JP5012158B2 - 固液界面の評価方法および評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固液界面の評価方法と評価装置に関する。特に、XAFS(X線吸収微細構造:X-ray Absorption Fine Structure)法により固液界面の特定元素の構造解析を行うことができる固液界面の評価方法に関する。
X線を用いた種々の分析方法が広く利用されている。そのうちの一つとして、X線回折法がある。例えば、非特許文献1では、金電極に溶液層を薄く形成し、この電極にX線を照射し、回折・散乱するX線により電極表面の構造解析を行う技術が開示されている。
その他、XAFS法も知られている。例えば、非特許文献2では、XAFSを用いて気液界面における単分子膜へのイオン吸着の挙動を解析する技術が開示されている。この技術では試料となる液体に、液面すれすれの角度でX線を入射させて解析を行っている。
「表面X線回折法による固液界面の研究」 高橋 正光 SPring-8 利用者情報/2000年9月 p344-347 「XAFSを用いた気液界面における単分子膜へのイオン吸着挙動」 渡辺 巌 表面科学 Vol.25,No.3,pp139-145,2004
しかし、上記の各技術では、次のような問題があった。
まず、X線回折を利用する非特許文献1の技術では、回折を利用する必要上、電極が結晶として規則性を有していることが必要となる。実用上、電極は単結晶材料に限定され、電極の選択自由度が小さい。また、電極表面の液を通してX線が照射されるため、X線回折、X線散乱測定の精度を向上するには、液量を非常に少なくする必要がある。その結果、任意の液量にて固液界面情報の評価を行うことができない。
次に、XAFSを用いた非特許文献2の技術では、気液界面の解析を行っているが、固液界面情報の解析を行うことができない。これは、液体に浸漬された電極に向けて液体の外側からX線を照射しても、X線の照射経路に存在する全元素から蛍光X線が発生するため、固液界面の限定された領域の構造解析を行うことができないからである。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、固液界面の注目対象である特定元素(イオン)の構造を容易に解析することができる評価方法と評価装置を提供することにある。
本発明固液界面の評価方法は、注目対象が含有される液体試料に対して、注目対象とは異なる材料からなる電極を接触させる。この電極界面の液体試料にX線エネルギーを変えながらX線を照射する。その際、電極近傍の注目対象にX線を吸収させて注目対象から電子を放出させ、その電子の放出に伴って電極に生じる電気量を測定する。そして、前記X線エネルギーと前記電気量との関係から電極界面における注目対象またはその周囲の構造情報を解析することを特徴とする。
電極界面の液体試料にX線エネルギーを変えながらX線を照射することで、電極近傍の注目対象にX線を吸収させて注目対象から電子を放出させることができる。この放出される電子量は、注目対象でのX線の吸収量と相関があり、この電子の放出に伴って電極に生じる電気量も前記X線の吸収量と相関があると考えられる。そのため、前記電気量を測定し、X線エネルギーと前記電気量との関係を求めれば、両者の関係からXAFS法を利用して電極界面における注目対象またはその周囲の構造情報を解析することが可能になる。特に、XAFS法を用いることで、電極が単結晶の平坦な材料に限定されることもなく、任意量の液体試料中の特定の元素の構造解析を行うことができる。
本発明方法の実施形態として、X線の液体試料への照射は、電極を介して行うことが好ましい。
この構成によれば、XAFS法による分析領域が電極とめっき液の界面を起点としたX線の液中への侵入深さ若しくは電子の拡散距離のいずれか小さい方に規定される。そのため、電極のごく近傍領域におけるXAFSを選択的に測定することができる。それにより、構造解析結果から、液体試料の評価を行うことができる。
本発明方法の実施形態として、液体試料に間歇的にX線を照射させる繰り返し信号を得て、前記電極からの電気量の測定結果のうち、その変調信号に同期する成分を取り出すことが挙げられる。
この構成によれば、いわゆるロックインアンプを利用することで、微小な電気量を検出することができ、液体試料中の注目対象元素濃度が低い場合でも液体試料の評価を行うことができる。
その他、本発明方法の実施形態として、電極に電位を印加しながら前記電気量の測定を行うことが挙げられる。
電極に電位を印加しながら前記電気量の測定を行うことで、例えばめっきや電気分解といった電気化学反応を制御しながら電極界面における注目対象のイオン構造を解析することが可能となる。
