JP5012284B2 - アクチュエータシステム - Google Patents

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Description

本発明は、高分子アクチュエータ素子からなるアクチュエータシステムに関するものである。
医療機器や産業用ロボット、マイクロマシン等の分野において、小型、軽量で柔軟性に富むアクチュエータが求められており、それに対応すべくそのアクチュエータの作動原理として静電引力型、圧電型、超音波型、形状記憶合金式、高分子伸縮式等が提案されている。
このうち、高分子伸縮式としてイオン導電性高分子を用いたポリマーアクチュエータは印加電圧に応じた応答速度で変形し、重量あたりの発生トルクが大きく、用途によっては従来のモーターに代わる軽量化、小型化駆動素子として期待されている。このポリマーアクチュエータは、イオン導電性高分子膜(イオン交換樹脂膜)とその表面に相互に絶縁状態で接合した電子導電性の電極とからなり、該イオン導電性高分子膜を含水状態として前記電極間に電圧を印加することによりイオン導電性高分子膜に湾曲または変形を生じさせることを特徴とするものである(例えば、特許文献1,2参照。)。
ここで、ポリマーアクチュエータの駆動力発生メカニズムがポリマー電解質内部のイオンの移動によって発生する体積変化によるため、駆動させるイオンの移動速度がアクチュエータの駆動速度に影響することから、駆動速度の速い一般的な水系の溶媒を用いていた。
しかしながら、使用環境の温度によってはその水分が蒸発してしまうため、アクチュエータ内部への封止が必要であった。また、封止することによって、アクチュエータからの水分の放出は抑制されるが、封止内での体積が変化することによって、駆動力の伝達に支障をきたしてしまう問題が発生した。なお、特許文献3では電解質溶液をシリコン等の被覆部で封入したものが開示され、特許文献4ではアクチュエータを電解質溶液ごと容器に密封したものが開示されているが、いずれも水分の蒸発による体積変化は考慮されておらず、駆動力の伝達への影響が懸念された。また、高分子系などの非水系溶媒とすれば蒸発が抑えられ駆動力の伝達に支障をきたす問題は少なくなるが、駆動速度が遅くなってしまう。
特開2002−330598号公報 特開2005−033991号公報 特開2000−083389号公報 特開2006−311630号公報
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、水系の溶媒を用いて高分子アクチュエータの駆動速度を落とすことなく、変位や駆動力伝達への水蒸気の発生による影響を除去する構造のアクチュエータシステムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する高分子アクチュエータ素子と、前記高分子アクチュエータ素子に固定され、該高分子アクチュエータ素子が湾曲したときの変位を外部対象物に作用して伝える構造体と、少なくとも前記高分子アクチュエータ素子を包み込んで、前記電解液を封止する膨張収縮可能なポリマーフィルムと、からなり、前記ポリマーフィルムは、前記構造体が外部対象物に作用する部分以外の領域で膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステムである。
また前記課題を解決するために提供する本発明は、棒形状または短冊形状で水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する高分子アクチュエータ素子と、前記高分子アクチュエータ素子の長手方向に直交する方向への突起物として該高分子アクチュエータ素子に固定される複数の構造体と、前記高分子アクチュエータ素子及び複数の構造体を包み込んで前記電解液を封止する膨張収縮可能なポリマーフィルムと、からなり、電圧印加された前記高分子アクチュエータ素子が湾曲したときの変位を前記複数の構造体の突起先端部分が外部対象物に作用して伝えるアクチュエータシステムであって、前記複数の構造体が前記高分子アクチュエータ素子の長手方向に間隔を空けて固定されるとともに、前記ポリマーフィルムが該複数の構造体それぞれの突起先端部分で固定されており、前記ポリマーフィルムが、前記構造体同士の間隙で膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステムである。
