JP5017906B2 - プラズマcvd用マイクロ波供給装置及び該マイクロ波供給装置を備えた蒸着膜形成装置 - Google Patents

プラズマcvd用マイクロ波供給装置及び該マイクロ波供給装置を備えた蒸着膜形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波の表面波によるプラズマCVDによって蒸着膜を形成する際に用いるマイクロ波供給装置及び該マイクロ波供給装置を用いた蒸着膜の形成装置に関する。
従来、各種基体の特性を改善するために、その表面にプラズマCVD法による蒸着膜を形成することが行われている。例えば、包装材料の分野では、容器やフィルムなどのプラスチック基材に対して、プラズマCVD法により蒸着膜を形成させて、ガス遮断性を向上させることが公知である。例えば、有機ケイ素化合物等の有機金属化合物と酸素ガスを用い、プラズマCVD法によりプラスチック基材の表面にケイ素酸化物や、炭素、ケイ素及び酸素を構成元素として含む化合物などからなる蒸着膜を形成する方法が知られている。
ところで、プラズマCVDとは、プラズマを利用して薄膜成長を行うものであり、基本的には、減圧下において原料ガスを含むガスを高電界による電気的エネルギーで放電させ、分解して生成する反応種(プラズマ)を気相中或いは基板上での化学反応を経て、基板上に堆積させるプロセスから成る。このようなプラズマ状態を、マイクロ波グロー放電を利用して実現する方法が知られている。
このようなマイクロ波によるプラズマCVDによる蒸着膜の形成方法として、マイクロ波の表面波を利用した表面波プラズマが種々提案されている(特許文献1、2)。
また、特許文献1、2に記載されているような表面波プラズマによる蒸着膜の形成方法では、マイクロ波の表面波供給装置に対面するように基体を配置し、両者の間に反応性ガスを供給することにより、表面波供給装置側に対面する側の基体表面に蒸着膜を形成するというものである。しかしながら、この場合には、マイクロ波の表面波供給装置に反応物が堆積するという問題がある。
マイクロ波の表面波供給装置に反応物が堆積するという問題を解決した蒸着膜の形成方法も提案されており、例えば、表面波供給装置に設けられている誘電体電極に近接乃至密接してマイクロ波透過性の基体を配置し、表面波供給装置とは反対側に位置する基体表面側に反応性ガスを供給しながら、表面波供給装置とは反対側の基体表面に蒸着膜を形成する方法が開示されている(特許文献3)。
特開平10−158847号公報 特開2001−118698号公報 特開昭62−294181号公報
即ち、特許文献3の方法では、マイクロ波の表面波供給装置とマイクロ波透過性の基体との間には反応性ガスが供給されず、該基体の表面波供給装置とは反対側の面に反応性ガスが供給されるため、表面波供給装置への反応物の堆積という問題は有効に回避される。
しかしながら、特許文献3に開示されている方法は、長尺のプラスチックフィルムに連続的に蒸着膜を形成するという点では、未だ、解決すべき問題がある。即ち、この方法では、マイクロ波が基体を透過することが必要であるため、マイクロ波透過性の基体と表面波供給装置とを密接させるか、或いは両者の間隔を微小な範囲に設定しなければならない。このため、マイクロ波透過性の基体として長尺のプラスチックフィルムを用い、これを連続的に移動させながら蒸着膜を形成するときに問題を生じる。例えば、この長尺フィルムをマイクロ波供給装置と密接して移動させると、長尺フィルムの磨耗を生じ、またマイクロ波供給装置との間に微小な間隔を保持して長尺フィルムを移動させると、該フィルムの揺れ等により、両者の間隔を均一に保持することができず、蒸着膜の厚みにバラツキなどを生じてしまうこととなる。
従って、本発明の目的は、マイクロ波の表面波によるプラズマCVDによって蒸着膜を形成するために使用され、特に磨耗などの不都合が有効に抑制され、長尺フィルムの表面に連続して均一な厚みの蒸着膜を形成することが可能なマイクロ波供給装置及び該供給装置を備えた蒸着膜形成装置を提供することにある。
本発明によれば、外面に少なくとも曲率面を有する中空支持体と、該中空支持体に支持されたマイクロ波による表面波発生装置とから成り、
前記表面波発生装置は、マイクロ波供給源に連なり且つ前記中空支持体の内部を延びている導波管と、該導波管のシールド壁に組み込まれたスロットアンテナと、該スロットアンテナを覆うように設けられた誘電体電極板とから構成され、該誘電体電極板を、その外面が露出するように前記中空支持体の壁に固定することにより、該表面波発生装置が該中空支持体に支持されているとともに、
