JP5010417B2 - 導電性粒子及びこれを用いた異方性導電材料 - Google Patents

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Description

本発明は、配線、電極などの接続に好適に使用可能な導電性粒子、及びICチップ、液晶ディスプレイ(LCD)における液晶パネル(LCDパネル)などの電子部品と基板や、基板同士を電気的かつ機械的に接続可能な異方性導電材料に関する。
従来より、電子部品などと回路基板とを接続する手段の一つとして、異方性導電接着剤が広く使用されている。この異方性導電接着剤は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やICチップの端子と、LCDパネルのガラス基板上に形成されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場合を始めとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
前記異方性導電接着剤は、絶縁性接着剤に導電性粒子を分散させたものであり、該導電性粒子としては、例えば、半田、ニッケル等の金属粒子や、ポリスチレンやジビニルベンゼン等の樹脂粒子を内核として、その表面に無電解メッキ法でニッケルや金等の金属皮膜を形成した粒子が使用されている。
また、前記異方性導電接着剤の使用方法としては、例えば、半導体チップとガラス基板との接合においては、フィルム状に成形した異方性導電接着剤を、接続すべき端子に挟み、熱圧着する。このとき、フィルム状に成形した異方性導電接着剤では、前記導電性粒子が、前記絶縁性接着剤中に分散しているので、熱圧着により前記導電性粒子が、前記半導体チップにおけるバンプと、前記ガラス基板におけるITO端子との間に挟まれて潰されることにより、これらが電気的に接続される。同時に、前記半導体チップと前記ガラス基板とが前記絶縁性接着剤で接着固定される。
ところで、近年、電子機器の小型化及び高機能化により、接続端子のファインピッチ化に伴う接続端子の接続面積が減少しているが、端子面積が狭くなっても、高い導通信頼性を確保することが求められている。導通信頼性の向上を図る方法としては、前記導電性粒子の表面に金属製の突起を設けることによりアンカー効果を発揮させる方法が知られている。通常、電極は、酸化により表面に酸化物が形成されていることが多いが、前記導電性粒子の表面に突起を設けると、該突起が前記酸化物層を突き破って、前記電極に食い込み、表面に突起を有しない導電性粒子に比して、導通信頼性が格段に向上する。
このような突起を有する導電性粒子、及び該導電性粒子を用いた異方性導電材料は、数多く提案されており、該導電性粒子の一例としては、例えば、特許文献1〜2に記載のものが挙げられる。
前記特許文献1には、平均粒径が、1〜20μmの球状芯状粒子の表面上に、無電解メッキ法を用いて、表層に0.05〜4μmの微小突起を有し、かつこの上にこれと実質的に連続皮膜をなすニッケル又はニッケル合金皮膜を形成した導電性無電解メッキ粉体が記載されている。
前記特許文献2には、基材微粒子の表面が導電性膜で被覆されており、該導電性膜の表面に隆起した複数の突起を有する導電性微粒子であって、前記基材微粒子の表面に、導電性膜の表面を隆起させている芯物質を有し、該芯物質が、前記導電性膜の材質とは異なる導電性微粒子が記載されている。また、基材微粒子の表面に、導電性物質により形成された粒子状の芯物質を有し、該基材微粒子及び該芯物質が、メッキ皮膜により被覆されており、該芯物質が被覆されることによって、メッキ皮膜が表面に隆起した複数の突起を有する導電性微粒子が記載されている。
しかし、これらの導電性粒子においては、いずれも真球状の樹脂粒子に金属突起物を付与したものであり、このような硬い金属突起物が存在するために、前記導電性粒子が潰れた際に、端子との接触面積が小さくなり、充分な接続信頼性を得ることができず、今後の更なる狭ピッチ接続への応用には限界があるという問題があった。
また、突起を形成する工程において、粒子間の凝集が発生し易く、端子間のショート発生の原因となっていた。
即ち、前記特許文献1に記載の導電性無電解メッキ粉体は、非導電性微粒子に、無電解ニッケルメッキ法におけるニッケルメッキ液の自己分解を利用して、ニッケルの微小突起とニッケル皮膜とを同時に形成させることにより製造されているが、これは、ニッケル皮膜の異常形成により、突起物を隆起させるものであり、粒子同士が凝集体を形成し易かった。このため、2量体粒子や3量体粒子が生じ易く、このような多量体が含まれた接続材料は、ショート発生率が高くなるという問題があった。
前記特許文献2に記載の導電性微粒子は、基材粒子分散液中のメッキ安定剤の量を少なくすることにより、メッキ反応時のメッキ液を不安定化させ、微少な塊状微粒子の凝集体で構成される突起を形成することにより製造されているが、この場合、比較的多量体を形成する確立が低いものの、突起物が硬すぎて潰れ難く、前記導電性粒子と端子部との接触面積が小さくなり、接続抵抗が高くなるという問題があった。
また、樹脂からなるコアの表面に、突起を有する導電層を形成させ、更にその外殻に、突起を有する絶縁性樹脂層を形成させてなる導電性粒子が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この導電性粒子においては、最外殻が絶縁性樹脂層からなるため、表面に酸化物層が形成された配線を接続するのに用いると、酸化物層を突き破ることができず、導通信頼性が低下するという問題がある。
そこで、基材粒子、該基材粒子の表面に形成されたニッケル層、及び該ニッケル層の表面に形成された突起を有する銀層からなる導電性粒子(特許文献4参照)や、基材粒子、該基材粒子の表面に形成されたニッケル層、及び該ニッケル層の表面に形成された突起を有する金層からなる導電性粒子(特許文献5参照)などが提案されている。