また前記課題を解決するために提供する本発明は、棒形状または短冊形状で水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する複数の高分子アクチュエータ素子が、基準面と、該基準面と平行に配置される平板状の構造体との間に設けられ、前記複数の高分子アクチュエータ素子それぞれの長手方向の一方の端部Aが前記基準面に固定され、他方の端部Bが前記構造体に旋回可能に固定されており、膨張収縮可能なポリマーフィルムが前記基準面と構造体に固定されて該基準面と構造体との間の前記複数のイオン導電性高分子体の電解液を封止しており、電圧印加された前記複数の高分子アクチュエータ素子の湾曲に伴ってそれぞれの端部Bが前記構造体を前記基準面に対して水平方向に押して変位させ、この変位を該構造体の端面部分が外部対象物に作用して伝えるアクチュエータシステムであって、前記ポリマーフィルムが前記構造体の外部対象物に作用する端面側以外の前記基準面と構造体の間からはみ出るように膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステムである。
本発明のアクチュエータシステムによれば、水系の溶媒を用いながら水蒸気の発生による体積変化が発生しても、その変位や駆動力を効率よく利用することができる。
まず、従来のアクチュエータシステムについて説明する。
図1は、従来のアクチュエータシステムの構成例を示す断面図である。
図1に示すように、アクチュエータシステム900は、高分子アクチュエータ素子10と、高分子アクチュエータ素子10を駆動する電源Eと、高分子アクチュエータ素子10を包み込み、該高分子アクチュエータ素子10に含まれる電解液1aを封止する膨張収縮可能なポリマーフィルム93と、からなる。なお、図1(a)は高分子アクチュエータ素子10に電源Eから電圧印加されておらず放電した状態を示し、図1(b)は電圧印加されて駆動している状態を示している。
ここで、高分子アクチュエータ素子10は、特許第2961125号公報、特開平11−206162号公報などで開示されている従来公知のものでもよいが、それ以外に例えばつぎのような構成のものを使うとよい。
図2は、高分子アクチュエータ素子の基本的構成を示す断面図である。なおここでは、イオン導電性高分子体は、その一態様としてフィルム状となったもの(イオン導電性高分子膜)を示す。
高分子アクチュエータ素子10は、水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子膜(イオン導電性高分子フィルム)1と、該イオン導電性高分子膜1の両面それぞれに設けられる電極膜2と、該電極膜2それぞれに電気的に接続されたリード線4とを備え、1対のリード線4より電極膜2間に電圧が印加されることによりイオン導電性高分子膜1が湾曲または変形するものである。
イオン導電性高分子膜1は、フッ素樹脂、炭化水素系などを骨格としたイオン交換樹脂からなり、表裏2つの主面をもつ形状を呈している。また、イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂いずれでもよいが、このうち陽イオン交換樹脂が好適である。
陽イオン交換樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものが挙げられ、とくにフッ素樹脂にスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入された陽イオン交換樹脂が好ましい。
電極膜2は、イオン導電性高分子膜1の表面に接合した電子導電性の電極である。そのような電極材料として、例えば、金、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−1,6−ヘプタジイン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニレンなどが挙げられる。またこれらを含む混合物であっても良い。具体的には、カーボン粉末とイオン導電性樹脂とからなり、前記カーボン粉末同士がイオン導電性樹脂を介して結合しているものである。カーボン粉末は、導電性をもつカーボンブラックの微細粉末であり、比表面積が大きなものほど電極膜2としてイオン導電性高分子膜1と接する表面積が大きくなりより大きな変形量を得ることができる。例えばケッチェンブラックが好ましい。また、イオン導電性樹脂は、イオン導電性高分子膜1を構成する材料と同じものでよい。
また、電極膜2は、イオン導電性樹脂成分とカーボン粉末を含む塗料がイオン導電性高分子膜1に塗布されてなるものである。あるいは、電極膜2は、カーボン粉末とイオン導電性樹脂とからなる導電膜がイオン導電性高分子膜1に圧着されてなるものである。
いずれの方法によっても、簡便に短時間で電極膜2を形成することができる。
なお、少なくともイオン導電性高分子膜1に水系の電解液1aが含浸されているが、該電解液1aは、水及び金属イオン、または水及び有機イオンである。ここで、金属イオンとは例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。また、有機イオンとは例えば、アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらのイオンはイオン導電性高分子膜1中において水和物として存在している。イオン導電性高分子膜1が水及び金属イオン、または水及び有機イオンを含み、含水状態となっているため、少なくとも高分子アクチュエータ素子10をポリマーフィルムで包み込むことによって、中からこの水が揮発しないように封止している。
