JP5017653B2 - イネの第2染色体にある新規の短稈遺伝子のdnaマーカー選抜法 - Google Patents

イネの第2染色体にある新規の短稈遺伝子のdnaマーカー選抜法 Download PDF

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本発明は、短稈遺伝子d60および配偶子致死遺伝子Galの存在を判別するためのDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを利用して、短稈イネ科植物を選抜する方法に関する。
イネ科植物はイネ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ、シコクビエ、モロコシ等を含む、農業上極めて重要な植物である。しかし、強風、例えば台風等によって稈の長いイネ科植物は倒伏してしまい、果実の収穫量が大きく減少することとなる。そこで、稈の短いイネ科植物の育種が長年に亘って行われ、結果見出されたのが半矮性遺伝子sd1である。sd1はジベレリンGAの生合成系におけるC20酸化酵素遺伝子の欠損型であり、緑の革命を成し遂げた多収性品種の、半矮性と呼ばれる穂の長さは完全だが植物体全体の背が低い形質を表出する遺伝子である。この半矮性の導入によって作物が倒伏しにくくなり、施肥に応じた収量の増加と気候条件に左右されにくい安定生産が実現した。しかしながら、有用な半矮性遺伝子はsd1だけで短稈育種の遺伝子源がわずか1種類に限られていた。
半矮性遺伝子d60は近年見出された、sd1(およびsd1と同様にジベレリンGAの生合成に関与する遺伝子の欠損型)とは異なる、新たな短稈イネ科植物の育種に有用であると期待されている遺伝子である。d60遺伝子は、本発明者が突然変異系統北陸100号に着目して遺伝子分析を行った結果見出したものであり、sd1に偏重している短稈育種の選択肢を大きく拡大する有用遺伝子である。さらに、この遺伝子は詳細な染色体上での位置が不明であるが、第1染色体に存在するsd1とは遺伝的にも機能的にも独立しており、稈を約20%短縮し、直立葉型の草型をもたらす遺伝子である(非特許文献1および2)。
d60はイネに普遍的に存在する配偶子致死遺伝子galと共存すると雌雄の配偶子が致死となるため、コシヒカリd60系統、北陸100号などd60を持つ品種・系統(遺伝子型d60d60GalGal)と他の品種・系統(D60D60galgal)との交雑F1(D60d60Galgal)では,花粉と種子の稔性が75%となり、後代F2では6可稔長稈(4D60D60:2D60d60GalGal):2部分不稔長稈(D60d60Galgal=F1型):1短稈(d60d60GalGal)の比に分離する特異な遺伝様式をとり、d60の遺伝にはGalが不可欠である。d60はGalの同時の人為突然変異なくしては自然界では得られなかった貴重な短稈遺伝子である(非特許文献1および2)。
Tomita, M.: The gametic lethal gene gal: activated only in the presence of the semidwarfing gene d60 in rice. In Rice Genetics III (Ed. G.S. Khush, ISBN 971-22-0087-6), International Rice Research Institute, pp. 396-403 (1996) Tomita, M., Yamagata, H. and Tanisaka, T.: Developmental cytology on gametic abortion caused by induced complementary genes gal and d60 in japonica rice. In Advances in Rice Genetics (Eds. G.S. Khush, D.S. Brar and B. Hardy, ISBN 971-22-0199-6), International Rice Research Institute, pp. 178-181 (2003)
d60遺伝子を有する、すなわち遺伝的に短稈であるイネ科植物を得るためには、種を交配し、多数の個体を実際に栽培し、各個体が出穂した後に稈長を実際に測定しなければならず、広大な圃場や多大な人力、相当の年月が必要である。さらに、d60遺伝子は配偶子致死遺伝子galと補足し合って配偶子致死、すなわち不稔となる特異的な遺伝様式をとるため、雑種第2世代における短稈植物はd60遺伝子を有するのみならずGal遺伝子を有するものとなり、その出現率は1/9で、選抜をさらに難しくしている。また、DNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを使用することによって実際に栽培を行うことなく実験室内でd60を有するか否かを判別することが可能であるが、d60遺伝子の染色体上での位置が未だ解明されていないため、d60遺伝子そのものを検出するDNAマーカーは開発されていなかった。
