JP5113321B2 - 有被膜錯体凝集体の製造方法 - Google Patents

有被膜錯体凝集体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5113321B2
JP5113321B2 JP2005031729A JP2005031729A JP5113321B2 JP 5113321 B2 JP5113321 B2 JP 5113321B2 JP 2005031729 A JP2005031729 A JP 2005031729A JP 2005031729 A JP2005031729 A JP 2005031729A JP 5113321 B2 JP5113321 B2 JP 5113321B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
complex
hydrogen
coated
aggregate
anion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005031729A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006218349A (ja
Inventor
照実 古田
出 鹿屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2005031729A priority Critical patent/JP5113321B2/ja
Publication of JP2006218349A publication Critical patent/JP2006218349A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5113321B2 publication Critical patent/JP5113321B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

本発明は、被膜を有する有被膜錯体を凝集させて凝集体とする有被膜錯体凝集体の製造方法に関する。
近年における環境保護への関心の高まりから、燃料電池を搭載した燃料電池車が着目されている。燃料電池車は燃料電池を走行駆動源とするので、ガソリンや軽油を燃焼させる必要がなく、従って、炭化水素ガスやNOx、SOx等を排出することがないからである。
燃料電池には、水素を含有する燃料ガスと、酸素を含有する酸化剤ガスとを供給する必要がある。酸化剤ガスとしては、例えば、大気を使用することができるが、燃料ガスは、例えば、水素ガス貯蔵タンク等の燃料ガス供給源から供給しなければならない。このため、燃料電池車には、燃料電池の他、燃料ガス供給源が搭載される。
このように水素ガス貯蔵タンクを燃料ガス供給源とする場合、その内部に水素吸着材が収容されることが検討されている。この場合、水素吸着材が水素を吸着保持するので、水素吸着材が収容されていない場合に比して多くの水素を貯留することができるからである。
この種の水素吸着材としては、錯体、活性炭、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン、グラファイト、ゼオライト又はメソポーラスシリケート等が例示される。この中、錯体の1種である、金属原子又は金属イオンを有機分子又は有機イオンが囲繞するように配位結合した構造の金属−有機骨格構造体が特に着目されている。金属−有機骨格構造体は、ゲスト分子が存在しない場合であっても安定な多孔性骨格構造を維持するからである。なお、水素ガスは、この多孔性骨格構造内に吸着される。
具体的な金属−有機骨格構造体及びその製造方法は、例えば、特許文献1に開示されており、また、特許文献2には、粉末状の金属−有機骨格構造体をバインダや増粘剤の存在下で成形して成形体とすることが提案されている。
米国特許出願公開第2003/0148165号明細書 米国特許出願公開第2003/0222023号明細書
金属−有機骨格構造体は、一般的には、N,N’−ジエチルフォルムアミド、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドン等の有機溶媒中で合成される。この金属−有機骨格構造体から特許文献2に記載されているように成形体を作製する場合、成形作業は、有機溶媒から分離された金属−有機骨格構造体を大気中に露呈して行われる。
この成形作業の際、金属−有機骨格構造体には、大気中に存在する水蒸気等が吸着してしまい、このためにガス吸着能が乏しくなる。そこで、吸着した水蒸気を脱離してガス吸着能を回復するべく、成形体を水素ガス貯蔵タンク内に収容した後、加熱しながらの真空排気によって脱ガス処理が施されるのが通例となっている。
しかしながら、この脱ガス処理には長時間を有するという不具合が顕在化している。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、脱ガス処理に要する時間を著しく短縮することが可能な有被膜錯体凝集体の製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、錯体が被膜で被覆された有被膜錯体を凝集させて凝集体とする有被膜錯体凝集体の製造方法であって、
金属―有機骨格構造体からなる錯体を有機溶媒中で合成する工程と、
水素ガス分子が透過可能な水素透過性バインダを前記有機溶媒に添加し、前記水素透過性バインダで前記錯体を被覆して有被膜錯体を形成する工程と、
前記有被膜錯体と前記有機溶媒とを分離するとともに、前記水素透過性バインダを介して前記有被膜錯体同士を結合させて凝集体を得る工程と、
を有することを特徴とする。
すなわち、本発明においては、錯体が大気に曝露される前に該錯体に対して被膜が形成される。このようにして作製された有被膜錯体は、その表面に被膜が形成されているため、大気に曝露されても、大気中の水蒸気等を吸着することがほとんどない。このため、脱ガス処理が短時間で終了する。