これらの導電性粒子においては、突起物の材質を、従来のニッケルから、金や銀などの軟らかい金属に変えることにより、接続時に突起物を潰して、端子との接触面積をより広く確保している。しかし、銀には、マイグレーションの問題があり、金は、高価であり、コストの面で、実用的ではない。
したがって、配線、電極などの接続に好適に使用可能であり、これらとの接触面積を大きく確保して抵抗上昇を抑制し、導通信頼性の向上を実現可能な導電性粒子、及びこれを用いた関連技術は、未だ提供されていないのが現状である。
特開2000−243132号公報 特開2006−302716号公報 特開2006−227048号公報 特開2006−351464号公報 特開2006−351508号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、配線、電極などの接続に好適に使用可能であり、導通信頼性の向上を実現可能な導電性粒子、及び電子部品などと基板との接合に用いられ、少ない粒子捕捉数でも抵抗上昇を抑制可能であり、経時的に安定して優れた導通信頼性が得られる異方性導電材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 絶縁性樹脂粒子上に導電層を有し、下記式(1)で表される形状係数SF1が100〜140であり、かつ下記式(2)で表される形状係数SF2が少なくとも105である導電性粒子であって、
前記絶縁性樹脂粒子における前記形状係数SF1が100〜140であり、かつ前記形状係数SF2が少なくとも105であることを特徴とする導電性粒子である。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×100・・・式(1)
SF2={(PERI)/AREA}×(1/4π)×100・・・式(2)
ただし、前記式(1)中、MXLNGは、粒子の投影図における絶対最大長を表し、AREAは、投影面積を表す。前記式(2)中、PERIは、粒子の投影図における周長を表し、AREAは、投影面積を表す。
該<1>に記載の導電性粒子は、粒子表面の凹凸度合い表す前記SF2が、少なくとも105であり、表面に凹凸を有する導電性粒子であって、しかも前記絶縁性樹脂粒子における前記形状係数SF2が、少なくとも105であるので、前記絶縁性樹脂粒子自体が、表面に凹凸を有し、該凹凸に沿って前記導電層で被覆されている。このため、配線、電極等の接続に用いると、前記導電性粒子表面の凸部における前記導電層が、前記電極等の表面に形成された酸化物層を突き破って、前記配線層等と接触する。また、前記凸部の内部は、絶縁性樹脂で形成されている(前記絶縁性樹脂粒子における凸部に相当する)ので、弾性を有しており、前記導電性粒子が潰れると、前記導電性粒子と前記電極などとの接触面積が大きく確保される。その結果、接続抵抗が低く、優れた導通信頼性が得られる。
このため、本発明の前記導電性粒子は、配線、電極などの各種導電部材の接続に好適に用いることができ、電子部品などと、基板との接合に用いる異方性導電材料に好適に使用することができ、本発明の異方性導電材料に特に好適に使用することができる。
<2> 絶縁性樹脂粒子の体積平均粒径が、1μm〜50μmである前記<1>に記載の導電性粒子である。
<3> 絶縁性樹脂粒子が、アクリル系樹脂及びベンゾグアナミン系樹脂から選択される少なくとも1種からなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性粒子である。
<4> 導電層が、無電解メッキにより形成されてなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電性粒子である。
<5> 導電層の厚みが、10nm〜0.6μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電性粒子である。
<6> 導電層に、ニッケル、金、及び銅から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電性粒子である。
<7> 絶縁性樹脂組成物中に、前記<1>から<6>のいずれかに記載の導電性粒子を含有することを特徴とする異方性導電材料である。
該<7>に記載の異方性導電材料は、前記絶縁性樹脂組成物中に、本発明の前記導電性粒子を含有しているので、電子部品などと基板との接続に用いると、少ない粒子捕捉数でも抵抗上昇を抑制可能であり、経時的に安定して優れた導通信頼性が得られる。
<8> 絶縁性樹脂組成物に、エポキシ樹脂を少なくとも含む前記<7>に記載の異方性導電材料である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決でき、配線、電極などの接続に好適に使用可能であり、導通信頼性の向上を実現可能な導電性粒子、及び電子部品などと基板との接合に用いられ、少ない粒子捕捉数でも抵抗上昇を抑制可能であり、経時的に安定して優れた導通信頼性が得られる異方性導電材料を提供することができる。
(導電性粒子)
本発明の導電性粒子は、絶縁性樹脂粒子上に導電層を有してなる。
前記導電性粒子は、その形状においては、下記一般式(1)で表される形状係数SF1が100〜140であり、かつ下記式(2)で表される形状係数SF2が少なくとも105である。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×100・・・式(1)
SF2={(PERI)/AREA}×(1/4π)×100・・・式(2)
ただし、前記式(1)中、MXLNGは、粒子の投影図における絶対最大長を表し、AREAは、投影面積を表す(図1A参照)。前記式(2)中、PERIは、粒子の投影図における周長を表し、AREAは、投影面積を表す(図1B参照)。
〔形状係数SF1〕
前記形状係数SF1(以下、単に「SF1」と称することがある。)は、前記導電性粒子の球形度合いを表し、前記導電性粒子の形状が、球形から離れると、SF1値が大きくなり、真球に近づくにつれて、100に近い値となる。
前記導電性粒子における前記SF1としては、100〜140であることが必要であり、100〜125が好ましい。