また、図3に、前記高分子アクチュエータ素子の変形例を示す。
図3は、本発明の高分子アクチュエータを構成する別の高分子アクチュエータ素子の基本的構成を示す断面図である。
高分子アクチュエータ素子20は、上述した高分子アクチュエータ素子10の1対の電極膜2それぞれの上に金または白金からなる金属導電膜3を備え、該金属導電膜3にリード線4を電気的に接続した構成となっている。ここで、イオン導電性高分子膜1、電極膜2、イオン導電性高分子膜1に含浸させる水系の電解液は、図2で示したものと同じである。
ここで、金属導電膜3は、1対の電極膜2それぞれの上に湿式めっき法、蒸着法、スパッタ法などの従来公知の成膜手法により、金または白金の薄膜が形成されてなるものである。この金属導電膜3の厚さにはとくに制限はないが、リード線4からの電位が電極膜2に均等に印加されるように連続した膜となる程度の厚さであることが好ましい。
図4に、これらの高分子アクチュエータ素子10,20の動作原理を示す。ここでは、イオン導電性高分子膜1中にナトリウムイオンが含浸されているものとして説明する。
図4(a)では、電源Eよりリード線4を通じて、図中左側の高分子アクチュエータ10の電極膜2にプラスの電位、図中右側の電極膜2にマイナスの電位を印加している。この電位差(例えば0.5〜2.0V程度)により、高分子アクチュエータ素子10(20)のイオン導電性高分子膜1中では、マイナスの電位が印加された側(図中右側)の電極膜2にナトリウムイオン水和物が引き寄せられて移動し、当該電極膜2の近傍に集中しこの領域は体積膨張するようになる。一方、プラスの電位が印加された側(図中左側)の電極膜2近傍におけるナトリウム水和物濃度は減少し、この領域は体積収縮するようになる。その結果、イオン導電性高分子膜1の2つの電極膜2近傍領域の間に体積差が生じることとなり、イオン導電性高分子膜1は図中左側に湾曲するようになる。
図4(b)では、2つの電極膜2がショートした状態でつながれることから2つの電極膜2近傍領域で蓄積された電荷に応じて放電が起こる。そして、その結果2つの電極膜2の間に電位差がなくなることから、イオン導電性高分子膜1の2つの電極膜2近傍領域の間に体積差はなくなり、イオン導電性高分子膜1は初期形状状態である真っ直ぐな状態となる。
図4(c)では、電源Eよりリード線4を通じて、図中左側の高分子アクチュエータ素子10(20)の電極膜2にマイナスの電位、図中右側の電極膜2にプラスの電位を印加しており、電圧印加方法が図4(a)の場合とは逆である。この電位差により、高分子アクチュエータ素子10(20)のイオン導電性高分子膜1中では、マイナスの電位が印加された側(図中左側)の電極膜2の近傍領域は体積膨張するようになり、プラスの電位が印加された側(図中右側)の電極膜2近傍領域は体積収縮するようになる。その結果、イオン導電性高分子膜1は図中右側に湾曲するようになる。
ポリマーフィルム93は、膨張収縮可能で水を通さない高分子材料からなり、高分子アクチュエータ素子10(20)を包み込んで、電解液1aを封止するものである。
ここで、アクチュエータシステム900を室温等比較的低い温度環境で使用するとき、図1に示すように、ポリマーフィルム93は高分子アクチュエータ素子10(20)にほぼ密着した状態にあり、高分子アクチュエータ素子10(20)の駆動に追従して伸縮する。したがって、電源Eから電圧を印加して駆動させる場合(図1(b))に、高分子アクチュエータ素子10(20)とポリマーフィルム93とは一体の物として駆動して、高分子アクチュエータ素子10(20)の先端部分96が外部対象物に対して湾曲する高分子アクチュエータ素子10(20)の変位(あるいは駆動力)を伝達する作用点となる。
つぎに、アクチュエータシステム900を高温環境で使用するときを考える。この場合、電解液1aの水が蒸発するようになり、図5(a)に示すように、その水蒸気による電解液1a´の体積膨張に伴ってポリマーフィルム93が膨張するようになる。このとき、ポリマーフィルム93は電解液1a´を封止しているが、高分子アクチュエータ素子10(20)からはかなり離れた状態となっている。ここで、電源Eから電圧を印加して駆動させると(図5(b))、膨張したポリマーフィルム93の内部で高分子アクチュエータ素子10(20)だけが駆動することとなり、高分子アクチュエータ素子10(20)の先端部分96はその変位(あるいは駆動力)を外部対象物に作用して伝えることができない。
