JP5009017B2 - 位相分布制御装置 - Google Patents
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Description
分割主鏡を用いた天体望遠鏡では、分割主鏡で反射された反射波の波面が所望の位相分布になるように、1つ1つのセグメント鏡の角度および位置を高精度に制御する必要があり、その許容誤差は、波長の数分の1以下となる。
セグメント鏡の角度および位置を制御するために、一般的な位相分布制御装置は、分割主鏡で反射された反射波の位相分布(波面)を演算する信号処理装置(信号処理手段)と、この位相分布が所望の位相分布になるように、セグメント鏡に対する制御指令値を演算する空間光変調制御装置(空間光変調制御手段)とを備えている。
Phase diversity方式は、集光光学系(集光手段)で集光された光波を撮像カメラ(撮像手段)で撮像してその強度分布を計測し、強度分布に対して位相回復法等の繰り返し演算を実行することにより、集光前の光波の位相分布を演算するものである。この方法は、干渉計等を用いた他の方法と比較して、光学系が簡単に構成されるという特徴がある。
ここで、静的な制御の場合には、集光光学系と撮像手段との間隔を変化させて撮像を2回以上実行することにより、インフォーカス像およびアウトフォーカス像を撮像することができる。
しかしながら、動的な制御の場合には、時系列に複数の画像を撮像する時間と、機械的駆動のための時間とにより、制御帯域を広く取ることができず、制御を高速化することができないという問題点があった。
これらの方法によれば、撮像カメラのフレームレートで位相分布が演算されるので、撮像カメラのフレームレートに同期して、高い制御速度で位相分布が制御される。
そのため、装置の構成が複雑になるとともに、コストが高くなるという問題点があった。
しかしながら、集光光学系のバックフォーカスが短い場合には、ビームスプリッタの寸法が制限されてフォーカスずれ量を十分に大きくすることができない。
そのため、位相分布の演算精度が低下するという問題点があった。
そのため、安価、かつ簡素な構成で光波の位相分布を高精度に演算し、光波の位相分布を高速度に制御することができる。
図1は、この発明の実施の形態1に係る位相分布制御装置100を示す構成図である。図1は、外部から入射するレーザビーム(光波)の空間位相分布を、SLM3(後述する)によって変調する構成を示している。
SLM3は、第1スプリッタ1で反射され、かつ第2スプリッタ2を透過したレーザビームの位相を変調して反射する。
第3スプリッタ5は、集光レンズ4で集光されたレーザビームを、反射による反射光波と透過による透過光波とに振幅分割する。平面ミラー6、7は、それぞれ第3スプリッタ5を透過した透過光波を反射して屈曲する。
ここで、第1収束光8と第2収束光9とは、それぞれ異なる経路を伝搬するので、第1収束光8と第2収束光9との間に任意の光路長差を持たせることができる。
このとき、第1収束光8と第2収束光9との間には光路長差が存在するので、第1収束光8と第2収束光9とは、互いにフォーカスずれ量が異なっている。
また、CCDカメラ20は、撮像したインフォーカス像およびアウトフォーカス像を光電変換し、レーザビームの空間強度分布を示す画像信号として出力する。
なお、信号処理装置21は、CCDカメラ20から出力される画像信号を入力するための画像入力装置を含んでいる。
レーザビームの所定の空間位相分布は、SLM制御装置22のメモリにあらかじめ記憶されている。
また、第3スプリッタ5および平面ミラー6、7は、第1収束光8と第2収束光9とが、互いに略平行になり、かつそれぞれ受光面11の異なる箇所に入射するように配置されている。
まず、外部(図1の左側)から第1スプリッタ1に入射したレーザビームは、第1スプリッタ1で反射される。また、第1スプリッタ1で反射されたレーザビームは、第2スプリッタ2を透過する。
続いて、第2スプリッタ2を透過したレーザビームは、SLM3で位相変調されて反射される。
また、SLM3で反射されたレーザビームの残りは、第2スプリッタ2で反射される。
続いて、第2スプリッタ2で反射されたレーザビームは、集光レンズ4で集光される。