そこで本発明者は、d60と連鎖する遺伝子、および/またはGalと連鎖する遺伝子をDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして使用して、間接的にd60およびGalの存在を判別することとした。
より具体的には、本発明者はd60遺伝子が第2染色体においてd30遺伝子並びにRM341およびRM452とそれぞれ近位でありかつ連鎖していることを新たに見出し、そしてGal遺伝子が第5染色体においてd1およびRM289と近位でありかつ連鎖していること、そしてd60遺伝子とgal遺伝子の組合せによる配偶子致死のためd60遺伝子とGal遺伝子がペアとなって遺伝するため、いずれかの遺伝子の存在を判別することによりもう一方の遺伝子の存在も高確率で判別することを新たに見出したのであって、かかる知見に基づきd60と連鎖する遺伝子あるいは染色体部位をDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして検出することでd60およびGalの存在を間接的に判別し、Galと連鎖する遺伝子あるいは染色体部位をDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして検出することでd60およびGalの存在を間接的に判別することとした。
かかる発明によって、実際に試験個体を栽培し評価する必要が大幅に減少し、種子や幼苗の時期においても標的遺伝子と連鎖するDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを使用するため高い確率で標的遺伝子d60およびGalを有する個体または植物を選択することができ、短稈イネ科植物、とりわけ短稈イネをより容易に得ることができる。また、このようなd60遺伝子を標的とした選抜により、従来のsd1遺伝子のみに依存していた短稈イネ科植物の選抜とは全く別の、新規な短稈イネ科植物の育種が可能となる。
従って、第1の態様において本発明は、イネ科植物の第2染色体に存在する第1のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーであって、d60遺伝子と連鎖しているDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを検出することによってd60遺伝子およびGal遺伝子の存在を判別すること、またはイネ科植物の第5染色体に存在する第2のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーであって、Gal遺伝子と連鎖しているDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを検出することによりd60遺伝子およびGal遺伝子の存在を判別することを特徴とする、短稈イネ科植物の選抜法を提供する。
好ましくは本発明は、イネ科植物の第2染色体に存在する第1のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーであって、d60遺伝子と連鎖しているDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを検出することによってd60遺伝子の存在を判別すること、並びにイネ科植物の第5染色体に存在する第2のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーであって、Gal遺伝子と連鎖しているDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを検出することによりGal遺伝子の存在を判別することを特徴とする、短稈イネ科植物の選抜法を提供する。
連鎖している遺伝子を見出すための方法の例としては、以下のような方法がある。半矮性遺伝子d60とその遺伝に不可欠な配偶子致死遺伝子Galについて、それらと連鎖する遺伝子マーカーの分離がメンデル比の3:1から歪むことを利用して、全染色体を網羅するように選択した適当な数の遺伝子マーカーを持つ系統とd60系統との交雑F2を展開し、d60が第2染色体、Galが第5染色体にそれぞれ存在することを見出した。さらに、イネ科植物の第2染色体および第5染色体を部分的に置換した染色体部分断片置換型系統とd60系統との交雑F2を展開し、完全連鎖している場合の遺伝子型の分離比(100%)と比較として、連鎖の確率を計算する。連鎖の確率が90%以上、好ましくは95%以上である遺伝子あるいは染色体部位をDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとすることが、判別の精度の向上の点から好ましい。
また、イネ科植物の第2染色体中のd60遺伝子と近位である遺伝子あるいは染色体部位を、d60遺伝子のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして選択し、第5染色体中のGal遺伝子と近位である遺伝子あるいは染色体部位をGal遺伝子のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして選択してもよい。これらのDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーのうち、d60遺伝子およびGalに対して連鎖の確率が90%以上、好ましくは95%以上であるものを用いてd60遺伝子におよびGal遺伝子の存在を判別する精度を向上させることができる。
