JP5008596B2 - サンプリングレート変換装置およびその変換方法 - Google Patents
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Description
オーディオ分野やグラフィック分野ではサンプリング信号間を補間する技術が種々研究されて提案されている。かかる補間技術としてFIF(Fractal Interpolation Functions)がある。FIFは補間区間に該補間区間のM倍の長さの信号波形を写像して補間する技術である。以下において、本発明のレート変換処理を行う基礎となるこのFIFについて説明する。
図7に示すように一次元離散信号S={(un,vn):n=0,1,・・・,N}が与えられた際のFIF処理手順を以下に示す。但し、信号Sは次式を満足する1価関数で表わされる信号である。
u0<u1<・・・<un (1)
まず、信号Sから(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=1,2,・・・,M}を選択する(図7中の黒丸点)。ただし、信号Sの両端点は次式に示すように、代表点として無条件に選択するものとする。
ところで、式(3)において、5つの未知パラメータai,ci,di,ei,fi(以降、写像パラメータと呼ぶ)が存在する。式(3)を実際の信号に適用するには、これらの5つの未知パラメータai,ci,di,ei,fiを求めなければならない。そこで次式に示す制約条件を設ける。
先に述べたように、FIFを適用することで、与えられた信号Sは各補間区間に写される。このとき、縮小写像wiによる信号Sの縮小像wi(s)=[(pn,qn):n=0,1,…,N]は(図9参照)、次式に示すように表わすことができる。図9において大きな白丸は信号S上のデータポイント、小さな黒丸は縮小写像wi(s)上のN個のポイントである。
具体的な処理を以下に示す。
次に、拡大信号の代表点決定部103において信号Sに関する代表点P={(xi,yi):i=1,2,・・・,M}をu軸、v軸方向にk倍することで、拡大信号Skに関する代表点
本発明の別の目的は、オーディオ用DSPがリアルタイム処理により、サンプリングレートをアップできるようにすることである。
本発明のサンプリングレート変換方法は、所定数のサンプリングデータよりなるオーディオ信号部分を複数の補間区間に分割する第1ステップ、前記サンプリングレートのアップ度合に応じた数の写像ポイントを前記オーディオ信号部分上に決定する第2ステップ、前記補間区間のそれぞれにおいて、前記写像ポイントにFIF写像を施すための写像パラメータを計算する第3ステップ、全補間区間において、各補間区間に応じた前記写像パラメータを用いて前記写像ポイントにFIF写像を施して新たなサンプリングデータを発生する第4ステップを備えている。
本発明のサンプリングレート変換方法は、更に入力するオーディオ信号を所定長のサンプリングデータよりなる前記オーディオ信号部分に分割するステップ、を備え、各オーディオ信号部分を処理単位として前記第1〜第4ステップにおけるサンプリングレートをアップする処理を実行する。
本発明のサンプリンレート変換方法は、前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数であれば、前記第1ステップは各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、前記第2ステップは前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分して(k−1)個の前記写像ポイントを決定する。
本発明のサンプリングレート変換方法は、前記第2ステップにおいて前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分あるいはk1等分するとき、等分できない場合には、丸め処理により前記写像ポイントを決定する。
本発明のサンプリングレート変換方法は、前記第3ステップにおいて、前記オーディオ信号部分の両端の位置とそのサンプリングデータ、および各補間区間における両端の位置とそのサンプリングデータを用いて各補間区間の写像パラメータを計算する際、前記オーディオ信号部分の両端の位置差を1に正規化して写像パラメータを計算する。
本発明のサンプリングレート変換装置は、所定数のサンプリングデータよりなるオーディオ信号部分を複数の補間区間に分割する補間区間決定部と、前記サンプリングレートのアップ度合に応じた数の写像ポイントを前記オーディオ信号部分上に決定する写像ポイント決定部と、前記補間区間のそれぞれにおいて、前記写像ポイントにFIF写像を施すための写像パラメータを計算するパラメータ決定部と、全補間区間において、各補間区間に応じた前記写像パラメータを用いて前記写像ポイントにFIF写像を施して新たなサンプリングデータを発生する補間データ生成部と、を備えている。
