JP5010807B2 - 水素吸着材の活性化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガス貯蔵タンクに収容された水素吸着材の水素ガス吸着能を向上させる水素吸着材の活性化方法に関する。
近年における環境保護への関心の高まりから、燃料電池を搭載した燃料電池車が着目されている。燃料電池車は燃料電池を走行駆動源とするので、ガソリンや軽油を燃焼させる必要がなく、従って、炭化水素ガスやNOx、SOx等を排出することがないからである。
燃料電池には、水素を含有する燃料ガスと、酸素を含有する酸化剤ガスとを供給する必要がある。酸化剤ガスとしては、例えば、大気を使用することができるが、燃料ガスは、例えば、水素ガス貯蔵タンク等の燃料ガス供給源から供給しなければならない。このため、燃料電池車には、燃料電池の他、燃料ガス供給源が搭載される。
このように水素ガス貯蔵タンクを燃料ガス供給源とする場合、その内部に水素吸着材が収容されることが検討されている。この場合、水素吸着材が水素を吸着保持するので、水素吸着材が収容されていない場合に比して多くの水素を貯留することができるからである。
ところで、水素吸着材に水素ガス以外のガス、例えば、水蒸気等が吸着されると、必然的に、該水素吸着材の水素ガス吸着量が低下する。このため、吸着された水素ガス以外の前記ガスを離脱させる処理が必要となる。このような処理方法の1種として、例えば、非特許文献1に記載されているように、カーボンナノチューブに対して350℃で3時間の真空排気を行うことが挙げられる。
また、特許文献1には、ガス吸着材に低級炭化水素、低級アルコール又は不活性ガス等の保護ガスを吸着させ、その後、該ガス吸着材を容器に収容することが提案されている。
平成13年度NEDO成果報告書「NEDO−WE−NET0011」公開用51101633−0−1、水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術(WE−NET)第II期研究開発タスク11、「水素貯蔵材料の開発」p355-357 特開2002−122296号公報
非特許文献1記載の方法では、カーボンナノチューブが容器に充填された後に350℃、3時間の真空排気が行われる。この場合、容器が加熱されるので、該容器が熱歪等に起因して劣化することが懸念される。
また、特許文献1記載の方法では、低級炭化水素、低級アルコール、不活性ガスがいずれも低沸点であるため、ガス吸着材を容器に収容する最中にこれらがガス吸着材から脱離することがある。特に、不活性ガスでは、その沸点が周知のように室温を大きく下回るため、この傾向が顕著となる。
さらに、低級炭化水素及び不活性ガスは非極性分子であり、水蒸気等の極性分子とは吸着サイトが異なる。従って、低級炭化水素及び不活性ガスを用いても、水素ガス吸着能低下の主たる原因である水蒸気が吸着することを回避することが容易ではないという側面がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、容器が劣化することがなく、しかも、水蒸気等の極性分子を脱離させることが可能な水素吸着材の活性化方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、容器に水素ガスを充填する前に、前記容器に収容された水素吸着材の表面に吸着された水素ガス以外のガスを除去する水素吸着材の活性化方法であって、
容器に水素吸着材を収容する工程と、
前記水素吸着材に、水よりも低沸点の極性分子を吸着させる工程と、
水素ガス以外の前記ガス及び前記極性分子を前記水素吸着材から脱離する工程と、
を有することを特徴とする。
例えば、容器に収容される際に大気に露呈された水素吸着材には、水蒸気等の水素ガス以外のガスが吸着する。水蒸気等は極性分子であり、従って、本発明においては、容器内に水よりも低沸点の極性分子を導入し、水素吸着材に吸着させる。すなわち、凝集した水蒸気(水分)中に前記極性分子を侵入させ、これにより、水蒸気等の極性分子同士を分離して凝集状態を消失するようにしている。このようにして互いに分離した水蒸気等は、吸引排気によって容易に排出することができる。また、この際には、水よりも低沸点の極性分子も容易に排出される。
このようにして水蒸気等が除去されるため、水素吸着材における水素ガスを吸着可能な部位が増加し、従って、水素ガス吸着能が向上する。換言すれば、水素吸着材が活性化される。
本発明においては、容器に対して加熱処理を施すことがないので、容器に熱歪が生じることもない。
しかも、例えば、燃料電池車に搭載する前に容器内の水素吸着材を活性化することができるので、燃料電池車に活性化のためのシステムを搭載する必要がない。従って、燃料電池車の重量増加を招くことはなく、機器配置の自由度を低下させることもない。