「近位」であるとは、当該DNAマーカーもしくは遺伝子マーカーが標的遺伝子から30cM(センチモルガン、以下同じ)以内、例えば10cM以内、好ましくは5cM以内にあることを意味し、常套の方法によって確認することができる。
このようにして見出された、標的遺伝子と連鎖している遺伝子あるいは染色体部位をDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーとして使用する。「DNAマーカー」とは、遺伝分析のための目印(マーカー)として利用することができる、個体または系統によってDNAの塩基配列に違いが見られるDNA多型を意味し、RFLP(制限酵素DNA断片長多型)、AFLP(増幅断片長多型)、SSR(単純反復配列)、STS(配列タグ部位)、SNP(一塩基多型)、RAPD(増幅断片多型)などの種類がある。「遺伝子マーカー」とは、遺伝解析に利用できる遺伝的に決定されている形質が明瞭に分かる遺伝子を意味する。
本発明において好ましい第1のDNAマーカーは、例えばRM452(配列番号1および2)、RM438(配列番号3および4)、RM521(配列番号5および6)、RM550(配列番号7および8)、RM324(配列番号9および10)、RM27(配列番号11および12)、RM290(配列番号13および14)、RM301(配列番号15および16)、RM29(配列番号17および18)、RM300(配列番号19および20)、RM424(配列番号21および22)、RM561(配列番号23および24)、RM341(配列番号25および26)、RM492(配列番号27および28)、RM6203(配列番号29および30)、RM5699(配列番号31および32)、RM12853(配列番号33および34)、RM12856(配列番号35および36)、RM12885(配列番号37および38)、RM12937(配列番号39および40)、RM12924(配列番号41および42)、RM12967(配列番号43および44)、RM12988(配列番号45および46)、RM13043(配列番号47および48)、RM12963(配列番号49および50)、RM5619(配列番号51および52)、RM13028(配列番号53および54)、RM13069(配列番号55および56)、RM13081(配列番号57および58)、RM13110(配列番号59および60)、RM13065(配列番号61および62)、RM13008(配列番号63および64)、RM13002(配列番号65および66)、RM1358(配列番号67および68)、RM1081(配列番号69および70)、RM3178(配列番号71および72)、RM7426(配列番号73および74)、RM5101(配列番号75および76)、RG171(RFLP)、R3191(RFLP)、RZ324(RFLP)、S14115(RFLP)、E61832(RFLP)、R1989(RFLP)、S1917(RFLP)、S2577(RFLP)、S2525(RFLP)、M162B(RFLP)、S1412(RFLP)、C106(RFLP)、RZ386(RFLP)、RG157(RFLP)、RG144(RFLP)、G1314B(RFLP)、XNpb132(RFLP)、C196(RFLP)、XNpb199(RFLP)、E25M60.078−P2(AFLP)、E25M48.116−P1(AFLP)、E23M50.582−P1(AFLP)、E25M48.325−P1(AFLP)、PC180MB(AFLP)、PC73M14(AFLP)、PC17M3(AFLP)、PC41M2(AFLP)等が含まれ、特にRM452またはRM341が好ましい。
好ましい第1の遺伝子マーカーは、例えばd30、gh2等が含まれ、特にd30が好ましい。
本発明において好ましい第2のDNAマーカーは、例えばRM267(配列番号77および78)、RM289(配列番号79および80)、RM169(配列番号81および82)、RM516(配列番号83および84)、RM509(配列番号85および86)、RM598(配列番号87および88)、RM465(配列番号89および90)、RM18103(配列番号91および92)、RM27877(配列番号93および94)、RM18152(配列番号95および96)、RM18159(配列番号97および98)、RM18120(配列番号99および100)、RM18080(配列番号101および102)、RM18115(配列番号103および104)、RM18073(配列番号105および106)、RM18177(配列番号107および108)、RM249(配列番号109および110)、RM18196(配列番号111および112)、RM7293(配列番号113および114)、RM3381(配列番号115および116)、RM2676(配列番号117および118)、RM6645(配列番号119および120)、RM3838(配列番号121および122)、RM5140(配列番号123および