JP5017596B2 - 凝集検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凝集検査方法に関する。
従来、血液型の判定や不規則抗体の検出には、試験管を用いた方法が用いられていた。しかしながら近年になり、特に臨床の場においては、より利便性のあるマイクロカラムやマイクロチューブを用いた遠心凝集法が普及するようになっている。例えば、特許文献1に開示される発明は、カード上に配置された細長いマイクロ反応容器に、10〜200μmのポリマー粒子やガラス粒子に代表される不溶性粒子を充填し、遠心によって効率よく、赤血球の凝集物と非凝集物を区別できる反応容器を考案している。
特許文献1に開示される反応容器では、当該カラムに入ったセファデックスゲルやガラスビーズを担体として用いる。これによって反応凝集像が試験管法に比べて明瞭になり、陰性と陽性の判定がより確実なものとなる。また、カラム上に被検血球または血清を添加すると、凝集しない血球は遠心操作により当該ゲルまたはビーズの間を通過してカラム底部に溜まるが、凝集した血球は通過できずゲルの上部に留まることになる。これにより、このような装置を利用した陽性判定は凝集の強さ(即ち、分離パターン)によって4+〜W+と段階的に判別することが可能である。
しかしながら、上述のようなカラムに充填されているゲルは各ロット間および同一カード中で均一且つ一定量で充填されていることが必要である。そうでない場合には、ゲル密度の高低やゲル量が不均一になるために、同じ環境下での分析が困難になってしまう。また、結果判定までに時間が必要であったり、専用の遠心機が必要である。
また凝集を利用する更なる方法には、マイクロプレート法があり、この方法には、直接凝集法と固相法がある。例えば、固相法は、プレート面に固相した血球膜と検体血清を反応後に抗IgG抗体感作赤血球などを加えて凝集の有無を調べる方法である(特許文献2)。当該方法は、B/F分離が必要であり、そのため検査の工程数が多くなり結果判定までの時間が長くなる。それに伴って廃棄物も増えてしまう。また、固相法は、安定した反応結果を得るためにはプレート面へ固相する血球膜をモノレイヤー(即ち、単層)にする必要があり、更に、洗浄により血球膜が剥離する可能性があるために検査の実施には熟練した技術が必要である。
更に、フローサイトメーターによる測定法(即ち、FCM)も提案されている。当該方法では、サンプル中に存在する細胞の特性を、散乱光や蛍光などの光などを利用して個々の細胞毎に迅速且つ高感度に測定できる方法である。しかしながら、この方法ではB/Fを必要とするため遠心洗浄の操作が必要である。また、FCMのサンプルは、細胞浮遊液(即ち、液中に細胞が1個ずつ分離および/または浮遊しているもの)を用いるのが一般的であり、凝集塊をFCMで測定することも可能ではあるが、弱い陽性反応を示す凝集と、自然凝集等による非特異的な凝集塊を分別できない。さらに、凝集が強い場合や血球濃度が高い場合には、細胞が通過するフローセルを詰まらせる原因となるため使用できない。そのため固定した血球を使用する必要があるなど、操作に手間が掛かる。
特公平8−7215号公報 特開平8−211061号公報
以上の状況から本発明の目的は、簡便且つ短時間に実施することが可能な凝集検査方法を提供することである。
上記目的を解決するための鋭意研究の結果、本発明者らは以下のような手段を見出した。即ち、
(1) 凝集検査方法であって、以下のことを具備する方法:
(a)特異的な結合対を形成可能な第1の物質を具備する粒子を凝集して凝集塊を得ることと、
(b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて反応物を得ることと、
(c)前記反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
(d)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であって、検出可能な標識物質を付された抗体を(c)で得られた前記フィルター上の反応物と反応させることと、
(e)前記検出可能な標識物質を検出すること;
(2) (1)に記載の凝集検査方法であって、前記粒子が対象より採取された血球であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法;
(3) (1)に記載の凝集検査方法であって、前記第2の物質が対象より採取された抗体であり、前記第1の物質が前記抗体に対する抗原を具備する粒子である方法;
