋剤0.5〜3重量%と、ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物0.5〜5重量%とを含有する抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物であって、上記架橋剤がチオカルバメート化合物、チオカルボネート化合物、イミダゾリン化合物、トリアジンチオール化合物又はそれらの塩の少なくとも1つ以上である抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物としたことであり(請求項1)、上記架橋剤がトリアジンチオール化合物又はその塩である抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物としたことであり(請求項2)、上記ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物の平均粒径が1〜10μmである抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物としたことであり(請求項3)、請求項1〜3の何れか一つに記載の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物を、基材表面に塗布して後、該塩化ビニル樹脂ペースト用組成物を加熱架橋させてなる抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シートとしたことである(請求項4)。
本発明によれば、ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物は、抗菌剤として抗菌性に優れる上、安全性も高く、また、架橋剤であるチオカルバメート化合物、チオカルボネート化合物、イミダゾリン化合物、トリアジンチオール化合物又はそれらの塩の架橋促進効果を有している。そのため、架橋剤を少量しか添加しなくても十分な架橋構造が得られ耐シガレット性や耐薬品性を維持することができる。或いは、架橋するための加熱時間を短縮することができるとか、架橋するための加熱温度を下げることができるため、塩化ビニル樹脂の熱劣化も低減でき変色も極めて少なくなる。
以下、本発明の実施態様について詳しく説明する。
本発明の抗菌性・架橋性を有する塩化ビニル樹脂ペースト用組成物は、架橋剤(チオカルバメート化合物、チオカルボネート化合物、イミダゾリン化合物、トリアジンチオール化合物又はそれらの塩)、抗菌剤(ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物)の他に、ペースト用塩化ビニル樹脂、架橋促進剤、可塑剤、安定剤、減粘剤、その他添加剤からなる。
本発明では、上記のように塩化ビニル樹脂ペースト用組成物に架橋剤を含有している。通常、塩化ビニル樹脂は、熱により溶融したり、有機溶剤、酸・アルカリ等の化学薬品によって変色、艶変化、膨潤、溶解等が起こる。これは塩化ビニル樹脂の分子鎖が熱や有機溶剤によってほぐれたり、酸・アルカリ等によって塩化ビニル樹脂の分子鎖そのものが切断・破壊されて、分子構造が崩壊することに起因する。この分子構造の崩壊を防止するため、架橋剤を添加して塩化ビニル樹脂の分子鎖同士を架橋させ、熱や化学薬品に対する耐性を増して、耐シガレット性、耐薬品性を得ることができる。
本発明で使用する架橋剤としては、例えば、ジアルキルジチオカルバメート、ナトリウム(カリウム)ジアルキルジチオカルバメート、トリチオカルバメート、ナトリウム(カリウム)トリチオカルバメート等のチオカルバメート化合物、トリチオカルボネート、ナトリウム(カリウム)トリチオカルボネート等のチオカルボネート化合物、2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン化合物、1,3,5−トリメルカプトトリアジン、1,3,5−トリメルカプトトリアジンのモノナトリウム(カリウム)塩、2−ジアルキルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−ジアルキルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールのモノナトリウム(カリウム)塩等のトリアジンチオール化合物などが挙げられる。
中でも、塩化ビニル樹脂との反応性を考慮するとトリアジンチオール化合物が好ましい。これらの架橋剤は単独でも、2種以上併用して使用することもできる。
架橋剤の添加量は、塩化ビニル樹脂ペースト中に0.5〜3重量%必要で、1〜2.5重量%がより好ましい。架橋剤の添加量を0.5重量%未満にすると十分な架橋密度が得られず、3重量%をこえると架橋反応に伴う塩化ビニル樹脂の主鎖分解を抑えられず塩化ビニル樹脂の熱劣化を防止できなくなる。
本発明で云うドロマイトとは、カルシウムとマグネシウムの複合炭酸塩鉱物(化学組成CaCO・MgCO、もしくはCa・Mg(CO)を指し、一般には複塩を形成しているが、本発明の効果を妨げない限り、複塩を形成していないものでもかまわない。また、ドロマイトは天然に産出されるもの以外に、化学合成によっても製造する事ができ、本発明には天然品、合成品のいずれも使用することができるが、工業的に利用する上では安価なことから天然品が好ましい。
