JP2007106679A - 血液凝固反応促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】止血剤等として有用な血液凝固反応促進剤を提供する。
【解決手段】ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリン、必要に応じて、更にホスファチジルコリンを含有する血液凝固反応促進剤;止血剤、又は血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる前記血液凝固反応促進剤。
【選択図】なし
【解決手段】ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリン、必要に応じて、更にホスファチジルコリンを含有する血液凝固反応促進剤;止血剤、又は血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる前記血液凝固反応促進剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、リン脂質を含有する血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤に関するものであり、疾患や外傷の治療における止血剤や血液凝固線溶系に関する臨床検査等において有用なものである。
リン脂質は、生物を構成する細胞の種々の膜系、例えば原形質膜、核膜、小胞体膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜、細菌細胞膜等を構成する主要な脂質である。また、血清脂質や卵黄などにも含まれている。
リン脂質は、その構成成分によりグリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質に分類される。グリセロリン脂質としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン(レシチン)、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)等が知られている。また、スフィンゴリン脂質としては、スフィンゴミエリン等が知られている。
血管が損傷を受けて出血が起こると、その出血を止めるために血管傷害部を塞ぐ止血血栓が形成されるが、この反応は血小板が主役をなす一次血栓形式と凝固因子の活性化の結果起こる二次血栓形式よりなっている。これらの2つの反応系は、全く独立して進行するものではなく、互いに影響を与えあって傷害部局所のみで加速度的に進行するものである。古くから、血液凝固反応のいくつかのステップが、リン脂質の存在下において促進されることが知られていた。
Hemkerらは、活性化第X因子によるプロトロンビンからのトロンビンの生成、及び活性化第IX因子による第X因子からの活性化第X因子の生成の反応において、ホスファチジルセリンとホスファチジルコリンの混合物が、それぞれの反応の基質(プロトロンビン及び第X因子)に対するKm値を著しく低下させることを報告した。すなわち、ホスファチジルセリンとホスファチジルコリンの混合物が、血液凝固反応を促進する効果を有することを報告した。そして、リン脂質を含む生体膜が、活性化凝固因子(活性化第VIII因子及び活性化第V因子)、基質及び補因子を結合し、それらの局所濃度を高めるという役割を明らかにした。〔非特許文献1参照〕
しかしながら、ホスファチジルセリンもしくはホスファチジルコリンがいずれか単独で血液凝固線溶系に対して如何なる作用を及ぼすかについては報告されていない。
しかしながら、ホスファチジルセリンもしくはホスファチジルコリンがいずれか単独で血液凝固線溶系に対して如何なる作用を及ぼすかについては報告されていない。
また、ホスファチジルエタノールアミンが、トロンボモジュリンによるプロテインCの活性化を著しく促進すること、すなわち、ホスファチジルエタノールアミンが、血液凝固反応を抑制する効果を有することが知られていた。〔特許文献1〕
本発明者らは、血液凝固反応とリン脂質との関係を検討する中で、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンの併用、並びにホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンの併用でトロンビンの生成を促進する効果が認められ、その効果が、それぞれリゾホスファチジルコリンが共存しない場合よりも優れていることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、止血剤等として有用な血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する血液凝固反応促進剤。
(2)更に、ホスファチジルコリンを含有する前記(1)に記載の血液凝固反応促進剤。
(3)止血剤として用いられる前記(1)又は(2)に記載の血液凝固反応促進剤。
(4)血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる前記(1)又は(2)に記載の血液凝固反応促進剤。
(5)ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有するトロンビン生成促進剤。
(6)更に、ホスファチジルコリンを含有する前記(5)に記載のトロンビン生成促進剤。
(1)ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する血液凝固反応促進剤。
(2)更に、ホスファチジルコリンを含有する前記(1)に記載の血液凝固反応促進剤。
(3)止血剤として用いられる前記(1)又は(2)に記載の血液凝固反応促進剤。
(4)血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる前記(1)又は(2)に記載の血液凝固反応促進剤。
(5)ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有するトロンビン生成促進剤。
(6)更に、ホスファチジルコリンを含有する前記(5)に記載のトロンビン生成促進剤。
本発明の血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤は優れた血液凝固反応促進作用及びトロンビン生成促進作用を有し、止血剤、血液凝固線溶系に関する臨床検査薬等として有用である。
本発明に用いるホスファチジルセリンとは、L−セリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質の総称であり、グリセロール1位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
また、グリセロール2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるホスファチジルセリンは、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限なく用いることができる。そして、本発明に用いるホスファチジルセリンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明に用いるホスファチジルコリンとは、コリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質の総称であり、グリセロール1位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