(4) (1)〜(3)の何れか1項に記載の凝集検査方法であって、前記(c)の濾過することの後、および/または前記(d)の反応させることの後に洗浄することを更に具備する方法;
(5) 凝集検査方法であって、以下のことを具備する方法:
(a)特異的な結合対を形成可能な第1の物質を具備する粒子を凝集して凝集塊を得ることと、
(b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて第1の反応物を得ることと、
(c)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であり、検出可能な標識物質を付された抗体を(b)で得られた第1の反応物と反応させて第2の反応物を得ることと、
(d)前記第2の反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
(e)前記検出可能な標識物質を検出すること;
(6) (5)に記載の凝集検査方法であって、前記粒子が対象より採取された血球であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法;
(7) (5)に記載の凝集検査方法であって、前記第2の物質が対象より採取された抗体であり、前記第1の物質が前記抗体に対する抗原を具備する粒子である方法;
(8) (5)〜(7)の何れか1項に記載の凝集検査方法であって、前記(d)の濾過することの後に洗浄することを更に具備する方法;
(9) (1)〜(8)に記載の方法であって、前記粒子が、赤血球、白血球、血小板およびストローマからなる群より選択される方法;
(10) 凝集検査方法であって、以下のことを具備する方法:
(a)特異的な結合対を形成可能な第1の物質を具備する粒子からなる凝集塊を準備することと、
(b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて反応物を得ることと、
(c)前記反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
(d)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であって、検出可能な標識物質を付された抗体を(c)で得られた前記フィルター上の反応物と反応させることと、
(e)前記検出可能な標識物質を検出すること;
(11) (10)に記載の凝集検査方法であって、前記凝集塊が対象より採取された血球を含む凝集塊であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法;
(12) (10)に記載の凝集検査方法であって、前記第2の物質が対象より採取された抗体であり、前記第1の物質が前記抗体に対する抗原を具備する粒子である方法;
(13) (10)〜(12)の何れか1項に記載の凝集検査方法であって、前記(c)の濾過することの後、および/または前記(d)の反応させることの後に洗浄することを更に具備する方法;
(14) 凝集検査方法であって、以下のことを具備する方法:
(a)特異的な結合対を形成可能な第1の物質を具備する粒子からなる凝集塊を準備することと、
(b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて第1の反応物を得ることと、
(c)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であり、検出可能な標識物質を付された抗体を(b)で得られた第1の反応物と反応させて第2の反応物を得ることと、
(d)前記第2の反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
(e)前記検出可能な標識物質を検出すること;
(15) (14)に記載の凝集検査方法であって、前記凝集塊が対象より採取された血球を含む凝集塊であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法;
(16) (14)に記載の凝集検査方法であって、前記第2の物質が対象より採取された抗体であり、前記第1の物質が前記抗体に対する抗原を具備する粒子である方法;
(17) (14)〜(16)の何れか1項に記載の凝集検査方法であって、前記(d)の濾過することの後に洗浄することを更に具備する方法;
(18) (10)〜(17)に記載の方法であって、前記粒子が、赤血球、白血球、血小板およびストローマ、血液由来のペレットおよび血餅からなる群より選択される方法;
(19) (1)〜(18)に記載の方法であって、前記目の粗いフィルターは、前記粒子が非凝集の状態で強制的な手段を用いずに通過するのに必要な大きさの孔を有する方法;
