JP5011623B2 - 連結基として1,2−プロパンジイル基を有する新規液晶性化合物とそれを含有する液晶組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な、連結基として1,2-プロパンジイル基を有する新規化合物とそれを含む液晶組成物およびその液晶組成物を構成要素とする液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、家電全般、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、携帯電話、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。
【0003】
液晶材料は表示方式や駆動方式に応じて、種々の特性が要求されている。中でも温度範囲が広いことはほとんどの場合に共通して非常に重要であるが、これにはネマチック相上限温度(TN-I)が充分高いことと、融点(TC-N)あるいはスメクチック-ネマチック転移温度(TS-N)が充分低いことを含んでいる。
【0004】
他の液晶化合物や汎用液晶組成物に対する相溶性も重要である。この相溶性が不良の場合には、析出や相分離の危険を避けるために非常に多数の液晶化合物を混合させる必要が生じ、組成物の調製には非常な手間がかかり、高コスト化が避けられない。また、液晶材料には無色であり、光、熱、水等に対する化学的な安定性が高くおよびディスプレイの表示不良の大きな原因となる焼き付きを起こさないことも求められている。
【0005】
屈折率異方性(Δn)は重要な特性であり、その表示方法に応じてさまざまな値が要求される。現在実用化されているTN型およびSTN型においては、近年の携帯化に伴いバックライトを用いない反射型の液晶表示素子が実用化されている。液晶表示素子においては、干渉縞の発生による着色やむらを防止するために、セル厚(d)とΔnの積(Δn・d)をある値(0.5、1.0、1.6、2.2等)に設定する必要があるが、これはバックライトを使用したときのことであり、前述の反射型液晶表示素子においては、反射光をみるため同じセル厚であればdの値は2倍となり、その結果Δnとしては1/2の値が必要となる。セル厚を薄くすることにより、その干渉縞の発生による着色やむらを防止することはできるが限界があり、その結果として小さなΔnを有する液晶材料が必要とされている。
【0006】
近年さまざまな駆動方法の開発により、液晶材料に求められる誘電率異方性(Δε)の値が正のものから負のものまでさまざまなものになってきている。これら要求に応じるためには、縦型配向等の液晶組成物に有効である負のΔεを有する液晶性化合物や、またはTN型およびSTN型の液晶組成物に有効である大きな正のΔεを有する液晶性化合物が必要である。特にΔnの絶対値が小さい化合物は、温度範囲の拡大や低粘性化等の目的のため、ほとんどすべての用途において非常に重要である。
【0007】
また、現在急速にそのシュアを拡大しているアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示素子は使用する液晶材料に高い信頼性を求めており、その液晶材料は炭素原子、水素原子、フッ素原子および一部例外的な酸素原子のみからなる化合物に限られている。
【0008】
一般に液晶化合物は構造的にコアと呼ばれる中心骨格と側方基(鎖状および極性基)から構成され、コア部は複数の環構造とそれらを連結する構造からなっている。ここで連結基としてはその目的用途に応じて種々のものが用いられているが、化学的に安定でかつΔnを低減する性質を有し、かつ前述のアクティブマトリクス用途にも適したものは非常に限られてしまうのが実情である。例えば、エステル基やエーテル基では、酸や塩基あるいは熱等に必ずしも安定とは言えず、アクティブマトリクス用途には適さない。エチレン基はこれらの条件を満足するもののΔnの低減効果は必ずしも充分ではなく、汎用の液晶組成物に対する相溶性の点でも問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、連結基として1,2-プロパンジイル基を有する新規液晶性化合物を提供することにあり、さらにそれを用いて、Δnの小さな液晶組成物およびその液晶組成物を構成要素とする液晶素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、一般式(I)
【化2】
(式中、R1は炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状部を含んでよいアルキル基、アルコキシル基、アルコキシルアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよく、mは0または1を表し、環aはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1個以上の水素原子がフッ素原子によって交換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、X1〜X3はそれぞれ独立的に水素原子またはフッ素原子を表し、Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、シアノ基、-SCN、-OCN、-R2、-OR2、-OCOR2または-COOR2を表し、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基を表し、これらの基は炭素原子数1〜10のアルコキシル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基により置換されていてもよく、またこれらの基中に含まれる1個以上の水素原子はフッ素原子により置換されていてもよく、置換または分岐により不斉炭素が生じる場合光学活性であってもラセミ体であってもよい。シクロヘキサン環の1,4位はトランス配置である。)で表される連結基として1,2-プロパンジイル基を有する新規液晶性化合物および一般式(I)記載の化合物を含有する液晶組成物さらにその液晶組成物を構成要素とする液晶素子を前記課題を解決するための手段として見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
一般式(I)で表される1,2-プロパンジイル基を有する液晶性化合物において、R1は炭素原子数1〜7の直鎖状,分岐状または環状部を含んでよいアルキル基、アルコキシル基、アルコキシルアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基が好ましく、さらに炭素原子数1〜7の直鎖アルキル基、アルコキシル基、アルコキシルアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜7の直鎖アルキル基またはアルケニル基が特に好ましい。mは低粘度を要求される際には0が好ましく、高い温度まで広い液晶温度範囲が求められる際には1が好ましい。環aはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1個以上の水素原子がフッ素原子によって交換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましく、特に小さなΔnが求められる際は特にトランス-1,4-シクロへキシレン基が好ましい。
【0012】
本発明の液晶化合物は置換基の種類や置換する位置を換えることにより、大きな絶対値の負のΔεを有する、または大きな正のΔεを有する化合物を得ることができる。X1〜X3は水素原子またはフッ素原子が好ましく、すべて水素原子または1個以上がフッ素原子であり他が水素原子であることがより好ましい。特に他の液晶性化合物との相溶性をより向上させるためには1個がフッ素原子であり他が水素原子であることがより好ましく、またΔεを大きな絶対値の正の値とするには、X1およびX2 がフッ素原子かつX3 が水素原子であることが好ましく、またΔεを大きな絶対値の負の値とするには、X2およびX3 がフッ素原子かつX1 が水素原子であることが好ましい。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、シアノ基、-SCN、-OCN、-R2、-OR2、-OCOR2または-COOR2を表し、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基が好ましく、Δεを大きな絶対値の正の値とするには、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基が好ましく、フッ素原子、シアノ基、トリフルオロメトキシ基が特に好ましく、Δεを大きな絶対値の負の値とするには、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜7のアルケニル基、アルケニルオキシ基が特に好ましい。
