JP5012606B2 - 溶融スラグの冷却処理方法およびスラグ製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉脱炭精錬スラグなどのような塩基度が比較的高い溶融スラグを冷却処理するための方法と、この冷却処理方法を用いたスラグ製品の製造方法に関する。
鉄鋼製造プロセスで発生する溶融スラグ(例えば、製鋼スラグ)の多くは、冷却ヤードにおいて放冷した後、散水して冷却される。また、一部では、パン冷却方式と呼ばれる鉄製の容器に流し込んで散水冷却する方法も採られることがある。
一方、高炉スラグやごみ焼却灰溶融スラグなどの溶融スラグを冷却処理するための装置として、双ドラム方式のスラグ冷却処理装置が知られている(例えば、特許文献1など)。このスラグ冷却処理装置は、水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラムを備えており、この1対の冷却ドラムの上部外周面間に上方から溶融スラグが供給され、スラグ液溜まりが形成される。このスラグ液溜まりから、回転する冷却ドラムの表面に付着することで溶融スラグが持ち出され、この溶融スラグは冷却ドラム面に付着した状態で適度な凝固状態(例えば、半凝固状態または表層のみ凝固した状態)まで冷却された後、所定のドラム回転位置において自重により冷却ドラム面から剥離し、回収手段に回収される。
このような冷却処理装置で溶融スラグを冷却処理することにより、(i)従来のような広大な冷却ヤードが必要ない、(ii)厚みの小さいスラグ凝固体が得られるため、所望の粒度の土木材料や粗骨材などへの加工が容易であるとともに、破砕処理して粒状スラグを製造する際の粉や細粒品の発生量が少ないため、製品歩留まりが向上する、(iii)冷却のための散水が不要であるか若しくは散水量が少なくて済むため、水分を含まない若しくは水分量が少ないスラグが得られ、セメント原料などに供する場合に乾燥処理を必要としない、などの利点がある。
特許第3613106号公報
しかし、転炉脱炭精錬スラグなどのように塩基度[質量比:%CaO/%SiO](以下、単に「塩基度」という)が比較的高い溶融スラグは粘性が高く、このような粘性の高い溶融スラグを上記のような従来のスラグ冷却処理装置で冷却処理する場合、高粘性のために溶融スラグが冷却ドラム面に均一に付着しにくく、ドラム面全体を有効に使用した冷却処理を行うことができない。このため溶融スラグの冷却効率が低く、高い生産性が得られないことが判った。また、塩基度が高いスラグ(特に、塩基度≧3)は粉化しやすく、このようなスラグは溶融状態から急冷することにより、粉化しにくくすることができるが、従来のスラグ冷却処理装置で冷却処理した場合、高粘性のために厚みを薄くすることができず、十分な冷却速度が得られないため、冷却後の粉化を適切に抑制できないことが判った。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、双ドラム方式のスラグ冷却処理装置を用い、比較的塩基度が高く、粘性のある溶融スラグを効率的に冷却処理することができ、また、特に塩基度が高いスラグであっても粉化しにくいスラグ凝固体を得ることができる溶融スラグの冷却処理方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような冷却処理方法を用いたスラグ製品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
スラグ展伸手段(2)が、冷却ドラム(1)の上部外周面に付着した溶融スラグを圧延して展伸させる圧延ロールであることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
[2]水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
スラグ展伸手段(2)が、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で振り分けて供給する供給手段であることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
[3]水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
スラグ展伸手段(2)が、冷却ドラム(1)の軸心に付与された傾斜と、軸心が傾斜した冷却ドラム(1)の高所側の上部外周面に溶融スラグを供給する供給手段からなることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの冷却処理方法で冷却され、凝固したスラグを破砕処理または/および磨砕処理して粒状のスラグ製品を得ることを特徴とするスラグ製品の製造方法。
本発明による溶融スラグの冷却処理方法によれば、スラグ展伸手段(2)が、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させるので、比較的塩基度が高く、粘性のある溶融スラグを高い冷却効率で冷却することができ、高い生産性でスラグ凝固体を得ることができる。また、溶融スラグを高い冷却速度で冷却できるので、特に塩基度が高いスラグについても粉化しにくいスラグ凝固体を得ることができる。
また、本発明によるスラグ製品の製造方法によれば、上記のような冷却処理方法を用いることにより、所望の粒度を有し、且つ粉化しにくいスラグ製品を低コストに安定して製造することができる。