天然のドロマイトは、通常、CaO/MgOで現される複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCOをCaO換算9〜40重量%程度、MgCOをMgO換算で10〜38重量%程度含有しており、本発明にもこのようなドロマイトを利用する事ができる。また、天然のドロマイトは主成分の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム以外に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸鉄(II)を含んでいるが、これら由来の成分は、本発明における効果を損なわない程度の量であれば問題はない。
本発明には上記のドロマイトをか焼又はか焼・消化した化合物を用いる。ドロマイトのか焼は、700℃以上の温度で行われ、好ましくは900〜1300℃の温度範囲である。また、か焼物の消化(水和)は、湿式および乾式のいずれの方法も可能である。
ドロマイトを加熱すると2段階で熱分解が起こることが知られている。すなわち、炭酸マグネシウム部分が700〜800℃で炭酸ガスを放出して熱分解し酸化マグネシウムになり、炭酸カルシウム部分が900〜950℃で炭酸ガスを放出して熱分解し酸化カルシウムとなる。また、消化により酸化マグネシウムや酸化カルシウムが水和され、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウムとなる。しかし、本発明に使用されるドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物としては、ドロマイトに含まれるマグネシウムやカルシウムの炭酸塩を、完全に酸化物や水酸化物に化学変化させたもの以外に、本発明の効果を妨げない限り、か焼後にも未反応の炭酸塩が残存していてもよく、また消化後にも未反応の酸化物が残存していてもかまわない。
本発明で使用するドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物は、機械的な微粒子化手段により、後加工に適した粒系に調整できる。機械的微粒子化手段としては、ジェットミル、ロールミル、ボールミル、ハンマーミル、インパクトミル、ウイレーミル、ポットミル、グラインドミル、ディスクミル、ホモナイザー、ペイントシェイカー、ビーズミルなどの、乾式及び湿式の粉砕方法を用いることができる。さらに、得られた微粒子を篩や風力などの分級装置によって分級することもできる。
本発明で使用するドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物の平均粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。2.5〜3.5μmであることがさらにより好ましい。平均粒径が1μm以上であれば塩化ビニル樹脂ペーストが増粘することなく塗工が容易となり、平均粒径が10μm以下であれば表面外観が悪化することなく抗菌性が発現できる。
ドロマイトのか焼物又はか焼・消化物には抗菌作用の他に、塩化ビニル樹脂ペーストの架橋促進作用があり、抗菌性能と架橋促進作用をバランスよく得るにはドロマイトのか焼物又はドロマイトか焼・消化物は、塩化ビニルペースト中に0.5〜5重量%添加するする必要があり、さらに好ましくは1〜2.5重量%の添加である。添加量が0.5重量%未満では十分な抗菌性能が得られず、添加量が5重量%を超えると塩化ビニル樹脂ペーストの架橋反応が急速になり外観の良いシートが得られない。
さらに、本発明で使用するドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物を表面処理することにより、熱可塑性樹脂との親和性が向上し、再凝集を防止して分散性を増大することができる。
表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、チタン系やシラン系などのカップリング剤、界面活性剤などを挙げることができ、表面処理の方法としては、例えば前記したドロマイトのか焼物又は、ドロマイトのか焼・消化物の粉砕を、ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物と表面処理剤を混合して行うなど、公知の方法を使用することができる。
ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物の替わりに有機系抗菌剤を使用しても抗菌性は発現しない。これは塩化ビニル樹脂シートの架橋構造が有機系抗菌剤の表面への移行を阻害しているためと考えられる。また、抗菌剤としてドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物の替わりに酸化亜鉛系の抗菌剤を使用すると抗菌性は得られるものの架橋が阻害され耐シガレット性や耐薬品性が得られない。この様に架橋と抗菌性を両立することは難しいものであり、この両立は本発明の特徴でもある。
上記ペースト用塩化ビニル樹脂としては、乳化重合品又はマイクロサスペンジョン重合品が挙げられ、平均重合度は700〜6000、好ましくは2000〜6000のものである。さらに、粘度降下または増量を目的に懸濁重合塩化ビニル樹脂を添加してもよい。また、エチレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル系樹脂共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂を1種単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記架橋促進剤としては、有機塩基性化合物、無機塩基性化合物、エーテル系化合物等があり、有機塩基としてグアニジン類、アミン類、チオ尿素類などが挙げられ、無機塩基性化合物として金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、ハイドロタルサイトなどが挙げられ、エーテル系化合物としてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記可塑剤としては、塩化ビニル樹脂に通常用いられているものでよく、代表的なものとしては、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。