前記誘電体電極板の外面は、前記中空支持体の外面と滑らかに連なる曲率面となっていることを特徴とするプラズマCVD用マイクロ波供給装置が提供される。
本発明の蒸着膜の形成方法においては、
(1)前記中空支持体がローラ形状を有するものであり、前記誘電体電極板の外面は、前記ローラ形状の中空支持体の外面と実質上、同心円状に形成されていること、
(2)前記中空支持体の曲率面には、複数の前記表面波発生装置の複数が、周方向に沿って支持されていること、
が好ましい。
本発明によれば、また、真空状態に保持されるハウジング内に、原反ローラと巻き取りローラと前記プラズマCVD用マイクロ波供給装置が配置されており、
前記プラズマCVD用マイクロ波供給装置の誘電体電極板外面と小間隔を置いて対面するようにガス供給管が延びており、
前記原反ローラに巻かれた長尺プラスチックフィルムを、前記プラズマCVD用マイクロ波供給装置の中空支持体の曲率面に沿って且つ該中空支持体と前記ガス供給管との間を通して、前記巻き取りローラで巻き取りながら、マイクロ波の表面波の供給とガス供給管からの反応性ガスの供給とによるプラズマ反応を行うことにより、長尺プラスチックフィルムの前記誘電体電極外面とは対面しない側の表面に蒸着膜が連続的に形成されることを特徴とする蒸着膜形成装置が提供される。
本発明の蒸着膜形成装置においては、
(3)前記ハウジング内には、フィルム表面処理装置が配置されており、該フィルム表面処理装置による表面処理が行われた後に、前記長尺フィルムが前記中空支持体とガス供給管との間を通って蒸着膜の形成が行われること、
が好適である。
本発明のマイクロ波供給装置によれば、マイクロ波による表面波発生装置が中空支持体に保持され、特にマイクロ波の表面波が放出される誘電体電極板が、該支持体の曲率面と滑らかに連なる曲率面となっているため、この中空支持体の外面に沿って長尺プラスチックフィルムを連続的に移動させながら、マイクロ波を表面波の形で該フィルムの逆面(表面波発生装置に対面していない側の面)に供給し、プラズマ反応によってこの逆面に蒸着膜を形成することができる。即ち、誘電体電極板の外面が上記のような曲率面となっているため、この誘電体電極板の外面との接触による該フィルムの磨耗を有効に抑制することができ、また、該フィルムが誘電体電極板の外面に密接しながら移動するため、両者の間隔にばらつきを生じることがなく、均一な厚みの蒸着膜を連続的に形成することができる。
また、本発明の蒸着膜の形成装置においては、原反ローラと巻き取りローラとの間に前記マイクロ波供給装置が設けられ、該供給装置の中空支持体の曲率面を通って、原反ローラから巻き取りローラに長尺プラスチックフィルムが巻かれているため、原反ローラから巻き取りローラによって長尺フィルムを巻き取る間に連続して長尺プラスチックフィルムの面(中空支持体の曲率面に対面していない側の面)に蒸着膜を連続して形成することができる。
また、本発明においては、前記中空支持体の曲率面に複数の表面波発生装置を保持せしめることにより、厚みのある蒸着膜を短時間で形成でき、生産速度を増大することができ、また各表面波発生装置でのマイクロ波出力を変えることにより、元素組成の異なる層が積層された構造の蒸着膜を形成することも可能となる。
本発明のマイクロ波供給装置は、マイクロ波の表面波を供給し、この表面波によるプラズマ反応により長尺フィルムの表面に蒸着膜を形成するためのものであるが、この原理を図1により説明する。
図1において、チャンバ1は所定の真空度に保持されるようになっているとともに、このチャンバ1の側壁には、ガス供給源3に連なるガス供給管5が接続されており、チャンバ1内に所定の反応性ガスが供給されるようになっている。また、チャンバ1の上壁には、全体として10で示す表面波発生装置が取り付けられており、この表面波発生装置10に密接して蒸着膜を形成すべき長尺プラスチックフィルム13が位置している。
表面波発生装置10は、マイクロ波供給源10aに接続された導波管10bを備えており、この導波管10bには、その側面のシールド壁にスロットアンテナ10cが形成されており、このスロットアンテナ10cを覆うようにして誘電体電極板10dが設けられている。即ち、図1から明らかな通り、スロットアンテナ10c上の誘電体電極板10dに密接するように、長尺プラスチックフィルム13が移動するようになっている。