本発明において冷却処理の対象となるスラグは、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO](以下、単に「塩基度」という)が2以上の溶融スラグであり、一般にこのような塩基度の溶融スラグは粘性が高い。スラグは塩基度≧2であればよく、種類に制限はないが、例えば、普通鋼およびステンレス鋼の転炉脱炭精錬スラグ、脱燐スラグ、電気炉スラグなどの製鋼スラグ、鉄鉱石やクロム鉱石などの鉱石溶融還元スラグ、廃棄物ガス化溶融スラグ、ごみ焼却灰溶融スラグなどが挙げられる。
図1〜図3は、本発明による溶融スラグの冷却処理方法の一実施形態を模式的に示すもので、図1は正面図、図2は平面図、図3は冷却ドラムに付設された圧延ロールの作用を示す説明図である。
本発明法で使用する溶融スラグの冷却処理装置は、水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム1a,1bを備えている。この冷却ドラム1a,1bは、駆動装置(図示せず)により上記の回転方向に回転駆動する。なお、冷却ドラム1a,1bは、操業条件に応じて回転数を制御できるようにすることが好ましい。
この1対の冷却ドラム1a,1bは、本実施形態では互いの外周面が接しているが、冷却ドラム1a,1b間に他の部材(例えば、スラグ液溜まりAにガスなどの流体を供給するための流体供給手段を備えた部材)を介在させ、両冷却ドラム1a,1bの外周面がこの部材に接するような構造としてもよい。
前記冷却ドラム1a,1bの内部には、冷媒を通すための流路を有する内部冷却機構(図示せず)が設けられ、この内部冷却機構に対する冷媒供給部と冷媒排出部がドラム軸の各端部に各々設けられている。なお、冷媒には一般に水(冷却水)が用いられるが、他の流体(液体または気体)を用いてもよい。
また、冷却ドラム幅方向の両端側には、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間に形成される断面V溝状の凹部(スラグ液溜まりAが形成される凹部)の両端を塞ぐための堰板8が、冷却ドラム1a,1bの端面に接するようにして設けられている。この堰板8は、適当な支持部材を介して装置本体(基体)に支持される。なお、特開2001−208483号公報に示されるように、一方の冷却ドラム(例えば、冷却ドラム1a)の幅方向両端にフランジを形成するとともに、このフランジが他方の冷却ドラム(例えば、冷却ドラム1b)の端面に接するようにし、このフランジによって堰板8が形成されるような構造としてもよい。
なお、溶融スラグの粘性や供給量・供給形態などからして、溶融スラグが冷却ドラム1a,1b間の幅方向両端から流出するおそれがない場合には、上記堰板8は設けなくてもよい。
前記冷却ドラム1a,1bの上部には、スラグ展伸手段2である圧延ロール3が冷却ドラムと平行に設けられている。この圧延ロール3は、冷却ドラム1a,1bの上部外周面に付着した溶融スラグSを圧延してドラム幅方向に展伸させるもので、その外周面30が、冷却ドラム1a,1bの外周面との間で所定の間隔tを形成するようにして、支持アーム9に回転自在に支持されている。本実施形態では、支持アーム9の先端(下端)に上下方向に長い長円形の軸受孔90が形成され、この軸受孔90に圧延ロール3のロール軸31が上下スライド可能に支持されている。したがって、本実施形態の圧延ロール3は非駆動であり、その自重で冷却ドラム1a,1bの上部外周面に付着した溶融スラグSを間隔tの厚さに圧延する。
本実施形態のように、圧延ロール3を支持アーム9に上下スライド可能に支持させることにより、冷却ドラム面に付着した溶融スラグ中に固い塊状物が含まれている場合でも、圧延ロール3が上方に逃げることにより塊状物を通過させることができる。
なお、圧延ロール3は、冷却ドラム面との間で所定の間隔tを有するように、支持アーム9に対して回転自在に固定的に支持させる構造としてもよい。この場合、圧延ロール3を上下方向で位置調整可能とし、間隔tを調整できるようにすることが好ましい。また、圧延ロール3は駆動ロールとしてもよい。
圧延ロール3は、冷却ドラム面に付着した溶融スラグSを圧延して展伸させるものであるため、その外径は冷却ドラム1a,1bの外径よりも十分小さくてよいが、ロール長さが長くなるとスラグ熱や自重で撓み、冷却ドラム面との間隔tがドラム幅方向でバラツキやすくなるため、ロール長さやロール剛性に応じて外径を選択することが好ましい。
また、圧延ロール3についても、前記冷却ドラム1a,1bと同様の内部冷却機構を備えた方が、溶融スラグの冷却効率および圧延ロールの耐久性の観点から好ましい。
前記冷却ドラム1a,1bの上方には、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間(断面V溝状の凹部)に溶融スラグSを供給するためのスラグ樋4が配置される。このスラグ樋4には、スラグ鍋5から溶融スラグSが供給される。
各冷却ドラム1a,1bの側方(外側)には、冷却されて冷却ドラム面から剥離したスラグSxを受け取り、搬送するための搬送コンベア6が配置されている。冷却ドラム1a,1bの表面に付着して冷却されるスラグは、冷却ドラム面がドラム下方側に回り込み始める回転位置において自重により冷却ドラム面から剥離するので、本実施形態の搬送コンベア6は、このようして剥離するスラグSxを受けられるような高さ位置に配置されている。なお、冷却ドラム面から剥離したスラグSxを搬送コンベア6にガイドするためのガイド部材を設けてもよい。
搬送コンベア6の搬送先には、スラグSxを受け入れ、このスラグSxを冷媒で冷却することにより熱回収を行うためのスラグバケット7が設けられている。なお、搬送コンベア6を設けることなく、冷却ドラム1a,1bとスラグバケット7間にシュートを設け、冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxを、このシュートを介してスラグバケット7に装入するようにしてもよい。