前記SF1が、100〜140であると、前記導電性粒子は略球形であるが、140を超えると、徐々に不定形となり、異方性導電材料に用いた場合、電子部品などと基板との接続に寄与し難くなり、接続抵抗値にばらつきが生じ、導通信頼性が低下することがある。
〔形状係数SF2〕
前記形状係数SF2(以下、単に「SF2」と称することがある。)は、前記導電性粒子表面の凹凸度合いを表し、前記導電性粒子表面の凹凸の起伏が激しくなると、SF2値が大きくなり、真球に近づくにつれて、100に近い値となる。
本発明の前記導電性粒子は、その形状が真球状ではなく(SF2>100)、表面に凹凸を有している。
前記SF2は、少なくとも105であることが必要であり、105〜500が好ましい。
前記SF2が、105未満であると、前記導電性粒子の表面が円滑であり、酸化物層が形成された配線を接続するのに用いると、該酸化物層を突き破ることができず、導通信頼性が低下することがある。
前記SF1及び前記SF2は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)(「S−3000N」;日立製作所製)を用いて、倍率500倍に拡大した粒子像を、無作為に100個サンプリングし、その画像情報を、インターフェイスを介して、画像処理装置(「Luzex AP」;ニレコ社製)に導入することにより測定することができる。
〔凹凸比〕
また、前記導電性粒子表面の凹凸度合いは、下記式(3)で表される凹凸比を用いて表すこともできる。
凹凸比=T1/D1・・・式(3)
ただし、前記式(3)中、D1は、粒子の投影図において、直径が最大となる内周円を描いたときの該直径を表し、T1は、凸部における頂点と、該頂点から前記内周円に引いた垂線と前記内周円との交点と、の最長距離を表す。ここで、前記内周円は、凹部に少なくとも3点で接していることが必要である(図2A参照)。
前記導電性粒子表面の凹凸形状としては、図2Aには、粒子の投影図において、総ての凹部が前記内周円に接する態様を示したが、このほか、例えば、図2Bに示すように、前記内周円と凹部が接しない態様、図2Cに示すように、前記内周円が、凹部及び凸部以外の部位と接する態様などが挙げられる。
なお、本発明における前記導電性粒子においては、図2Dに示すように、前記内周円が、前記導電性粒子の表面と2点でしか接しない態様は含まない。
前記凹凸比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜0.4が好ましい。
前記凹凸比が、0.01未満であると、前記導電性粒子の表面が円滑であり、配線等の表面に形成された酸化物層を破ることができず、導通信頼性の高い異方性導電材料を製造することができないことがあり、0.4を超えると、前記導電性粒子表面の凹凸の起伏が激しくなり、電極などの接合に用いると、該電極との接触面積が小さくなり、接続抵抗値にばらつきが生じることがある。
−絶縁性樹脂粒子−
前記絶縁性樹脂粒子は、その形状においては、前記式(1)で表される形状係数SF1が100〜140であり、かつ前記式(2)で表される形状係数SF2が少なくとも105であることが必要である。
前記絶縁性樹脂粒子における前記SF1としては、100〜140であることが必要であり、100〜125が好ましい。
前記SF1が、100〜140であると、前記絶縁性樹脂粒子は略球形であるが、140を超えると、徐々に不定形となり、異方性導電材料に用いた場合、電子部品などと基板との接続に寄与し難くなり、接続抵抗値にばらつきが生じ、導通信頼性が低下することがある。
本発明の前記導電性粒子においては、前記絶縁性樹脂粒子の形状が真球状ではなく(SF2>100)、その表面に凹凸を有していることに特徴がある。即ち、前記絶縁性樹脂粒子における前記SF2の下限値が重要であり、該SF2は、少なくとも105であることが必要であり、105〜500が好ましい。
前記SF2が、105未満であると、前記絶縁性樹脂粒子の表面が円滑であり、表面に凹凸を有する導電性粒子を形成することができず、導通信頼性の高い異方性導電材料を製造することができないことがある。
また、前記絶縁性樹脂粒子表面の凹凸度合いは、前記導電性粒子表面の凹凸度合いと同様に、前記式(3)で表される凹凸比を用いて表すこともできる。
前記凹凸比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜0.4が好ましい。
前記凹凸比が、0.01未満であると、前記絶縁性樹脂粒子の表面が円滑であり、表面に凹凸を有する導電性粒子を形成することができず、導通信頼性の高い異方性導電材料を製造することができないことがあり、0.4を超えると、前記絶縁性樹脂粒子表面の凹凸の起伏が激しくなり、形成した導電性粒子を用いて電極などを接合した場合、該電極との接触面積が小さくなり、接続抵抗値にばらつきが生じることがある。
前記絶縁性樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、1μm未満であると、後述する導電層の被覆(無電解メッキ)を行う際に凝集し易く、単粒子として存在させ難くなることがあり、50μmを超えると、基板電極間などの接合に使用する異方性導電材料に用いるのが困難となることがある。
前記体積平均粒径は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度測定器「マルチサイザーII」を用いて測定することができる。
前記絶縁性樹脂粒子の材質(材料)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、アクリレートとジビニルベンゼンとの共重合樹脂等のアクリル系樹脂;ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンメラミンホルムアルデヒド樹脂等のベンゾグアナミン系樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、シリコーンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アクリル系樹脂及びベンゾグアナミン系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