極性分子は、液体として供給するようにしてもよい。又は、極性分子を不活性ガスに同伴させて容器内に導入するようにしてもよい。この場合、例えば、極性分子の液体を不活性ガスでバブリングすればよい。ここで、本発明における「不活性ガス」は、水素吸着材に吸着されないガスを指称するものとする。
また、極性分子を水素吸着材から脱離するには、例えば、吸引排気を行うようにすればよい。又は、吸引排気に代替して、不活性ガスを容器内に流通するようにしてもよい。
なお、極性分子は水よりも低沸点の物質であれば特に限定されるものではないが、沸点が80℃以下であるものが好適である。
いずれの場合においても、水素吸着材の好適な例としては、金属−有機骨格構造体を挙げることができる。
本発明によれば、容器内に極性分子を導入することにより、該容器に収容された水素吸着材に吸着された水蒸気等の極性分子を除去するようにしている。このため、水蒸気等が効率よく除去され、その結果、水素吸着材が活性化される。
本発明においては、容器に対して加熱処理が施されることがないので、容器に熱歪が生じることがない。また、容器を燃料電池車に搭載する等の実使用に供する前に該容器内の水素吸着材を活性化することができるので、活性化システムを付設する必要がない。
しかも、本発明においては、容器内に極性分子を導入し、次いでこの極性分子を排出するという極めて簡便な作業を行うことにより、水素吸着材の水素ガス吸着能を容易に向上させることができる。
以下、本発明に係る水素吸着材の活性化方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、水素吸着材として、錯体の1種である金属−有機骨格構造体を例示して説明する。
金属−有機骨格構造体は、金属原子又は金属イオンを有機分子又は有機イオンが囲繞するように配位結合した構造であり、ゲスト分子が存在しない場合であっても安定な多孔性骨格構造を維持する。なお、水素ガスは、この多孔性骨格構造内に吸着される。
金属−有機骨格構造体の具体例としては、[M2(4,4’−ビピリジン)3(NO34](ただし、MはCo、Ni、Znのいずれか)、[M2(1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン)2](ただし、MはCu、Znのいずれか)、[Fe2(トランス−4,4’−アゾピリジン)4(NCS)4]等が挙げられる。
金属−有機骨格構造体の別の具体例としては、米国特許出願公開2003/0004364号明細書に記載されているように、その一般式がM4O(芳香族ジカルボキシレートアニオン)3で表されるものが挙げられる。なお、Mの好適な例としては、Zn、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Ru、Rh、Pd、Ag、Ptが挙げられる。また、芳香族ジカルボキシレートアニオンに代替して芳香族ジカルボキシレートアニオン誘導体で構成されたものであってもよい。
芳香族ジカルボキシレートアニオン又はその誘導体の好適な例としては、1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2−ブロモ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2−アミノ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2,5−プロピル−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2,5−ペンチル−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、シクロブテン−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートアニオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートアニオン、4,5,9,10−テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボキシレートアニオン、ピレン−2,7−ジカルボキシレートアニオン、4,4”−テルフェニルジカルボキシレートアニオン等が挙げられる。各々の構造式は、下記の通りである。
Figure 0005010807
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以下、第1実施形態に係る活性化方法につき説明する。
先ず、図1に示す容器10に、水素吸着材としての金属−有機骨格構造体MOFを収容する。この場合、容器10は、ステンレス鋼の1種であるSUS304からなり、耐圧圧力20MPa、容積100cm3である。また、容器10の上端面には円筒状突出部12が設けられ、この円筒状突出部12には、フィルタ14が保持されている。なお、金属−有機骨格構造体MOFは、未使用のものであってもよいし、水素ガスの吸着・放出が繰り返されて水素ガス吸着能が低下したものであってもよい。