本実施形態の溶融スラグの冷却処理方法では、対向する外周部分が上向きに回転する冷却ドラム1a,1bの上部外周面間(断面V溝状の凹部)に、スラグ樋4から塩基度≧2の溶融スラグSが供給され、スラグ液溜まりAが形成される。溶融スラグSは、回転する冷却ドラム1a,1bの表面に付着することでスラグ液溜まりAから持ち出される。ここで、粘性の高い溶融スラグSは、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間に供給されても、図2に示すようにドラム幅方向(ドラム軸方向)に広がりにくく、このため回転する冷却ドラム面によりスラグ液溜まりAから持ち出される溶融スラグSは、ドラム幅方向で冷却ドラム面に不均一に付着した状態(冷却ドラム面に局部的に付着した状態)になる。このままの状態では、溶融スラグSの冷却効率が非常に悪く、しかも、スラグが冷却ドラムから剥離する際に凝固状態が不均一になり、品質にバラツキを生じる。本発明ではこのように冷却ドラム面に不均一に付着した溶融スラグSは、図3に示すように圧延ロール3で圧延されることでドラム幅方向に展伸される。これにより、溶融スラグSの冷却効率が高まるとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなる。溶融スラグSは冷却ドラム面に付着した状態で適度な凝固状態(例えば、半凝固状態または表層のみ凝固した状態)まで冷却された後、所定のドラム回転位置において自重により冷却ドラム面から自然に剥離し、この剥離したスラグSxはそのまま搬送コンベア6に受け取られ、この搬送コンベア6で搬送されスラグバケット7に装入される。なお、搬送コンベア6の搬送速度は、冷却ドラム1a,1bの周速とほぼ一致している。
スラグSxを搬送コンベア6からスラグバケット7などに払い出す際には、必要に応じて、スラグSxを適当な手段で粗破砕してもよい。
以上のように、溶融スラグSがスラグ展伸手段2である圧延ロール3によってドラム幅方向に展伸される結果、溶融スラグSの厚みが薄くなってスラグの冷却効率が高まり、生産性が向上するとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなるため、粉化しにくいスラグ凝固体を得ることができる。また、スラグの凝固状態が均一化し、均一な品質のスラグ凝固体を得ることができる。
スラグバケット7内には冷媒が供給され、スラグSxの冷却が行われる。なお、冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxの冷却は、他の手段や場所で行ってもよい。冷却されたスラグSxはスラグ製品とするための破砕処理または/および磨砕処理のための工程に送られ、さらに必要に応じて、篩い分けなどによる整粒が施される。
通常、冷却ドラム1a,1bによる冷却が完了した直後のスラグSxは、適度な凝固状態(例えば、半凝固状態または表層のみ凝固した状態)にあるが、未だ可塑性を有しているので、冷却ドラム面から剥離し、搬送コンベア6に受け取られるスラグSxは板状の連続体である。ただし、スラグSxの厚さや凝固の程度によっては、冷却ドラム面から剥離し、搬送コンベア6に受け取られる間に板状スラグの連続体が千切れることもあるが、特に問題はない。
図4は、スラグ展伸手段2として圧延ロール3を用いる本発明法の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
この実施形態では、各冷却ドラム1a,1bに対して、複数の圧延ロール3x〜3zを配置したものである。具体的には、冷却ドラム回転方向の上流側位置におけるドラム幅方向中央部に圧延ロール3xを配置するとともに、冷却ドラム回転方向の下流側位置におけるドラム幅方向両側部分に、圧延ロール3y,3zを配置したものである。圧延ロール3y,3zのドラム幅方向での圧延範囲は、圧延ロール3xのドラム幅方向での圧延範囲と一部ラップしている。このように冷却ドラム回転方向の上流側と下流側に圧延ロール3x〜3zを配置することにより、冷却ドラム面上の溶融スラグSを段階的に順次展伸させることができる。本実施形態のように短い圧延ロール3x〜3zは、長手方向の撓みが小さいので、冷却ドラム幅方向でスラグの圧延厚さを均一にするのに有利である。
なお、その他の装置構成と冷却処理形態は、図1〜図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略するか、若しくは図示を省略する。
図9は、圧延ロール3の内部冷却機構の一実施形態を示している。圧延ロール3は、その内部に冷媒流路10を有するとともに、ロール軸31a,31bの軸方向に沿って冷媒通路11a,11bを有している。本実施形態では、圧延ロール3の内部を単純な中空状にしてこの中空部を冷媒流路10とし、この冷媒流路10の両端に前記冷媒通路11a,11bが連通した構造としてある。このような構造としたのは、次のような理由による。スラグ冷却処理装置では、冷媒を通じてスラグ顕熱の回収を行うことが好ましく、その場合のスラグ冷却・熱回収の形態の一つとして、冷媒流路を流れる冷却水の蒸発潜熱によりスラグを冷却し、その蒸気を冷媒流路から回収することが考えられる。ここで、圧延ロール3は、その下部のみが溶融スラグと接触して常に熱されるので、本実施形態のようにロール内部を中空にして冷媒流路10を構成した場合、その内部の冷却水は熱されて沸騰し、熱水の対流が生じる。このため、冷媒通路11aから冷媒流路10内に導入された冷却水は、すぐに冷媒通路11bから流出するのではなく、上記のような熱水の対流によって冷媒流路10内に適当に留まって冷媒として機能するとともに、その蒸発潜熱により少ない冷却水量で高い冷却効果が得られる。一方、冷媒流路10内で発生した蒸気は、冷媒流路10を出てから冷媒循環路の途中で容易に分離・回収することができる。