また、水素透過性バインダがバインダとしての結合作用を有するため、有被膜錯体同士を容易に凝集させることができる。
しかも、被膜である水素透過性バインダは、水素ガスを透過するので、有被膜錯体が水素ガスを吸着することが妨げられることもない。
なお、水素透過性バインダの添加量は、錯体1gに対して0.1〜0.3gとすれば十分である。0.1g未満であると水蒸気等が吸着されることを回避する効果に乏しく、0.3gを超えると、錯体の水素ガス吸着サイトが水素透過性バインダで埋没する箇所が生じることがあり、このために水素ガス吸着量が低下することがある。
なお、水素透過性バインダの好適な例としては、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリスルホンを挙げることができる。
いずれの場合においても、有被膜錯体を所定の形状で凝集させるようにしてもよい。これにより、大気中の水蒸気等がほとんど吸着されていない有被膜錯体の成形体を容易に得ることもできる。換言すれば、水素ガス吸着能を有する成形体を効率よく製造することが可能となる。
なお、錯体は、水素ガス吸着能を有する物質であれば特に限定されるものではないが、金属−有機骨格構造体を好適な例として挙げることができる。
本発明によれば、錯体が大気に露呈する前に、該錯体を、水素透過性バインダからなる被膜で被覆して、有被膜錯体とするようにしている。この有被膜錯体が大気に露呈されても、被膜が存在するために、大気中の水蒸気等が吸着されることはほとんどない。このため、脱ガス処理に要する時間を著しく短縮することができる。
また、水素透過性バインダの結合作用下に有被膜錯体同士が凝集するので、凝集体を作製することも容易である。この際、所定の形状に凝集させれば、成形体を得ることもできる。すなわち、水素ガス吸着能を有する成形体を効率よく製造することが可能となる。
以下、本発明に係る有被膜錯体凝集体の製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、錯体として、金属−有機骨格構造体を例示して説明する。
金属−有機骨格構造体は、金属原子又は金属イオンを有機分子又は有機イオンが囲繞するように配位結合した構造であり、具体例としては、[M2(4,4’−ビピリジン)3(NO34](ただし、MはCo、Ni、Znのいずれか)、[M2(1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン)2](ただし、MはCu、Znのいずれか)、[Fe2(トランス−4,4’−アゾピリジン)4(NCS)4]等が挙げられる。
金属−有機骨格構造体の別の具体例としては、米国特許出願公開2003/0004364号明細書に記載されているように、その一般式がM4O(芳香族ジカルボキシレートアニオン)3で表されるものが挙げられる。なお、Mの好適な例としては、Zn、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Ru、Rh、Pd、Ag、Ptが挙げられる。また、芳香族ジカルボキシレートアニオンに代替して芳香族ジカルボキシレートアニオン誘導体で構成されたものであってもよい。
芳香族ジカルボキシレートアニオン又はその誘導体の好適な例としては、1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2−ブロモ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2−アミノ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2,5−プロピル−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、2,5−ペンチル−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、シクロブテン−1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートアニオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートアニオン、4,5,9,10−テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボキシレートアニオン、ピレン−2,7−ジカルボキシレートアニオン、4,4”−テルフェニルジカルボキシレートアニオン等が挙げられる。各々の構造式は、下記の通りである。
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
Figure 0005113321
以下、本実施の形態に係る製造方法につき、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に対して被膜を形成する場合を例として説明する。
先ず、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を合成する。具体的には、1.2gの2,6−ナフタレンジカルボン酸と、11gのZn(NO32・4H2Oとを、密閉容器中で1000mlのジエチルフォルムアミド(DEF)に溶解する。
この溶液を密閉容器に貯留し、且つ密閉容器を密閉状態に保ったまま、95℃で20時間加熱すれば、多孔性骨格構造にDEF分子が物理吸着したZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6が生成する。
この作業を繰り返し行い、50gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6がDEFに分散した分散溶液とする。
そして、図1に示すように、分散溶液Lを開放容器10に移液する。なお、この開放容器10の下端面には中空小径部12が突出形成されており、該中空小径部12には、バルブ14が介装されたブロー管16が接続されている。また、開放容器10において、中空小径部12に至る開口にはフィルタ18が保持されている。
