JP5017622B2 - 血液凝固反応抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、リン脂質を含有する血液凝固反応抑制剤に関するものであり、疾患の治療における抗血栓剤や血液凝固線溶系に関する臨床検査等において有用なものである。
リン脂質は、生物を構成する細胞の種々の膜系、例えば原形質膜、核膜、小胞体膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜、細菌細胞膜等を構成する主要な脂質である。また、血清脂質や卵黄などにも含まれている。
リン脂質は、その構成成分によりグリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質に分類される。グリセロリン脂質としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン(レシチン)、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)等が知られている。また、スフィンゴリン脂質としては、スフィンゴミエリン等が知られている。
血管が損傷を受けて出血が起こると、その出血を止めるために血管傷害部を塞ぐ止血血栓が形成されるが、この反応は血小板が主役をなす一次血栓形式と凝固因子の活性化の結果起こる二次血栓形式よりなっている。これらの2つの反応系は、全く独立して進行するものではなく、互いに影響を与えあって傷害部局所のみで加速度的に進行するものである。古くから、血液凝固反応のいくつかのステップが、リン脂質の存在下において促進されることが知られていた。
Hemkerらは、活性化第X因子によるプロトロンビンからのトロンビンの生成、及び活性化第IX因子による第X因子からの活性化第X因子の生成の反応において、ホスファチジルセリンとホスファチジルコリンの混合物が、それぞれの反応の基質(プロトロンビン及び第X因子)に対するKm値を著しく低下させることを報告した。すなわち、ホスファチジルセリンとホスファチジルコリンの混合物が、血液凝固反応を促進する効果を有することを報告した。そして、リン脂質を含む生体膜が、活性化凝固因子(活性化第VIII因子及び活性化第V因子)、基質及び補因子を結合し、それらの局所濃度を高めるという役割を明らかにした。〔非特許文献1参照〕
また、プロテインCがトロンボモジュリンとトロンビンの複合体(トロンボモジュリン−トロンビン複合体)により活性化されること、そして、ホスファチジルエタノールアミンが、トロンボモジュリン−トロンビン複合体を活性化することが知られていた。〔特許文献1〕
しかしながら、トロンボモジュリン−トロンビン複合体の活性化による血栓形成の抑制は、凝固制御系〔活性化プロテインC、プロテインS及びカルシウムイオンによる活性化VIII因子の分解反応;並びに活性化プロテインC、プロテインS及びカルシウムイオンによる活性化V因子の分解反応〕の反応を活性化することにより、凝固反応の反応促進因子である活性化VIII因子及び活性化V因子を分解し、これにより間接的にトロンビンの生成つまり血栓の形成を抑制するものであり、前記凝固制御系に異常のある患者には、その活性化の効果が期待できない。
例えば、APCレジスタンス(活性化V因子ライデン症)の患者においては、活性化V因子の活性化プロテインCによる切断箇所のアミノ酸が変異しており、活性化プロテインCにより活性化V因子が完全に分解できない。従って、活性化プロテインCの生成が活性化されても活性化V因子が完全には分解されないので、前記凝固反応を抑制できず、つまり血栓の形成を抑制することができないものと考えられる。〔日本臨牀 第62巻 増刊号12,第678頁〜第680頁,2004年発行〕
また、プロテインSは、活性化プロテインCの活性の活性化因子であるが、プロテインS欠損症の患者においては、プロテインSが欠損しているか又は著しく低下している。このように活性化プロテインC活性の活性化因子であるプロテインSが欠損しているか又は著しく低い状態においては、活性化プロテインCの活性は十分に発揮されないので、例え、活性化プロテインCの生成が活性化されたとしても、その活性化プロテインC活性は活性化VIII因子や活性化V因子の分解に効果的なレベルには達し得ず、この活性化VIII因子や活性化V因子が十分に分解されず、すなわち前記凝固反応を抑制することができず、つまり血栓の形成を抑制することができないものと考えられる。〔日本臨牀 第62巻 増刊号12,第685頁,2004年発行〕
更に、プロテインC欠損症の患者においては、プロテインCが欠損しているか又は著しく低下している。このように活性化プロテインCが欠損しているか又は著しく低い状態においては、活性化プロテインCの活性は十分に発揮されないので、例え、活性化プロテインCの生成が活性化されたとしても、その活性化プロテインC活性は活性化VIII因子や活性化V因子の分解に効果的なレベルには達し得ず、この活性化VIII因子や活性化V因子が十分に分解されず、すなわち前記凝固反応を抑制することができず、つまり血栓の形成を抑制することができないものと考えられる。〔日本臨牀 第62巻 増刊号12,第684頁〜第685頁,2004年発行〕
特開平5−58899号公報 松本豊,池田康夫、「Mebio」第11巻第3号、第26頁〜第31頁、メジカルビュー社、1994年発行
本発明者らは、血液凝固反応とリン脂質との関係を検討する中で、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンが共存する場合に、血液凝固反応を抑制する効果が認められることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、抗血栓剤等として有用な血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有する血液凝固反応抑制剤。
(2)抗血栓剤として用いられる前記(1)に記載の血液凝固反応抑制剤。
(3)血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる前記(1)に記載の血液凝固反応抑制剤。
(4)ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有するトロンビン生成抑制剤。
本発明の血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤は優れた血液凝固反応抑制作用及びトロンビン生成抑制作用を有し、抗血栓剤、血液凝固線溶系に関する臨床検査薬等として有用である。
また、本発明の血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤による血栓形成の抑制は、血液凝固系を直接抑制することにより認められるものであり、例えAPCレジスタンス、プロテインS欠損症又はプロテインC欠損症の患者においてもその効果を発揮するものと考えられる。
本発明に用いるホスファチジルセリンとは、L−セリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質の総称であり、グリセロール1位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