また、本発明法では、スラグ展伸手段2を、溶融スラグSを冷却ドラム1a,1bの上部外周面にドラム幅方向で振り分けて供給する供給手段で構成することができる。図5および図6は、そのような本発明法の一実施形態を模式的に示すもので、図5は平面図、図6は側面図である。
この実施形態では、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間(断面V溝状の凹部)に溶融スラグSを供給するためのスラグ樋4xを、1対の冷却ドラム1a,1b間の上方位置にドラム幅方向に沿って配置するとともに、このスラグ樋4xの先端側を上下方向回動可能とし、溶融スラグSをドラム幅方向で振り分けて供給できるようにしたものである。
すなわち、この実施形態では、スラグ樋4xから冷却ドラム1a,1bの上部外周面間に溶融スラグSを供給する際に、図6に示すようにスラグ樋4xの先端側を上下方向で回動させ、溶融スラグSをドラム幅方向で振り分けて供給するものであり、これにより、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間には、ドラム幅方向で一様なスラグ液溜まりAが形成され、このため冷却ドラム面には、溶融スラグSがドラム幅方向で均一に付着する。これにより、溶融スラグSの冷却効率が高まるとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなる。溶融スラグSは冷却ドラム面に付着した状態で適度な凝固状態(例えば、半凝固状態または表層のみ凝固した状態)まで冷却される。
なお、その他の装置構成と冷却処理形態は、図1〜図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略するか、若しくは図示を省略する。
以上のように、スラグ展伸手段2である溶融スラグ供給手段(スラグ樋4x)によって溶融スラグSがドラム幅方向に展伸される結果、溶融スラグSの冷却効率が高まり、生産性が向上するとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなるため、粉化しにくいスラグ凝固体を得ることができる。また、スラグの凝固状態が均一化し、均一な品質のスラグ凝固体を得ることができる。
溶融スラグSを冷却ドラム1a,1bの上部外周面にドラム幅方向で振り分けて供給する供給手段としては、本実施形態のような上下方向に回動するスラグ樋4xの他に、(i)冷却ドラム1a,1bの上部外周面間の上方を水平移動して溶融スラグSを供給する手段、(ii)水平方向に回動することで先端が冷却ドラム1a,1bの上部外周面間上を移動するスラグ樋、など適宜な構成のものを使用することができる。
また、本発明法では、スラグ展伸手段2を、冷却ドラム1a,1bの軸心に付与された傾斜と、この軸心が傾斜した冷却ドラム1a,1bの高所側に溶融スラグを供給する供給手段で構成することができる。図7および図8は、そのような本発明法の一実施形態を模式的に示すもので、図7は正面図、図8は側面図である。
この実施形態では、冷却ドラム1a,1bの軸心を水平方向に対して傾斜角θだけ傾斜させ、この軸心が傾斜した冷却ドラム1a,1bの高所側の上部外周面間に、スラグ樋4から溶融スラグSを供給するようにしたものである。
このようにして供給された溶融スラグSは、ドラム幅方向で高所側から低所側に流れ、冷却ドラム1a,1bの上部外周面間(断面V溝状の凹部)には、ドラム幅方向で一様なスラグ液溜まりAが形成され、このため冷却ドラム面には、溶融スラグSがドラム幅方向で均一に付着する。これにより、溶融スラグSの冷却効率が高まるとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなる。溶融スラグSは冷却ドラム面に付着した状態で適度な凝固状態(例えば、半凝固状態または表層のみ凝固した状態)まで冷却される。
前記傾斜角θの大きさは特に限定されないが、傾斜角θが小さすぎると溶融スラグSをドラム幅方向に展伸させる効果が乏しく、一方、大きすぎると適正なスラグ液溜まりAを形成することが難しくなるなどの問題を生じるため、傾斜角θは3°以上であって、10°以下とすることが好ましい。
なお、その他の装置構成と冷却処理形態は、図1〜図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略するか、若しくは図示を省略する。
以上のように、スラグ展伸手段2である、冷却ドラムの軸心に付与された傾斜角θと溶融スラグ供給手段(スラグ樋4)によって溶融スラグSがドラム幅方向に展伸される結果、溶融スラグSの冷却効率が高まり、生産性が向上するとともに、溶融スラグSの冷却速度も高くなるため、粉化しにくいスラグ凝固体を得ることができる。また、スラグの凝固状態が均一化し、均一な品質のスラグ凝固体を得ることができる。
次に、以上述べた各実施形態に共通して適用可能な、種々の実施形態について説明する。
冷却ドラム1a,1bを冷却するために、冷却ドラム内にさきに述べたような内部冷却機構を設ける代わりに、或いはそのような内部冷却機構に加えて、冷却ドラム1a,1bの下部外周面に冷却用流体を吹き付けるドラム冷却手段を設けてもよい。この冷却手段は、例えば、冷却ドラム1a,1bの下部外周面に水や空気などの冷却用流体を吹き付けるノズルなどにより構成できる。