開放容器10の上方は開口しており、この開口から前記分散溶液Lを導入する。しばらくの間静置すると、比重が相違することから、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6が沈殿して沈殿物層20が形成される。
次に、バルブ14を若干の開状態とし、ブロー管16を介して溶媒であるDEFを開放容器10から徐々に排出する。なお、沈殿物層20であるZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6の流出は、フィルタ18によって阻止される。
そして、若干量のDEFが残留している時点でバルブ14を閉止し、クロロフォルムを加えてDEFとクロロフォルムの混合液とする。この混合液も上記と同様にバルブ14を若干の開状態として開放容器10から徐々に排出する。
若干量の混合液が残留している時点でバルブ14を閉止し、再度、クロロフォルムを加える。この作業を、排出液体のガスクロマトグラフィ分析でDEFが検出されなくなるまで繰り返す。なお、以上の作業中、液面は、沈殿物層20が露呈しない高さにされる。
ガスクロマトグラフィ分析でクロロフォルムのみが検出されるようになった時点で、ブロー管16からの排出を停止し、沈殿物層20がクロロフォルムに沈降した状態として24時間放置する。この放置の最中に、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6の多孔性骨格構造に物理吸着したDEF分子がCHCl3分子に置換される。すなわち、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(CHCl36が生成する。
その一方で、水素透過性バインダを有機溶媒に溶解する。ここで、水素透過性バインダとは、水素分子が透過可能であり、且つバインダとして機能し得る物質を指称する。
水素透過性バインダは、このような特性を有する物質であれば特に限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリスルホンを好適な例として挙げることができる。これらは大半の有機溶媒に可溶であるので、この有機溶媒を金属−有機骨格構造体が分散した有機溶媒と混合することにより、金属−有機骨格構造体に容易に被膜を形成することができる。
水素透過性バインダ自体はガス吸着能がほとんどないため、その添加量は、金属−有機骨格構造体の表面が被覆される程度とすることが好ましい。具体的には、金属−有機骨格構造体1gに対して0.1〜0.3gとすれば十分である。
例えば、ポリビニルピロリドン9gをクロロフォルムに投入後、撹拌して完全に溶解させる。この溶解溶液を開放容器10内に導入し、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(CHCl36が沈殿したクロロフォルムと混合した後、撹拌する。この最中にポリビニルピロリドンがZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(CHCl36の表面を被覆し、その結果、表面にポリビニルピロリドンからなる被膜を有する有被膜錯体としてのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(CHCl36が形成される。
すなわち、本実施の形態においては、金属−有機骨格構造体は、大気に曝露される前に、水素透過性バインダによって被覆される。
次に、図示しない真空エバポレータを使用してクロロフォルムを粘度が上昇するまで揮発させ、濃縮溶液とする。この濃縮溶液を、テトラフルオロエチレンシート上にスポイトで滴下して分散させる。その後、室温で12時間の真空乾燥を行うことにより、溶媒であるクロロフォルムが揮発するとともに、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(CHCl36からクロロフォルム分子が離脱してZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3が生成する。
同時に、このZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3の表面にポリビニルピロリドンからなる被膜(水素透過性バインダ)が存在するので、粉末同士が水素透過性バインダを介して凝集する。これにより、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3の凝集体が得られる。勿論、この際に所定の形状に凝集させることにより、成形体とすることもできる。
上記のような操作を行うとともに、例えば、直径が2〜5mmのディスク状成形体を作製した場合、該ディスク状成形体中のZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3は概ね80重量%程度となる。
次いで、このディスク状成形体に対し、脱ガス処理を施す。すなわち、例えば、図2に示すように、ステンレス鋼であるSUS304製の容積100cm3の円筒型高圧容器30に40gのディスク状成形体32を収容する。ここで、円筒型高圧容器30の上端面に形成された円筒状突起部34には、上流側からコネクタ35、バルブ36、コールドトラップ38、バルブ40、真空ポンプ42がこの順序で介装された配管44を接続する。なお、この配管44には、ガス採取用の採取部46が設けられる。また、図2中、参照符号48は、圧力計を示す。また、円筒状突起部34には、フィルタ49が保持されている。
温度を20℃とし、コールドトラップ38の温度が十分に低下したことが確認されたら、真空ポンプ42を付勢する。バルブ40を開放した後にバルブ36を開放し、円筒型高圧容器30内の圧力を10-3Torrとする。
このようにして円筒型高圧容器30内の気体が真空ポンプ42によって吸引される間、吸引される気体をマイクロシリンジで採取部46から採取する。この気体につきガスクロマトグラフィ分析を行い、H2O分子に基づくピークが出現しなくなった時点で、脱ガス処理が完了したものと判断する。上記のようにして作製された有被膜錯体である40gのZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3のディスク状成形体32の場合、脱ガス処理に要する時間は1時間である。