【0013】
一般式(I)において、そのR1、m、環a、X1〜X3およびYの選択によって多種の化合物群を包含するが、以下に表される化合物が好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
(式中、R1、m、環a、X1〜X3およびYは一般式(I)におけると同じ意味を表す。)さらに上式のうち一般式(Iab)、(Iac)、(Iae)、(Iaf)、(Iah)、(Iaj)、(Iaq)、(Iar)、(Ias)、(Iau)、(Iav)、(Iaw)、(IbA)、(IbB)、(IbC)、(IbD)、(IbE)、(IbF)、(IbG)、(IbH)、(Ics)、(Icw)、(IdC)、(IdD)、(IdE)および(IdF) の各化合物が好ましく、一般式(Iab)、(Iac)、 (Iah)、(Iaj)、 (Ias)、 (Iaw)、 (IbB)、(IbC)、(IbD)、 (Ics)、(Icw)、(IdC)および(IDd) の各化合物がさらに好ましく、一般式(Iab)、(Iac)、(Ias)、 (Iaw)、 (IbC)および(IbD)の各化合物が特に好ましい。
【0022】
また一般式(Iaa)〜(IdK)において、R1は炭素原子数1〜7の直鎖状,分岐状または環状部を含んでよいアルキル基、アルコキシル基、アルコキシルアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基が好ましく、さらに炭素原子数1〜7の直鎖アルキル基、アルコキシル基、アルコキシルアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜7の直鎖アルキル基またはアルケニル基が特に好ましい。mは低粘度を要求される際には0が好ましく、高い温度まで広い液晶温度範囲が求められる際には1が好ましい。環aはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1個以上の水素原子がフッ素原子によって交換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましく、小さなΔnが求められる際は特にトランス-1,4-シクロへキシレン基が好ましい。X1〜X3は水素原子またはフッ素原子が好ましく、すべて水素原子または1個以上がフッ素原子であり他が水素原子であることがより好ましい。特に他の液晶性化合物との相溶性をより向上させるためには1個がフッ素原子であり他が水素原子であることがより好ましく、またΔεを大きな絶対値の正の値とするには、X1およびX2 がフッ素原子かつX3 が水素原子であることが好ましく、またΔεを大きな絶対値の負の値とするには、X2およびX3 がフッ素原子かつX1 が水素原子であることが好ましい。Yはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、シアノ基、-SCN、-OCN、-R2、-OR2、-OCOR2または-COOR2を表し、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基が好ましく、Δεを大きな絶対値の正の値とするには、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基が好ましく、フッ素原子、シアノ基、トリフルオロメトキシ基が特に好ましく、Δεを大きな絶対値の負の値とするには、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシル基または炭素原子数2〜7のアルケニル基、アルケニルオキシ基が特に好ましい。
一般式(I)において、そのR1、m、環a、X1〜X3およびYの選択によって多種の化合物群を包含するが、以下に表される化合物が好ましい。
【0023】
本発明の一般式(I)の化合物はそのR1、m、環a、X1〜X3およびYに応じて以下のようにして製造することができる。
一般式(Iaa)で表される化合物の場合
【0024】
(i)一般式(IIa)
【化11】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表し、Xは塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲン原子を表すが、好ましくは臭素原子を表す。)で表されるシクロヘキサン誘導体をマグネシウムと反応させてグリニヤール反応剤とするか、あるいはブチルリチウム等のアルキルリチウムによりリチオ化して有機金属反応剤とし、これを式(IIIa)
【化12】
で表されるケトンと反応させ、得られた一般式(IVa)
【0025】
【化13】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるアルコールを酸触媒存在下に脱水させて、一般式(Va)〜(Vc)
【0026】
【化14】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される化合物を得る。これを接触還元し、必要に応じて1,4-シクロヘキシレン環トランスに異性化し、カラムクロマトグラフィーや再結晶等で目的物を分離することにより一般式(Iaa)で表される化合物を製造することができる。
【0027】
(ii)一般式(IIa)で表されるシクロヘキサン誘導体をマグネシウムと反応させてグリニヤール反応剤とするか、あるいはブチルリチウム等のアルキルリチウムによりリチオ化して有機金属反応剤とし、これを式(VIa)
【化15】
で表されるアルデヒドと反応させ、次いで得られたアルコールを酸化するか、または式(VIb)
【0028】
【化16】
で表される酸クロライド等と反応させ、
一般式(VIIa)
【0029】
【化17】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるケトンとした後、式(VIII)
【化18】
で表されるウィッティヒ反応剤を反応させ、さらに還元して一般式(Iaa)で表される化合物を製造することができる。
【0030】
(iii)一般式(IVa)を一般式(IXa)
【化19】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表し、YはC(=S)C6H5、C(=S)SCH3、C(=S)OC6H5等を表す。)で表されるエステルとした後、(n-Bu)3SnH等で還元するかまたは、式(IXa)で表されるアルコール体をトリエチルシラン等のヒドロシランにより還元して一般式(Iaa)で表される化合物を製造することができる。
【0031】
(iv) (i)において一般式(IIa)に換えて一般式(Xa)
【化20】
(式中、Xは一般式(IIa)におけると同じ意味を表す。)を用い、酸触媒存在下に脱水させ、必要に応じて再アセタール化し、接触還元した後、脱アセタール化することにより式(XIIa)
【0032】
【化21】
で表されるシクロヘキサノン誘導体を得る。これに式(XIIIa)
【0033】
【化22】
で表されるウィッティヒ反応剤を反応させた後、脱保護、異性化することにより式(XIVa)
【0034】
【化23】
で表されるシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体を得る。これに式(XVa)
【0035】
【化24】
で表されるウィッティヒ反応剤を反応させることによりビニル基である化合物を製造することができる。また、(XIIa)に(XIIIa)のウィッティヒ反応剤をさらに2回反応させ、次いで(XVb)のウィッティヒ反応剤を反応させることにより、3-ブテニル基である化合物を製造することができる。また式(XVb)
【0036】
【化25】
で表されるウィッティヒ反応剤等を用いることにより、不飽和な側鎖を持つ化合物の合成が可能となる。