次に、円筒状突出部12を介して、分子が極性を示す液体を容器10内に導入する。
ここで、この液体としては、水よりも低沸点、好ましくは沸点(1気圧下)が80℃以下であるものが選定される。このような極性分子の具体例としては、下記の表1に示す物質が挙げられる。なお、水よりも高沸点であると、金属−有機骨格構造体MOFから脱離させることが困難となる。
Figure 0005010807
極性分子は、金属−有機骨格構造体MOFの全表面を該極性分子で被覆するために必要な量で容器10内に導入される。この量は、金属−有機骨格構造体MOFに極性分子が吸着する際の吸着等温線から求められる。すなわち、図2に示すように、吸着等温線には直線領域が出現する。この直線領域の開始部分は、エメット及びブラウナーによってB点と指称されており、このB点は、金属−有機骨格構造体MOFの全表面に極性分子の単一層が形成されたことを表す。従って、B点でのY軸座標を読み取れば、極性分子の吸着量、換言すれば、極性分子の導入量が求められる。
そして、図3に示すように、円筒状突出部12に対して配管16を接続する。この配管16には、容器10から真空ポンプ18に至るまで、バルブ20、コネクタ22、バルブ24が介装されており、コネクタ22の近傍には、圧力計26が配置されている。
バルブ20が開放される一方、バルブ24が閉止されることにより、容器10内に極性分子が密閉される。時間の経過とともに極性分子(液体)が気化し、このために圧力計26の指示が上昇する。さらに時間が経過すると、気化した極性分子が金属−有機骨格構造体MOFに吸着され、圧力計26の指示が下降する。
この際、極性分子は、金属−有機骨格構造体MOFに予め吸着された水蒸気が極性分子であるため、水蒸気と容易に混じり合う。最終的に、水蒸気(水分子)同士の間に極性分子が介在する状態となり、このために水分子同士が分離して存在するようになる。
その後、真空ポンプ18を付勢し、バルブ24を開放すれば、容器10内が真空ポンプ18の作用下に吸引排気される。この際、極性分子及び水蒸気が吸引排気され、従って、金属−有機骨格構造体MOFの吸着サイトが増加する。すなわち、金属−有機骨格構造体MOFの水素ガス吸着能を向上させること、換言すれば、金属−有機骨格構造体MOFを活性化することができる。
このように、第1実施形態によれば、水蒸気の凝集状態を消失させるようにしている。これにより、水蒸気を金属−有機骨格構造体MOFから効率よく除去することができ、結局、短時間で活性化を行うことができる。
また、第1実施形態においては、容器10を加熱することなく活性化を行うことができる。従って、容器10に熱歪が生じることもない。
なお、活性化処理の終了は、真空到達度で判断する。すなわち、圧力計26が所定の圧力、例えば、10-3Torrを指示した時点でバルブ20、24を閉止するとともに真空ポンプ18を停止すればよい。
活性化処理が終了した後は、コネクタ22の下流側から配管16を切り離す。その後、容器10を水素ガス供給システムに接続して水素ガスの充填を行えばよい。
次に、第2実施形態につき説明する。
図4は、水素吸着材としての金属−有機骨格構造体MOFが収容された容器30内を吸引排気するための真空ポンプ32が連結された状態を模式的に示す吸引排気システム34の概略構成図である。
この場合、容器30の下端面及び上端面には、第1円筒状突出部36及び第2円筒状突出部38がそれぞれ設けられており、これら第1円筒状突出部36及び第2円筒状突出部38の各々には、バルブ40、42及びコネクタ44、46が接続されている。また、第1円筒状突出部36又は第2円筒状突出部38に至るそれぞれの開口には、フィルタ48、50が保持されている。
コネクタ44を介して連結された排気ライン52には、前記真空ポンプ32が接続されており、一方、コネクタ46には、配管53を介して圧力計54が連結されている。
金属−有機骨格構造体MOFを容器30内に収容した後、真空ポンプ32を付勢するとともに、バルブ40、42を開放する。これにより、容器30内が吸引排気される。この吸引排気により、後述する不活性ガスによる容器10内の置換が短時間で終了し、極性分子の吸着処理も短時間で終了する。
圧力計54が10-1Torrを指示した時点で、バルブ40、42を閉止する。そして、コネクタ44、46の下流側から、排気ライン52、配管53を切り離す。
その後、図5に示すように、活性化処理システム60を構築する。この活性化処理システム60は、コネクタ44に連結された供給ライン62と、コネクタ46に連結された排気ライン64とを有する。
供給ライン62には、不活性ガスボンベ66からコネクタ44に至るまでの間に、精製器68、バルブ70、バブリング装置72、バルブ74が配設されている。また、バルブ70の上流側とバルブ74の下流側にわたって橋架された分岐ライン76が設けられ、この分岐ライン76には、バルブ78、加熱器80、バルブ82が介装されている。なお、バブリング装置72には、上記表1に示されるような液体(極性分子)が貯留されている。