また、冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxを、冷却ドラム1a,1bと搬送コンベア6間または搬送コンベア6上で冷却する冷却手段を設けてもよい。この冷却手段は、例えば、スラグSxに水や空気などの冷却用流体を吹き付けるノズルなどにより構成できる。このような冷却手段を有する実施形態は、図10に示してあるので、後に詳述する。
本発明法では、例えば、(a)スラグ液溜まりAの溶融スラグの温度調整、(b)スラグの改質、(c)溶融スラグの顕熱回収、のうちの1つ以上を目的として、流体供給手段からスラグ液溜まりA内にガスなどの流体を供給してもよい。流体としては、例えば、空気、酸素富化空気、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、水蒸気、天然ガス、都市ガス、プロパンガス、コークス炉ガスなどが挙げられる。流体を供給する方法としては、例えば、冷却ドラム1a,1b間に流体供給手段を備えた部材を介在させ、或いは堰板8に流体供給手段を設け、これらの流体供給手段からスラグ液溜まりA内に流体を供給する方法、スラグ液溜まりAの上方から流体吹込手段によりスラグ液溜まりA中に流体を吹き込む方法、などの方法を採用できる。
上記(a)の溶融スラグの温度調整では、通常、流体の供給により溶融スラグの温度を低下させる。流体としては、例えば、空気、窒素ガス、水蒸気などを用いることができる。
上記(b)のスラグの改質では、例えば、スラグ中のf-CaO量の低減を目的とする場合には、空気、酸素富化空気、酸素ガスなどの酸素または酸素含有ガスを用いることができる。このようなガスを溶融スラグに供給するとスラグ中のFeOが酸化され、これがf-CaOと結びついて2CaO・Feを形成するので、スラグ中のf-CaO量が低下し、得られたスラグ凝固体を路盤材などに使用した場合の水和膨張が抑制できる。
上記(c)の溶融スラグの顕熱回収では、後述するように供給された流体を回収し、この流体から熱回収を行う。流体としては、例えば、空気、窒素ガス、水蒸気などを用いることができる。
また、水蒸気(水)と天然ガスなどの炭化水素系成分含有ガスをスラグ液溜まりA内に同時に供給することにより、水蒸気改質反応が生じ、この改質反応の吸熱にスラグの顕熱が供給されるため溶融スラグの冷却を促進できるとともに、反応により生成するガスを可燃性ガスとして回収ないし熱回収することができる。炭化水素系成分含有ガスとして、例えばメタンガスを用いた場合、CH+HO→CO+3Hの反応が生じる。
また、本発明法では、(a)スラグ液溜まりAの溶融スラグの温度調整、(b)スラグの改質、(c)スラグの破砕または磨砕処理で生じたスラグ粉の再利用による製品歩留まり向上、のうちの1つ以上を目的として、スラグ液溜まりA内の溶融スラグに粉体を添加することができる。この粉体としては、例えば、スラグ粉、珪砂、フライアッシュ、レンガ屑、酸化鉄粉、ダスト、スラッジ、鉄鉱石粉などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
上記(a)の溶融スラグの温度調整では、粉体の供給により溶融スラグの温度を低下させる。
上記(b)のスラグの改質では、例えば、珪砂やフライアッシュなどのSiO源、アルミナレンガ屑などのAl源、酸化鉄粉や鉄鉱石粉などの酸化鉄源を溶融スラグに添加することによりスラグ中のf-CaO量が低下し、得られたスラグ凝固体を路盤材などに使用した場合の水和膨張が抑制できる。
上記(c)については、本発明法で冷却されたスラグを破砕処理または/および磨砕処理した際に生じたスラグ粉を添加すれば、製品歩留まりを向上させることができる。
本発明法を実施するに当たって、溶融スラグの顕熱を効率的に熱回収することは、省エネルギーや排出COの削減の観点から特に好ましい。この溶融スラグの顕熱回収としては、下記(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、特に好ましくは全部の熱回収を行うことが望ましい。
(i)冷却ドラム1a,1bおよび/または圧延ロール3内を通過する冷媒から熱回収を行う。
(ii)冷却ドラム1a,1bで冷却したスラグSxを、さらに冷媒(例えば、蒸気、水、空気など)と接触させて冷却し、この冷媒を回収することで熱回収を行う。この方法では、基本的に閉鎖空間でスラグに冷媒を接触させた後、スラグと熱交換した冷媒を回収する。例えば、(a)冷却ドラム1a,1bで冷却されたスラグSxを搬送手段で搬送しつつ冷媒と接触させ、この冷媒から熱回収を行う方法、(b)冷却ドラム1a,1bで冷却されたスラグSxを、冷媒が供給される冷却用容器に収容して冷却し、前記冷媒から熱回収を行う方法、など種々の方法を採ることができる。
(iii)スラグ液溜まりA内の溶融スラグS中に流体を吹き込む場合、吹き込まれた流体を回収し、この流体から熱回収を行う。
前記(i)の形態では、冷却ドラム1a,1bおよび/または圧延ロール3の内部冷却機構を通過した冷媒から熱回収を行う。
前記(ii)の(a)形態では、例えば、図1〜図8の実施形態の搬送コンベア6をトンネルで覆い、このトンネル内部に冷媒を流すことでスラグを冷却し、その冷媒から熱回収を行う。
前記(ii)の(b)の形態では、例えば、図1〜図8の実施形態のスラグバケット7を通過する冷媒から熱回収を行う。
前記(iii)の形態では、例えば、冷却ドラム1a,1bの上方に流体回収用のフードなどを設けて、スラグ液溜まりAの溶融スラグSを通過した流体を回収し、この流体から熱回収を行う。