一方、本発明固液界面の評価装置は、注目対象を含む液体試料が貯留される試料容器と、この液体試料に接するように試料容器に設けられた電極と、X線発生源から電極界面の液体試料に照射されたX線により、電極近傍の注目対象にX線を吸収させて注目対象から電子を放出させ、その電子の放出に伴って電極に生じる電気量を測定する手段とを備えることを特徴とする。
この装置によれば、X線が電極近傍の液体試料に照射されたとき、電気量測定手段により、電極に生じる電気量を測定することにより、固液界面の注目対象またはその周囲の局所構造情報を容易に解析することができる。
上記装置の実施形態として、X線発生源と電極との間に配置されてX線を間歇的に電極側に照射させるチョッピング手段を備えることが好ましい。その際、前記電気量測定手段は、チョッピング手段で間歇的に照射されるX線の周期に同期した電気量を測定することが望ましい。
この構成によれば、電極近傍における注目対象から放出された電子のうち、チョッピング手段で間歇的に照射されるX線の周期に同期した電子量に基づく電気量を抽出することができ、微小な電気量を精度良く検出することができる。
本発明の固液界面の評価方法によれば、電極界面近傍の液体試料における特定元素の構造解析を行うことができる。そのため、この解析結果を液体試料の品質管理に利用することが期待される。
本発明の固液界面の評価装置によれば、X線を液体試料に照射することで、電極界面の液体試料における注目対象から放出された電子量に応じた電気量を電気量測定手段により計測することができる。
以下、本発明の実施形態を図1に基づいて説明する。
(実施の形態1)
<本発明装置の概要>
本発明装置は、X線源1と、試料容器2と、試料容器2を覆うシールドケース3と、試料容器2に設けられた電極4と、電極4の電気量を増幅して計測するアンプ5と、試料容器2内の液体試料Sに浸漬される対極6とを備える。
この装置で固液界面の特定元素(注目対象)とその周囲の元素の構造解析を行うには、試料容器2の中に液体試料Sを入れ、X線源1から電極4を介して液体試料SにX線を照射する。この照射により、電極表面近傍の液体試料中の特定元素の内殻電子を励起して電子を放出させる。その放出された電子量に応じた電気量を、電極4を介してアンプ5で計測する。
ここでは、液体試料SとしてNiめっき液を用い、このめっき液S中のNiイオンを注目対象元素とする。以下、各構成部材を詳細に説明する。
<X線源>
X線源1には、所定の強度のX線を照射できる適宜な照射源を用いる。本例では、SPring-8をX線源に用いている。
<試料容器>
試料容器2は、液体試料を貯留するために用いられる容器2である。この容器2の形状は、内部に液体試料Sを貯留できればよい。例えば、上部が開口した有底容器が利用できる。この試料容器2は、貯留される液体試料Sと反応しない材質で構成されていることが好ましい。この試料容器2は、電極4と絶縁できれば、絶縁材料で構成されていることはもちろん、導電材料であっても構わない。本例では、上部が開口したガラス容器を試料容器2としている。
<電極>
上記試料容器2の側壁には、開口部が形成され、その開口部に電極4が設けられている。この電極4は、液体試料Sと接するように設けられ、この電極4を介して液体試料SにX線源1からのX線が到達される。電極4は、注目対象と異なる材料で構成する。本例では、注目対象がNiであるため、Ni以外の材料で電極を構成すればよい。例えば、PtやAuが電極4として好適に利用できる。同じNiめっき液を液体試料とする場合でも、S(イオウ)が注目対象であれば、Niで電極4を構成しても良い。この電極4は、理論上、金属や導電性有機材料などの導電材料から構成されていればよいが、さらに絶縁材料と複合して構成してもよい。例えば、薄膜状の金属のみを試料容器2の開口部に設置することが難しいため、この薄膜金属を樹脂フィルムなどの支持材と接合して電極とし、試料容器に設けることが好ましい。本例では、厚さ50μmのポリイミド(カプトン:商品名)フィルムに厚さ0.7μmのAu箔を蒸着したものを電極4に用いている。このAu箔が試料容器2の内側に向くように電極4は設けられ、試料容器2に液体試料を入れた際、Au箔が液体試料に接するようになる。そして、この電極4は、シールド線を介してアンプ5に接続される。
<シールドケース>
上記試料容器2の外側は、電磁波をシールドするシールドケース3で覆われることが好ましい。このシールドケース3は、試料容器2に設けられた電極4や液体試料Sに対して不要な電磁波が到達することを防止し、電極4を介して電気量を測定する際のノイズを低減することができる。シールドケースは、金属材料で構成することが好ましく、試料容器全体を覆う形態とすればよい。本例では、厚さ1mmのアルミニウム板でシールドケースを構成している。