本発明のサンプリングレート変換装置は、更に、前記オーディオ信号部分を複数の前記補間区間に分割する各分割点のサンプルデータを保存する補間区間保存部と、前記分割点のサンプルデータ間に前記発生した新たなサンプリングデータを挿入する補間部と、を備えている。
本発明のサンプリングレート変換装置において、前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数であれば、前記補間区間決定部は各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、前記写像ポイント決定部は前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分して(k−1)個の前記写像ポイントを決定する。
本発明のサンプリングレート変換装置において、前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数でなく、分数k1/k0(但し、k1>k0)であれば、前記補間区間決定部はオーディオ信号を1/k0にダウンサンプリングして得られる各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、前記写像ポイント決定部は前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk1等分して(k1−1)個の前記写像ポイントを決定する。
本発明のサンプリングレート変換装置において、前記パラメータ決定部は前記オーディオ信号部分の両端の位置とそのサンプリングデータ、および各補間区間における両端の位置とそのサンプリングデータを用いて各補間区間の写像パラメータを計算する際、前記オーディオ信号部分の両端の位置差を1に正規化して写像パラメータを計算する。
本発明によれば、前記オーディオ信号部分を複数の前記補間区間に分割する各分割点のサンプルデータを保存し、前記分割点のサンプルデータ間に前記発生した新たなサンプリングデータを挿入するようにしたから、簡単な処理でサンプリング速度をアップしたデータ列を出力することができる。
本発明によれば、サンプリングレートをk倍する場合、kが整数であれば、各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、又、オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分して(k−1)個の前記写像ポイントを決定し、各補間区間において(k−1)個の写像ポイントをFIF写像するようにしたから、簡単な処理でサンプリング速度がk倍のデータ列を出力することができる。
本発明によれば、オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分あるいはk1等分できない場合には、丸め処理により前記写像ポイントを決定するようにしたから、正確に等分できない場合にも処理を進めることができ、しかも、略均一にサンプリングデータを補間することができる。
図1、図2、図3は本発明の概略図であり、図1は信号のサンプリングレートを2倍にアップレートする例、図2は信号のサンプリングレートを3倍にアップレートする例、図3は信号のサンプリングレートを1.5(=3/2)倍にアップレートする例である。1は入力されたオーディオデータを所定長に分割した原信号、2、21、22は縮小写像ポイント、3、31、32はFIFを用いて写像した補間データ、4はダウンサンプリングを行った信号、5はアップレートした信号を示している。
図4は本発明の第1実施例のサンプリングレート変換装置の構成図である。
分割部41は入力された離散的なディジタルオーディオ信号を所定長((N+1)個のサンプリングデータを持つ)のオーディオ信号部分に分割する。
サンプリングレート設定部42は、サンプリングレートを変換するためのサンプリングレート倍率値を設定する。ここで、サンプリングレート設定部42でk(=k1/k0)倍に設定されたとする。
離散的なディジタルオーディオ信号が入力されると、分割部41は入力された離散的なディジタルオーディオ信号を所定長((N+1)個のサンプリングデータを持つ)のオーディオ信号部分に分割する。
そして、補間区間決定部43はサンプリングレート設定部42で設定された倍率値kに基づき代表点を決定し、補間区間を決定し、代表点を補間区間保存部46に保存する。
次に、各補間区間の縮小写像パラメータ決定部45は、補間区間決定部43において決定した各補間区間における縮小写像パラメータを決定する。
そして、補間データ生成部47は、縮小写像ポイント決定部44において決定した縮小写像ポイントを、各補間区間の縮小写像パラメータを用いて、各補間区間に写像して各補間区間の補間データを生成する。
最後に、補間部48は補間区間保存部46に保存しているサンプリングデータと、補間データ生成部47において作成された各補間区間の補間データを用いて、k倍にアップレートしたサンプリングデータを作成する。
マイコン等の制御部を有する装置を用いてサンプリングレートを変換する場合の第2実施例の処理について説明する。