(20) (1)〜(19)に記載の方法であって、当該標識物質が、色素物質、蛍光物質および化学発光物質から選択される方法;
(21) (1)〜(20)に記載の方法であって、前記凝集塊が単一の粒子を2個以上で含む方法;
(22) (1)〜(20)に記載の方法であって、前記凝集塊が単一の粒子を3個以上で含む方法;
である。
本発明によって、簡便且つ短時間に実施することが可能な凝集検査方法を提供される。
1.凝集検査方法の概念
本発明の概念を図1を用いて説明する。本発明の方法に従うと、目的とする凝集検査において扱われる粒子1(図1(1A))が、凝集塊2の形態で添加された場合(図1(1B))には通過することが不可能なフィルター4を具備する測定容器3が用いられる(図1(1C))。
従って、図1(1E)に示すように、当該粒子1が非凝集の状態で当該測定容器3に添加された場合には、当該フィルター4は粗い目を有するために当該粒子1を通過させる。
このように従来よりも粗い目のフィルター4を有する測定容器3を用いることにより、液体の試料を当該フィルター4に通過させるだけで、または更に液体によって当該フィルター4を洗い流す操作による洗浄によって凝集塊2と非凝集粒子1を容易に分離することが可能である。
このように分離した後に、当該凝集塊2に具備される抗原に対する第1の抗体5を反応させ、その後抗体5に対して、検出可能な標識物質7を具備する第2の抗体6を反応させる。その後、当該標識物質を検出する。
ここで、本発明の凝集検査方法で重要なのは、遠心力や強制吸引(または加圧)のような過度な負荷を反応後の粒子に与えないという点である。つまり、本発明では、反応後の粒子を濾過できるような目の粗いフィルターを用いて、特異物質の有無および/または標識物質の分布状態を測定することによって、特異結合と非特異的結合を分別できる。しかも、特異的に凝集した全ての粒子をフィルター上で総合的に計測でき、例えば、凝集の強度や全体の反応量も簡単に把握できるという利点を有する。
本発明に従うと、以上のような現象を利用する凝集検査、例えば、免疫学的検査などによって、簡便且つ短時間に目的とする結果を得ることが可能な凝集検査方法が提供される。
2.用語の説明
ここで使用される「粗い目のフィルター」とは、所望の凝集検査方法を実施する場合に用いられる粒子が、1個では通過し、2個以上、例えば、2個、例えば、3個、例えば、4個の場合にはフィルターの目、即ち、孔を通過せずにフィルター上に留まるような特徴を有するフィルターであればよい。フィルターを構成する材料は、それ自体当業者に公知の何れの材料であってもよく、当該フィルターの製造方法もそれ自体当業者に公知の何れの方法を用いればよい。ここで使用する「通過することが不可能な」の語は、前記粗い目のフィルターの孔を、2以上の粒子を含む凝集塊には通過できないことを意味する。
ここで使用される「粒子」は、赤血球、白血球、例えば、単球、多形核白血球など、血小板、ストローマ、抗原を付されたビーズ、例えば、抗原を付されたラテックスビーズなどであればよいが、本発明の方法においては互いに凝集する能力を有する粒子であることが望ましい。
ここで使用される「凝集塊」は、ペレットおよび血餅など採取時に形成されるものでもあってもよく、粒子として採取された後にレクチン等の植物由来の凝集素などによって人工的に凝集させたものであってもよい。
ここで使用される「凝集素」とは、例えば、レクチンなどの植物由来の物質、その他、本発明の当該検査に使用される粒子を凝集することが可能な物質であれば、天然由来の物質、合成された化合物など、何れのような物質であってもよい。
ここで使用される「第1の抗体」とは、例えば、血液型試験のうら試験の場合では、検体であり、おもて試験の場合では検出対象に結合するための試薬をいう。
ここで使用される「第2の抗体」とは、第1の抗体に対して特異的に結合する抗体であればよく、例えば、抗マウスIgM抗体および抗マウスIgG抗体などでよく、またはそれ自身当業者に公知の何れの抗体であってもよい。また、第2の抗体は検出可能な標識物質を具備するが、第2の抗体に当該標識物質を付す方法は当業者に公知の何れの方法を使用してよい。
ここで、抗体自体が検体として使用される場合には、抗体のみを精製などの手段により得る必要はなく、血清、例えば、抗A血清および抗B血清などのように血清のままで使用されてもよい。
本発明の方法に従い、初めに用意され用いられる被検物質が粒子であるか、凝集塊であるかは、所望の試験の種類に応じて選択すればよく、その選択については、これに限定されるものではないが以下の本発明の態様例によって理解されるであろう。