前記(i)〜(iii)のいずれの場合も、熱回収設備(図示せず)において冷媒や気体から熱回収を行う。
溶融スラグを大量処理(例えば、スラグ処理量:1t/min以上)する大型の冷却処理装置に対してスラグ鍋から注湯するような場合、注湯される溶融スラグの荷重によって冷却ドラムが損耗するのを避けるため、冷却ドラムの上方にタンディッシュを設け、スラグ鍋の溶融スラグを一旦タンディッシュに移し、このタンディッシュから冷却ドラム(スラグ液溜まりA)に注湯を行うことが好ましい。図10は、その一実施形態を示すものであり、5がスラグ鍋、13がタンディッシュであり、溶融スラグSはこのタンディッシュ13から真下の冷却ドラム1a,1b(スラグ液溜まりA)に注湯される。
本発明の冷却処理装置では、冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxは未だ相当の高温であり(スラグSxによっては、内部が未だ溶融または部分溶融状態にある)、このため冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxは、通常、散水冷却によりさらに冷却される。散水冷却は、シャワー状散水による冷却、スプレー冷却、ミスト冷却のいずれでもよいが、そのなかでもミスト冷却は、(a)スプレー冷却に較べて冷却水量の制御範囲が広く、スラグ量やスラグ温度に応じて、スラグを適切に冷却でき且つ廃水を生じない最適な冷却水量を供給できる、(b)水滴サイズがかなり小さいので、熱伝導率が非常に小さいスラグを短時間で効率的に冷却することができる、(c)微小水滴が加圧空気により加速されて大きな衝突速度でスラグに衝突するため、高い冷却効果が得られる、などの理由から特に好ましい。
図10の実施形態では、冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSx(搬送コンベア6で搬送中のスラグSx)、さらにはドラム面上で冷却中のスラグや圧延ロール3のロール面に対して、冷媒供給手段14からミスト(水+圧縮空気)などの冷媒cを供給(噴射)し、それらを冷却している。また、この実施形態では、冷却ドラム1a,1bの下面にも、冷媒供給手段14aからミスト(水+圧縮空気)などの冷媒cを供給(噴射)し、ドラム面を冷却している。冷媒cとしては、ミストの他にスプレー水などを用いることもできる。
なお、この冷媒cを回収することにより、スラグ顕熱を回収することも可能であり、その場合には、例えば、冷却処理装置Xと冷媒供給手段14,14aなどの装置出側の設備をカバーで覆い、冷媒cとスラグとの接触により発生した蒸気および加熱された気体を、排気管を通じてカバーから回収し、熱交換器で他の熱媒と熱交換することにより、スラグ顕熱が回収できる。
図10のその他の装置構成と冷却処理形態は、図1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明のスラグ製品の製造方法では、本発明の冷却処理方法で冷却され、凝固したスラグを破砕処理または/および磨砕処理し、必要に応じて、篩い分けなどにより整粒することにより、粒状のスラグ製品を得ることができる。このスラグ製品の種類に制限はないが、通常は、土木材料や建築材料となるスラグ製品である。例えば、路盤材、細骨材、海洋土木材料などが挙げられる。
本発明で得られるスラグ製品は、急冷することにより製造されるため粉化が抑制され、このため微粉部分が少なくなり、海洋土木材として利用する際に海水が白濁することがない。また、薄い層状に急冷凝固させるため、破砕工程が簡略化でき、微粒分の少ない細骨材とすることができる。また、緻密質なものとなるため吸水率は低く、アスコン用にも利用できる硬質なものとなる。また、細粒状であるためエージングも容易であり、蒸気エージングを適用しなくても、大気エージングで膨張が抑制できるので、路盤材としても利用できる。
[実施例1]
図1〜図3に示す構造の冷却処理装置を用い、転炉脱炭精錬(転炉出鋼温度:1640〜1660℃、スラグ排出量:約15t)で転炉から排出された塩基度3.8の溶融スラグ(転炉脱炭精錬スラグ)を冷却処理した。冷却処理装置の仕様および運転条件は以下のとおりである。
・冷却ドラム1a,1b:外径1.6m×長さ(ドラム幅方向での長さ)3m、水冷式
・圧延ロール3:外径0.3m
・冷却ドラム1a,1b−圧延ロール3間のギャップ:5mm
・冷却ドラム1a,1bの回転速度:3rpm
転炉から排出された溶融スラグSをスラグ鍋5に受けて冷却処理装置まで搬送し、このスラグ鍋5内の溶融スラグSを、スラグ樋4を介して約1t/minの供給速度で冷却ドラム1a,1bの上部外周面間の幅方向中央付近に約12分間に亘り供給した。なお、スラグ鍋5に混入した溶銑が冷却処理装置に供給されないようにするため、スラグ鍋5中に溶融スラグSが1/4程度残る段階で、冷却処理装置への溶融スラグSの供給を停止した。
冷却ドラム面に供給される溶融スラグSは、粘性が高いために流動性に乏しく、しかも冷却ドラム1a,1bとの接触で急冷されるため、その供給位置ではドラム幅方向で1〜2m程度しか広がらないが、圧延ロール3により厚さが約10mmから5mmに圧延された結果、冷却ドラム幅方向のほぼ全長に亘り展伸され、高い冷却効率で溶融スラグSを冷却処理することができた。
冷却ドラム1a,1bから剥離し、搬送コンベア6上に移る際のスラグSxの表面温度を放射温度計で測定したところ、スラグ表面温度は800℃以下であった。スラグSxは搬送コンベア6による搬送中にクラックが入り、砕けた状態でスラグバケット7に収容された。スラグバケット7での冷却後のスラグ性状を確認したが、塩基度が3.8と高いにも関わらず、冷却処理装置で急冷されたことにより、通常の徐冷されたスラグのような粉化現象は見られなかった。