図5は本発明を実現する第2実施例のサンプリングレート変換装置の構成図、図6は本発明のサンプリングレート変換の処理フロー図である。図5において、51はサンプリングレート倍率値を設定するサンプリング設定部、52は本発明のサンプリングレート変換処理を行うマイコンあるいはDSP構成のサンプリングレート変換部である。以下、図6の処理フローに沿って説明を行う。尚、サンプリングレート設定部51において、サンプリングレートを変換するためのサンプリングレート倍率値としてk(=k1/k0)が設定されているものとする。
次に、サンプリングレート変換部52は、サンプリングレート設定部51において設定されているサンプリングレート倍率値k(=k1/k0)を取得し(ステップS603)、該取得したサンプリングレート倍率値k(=k1/k0)の分母k0が1であるかの判断を行う(ステップS604)。
ついで、サンプリングレート変換部52は、K=k1に設定し(ステップS606)、ステップS609に進む。ただし、(K−1)は縮小写像ポイントの数である。
そして、サンプリングレート変換部52は、K=kに設定し(ステップ608)、ステップS609に進む。すなわち、サンプリングレート倍率値k(=k1/k0)の分母k0が1でない場合にはステップS605、S606の処理を行い、k0=1で、kが整数の場合にはステップS607、S608の処理を行い、しかる後、サンプリング変換部52は各補間区間を特定する代表点を保存する(ステップS609)。
そして、サンプリングレート変換部52は、各補間区間における縮小写像パラメータai,ci,di,ei,fi(i=1〜N)を式(6)〜(9)、(16)に基づいて決定し、該縮小写像パラメータを保存する(ステップS612)。尚、縮小写像パラメータを決定する際、オーディオ信号部分の長さを所定値(例えば1)に正規化して、式(19)〜(25)を利用して縮小写像パラメータを決定してもよい。
以上により、例えばk=k1/k0=3/2であれば、1/2倍にダウンサンプリングした後、3倍のアップサンプリングを行なって、トータル的に3/2倍のアップサンプリングを行なうことができる。また、k=k1/k0=3/1であれば、ダウンサンプリングすることなく、3倍のアップサンプリングを行なって、トータル的に3倍のアップサンプリングを行なうことができる。また、k=k1/k0=2/2であれば、1/2倍にダウンサンプリングした後、2倍のアップサンプリングを行なって高域を補完することができる。すなわち、一度ダウンサンプリングしてアップサンプリングを行なうことにより圧縮オーディオで失われた高域を補完することができる。
2、21、22 代表点
3、31、32 補間データ
4 ダウンサンプリングを行った信号
5 アップレートした信号
IT1〜IT6 補間区間
41 分割部
42 サンプリングレート設定部
43 補間区間決定部
44 縮小写像ポイント決定部
45 縮小写像パラメータ決定部
46 補間区間保存部
47 補間データ生成部
48 補間部
51 サンプリングレート設定部
52 サンプリングレート変換部
Claims (14)
- 所定のレートでサンプリングされた離散的なオーディオ信号のサンプリングレートをフラクタル補間機能(FIF)を用いた写像によりアップするサンプリングレート変換方法において、
所定数のサンプリングデータよりなるオーディオ信号部分を複数の補間区間に分割する第1ステップ、
前記サンプリングレートのアップ度合に応じた数の写像ポイントを前記オーディオ信号部分上に決定する第2ステップ、
前記補間区間のそれぞれにおいて、前記写像ポイントにFIF写像を施すための写像パラメータを計算する第3ステップ、
全補間区間において、各補間区間に応じた前記写像パラメータを用いて前記写像ポイントにFIF写像を施して新たなサンプリングデータを発生する第4ステップ、
を備えたことを特徴とするサンプリングレート変換方法。 - 前記オーディオ信号部分を複数の前記補間区間に分割する各分割点のサンプルデータを保存するステップ、
前記分割点のサンプルデータ間に前記発生した新たなサンプリングデータを挿入するステップ、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のサンプリングレート変換方法。 - 入力するオーディオ信号を所定長のサンプリングデータよりなる前記オーディオ信号部分に分割するステップ、
を備え、各オーディオ信号部分を処理単位として前記サンプリングレートをアップする処理を実行することを特徴とする請求項1又は2記載のサンプリングレート変換方法。 - 前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数であれば、前記第1ステップは各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、