上記安定剤としては、塩化ビニル樹脂に通常用いられているものでよく、代表的なものとしては、脂肪酸の金属塩、ヒドロキシ脂肪酸の金属塩、アルキル乳酸の金属塩等の金属石鹸系安定剤、アルキル錫メルカプト、アルキル錫ラウレート、アルキル錫マレート、アルキル錫カルボキシレート等の有機錫系安定剤等が挙げられる。
更に、本発明の塩化ビニルペーストには、発明の目的を逸脱しない限りにおいて、必要に応じてフェノール系、亜リン酸エステル系、チオエーテル系等の酸化防止剤、ハイドロタルサイト等の塩素捕捉剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、有機顔料、無機顔料等の着色剤、脂肪酸エステル等の減粘剤、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の帯電防止剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等の難燃剤、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、カーボンブラック等の充填剤を添加することもできる。
本発明の抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シートは、本発明の塩化ビニルペースト用組成物を基材表面に塗布し、オーブン等を用いて180〜220℃の温度で3〜5分加熱し上記塩化ビニルペースト用組成物を架橋させて得られる。
上記基材については特に制限はないが、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂をカレンダー成形機、押出成形機、射出成形機、圧縮成形機、注形成形機等を用いてシート化したものや、紙、不織布等の合成樹脂以外の材料を用いることができる。ただし、いずれの場合においても、基材が上記加熱架橋時の高温に耐えうる強度を有している必要がある。
本発明を実施例によって、さらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
後述する実施例、比較例で得られる試料について、耐シガレット性、ペースト塗工性、抗菌性を以下の方法及び基準で評価した。
<耐シガレット性>
実施例、比較例で得られた試料の表面に約10mm程度火がついた煙草を3秒間載置後、ただちにガラス板で押し潰し、水を浸み込ませた布で表面の汚れを拭き取った後、試料の表面状態を目視で観察し以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:変色や膨れが全くなく優れた耐シガレット性を有する状態。
○:変色や膨れがほとんどなく耐シガレット性を有する状態。
△:変色(黒焦げではなく、黄変)や膨れが認められるが、耐シガレット性を
有する状態。
×:変色(黒焦げ)や膨れがあり耐シガレット性を有しない状態。
<ペースト塗工性>
実施例、比較例で調製した塩化ビニル樹脂ペーストをバーコーターで塗布しその時の塗工性を以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:問題なく塗工でき、外観もよい。
○:多少の塗布ムラは見られるが実用上問題ない程度である。
×:バーコーターでは塗工が困難か、塗工できても外観が悪い。
<抗菌性>
実施例、比較例で得られる試料について、JIS Z 2801に準拠して、黄色ブドウ球菌と大腸菌に関して、ポリエチレンフィルム密着後、24時間経過した後の生菌数を測定することで抗菌性の評価を行なった。
初期菌数:約100,000cfu/ml
[評価基準]
◎:24時間経過後の生菌数が10cfu/ml未満
(優れた抗菌性を有する範囲)
○:24時間経過後の生菌数が10cfu/ml以上で1,000cfu/ml未
満(抗菌性を有する範囲)
×:24時間経過後の生菌数が1,000cfu/ml以上
(抗菌性を有しない範囲)
<実施例1〜21、比較例1〜19>
表1に示す材料を使用して、表2〜5に示す配合割合からなる塩化ビニル樹脂ペーストを調製し、厚さ1.6mmの塩化ビニル樹脂製シートの表面にバーコーターを用いて、上記塩化ビニル樹脂ペーストを厚さ0.5mmに塗布し、190〜200℃のオーブン中で3〜5分間加熱架橋させ、架橋した表面層を有する塩化ビニル樹脂製シートを得た。その結果を表3〜5に示す。








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<ドロマイト及び、ドロマイトのか焼と消化>
天然ドロマイトをジェットミルで粉砕して分級し平均粒径を3μmに調整したものをドロマイトAとした。
天然ドロマイトを1000℃で焼成し、ジェットミルで粉砕して分級し平均粒径を3μmに調整したものを抗菌剤A−1とした。
天然ドロマイトを1000℃で焼成し、か焼物を得た後、消化し、ドロマイトのか焼・消化物を得た。得られたドロマイトのか焼・消化物をジェットミルで粉砕して分級し平均粒径を0.5(抗菌剤A−2−1)、1.0(抗菌剤A−2−2)、3.0(抗菌剤A−2−3)、9.0(抗菌剤A−2−4)、11.0(抗菌剤A−2−5)μmに調整したものを使用した。