また、シリカ、チタニア、リン酸カルシウムなどの無機物質とのハイブリッド材料を用いてもよい。
前記絶縁性樹脂粒子は、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
前記絶縁性樹脂粒子を合成する場合、その合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、後述する実施例1〜3に記載の方法により好適に合成することができる。
−導電層−
前記導電層は、前記絶縁性樹脂粒子の形状に沿って、その表面を被覆してなる。
前記導電層としては、その構造、厚み、材質(材料)などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜0.6μmが好ましい。
前記厚みが、10nm未満であると、配線、電極等の接合に必要とされる導電性が得られないことがあり、0.6μmを超えると、前記絶縁性樹脂粒子と前記導電層との熱膨張率の差から、前記導電層が前記絶縁性樹脂粒子から剥離し易くなるだけでなく、多量体の凝集粒子が生じ易くなることがある。
前記導電層の厚みは、例えば、前記導電性粒子をエポキシ樹脂に分散し、熱硬化させたものを、研磨装置(「TegraPol−25」;Struers社製)を用いて、前記導電性粒子の切断面が露出するように研磨し、続けて走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて前記導電層の厚みを側長することにより測定することができる。
前記材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム等の金属;錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金等の2種以上の金属で形成された合金;などが挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、銅が好ましい。
前記導電層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無電解メッキ、電解メッキなどが挙げられる。これらの中でも、前記絶縁性樹脂粒子が非導電性である点で、無電解メッキが好ましく、例えば、無電解ニッケルメッキが好適に挙げられる。また、該無電解ニッケルメッキの後、そのメッキ表面に対して更に金メッキを行うのが好ましい。
前記無電解メッキの際に用いられるメッキ液には、一般的にリン成分が含まれているが、このほか、ホウ素成分などの非金属成分が含まれていてもよい。
本発明の前記導電性粒子の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、表面に突起(凹凸)を有する前記絶縁性樹脂粒子に対して、無電解メッキにより、ニッケルメッキを施した後、最表面に金メッキを施すことにより製造することができる。
従来の導電性粒子の製造においては、真球状の絶縁性樹脂粒子の表面に、金属からなる突起部を形成していたので、該突起部を形成する工程にて、粒子間の凝集が発生し易いという問題があったが、本発明のように、表面に突起を有する前記絶縁性樹脂粒子に対して無電解メッキを施す場合、粒子間の凝集の発生が抑制される。
本発明の前記導電性粒子の硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような圧縮弾性率及び圧縮変形回復率を有しているのが好ましい。
前記圧縮弾性率としては、20℃で測定した、粒子直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が、3,000〜50,000N/mmであるのが好ましい。
前記10%K値が、3,000N/mm未満であると、前記導電性粒子を回路基板などの間に挟んで導電圧着を行った際に、前記絶縁性樹脂粒子が回復力を失うほど潰れてしまい、樹脂粒子としての機能を果たさなくなることがあり、50,000N/mmを超えると、前記導電性粒子が硬くなりすぎ、回路基板などの間に挟んで導電圧着を行った際に、回路基板などが破損してしまうことがある。
前記10%K値は、例えば、微小圧縮試験機(島津製作所製)を用いて、一片が50μmの四角柱の平滑端面にて、前記導電性粒子を圧縮速度2.646mN/秒、最大試験荷重98mNで圧縮することにより測定することができ、下記式(4)により求めることができる。
K=(3√2)・F・S−3/2・R−1/2・・・式(4)
ただし、前記式(4)中、Fは、導電性粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)を表し、Sは、導電性粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)を表し、Rは、導電性粒子の半径(mm)を表す。
前記圧縮変形回復率としては、20℃で測定した値が、30〜100%であるのが好ましい。
前記圧縮変形回復率が、30%未満であると、前記導電性粒子の弾力性が低下し、電極間の接合に用いると、前記導電性粒子と回路基板との間にギャップ(空隙)が生じ、接続信頼性が低下することがある。
前記圧縮変形回復率は、例えば、微小圧縮試験機(島津製作所製)にて前記導電性粒子を反転荷重9.8mNまで圧縮した後、逆に荷重を減らしていくときの、荷重値と圧縮変位との関係を測定することにより求めることができ、荷重を除く際の終点を原点荷重値0.98mN、負荷及び除負荷における圧縮速度0.2842mN/秒の条件で測定したとき、反転の点までの変位(L1)と反転の点から原点荷重値を取る点までの変位(L2)との比(%)((L2/L1)×100)で表すことができる。
ここで、本発明の前記導電性粒子を用いた導電部材の接続の一例を、図面を用いて説明する。図3Aは、本発明の前記導電性粒子を用い、COF端子とLCDパネルとを接続した状態を示す。