尚、スロットアンテナ10cは、アルミニウム等の金属からなり、伝送されるマイクロ波の半波長(1/2λ)に相当する間隔で複数のスロット15が配列されたものである。また、誘電体電極板10dは、誘電損失が低く、耐熱性に優れた材料、例えば石英ガラス、アルミナ、窒化ケイ素などから形成され、その厚みは、一般に10乃至50mm程度の範囲にある。
上記のような表面波発生装置10を用いての蒸着膜の形成は、以下のようにして行われる。
即ち、チャンバ1内を、マイクロ波の導入によりグロー放電が発生する程度の真空度(例えば1〜500Pa、好ましくは5〜50Pa程度)に減圧し、この状態でマイクロ波発生装置10によりマイクロ波を供給し、且つチャンバ1内にガス供給管5から有機金属化合物を含む反応性ガスを供給することにより、移動する長尺プラスチックフィルム13の表面(誘電体電極板10dに対面していない側の面)13aに蒸着膜が形成される。
即ち、マイクロ波供給源10aから導波管10bに伝送されたマイクロ波は、スロットアンテナ10cのスロット15から誘電体電極板10d内に漏洩し、誘電体電極板10dの壁面に沿って拡散し、表面波を形成する。この表面波は、誘電体電極板10dからマイクロ波透過性の長尺プラスチックフィルム13を通ってチャンバ1内に放出され、グロー放電を生じ、これにより反応性ガス中の有機金属化合物等が分解し、プラズマ状態の反応種が発生し、反応物が長尺プラスチックフィルム13の表面13aに膜状に堆積していき、蒸着膜が形成される。
既に述べたように、このようなマイクロ波の表面波によるプラズマ反応では、大面積で高密度のプラズマを均一に生成することができるため、長尺プラスチックフィルム13の表面13aに蒸着膜を形成するのに適している。また、蒸着膜が形成されるフィルム13の表面13aは誘電体電極板10dに対面していない側に位置しているため、反応物が表面波発生装置10(誘電体電極板10d)に堆積するという不都合は有効に回避される。また、このようにフィルム13の誘電体電極板10dに対面していない側の表面13aに蒸着膜を形成する場合には、プラズマの励起点がフィルム13の表面13aに近接するため、成膜速度が速く、ガスバリア性に優れた層を形成することが出来るという利点もある。
本発明のマイクロ波供給装置は、上記の原理に基づくものであり、図2には、かかる本発明のマイクロ波供給装置を備えた蒸着膜形成装置の構造を示した。
尚、図2においては、図1と同様の部材は、図1と同じ印照数字で示されている。
図2の蒸着膜形成装置において、この装置は、全体として30で示されるハウジングを有しており、このハウジング30内には、全体としてAで示す本発明のマイクロ波供給装置が配置されており、前述した原理にしたがって長尺プラスチックフィルム13(以下、単にフィルムと呼ぶことがある)に蒸着膜を形成するものである。
このマイクロ波供給装置Aは、回転不能に設けられている中空支持体ローラ20を有しており、このローラ20に前述した原理に基づいてマイクロ波の表面波を発生する表面波発生装置10が、複数(図2では3個)支持されている。即ち、各表面波発生装置Aは、マイクロ波供給源(図2において省略)に連なる導波管10bが中空支持体ローラ20の内部を延びており、導波管10bのシールド壁に取り付けられているスロットアンテナ10c(図2においてスロット15は省略)を覆うように設けられる誘電体電極板10dが中空支持体ローラ20のローラ壁に固定されている。
本発明のマイクロ波供給装置Aにおいては、図2から理解されるように、中空支持体ローラ20のローラ壁に固定されている誘電体電極板10dの外面が滑らかに連なる曲率面、特に好ましくは、該ローラ壁と同心円状の面となっている。従って、このような誘電体電極板10dの外面に密接させながらフィルム13を移動させても、フィルム13の摩耗を有効に回避することができるのである。尚、このようなフィルム13の摩耗を回避するという点で、誘電体電極板10dの外面は鏡面であることが好適である。
また、中空支持体ローラ20の材質は、特に制限されるものではないが、マイクロ波のシールド性という点では金属製であることが好ましく、少なくとも誘電体電極板10d以外のフィルム13と接する中空支持体ローラ20の周面部分は、クロムメッキ等の鏡面であることが好適である。
上記のようなマイクロ波供給装置Aが有する中空支持体ローラ20を2分するように、ハウジング30は、仕切り壁31,31によって基材搬送室33とプラズマ処理室35とに区画されており、表面波発生装置10(誘電体電極板10d)はプラズマ処理室35側に位置している。