前記第2ステップは前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分して(k−1)個の前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のサンプリングレート変換方法。 - 前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数でなく、分数k1/k0(但し、k1>k0)であれば、前記第1ステップはオーディオ信号を1/k0にダウンサンプリングして得られる各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、
前記第2ステップは前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk1等分して(k1−1)個の前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のサンプリングレート変換方法。 - 前記第2ステップにおいて前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分あるいはk1等分するとき、等分できない場合には、丸め処理により前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項4又は5記載のサンプリングレート変換方法。 - 前記第3ステップにおいて、前記オーディオ信号部分の両端の位置とそのサンプリングデータ、および各補間区間における両端の位置とそのサンプリングデータを用いて各補間区間の写像パラメータを計算する際、前記オーディオ信号部分の両端の位置差を1に正規化して写像パラメータを計算する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のサンプリングレート変換方法。 - 所定のレートでサンプリングされた離散的なオーディオ信号のサンプリングレートをフラクタル補間機能(FIF)を用いた写像によりアップするサンプリングレート変換装置において、
所定数のサンプリングデータよりなるオーディオ信号部分を複数の補間区間に分割する補間区間決定部と、
前記サンプリングレートのアップ度合に応じた数の写像ポイントを前記オーディオ信号部分上に決定する写像ポイント決定部と、
前記補間区間のそれぞれにおいて、前記写像ポイントにFIF写像を施すための写像パラメータを計算するパラメータ決定部と、
全補間区間において、各補間区間に応じた前記写像パラメータを用いて前記写像ポイントにFIF写像を施して新たなサンプリングデータを発生する補間データ生成部と、
を備えたことを特徴とするサンプリングレート変換装置。 - 更に、前記オーディオ信号部分を複数の前記補間区間に分割する各分割点のサンプルデータを保存する補間区間保存部と、
前記分割点のサンプルデータ間に前記発生した新たなサンプリングデータを挿入する補間部と、
を備えたことを特徴とする請求項8記載のサンプリングレート変換装置。 - 更に、入力するオーディオ信号を所定長のサンプリングデータよりなる前記オーディオ信号部分に分割するデータ分割部、
を備えたことを特徴とする請求項8又は9記載のサンプリングレート変換装置。 - 前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数であれば、
前記補間区間決定部は各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、
前記写像ポイント決定部は前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分して(k−1)個の前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項8又は9記載のサンプリングレート変換装置。 - 前記サンプリングレートをk倍する場合、kが整数でなく、分数k1/k0(但し、k1>k0)であれば、
前記補間区間決定部はオーディオ信号を1/k0にダウンサンプリングして得られる各サンプリングデータ間を前記補間区間とし、
前記写像ポイント決定部は前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk1等分して(k1−1)個の前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項8又は9記載のサンプリングレート変換装置。 - 前記写像ポイント決定部は前記オーディオ信号部分のサンプリングデータをk等分あるいはk1等分するとき、等分できない場合には、丸め処理により前記写像ポイントを決定する、
ことを特徴とする請求項11又は12記載のサンプリングレート変換装置。 - 前記パラメータ決定部は前記オーディオ信号部分の両端の位置とそのサンプリングデータ、および各補間区間における両端の位置とそのサンプリングデータを用いて各補間区間の写像パラメータを計算する際、前記オーディオ信号部分の両端の位置差を1に正規化して写像パラメータを計算する、
ことを特徴とする請求項8又は9記載のサンプリングレート変換装置。
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