集光レンズ4で集光されたレーザビームは、第3スプリッタ5で反射光波と透過光波とに振幅分割される。
また、第3スプリッタ5で反射された反射光波は、収束して第1収束光8となり、第3スプリッタ5を再び透過した透過光波は、収束して第2収束光9となる。
第1収束光8と第2収束光9とは、それぞれCCDカメラ20に入射される。
なお、図2では、簡単のためにレーザビームの光束を主光線で代表し、矢印で表すものとする。
このとき、CCDカメラ20は、1つの受光面11で第1収束光8および第2収束光9を撮像するので、間隔Gapは、受光面11の幅よりも狭く設定される必要がある。
第3スプリッタ5を透過する透過光波の第3スプリッタ5内の光路長をL1、透過光波が第3スプリッタ5を透過してから平面ミラー6で反射されるまでの光路長をL2、透過光波が平面ミラー6で反射されてから平面ミラー7で反射されるまでの光路長をL3とすると、間隔Gapは、次式(1)で表される。
また、第1収束光8と第2収束光9との間の光路長差Ldは、次式(5)で表される。
また、1台のCCDカメラ20で第1収束光8および第2収束光9を撮像することができるので、複数台の撮像カメラを使用する方法と比較して、低コスト化を実現することができる。
また、市販の安価なビームスプリッタおよび平面ミラーを用いて第3スプリッタ5および平面ミラー6、7を構成することができるので、低コスト化を実現することができる。
図3は、この発明の実施の形態2に係る位相分布制御装置100Aを示す構成図である。
なお、前述の実施の形態1と同様の構成については、説明を省略する。
図3において、位相分布制御装置100Aは、図1に示した第3スプリッタ5および平面ミラー6、7に代えて、プリズム体10(分岐手段、屈曲手段)を備えている。
図4において、プリズム体10は、台形プリズム31(多角プリズム)と直角プリズム32とを接着剤で貼り合わせて一体的に構成されており、全体でペンタプリズムを構成している。なお、台形プリズム31と直角プリズム32とは、貼り合わせ面S2で互いに貼り合わされている。
また、貼り合わせ面S2は、集光レンズ4で集光されたレーザビームを、反射による反射光波と、透過による透過光波とに振幅分割するビームスプリッタとして機能する。
なお、図4では、集光レンズ4から入射したレーザビームが、プリズム体10において分岐され、間隔Gapを持って平行に射出される様子を主光線のみで代表し、矢印で表すものとする。
まず、集光レンズ4で集光されたレーザビームは、直角プリズム32において直角を挟む一方の面S1から入射する。
続いて、面S1から入射したレーザビームは、貼り合わせ面S2で反射光波と透過光波とに振幅分割される。
続いて、貼り合わせ面S2を透過した透過光波は、台形プリズム31において貼り合わせ面S2を除く2つの面S3、S4で反射されて屈曲される。
また、面S3、S4で反射された透過光波は、貼り合わせ面S2を再び透過して、続いて面S5を透過し、収束して第2収束光9となる。
この場合も、前述の実施の形態1で説明したように、第1収束光8と第2収束光9との間の光路長差Ldと、間隔Gapとをそれぞれ独立して任意の値に設定することができる。
また、1台のCCDカメラ20で第1収束光8および第2収束光9を撮像することができるので、複数台の撮像カメラを使用する方法と比較して、低コスト化を実現することができる。
多角プリズムは、図5に示すように、ペンタプリズム33であってもよい。
この場合も、上記実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
上記実施の形態1および2では言及しなかったが、集光レンズ4の焦点距離が長くなるほど、遠視野像のサイズが大きくなり、撮像空間分解能が向上する。そこで、集光レンズ4の焦点距離を長くすることにより、空間位相分布の検出空間分解能を向上させて、空間位相分布の演算精度を向上させることができる。
そこで、複数のレンズを組み合わせて用いることにより、長い焦点距離を短い光学系で実現することを考える。
なお、前述の実施の形態1と同様の構成については、説明を省略する。