図3Aに示すように、本発明の導電性粒子10は、絶縁性樹脂粒子12の表面形状(凹凸形状)に沿って、導電層14が形成されており、表面に凹凸を有する。このため、COF端子20と、LCDパネル30との接続時に、導電性粒子10表面の凸部13における導電層14が、COF端子20の表面に形成された酸化物層22を突き破って、COF端子20と接触する。しかも、凸部13の内部は、絶縁性樹脂で形成されており、弾性を有するので、導電性粒子10が潰れると、導電性粒子10と、COF端子20及びLCDパネル30との接触面積が大きく確保され、接続抵抗が低い。
一方、図3Bに、従来の導電性粒子を用い、COF端子とLCDパネルとを接続した状態を示す。
図3Bに示すように、従来の導電性粒子40は、真球状の絶縁性樹脂粒子42の表面に、金属メッキ(例えば、ニッケルメッキ)により形成した突起部44を有しており、この突起部44は、硬度が高いので、COF端子20と、LCDパネル30との接続時に、導電性粒子40表面の突起部44が潰れ難く、導電性粒子40と、COF端子20及びLCDパネル30との接触面積が小さく、接続抵抗が高い。
このように、本発明の前記導電性粒子は、従来の導電性粒子を用いる場合に比して、少ない粒子補足数でも抵抗上昇を抑制可能であり、より高い導通信頼性が得られる。
本発明の前記導電性粒子は、導通信頼性の向上を実現することができるため、配線、電極などの各種導電部材の接続に好適に用いることができる。このため、電子部品などと、基板との接合に用いる異方性導電材料に好適に使用することができ、以下の本発明の異方性導電材料に特に好適に使用することができる。
(異方性導電材料)
本発明の異方性導電材料は、絶縁性樹脂組成物中に、本発明の前記導電性粒子を含有してなる。
本発明の前記異方性導電材料の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液状、ペースト状、シート状などが挙げられる。
前記絶縁性樹脂組成物は、絶縁性樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
前記絶縁性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱硬化性樹脂であってもよいし、光硬化性樹脂であってもよい。また、応力緩和を目的とした熱可塑性樹脂を一部に含んでいてもよい。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、マイクロカプセル化アミン系硬化剤を用いたアニオン硬化系エポキシ樹脂、オニウム塩、スルホニウム塩等を硬化剤に用いたカチオン硬化系エポキシ樹脂、有機過酸化物を硬化剤に用いたラジカル硬化系樹脂などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、主剤のエポキシ樹脂、あるいはラジカル硬化性樹脂に、光重合開始剤を分散させたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、アクリルゴムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上の共重合体を使用することもできる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて公知の添加剤の中から適宜選択することができ、例えば、上述したエポキシ樹脂の硬化剤のほか、前記異方性導電材料と基板などとの密着性向上を目的として、カップリング剤を用いることができる。
本発明の前記異方性導電材料は、前記絶縁性樹脂粒子の表面形状(凹凸形状)に沿って、前記導電層が被覆されてなる本発明の前記導電性粒子を含有しているので、電子部品などと基板との接続に用いると、少ない粒子捕捉数でも抵抗上昇を抑制可能であり、経時的に安定して優れた導通信頼性が得られる。
このため、本発明の前記異方性導電材料は、各種電子部品などと基板、基板同士などの接合に好適に使用することができ、例えば、ICタグ、ICカード、メモリーカード、フラットパネルディスプレイなどの製造に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−導電性粒子の作製−
以下のようにして、絶縁性樹脂粒子を作製し、該絶縁性樹脂粒子の表面に、無電解メッキにより導電層を形成した。
−−絶縁性樹脂粒子の作製−−
特開2002−236394号公報における実施例に記載の方法に基づいて、異形基材粒子を作製した。
主粒子となる、メタクリル化合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「YS40」;日本触媒社製)0.2質量部に、重合性単量体であるスチレン0.19質量部とアクリル酸nブチル0.01質量部と、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.006質量部とを添加して、回転数80rpmで攪拌しながら、70℃にて8時間にわたって、重合反応を行い、前記絶縁性樹脂粒子としての異形基材粒子を作製した。
得られた異形基材粒子のSEM写真を図4に示す。また、異形基材粒子の体積平均粒径を、粒度測定器(「マルチサイザーII」;ベックマン・コールター社製)を用いて測定したところ、4.2μmであった。
また、異形基材粒子について、形状係数SF1、形状係数SF2、及び凹凸比を、以下のようにして測定した。
〔形状係数SF1及び形状係数SF2〕
前記SF1及び前記SF2は、走査型電子顕微鏡(SEM)(「S−3000N」;日立製作所製)を用いて、倍率500倍に拡大した粒子像を、無作為に100個サンプリングし、その画像情報を、インターフェイスを介して、画像処理装置(「Luzex AP」;ニレコ社製)に導入することにより測定した。
なお、前記SF1は下記式(1)に基づいて、前記SF2は下記式(2)に基づいて、それぞれ算出される。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×100・・・式(1)
SF2={(PERI)/AREA}×(1/4π)×100・・・式(2)