【0037】
(v)一般式(IIa)に換えて、一般式(IIb)〜(IIj)
【化26】
(式中、R1およびXは一般式(I)および(II)におけると同じ意味を表す。)で表される化合物を用い、また一般式(IIIa)に換えて、一般式(IIIb)〜(IIIs)
【0038】
【化27】
(式中、R2は一般式(I)および(II)におけると同じ意味を表す。)で表される化合物を用いるか、(iv)において一般式(IIIa)に換えて、一般式(IIIb)〜(IIIs)を用いることにより、一般式(Iab)〜(Iaf)、(Iap)〜(Iaw)、(Iba)〜(Ibf)、(Ibp)〜(Ibw)、(IbA)〜(IbD)、(IbJ)〜(IbP)、(Ica)〜(Icf)、(Icp)〜(Icw)、(Ida)〜(Idf)、(Idp)〜(Idw)、(IdA)〜(IdD)および(IdG)〜(IdK)の化合物を同様にして製造することができる。またR2が不飽和脂肪族基の場合、式(IIIa)で表される化合物を用いるに換えて、式(IIIA)〜(IIIH)
【0039】
【化28】
を用い、酸触媒存在下に脱水させ、必要に応じて再アセタール化し、接触還元した後、脱アセタール化した後、これに式(XIIIa)で表されるウィッティヒ反応剤を反応させた後、脱保護し、これに式(XVa)で表されるウィッティヒ反応剤を反応させることによりビニル基である化合物を製造することができる。また、(XIIa)に(XIIIa)のウィッティヒ反応剤をさらに2回反応させ、次いで(XVb)のウィッティヒ反応剤を反応させることにより、3-ブテニル基である化合物を製造することができる。また式(XVb)で表されるウィッティヒ反応剤等を用いることにより、不飽和な側鎖を持つ化合物の合成が可能となる。
(vi)(v)において式(IIIs)を用い合成した式(XVIa)
【0040】
【化29】
(式中、R1は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される化合物をブチルリチウムによりリチオ化し、二酸化炭素を作用させ安息香酸とした後、塩化チオニル等の塩素化剤と反応させ、次いでアンモニアでアミド化し、塩化チオニル、オキシ塩化リンあるいはポリリン酸エステル等により脱水することにより一般式(Iaj)で表される化合物を得ることができる。同様にして、一般式(Ibj)、(Ibj)、(IbG)、(IbH)、(Icj)および(Idj)で表される化合物を得ることができる。
(vii)一般式(Iat)のエーテル基を塩化アルミニウム等のルイス酸または臭化水素酸等の酸等で処理することにより、フェノール性水酸基とした後、塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲン基に置換するか、またはトリフルオロメタンスルホン酸等の脱離基とし、シアン化銅(I)と、あるいは遷移金属触媒存在下にシアン化ナトリウムあるいはシアン化カリウムと反応させることにより得ることができる。同様にして、一般式(Iag)、(Iah)、(Ibg)、(Ibh)、(IbE)、(IbF)、(Icg)、(Ich)、(Idg)、(Idh)、(IdE)および(IdF)で表される化合物を得ることができる。
一般式(I)で表される化合物で以上に示した以外の化合物も同様あるいはその応用により製造することができる。
【0041】
本発明の提供する組成物においては、その第一成分として一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有するが、その他の成分として特に以下の第二〜第四成分から少なくとも1種含有することが好ましい。
【0042】
即ち、第二成分はいわゆるフッ素系(ハロゲン系)のp型液晶化合物であって、以下の一般式(A1)〜(A3)で示される化合物からなるものである。
【化30】
上式中、Rbは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH2-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-または-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0043】
環A、環Bおよび環Cはそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基を表すが、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基または1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましい。特に環Bがトランス-1,4-シクロヘキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に、環Aはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましく、環Cがトランス-1,4-シクロヘキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に環Bおよび環Aはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。また、(A3)において環Aはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。
La、LbおよびLcは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CH2CH2-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH3)CH2-および-CH2CH(CH3)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-または-CH=NN=CH-を表すが、単結合、エチレン基、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCF2-、-CF2O-、-CF=CF-または-C≡C-が好ましく、単結合またはエチレン基が特に好ましい。また、(A2)においてはその少なくとも1個が、(A3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0044】
環Zは芳香環であり以下の一般式(IXa)〜(IXc)で表すことができる。
【化31】
式中、Ya〜Yjはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(IXa)において、YaおよびYbの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、(IXb)において、Yd〜Yfの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYdはフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0045】
末端基Paはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基またはジフルオロメチル基あるいは2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2または3のアルコキシル基、アルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基を表すが、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基またはジフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。また、(A2)においては本発明の一般式(I)の化合物は除く。
【0046】
第三成分はいわゆるシアノ系のp型液晶化合物であって、以下の一般式(B1)〜(B3)で示される化合物からなるものである。
【化32】
上式中、Rcは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH2-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-または-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0047】