このシールドケース3のうち、X線源1と電極4との間には、X線の透過窓3Wを形成することが好ましい。一様な厚みの金属材料でシールドケース3を構成すると、電極4を介してX線を液体試料Sに到達させるにはシールドケース3が厚すぎることが多い。そのため、シールドケース3の一部に薄肉の箇所を形成し、その薄肉部を透過窓3Wとすれば、電磁波のシールド特性を劣化させることなくX線を液体試料Sに到達させることができる。透過窓3Wは、樹脂フィルムなどの支持体に金属薄膜を形成したものが好適に利用できる。本例では、ポリエチレンテレフタレート(マイラー:商品名)フィルムにアルミニウムを厚さ約20nmとなるように蒸着した部材を透過窓3Wとした。シールドケースは、接地されている。
<アンプ>
電極4の電気量は、アンプ5で計測される。この電気量は、電流または電圧として計測することが好適である。この電気量は数pAもしくはそれ以下と僅かであるため、アンプ5で増幅して検出する。
<対極>
電極4に接した液体試料には、対極6が浸漬されている。この対極6は、液体試料Sを接地に接続するためのもので、導電性材料であれば種々の材料が利用できる。ここでは、Niワイヤを対極6に利用している。Niワイヤは、シールドケースに接続され、同ケースを介して接地されている。対極6を設ける代わりに、試料容器2を導電材料で構成し、この容器2を接地に接続しても良い。その場合、電極4と試料容器2との間に適宜な絶縁材料を介在させて電極4を容器2と絶縁する。
<固液界面の評価方法>
上記の装置を用いて電極近傍の液体試料、即ち固液界面におけるNi原子(イオン)とその周囲の局所構造解析を行う手順を以下に説明する。
所定強度のX線をX線源1から照射する。照射されたX線は、電極4を通って電極近傍の液体試料Sにまで到達する。
電極近傍のめっき液中のNiイオンにX線が照射されると、NiイオンでX線の吸収が起こり、その際、Niイオンの内殻電子が励起されて光電子として放出される。この放出された光電子は球面波状にNiイオンの周囲に広がる。広がった電子波がNiイオンの周囲の原子に当たると電子の散乱が起き、広がった電子波と散乱波の間で干渉が起こる。
一方、上記X線の吸収に伴って電極に生じる電気量は、Niイオンから放出される電子量に応じた値となっていると考えられる。そのため、X線エネルギーを変えながら電極界面の液体試料へのX線の照射を行い、X線エネルギーと電極の電気量との関係をグラフとして求めれば、このグラフがX線吸収スペクトルに相当するものとなる。
ここで、Niイオンに照射されたX線は電子が励起(放出)された分だけ強度が落ちる。各元素は、それぞれ電子が原子の電子束縛ポテンシャルから抜け出すための特有のエネルギーを持ち、そのエネルギーよりも高いエネルギーを持つX線は、原子の内殻電子を殻外へと励起することができるため吸収されやすくなる。この吸収量が急激に変化する特性吸収端のエネルギーは各元素に固有で、内殻の種類(K殻、L殻、M殻)に応じてX線吸収スペクトルにはいくつかの吸収端が存在する。
このX線吸収スペクトルにおける吸収端近傍を詳細に調べてみると、特性吸収端の付近から高エネルギー側の領域に微細構造が現れる。つまり、本例の場合、Niイオンから放出された電子量、つまり電極の電気量をプローブとするXAFSを得ることができる。
XAFSは、吸収端近傍のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)領域と、それより高エネルギー側のEXAFS(Extended X-ray Absorption Fine Structure)の領域からなる。XANESからは主に注目対象の種類や電子状態などに関する情報が得られ、EXAFSからは主に注目対象の周囲の局所構造に関する情報が得られる。例えば、X線吸収スペクトルを分析することで、(1)X線を吸収した元素(吸収原子)の種類や価数、(2)吸収原子の周りに近接する原子の種類、(3)吸収原子の周りに近接する原子の数(配位数)、(4)吸収原子からその周りに近接する原子までの距離(原子間距離)などがわかる。