また、グリセロール2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるホスファチジルセリンは、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限なく用いることができる。そして、本発明に用いるホスファチジルセリンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明に用いるホスファチジルコリンとは、コリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質の総称であり、グリセロール1位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
また、グリセロール2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるホスファチジルコリンとしては、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限はない。そして、本発明に用いるホスファチジルコリンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明に用いるホスファチジルエタノールアミンとは、エタノールアミンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質の総称であり、グリセロール1位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
また、グリセロール2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるホスファチジルエタノールアミンは、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限なく用いることができる。そして、本発明に用いるホスファチジルエタノールアミンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明の血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤は、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有するリン脂質組成物である。
前記リン脂質組成物におけるホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの割合は、特に限定されるものではないが、ホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの質量比が、1:0.1〜10:0.5〜10であることが好ましく、1:0.25〜7.5:1〜7.5であることがより好ましく、1:0.5〜5:1.5〜5であることが特に好ましい。また、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比は、通常0.25以上、好ましくは0.5〜5.0、更に好ましくは0.7〜3.0である。
本発明の血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤は、抗血栓剤、又は血液凝固線溶系に関する臨床検査薬の成分等として用いることができる。
本発明の血液凝固反応抑制剤及びトロンビン生成抑制剤は、種々の剤形とすることができる。この剤形としては、例えば、リポソーム製剤又は脂肪乳剤製剤等とすることが好ましい。
リポソーム製剤は、常法に準じて調製することができ、例えば、前記のリン脂質をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解した後、溶媒を留去して乾固し、次いで必要に応じて安定化剤等の慣用の添加剤と共に精製水又は適当な緩衝液を加えて、超音波処理を行うことにより調製することができる。
また、脂肪乳剤製剤も常法に準じて調製することができる。例えば、水に油脂及び乳化剤を加えると共に前記のリン脂質を添加し、更に必要に応じて安定化剤等の慣用の添加剤を加えた後、乳化することにより調製することができる。
本発明の血液凝固反応抑制剤又はトロンビン生成抑制剤を、抗血栓剤等の治療剤(薬剤)として用いる場合、効果がある限り、その用法は問わない。この用法としては、経皮吸収、及び静脈内投与等が好ましい。この投与量であるが、これは患者の体重、年齢、疾患の程度等に応じて適宜調整することができるが、通常、リン脂質組成物量として、0.0001〜0.1g/Kg体重/日を、好ましくは0.001〜0.01g/Kg体重/日を、1日に1回〜数回に分けて投与すればよい。
本発明の血液凝固反応抑制剤又はトロンビン生成抑制剤は、血液凝固反応系に関わる因子である活性化プロテインC、又はプロテインC等の測定試薬に含有させることにより、測定反応を促進させることができ、迅速かつ高感度に測定を行うことができる。
以下の実施例においては、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンとしては、以下のものを用いた。
(ホスファチジルセリン)
L-α-Phosphatidylserine, Bovine Brain、フナコシ試薬総合カタログ2004 Part II P.919、メーカー:DOOSAN Serdary Research Laboratories、商品コード:A-37
(ホスファチジルコリン)
L-α-Phosphatidylcholine, Porcine Liver、フナコシ試薬総合カタログ2004 Part II P.907、メーカー:DOOSAN Serdary Research Laboratories、商品コード:A-29、純度:98〜99%
(ホスファチジルエタノールアミン)
L-α-Phosphatidylethanolamine, Porcine Liver、フナコシ試薬総合カタログ2004 Part II P.914、メーカー:DOOSAN Serdary Research Laboratories、商品コード:A-33、純度:98〜99%
〔実施例1〕ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応抑制作用
生体内の血液凝固因子を再構成した「活性化第X因子−プロトロンビン反応系」を構築し、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の抑制作用を確かめた。
1.試薬
(1)第1試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、30pMの活性化第V因子、700nMのプロトロンビン、750μMのS−2238〔トロンビンの基質(色素結合合成基質);第一化学薬品〕、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第1試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(2)第2試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、100pMの活性化第X因子、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第2試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
2.操作手順
分光光度計のキュベット内に第1試薬の360μLを添加し、37℃で5分間加温した後、予め37℃で加温しておいた第2試薬の180μLをここに添加し、37℃で加温して反応させた。
ここで、活性化第V因子の存在下、活性化第X因子は、プロトロンビンをトロンビンに変換する。そして、生成したトロンビンは、色素結合合成基質S−2238を分解し、p−ニトロアニリンを遊離させる。このp−ニトロアニリンは、波長405nm近辺に吸収極大を持つ。