124)、RM8014(配列番号125および126)、RM6229(配列番号127および128)、RG403(RFLP)、R569(RFLP)、E300665(RFLP)、S2351(RFLP)、C1388(RFLP)、C1004(RFLP)、S12928(RFLP)、R566(RFLP)、P169(RFLP)、S1129(RFLP)、S5933(RFLP)、S2801S(RFLP)、TP1K1B(RFLP)、RRF08−2(RFLP)、RZ291(RFLP)、XNpb255(RFLP)、E24M50.386−P1(AFLP)、E25M59.196−P2(AFLP)、E13M59.092−P1(AFLP)、EM15−5(AFLP)、PC173M9(AFLP)等が含まれ、特にRM289またはRM169が好ましい。
好ましい第2の遺伝子マーカーは、例えばd1が好ましい。
「検出」とは、上記DNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを検出するためのあらゆる常套の方法を使用することができ、使用するDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーの種類に応じて当業者が適当に選択することができる。例えばDNAマーカーを検出する方法としては、PCR法、サザンブロッティング法、AFLP法が挙げられる。例えば遺伝子マーカーを検出する方法としては、形態形質の観察等が挙げられる。
PCRを利用する方法としては、例えば下記のとおりに検出を行う。
〔DNA抽出〕
植物体(またはその一部)を液体窒素で凍結粉砕し、DNA抽出液を加え、振盪しながらインキュベートする。この溶液をから、抽出および重合沈殿によって、高分子DNAをスプールアウトする。スプールアウトしたDNAを精製し、DNA溶液を製造する。
〔PCR〕
各イネ科植物体から抽出したゲノムDNAを鋳型にして、プライマーおよびDNAポリメラーゼ等を含む反応液を調製する。サーマルサイクラー等を用いて、変性・アニーリング・伸長の一連の反応を繰り返し行う。PCR産物を電気泳動する。PCRの反応条件およびプライマーは、例えばTheor Appl Genet (2000)100:697-712を参考にすることができる(この文献を、参照により本明細書の一部とする)。
連鎖
d60とGalについて、イネの全染色体を網羅するように選んだ31種類の遺伝子マーカーを持つ系統とコシヒカリd60系統(コシヒカリ/北陸100号//*6コシヒカリ)との交雑F2を展開し、d60と第2染色体のd30ならびにGalと第5染色体のd1との密接な連鎖を検出した。さらに、コシヒカリの第2染色体および第5染色体をKasalathに部分的に置換した染色体部分断片置換型系統SL204, 00KF2-11-175, 00RS-6-234)とコシヒカリd60系統との交雑F2を展開し、d60、Gal各遺伝子の近傍にあるSSRマーカーとの連鎖を明らかにした。
まず、第2染色体上のd30、gh2をもつ遺伝子マーカー系統(FL212、遺伝子型:D60D60galgal)とコシヒカリd60系統(d60d60GalGal)のF2において、d30座の分離比が野生型:d30ホモ接合体=200:118となり、メンデル比である3:1から大きくはずれて、d30がD60に完全連鎖している場合の理論比5:4に近い分離比となった。さらに、gh2遺伝子座も野生型:gh2ホモ接合体=216:103となり、d60は第2染色体のd30、とgh2の間に位置することが分かった。これらF2のうちgh2ホモ型 56個体からF3系統(50個体/系統)を展開し、F2の遺伝子型を決定した。まず、gh2d30ホモの32系統は、非組換型配偶子d30−D60のホモ接合が30系統、組換型配偶子d30−d60をヘテロで持ちd60座が3:1に分離した1系統とd30−d60の二重矮性1系統であった。次にgh2ホモでD30d30ヘテロの20系統のうち、非組換型配偶子D60−d30、d60−D30のヘテロで、かつGalgalヘテロで部分不稔個体のF3 9系統ではF2同様にd30座が非メンデル型の5:4で過剰分離した。一方、非組換型配偶子をヘテロで持ち、かつGalホモのF3 10系統では、d30座がメンデル型の3:1に分離した。gh2でD30ホモの4系統を含めて、組換型配偶子d60−d30をヘテロで持つのは2系統であった。以上の結果から、d60はd30と3.3cMで連鎖していることがわかった。
一方、第5染色体上のd1をもつ遺伝子マーカー系統(大黒、D60D60galgal)とd60コシヒカリ系統(d60d60GalGal)とのF2において、野生型:d1ホモ接合体=263:34となり、3:1から大きくはずれて、d1がgalに完全連鎖している場合の理論比8:1に近い分離比となった。
続いて、コシヒカリの第2染色体および第5染色体をKasalathに部分的に置換した系統(D60D60galgal)とコシヒカリd60系統(d60d60GalGal)との交雑F2 511〜663個体を展開し、日印の当該染色体間で多型を示すSSRマーカーとの連鎖を検出した。d60は第2染色体のRM452から2.8cM、RM341から5.8cMの距離に座乗し、Galは第5染色体のRM289から2.3cMの距離に座乗していることがわかった(図1)。