環D、環eおよび環Fはそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基を表すが、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基または1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましい。特に環eがトランス-1,4-シクロヘキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に、環Dはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましく、環Fがトランス-1,4-シクロヘキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に環Dおよび環eはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。また、(B3)において環Dはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。
【0048】
Ld、LeおよびLfは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CH2CH2-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH3)CH2-および-CH2CH(CH3)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-OCH2-、-CH2O-、または-CH=NN=CH-を表すが、単結合、エチレン基、-COO-、-OCF2-、-CF2O-、-CF=CF-または-C≡C-が好ましく、単結合、エチレン基または-COO-が特に好ましい。また、(B2)においてはその少なくとも1個が、(B3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0049】
環Yは芳香環であり以下の一般式(IXd)〜(IXf)で表すことができる。
【化33】
式中、Yh〜Ynはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(IXe)において、YnおよびYoは水素原子であることが好ましい。
末端基Paはシアノ基(-CN)、シアナト基(-OCN)または-C≡CCNを表すが、シアノ基が好ましい。
また、(B2)においては本発明の一般式(I)の化合物は除く。
【0050】
第四成分は誘電率異方性が0あるいは負である、いわゆるn型液晶であり、以下の一般式(C1)〜(C3)で示される化合物からなるものである。
【化34】
上式中、RdおよびReはそれぞれ独立的に炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH2-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-または-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基または末端が炭素原子数1〜3アルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基が好ましく、さらに少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基または炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基であることが特に好ましい。
【0051】
環G、環H、環Iおよび環Jはそれぞれ独立的に、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、他の環はトランス-1,4-シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基であることが好ましい。
【0052】
Lg、LhおよびLiは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CH2CH2-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH3)CH2-および-CH2CH(CH3)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-または-CH=NN=CH-を表すが、単結合、エチレン基、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CF=CF-、-C≡C-または-CH=NN=CH-が好ましく、(C2)においてはその少なくとも1個が、(C3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
また、(C2)においては本発明の一般式(I)の化合物は除く。
【0053】
(C1)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C1a)〜(C1h)で表すことができる。
【化35】
上記各式中、RfおよびRgはそれぞれ独立的に炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基または末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基または炭素原子数4〜7の直鎖状3-アルケニル基を表す。ただし、環G1〜環G8が芳香環の場合、対応するRfは1-アルケニル基およびアルコキシル基を除き、環H1〜環H8が芳香環の場合、対応するRgは1-アルケニル基およびアルコキシル基を除く。
【0054】
環G1および環H1はそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。環G2および環H2はそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。環G3および環H3はそれぞれ独立的に1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、各化合物において1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基は1個以内であることが好ましい。
【0055】
(C2)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C2a)〜(C2m)で表すことができる。
【化36】
上式中、環G1、環G2、環G3、環H1、環H2および環H3は前述の意味を表し、環I1は環G1と、環I2は環G2と、環I3は環G3とそれぞれおなじ意味を表す。また、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。
【0056】
次に(C3)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C3a)〜(C3f)で表すことができる。
【化37】
上式中、環G1、環G2、環H1、環H2、環I1および環I2は前述の意味を表し、環J1は環G1また環J2は環G2とそれぞれおなじ意味を表す。また、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ここで、化合物記載に下記の略号を使用する。
末端の-n(数字) CnH2n+1- -CnH2n+1
末端の-On(数字) CnH2n+1O- -OCnH2n+1
-mdn -(CH2)m-C=C-CnHn+1
ndm- CnHn+1-C=C-(CH2)m-
【化38】
-H- -CH2CH(CH3)-
以下Crは結晶相を、Nはネマチック相を、Sはスメクチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ示す。
【0058】
(実施例1) 1-エチル-2,3-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Ias-1)の合成
【化39】