キュベット内の溶液の波長405nmにおける吸光度の測定及び記録を、第2試薬添加の5分前から30分後まで1分毎に行った。
なお、既知濃度のトロンビンと色素結合合成基質S−2238とを反応させ、このトロンビン濃度とp−ニトロアニリンの生成速度との関係より検量線を作成した。
そして、各々の組成のリン脂質組成物を用いた場合の波長405nmにおける1分間当たりの吸光度変化量をこの検量線に当てはめ、トロンビンの生成速度(nM/min)、すなわち血液凝固反応の速度を求めた。
3.測定結果
測定結果を図1に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるホスファチジルエタノールアミンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸はトロンビンの生成速度(nM/min)を示す。
この図より、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンのみの場合に比べてホスファチジルエタノールアミンが加わることにより、トロンビンの生成速度が下がること、すなわち血液凝固反応の速度が下がることが分かる。
そして、このホスファチジルエタノールアミンの濃度が増すにつれ、トロンビンの生成速度も下がってゆくこと(血液凝固反応の速度も下がってゆくこと)が分かる。
この結果より、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物は、血液凝固反応の抑制作用を有することが確かめられた。
〔実施例2〕ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応抑制作用
血液凝固反応の血漿凝固時間を測定して、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の抑制作用について確かめた。
(1)操作手順
ヒト血漿50μLを37℃で1分間加温した後、下記のリン脂質組成物溶液を50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5(20℃))で2%(v/v)に希釈した溶液を50μL添加し、37℃で2分間加温した。加温終了後、20mM塩化カルシウムを50μL添加し、混合溶液中の血漿が凝固するまでの時間を測定した。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び2.0mg/mLホスファチジルエタノールアミンを含む水溶液
(2)測定結果
測定結果を図2に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるホスファチジルエタノールアミンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸は血漿凝固時間(秒)を示す。
前記血漿凝固時間の測定時にリン脂質組成物を添加しない場合の血漿凝固時間は、213秒であった。
この測定結果より、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンのみの場合に比べてホスファチジルエタノールアミンが加わることにより、血漿凝固時間が延長すること、すなわち血液凝固反応の速度が低下することが分かる。
そして、このホスファチジルエタノールアミンの濃度が増すにつれ、血漿凝固時間が延長してゆくこと(血液凝固反応の速度が低下してゆくこと)が分かる。
これより、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物は、血液凝固反応の抑制作用を有することが確かめられた。
ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物におけるホスファチジルエタノールアミン量と血液凝固反応におけるトロンビン生成量との関係を示した図である。 ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質組成物におけるホスファチジルエタノールアミン量と血液凝固反応における血漿凝固時間との関係を示した図である。

Claims (12)

  1. ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有し、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.5〜5.0であり、かつホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの質量比が1:0.25〜7.5:1〜7.5である血液凝固反応抑制剤。
  2. ホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの質量比が1:0.5〜5:1.5〜5である請求項1記載の血液凝固反応抑制剤。
  3. ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.7〜3.0である請求項1又は2記載の血液凝固反応抑制剤。
  4. ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有し、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.5〜5.0である血液凝固反応抑制剤。
  5. ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.7〜3.0である請求項記載の血液凝固反応抑制剤。
  6. 抗血栓剤として用いられる請求項1〜のいずれか1項に記載の血液凝固反応抑制剤。
  7. 血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる請求項1〜のいずれか1項に記載の血液凝固反応抑制剤。
  8. ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有し、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.5〜5.0であり、かつホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの質量比が1:0.25〜7.5:1〜7.5であるトロンビン生成抑制剤。
  9. ホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの質量比が1:0.5〜5:1.5〜5である請求項記載のトロンビン生成抑制剤。
  10. ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.7〜3.0である請求項8又は9記載のトロンビン生成抑制剤。
  11. ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含有し、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.5〜5.0であるトロンビン生成抑制剤。
  12. ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するホスファチジルエタノールアミンの質量比が0.7〜3.0である請求項11記載のトロンビン生成抑制剤。
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