スラグバケット7内で冷却した後、5mm以下に破砕処理してスラグ製品とした。このスラグ製品は、最大粒径5mmで微粉部分の少ない砂状になっており、絶乾密度は3.1g/cmと通常のコンクリート細骨材と比べて1割以上高かった。
また、このスラグ製品を、海洋土木材としての使用を想定して2倍量の海水中に入れ、3時間後の海水の濁度を測定する試験に供したが、Mg(OH)を生成して海水が白濁することもなかった。これは、細粒ではあるが微粉が少ないため、水と接触してもpHが上昇しにくいためであると考えられる。
[実施例2]
図5および図6に示す構造の冷却処理装置を用い、実施例1と同様の溶融スラグ(転炉脱炭精錬スラグ)を冷却処理した。冷却処理装置の仕様および運転条件は以下のとおりである。
・冷却ドラム1a,1b:外径1.6m×長さ(ドラム幅方向での長さ)3m、水冷式
・冷却ドラム1a,1bの回転速度:3rpm
・スラグ樋4x:上下方向回動(傾動)式
転炉から排出された溶融スラグSをスラグ鍋5に受けて冷却処理装置まで搬送し、このスラグ鍋5内の溶融スラグSを、スラグ樋4xを介して約1t/minの供給速度で冷却ドラム1a,1bの上部外周面間に約12分間に亘り供給した。その際、スラグ樋4xを2往復/minで上下方向に回動(傾動)させ、冷却ドラム1a,1bのほぼ全幅に溶融スラグSを供給した。なお、スラグ鍋5に混入した溶銑が冷却処理装置に供給されないようにするため、スラグ鍋5中に溶融スラグSが1/4程度残る段階で、冷却処理装置への溶融スラグSの供給を停止した。
溶融スラグSは、冷却ドラム幅方向のほぼ全長に亘り展伸され、高い冷却効率で溶融スラグSを冷却処理することができた。冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxの厚みは3〜7mmで未凝固部はなく、溶融スラグをほぼ均一に冷却・凝固させることができた。スラグSxは搬送コンベア6による搬送中にクラックが入り、砕けた状態でスラグバケット7に収容された。スラグバケット7での冷却後のスラグ性状および5mm以下に破砕処理したスラグ製品についても、実施例1と同様の性状、性能を有していた。
[実施例3]
図7および図8に示す構造の冷却処理装置を用い、実施例1と同様の溶融スラグ(転炉脱炭精錬スラグ)を冷却処理した。冷却処理装置の仕様および運転条件は以下のとおりである。
・冷却ドラム1a,1b:外径1.6m×長さ(ドラム幅方向での長さ)3m、水冷式
・冷却ドラム1a,1bの傾斜角θ:5°
・冷却ドラム1a,1bの回転速度:3rpm
転炉から排出された溶融スラグSをスラグ鍋5に受けて冷却処理装置まで搬送し、このスラグ鍋5内の溶融スラグSを、スラグ樋4を介して約1t/minの供給速度で冷却ドラム1a,1bの上部外周面間に約12分間に亘り供給した。その際、傾斜した冷却ドラム1a,1bの高所側の端部に近い部分に溶融スラグSを流し、低所側の端部方向に流れるようにすることで、冷却ドラム1a,1bのほぼ全幅に溶融スラグSが供給されるようにした。なお、スラグ鍋5に混入した溶銑が冷却処理装置に供給されないようにするため、スラグ鍋5中に溶融スラグSが1/4程度残る段階で、冷却処理装置への溶融スラグSの供給を停止した。
溶融スラグSは、冷却ドラム幅方向のほぼ全長に亘り展伸され、高い冷却効率で溶融スラグSを冷却処理することができた。冷却ドラム1a,1bから剥離したスラグSxの厚みは3〜7mmで未凝固部はなく、溶融スラグをほぼ均一に冷却・凝固させることができた。スラグSxは搬送コンベア6による搬送中にクラックが入り、砕けた状態でスラグバケット7に収容された。スラグバケット7での冷却後のスラグ性状および5mm以下に破砕処理したスラグ製品についても、実施例1と同様の性状、性能を有していた。
[実施例4]
図1〜図3に示す構造の冷却処理装置を用い、転炉方式でクロム鉱石を溶融還元した際に発生するスラグを冷却処理した。溶融還元炉の出鋼温度は1540〜1560℃、スラグ排出量は約50tで、塩基度CaO/SiO=2.4の溶融スラグ(クロム鉱石溶融還元炉スラグ)を冷却処理した。冷却処理装置の仕様および運転条件は以下のとおりである。
・冷却ドラム1a,1b:外径1.6m×長さ(ドラム幅方向での長さ)3m、水冷式
・圧延ロール3:外径0.3m
・冷却ドラム1a,1b−圧延ロール3間のギャップ:3mm
・冷却ドラム1a,1bの回転速度:5rpm
溶融還元炉から排出された溶融スラグSをスラグ鍋5に受けて冷却処理装置まで搬送し、このスラグ鍋5内の溶融スラグSを、スラグ樋4を介して約1t/minの供給速度で冷却ドラム1a,1bの上部外周面間の幅方向中央付近に約35分間に亘り供給した。なお、スラグ鍋5に混入した溶銑が冷却処理装置に供給されないようにするため、スラグ鍋5中に溶融スラグSがおよそ1/4程度残る段階で、冷却処理装置への溶融スラグSの供給を停止した。
冷却ドラム面に供給される溶融スラグSは、粘性が高いために流動性に乏しく、しかも冷却ドラム1a,1bとの接触で急冷されるため、その供給位置ではドラム幅方向で1〜2m程度しか広がらないが、圧延ロール3により厚さが8〜10mmから3mmに圧延された結果、冷却ドラム幅方向のほぼ全長に亘り展伸され、高い冷却効率で溶融スラグSを冷却処理することができた。
冷却ドラム1a,1bから剥離し、搬送コンベア6上に移る際のスラグSxの表面温度を放射温度計で測定したところ、スラグ表面温度は700℃以下であった。スラグSxは搬送コンベア6による搬送中にクラックが入り、砕けた状態でスラグバケット7に収容された。