3 Lの反応容器(N2置換、メカニカルスターラー、温度計、ジムロート冷却器)にマグネシウムを11.7 gおよびテトラヒドロフラン(THF) 20 mLを加え、撹拌しながらトランス-1-(ブロモメチル)-4-プロピルシクロヘキサン95.6 gのTHF400 mL溶液を滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した後、トランス-4-(4-エチル-2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(この化合物は、2,3-ジフルオロプロピルベンゼンをリチオ化し、シクロヘキサン-4,4'-ジオンモノエチレンアセタールと反応させアルコールとした後、硫酸水素カリウムで脱水し、トルエン溶液にエチレングリコールを加え、共沸する水を系外に除去しながら、加熱還流させた。室温まで冷却して、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した後、溶媒を溜去し、これを酢酸エチルに溶解し、接触還元した後、蟻酸を加え加熱撹拌させた。冷却後、水を加え、分離したトルエン層を洗浄後、溶媒を溜去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶させて白色の結晶として4-(2,3-ジフルオロ-4-エチルフェニル)シクロヘキサノンを得た。これをトルエン及びTHFの混合溶媒に溶解して冷却し、臭化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムとt-ブトキシカリウムから調製したウィッティヒ反応剤を加えた。室温に戻し、水及びヘキサンを加え、ヘキサン層から不溶物を濾別後、水/メタノール混合溶媒で洗浄した。溶媒を溜去後、THFに溶解し、稀塩酸を加え、1時間加熱還流させた。冷却後水を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を溜去後、エタノールに溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で撹拌させた。氷冷下8時間放置した後、ろ過し、エタノール、水で洗浄後、真空乾燥した後、白色結晶として得られる。)100gのTHF400 mL溶液を滴下した。水100 mLを加え反応を停止し、ヘキサン100 mLを加え、有機相を分液し、有機相をさらに水200 mLで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200 mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒溜去後141 gのアルコール体が得られた。3 Lの反応容器(N2置換、メカニカルスターラー、温度計、ジムロート冷却器)に、得られたアルコール体全量と酢酸600 mLを加え、氷冷下次亜塩素酸ナトリウム水溶液250 gを滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した後、水300 mLおよびトルエン500 mLを加え、有機相を分液し、有機相をさらに水200 mLで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200 mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒溜去後138 gのケトン体が得られた。
【0059】
氷冷下THF中で臭化メチルトリフェニルホスホニウム及びt-ブトキシカリウムからウィッティヒ反応剤を調製し、これに得られたケトン体の全量をTHF400 mLに溶解し5℃で滴下した。1時間反応させた後、室温に戻し、水を加え、有機層を濃縮した。ヘキサンを加えて溶解し、不溶のトリフェニルホスフィンオキシドを濾別後、メタノール/水=1/1の混合溶媒で洗浄した。ヘキサン層を濃縮して得られた粗生成物138 g、酢酸エチル600mL及びパラジウム-カーボン(パラジウム5質量%含有、50%含水物)20 gを2 Lのオートクレーブに加え、水素圧0.5 MPaに加圧した。4時間撹拌した後、触媒を濾過し、得られたろ液を減圧乾燥し、1-エチル-2,3-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Ias-1)の粗結晶114 gを得た。得られた全量をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、さらにエタノールから再結晶させて42.7 gの1-エチル-2,3-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Ias-1)を得た。(Cr 51 N 72 I)
【0060】
(実施例2) 1,2,3-トリフルオロ-5-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Iac-1)の合成
(実施例1)において2,3-ジフルオロエチルベンゼンに換えて5-ブロモ-1,2,3-トリフルオロベンゼンを用いる以外は同様にして、1,2,3-トリフルオロ-5-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Iac-1)を得た。(Cr 47.5 I)
【0061】
同様にして以下の化合物を得る。
3-CyHCyPhF, 3-CyHCyPh1F, 3-CyHCyPh3F, 3-CyHCyPhCl, 3-CyHCyPh1Cl, 3-CyHCyPh3Cl, 3-CyHCyPh-3, 3-CyHCyPh1-3, 3-CyHCyPh2-3, 3-CyHCyPh3-3, 3-CyHCyPh-O3, 3-CyHCyPh1-O3, 3-CyHCyPh2-O3, 3-CyHCyPh3-O3, 3-PhHCyPhF, 3-PhHCyPh1F, 3-PhHCyPh3F, 3-PhHCyPhCl, 3-PhHCyPh1Cl, 3-PhHCyPh3Cl, 3-PhHCyPh-3, 3-PhHCyPh1-3, 3-PhHCyPh2-3, 3-PhHCyPh3-3, 3-PhHCyPh-O3, 3-PhHCyPh1-O3, 3-PhHCyPh2-O3, 3-PhHCyPh3-O3, 3-Ph1HCyPh1F, 3-Ph1HCyPh3F, 3-Ph3HCyPh1F, 3-Ph3HCyPh3F, 3-Ph1HCyPh3-OCF3, 3-Ph3HCyPh3-OCF3, 3-CyCyHCyPhF, 3-CyCyHCyPh1F, 3-CyCyHCyPh3F, 3-CyCyHCyPhCl, 3-CyCyHCyPh1Cl, 3-CyCyHCyPh3Cl, 3-CyCyHCyPh-3, 3-CyCyHCyPh1-3, 3-CyCyHCyPh2-3, 3-CyCyHCyPh3-3, 3-CyCyHCyPh-O3, 3-CyCyHCyPh1-O3, 3-CyCyHCyPh2-O3, 3-CyCyHCyPh3-O3, 3-CyPhHCyPhF, 3-CyPhHCyPh1F, 3-CyPhHCyPh3F, 3-CyPhHCyPhCl, 3-CyPhHCyPh1Cl, 3-CyPhHCyPh3Cl, 3-CyPhHCyPh-3, 3-CyPhHCyPh1-3, 3-CyPhHCyPh2-3, 3-CyPhHCyPh3-3, 3-CyPhHCyPh-O3, 3-CyPhHCyPh1-O3, 3-CyPhHCyPh2-O3, 3-CyPhHCyPh3-O3, 3-CyPh1HCyPh1F, 3-CyPh1HCyPh3F, 3-CyPh3HCyPh1F, 3-CyPh3HCyPh3F, 3-CyPh1HCyPh3-OCF3, 3-CyPh3HCyPh3-OCF3
【0062】
(実施例3) 1-エチル-2,3-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Ias-2)の合成
【化40】
【0063】