図6において、位相分布制御装置100Bは、図1に示した集光レンズ4に代えて、凸レンズ4a(集光手段、正レンズ)、平面ミラー4b、凹レンズ4c(集光手段、負レンズ)、および凸レンズ4d(集光手段、正レンズ)を備えている。
また、平面ミラー6、7は、それぞれ調節ネジ30(設置位置可変手段)によって固定されている。
図7に示した設計数値例の場合、合成焦点距離は1500mmとなり、また前側焦点と後側焦点との間隔は340mmとなる。
したがって、このときSLM3は、前側焦点位置に配置される。
すなわち、凸レンズ4a、凹レンズ4cおよび凸レンズ4dからなる3群レンズを用いることにより、1群レンズを用いた場合と比較して、前側焦点と後側焦点との間隔を大幅に短縮することができる。
また、調節ネジ30を締め込むことによって、平面ミラー6、7を任意の位置で固定することができる。
また、1台のCCDカメラ20で第1収束光8および第2収束光9を撮像することができるので、複数台の撮像カメラを使用する方法と比較して、低コスト化を実現することができる。
また、市販の安価なビームスプリッタおよび平面ミラーを用いて第3スプリッタ5および平面ミラー6、7を構成することができるので、低コスト化を実現することができる。
そのため、装置の安定性を向上させるとともに、低コスト化を実現することができる。
そのため、演算処理速度を高速化して、制御をさらに高速化することができる。
Claims (5)
- 光波の位相を変調する空間光変調手段と、
前記空間光変調手段で位相変調された光波を集光する集光手段と、
前記集光手段で集光された光波を、反射による反射光波と透過による透過光波とに分割する分岐手段と、
前記透過光波を複数回反射して屈曲する屈曲手段と、
前記反射光波、および前記屈曲手段で屈曲された透過光波を受光面で受光して強度分布を計測し、前記強度分布を画像信号として出力する撮像手段と、
前記画像信号に基づいて、前記空間光変調手段で位相変調された光波の位相分布を演算し、位相分布信号を出力する信号処理手段と、
前記位相分布信号に基づいて、前記空間光変調手段で位相変調された光波の位相分布が所定の位相分布になるように、前記空間光変調手段を制御するための制御信号を出力する空間光変調制御手段と、を備え、
前記分岐手段および前記屈曲手段は、前記反射光波と前記屈曲手段で屈曲された透過光波とが、互いに略平行になり、かつそれぞれ前記受光面の異なる箇所に入射するように配置されていることを特徴とする位相分布制御装置。 - 前記分岐手段は、プレート型のビームスプリッタを含み、前記屈曲手段は、2枚の平面鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載の位相分布制御装置。
- 前記屈曲手段は、前記透過光波に対する角度を維持したまま、前記2枚の平面鏡をそれぞれ平行移動する設置位置可変手段をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の位相分布制御装置。
- 前記分岐手段と前記屈曲手段とは、直角プリズムと多角プリズムとを互いに貼り合せたプリズム体として一体的に構成され、
前記プリズム体は、
前記集光手段で集光された光波が、前記直角プリズムにおいて直角を挟む一方の面から入射して、続いて前記直角プリズムと前記多角プリズムとの貼り合わせ面で前記反射光波と前記透過光波とに分割されるとともに、
前記反射光波が、前記直角プリズムにおいて直角を挟む他方の面を透過し、
また、前記透過光波が、前記多角プリズムにおいて前記貼り合わせ面を除く2つの面で反射されて前記貼り合わせ面を再び透過し、続いて前記他方の面を透過するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相分布制御装置。 - 前記集光手段は、3枚の屈折レンズで構成されたフーリエ変換レンズであり、前記3枚の屈折レンズは、入射側から正レンズ、負レンズ、正レンズであることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の位相分布制御装置。
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