また、図1の高分子アクチュエータ素子10(20)に該高分子アクチュエータ素子10(20)の変位(あるいは駆動力)を外部対象物に伝達するための構造体92を固定したものも考えられるが、この場合も図6(a)に示すように、ポリマーフィルム93は高分子アクチュエータ素子10(20)及び構造体92からはかなり離れた状態となるため、電源Eから電圧を印加して駆動させても(図6(b))、膨張したポリマーフィルム93の内部で高分子アクチュエータ素子10(20)だけが駆動することとなり、構造体92はその変位(駆動力)を外部対象物に作用して伝えることができない。あるいはポリマーフィルム93がそこまで膨張していなくても、前記変位(駆動力)を十分に伝達することができず、変位(駆動力)伝達の阻害要因となる。
本発明はこの問題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明に係るアクチュエータシステムは、水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する高分子アクチュエータ素子と、前記高分子アクチュエータ素子に固定され、該高分子アクチュエータ素子が湾曲したときの変位を外部対象物に作用して伝える構造体と、少なくとも前記高分子アクチュエータ素子を包み込んで、前記電解液を封止する膨張収縮可能なポリマーフィルムと、からなり、前記ポリマーフィルムは、前記構造体が外部対象物に作用する部分以外の領域で膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とする。
以下に、本発明に係るアクチュエータシステムの具体的構成について説明する。なお、本発明を図面に示した実施形態をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の態様に応じて適宜変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
まず本発明に係るアクチュエータシステムの第1の実施の形態について説明する。
図7に、本発明に係るアクチュエータシステムの第1の実施の形態における構成の概略図を示す。
アクチュエータシステム100は、高分子アクチュエータ素子10と、高分子アクチュエータ素子10の長手方向に直交する方向への突起物として該高分子アクチュエータ素子10に固定される複数の構造体12と、高分子アクチュエータ素子10及び複数の構造体12を包み込んで電解液1aを封止する膨張収縮可能なポリマーフィルム13と、からなる(図7(a))。なお、このアクチュエータシステム100の使用環境温度は電解液が凍らない温度から電解液の水分が過剰に蒸発しない温度までの範囲である。例えば、室温から60℃である。
ここで、高分子アクチュエータ素子10は、図2に示し前述したものであり、棒形状または短冊形状で水系の電解液1aが含浸されたイオン導電性高分子体1と、該イオン導電性高分子体1上に対向して設けられる2つの電極膜2と、を有し、電極膜2の間に電圧が印加されることによりイオン導電性高分子体1が湾曲するものである。また、高分子アクチュエータ素子10に代えて、図3に示す高分子アクチュエータ素子20を用いてもよい。
構造体12は、高分子アクチュエータ素子10からの突起物となるものであれば、その形状はとくに限定されず、外部対象物への変位伝達に好適なものとすればよい。例えば、柱状の構造体12とすると外部対象物に作用する側に突起するように高分子アクチュエータ素子10に固定する。また、円盤形状の構造体12とすると高分子アクチュエータ素子10の外部対象物に作用する好適な位置に固定する。なお、構造体12は外部対象物に変位を伝達できる程度に剛性を有する材料からなる。また、複数の構造体12が高分子アクチュエータ素子10の長手方向に間隔を空けて固定されるものとする。これにより、構造体12同士の間に間隙15を設けることとなる。
ポリマーフィルム13は、膨張収縮可能で水を通さない高分子材料からなり、高分子アクチュエータ素子10(20)及び複数の構造体12を包み込んで、電解液1aを封止するものである。例えば、厚み数十μmのAl蒸着したポリエチレンフィルムなどが挙げられる。また、ポリマーフィルム13は、構造体12それぞれの突起先端部分12aに固定されている。固定方法は外部対象物との接触によっても剥離しない強度で固定されればとくに限定されず、例えば接着剤による接着などでよい。
図7は、アクチュエータシステム100を室温等比較的低い温度環境で使用するときを示している。図7(a)は高分子アクチュエータ素子10に電源Eから電圧印加されておらず放電した状態を示しており、ポリマーフィルム13は高分子アクチュエータ素子10(20)及び複数の構造体12に沿ってほぼ密着した状態にあり、高分子アクチュエータ素子10(20)の駆動に追従して伸縮する。したがって、電源Eから電圧を印加して駆動させる場合(図7(b))に、高分子アクチュエータ素子10(20)及び複数の構造体12とポリマーフィルム13とは一体の物として駆動して、複数の構造体12の高分子アクチュエータ素子10(20)が湾曲した側の突起先端部分12aが外部対象物に対して湾曲する高分子アクチュエータ素子10(20)の変位(あるいは駆動力)を伝達する作用点となる。