Figure 0005019450
Figure 0005019450





Figure 0005019450
Figure 0005019450
Figure 0005019450
比較例1〜5、8は、抗菌剤を添加しない例であり、当然ながら抗菌性が発現しない。また、比較例12はドロマイトのか焼物やドロマイトのか焼・消化物の替わりにドロマイトを添加したものであるが、ドロマイト自体には抗菌性がないため抗菌性は発現しない。
また、比較例6のように、ドロマイトのか焼・消化物を添加せずに架橋剤Aを1.1重量%まで減らした場合、抗菌性が得られないだけでなく十分な架橋度も得られなかった。すなわち、ドロマイトのか焼・消化物を添加する事により架橋が促進され、架橋剤Aの添加量を減らしても十分な架橋度を得られる事がわかる。
実施例2〜5、比較例6、7は、抗菌剤として、本発明のドロマイトのか焼・消化物(抗菌剤A−2−3)を使用しその添加量を振った例であり、請求項の範囲である抗菌剤A−2−3の添加量(0.5〜5重量%)において、架橋度、抗菌性が共に優れていることが分かる。また、添加量が5重量%をこえると、バーコーターでの塗布が困難となることが分かる。
実施例1は、抗菌剤として、本発明のドロマイトのか焼物(抗菌剤A−1)を使用した例であり、抗菌性を発現しているものの、抗菌剤A−2−3を同じ量添加した実施例3と比較して抗菌性に劣り、粒径が同じ場合、ドロマイトのか焼物よりもドロマイトのか焼・消化物の方がより抗菌性に優れることが分かる。
実施例3、6〜9は抗菌剤の粒径を振った例で、平均粒径が1〜10μmの範囲にあると塗工性、抗菌性が十分であることが分かる。
実施例3、10〜16、比較例9、10は、架橋剤Aの添加量を振った例であり、請求項の範囲である架橋剤の添加量(0.5〜3重量%)においてのみ、目的の架橋度、バーコーターでの加工性が得られることが分かる。
実施例3、17、18は、架橋時間を振った例であり、比較例1〜3の抗菌剤A−2−3を添加しない場合では、耐シガレット性・耐薬品性を有する架橋度に達するまでに5分以上の加熱時間が必要となるのに対し、抗菌剤A−2−3を添加する事により、加熱時間4分で十分な架橋度に達することが分かる。また、加熱時間3分でも架橋が進行していることが分かる。
実施例3、19、20は、架橋温度を振った例であり、比較例1、4〜5の抗菌剤A−2−3を添加しない場合では、耐シガレット性・耐薬品性を有する架橋度に達するには200℃の加熱温度が必要となるのに対し、抗菌剤A−2−3を添加する事により、架橋温度195℃でも、十分な架橋度に達することが分かる。また、架橋温度190℃でも架橋が進行していることが分かる。
実施例3、21、比較例11は、架橋剤を変えた例であり、本発明に係る架橋剤A及び架橋剤Bを添加した場合では十分な架橋度が得られるのに比べ、有機過酸化物系の架橋剤Cでは架橋度は劣ることがわかる。
比較例13、14は、酸化亜鉛系無機抗菌剤(抗菌剤B)を添加した例であり、抗菌性は発現しているが、ほとんど架橋しておらず、抗菌剤Bによって架橋反応が阻害されたと考えられる。
比較例15〜19は、有機系抗菌剤(抗菌剤CおよびD)を添加した例であり、いずれも抗菌性が発現していない。これらの抗菌剤は、いずれもシートの表面上に揮発・溶出する事で抗菌性能を発揮するものであるが、表面層が架橋しているために抗菌剤の揮発・溶出が妨げられているため、抗菌性能を発揮する事ができないと考えられる。
本発明の抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シートは、抗菌性、耐シガレット性、耐薬品性を兼ね備え、架橋効率よく製造できるため、安価に提供することができ、建築材料、車両等の床材や壁装材等の用途に広く使用することができる。

Claims (4)

  1. 塩化ビニル樹脂ペースト中に、架橋剤0.5〜3重量%と、ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物0.5〜5重量%とを含有する抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物であって、上記架橋剤がチオカルバメート化合物、チオカルボネート化合物、イミダゾリン化合物、トリアジンチオール化合物又はそれらの塩の少なくとも1つ以上であることを特徴とする抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物。
  2. 上記架橋剤がトリアジンチオール化合物又はその塩である請求項1に記載の抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物。
  3. 上記ドロマイトのか焼物又はドロマイトのか焼・消化物の平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性・架橋性の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一つに記載の塩化ビニル樹脂ペースト用組成物を、基材表面に塗布して後、該塩化ビニル樹脂ペースト用組成物を加熱架橋させてなる抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シート。
JP2007288811A 2007-11-06 2007-11-06 抗菌性・架橋性を有する塩化ビニル樹脂ペースト用組成物及び抗菌性架橋塩化ビニル樹脂製シート Active JP5019450B2 (ja)

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