一方、排気ライン64には熱伝導度検出器84が配設され、この熱伝導度検出器84には、バルブ74の下流側から分岐されたサンプリング管86が連結されている。
バルブ78、82を閉止する一方、バルブ40、42、70、74を開放して不活性ガスボンベ66から不活性ガスを容器30内に導入する。
ここで、第2実施形態における不活性ガスとは、水素吸着材である金属−有機骨格構造体MOFに吸着されることのないガスを指称する。そのようなガスの好適な例としては、N2、Ar、Ne、He、Xe、Kr等が挙げられる。
不活性ガスは、先ず精製器68に導入される。この精製器68内には、例えば、モレキュラーシーブが充填されたカラムが収容されており、該カラムを通過した不活性ガスからは、H2O、CO2、CO、O2が除去される。
精製された不活性ガスは、バブリング装置72に到達し、前記液体(極性分子)をバブリングする。これにより、バブリング装置72から導出された不活性ガスは、極性分子を同伴した状態で下流側に流通する。
不活性ガスは、供給ライン62とサンプリング管86とに分かれ、供給ライン62を流通した分は容器30内に導入される、その後、第1実施形態と同様に、不活性ガスに同伴された極性分子と、金属−有機骨格構造体MOFに予め吸着された水蒸気とが混じり合い、その結果、上記と同様に水蒸気の凝集状態が消失する。
サンプリング管86に導入された不活性ガスの熱伝導度は、熱伝導度検出器84の作用下に、容器30内を流通して排気ライン64に到達した排出ガスとの熱伝導度と比較される。この熱伝導度の差を調べることにより、容器30内に導入されるガスと容器30から排出されたガスの成分の相違が分かる。この相違の積分値が金属−有機骨格構造体MOF(水素吸着材)に吸着された極性分子の総量を意味するので、前記積分値をモニタリングすることにより、図2におけるB点に相当する量の極性分子が金属−有機骨格構造体MOFに吸着されたと判断することができる。
次に、金属−有機骨格構造体MOFから極性分子を脱離する。この場合、予めバルブ70、74を閉止するとともに、バルブ78、82を開放する。これにより、不活性ガスボンベ66から供給された不活性ガスは、加熱器80によって100〜130℃程度に加温された後、容器30内に導入される。金属−有機骨格構造体MOFに吸着されたガスは、導入された不活性ガスによって吸収され、これにより金属−有機骨格構造体MOFから離脱する。また、不活性ガスが加温されているので、金属−有機骨格構造体MOFに吸着されたガスは、不活性ガスから熱エネルギが伝達されることによっても活性化する。従って、ガスを一層効率よく金属−有機骨格構造体MOFから離脱させることができる。
この流通の間、熱伝導度検出器84によって、容器30に導入される不活性ガスと、金属−有機骨格構造体MOFから離脱したガスを同伴して容器30から排出される排出ガスとの熱伝導度の差が検出される。そして、熱伝導度の差が同等となった場合に、容器30内に導入されるガスと該容器30から排出されたガスの成分に差がなくなったと判断し、金属−有機骨格構造体MOFからのガスの離脱、すなわち、金属−有機骨格構造体MOFの活性化が終了したと判断する。
このようにして不活性ガスを容器30内に流通することにより、金属−有機骨格構造体MOF(水素吸着材)に吸着した極性分子を効率よく除去することができる。
金属−有機骨格構造体MOFの活性化が終了したら、バルブ40、42を閉止し、コネクタ44、46の下流側から供給ライン62及び排気ライン64を切り離す。その後、容器30を水素ガス供給システムに接続して水素ガスの充填を行えばよい。
第2実施形態では、不活性ガスそのものを加温するので、加温された不活性ガスが容器30内に導入される。従って、容器30内に収容された金属−有機骨格構造体MOFに対して加温された不活性ガスが均等に接触するので、金属−有機骨格構造体MOFに極性分子が除去されない部位が発生することが回避される。また、容器30に熱歪が生じることもない。
そして、第2実施形態には、水蒸気分子間への極性分子の侵入(水分子の凝集状態の消失)や、水蒸気及び極性分子の脱離が第1実施形態に比して短時間で終了する、換言すれば、活性化処理が効率よく遂行されるという利点がある。
しかも、以上の第1実施形態及び第2実施形態によれば、容器10、30を燃料電池車に搭載する前に該容器10、30内の金属−有機骨格構造体MOFを活性化することができるので、燃料電池車に活性化のための活性化システムを付設する必要もない。このため、燃料電池車の重量増加を招くこともなく、機器配置の自由度を低下させることもない。
なお、上記した実施の形態では、水素吸着材として金属−有機骨格構造体MOFを例示して説明したが、水素吸着材が特にこれに限定されるものではないことはいうまでもない。