また、基材搬送室33には、原反ローラ51と巻き取りローラ53とが収容されており、さらに、これらローラ51、53の間に複数の中間ローラ55が配置されている。さらに、基材搬送室33のハウジング壁には、排気口30aおよび30bが形成されており、真空ポンプによる排気によって、基材搬送室33及びプラズマ処理室35内がそれぞれ所定の真空度に減圧されるようになっている。
図2から明らかなように、原反ローラ51には、長尺プラスチックフィルム13が巻かれており、このフィルム13は、複数の中間ローラ55、及び中空支持体ローラ20及び複数の中間ローラ55を介して、原反ローラ51から巻き取りローラ53に弛み無く巻き取られるようになっている。
また、プラズマ処理室35には、中空支持体ローラ20に取り付けられているプラズマ発生装置10の誘電体電極板10dのそれぞれと対面するように、一対のガス供給管60,60が延びている。このガス供給管60は、多数の孔が穿孔された金属パイプ或いは多孔質パイプからなっており、プラズマCVDに必要な反応性ガスが供給されるようになっている。
即ち、プラズマ処理室35内を所定の真空度に減圧し、ガス供給管60により所定の反応性ガスを供給し、且つ各表面波発生装置10からマイクロ波の表面波を供給しながら、フィルム13を原反ローラ51から中空支持体ローラ20を介して巻き取りローラ53に巻き取ることにより、フィルム13の表面(中空支持体ローラ20に対面しない側の表面)13aに蒸着膜が連続して形成されるのである。即ち、プラズマ処理室35内で、各表面波発生装置10の誘電体電極板10d上をフィルム13が通過する際に、前述した原理に従って、その表面13aに順次蒸着膜が堆積されていくのである。
尚、上述した蒸着膜形成装置において、各表面波発生装置10の誘電体電極板10dに対面するように、脱気管(図示せず)を配置することが好ましい。即ち、ガス供給管60,60から供給される反応性ガスを脱気管から排気することにより、常に一定濃度の反応性ガスを誘電体電極板10dに対面する領域(フィルム13の表面13aの近傍領域)に滞留させ、一定の組成の蒸着膜を堆積させることができる。
また、前述した基材搬送室33内には、原反ローラ51と中空支持体ローラ20との間となる位置にフィルム表面処理装置61を設けておくことが好ましい。即ち、長尺フィルム13が中空支持体ローラ20上に移行し、各表面波発生装置10により供給されるマイクロ波の表面波によっての蒸着膜の形成が行われる前の段階で、長尺フィルム13の処理面をフィルム表面処理装置61によって表面処理しておくことにより、形成される蒸着膜と長尺フィルム13の表面との密着性を向上させることができる。
尚、フィルム表面処理装置61は、一般に、コロナ処理や、アルゴン、酸素等を用いたプラズマ処理などを行うものである。
本発明において、上記の蒸着膜を形成すべき長尺プラスチックフィルム13としては、それ自体公知の樹脂フィルムを使用することができ、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体など、そしてエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等や、ポリ乳酸など生分解性樹脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であってもよい。また、ポリイミドやエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。
また、フィルム13は、オレフィン系樹脂等を内外層とし、これらの内外層の間に酸素吸収性層を有するガスバリア性の多層構造を有するものであってもよく、このような多層構造の長尺フィルムの表面に蒸着膜を形成することにより、酸素バリヤー性を著しく向上させることができる。
本発明において使用される反応性ガスは、有機金属化合物を含むものであり、一般には、有機金属化合物のガスと酸化性ガスを反応性ガスとして使用されるが、必要により、これらとともに、炭素源となる炭化水素も併用することができる。
有機金属化合物としては、有機ケイ素化合物が好適に使用されるが、酸化性ガスと反応して金属酸化物を形成するものであれば、有機ケイ素化合物に限定されるものではなく、例えばトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、その他、有機チタン化合物など、種々のものを使用することができる。有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメチルシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シロキサン化合物等が使用される。また、これらの材料以外にも、アミノシラン、シラザンなどを用いることもできる。これらの有機金属化合物は、単独でも或いは2種以上の組合せでも用いることができる。また、上述した有機ケイ素化合物とともに、シラン(SiH)や四塩化ケイ素を併用することもできる。