より具体的には、XANESにおいて、吸収の立ち上がりのエネルギーは注目対象の原子の価数によって変化するため、この立ち上がりのエネルギーから注目対象となる元素の酸化数が容易にわかる。その他、EXAFSからは吸収原子と近接する原子までの原子間距離がわかる。吸収されるX線の強度が変化すると、吸収原子から放出される電子の波長が変化する。吸収原子から放出された電子は、隣接原子に当って散乱され、その散乱波の一部は吸収原子に戻ってくる。その際、放出された電子の波長が吸収原子と隣接原子との往復距離の整数倍になれば定在波が生じ、X線の吸収強度が大きくなる。逆に、放出された電子の波長が吸収原子と隣接原子との往復距離の半整数倍になれば、往復の電子の波は打ち消しあってX線の吸収強度が小さくなる。従って、この吸収強度の変動のみを抽出すると、その変動の周期から上記原子間距離を求めることができる。
通常、EXAFSは、まずX線吸収スペクトルからバックグラウンドを減じる。次に、バックグラウンドを除去したスペクトルのうち、吸収端から高エネルギー側のスペクトルを拡大し、そのスペクトルのほぼ中心線を求める。そして、中心線を横軸とした波形をフーリエ変換する。
このように、Niイオンの内殻電子が励起されて放出された電子量を、電極の電気量としてアンプ5で計測することで、電子量をプローブとするXAFSを行うことができる。その際、XAFS法による分析領域が電極とめっき液の界面を起点としたX線の液中への侵入深さ若しくは電子の拡散距離のいずれか小さい方に規定される。そのため、電極のごく近傍領域におけるXAFSを選択的に測定することができる。特に、XAFS法を用いることで、電極4が単結晶の平坦な材料に限定されることもなく、めっき液中の特定の元素の構造解析を実施することができる。
また、電極4側からX線を入射することで、電極4とめっき液の双方の情報を取り込むことなく、電極界面のめっき液におけるNi元素の微細構造を解析することができる。その際、液体試料の量もめっきを行う際のめっき液量にて解析を行うことができる。
以上の例では、電極を介してX線を液体試料に照射したが、液体試料側からX線を照射することも考えられる。つまり、電極界面の液体試料にX線が到達する程度に試料容器を薄く形成し、この試料容器の電極のない壁面からX線を照射する。そして、電極界面の液体試料にX線を吸収させ、その際に電極に発生する電気量を計測すれば良い。この場合、試料容器を薄くすることで、液体試料もある程度薄い状態とされるが、X線吸収の場合は、背景技術で説明したX線回折の場合ほど液体試料を少量(薄い状態)とする必要がない。そのため、液体試料の液量を幅広く選択することが可能である。
(実施の形態2)
次に、図2に基づいて、上記実施形態1とは異なる構成の実施形態を説明する。この実施形態でも、X線源1と、電極4を有する試料容器2と、試料容器2を覆うシールドケース3と、試料容器内の液体試料Sに浸漬される対極6とを備える。ただし、X線源とシールドケースの透過窓3Wとの間にX線を間歇的に照射させるチョッパ7を備え、電極からの電気量を増幅して計測するアンプをロックインアンプ5Aとしている点が異なる。以下、主として実施の形態1との相違点を説明する。
チョッパ7は、複数の孔が形成された円盤である。この円盤を図示しない駆動機構で回転させることにより、孔の箇所でX線を透過し、孔のない箇所でX線を遮蔽する。それにより、電極側にX線を間歇的に照射することができる。本例では、アルミニウムの円盤に複数の円孔を形成してチョッパ7としている。
一方、ロックインアンプ5Aは、電極4を介して計測される電圧または電流のうち、X線が間歇的に照射される周期に同期した信号のみを抽出する。このロックインアンプ5Aによる信号の抽出により、電極4に生じる微小な電気量を感度良く計測することができる。
(実施の形態3)
次に、図3に基づいて、上記実施形態1とは異なる構成の実施形態を説明する。この実施形態で用いる評価装置は、基本構成が実施の形態2で説明した装置と共通しているが、電極4に電位を印加できるように構成されている点が実施の形態2とは相違する。
つまり、この装置では、電極4に直流電源8が接続され、さらにこの電源8と直列にコンデンサ9が接続されている。このコンデンサ9は、電極4とアンプ5Aの間を流れる電流のうち、直流電源8からの直流成分をカットし、チョッピングにより液体試料SにX線が間歇的に照射された結果、電極4に生じる交流成分のみを取り出す役割を果たす。直流電源8の電圧は、例えば0.1〜1.0V程度が考えられる。一般に、めっきを行う場合、電極4と対極6との間に電位が付与され、めっき液で電気化学反応が行われる。従って、液体試料Sをめっき液とし、電極4に電位を付与してロックインアンプ5Aにより電極4からの電気量を計測すれば、実際にめっきを行っている状態と同等の条件でめっき液の電極近傍の元素の構造解析を行うことができる。