ただし、前記式(1)中、MXLNGは、粒子の投影図における絶対最大長を表し、AREAは、投影面積を表す(図1A参照)。前記式(2)中、PERIは、粒子の投影図における周長を表し、AREAは、投影面積を表す(図1B参照)。
その結果、形状係数SF1は、109であり、形状係数SF2は、145であった。
〔凹凸比〕
前記凹凸比は、下記式(3)に基づいて算出した。
凹凸比=T1/D1・・・式(3)
ただし、前記式(3)中、D1は、粒子の投影図において、直径が最大となる内周円を描いたときの該直径を表し、T1は、凸部における頂点と、該頂点から前記内周円に引いた垂線と前記内周円との交点と、の最長距離を表す。ここで、前記内周円は、凹部に少なくとも3点で接していることが必要である(図2A参照)。
その結果、凹凸比(T1/D1)は、0.25であった。
−−導電層の形成−−
得られた異形基材粒子の表面に、特開2004−14409号公報における実施例に記載の方法に基づいて、無電解ニッケルメッキ及び金メッキを行うことにより、導電層を形成した。
前記異形基材粒子に、蒸留水500mlを加え、超音波処理機を用いて充分に分散させることにより粒子懸濁液を得た。この懸濁液を50℃で攪拌しながら、硫酸ニッケル(6水和物)50g/L、次亜リン酸ナトリウム40g/L、クエン酸50g/Lからなる無電解メッキ液(pHは7.5に調整)を徐々に添加し、無電解ニッケルメッキを行った後、アルコール置換し、真空乾燥させ、ニッケルメッキ粒子を得た。
次いで、シアン化金カリウム5.9g(金含有量4g)を含有する置換金メッキ液(「IM−GoldST」;日本高純度化学社製)2,000mLに、前記ニッケルメッキ粒子を10g添加して、攪拌しながら70℃にて30分間反応させた。反応終了後に、粒子を濾取、水洗し、アルコール置換した後、真空乾燥させることにより、金で被覆されたニッケルメッキ粒子を得た。
以上により、導電層(ニッケル及び金)で被覆された絶縁性樹脂粒子からなる導電性粒子を得た。
このようにして得られた導電性粒子を、断面研磨機(「TegraPol−25」;Struers社製)を用いて切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、導電層(ニッケル及び金)の厚みを測定したところ、0.6μmであった。
また、導電性粒子の形状係数SF1、形状係数SF2及び凹凸比を、前記異形基材粒子の形状係数と同様にして測定した結果、形状係数SF1は、109であり、形状係数SF2は、144であり、凹凸比は、0.25であった。
(実施例2)
−導電性粒子の作製−
実施例1における絶縁性樹脂粒子の作製において、主粒子としてのメタクリル化合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「YS40」;日本触媒社製)を、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「エポスターGP40」;日本触媒社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、異形基材粒子を作製し、この表面に無電解ニッケルメッキ、更に最表面に金メッキを行うことにより、導電層を形成し、導電性粒子を作製した。
ここで、前記異形基材粒子について、体積平均粒径、形状係数SF1、形状係数SF2、及び凹凸比を、実施例1と同様にして測定したところ、体積平均粒径は、4.2μmであり、形状係数SF1は、109であり、形状係数SF2は、145であり、凹凸比(T1/D1)は、0.25であった。
また、前記導電層の厚みを、実施例1と同様にして測定したところ、0.6μmであった。
以上により得られた導電性粒子の形状係数SF1は、109であり、形状係数SF2は、144であり、凹凸比は、0.25であった。
(実施例3)
−導電性粒子の作製−
実施例1における絶縁性樹脂粒子の作製を、下記方法により行った以外は、実施例1と同様にして、異形基材粒子を作製し、この表面に無電解ニッケルメッキ、更に最表面に金メッキを行うことにより、導電層を形成し、導電性粒子を作製した。
−−絶縁性樹脂粒子の作製−−
主粒子となる、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「エポスターGP40」;日本触媒社製)1質量部に、微粒子である、ポリメチルメタクリレート架橋物の単分散の体積平均粒径1μmの真球粒子(「MX100」;綜研化学社製)0.1質量部と、分散液(造式CH=CRCOO(CH)n−NHR)30質量部とを添加し、超音波により混合して、主粒子に微粒子を付着させた後、100℃に加熱して融着させ、一般的な湿式外添方式により、前記絶縁性樹脂粒子としての異形基材粒子を作製した。
得られた異形基材粒子について、体積平均粒径、形状係数SF1、形状係数SF2、及び凹凸比を、実施例1と同様にして測定したところ、体積平均粒径は、4.4μmであり、形状係数SF1は、138であり、形状係数SF2は、508であり、凹凸比(T1/D1)は、0.45であった。
また、前記導電層の厚みを、実施例1と同様にして測定したところ、0.6μmであった。
以上により得られた導電性粒子の形状係数SF1は、138であり、形状係数SF2は、508であり、凹凸比は0.45であった。
(実施例4)
実施例3において、ポリメチルメタクリレート架橋物の単分散の体積平均粒径1μmの真球粒子(「MX100」;綜研化学社製)の添加量を、0.1質量部から0.01質量部に変えた以外は、実施例3と同様にして、異形基材粒子を作製し、この表面に無電解ニッケルメッキ、更に最表面に金メッキを行うことにより、導電層を形成し、導電性粒子を作製した。
ここで、得られた異形基材粒子について、体積平均粒径、形状係数SF1、形状係数SF2及び凹凸比を、実施例1と同様にして測定したところ、体積平均粒径は、4.0μmであり、形状係数SF1は、101であり、形状係数SF2は、105であり、凹凸比(T1/D1)は、0.25であった。
また、前記導電層の厚みを、実施例1と同様にして測定したところ、0.6μmであった。