つぎに、アクチュエータシステム100を高温環境で使用するときを考える。この場合、電解液1aの水が蒸発し、その水蒸気による電解液1a´の体積膨張に伴ってポリマーフィルム13が膨張するようになるが、ポリマーフィルム13は構造体12の突起先端部12aに固定されていることから、図8(a)に示すように、構造体12同士の間隙15で膨張して電解液1a´の体積変化を吸収するようになる。すなわち、ポリマーフィルム13は、構造体12が外部対象物に作用する部分である突起先端部12a以外の領域(間隙15)で膨張して水の蒸発による電解液1a´の体積変化を吸収することができる。
したがって、この状態で電源Eから電圧を印加して駆動させると(図8(b))、高分子アクチュエータ素子10(20)が駆動し湾曲するのに伴って、複数の構造体12の高分子アクチュエータ素子10(20)が湾曲した側の突起先端部分12aが外部対象物に接触することができ、その変位(あるいは駆動力)を外部対象物に作用して伝えることが可能である。
つぎに本発明に係るアクチュエータシステムの第2の実施の形態について説明する。
図9に、本発明に係るアクチュエータシステムの第2の実施の形態における構成の概略図を示す。
アクチュエータシステム200は、複数の高分子アクチュエータ素子10が構造体21の基準面21sと、該基準面21sと平行に配置される平板状の構造体22との間に設けられ、複数の高分子アクチュエータ素子10それぞれの長手方向の一方の端部Aが基準面21sに固定され、他方の端部Bが構造体22に蝶番構造29により旋回可能に固定されており、さらに膨張収縮可能なポリマーフィルム23が基準面21sまたは構造体21と構造体22に固定されて基準面21sと構造体22との間の複数のイオン導電性高分子体10の電解液1aを封止してなるものである(図9(a))。なお、このアクチュエータシステム200の使用環境温度は電解液が凍らない温度から電解液の水分が過剰に蒸発しない温度までの範囲である。例えば、室温から60℃である。
ここで、高分子アクチュエータ素子10は、図2に示し前述したものであり、棒形状または短冊形状で水系の電解液1aが含浸されたイオン導電性高分子体1と、該イオン導電性高分子体1上に対向して設けられる2つの電極膜2と、を有し、電極膜2の間に電圧が印加されることによりイオン導電性高分子体1が湾曲するものである。また、複数の高分子アクチュエータ素子10が基準面21sと構造体22の間において、電圧印加により湾曲する方向が揃うように一定間隔で配列されている。なお、高分子アクチュエータ素子10に代えて、図3に示す高分子アクチュエータ素子20を用いてもよい。
構造体21は、アクチュエータシステム200の駆動に関して固定されたものである。
また、構造体22は、外部対象物に変位を伝達できる程度に剛性を有する材料からなる平板状のものである。
ポリマーフィルム23は、膨張収縮可能で水を通さない高分子材料からなり、複数の高分子アクチュエータ素子10(20)を包み込んで、電解液1aを封止するものである。例えば、厚み数十μmのAl蒸着したポリエチレンフィルムなどが挙げられる。また、ポリマーフィルム23を、構造体21,22に固定して電解液1aを封止するため、構造体21と構造体22の間の隙間を埋めるように掛け渡されている。また、駆動の際に外部対象物に接触することになる構造体22の1つの端面部分22aにはポリマーフィルム23を固定しないようにし、該端面部分22aから少し構造体22の中心側に入った部分で固定するとよい。さらに、ポリマーフィルム23を撓ませて、構造体22の端面部分22a側以外の端面側の基準面21sと構造体22の間からはみ出して空隙25を形成している。
図9は、アクチュエータシステム200を室温等比較的低い温度環境で使用するときを示している。図9(a)は高分子アクチュエータ素子10(20)に電源Eから電圧印加されておらず放電した状態を示しており、ポリマーフィルム23は構造体21,22の間でとくに膨張収縮することなく電解液1aを封止した状態にあり、構造体22の移動に追従して伸縮する。つぎに、電源Eから電圧を印加して駆動させると(図9(b))、複数の高分子アクチュエータ素子10(20)が湾曲し、その湾曲に伴ってそれぞれの端部Bが構造体22を基準面21sに対して水平方向に押すように作用する。これにより、構造体22は押される方向に変位することとなり、構造体22の端面部分22aが外部対象物に対してこの変位を伝達する作用点となる。
つぎに、アクチュエータシステム200を高温環境で使用するときを考える。この場合、電解液1aの水が蒸発し、その水蒸気による電解液1a´の体積膨張に伴ってポリマーフィルム23が膨張するようになるが、ポリマーフィルム23は構造体21,22に掛け渡されて固定されていることから、図10(a)に示すように、空隙25の部分で膨張して電解液1a´の体積変化を吸収するようになる。すなわち、ポリマーフィルム23は、構造体22が外部対象物に作用する部分である端面部分22a以外の領域(空隙25)で膨張して水の蒸発による電解液1a´の体積変化を吸収することができる。