なお、電極に電位を印加しながら電極界面近傍の液体試料の評価を行う本例の構成において、チョッパおよびロックインアンプを使用しない場合、コンデンサ9を接続せず、直流電源8からの直流成分に重畳される励起電流、つまり液体試料SにX線の照射がなされた結果、電極4に生じる電流成分を測定すれば良い。
(実施例1)
上記実施の形態2の装置を用いて、電気量の計測を行った。ここで用いためっき液は、ワット浴(NiSO4・6H2O 300g/L、NiCl2・6H2O 45g/L、H3BO3 45g/L、pH3程度)である。電気量は、アンプの出力電圧を計測することで行った。
ここでは、チョッパの回転によるX線照射周期の周波数を100HzとしてX線の照射エネルギーを変えながらロックインアンプにてアンプの出力電圧を測定した。
また、比較のため、いわゆる透過XAFSも行った。具体的には、同様のめっき液にX線を照射して、透過させ、透過前後のX線強度を測定した(比較例1)。
実施例1のX線エネルギーと出力電圧との関係を図4のグラフに、比較例1のX線エネルギーとX線吸収量との関係を図5のグラフに示す。いずれのグラフもNi元素に対応した8.33keVにおけるX線エネルギーでX線の吸収の増大が認められるが、両者の波形には大きな相違が認められる。
(実施例2)
次に、上記実施例1におけるチョッパの回転速度を変え、X線照射周期の周波数を50.8Hzから1000Hzまでの範囲で変化させ、周波数の変化とX線の吸収高さ(mV)の関係と、同周波数とS/B比の関係を求めた。吸収高さは、Ni元素に対応した8.33keVにおける出力電圧(シグナル(S))であり、S/B比は、図4のグラフにおけるシグナル(S)とバックグラウンド(B)との比率である。前者を図6に、後者を図7のグラフに示す。
これらのグラフから明らかなように、周波数は低い方がS/B比が高く好ましいことがわかる。好ましい周波数の範囲は、5Hz〜300Hz程度、さらに好ましい範囲は、10Hz〜100Hz程度と思われる。
本発明の固液界面評価方法、評価装置は、めっきや電気分解などを行う際のめっき液、電解液の解析などに好適に利用できる。
実施の形態1に係る本発明装置の概略構成図である。 実施の形態2に係る本発明装置の概略構成図である。 実施の形態3に係る本発明装置の概略構成図である。 実施例1の測定結果を示すグラフである。 比較例1の測定結果を示すグラフである。 X線の照射周波数の変化とX線の吸収高さ(mV)の関係を示すグラフである。 X線の照射周波数とS/B比の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 X線源 2 試料容器 3 シールドケース 3W 透過窓 4 電極
5 アンプ 5A ロックインアンプ 6 対極 7 チョッパ 8 直流電源
9 コンデンサ
S 液体試料(めっき液)

Claims (6)

  1. 注目対象が含有される液体試料に対して、注目対象とは異なる材料からなる電極を接触させ、
    この電極界面の液体試料にX線エネルギーを変えながらX線を照射し、電極近傍の注目対象にX線を吸収させて注目対象から電子を放出させ、その電子の放出に伴って電極に生じる電気量を測定し、
    前記X線エネルギーと前記電気量との関係から電極界面における注目対象またはその周囲の構造情報を解析することを特徴とする固液界面の評価方法。
  2. 前記X線の液体試料への照射は、電極を介して行うことを特徴とする請求項1に記載の固液界面の評価方法。
  3. 液体試料に間歇的にX線を照射させる繰り返し信号を得て、前記電極からの電気量の測定結果のうち、その変調信号に同期する成分を取り出すことを特徴とする請求項1または2に記載の固液界面の評価方法。
  4. 電極に電位を印加しながら前記電気量の測定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固液界面の評価方法。
  5. 注目対象を含む液体試料が貯留される試料容器と、
    この液体試料に接するように試料容器に設けられた電極と、
    X線発生源から電極界面の液体試料にX線エネルギーを変えながら照射されたX線により、電極近傍の注目対象にX線を吸収させて注目対象から電子を放出させ、その電子の放出に伴って電極に生じる電気量を測定する手段とを備えることを特徴とする固液界面の評価装置。
  6. X線発生源と電極との間に配置されてX線を間歇的に電極側に照射させるチョッピング手段を備え、
    前記電気量測定手段は、チョッピング手段で間歇的に照射されるX線の周期に同期した電気量を測定することを特徴とする請求項5に記載の固液界面の評価装置。
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