脱ガス処理が終了した後、コネクタ35より下流側が分離される。そして、ディスク状成形体32を収容した円筒型高圧容器30には、図3に示す配管50が連結され、水素ガスが貯留される。
配管50には、水素ガスを供給するための供給ライン52と、水素ガスを放出するための排出ライン54とがコネクタ35の下流側から分岐して設けられ、このうち、供給ライン52は、水素ガスボンベ56から円筒型高圧容器30にわたって橋架される。供給ライン52には、水素ガスボンベ56側から、レギュレータ58、マニュアルバルブ60が介装される。
一方、排出ライン54には真空ポンプ62が介装され、この真空ポンプ62に至るまで、円筒型高圧容器30側からマニュアルバルブ64、レギュレータ66、ニードルバルブ68、マスフローメータ70、自動バルブ72が配置される。なお、図3中、参照符号74、76は、ともに圧力計を示す。
供給ライン52と排出ライン54中のガスを除去するべく、真空ポンプ62を付勢し、マニュアルバルブ60、64をともに開放し、さらに自動バルブ72を開放して、圧力が10-3Torrとなるまで真空引きを継続する。その後、マニュアルバルブ64及び自動バルブ72を閉止する。
次に、レギュレータ58を10MPaに設定し、マニュアルバルブ60を開放して、円筒型高圧容器30に10MPaの水素ガスを導入する。
その後、マニュアルバルブ60を閉止して真空ポンプ62を付勢し、自動バルブ72を開放する。さらに、マニュアルバルブ64を開放すれば、円筒型高圧容器30内の水素ガスが真空ポンプ62の作用下に放出される。
放出された水素ガスは、レギュレータ66とニードルバルブ68の作用下によって圧力が0.1MPaまで低下してマスフローメータ70に至る。このマスフローメータ70を通過した水素ガスの積算流量を求める。積算流量の増加が認められなくなった時点で水素ガスがすべて放出されたものと判断し、マニュアルバルブ64、自動バルブ72を閉止して真空ポンプ62を停止する。
以上のようにして求められた放出水素ガスのモル数は、この場合、0.57molであった。
ここで、被膜が設けられていないZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3についても上記の脱ガス処理を施し、放出水素ガス量の測定を行った。なお、この無被膜Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3は、1.2gの2,6−ナフタレンジカルボン酸と、11gのZn(NO32・4H2Oとを、密閉容器中で1000mlのジエチルフォルムアミド(DEF)に溶解し、95℃で20時間加熱してZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6とし、このZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3・(DEF)6をクロロフォルムに24時間浸漬することによってDEF分子をクロロフォルム分子に置換し、さらに、真空引きを行ってクロロフォルム分子を離脱させて得られたものである。
この場合、脱ガス処理が終了するまで5時間という長時間を要した。なお、放出水素ガスのモル数は、上記と同じく0.57molであった。
さらに、ポリビニルピロリドンに代替し、水素がほとんど透過することがないポリビニルアルコールを使用したことを除いては上記と同様にして、ポリビニルアルコール膜を有するZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を作製し、これについても脱ガス処理を施した後に、放出水素ガス量の測定を行った。この場合、脱ガス処理は1時間で終了したものの、放出水素ガスは0.11molと著しく低下した。
この理由は、水素がポリビニルアルコール膜を通過することができず、このためにZn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3に吸着されなくなり、結局、水素ガスが円筒型高圧容器30の内部のみにしか貯留されないためであると推察される。
このように、水素透過性バインダに被覆された金属−有機骨格構造体は、水素透過性バインダが存在するために大気に曝露されることがないため、大気中の水蒸気等を吸着することがほとんどない。従って、脱ガス処理に要する時間を著しく短縮することができる。
なお、上記した実施の形態においては、Zn4O(2,6−ナフタレンジカルボキシレートアニオン)3を例示して説明したが、例えば、Zn4O(1,4−ベンゼンジカルボキシレートアニオン)3等、他の金属−有機骨格構造体であってもよい。また、錯体は、金属−有機骨格構造体に特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
さらに、金属−有機骨格構造体に吸着されるガスは水素ガスに限定されるものではなく、メタンガスであってもよい。この場合、メタンガスを透過可能で且つバインダとして機能する物質を選定すればよい。また、物理吸着ではなく化学吸着であってもよい。
金属−有機骨格構造体に水素透過性バインダを被覆するための容器の概略縦断面構成図である。 円筒型高圧容器に収容された金属−有機骨格構造体に対して脱ガス処理を施すためのシステム概要図である。 円筒型高圧容器に収容された金属−有機骨格構造体の放出水素ガス量を測定するためのシステム概要図である。
符号の説明
10…開放容器 16…ブロー管
20…沈殿物層 30…円筒型高圧容器
32…ディスク状成形体 42、62…真空ポンプ
44、50…配管 52…供給ライン
54…排出ライン 56…水素ガスボンベ

Claims (4)

  1. 錯体が被膜で被覆された有被膜錯体を凝集させて凝集体とすることで得られ、水素吸着材として機能する有被膜錯体凝集体の製造方法であって、