酸化性ガスとしては、酸素やNOが使用され、キャリアーガスとしては、アルゴンやヘリウムなどが使用される。
また炭素源としては有機ケイ素化合物、有機金属化合物のほかCH,C,C,C等の炭化水素を使用しても良い。
上述した蒸着膜形成装置に使用されている本発明のマイクロ波供給装置Aにおいて、中空支持体ローラ20には、複数(図2において3個)の表面波発生装置10が組み込まれているが、勿論、この表面波発生装置10の数は1個でもよい。但し、長尺フィルム13の巻き取り速度を速くして一定の厚みの蒸着膜を迅速に成膜するためには、この表面波発生装置の数は複数個、特に3個以上とすることが好ましい。また、複数の表面波発生装置10を中空支持体ローラ20に組み込んだ場合には、各表面波発生装置10において異なるプラズマ反応条件を採用することができ、これにより、特性の異なる膜が層状に積層された蒸着膜を連続的に長尺フィルム13の表面13a上に形成することができ、これは本発明の大きな利点である。
例えば、各表面波発生装置10毎に異なる有機金属化合物を用いることにより、異なる種類の金属酸化物を主体とする層が積層された蒸着膜を形成することができる。
また、一般に、有機度の高い蒸着膜はプラスチックに対する密着性が高く、また撥水性も高いことが知られており、金属酸化物成分量の多い(無機性が高い)蒸着膜は、プラスチックに対する密着性は低いが、ガスバリア性が高いことが知られている。従って、これを利用して、長尺フィルム13の表面13a側に有機性の高い層を形成し、中間の層では無機性の高い層を形成し、外面には、再び有機性の高い層を形成することにより、長尺フィルム13に対する密着性が優れ、且つガスバリア性に優れているとともに、撥水性も良好な蒸着膜を形成することができ、このような蒸着膜が形成されたフィルムは、各種飲料などが充填された包装袋としての用途に最適である。
上記のような層構造の蒸着膜は、例えば、反応性ガスの組成を各表面波発生装置10毎で調整することにより、容易に形成することができる。即ち、有機金属化合物に比して、酸化性ガスの供給量が少ない場合には、有機金属化合物の酸化分解のレベルが低く、重合物が形成され、この結果、カーボン量の多い有機性に富んだ層となり、プラスチックに対する密着性が高く、且つ撥水性の高い層となる。また、有機金属化合物に比して、酸化性ガスの供給量を多くすることにより、有機金属化合物の酸化分解が高いレベルにまで進行するため、ほぼ完全な金属酸化物が形成される。この結果、カーボン量の少ない無機性に富んだガスバリア性の高い層となる。従って、図2に示すように3つの表面波発生装置10が配置されている場合には、長尺フィルム13の流れ方向上流側及び下流側に配置されている表面波発生装置10のそれぞれにおいて、有機金属化合物のガスのみを供給するか、或いは有機金属化合物とともに供給する酸素などの酸化性ガスの供給量を少なくすることにより、長尺フィルム13の表面13a側に密着性の高い層を形成し、さらに外表面には撥水性の高い層が形成される。一方、中間の表面波発生装置10では、有機金属化合物に比して、酸化性ガスの供給量を多くすることにより、上記の層の中間には、カーボン量が少なく、無機性の高いガスバリア性に優れた層を形成することができる。
尚、上記のように、反応性ガスの種類や組成を、各表面波発生装置10毎で変える場合には、各表面波発生装置10に供給される反応性ガスが混ざり合わないように、隣り合う表面波発生装置10の間に、長尺フィルム13の移動を阻害しないような仕切り壁を設け、且つ各表面波発生装置10が設けられている領域毎に、前述した脱気管を配置しておくことが望ましい。
また、前述した蒸着膜の積層構造は、反応性ガスの組成調整による方法以外にも、マイクロ波の出力を調整することによっても形成することができる。即ち、マイクロ波出力を低出力とすると、カーボン量の多いプラスチックに対する密着性が高く、また撥水性にも優れた層が形成され、マイクロ波出力を高出力とすると、カーボン量の少ない無機性に富んだガスバリア性の高い層を形成することができる。
この出力変化による方法は、以下の原理に基づくものである。
例えば、有機ケイ素酸化物を例にとって説明すると、有機ケイ素化合物と酸化性ガスにより、次の反応経路を経てケイ素酸化膜が形成するものと考えられる。