イネ科植物の選抜
コシヒカリの第2染色体または第5染色体をKasalathに部分的に置換した系統(D60D60galgal)とコシヒカリd60系統(d60d60GalGal)との交雑F2 511から663個体を展開し,各個体からゲノムDNAを抽出した。植物体から採葉し、−80℃で凍結保存した。葉を液体窒素で凍結し、粉砕した。これに葉の粉末の重量と等量のDNA抽出液(2%CTAB、100mM Tris−HCl、20mM EDTA・2Na、1.4M NaCl、pH8.0)を加えて55℃で振盪しながら90分間インキュベートした。この溶液をクロロホルム・イソアミルアルコール(24:1)で抽出した。上清に1/10量の3M 酢酸ナトリウムpH5.2を加えた後、等量の−20℃の99.5%イソプロパノールを加えて重合沈殿した高分子DNAをスプールアウトした。スプールアウトしたDNAを1.5mlのHigh−Salt TE(1M NaCl、10mM Tris・HCl、1mM EDTA・2Na、pH8.0)に溶解し、エタノール沈殿後、500μlのTE(10mM Tris−HCl、1mM EDTA・2Na、pH8.0)に溶解した。これに1/100量のRNase溶液(1mg/ml)を加えて37℃で一晩インキュベートした。さらに、フェノール−クロロホルム抽出およびクロロホルム抽出を1回ずつ行った後、エタノール沈殿して500μlのTE(10mM Tris−HCl、1mM EDTA・2Na、pH8.0)に溶解した。
イネ各植物体から抽出したゲノムDNA200ngを鋳型にして、200nMのフォワードプライマー、リバースプライマー、400μM dNTPs、2.5mM MgCl2、1×PCR BufferII(TAKARA)、0.5U LA TaqDNAポリメラーゼ(TAKARA)を含む全量25μlの反応液を作製した。サーマルサイクラーを用いて、変性94℃30秒間、アニーリング58℃30秒間、伸長72℃1分間の一連の反応を35回行った。また、最初の変性94℃と最後の合成72℃を5分間ずつ行った。PCR産物を2%アガロースゲルで100Vで45分間電気泳動した(図2)。
第2染色体のSSRマーカーRM452は両親間(コシヒカリの第2染色体をKasalathに部分的に置換した系統、コシヒカリd60系統)でDNA多型を示し、その交雑F2における短稈個体の約97%がコシヒカリd60系統と同じDNAのパターンを示し、SSRマーカーとd60との極めて強い連鎖が検出された。第5染色体のSSRマーカーRM289は両親間(コシヒカリの第5染色体をKasalathに部分的に置換した系統、コシヒカリd60系統)でDNA多型を示し、その交雑F2における短稈個体の約97%がコシヒカリd60系統と同じDNAのパターンを示し、SSRマーカーとd60との極めて強い連鎖が検出された。d60は第2染色体のRM452から2.8cMの距離に座乗し、Galは第5染色体のRM289から2.3cMの距離に座乗している(図1)。したがって、d60を持つ短稈個体(d60d60GalGal)は第2染色体のRM452ほかd30と連鎖するDNAマーカー、第5染色体のRM289ほかd1と連鎖するDNAマーカーによって選抜することができる。
度重なる台風の来襲でイネの倒伏による多大の損害が昨今の社会問題になっており、短稈遺伝子を導入して台風に強い新品種を開発することは緊急課題である。前述のように、品種の遺伝的多様性を維持・拡大しようとする育種の目的に鑑みれば、sd1はGA生合成酵素の欠損型遺伝子であり、この遺伝子だけに頼ることなく、さらに新規の短稈遺伝子を開拓し、耐倒伏性育種への利用を推進すべきである。
本発明では、短稈品種の遺伝的多様性を拡大し、不測の気象変動に対抗するため、sd1より耐倒伏性が強く、sd1とは遺伝的にも機能的にも独立する新規の短稈遺伝子d60に密接に連鎖していて選抜効率が高いDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーを開発し、d60のマーカー選抜による短稈イネの開発法を提供する。本法を敷衍することによってさらに、d60本体の単離が可能であり、d60の機能解明による草型調節も可能になるだろう。短稈遺伝子d60のマーカー選抜によりGAに偏重した短稈育種のポテンシャルを広げて、全国の農業試験場や植物工場に関連する公民の試験研究機関における品種開発の一助としたい。
短稈遺伝子d60と配偶子致死遺伝子Gal、およびそれらと近位のDNAマーカーもしくは遺伝子マーカーの染色体位置を示す。 F2幼苗期におけるd60を有するイネ科植物のRM289で診断したDNAバンドを示す。

Claims (1)

  1. イネ科植物の第2染色体に存在するDNAマーカーRM452もしくは遺伝子マーカーd30を検出することによってd60遺伝子の存在を判別すること、およ
    ネ科植物の第5染色体に存在するDNAマーカーRM289もしくは遺伝子マーカーd1を検出することによりGal遺伝子の存在を判別することを特徴とする、短稈イネ科植物の選抜法。
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