また、第2実施形態において、不活性ガスを容器30内に導入する前に加熱する必要は特になく、従って、供給ライン62に加熱器80を介装する必要は特にない。
さらに、不活性ガスを精製するためにはモレキュラーシーブが充填されたカラム以外を用いてもよく、例えば、不活性ガスからH2Oを除去する場合、シリカゲルや五酸化二燐(P25)を使用するようにしてもよい。
さらにまた、金属−有機骨格構造体MOFから水蒸気を除去する場合を例示して説明したが、除去対象は水蒸気に限定されるものではなく、極性分子であればよい。
1.2gの2,6−ナフタレンジカルボン酸と、11gのZn(NO32・4H2Oとを、密閉容器中で1000mlのジエチルフォルムアミド(DEF)に溶解した。
この溶液を密閉容器に貯留し、且つ密閉容器を密閉状態に保ったまま、95℃で20時間加熱して、多孔性骨格構造にDEF分子が物理吸着したZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6を得た。この反応生成物をろ過して溶媒のDEFと分離した後、ろ過残留物であるZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6をクロロフォルムに室温で24時間浸漬し、多孔性骨格構造に物理吸着したDEF分子をCHCl3分子に置換した。これをろ過等で溶媒と分離した後、さらに、真空引き装置内に静置して真空引きを行い、多孔性骨格構造からCHCl3分子を脱離させてZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3とした。
この操作を繰り返し行い、210gの粉末状Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を得た。
次に、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3へのメタノール吸着等温線を測定したところ、図2におけるB点でのメタノール吸着量は1gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に対して0.28gであることが分かった。
温度20℃の大気圧下で、50gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を容器10内に収容し、さらに、水分含有量が0.005重量%以下の脱水メタノール14gを容器10内に注入した。この脱水メタノールの量は、50gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に対するB点でのメタノール吸着量に相当する。
次に、容器10を図6に示す水素ガス吸着量測定システム90に取り付けた。
ここで、この水素ガス吸着量測定システム90においては、容器10に水素ガスを供給するための供給ライン92と、容器10から水素ガスを放出するための排出ライン94とがコネクタ22から分岐して設けられる。
供給ライン92は、水素ガスボンベ96から容器10にわたって橋架される。供給ライン92には、水素ガスボンベ96側から、レギュレータ98、マニュアルバルブ100が介装される。
一方、排出ライン94には真空ポンプ102が介装され、この真空ポンプ102に至るまで、容器10側からマニュアルバルブ104、レギュレータ106、ニードルバルブ108、マスフローメータ110、自動バルブ112が配置される。なお、図6中、参照符号114、116は、ともに圧力計を示す。
容器10は、水素ガス吸着量測定システム90のマニュアルバルブ100、104がともに閉止された状態で取り付けた。その後、バルブ20を開放したところ、圧力計116で指示される容器10内の圧力は、時間の経過とともに大気圧から上昇し、その後に減少して、30分後に大気圧となった。すなわち、メタノールの全量がZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に吸着された。
次に、供給ライン92と排出ライン94中のガスを除去するとともに、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に吸着したメタノール、及び水素ガス以外のガスを離脱させて排出するべく、真空ポンプ102を付勢し、マニュアルバルブ100、104をともに開放し、さらに自動バルブ112を開放して、圧力が10-3Torrとなるまで真空引きを継続した。その後、マニュアルバルブ100、104及び自動バルブ112を閉止して真空ポンプ102を停止した。
次に、レギュレータ98を10MPaに設定し、マニュアルバルブ100を開放して、容器10に10MPaの水素ガスを導入した。
その後、マニュアルバルブ100を閉止して真空ポンプ102を付勢し、自動バルブ112を開放した。さらに、マニュアルバルブ104を開放し、容器10内の水素ガスを真空ポンプ102の作用下に放出した。