以上により得られた導電性粒子の形状係数SF1は、101であり、形状係数SF2は、105であり、凹凸比は、0.25であった。
(比較例1)
−導電性粒子の作製−
メタクリル化合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「YS40」;日本触媒社製)の表面に、実施例1と同様にして、無電解ニッケルメッキを行った後、更に最表面に金メッキを行うことにより導電層を形成し、導電性粒子を作製した。
ここで、前記真球粒子について、形状係数SF1、形状係数SF2及び凹凸比を、実施例1と同様にして測定したところ、形状係数SF1は、100であり、形状係数SF2は、100であり、凹凸比(T1/D1)は、0であった。
以上により得られた導電性粒子の形状係数SF1及びSF2は、いずれも100であり、凹凸比は0であった。
(比較例2)
−導電性粒子の作製−
ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「エポスターGP40」;日本触媒社製)の表面に、特開2003−234020号公報における実施例に記載の方法に基づいて、金属突起を形成し、導電性粒子を作製した。
ここで、前記真球粒子について、形状係数SF1、形状係数SF2及び凹凸比を、実施例1と同様にして測定したところ、形状係数SF1は、100であり、形状係数SF2は、100であり、凹凸比(T1/D1)は、0であった。
−−金属突起の形成−−
ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の単分散の体積平均粒径4μmからなる真球粒子(「エポスターGP40」;日本触媒社製)に、アルカリ脱脂、酸中和、SnCl2溶液におけるセンシタイジング、PdCl2溶液におけるアクチベイチングからなる無電解メッキ前処理工程を行った。なお、前記センシタイジングとは、絶縁物質の表面にSn2+イオンを吸着させる工程であり、アクチベイチングとは、Sn2++Pd2+→Sn4++Pd0なる反応を絶縁物質表面に起こしてPdを無電解メッキの触媒核とする工程である。
次いで、無電解メッキ前処理工程を施した真球粒子を、所定の方法にしたがって建浴、加温された無電解メッキ浴に浸漬して無電解メッキを行った。無電解メッキ浴としては、無電解ニッケル浴を用い、ニッケルメッキを行った。その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施した。
以上により、表面に金属突起を有する真球状絶縁性樹脂粒子からなる導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の形状係数SF1は、112であり、形状係数SF2は、148であり、凹凸比(T1/D1)は、0.25であった。
〔連結粒子(凝集粒子)の測定〕
得られた実施例1〜4及び比較例1〜2の導電性粒子について、粒度分布計(「シースフロー電気抵抗式粒度分布計SD2000」;シスメックス社製)を用い、オリフィス系;50μm、分散液;メタノールの条件で、連結粒子(凝集粒子)の比率を測定した。結果を表1に示す。
なお、測定粒子数は、約10,000pcsであり、粒度分布が、4.6〜10.0μmの範囲にあるものを、凝集粒子とした。
表1の結果より、表面に凹凸を有する絶縁性樹脂粒子の該凹凸に沿って導電層を形成させて得られた実施例1〜4の導電性粒子に比して、真球状の絶縁性樹脂粒子の表面に、金属突起を形成させて得られた比較例2の導電性粒子は、凝集粒子の比率が高く、粒子間の凝集が発生し易いことが判った。
(実施例5〜8)
−異方性導電材料の作製−
熱硬化性バインダーとして、マイクロカプセル型アミン系硬化剤(「ノバキュアHX3941HP」;旭化成ケイミカルズ社製)50質量部、液状エポキシ樹脂(「EP828」;ジャパンエポキシレジン社製)14質量部、フェノキシ樹脂(「YP50」;東都化成社製)35質量部、及びシランカップリング剤(「KBE403」;信越化学工業社製)1質量部を混合し、これに実施例1〜4で得られた導電性粒子を、それぞれ体積比率が10%となるように分散させて、それぞれ厚み20μmのシート状の異方性導電材料を作製した。
(比較例3〜4)
−異方性導電材料の作製−
実施例5において、実施例1で得られた導電性粒子を、比較例1〜2で得られた導電性粒子にそれぞれ代えた以外は、実施例5と同様にして、シート状の異方性導電材料を作製した。
<実装体の製造実験1>
実施例5〜8及び比較例3〜4で得られた異方性導電材料を用いて、下記方法により実装体A1〜D1及びE1〜F1を、それぞれ製造した。
評価基材として、評価用COF(50μmP(Line/Space=1/1、Top幅20μm)、Cu8μm厚−Snメッキ、38μm厚−S’perflex基材)と、評価用アルミコーティングガラス(アルミメッキ厚500nm(5,000オングストローム)、ガラス厚0.7mm)とを用意し、これらの接続を行った。なお、評価用COFにおける配線は、その表面に酸化膜が形成されている。
まず、前記評価用アルミコーティングガラス上に、1.5mm幅にスリットされた、シート状の異方性導電材料を、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(登録商標)を用いて、仮圧着条件80℃、1MPa、及び2秒間にて、仮貼りした。次いで、前記評価用COFを、同圧着機を用いて、仮固定条件80℃、0.5MPa、及び0.5秒間にて、仮固定した。最後に、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(登録商標)を用いて、圧着条件190℃、3MPa、及び10秒間にて、本圧着を行い、実装体を得た。
〔接続抵抗値の測定〕
得られた実装体A1〜D1及びE1〜F1について、4端子法を用いて電流1mAを流したときの接続抵抗を、200ポイント測定し、その最大値、最小値及び平均値を算出した。なお、測定は、接続初期と、85℃、85%の高温高湿下にて、1,000時間経過後に行った。結果を表2に示す。