(実施例1)においてトランス-1-(ブロモメチル)-4-プロピルシクロヘキサンに換え、1-(ブロモメチル)シクロヘキサン-4-オン モノエチレンアセタールを用いた他は同様にして、グリニヤール反応を行った後、酸化、ウィッティヒ反応、水添した後、蟻酸を加え加熱撹拌し、脱保護させた。冷却後、水を加え、分離したトルエン層を洗浄後、溶媒を溜去した。これをトルエン及びTHFの混合溶媒に溶解して冷却し、臭化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムとt-ブトキシカリウムから調製したウィッティヒ反応剤を加えた。室温に戻し、水及びヘキサンを加え、ヘキサン層から不溶物を濾別後、水/メタノール混合溶媒で洗浄した。溶媒を溜去後、THFに溶解し、稀塩酸を加え、1時間加熱還流させた。冷却後水を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を溜去後、エタノールに溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で撹拌させた。水を加え、トルエンで抽出し、洗浄、乾燥した後、溶媒を溜去した。これをTHFに溶解し、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムとt-ブトキシカリウムから調製したウィッティヒ反応剤を加えた。室温に戻し、水及びヘキサンを加え、ヘキサン層から不溶物を濾別後、水/メタノール混合溶媒で洗浄した。トルエンに溶解し、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムおよび20% HCl加え激しく撹拌しながら加熱還流した後、室温まで冷却し、有機層を分取した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水それぞれ100 mLで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより脱水した。乾燥後、溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製した後、エタノールから2回再結晶を行い、1-エチル-2,3-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼン (Ias-2)の結晶を得た。
【0064】
同様にして以下の化合物を得る。
0d0-CyHCyPhF, 0d0-CyHCyPh1F, 0d0-CyHCyPh3F, 0d0-CyHCyPhCl, 0d0-CyHCyPh1Cl, 0d0-CyHCyPh3Cl, 0d0-CyHCyPh-3, 0d0-CyHCyPh1-3, 0d0-CyHCyPh2-3, 0d0-CyHCyPh3-3, 0d0-CyHCyPh-O3, 0d0-CyHCyPh1-O3, 0d0-CyHCyPh2-O3, 0d0-CyHCyPh3-O3, 0d0-PhHCyPhF, 0d0-PhHCyPh1F, 0d0-PhHCyPh3F, 0d0-PhHCyPhCl, 0d0-PhHCyPh1Cl, 0d0-PhHCyPh3Cl, 0d0-PhHCyPh-3, 0d0-PhHCyPh1-3, 0d0-PhHCyPh2-3, 0d0-PhHCyPh3-3, 0d0-PhHCyPh-O3, 0d0-PhHCyPh1-O3, 0d0-PhHCyPh2-O3, 0d0-PhHCyPh3-O3, 0d0-Ph1HCyPh1F, 0d0-Ph1HCyPh3F, 0d0-Ph3HCyPh1F, 0d0-Ph3HCyPh3F, 0d0-Ph1HCyPh3-OCF3, 0d0-Ph3HCyPh3-OCF3, 0d0-CyCyHCyPhF, 0d0-CyCyHCyPh1F, 0d0-CyCyHCyPh3F, 0d0-CyCyHCyPhCl, 0d0-CyCyHCyPh1Cl, 0d0-CyCyHCyPh3Cl, 0d0-CyCyHCyPh-3, 0d0-CyCyHCyPh1-3, 0d0-CyCyHCyPh2-3, 0d0-CyCyHCyPh3-3, 0d0-CyCyHCyPh-O3, 0d0-CyCyHCyPh1-O3, 0d0-CyCyHCyPh2-O3, 0d0-CyCyHCyPh3-O3, 0d0-CyPhHCyPhF, 0d0-CyPhHCyPh1F, 0d0-CyPhHCyPh3F, 0d0-CyPhHCyPhCl, 0d0-CyPhHCyPh1Cl, 0d0-CyPhHCyPh3Cl, 0d0-CyPhHCyPh-3, 0d0-CyPhHCyPh1-3, 0d0-CyPhHCyPh2-3, 0d0-CyPhHCyPh3-3, 0d0-CyPhHCyPh-O3, 0d0-CyPhHCyPh1-O3, 0d0-CyPhHCyPh2-O3, 0d0-CyPhHCyPh3-O3, 0d0-CyPh1HCyPh1F, 0d0-CyPh1HCyPh3F, 0d0-CyPh3HCyPh1F, 0d0-CyPh3HCyPh3F, 0d0-CyPh1HCyPh3-OCF3, 0d0-CyPh3HCyPh3-OCF3, 1d0-CyHCyPhF, 1d0-CyHCyPh1F, 1d0-CyHCyPh3F, 1d0-CyHCyPhCl, 1d0-CyHCyPh1Cl, 1d0-CyHCyPh3Cl, 1d0-CyHCyPh-3, 1d0-CyHCyPh1-3, 1d0-CyHCyPh2-3, 1d0-CyHCyPh3-3, 1d0-CyHCyPh-O3, 1d0-CyHCyPh1-O3, 1d0-CyHCyPh2-O3, 1d0-CyHCyPh3-O3, 1d0-PhHCyPhF, 1d0-PhHCyPh1F, 1d0-PhHCyPh3F, 1d0-PhHCyPhCl, 1d0-PhHCyPh1Cl, 1d0-PhHCyPh3Cl, 1d0-PhHCyPh-3, 1d0-PhHCyPh1-3, 1d0-PhHCyPh2-3, 1d0-PhHCyPh3-3, 1d0-PhHCyPh-O3, 1d0-PhHCyPh1-O3, 1d0-PhHCyPh2-O3, 1d0-PhHCyPh3-O3, 1d0-Ph1HCyPh1F, 1d0-Ph1HCyPh3F, 1d0-Ph3HCyPh1F, 1d0-Ph3HCyPh3F, 1d0-Ph1HCyPh3-OCF3, 1d0-Ph3HCyPh3-OCF3, 1d0-CyCyHCyPhF, 1d0-CyCyHCyPh1F, 1d0-CyCyHCyPh3F, 1d0-CyCyHCyPhCl, 1d0-CyCyHCyPh1Cl, 1d0-CyCyHCyPh3Cl, 1d0-CyCyHCyPh-3, 1d0-CyCyHCyPh1-3, 1d0-CyCyHCyPh2-3, 1d0-CyCyHCyPh3-3, 1d0-CyCyHCyPh-O3, 1d0-CyCyHCyPh1-O3, 1d0-CyCyHCyPh2-O3, 1d0-CyCyHCyPh3-O3, 1d0-CyPhHCyPhF, 1d0-CyPhHCyPh1F, 1d0-CyPhHCyPh3F, 1d0-CyPhHCyPhCl, 1d0-CyPhHCyPh1Cl, 1d0-CyPhHCyPh3Cl, 1d0-CyPhHCyPh-3, 1d0-CyPhHCyPh1-3, 1d0-CyPhHCyPh2-3, 1d0-CyPhHCyPh3-3, 1d0-CyPhHCyPh-O3, 1d0-CyPhHCyPh1-O3, 1d0-CyPhHCyPh2-O3, 1d0-CyPhHCyPh3-O3, 1d0-CyPh1HCyPh1F, 1d0-CyPh1HCyPh3F, 1d0-CyPh3HCyPh1F, 1d0-CyPh3HCyPh3F, 1d0-CyPh1HCyPh3-OCF3, 1d0-CyPh3HCyPh3-OCF3, 0d2-CyHCyPhF, 0d2-CyHCyPh1F, 0d2-CyHCyPh3F, 0d2-CyHCyPhCl, 0d2-CyHCyPh1Cl, 0d2-CyHCyPh3Cl, 0d2-CyHCyPh-3, 0d2-CyHCyPh1-3, 0d2-CyHCyPh2-3, 0d2-CyHCyPh3-3, 0d2-CyHCyPh-O3, 0d2-CyHCyPh1-O3, 0d2-CyHCyPh2-O3, 0d2-CyHCyPh3-O3, 0d2-PhHCyPhF, 0d2-PhHCyPh1F, 0d2-PhHCyPh3F, 0d2-PhHCyPhCl, 0d2-PhHCyPh1Cl, 0d2-PhHCyPh3Cl, 0d2-PhHCyPh-3, 0d2-PhHCyPh1-3, 0d2-PhHCyPh2-3, 0d2-PhHCyPh3-3, 0d2-PhHCyPh-O3, 0d2-PhHCyPh1-O3, 0d2-PhHCyPh2-O3, 0d2-PhHCyPh3-O3, 0d2-Ph1HCyPh1F, 0d2-Ph1HCyPh3F, 0d2-Ph3HCyPh1F, 0d2-Ph3HCyPh3F, 0d2-Ph1HCyPh3-OCF3, 0d2-Ph3HCyPh3-OCF3, 