(a)水素の引き抜き:SiCH→SiCH
(b)酸化:SiCH→SiOH
(c)脱水縮合:SiOH→SiO
即ち、高出力、例えば100W以上の出力でマイクロ波によるグロー放電を実行すると、有機ケイ素化合物が(c)の段階まで一挙に反応し、この結果、酸化分解レベルが高く、カーボン量の少ないガスバリア性の高い層が形成される。一方、低出力、例えば20乃至80W程度でマイクロ波によるグロー放電を行うと、(a)の段階で生成したSiCHのラジカル同士の反応が生じ、有機ケイ素化合物重合体が生成し、この結果、カーボン量の多い層、即ち、プラスチックに対する密着性が高く、撥水性の良好な層が形成される。従って、長尺フィルム13の流れ方向上流側及び下流側に配置されている表面波発生装置10のそれぞれにおいて、低出力でマイクロ波を出力し、中間の表面波発生装置10においては、高出力でマイクロ波を出力し、ガスバリア性の高い層とするのが好適となる。
勿論、上述した反応性ガスの組成調整やマイクロ波の出力調整は、中空支持体ローラ20に設けられている表面波発生装置10の数や要求される蒸着膜の特性によって適宜設定されるものであり、例えば撥水性などの特性が要求されない場合には、蒸着膜の最外面が無機性に富んだガスバリア性の高い層となるように、反応条件を設定することができる。
尚、上述した本発明において、表面波発生装置10は中空支持体ローラ20に装着されているが、表面波発生装置10が取り付けられる領域が所定の曲率面で形成され、且つ張架される長尺フィルム13がスムーズに曲率面に沿って移動し得るような形状を有するものであれば、表面波発生装置10が装着される部材はローラ形状のものに限定されない。例えば、断面が半円形状の中空支持体に表面波発生装置10(誘電体電極板10d)を設けることもできる。
マイクロ波の表面波を利用してのプラズマ反応による蒸着膜の形成方法の原理を説明するための図。 本発明のマイクロ波供給装置を備えた蒸着膜形成装置の構造を示す図。
符号の説明
10:マイクロ波発生装置
10b:導波管
10c:スロットアンテナ
10d:誘電体電極板
13:長尺フィルム
20:中空支持体ローラ
51:原反ローラ
53:巻き取りローラ
60:ガス供給管

Claims (5)

  1. 外面に少なくとも曲率面を有する中空支持体と、該中空支持体に支持されたマイクロ波による表面波発生装置とから成り、
    前記表面波発生装置は、マイクロ波供給源に連なり且つ前記中空支持体の内部を延びている導波管と、該導波管のシールド壁に組み込まれたスロットアンテナと、該スロットアンテナを覆うように設けられた誘電体電極板とから構成され、該誘電体電極板を、その外面が露出するように前記中空支持体の壁に固定することにより、該表面波発生装置が該中空支持体に支持されているとともに、
    前記誘電体電極板の外面は、前記中空支持体の外面と滑らかに連なる曲率面となっていることを特徴とするプラズマCVD用マイクロ波供給装置。
  2. 前記中空支持体がローラ形状を有するものであり、前記誘電体電極板の外面は、前記ローラ形状の中空支持体の外面と実質上、同心円状に形成されている請求項1に記載のプラズマCVD用マイクロ波供給装置。
  3. 前記中空支持体の曲率面には、複数の前記表面波発生装置の複数が、周方向に沿って支持されている請求項1または2のプラズマCVD用マイクロ波供給装置。
  4. 真空状態に保持されるハウジング内に、原反ローラと巻き取りローラと請求項1に記載のプラズマCVD用マイクロ波供給装置が配置されており、
    前記プラズマCVD用マイクロ波供給装置の誘電体電極板外面と小間隔を置いて対面するようにガス供給管が延びており、
    前記原反ローラに巻かれた長尺プラスチックフィルムを、前記プラズマCVD用マイクロ波供給装置の中空支持体の曲率面に沿って且つ該中空支持体と前記ガス供給管との間を通して、前記巻き取りローラで巻き取りながら、マイクロ波の表面波の供給とガス供給管からの反応性ガスの供給とによるプラズマ反応を行うことにより、長尺プラスチックフィルムの前記誘電体電極外面とは対面しない側の表面に蒸着膜が連続的に形成されることを特徴とする蒸着膜形成装置。
  5. 前記ハウジング内には、フィルム表面処理装置が配置されており、該フィルム表面処理装置による表面処理が行われた後に、前記長尺フィルムが前記中空支持体とガス供給管との間を通って蒸着膜の形成が行われる請求項4に記載の蒸着膜形成装置。
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