放出された水素ガスは、レギュレータ106とニードルバルブ108によって圧力が0.1MPaまで低下してマスフローメータ110に到達する。このマスフローメータ110を通過した水素ガスの積算流量を求め、積算流量の増加が認められなくなった時点で水素ガスがすべて放出されたものと判断し、マニュアルバルブ104、自動バルブ112を閉止して真空ポンプ102を停止した。
以上のようにして求められた放出水素ガスのモル数は、0.70molであった。
比較のため、容器10内へのメタノールの導入、及びメタノールの除去処理を行わなかったことを除いては上記と同様にしてZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3の放出水素ガス量を測定したところ、放出水素ガスのモル数は0.66molであった。この結果から、金属−有機骨格構造体MOFを容器内に収容した後に該容器内にメタノール(極性分子)を導入することにより、水素ガス吸着能に優れた水素吸着材となることが明らかである。
50gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を容器10に収容した後、図6に示す水素ガス吸着量測定システム90を構築した。実施例1に準拠してメタノールの導入及びメタノールの除去処理による活性化を行った後、上記の水素ガスの吸着・放出操作を500回繰り返した。
その後、容器10を水素ガス吸着量測定システム90から切り離し、メタノールを再度導入した後、上記のメタノール除去処理を行った。そして、容器10を図6に示す水素ガス吸着量測定システム90に再度組み込み、水素ガスの吸着・放出操作を行ったところ、放出水素ガスのモル数は0.70molであった。
比較のため、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3のメタノールによる活性化を行うことなく水素ガスの吸着・放出操作を500回繰り返し、上記の再活性化を行うことなく水素ガスの吸着・放出操作を行った。この際の放出水素ガスのモル数は、0.61molであった。すなわち、水素ガスの吸着・放出操作を繰り返すことにより、放出水素ガスのモル数が低下することが確認された。
また、この結果から、水素ガスの吸着・放出を繰り返し営んだZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3であっても、メタノールを導入することによって再活性化することができることが明らかである。
第1実施形態に係る活性化方法を実施するための容器の概略全体長手方向断面図である。 極性分子の導入量を設定するための吸着等温線を示すグラフである。 容器内に導入された極性分子を吸引排気するための吸引排気システムの概略構成図である。 活性化処理を行う前に容器内を吸引排気するための吸引排気システムの概略構成図である。 水素吸着材を活性化するための活性化システムの概略構成図である。 水素吸着材の水素ガス放出量を測定するための水素ガス吸着量測定システムを示すシステム概略構成図である。
符号の説明
10、30…容器 18、32、102…真空ポンプ
34…吸引排気システム 68…精製器
72…バブリング装置 80…加熱器
84…熱伝導度検出器 90…水素ガス吸着量測定システム
92…供給ライン 94…排出ライン
96…水素ガスボンベ 110…マスフローメータ
MOF…金属−有機骨格構造体

Claims (5)

  1. 容器に水素ガスを充填する前に、前記容器に収容された水素吸着材の表面に吸着された水素ガス以外のガスを除去する水素吸着材の活性化方法であって、
    容器に水素吸着材を収容する工程と、
    前記容器内に水よりも低沸点の極性分子を液体として供給し、前記水素吸着材に、前記極性分子を吸着させる工程と、
    水素ガス以外の前記ガス及び前記極性分子を前記水素吸着材から脱離する工程と、
    を有することを特徴とする水素吸着材の活性化方法。
  2. 請求項1記載の活性化方法において、前記極性分子を不活性ガスに同伴させて前記容器内に導入することを特徴とする水素吸着材の活性化方法。
  3. 請求項1又は2記載の活性化方法において、吸引排気を行うことによって水素ガス以外の前記ガス及び前記極性分子を前記水素吸着材から脱離することを特徴とする水素吸着材の活性化方法。
  4. 請求項1又は2記載の活性化方法において、不活性ガスを容器内に流通することによって水素ガス以外の前記ガス及び前記極性分子を前記水素吸着材から脱離することを特徴とする水素吸着材の活性化方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の活性化方法において、前記極性分子として、沸点が80℃以下であるものを使用することを特徴とする水素吸着材の活性化方法。
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