0d2-CyCyHCyPhF, 0d2-CyCyHCyPh1F, 0d2-CyCyHCyPh3F, 0d2-CyCyHCyPhCl, 0d2-CyCyHCyPh1Cl, 0d2-CyCyHCyPh3Cl, 0d2-CyCyHCyPh-3, 0d2-CyCyHCyPh1-3, 0d2-CyCyHCyPh2-3, 0d2-CyCyHCyPh3-3, 0d2-CyCyHCyPh-O3, 0d2-CyCyHCyPh1-O3, 0d2-CyCyHCyPh2-O3, 0d2-CyCyHCyPh3-O3, 0d2-CyPhHCyPhF, 0d2-CyPhHCyPh1F, 0d2-CyPhHCyPh3F, 0d2-CyPhHCyPhCl, 0d2-CyPhHCyPh1Cl, 0d2-CyPhHCyPh3Cl, 0d2-CyPhHCyPh-3, 0d2-CyPhHCyPh1-3, 0d2-CyPhHCyPh2-3, 0d2-CyPhHCyPh3-3, 0d2-CyPhHCyPh-O3, 0d2-CyPhHCyPh1-O3, 0d2-CyPhHCyPh2-O3, 0d2-CyPhHCyPh3-O3, 0d2-CyPh1HCyPh1F, 0d2-CyPh1HCyPh3F, 0d2-CyPh3HCyPh1F, 0d2-CyPh3HCyPh3F, 0d2-CyPh1HCyPh3-OCF3, 0d2-CyPh3HCyPh3-OCF3
【0065】
(実施例4) 2,3-ジフルオロ-1-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-1-プロペニルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}-4-(トランス-1-プロペニル)ベンゼン (Ias-3)の合成
【化41】
100 mLの反応容器(N2置換、マグネチックスターラー、温度計、ジムロート冷却器)中、アルコール体((実施例1)のトランス-1-(ブロモメチル)-4-プロピルシクロヘキサンに換えて1-(ブロモメチル)-トランス-4-(トランス-1-プロペン-1-イル)シクロヘキサンを用い、トランス-4-(4-エチル-2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒドに換えてトランス-4-[4-(トランス-1-プロペン-1-イル)-2,3-ジフルオロフェニル]シクロヘキサンカルバルデヒドることにより得られる。)22 gをTHF100 mL、二硫化炭素20 mLおよびヘキサメチルホスホリックトリアミド18 mLの混合溶媒に溶解し、水素化ナトリウム3.9 g、イミダゾール1.2 gとともに30時間加熱還流した後、ジメチル硫酸10 mL加え30分間加熱還流させた。酢酸10 mLを加えた後、水30 mLおよびトルエン50 mLを加え、有機相を分液し、有機相をさらに水30 mLで2回洗浄し、さらに飽和食塩水30 mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒溜去後14 gのジチオカルボナートが得られた。
【0066】
得られた全量を1 Lの反応容器(N2置換、マグネチックスターラー、温度計、ジムロート冷却器)トルエン200 mLに溶解し、16.2 g の(n-C4H9)3SnHをトルエン300 mLに溶解し滴下した。さらに4時間加熱還流した後、水300 mLを加え、有機相を分液し、有機相をさらに水200 mLで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200 mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒溜去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、さらにエタノールから再結晶させて6 gの2,3-ジフルオロ-1-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-1-プロペニルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}-4-(トランス-1-プロペニル)ベンゼン (Ias-3)の白色結晶を得た。
【0067】
同様にして以下の化合物を得る。
0d0-CyHCyPh-0d0, 0d0-CyHCyPh1-0d0, 0d0-CyHCyPh2-0d0, 0d0-CyHCyPh3-0d0, 0d0-PhHCyPh-0d0, 0d0-PhHCyPh1-0d0, 0d0-PhHCyPh2-0d0, 0d0-PhHCyPh3-0d0, 0d0-CyCyHCyPh-0d0, 0d0-CyCyHCyPh1-0d0, 0d0-CyCyHCyPh2-0d0, 0d0-CyCyHCyPh3-0d0, 0d0-CyPhHCyPh-0d0, 0d0-CyPhHCyPh1-0d0, 0d0-CyPhHCyPh2-0d0, 0d0-CyPhHCyPh3-0d0, 0d0-CyHCyPh-0d2, 0d0-CyHCyPh1-0d2, 0d0-CyHCyPh2-0d2, 0d0-CyHCyPh3-0d2, 0d0-PhHCyPh-0d2, 0d0-PhHCyPh1-0d2, 0d0-PhHCyPh2-0d2, 0d0-PhHCyPh3-0d2, 0d0-CyCyHCyPh-0d2, 0d0-CyCyHCyPh1-0d2, 0d0-CyCyHCyPh2-0d2, 0d0-CyCyHCyPh3-0d2, 0d0-CyPhHCyPh-0d2, 0d0-CyPhHCyPh1-0d2, 0d0-CyPhHCyPh2-0d2, 0d0-CyPhHCyPh3-0d2, 0d2-CyHCyPh-0d0, 0d2-CyHCyPh1-0d0, 0d2-CyHCyPh2-0d0, 0d2-CyHCyPh3-0d0, 0d2-PhHCyPh-0d0, 0d2-PhHCyPh1-0d0, 0d2-PhHCyPh2-0d0, 0d2-PhHCyPh3-0d0, 0d2-CyCyHCyPh-0d0, 0d2-CyCyHCyPh1-0d0, 0d2-CyCyHCyPh2-0d0, 0d2-CyCyHCyPh3-0d0, 0d2-CyPhHCyPh-0d0, 0d2-CyPhHCyPh1-0d0, 0d2-CyPhHCyPh2-0d0, 0d2-CyPhHCyPh3-0d0
【0068】
(実施例5) 2,6-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼンカルボニトリル (Iaj-1)の合成
【化42】
(実施例1)において2,3-ジフルオロエチルベンゼンに換えて1-ブロモ-3,5-ジフルオロベンゼンを用いる以外は同様にして、1,3-ジフルオロ-5-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼンを得た後、ブチルリチウムによりリチオ化し、二酸化炭素を吹き込み安息香酸とし、次いで塩化チオニルにより酸クロライドとし、アンモニアガスを吹き込むことによりアミドとした後、DMFに溶解し、オキシ塩化リンを加え脱水し、反応液を氷水中に注ぎ、稀塩酸を加え、水層からトルエンで抽出した。有機層を併せ、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン=6/4)精製し、さらにエタノールから再結晶させて2,6-ジフルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼンカルボニトリル (Iaj-1)を得た。
【0069】
同様にして以下の化合物を得る。
3-CyHCyPh3CN, 0d0-CyHCyPh3CN, 1d0-CyHCyPh3CN, 0d2-CyHCyPh3CN, 3-PhHCyPh3CN, 0d0-PhHCyPh3CN, 1d0-PhHCyPh3CN, 0d2-PhHCyPh3CN, 3-Ph1HCyPh3CN, 0d0-Ph1HCyPh3CN, 1d0-Ph1HCyPh3CN, 0d2-Ph1HCyPh3CN, 3-Ph3HCyPh3CN, 0d0-Ph3HCyPh3CN, 1d0-Ph3HCyPh3CN, 0d2-Ph3HCyPh3CN, 3-CyCyHCyPh3CN, 0d0-CyCyHCyPh3CN, 1d0-CyCyHCyPh3CN, 0d2-CyCyHCyPh3CN, 3-CyPhHCyPh3CN, 0d0-CyPhHCyPh3CN, 1d0-CyPhHCyPh3CN, 0d2-CyPhHCyPh3CN, 3-CyPh1HCyPh3CN, 0d0-CyPh1HCyPh3CN, 1d0-CyPh1HCyPh3CN, 0d2-CyPh1HCyPh3CN, 3-CyPh3HCyPh3CN, 0d0-CyPh3HCyPh3CN, 1d0-CyPh3HCyPh3CN, 0d2-CyPh3HCyPh3CN