表2の結果より、表面に凹凸を有する絶縁性樹脂粒子の該凹凸に沿って導電層を形成させて得られた実施例1〜4の導電性粒子を用いると、真球状の絶縁性樹脂粒子の表面に、ニッケル突起を形成させて得られた従来の導電性粒子(比較例2)を用いる場合と同様、酸化膜が形成された配線に対しても、初期の接続抵抗が低いことが判った。
一方、比較例1の導電性粒子は、真球状であり、表面に突起を有しないので、酸化膜を突き破ることができず、初期の接続抵抗が高くなることが判った。
また、実施例1〜4の導電性粒子を用いると、85℃/85%/1,000時間経過後における抵抗上昇も低く抑えられており、高温多湿条件下でも経時的に安定して優れた導通信頼性が得られることが判った。
<実装体の製造実験2>
導電性粒子の捕捉数が少ない接続体を、下記方法により製造した。
まず、実施例5〜7及び比較例3〜4の異方性導電材料の作製において、それぞれ実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた導電性粒子の添加量(体積比率)を、極端に減らすことにより、接続の際に端子上に捕捉された粒子の数(粒子捕捉数)が、1〜10個となるように調整した異方性導電材料を作製した。
そして、評価基材として、評価用COF(50μmP(Line/Space=1/1、Top幅20μm)、Cu8μm厚−Snメッキ、38μm厚−S’perflex基材)と、評価用ITOベタガラス(10Ω/□、0.7mm厚)とを用意し、これらの接続を行った。
なお、前記実装体の製造実験1において、本圧着時の圧着機ツール幅を、1.5mmから1.0mmに変えた以外は、前記実装体の製造実験1と同様にして、それぞれ実装体A2〜C2及びE2〜F2を製造した。
〔接続抵抗上昇率の測定〕
得られた実装体A2〜C2(本発明)及びE2〜F2(比較例)について、端子上の粒子捕捉数が、1〜10個のときの、85℃/85%/1,000hr経過後の抵抗上昇値を測定した。結果を、図5に示す。
図5より、本発明の前記導電性粒子を用いた実装体A2〜C2では、前記導電性粒子表面に形成された凸部の内部が、前記絶縁性樹脂で形成されており、弾性を有するので、電極部との接触面積が増大し、粒子1個あたりの電気的特性が向上する。このため、従来、粒子捕捉数5個以上で安定した接続抵抗が得られていたが、本発明の前記導電性粒子を用いると、粒子捕捉数3個で安定した接続抵抗が得られることが判った。
また、前記凸部自体が、前記絶縁性樹脂からなる弾性体であるため、環境試験後の抵抗上昇も低く抑えることができ、従来の導電性粒子を用いた実装体E2〜F2に比して、経時的に安定して優れた導通信頼性が得られることが判った。
本発明の導電性粒子は、配線、電極などの各種導電部材の接続に好適に使用することができ、電子部品などと基板との接合に用いる異方性導電材料に好適に使用することができ、特に本発明の異方性導電材料に好適に使用することができる。
本発明の異方性導電材料は、各種電子部品などと基板、基板同士などの接合に好適に使用することができ、例えば、ICタグ、ICカード、メモリーカード、フラットパネルディスプレイなどの製造に好適に使用することができる。
図1Aは、粒子の形状係数SF1を説明するための概略図である。 図1Bは、粒子の形状係数SF2を説明するための概略図である。 図2Aは、粒子の凹凸比を説明するための概略図(その1)である。 図2Bは、粒子の凹凸比を説明するための概略図(その2)である。 図2Cは、粒子の凹凸比を説明するための概略図(その3)である。 図2Dは、粒子の凹凸比を説明するための概略図(その4)である。 図3Aは、本発明の導電性粒子を用いた導電部材の接続の一例を示す概略説明図である。 図3Bは、従来の導電性粒子を用いた導電部材の接続の一例を示す概略説明図である。 図4は、実施例1で作製した絶縁性樹脂粒子のSEM写真である。 図5は、導電性粒子の捕捉数が少ない接続体における、粒子捕捉数と高温高湿下での抵抗上昇値との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 導電性粒子(本発明)
12 絶縁性樹脂粒子
13 凸部
14 導電層
20 COF端子
22 酸化物層
30 LCDパネル
40 導電性粒子(従来発明)
42 絶縁性樹脂粒子
44 突起部

Claims (7)

  1. 絶縁性樹脂粒子上に導電層を有し、下記式(1)で表される形状係数SF1が100〜140であり、かつ下記式(2)で表される形状係数SF2が少なくとも105である導電性粒子であって、
    前記絶縁性樹脂粒子における前記形状係数SF1が100〜140であり、かつ前記形状係数SF2が少なくとも105であることを特徴とする導電性粒子。
    SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×100・・・式(1)
    SF2={(PERI)/AREA}×(1/4π)×100・・・式(2)
    ただし、前記式(1)中、MXLNGは、粒子の投影図における絶対最大長を表し、AREAは、投影面積を表す。前記式(2)中、PERIは、粒子の投影図における周長を表し、AREAは、投影面積を表す。
  2. 絶縁性樹脂粒子の体積平均粒径が、1μm〜50μmである請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 絶縁性樹脂粒子が、アクリル系樹脂及びベンゾグアナミン系樹脂から選択される少なくとも1種からなる請求項1から2のいずれかに記載の導電性粒子。
  4. 導電層が、無電解メッキにより形成されてなる請求項1から3のいずれかに記載の導電性粒子。
  5. 導電層の厚みが、10nm〜0.6μmである請求項1から4のいずれかに記載の導電性粒子。
  6. 導電層に、ニッケル、金、及び銅から選択される少なくとも1種を含む請求項1から5のいずれかに記載の導電性粒子。
  7. 絶縁性樹脂組成物中に、請求項1から6のいずれかに記載の導電性粒子を含有することを特徴とする異方性導電材料。
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