通常、クロム鉱石溶融還元炉スラグは、塩基度が2以上あるが還元精錬スラグのためPを含有しておらず、冷却中にスラグ中主要鉱物相であるダイカルシウム・シリケート(2CaO・SiO)の相変態が生じ、粉状のスラグとなる。本発明例では、冷却ドラム上で厚みを3mmにして急冷することで、相変態が防止でき、スラグの粉化が生じなかった。
スラグバケット7内で冷却した後、破砕し5mm以下に分級して砂状のスラグ製品とした。このスラグ製品は、微粉部分の少ない砂状になっており、絶乾密度は2.9g/cmであった。
また、このスラグ製品を、海洋土木材としての使用を想定して2倍量の海水中に入れ、3時間後の海水の濁度を測定する試験に供したが、Mg(OH)を生成して海水が白濁することもなかった。これは、細粒ではあるが微粉が少ないため、水と接触してもpHが上昇しにくいためであると考えられる。
[比較例]
図1および図2に示す構造において圧延ロール3を有しない冷却処理装置を用い、実施例1と同様の溶融スラグ(転炉脱炭精錬スラグ)を冷却処理した。冷却処理装置の仕様および運転条件は以下のとおりである。
・冷却ドラム:外径1.6m×長さ(ドラム幅方向での長さ)3m、水冷式
・冷却ドラムの回転速度:3rpm
転炉から排出された溶融スラグをスラグ鍋に受けて冷却処理装置まで搬送し、このスラグ鍋内の溶融スラグを、スラグ樋を介して約1t/minの供給速度で冷却ドラムの上部外周面間に約12分間に亘り供給した。なお、スラグ鍋に混入した溶銑が冷却処理装置に供給されないようにするため、スラグ鍋中に溶融スラグSが1/4程度残る段階で、冷却処理装置への溶融スラグSの供給を停止した。
冷却ドラムの幅方向中央付近に供給された溶融スラグSは、ドラム幅の半分程度までしか拡がらず、ほぼそのままの状態で冷却ドラム面上で冷却された。冷却ドラムから剥離したスラグSxの厚みは7〜20mmでバラツキがあった。このため厚みの厚い部分は、冷却ドラム付着側と表面の大気側しか凝固しておらず、内部に未凝固部分があり、搬送コンベアに移る際に表面凝固層が割れて溶融スラグが流れ出すことがあった。このように未凝固の溶融スラグが流れ出すと、スラグバケット内でスラグどうしが付着して塊状物となり、破砕工程を増やす必要がある。
本発明による溶融スラグの冷却処理方法の一実施形態を模式的に示す正面図 図1の実施形態の平面図 図1の実施形態において冷却ドラムに付設された圧延ロールの作用を示す説明図 本発明による溶融スラグの冷却処理方法の他の実施形態を模式的に示す平面図 本発明による溶融スラグの冷却処理方法の他の実施形態を模式的に示す平面図 図5の実施形態の側面図 本発明による溶融スラグの冷却処理方法の他の実施形態を模式的に示す正面図 図7の実施形態の側面図 図1〜図4の実施形態に示される圧延ロールの模式断面図 本発明による溶融スラグの冷却処理方法の他の実施形態を模式的に示す正面図
符号の説明
1a,1b 冷却ドラム
2 スラグ展伸手段
3,3x,3y,3z 圧延ロール
4,4x スラグ樋
5 スラグ鍋
6 搬送コンベア
7 スラグバケット
8 堰板
9 支持アーム
13 タンディッシュ
14,14a 冷媒供給手段
10 冷媒流路
11a,11b 冷媒通路
30 外周面
31 ロール軸
90 軸受孔
A スラグ液溜まり
S 溶融スラグ
Sx スラグ

Claims (4)

  1. 水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
    冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
    スラグ展伸手段(2)が、冷却ドラム(1)の上部外周面に付着した溶融スラグを圧延して展伸させる圧延ロールであることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
  2. 水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
    冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
    スラグ展伸手段(2)が、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で振り分けて供給する供給手段であることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
  3. 水平方向で並列し、対向する外周部分が上向きに回転する回転方向を有する1対の冷却ドラム(1)を備え、該1対の冷却ドラム(1)の上部外周面間に溶融スラグが供給される冷却処理装置を用いて、スラグ塩基度[質量比:%CaO/%SiO ]が2以上の溶融スラグを冷却処理するに際し、
    冷却処理装置が備えるスラグ展伸手段(2)により、溶融スラグを冷却ドラム(1)の上部外周面にドラム幅方向で展伸した状態に付着させ、冷却ドラム(1)上で冷却する溶融スラグの冷却処理方法であって、
    スラグ展伸手段(2)が、冷却ドラム(1)の軸心に付与された傾斜と、軸心が傾斜した冷却ドラム(1)の高所側の上部外周面に溶融スラグを供給する供給手段からなることを特徴とする溶融スラグの冷却処理方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の冷却処理方法で冷却され、凝固したスラグを破砕処理または/および磨砕処理して粒状のスラグ製品を得ることを特徴とするスラグ製品の製造方法。
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