【0070】
(実施例6) 2-フルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼンカルボニトリル (Iah-1)の合成
【化43】
(実施例1)において2,3-ジフルオロエチルベンゼンに換えて4-ブロモ-2-フルオロアニソールを用いる以外は同様にして、2-フルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}アニソールを得た後、アセトニトリルに溶解し、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、トリフェニルホスフィン、亜鉛粉およびシアン化カリウムを加え、80℃で16時間加熱撹拌させた。水を加え反応を停止し、有機層をさらに水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン=6/4)精製し、さらにエタノールから再結晶させて2-フルオロ-4-{トランス-4-[1-メチル-2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}ベンゼンカルボニトリル (Iah-1)を得た。
【0071】
同様にして以下の化合物を得る。
3-CyHCyPhCN, 0d0-CyHCyPhCN, 1d0-CyHCyPhCN, 0d2-CyHCyPhCN, 3-PhHCyPhCN, 0d0-PhHCyPhCN, 1d0-PhHCyPhCN, 0d2-PhHCyPhCN, 3-Ph1HCyPhCN, 0d0-Ph1HCyPhCN, 1d0-Ph1HCyPhCN, 0d2-Ph1HCyPhCN, 3-Ph3HCyPhCN, 0d0-Ph3HCyPhCN, 1d0-Ph3HCyPhCN, 0d2-Ph3HCyPhCN, 3-CyCyHCyPhCN, 0d0-CyCyHCyPhCN, 1d0-CyCyHCyPhCN, 0d2-CyCyHCyPhCN, 3-CyPhHCyPhCN, 0d0-CyPhHCyPhCN, 1d0-CyPhHCyPhCN, 0d2-CyPhHCyPhCN, 3-CyPh1HCyPhCN, 0d0-CyPh1HCyPhCN, 1d0-CyPh1HCyPhCN, 0d2-CyPh1HCyPhCN, 3-CyPh3HCyPhCN, 0d0-CyPh3HCyPhCN, 1d0-CyPh3HCyPhCN, 0d2-CyPh3HCyPhCN, 3-CyHCyPh1CN, 0d0-CyHCyPh1CN, 1d0-CyHCyPh1CN, 0d2-CyHCyPh1CN, 3-PhHCyPh1CN, 0d0-PhHCyPh1CN, 1d0-PhHCyPh1CN, 0d2-PhHCyPh1CN, 3-Ph1HCyPh1CN, 0d0-Ph1HCyPh1CN, 1d0-Ph1HCyPh1CN, 0d2-Ph1HCyPh1CN, 3-Ph3HCyPh1CN, 0d0-Ph3HCyPh1CN, 1d0-Ph3HCyPh1CN, 0d2-Ph3HCyPh1CN, 3-CyCyHCyPh1CN, 0d0-CyCyHCyPh1CN, 1d0-CyCyHCyPh1CN, 0d2-CyCyHCyPh1CN, 3-CyPhHCyPh1CN, 0d0-CyPhHCyPh1CN, 1d0-CyPhHCyPh1CN, 0d2-CyPhHCyPh1CN, 3-CyPh1HCyPh1CN, 0d0-CyPh1HCyPh1CN, 1d0-CyPh1HCyPh1CN, 0d2-CyPh1HCyPh1CN, 3-CyPh3HCyPh1CN, 0d0-CyPh3HCyPh1CN, 1d0-CyPh3HCyPh1CN, 0d2-CyPh3HCyPh1CN
【0072】
(実施例7) 液晶組成物の調製(1)
汎用のホスト液晶(H)
【化44】
を調製した。このホスト液晶(H)のΔnの値を測定したところ0.090であり、Δεの値は4.8であった。
次に、このホスト液晶(H)の90質量%及び実施例1で得た本発明の化合物である式(Ias-1)
【0073】
【化45】
で表される化合物10質量%からなる液晶組成物(H-1)を調製しΔnを測定したところ0.087となり、Δnを低減することができた。またΔεは4.0となり、式(Ias-1)で表される化合物は大きな絶対値の負のΔεを持つことがわかった。さらに、化合物(Ias-1)の添加量を15質量%に増やし、-10℃で8時間放置しても析出は起こらなかった。
【0074】
(比較例1)
実施例4において、化合物(Ias-1)に換えて、類似する骨格を有する比較化合物(A)
【化46】
を組成物(H)に10質量%混合し組成物(H-A)を調製し、そのΔnを測定したところ0.092であり、化合物(Ias-1)に比較し大きな値となった。またΔεは4.2であり、化合物(Ias-1)に及ばなかった。さらに比較化合物Aの添加量を15質量%に増やすと-10℃で7時間放置すると析出が生じてしまった。
以上から、化合物(Ias-1)の添加により、Δnを低減することができ、他の液晶との相溶性にも優れていることがわかる。さらに化合物(Ias-1)は大きな絶対値の負のΔεを有し、縦型配向の液晶組成物に有効であることがわかる。
【0075】
(実施例8) 液晶組成物の調製(2)
ホスト液晶(H)の90質量%及び実施例2で得た本発明の化合物である式(Iac-1)
【化47】
で表される化合物10質量%からなる液晶組成物(H-2)を調製しΔnを測定したところ0.088となり、Δnを低減することができた。またΔεは4.48となり、式(Iac-1)で表される化合物は大きな正のΔεを持つことがわかった。さらに、化合物(Iac-1)の添加量を15質量%に増やし、-10℃で8時間放置しても析出は起こらなかった。
【0076】
(比較例2)
実施例4において、化合物(Iac-1)に換えて、類似する骨格を有する比較化合物(B)
【0077】
【化48】
を組成物(H)に10質量%混合し組成物(H-B)を調製し、そのΔnを測定したところ0.092であり、化合物(Iac-1)に比較し大きな値となった。またΔεは4.45であり、化合物(Iac-1)に及ばなかった。さらに比較化合物Aの添加量を15質量%に増やすと-10℃で7時間放置すると析出が生じてしまった。
【0078】
以上から、化合物(Iac-1)の添加により、Δnを低減することができ、他の液晶との相溶性にも優れていることがわかる。さらに化合物(Iac-1)は大きな正のΔεを有し、TN型およびSTN型の液晶組成物に有効であることがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明により提供される連結基として1,2-プロパンジイル基を有する新規液晶性化合物は、現在汎用の液晶化合物あるいは組成物との相溶性に極めて優れ、母体液晶に添加しΔnを下げる効果を有し、、無色で化学的にも安定である。
従って、これを含有する液晶組成物は実用的液晶として、特に小さなΔnを必要とする液晶表示用として極めて有用である。
Claims (7)
- 一般式(I)
- R1が炭素数1〜7のアルコキシル基または1〜7個のハロゲン原子によって置換されていてもよい炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基およびアルケニル基を表すところの請求項1記載の化合物。
- R1がハロゲン原子によって置換されていてもよい炭素数1〜7の直鎖アルキル基およびアルケニル基を表すところの請求項1記載の化合物。
- mが0を表すところの請求項1〜3の何れかに記載の化合物。
- mが1を表すところの請求項1〜3の何れかに記載の化合物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の一般式(I)記載の化合物を含有する液晶組成物。
- 請求項6記載の液晶組成物を構成要素とする液晶素子。
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