    水素ガスを吸着可能な金属―有機骨格構造体からなる錯体を有機溶媒中で合成する工程と、
    水素ガス分子が透過可能な水素透過性バインダを前記有機溶媒に添加し、前記水素透過性バインダで前記錯体を被覆して有被膜錯体を形成する工程と、
    前記有被膜錯体と前記有機溶媒とを分離するとともに、前記水素透過性バインダを介して前記有被膜錯体同士を結合させて凝集体を得る工程と、
    を有することを特徴とする有被膜錯体凝集体の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記水素透過性バインダの添加量を、前記錯体1gに対して0.1〜0.3gとすることを特徴とする有被膜錯体凝集体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法において、前記水素透過性バインダとして、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリスルホンからなる被膜を設けることを特徴とする有被膜錯体凝集体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記凝集体として成形体を設けることを特徴とする有被膜錯体凝集体の製造方法。
JP2005031729A 2005-02-08 2005-02-08 有被膜錯体凝集体の製造方法 Expired - Fee Related JP5113321B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005031729A JP5113321B2 (ja) 2005-02-08 2005-02-08 有被膜錯体凝集体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005031729A JP5113321B2 (ja) 2005-02-08 2005-02-08 有被膜錯体凝集体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006218349A JP2006218349A (ja) 2006-08-24
JP5113321B2 true JP5113321B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=36981010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005031729A Expired - Fee Related JP5113321B2 (ja) 2005-02-08 2005-02-08 有被膜錯体凝集体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5113321B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101641152B (zh) * 2007-01-24 2014-04-23 加利福尼亚大学董事会 结晶的3d-和2d-共价有机构架
JP5759175B2 (ja) 2008-09-29 2015-08-05 日本碍子株式会社 ガス吸着材料、その前駆体及びガス吸着材料の製造方法
CN116036798B (zh) * 2021-10-28 2024-08-02 中国石油化工股份有限公司 一种分离氢气混合气体的方法及系统和应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5648508A (en) * 1995-11-22 1997-07-15 Nalco Chemical Company Crystalline metal-organic microporous materials
JPH11116958A (ja) * 1997-10-14 1999-04-27 Mitsui Chem Inc ポリアミノ酸を含有する顆粒の製造方法
JPH11128739A (ja) * 1997-10-23 1999-05-18 Elf Atochem Japan Kk 吸着性ハニカム構造体と、その製造方法
JP2000210559A (ja) * 1999-01-22 2000-08-02 Osaka Gas Co Ltd ガス貯蔵性有機金属錯体、その製造方法およびガス貯蔵装置
US6893564B2 (en) * 2002-05-30 2005-05-17 Basf Aktiengesellschaft Shaped bodies containing metal-organic frameworks
US7481866B2 (en) * 2002-06-19 2009-01-27 University Of Iowa Research Foundation Gas storage materials and devices
EP1633760B1 (en) * 2003-05-09 2010-05-05 The Regents of The University of Michigan MOFs with a high surface area and methods for producing them
US7309380B2 (en) * 2003-06-30 2007-12-18 Basf Aktiengesellschaft Gas storage system

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006218349A (ja) 2006-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zheng et al. Metal‐organic frameworks/graphene‐based materials: preparations and applications