また、グリセロール2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるホスファチジルコリンとしては、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限はない。そして、本発明に用いるホスファチジルコリンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明に用いるリゾホスファチジルコリンとは、ホスファチジルコリンのグリセロールの1位又は2位に結合している脂肪酸1分子がとれたリゾリン脂質の総称であり、グリセロールの1位又は2位に結合する疎水基として、例えば、炭素数4〜25の飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基等を挙げることができ、より具体的にはアシル基等を挙げることができ、更に具体的には、これに対応する脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸等を挙げることができる。
本発明に用いるリゾホスファチジルセリンは、動物、植物、若しくは細菌などから単離精製されたもの、化学的に合成されたもの、又はバイオテクノロジー技術により調製されたもの等、特に制限なく用いることができる。そして、本発明に用いるリゾホスファチジルセリンは、これを医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明の血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤は、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリン、必要に応じて、更にホスファチジルコリンを含有するリン脂質組成物である。
前記リン脂質組成物におけるホスファチジルセリンとリゾホスファチジルコリンの濃度の比は、特に限定されるものではないが、ホスファチジルセリンに対するリゾホスファチジルコリンの質量比は、通常0.25以上、好ましくは0.25〜3.0、更に好ましくは0.4〜2.5である。
前記リン脂質組成物がホスファチジルコリンを含有する場合、当該リン脂質組成物におけるホスファチジルセリンとホスファチジルコリンとリゾホスファチジルコリンの濃度の比は、特に限定されるものではないが、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンの合計に対するリゾホスファチジルコリンの質量比は、通常0.20〜1.5、好ましくは0.25〜1.5である。
本発明の血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤は、止血剤、又は血液凝固線溶系に関する臨床検査薬の成分等として用いることができる。
本発明の血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤は、種々の剤形とすることができる。この剤形としては、例えば、リポソーム製剤又は脂肪乳剤製剤等とすることが好ましい。
リポソーム製剤は、常法に準じて調製することができ、例えば、前記のリン脂質をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解した後、溶媒を留去して乾固し、次いで必要に応じて安定化剤等の慣用の添加剤と共に精製水又は適当な緩衝液を加えて、超音波処理を行うことにより調製することができる。
また、脂肪乳剤製剤も常法に準じて調製することができる。例えば、水に油脂及び乳化剤を加えると共に前記のリン脂質を添加し、更に必要に応じて安定化剤等の慣用の添加剤を加えた後、乳化することにより調製することができる。
本発明の血液凝固反応促進剤又はトロンビン生成促進剤を、止血剤等の治療剤(薬剤)として用いる場合、効果がある限り、その用法は問わない。この用法としては、特に外傷部分への塗布、経皮吸収、及び静脈内投与等が好ましい。この投与量であるが、これは患者の体重、年齢、疾患の程度等に応じて適宜調整することができるが、通常、リン脂質組成物量として、0.0001〜0.1g/Kg体重/日を、好ましくは0.001〜0.01g/Kg体重/日を、1日に1回〜数回に分けて投与すればよい。
本発明の血液凝固反応促進剤及びトロンビン生成促進剤は、血液凝固反応系に関わる因子である活性化第X因子、活性化第V因子、又はプロトロンビン等の測定試薬に含有させることにより、測定反応を促進させることができ、迅速かつ高感度に測定を行うことができる。
〔実施例1〕ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応促進作用
生体内の血液凝固因子を再構成した「活性化第X因子−プロトロンビン反応系」を構築し、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の促進作用を確かめた。
生体内の血液凝固因子を再構成した「活性化第X因子−プロトロンビン反応系」を構築し、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の促進作用を確かめた。
1.試薬
(1)第1試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、30pMの活性化第V因子、700nMのプロトロンビン、750μMのS−2238〔トロンビンの基質(色素結合合成基質);第一化学薬品〕、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第1試薬とした。
(1)第1試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、30pMの活性化第V因子、700nMのプロトロンビン、750μMのS−2238〔トロンビンの基質(色素結合合成基質);第一化学薬品〕、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第1試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.1mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.1mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(2)第2試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、100pMの活性化第X因子、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第2試薬とした。
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、100pMの活性化第X因子、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第2試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.1mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.1mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
2.操作手順
分光光度計のキュベット内に第1試薬の360μLを添加し、37℃で5分間加温した後、予め37℃で加温しておいた第2試薬の180μLをここに添加し、37℃で加温して反応させた。
分光光度計のキュベット内に第1試薬の360μLを添加し、37℃で5分間加温した後、予め37℃で加温しておいた第2試薬の180μLをここに添加し、37℃で加温して反応させた。
ここで、活性化第V因子の存在下、活性化第X因子は、プロトロンビンをトロンビンに変換する。そして、生成したトロンビンは、色素結合合成基質S−2238を分解し、p−ニトロアニリンを遊離させる。このp−ニトロアニリンは、波長405nm近辺に吸収極大を持つ。