ここで使用される「検出可能な標識物質」とは、種々の色素物質、化学発光物質、蛍光物質などの当業者にそれ自身公知の何れの検出可能な標識物質をいう。例えば、ヘモグロビンの抜けた赤血球であるストローマを本発明において使用する場合、当該ストローマには色素が存在しないので何れの標識物質であっても都合がよい。例えば、肉眼で検出可能な色素物質などの標識物質を使用してもよく、その場合には、肉眼で観察することが可能である。そのような肉眼による観察によって検出が行われてもよい。この場合、高価な装置を必要とせずに検出が可能であるので有利である。
また、他の例えば色素を有する細胞およびビーズ等の何れを使用した場合であっても、当該検出可能な標識物質によって、感度よく、且つ数値として結果を得ることが可能であり有用である。また更に、当該検出は、所望の反応および任意の洗浄を行った後に、測定容器3に具備されるフィルター4を観察および/またはスキャンし、検出可能な標識物質7の有無を判定することによって、血液型などを判定してもよい。この場合の観察および/またはスキャンは、肉眼で行ってもよく、顕微鏡などを行ってもよい。また、本発明に従う当該凝集検査方法においては、CCDカメラおよび画像処理機などによって得た画像を基に検出を行って必要な判定を下してもよい。
ここで使用される「特異的な結合対」とは、互いに特異的に結合する2つの物質からなる対をいう。
ここで使用される「免疫学的検査」とは、血液型試験、例えば、血液型ABOのおもて試験、うら試験および不規則抗体検査、ホルモン、ウイルス、腫瘍マーカーおよび薬物などを検出するための検査であってもよく、また互いに特異的に結合することが可能な結合対をなす2つの物質が特異的に結合する反応を利用した何れの反応を利用した検査であってもよい。本発明の免疫学的検査は、例えば、抗原抗体反応を利用した検査が好ましい。
3.本発明の態様
(1)血液型試験
(a)うら試験のための態様
図2を用いて、本発明の方法の1態様に従い血液型試験のうら試験について説明する。
うら試験では、対象より採取された抗体が試料となる。検出しようとする検体に特異的に結合する抗原は、そのような抗体を具備する天然の供給源、例えば、ヒトおよびヒト以外の動物などから採取された、または商業的に入手された血球、ペレット、ストローマおよび血餅であればよい。
ストローマの製造は、当業者にそれ自身公知の何れの方法によって行われてもよい。また、血餅を用いる場合には、使用される血餅がフィルターを覆い尽くし、フィルターを必要以上に詰まらせる程に大型のものは好ましくなく、また、抗原抗体反応に関与しなかった物質、例えば、抗体および単一の粒子が粗い目のフィルターを通過できる程度の大きさであることが望ましい。他の抗体供与体(即ち、本発明に従う抗体を具備する何れかの物質)に対しても同様のことがいえる。
次に、試験工程について説明する。
図2(2A)に示した凝集塊22と被検抗体25を予め混合することにより特異的反応、即ち、抗原抗体反応を生じせしめる。次にこれを、測定容器23のフィルター24に添加して濾過する。被検抗体25が検出しようとする型の検体であった場合には、凝集塊に22に被検抗体25は特異的に結合する。しかしながら、検出しようとする型でない場合には、このような特異的な結合は生じない。このとき、当該抗体25のフィルター24への非特異的な結合を防止するために、当該フィルター24を、例えば、適切な液体、例えば、生理食塩水などを用いて洗浄することが好ましい。
その後、第2の抗体27を含む液体を当該測定容器23のフィルター24に対して濾過する。第2の抗体27は、フィルター24上の凝集塊22に第1の抗体である検体25が存在している場合には、検体25に特異的に結合する。このとき、当該第2の抗体27のフィルター24や他の箇所への非特異的な結合を防止するために、当該フィルター24を例えば、適切な液体、例えば、生理食塩水などを用いて洗浄することが好ましい。
その後に、検出可能な標識物質27の検出を行いその存在の有無を判定することにより、血液型うら試験の結果を得ることが可能である。
検出可能な標識物質27の検出は、使用された標識物質に応じて肉眼で行ってもよく、蛍光または発光などをそれらを検出可能な顕微鏡などで検出してもよく、また、検出可能な標識物質に応じたそれ自身当業者に公知の何れの検出器を用いて検出してもよい。
凝集塊22と被検抗体25との反応は、測定容器23に添加する前に行ってもよく、凝集塊22のみを測定容器23に添加した後で被検抗体25を添加することにより行ってもよい。
上述のような本発明の態様に従うと、強制的な吸引などが不要な、簡便且つ短時間に実施できる凝集検査方法が提供される。
(b)抗A抗体を検出するための1態様
例えば、上記のうら試験において、被検対象がB型であった場合、検体は抗A抗体となる。図2を参照されたい。まず、A型抗原を具備する赤血球を用意し、これをレクチンによって凝集させ凝集塊22を得る。次に、当該凝集塊22と抗A抗体である検体25を反応させる。更に、これを測定容器23に添加する。その後、第2の抗体26である検出可能に標識された抗体、例えば、蛍光標識された抗マウスIgMを当該測定容器23に添加する。
第2の抗体26の反応対象である第1の抗体は、従来よりも大きな凝集塊22に数多く結合しているため、当該第2の抗体26は容易に第1の抗体25に特異的に結合する。更に、当該フィルター24を洗浄することにより、非結合の第2の抗体26および非特異的にフィルター24等に結合した第2の抗体26を洗浄することが可能である。
その後、当該検出可能に標識された、ここでは例として蛍光標識された抗マウスIgMに由来する蛍光強度を測定する。
判定は、当該標識、ここでは当該蛍光強度のデータを基に行えばよい。
また、上述の方法では、第2の抗体26は凝集塊22を測定容器23に添加した後に、別途、測定容器23に添加する例を示したが、予め、第1の抗体25および凝集塊22と第2の抗体26とを混合し、反応させた後で、判定容器23に添加してもよい。更に、その後、当該判定容器23のフィルター24を任意に洗浄してもよい。
また、上述したうら試験のための本発明に従う方法を用いて、不規則抗体試験も同様に行うことが可能である。その場合、検出しようとする不規則抗体に対応する所望の抗原を有する血球などの粒子を選択し、使用すればよい。そのような選択は、当業者であれば公知である。
上述のような本発明の態様に従うと、強制的な吸引などが不要な、簡便且つ短時間に実施することが可能な凝集検査方法が提供される。
(c)おもて試験のための1態様
図3を用いて、本発明の方法の1態様に従い血液型試験のおもて試験について説明する。
ABO血液型試験のおもて試験では、対象から得た血球が検体となる(図3(3A))。当該血球検体である粒子31を、レクチンなどの凝集素によって凝集塊32を形成する(図3(3B))。これを測定容器33に添加し、フィルター34で濾過する。その後、第1の抗体35としての抗A抗体および/または抗B抗体を添加し、凝集塊32と反応させる。次に、第2の抗体36を当該第1の抗体35と反応し、検出可能な標識物質37を検出し、血液型を判定する。第1の抗体35として抗A抗体を使用する場合には、抗A抗体に対する抗体を使用すればよく、抗B抗体を使用する場合には、抗B抗体に対する抗体を使用すればよい。抗A抗体と抗B抗体を同時に使用する場合には、識別可能に標識された2種類の第2の抗体を使用してもよく、或いは何れか一方に特異的に結合する第2の抗体を使用してもよい。
ここで、上述の凝集塊32をフィルター34で濾過した後、または第1の抗体35を添加して当該反応を行った後で、任意に当該フィルター34の洗浄を行ってもよい。また、ここでは第1の抗体と検出可能な標識物質37を付与された第2の抗体を使用する例を示したが、第2の抗体を使用せずに、第1の抗体に検出可能な標識物質を付与し、その標識物質を検出することにより判定を行ってもよい。
また、上述の態様では、検体として血球を使用したが、それ以外の検体を使用してもよい。例えば、任意の抗原を具備する天然または人工的な粒子を目的とする抗原の担体として使用してもよい。そのような抗原を具備する担体の製造方法は、それ自身公知の何れかの方法を使用してよい。
上述のような本発明の態様に従うと、強制的な吸引などが不要な、簡便且つ短時間に実施することが可能な凝集検査方法が提供される。
上述した本発明に従う凝集検査方法は、ABO型およびRh型血液型試験のおもて試験およびうら試験、並びに不規則抗体検査など、またその他の抗原抗体反応を利用する何れの試験においても利用することが可能である。また、抗原抗体反応以外にも、特異的に互いに結合することが可能な結合対に関して、一方の結合対の存在の有無を判定するために使用されてもよい。
このような試料の添加および任意の洗浄を行った後に、測定容器33に具備されるフィルター34を観察し、検出可能な標識物質37の有無を判定することにより、血液型を判定すればよい。この場合の観察は、肉眼で行ってもよく、顕微鏡などを行ってもよく、また、当該凝集検査方法における検出を、CCDカメラおよび画像処理機などにより得た画像を基に行い、所望の判定を行ってもよい。
(d)更なる態様
図4を用いて本発明の方法に従う更なる態様を説明する。このような態様は、おもて試験、うら試験および不規則抗体などの血液型試験、その他の何れの免疫学的検査に用いることが可能である。
まず、特異的な結合対のうちの第1の物質(即ち、特異的な結合対を形成可能な第1の物質)を具備する粒子41を準備し(図4(4A))、この粒子41から天然にまたは人工的な手段を介して凝集塊42を得る。当該凝集塊42に対して、当該結合対のうちの第2の物質45(即ち、第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質。図4においては例として抗体を示す)を反応させ、第1の反応物48を得る(図4(4B))。更に、第1の反応物48と、第2の物質45に特異的に結合する抗体に標識物質47が付与された抗体46とを反応させ、第2の反応物49を得る(図4(4C))。次に第2の反応物を測定容器43に具備されたフィルター44で濾過し、任意に所望の液体により洗浄する(図4(4E))。最後にフィルター44上に存在する標識物質47の有無を検出し、目的とする試験の判定を行う。
ここで記載した、所望の液体により洗浄するということを実施するか否かは任意であるとしたが、非特異的な結合により付着している第2の物質45および抗体46の影響を避けるためには、当該洗浄を行った方が好ましい。
上述のような本発明の態様に従うと、強制的な吸引などが不要な、簡便且つ短時間に実施することが可能な凝集検査方法が提供される。
上述した本発明に従う凝集検査方法は、ABO型およびRh型血液型試験のおもて試験およびうら試験、並びに不規則抗体検査、その他の抗原抗体反応を利用する何れの試験においても利用することが可能である。また、抗原抗体反応以外にも、特異的に互いに結合することが可能な結合対に関して、結合対の一方の存在の有無を判定するために使用されてもよい。
なお、上述した例では血液型や抗体等の免疫学的検査について説明したが、本発明は免疫学的検査に限定されることなく、生化学ないし遺伝学的検査にも適用可能である。
本発明に従う方法の概念を示すスキーム図。 本発明に従う方法の1態様を示すスキーム図。 本発明に従う方法の1態様を示すスキーム図。 本発明に従う方法の1態様を示すスキーム図。
符号の説明
1 粒子
2 凝集塊
3 測定容器
4 フィルター
5 第1の抗体
6 第2の抗体
7 検出可能な標識物質
22 凝集塊
23 測定容器
24 フィルター
25 被検抗体
26 第2の抗体
27 検出可能な標識物質
31 粒子
32 凝集塊
33 測定容器
34 フィルター
35 第1の抗体
36 第2の抗体
37 検出可能な標識物質
41 粒子
42 凝集塊
43 測定容器
44 フィルター
45 第2の物質
46 抗体
47 検出可能な標識物質
48 第1の反応物
49 第2の反応物

Claims (18)

  1. 免疫学的検査方法であって、
    (a)第1の物質を具備する粒子をレクチンにより凝集させて凝集塊を得ることと、
    (b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて反応物を得ることと、
    (c)前記反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
    (d)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であって、検出可能な標識物質を付された抗体を(c)で得られた前記フィルター上の反応物と反応させることと、
    (e)前記検出可能な標識物質を検出することと、
    (f)(e)の結果に基づいて、第1の物質と、第2の物質との反応の有無および/または強度について判定することと
    を具備し、前記第1の物質が抗原または抗体であり、前記第2の物質が抗体または抗原である方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記粒子が対象より採取された血球であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、前記(c)の濾過することの後、および/または前記(d)の反応させることの後に洗浄することを更に具備する方法。
  4. 免疫学的検査方法であって、
    (a)第1の物質を具備する粒子をレクチンにより凝集させて凝集塊を得ることと、
    (b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて第1の反応物を得ることと、
    (c)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であり、検出可能な標識物質を付された抗体を(b)で得られた第1の反応物と反応させて第2の反応物を得ることと、
    (d)前記第2の反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
    (e)前記検出可能な標識物質を検出すること
    (f)(e)の結果に基づいて、第1の物質と、第2の物質との反応の有無および/または強度について判定することと、
    を具備し、前記第1の物質が抗原または抗体であり、前記第2の物質が抗体または抗原である方法
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記粒子が対象より採取された血球であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法。
  6. 請求項4または5に記載の方法であって、前記(d)の濾過することの後に洗浄することを更に具備する方法。
  7. 請求項1〜6に記載の方法であって、前記粒子が、赤血球、白血球、血小板およびストローマからなる群より選択される方法。
  8. 免疫学的検査方法であって、
    (a)レクチンにより凝集された第1の物質を具備する粒子からなる凝集塊を準備することと、
    (b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて反応物を得ることと、
    (c)前記反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
    (d)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であって、検出可能な標識物質を付された抗体を(c)で得られた前記フィルター上の反応物と反応させることと、
    (e)前記検出可能な標識物質を検出することと、
    (f)(e)の結果に基づいて、第1の物質と、第2の物質との反応の有無および/または強度について判定することと、
    を具備し、前記第1の物質が抗原または抗体であり、前記第2の物質が抗体または抗原である方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記凝集塊が対象より採取された血球を含む凝集塊であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法。
  10. 請求項8または9に記載の方法であって、前記(c)の濾過することの後、および/または前記(d)の反応させることの後に洗浄することを更に具備する方法。
  11. 免疫学的検査方法であって、
    (a)レクチンにより凝集された第1の物質を具備する粒子からなる凝集塊を準備することと、
    (b)前記第1の物質と特異的な結合対を形成する第2の物質を前記凝集塊と反応させて第1の反応物を得ることと、
    (c)前記第2の物質に特異的に結合する抗体であり、検出可能な標識物質を付された抗体を(b)で得られた第1の反応物と反応させて第2の反応物を得ることと、
    (d)前記第2の反応物を目の粗いフィルターで濾過することと、
    (e)前記検出可能な標識物質を検出することと、
    (f)(e)の結果に基づいて、第1の物質と、第2の物質との反応の有無および/または強度について判定することと、
    を具備し、前記第1の物質が抗原または抗体であり、前記第2の物質が抗体または抗原である方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記凝集塊が対象より採取された血球を含む凝集塊であり、前記第1の物質が前記血球に具備される抗原であり、前記第2の物質が前記抗原に対する抗体である方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法であって、前記(d)の濾過することの後に洗浄することを更に具備する方法。
  14. 請求項8〜13に記載の方法であって、前記粒子が、赤血球、白血球、血小板およびストローマ、血液由来のペレットおよび血餅からなる群より選択される方法。
  15. 請求項1〜14に記載の方法であって、前記目の粗いフィルターは、前記粒子が非凝集の状態で強制的な手段を用いずに通過するのに必要な大きさの孔を有する方法。
  16. 請求項1〜15に記載の方法であって、当該標識物質が、色素物質、蛍光物質および化学発光物質から選択される方法。
  17. 請求項1〜16に記載の方法であって、前記凝集塊が単一の粒子を2個以上で含む方法。
  18. 請求項1〜16に記載の方法であって、前記凝集塊が単一の粒子を3個以上で含む方法。
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