したがって、この状態で電源Eから電圧を印加して駆動させると(図10(b))、複数の高分子アクチュエータ素子10(20)が駆動し湾曲するのに伴って、図9(b)の場合と同様に構造体22は基準面21sに対して水平方向に押されて変位し、構造体22の端面部分22aが外部対象物に接触してその変位(あるいは駆動力)を外部対象物に作用して伝えることが可能である。
従来のアクチュエータシステムの構成を示す概略図である。 本発明で使用する高分子アクチュエータ素子の構成(1)を示す断面図である。 本発明で使用する高分子アクチュエータ素子の構成(2)を示す断面図である。 高分子アクチュエータ素子の動作原理を説明する図である。 従来のアクチュエータシステムの高温環境下における構成(1)を示す概略図である。 従来のアクチュエータシステムの高温環境下における構成(1)を示す概略図である。 本発明に係るアクチュエータシステムの第1の実施の形態における構成を示す概略図である。 本発明に係るアクチュエータシステムの第1の実施の形態の高温環境下における構成を示す概略図である。 本発明に係るアクチュエータシステムの第2の実施の形態における構成を示す概略図である。 本発明に係るアクチュエータシステムの第2の実施の形態の高温環境下における構成を示す概略図である。
符号の説明
1…イオン導電性高分子膜、2…電極膜、3…金属導電膜、4…リード線、10,20…高分子アクチュエータ素子、12,21,22,92…構造体、12a…突起先端部、13,23,93…ポリマーフィルム、15…間隙、21s…基準面、22a…端面部分、25…空隙、29…蝶番構造、100,200,900…アクチュエータシステム、1a,1a´…電解液、A,B…端部、E…電源

Claims (3)

  1. 水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する高分子アクチュエータ素子と、
    前記高分子アクチュエータ素子に固定され、該高分子アクチュエータ素子が湾曲したときの変位を外部対象物に作用して伝える構造体と、
    少なくとも前記高分子アクチュエータ素子を包み込んで、前記電解液を封止する膨張収縮可能なポリマーフィルムと、からなり、
    前記ポリマーフィルムは、前記構造体が外部対象物に作用する部分以外の領域で膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステム。
  2. 棒形状または短冊形状で水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する高分子アクチュエータ素子と、
    前記高分子アクチュエータ素子の長手方向に直交する方向への突起物として該高分子アクチュエータ素子に固定される複数の構造体と、
    前記高分子アクチュエータ素子及び複数の構造体を包み込んで前記電解液を封止する膨張収縮可能なポリマーフィルムと、からなり、
    電圧印加された前記高分子アクチュエータ素子が湾曲したときの変位を前記複数の構造体の突起先端部分が外部対象物に作用して伝えるアクチュエータシステムであって、
    前記複数の構造体が前記高分子アクチュエータ素子の長手方向に間隔を空けて固定されるとともに、前記ポリマーフィルムが該複数の構造体それぞれの突起先端部分で固定されており、
    前記ポリマーフィルムが、前記構造体同士の間隙で膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステム。
  3. 棒形状または短冊形状で水系の電解液が含浸されたイオン導電性高分子体と、該イオン導電性高分子体上に対向して設けられる2つの電極膜と、を有し、前記電極膜間に電圧が印加されることにより前記イオン導電性高分子体が湾曲する複数の高分子アクチュエータ素子が、基準面と、該基準面と平行に配置される平板状の構造体との間に設けられ、
    前記複数の高分子アクチュエータ素子それぞれの長手方向の一方の端部Aが前記基準面に固定され、他方の端部Bが前記構造体に旋回可能に固定されており、
    膨張収縮可能なポリマーフィルムが前記基準面と構造体に固定されて該基準面と構造体との間の前記複数のイオン導電性高分子体の電解液を封止しており、
    電圧印加された前記複数の高分子アクチュエータ素子の湾曲に伴ってそれぞれの端部Bが前記構造体を前記基準面に対して水平方向に押して変位させ、この変位を該構造体の端面部分が外部対象物に作用して伝えるアクチュエータシステムであって、
    前記ポリマーフィルムが前記構造体の外部対象物に作用する端面側以外の前記基準面と構造体の間からはみ出るように膨張して水の蒸発による前記電解液の体積変化を吸収することを特徴とするアクチュエータシステム。
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