キュベット内の溶液の波長405nmにおける吸光度の測定及び記録を、第2試薬添加の5分前から30分後まで1分毎に行った。
なお、既知濃度のトロンビンと色素結合合成基質S−2238とを反応させ、このトロンビン濃度とp−ニトロアニリンの生成速度との関係より検量線を作成した。
そして、各々の組成のリン脂質組成物を用いた場合の波長405nmにおける1分間当たりの吸光度変化量をこの検量線に当てはめ、トロンビンの生成速度(nM/min)、すなわち血液凝固反応の速度を求めた。
3.測定結果
測定結果を図1に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるリゾホスファチジルコリンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸はトロンビンの生成速度(nM/min)を示す。
測定結果を図1に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるリゾホスファチジルコリンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸はトロンビンの生成速度(nM/min)を示す。
この図より、ホスファチジルセリン単独の場合に比べてリゾホスファチジルコリンが加わることにより、トロンビンの生成速度が上がること、すなわち血液凝固反応の速度が上がることが分かる。
そして、このリゾホスファチジルコリンの濃度が増すにつれ、トロンビンの生成速度も上がってゆくこと(血液凝固反応の速度も上がってゆくこと)が分かる。
この結果より、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物は、血液凝固反応の促進作用を有することが確かめられた。
〔実施例2〕ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応促進作用
生体内の血液凝固因子を再構成した「活性化第X因子−プロトロンビン反応系」を構築し、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の促進作用を確かめた。
生体内の血液凝固因子を再構成した「活性化第X因子−プロトロンビン反応系」を構築し、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物の血液凝固反応の促進作用を確かめた。
1.試薬
(1)第1試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、30pMの活性化第V因子、700nMのプロトロンビン、750μMのS−2238〔トロンビンの基質(色素結合合成基質);第一化学薬品〕、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第1試薬とした。
(1)第1試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、30pMの活性化第V因子、700nMのプロトロンビン、750μMのS−2238〔トロンビンの基質(色素結合合成基質);第一化学薬品〕、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第1試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(2)第2試薬
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、100pMの活性化第X因子、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第2試薬とした。
下記のリン脂質組成物溶液を0.5%(v/v)、100pMの活性化第X因子、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、及び0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス−塩酸緩衝液〔pH7.5(20℃)〕を調製し、これを第2試薬とした。
なお、前記のリン脂質組成物溶液の組成を下に示した。
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(a)0.4mg/mLホスファチジルセリン及び0.4mg/mLホスファチジルコリンを含む水溶液
(b)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(c)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.4mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(d)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.6mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(e)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び0.8mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
(f)0.4mg/mLホスファチジルセリン、0.4mg/mLホスファチジルコリン及び1.2mg/mLリゾホスファチジルコリンを含む水溶液
2.操作手順
操作は、実施例1の2.操作手順に記載の通りに行った。
操作は、実施例1の2.操作手順に記載の通りに行った。
3.測定結果
測定結果を図2に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるリゾホスファチジルコリンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸はトロンビンの生成速度(nM/min)を示す。
測定結果を図2に示した。
なお、この図において、横軸はリン脂質組成物におけるリゾホスファチジルコリンの濃度(mg/mL)を示し、縦軸はトロンビンの生成速度(nM/min)を示す。
この図より、ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリンのみの場合に比べてリゾホスファチジルコリンが加わることにより、トロンビンの生成速度が上がること、すなわち血液凝固反応の速度が上がることが分かる。
そして、このリゾホスファチジルコリンの濃度が増すにつれ、トロンビンの生成速度も上がってゆくこと(血液凝固反応の速度も上がってゆくこと)が分かる。
この結果より、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンよりなるリン脂質組成物は、血液凝固反応の促進作用を有することが確かめられた。
Claims (6)
- ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有する血液凝固反応促進剤。
- 更に、ホスファチジルコリンを含有する請求項1記載の血液凝固反応促進剤。
- 止血剤として用いられる請求項1又は2記載の血液凝固反応促進剤。
- 血液凝固線溶系に関する臨床検査薬として用いられる請求項1又は2記載の血液凝固反応促進剤。
- ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルコリンを含有するトロンビン生成促進剤。
- 更に、ホスファチジルコリンを含有する請求項5記載のトロンビン生成促進剤。
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