Guo et al. Ionic liquid tuning nanocage size of MOFs through a two-step adsorption/infiltration strategy for enhanced gas screening of mixed-matrix membranes
Ding et al. Improving water stability of metal–organic frameworks by a general surface hydrophobic polymerization
Wee et al. Submicrometer‐sized ZIF‐71 filled organophilic membranes for improved bioethanol recovery: mechanistic insights by Monte Carlo simulation and FTIR spectroscopy
Liang et al. Encapsulation of a porous organic cage into the pores of a metal–organic framework for enhanced CO2 separation
Bhadra et al. Liquid-phase adsorption of aromatics over a metal–organic framework and activated carbon: effects of hydrophobicity/hydrophilicity of adsorbents and solvent polarity
JP2022051567A (ja) メソポーラス材料内における金属-有機構造体の固相結晶化方法及びそのハイブリッド材料
Bhattacharjee et al. Chromium terephthalate metal–organic framework MIL-101: synthesis, functionalization, and applications for adsorption and catalysis
Jiang et al. Adsorption toward trivalent rare earth element from aqueous solution by zeolitic imidazolate frameworks
Salehi et al. Dynamic adsorption of Ni (II) and Cd (II) ions from water using 8-hydroxyquinoline ligand immobilized PVDF membrane: Isotherms, thermodynamics and kinetics
Han et al. Hydrothermal synthesis of sub-20 nm amine-functionalized MIL-101 (Cr) nanoparticles with high surface area and enhanced CO2 uptake
Prasad et al. Graphene-incorporated biopolymeric mixed-matrix membrane for enhanced CO2 separation by regulating the support pore filling
CN108626569B (zh) 一种氢气吸附存储释放系统及其应用
JP6089618B2 (ja) 硫黄化合物吸着・除去フィルタ
Wu et al. Functional metal–organic frameworks as adsorbents used for water decontamination: design strategies and applications
Zhang et al. Coordinate covalent grafted ILs-modified MIL-101/PEBA membrane for pervaporation: Adsorption simulation and separation characteristics
JP5113321B2 (ja) 有被膜錯体凝集体の製造方法
CN114797798B (zh) 一种mof/玉米秸秆复合材料及器件的制备方法和应用
JP5010807B2 (ja) 水素吸着材の活性化方法
Olorunnisola et al. Cellulose-based adsorbents for solid phase extraction and recovery of pharmaceutical residues from water
Gu et al. Photo-switchable Cu+ sites in metal-organic frameworks for adsorptive desulfurization
US9155996B2 (en) Sorbents for carbon dioxide capture
Chen et al. Interfacial nanoarchitectonics for ZIF-8 membranes with enhanced gas separation
Kim et al. Partial‐Interpenetration‐Controlled UiO‐Type Metal‐Organic Framework and its Catalytic Activity
JP2021062344A (ja) 酸化ケイ素を基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体、該複合体を用いるアンモニア吸着・脱離方法、およびアンモニア回収装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121009

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121012

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees