JP2005084370A - Fifを用いたサンプリングレート変換方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換できる「FIFを用いたサンプリングレート変換方法」を提供する。
【構成】原信号Sのサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号Skを発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法であり、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータai,ci,di,ei,fiと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する。
【選択図】 図8
【構成】原信号Sのサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号Skを発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法であり、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータai,ci,di,ei,fiと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する。
【選択図】 図8
Description
本発明はFIF (Fractal Interpolation Functions)を用いたサンプリングレート変換方法に係わり、特に、オーディオ信号など低サンプリング信号を高サンプリング信号に変換するFIFを用いたサンプリングレート変換方法に関する。
(a)FIF
オーディオ分野やグラフィック分野ではサンプリング信号間を補間する技術が種々研究されて提案されている。かかる補間技術としてFIF (Fractal Interpolation Functions)がある。FIFは補間区間に該補間区間のM倍の長さの信号波形を写像して補間する技術である。以下において、本発明のレート変換処理を行う基礎となるこのFIF(たとえば非特許文献1を参照)について説明する。
図1に示すように一次元離散信号S={(un,vn):n=0,1,…,N}が与えられた際のFIF処理手順を以下に示す。ただし、信号Sは次式を満足する1価関数で表される信号である。
u0<u1<.....<un (1)
まず、信号Sから、(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を選択する(図1中の黒丸点)。ただし、信号Sの両端点は次式に示すように、代表点として無条件に選択するものとする。
オーディオ分野やグラフィック分野ではサンプリング信号間を補間する技術が種々研究されて提案されている。かかる補間技術としてFIF (Fractal Interpolation Functions)がある。FIFは補間区間に該補間区間のM倍の長さの信号波形を写像して補間する技術である。以下において、本発明のレート変換処理を行う基礎となるこのFIF(たとえば非特許文献1を参照)について説明する。
図1に示すように一次元離散信号S={(un,vn):n=0,1,…,N}が与えられた際のFIF処理手順を以下に示す。ただし、信号Sは次式を満足する1価関数で表される信号である。
u0<u1<.....<un (1)
まず、信号Sから、(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を選択する(図1中の黒丸点)。ただし、信号Sの両端点は次式に示すように、代表点として無条件に選択するものとする。
次に、式(3)に示すアフィン写像wiを適用することで、信号SをM個の補間区間i(i=0〜M)にそれぞれ写像する。図2は信号Sを補間区間iに写像した例を示している。
上式において、wiは信号Sを補間区間iに写す縮小写像である。したがって、FIFを適用することで与えられた信号Sは、次式に示すように縮小写像wi(i=1〜M)による自身の縮小像wi(S)の和集合として表現されることがわかる。
ところで、式(3)において、5つの未知パラメータai, ci, di, ei, fi(以降、写像パラメータと呼ぶ)が存在する。式(3)を実際の信号に適用するには、これら5つの未知パラメータai, ci, di, ei, fIを求めなければならない。そこで次式に示す制約条件を設ける。
(b)写像パラメータの決定
先に述べたように、FIFを適用することで、与えられた信号Sは各補間区間に写される。このとき、縮小写像wiによる信号Sの像wi(s)={(pn,qn):n=0,1,…,N}は(図3参照)、次式に示すように表すことができる。図3において大きな白丸は信号S上ののデータポイント、小さな黒丸は縮小写像wi(s)上のN個のポイントである。
前節で述べたように、FIFを適用する際には、与えられた信号Sを高精度に近似したアトラクタGをいかに生成するかが問題となるが、この問題は、信号Sの部分集合S[xi-1,xi]と縮小像wi(S)との誤差を最小化することにより解決できる。ここで、信号S[xi-1,xi]と縮小像wi(S)との誤差をEiとすると、Eiは図3に示すように、信号S[xi-1,xi]及び縮小像wi(S)を構成するデータ点の垂直方向の距離を足し合わせることにより、次式に示すように定式化できる。
先に述べたように、FIFを適用することで、与えられた信号Sは各補間区間に写される。このとき、縮小写像wiによる信号Sの像wi(s)={(pn,qn):n=0,1,…,N}は(図3参照)、次式に示すように表すことができる。図3において大きな白丸は信号S上ののデータポイント、小さな黒丸は縮小写像wi(s)上のN個のポイントである。
M.F.Barbsley, "Fractal functions and interpolation" Constructive Approximation, vol.2, pp.303-329, 1986 D.S.Mazel and M.H. Hayes, "Using Iterated function systems to model discrete sequences," IEEE Trans. Signal Processing, vol.40, No.7, pp.1243-1249, Oct 1982.
以上述べたように、対象となる信号が全て既知のデータ点により構成されている場合、そのinverse problemは比較的容易に解くことができる。しかしながら、レート変換(アップサンプリング)後の信号は、これから補間されるべき、未知のデータ点を含むことからinverse problemを解くことは困難である。
以上から本発明の目的はレート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解き、低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換できるFIFを用いたサンプリングレート変換方法を提供することである。
以上から本発明の目的はレート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解き、低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換できるFIFを用いたサンプリングレート変換方法を提供することである。
本発明は、原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法であり、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する。すなわち、原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、前記拡大信号を発生するため写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する。
具体的には、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを用いて前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点にランダム繰り返しアルゴリズム(RIA)を適用して前記拡大信号を近似したアトラクタを生成する。この場合、ランダム繰り返しアルゴリズムにより得られた信号値を1/kして、前記アトラクタを生成する。
具体的には、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを用いて前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点にランダム繰り返しアルゴリズム(RIA)を適用して前記拡大信号を近似したアトラクタを生成する。この場合、ランダム繰り返しアルゴリズムにより得られた信号値を1/kして、前記アトラクタを生成する。
本発明によれば、レート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解いて低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換することができる。
原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法において、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、かつ、原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、前記拡大信号を発生するための写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する。以上により、本発明は、レート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解いて、すなわち、拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点と拡大信号を発生するための写像パラメータを求めて、低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換することができる。
(A)写像パラメータの決定
信号の拡大処理の前後における写像パラメータの関係を導出することにより、拡大信号の写像パラメータを特定することができる。ここで、“信号をk倍に拡大する”とは、信号のサンプリングレート及び信号値(振幅)をそれぞれk倍する処理を指す。
まず、FIFを用いた一次元離散信号のレート変換手法のアルゴリズムを説明する。なお、与えられた信号をS、Sに比べてサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを次式
で定義されるSkとする。ただし、信号Skは次式を満足するものとする。
このとき
、信号Skに関する
は、次式に示すように、信号Sに関する代表点(xi,yi)をu軸及びv軸方向にそれぞれk倍した位置に配置する。
信号の拡大処理の前後における写像パラメータの関係を導出することにより、拡大信号の写像パラメータを特定することができる。ここで、“信号をk倍に拡大する”とは、信号のサンプリングレート及び信号値(振幅)をそれぞれk倍する処理を指す。
まず、FIFを用いた一次元離散信号のレート変換手法のアルゴリズムを説明する。なお、与えられた信号をS、Sに比べてサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを次式
、信号Skに関する
そこで、次に縮小因子について考える。縮小写像w^i
による信号Skの像を
とすると
は以下のように表すことができる。
したがって、図4に示すように、補間区間iについて、信号Skとその縮小像
との誤差E^iは次式により与えられる。
による信号Skの像を
(B) FIFを用いたレート変換アルゴリズム
図6はFIFを用いたレート変換アルゴリズムの処理フローであり、離散信号Sが与えられた際、まず、FIFによりサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを推定し、さらにその信号値をI/k倍することで、レート変換後の信号を獲得するまでの処理手順を示している。
(1)与えられた信号のモデル化
まず、図7に示すように、信号SをそれぞれN個のサンプル点から成るL個の自己アフィン区間に等分割し、各々の信号を{Si:i=1,2,….,L}とする。次に、信号Siに対して周知のベクトルトレーサ法を適用することにより、(Mi+1)個の代表点Pi={(xi,yi):i=0,1,…,Mi}を選択する(ステップ1)。なお、以降では信号Si,Pi,Miを単に信号S,P,Mと表記する。
先に述べたように、信号Sは全て既知のデータ点から構成されているため、写像パラメータを決定することは容易である。そこで、式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する(ステップ2)。
なお、ベクトルトレーサ法は以下の文献に記述されている。
[文献]安居院猛、飯塚久登、中嶋正之、“ピラミッド階層構造データの位相変化情報を利用した市街地図の処理” 信学論(D),vol.40,no.7, pp.1243-1249,Oct 1982.
図6はFIFを用いたレート変換アルゴリズムの処理フローであり、離散信号Sが与えられた際、まず、FIFによりサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを推定し、さらにその信号値をI/k倍することで、レート変換後の信号を獲得するまでの処理手順を示している。
(1)与えられた信号のモデル化
まず、図7に示すように、信号SをそれぞれN個のサンプル点から成るL個の自己アフィン区間に等分割し、各々の信号を{Si:i=1,2,….,L}とする。次に、信号Siに対して周知のベクトルトレーサ法を適用することにより、(Mi+1)個の代表点Pi={(xi,yi):i=0,1,…,Mi}を選択する(ステップ1)。なお、以降では信号Si,Pi,Miを単に信号S,P,Mと表記する。
先に述べたように、信号Sは全て既知のデータ点から構成されているため、写像パラメータを決定することは容易である。そこで、式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する(ステップ2)。
なお、ベクトルトレーサ法は以下の文献に記述されている。
[文献]安居院猛、飯塚久登、中嶋正之、“ピラミッド階層構造データの位相変化情報を利用した市街地図の処理” 信学論(D),vol.40,no.7, pp.1243-1249,Oct 1982.
(2)拡大信号に関するinverse problemの解決
上記ステップ1,2の処理により、与えられた信号Sに関するinverse problemは解決された。そこで次に拡大処理後の信号Skに関するinverse problemを解決する。まず、信号Sに関する代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}をu軸、v軸方向にそれぞれk倍することで、信号Skに関する代表点
を決定する(ステップ3)。次に、拡大信号Skに関する写像パラメータ
を式(38)を用いて決定する(ステップ4)。
上記ステップ1,2の処理により、与えられた信号Sに関するinverse problemは解決された。そこで次に拡大処理後の信号Skに関するinverse problemを解決する。まず、信号Sに関する代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}をu軸、v軸方向にそれぞれk倍することで、信号Skに関する代表点
(3)拡大信号の構成
次に、フラクタル関数を生成する際に広く用いられている周知のRandom Iteration Algorithm(RIA)(後述)を適用することにより、拡大処理後の信号Skを近似したアトラクタGkを生成する(ステップ5)。ここで、(kN+1)個のサンプル点から構成されるアトラクタGkを生成するためにはRIAにおいて、(kN+1)回の反復が必要となる。これにより、次式に示すアトラクタGkが得られる。
ただし、アトラクタGkは与えられた信号に比べて、その信号がk倍されているので、次式に示すようにその信号値を1/k倍したG^k
がレート変換後の信号を近似したアトラクタとなる(ステップ6)。
次に、フラクタル関数を生成する際に広く用いられている周知のRandom Iteration Algorithm(RIA)(後述)を適用することにより、拡大処理後の信号Skを近似したアトラクタGkを生成する(ステップ5)。ここで、(kN+1)個のサンプル点から構成されるアトラクタGkを生成するためにはRIAにおいて、(kN+1)回の反復が必要となる。これにより、次式に示すアトラクタGkが得られる。
がレート変換後の信号を近似したアトラクタとなる(ステップ6)。
以上本発明のFIFを用いたレート変換手法によれば、与えられた信号に対する拡大率kが決定されれば、拡大処理後の信号に関する代表点、写像パラメータ及びRIAにおける反復回数等を一意に定めることができる。したがって、与えられた信号に対する、任意の拡大率での拡大処理を容易に実現することができる。
実際に音声信号のレート変換を行う際には、計算コストを削減するために自己アフィン区間を分割して処理を行う必要がある。
実際に音声信号のレート変換を行う際には、計算コストを削減するために自己アフィン区間を分割して処理を行う必要がある。
(C)FIFを用いたサンプリングレート変換装置
図8はFIFを用いたレート変換アルゴリズムに従ってサンプリングレートをk倍する本発明のサンプリングレート変換装置の構成図であり、代表点決定部101はステップ1に従って信号Sの(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を決定する。第1の写像パラメータ算出部102はステップ2に従って式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する。拡大信号の代表点決定部103は、ステップ3に従って拡大信号Skに関する代表点
を決定する。第2の写像パラメータ算出部104はステップ4に従って式(38)式に基づいて拡大信号に関する写像パラメータ
を決定する。アトラクタ生成部105は、周知のRandom Iteration Algorithm(RIA)を適用することにより、拡大処理後の信号Skを近似したアトラクタGkを生成する。演算部106はアトラクタGkの信号値を1/k倍してレート変換後の信号を近似したアトラクタG^k
を算出する。
図8はFIFを用いたレート変換アルゴリズムに従ってサンプリングレートをk倍する本発明のサンプリングレート変換装置の構成図であり、代表点決定部101はステップ1に従って信号Sの(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を決定する。第1の写像パラメータ算出部102はステップ2に従って式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する。拡大信号の代表点決定部103は、ステップ3に従って拡大信号Skに関する代表点
を算出する。
(D)Random Iteration Algorithmによるアトラクタの生成
FIFにおいて、アトラクタを生成する際に広く用いられているRandom Iteration Algorithm(RIA:ランダム繰り返しアルゴリズム)について説明する。ただし、ここでは対象となる信号に関するinverse problem,すなわち代表点
及び各補間区間に関する縮小写像
は既に求まっているものとする。
FIFにおいて、アトラクタを生成する際に広く用いられているRandom Iteration Algorithm(RIA:ランダム繰り返しアルゴリズム)について説明する。ただし、ここでは対象となる信号に関するinverse problem,すなわち代表点
まず、上記M個の縮小写像w^iの中からランダムに1つの写像を選択する。次に任意の代表(x^0,y^0)を初期値として、(x^0,y^0)に対して選択した写像を施すことで(x^1,y^1)を得る。さらに(x^1,y^1)に対して、再びランダムに選択された写像を施すことで(x^2,y^2)を得る。同様の処理をN回繰り返すことで合計(N+1)個のデータからなる点列
が得られる。
その様子を図9に示す。図9において黒丸は代表点、白丸はRandom Iteration Algorithmにより順次求まるポイントである。
その様子を図9に示す。図9において黒丸は代表点、白丸はRandom Iteration Algorithmにより順次求まるポイントである。
尚、Random Iteration Algorithmを適用することにより得られる点列は、N→∞のときIFSのアトラクタに収束することが知られている。ところで、アップサンプリング後の信号を構成するデータ数は、与えられた信号を構成するデータ数に比べて大きい。したがって、アップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べて、より強い自己アフィン特性を有することが期待される。Random Iteration Algorithmの詳細については以下の文献を参照されたい。
[文献]M.F.Barnsley, Fractals Everywhere 2nd ed., pp.87 Academic Press, San Diego, 1993
[文献]M.F.Barnsley, Fractals Everywhere 2nd ed., pp.87 Academic Press, San Diego, 1993
(E)実験結果
実験には、図10(a),(b)に示す音声信号A,Bを用いた。これらの音声信号は、CNN World Newsにおける女性キャスターの音声を44.1kHzで60秒間サンプリングすることで得た信号の内10〜20秒、20〜30秒区間を切り出したものである。実験では、まず信号A、Bを11.025kHzにダウンサンプリングした信号Sを作成し、その信号Sを本発明のFIFを用いたサンプリングレート変換方法を適用して再び44.1kHzに戻し、元の信号との比較を行った。尚、本実験では、Athlon1.4GHzのCPUを装着したLinuxマシンを用いた。
1つの自己アフィン区間の大きさNを変えて、上記手法を適用した際の処理時間Tを図11に示す。図11から、自己アフィン区間の大きさを小さく設定することによって、与えられた信号を1つの自己アフィン区間とみなして処理する場合に比べ、レート変換に要する計算時間を大幅に削減できることがわかる。
実験には、図10(a),(b)に示す音声信号A,Bを用いた。これらの音声信号は、CNN World Newsにおける女性キャスターの音声を44.1kHzで60秒間サンプリングすることで得た信号の内10〜20秒、20〜30秒区間を切り出したものである。実験では、まず信号A、Bを11.025kHzにダウンサンプリングした信号Sを作成し、その信号Sを本発明のFIFを用いたサンプリングレート変換方法を適用して再び44.1kHzに戻し、元の信号との比較を行った。尚、本実験では、Athlon1.4GHzのCPUを装着したLinuxマシンを用いた。
1つの自己アフィン区間の大きさNを変えて、上記手法を適用した際の処理時間Tを図11に示す。図11から、自己アフィン区間の大きさを小さく設定することによって、与えられた信号を1つの自己アフィン区間とみなして処理する場合に比べ、レート変換に要する計算時間を大幅に削減できることがわかる。
一方、レート変換精度を原信号との平均絶対誤差(MAEprop)によって評価した結果を図12に示す。図12において、Rは分数比サンプリングレート変換(下記文献を参照)と原信号とのMSEをMAEconvとした場合の比率R= MAEprop/ MAEconvを表す。図12から従来手法である分数比サンプリングレート変換に比べ、わずかではあるがFIFを用いたレート変換手法の精度が良いことがわかる。また、自己アフィン区間の大きさNはレート変換精度に影響を与えるものの、その影響は十分無視できる程小さいものであることがわかる。したがって、処理時間を考慮した場合、本手法は自己アフィン区間の大きさNを小さく設定して用いるのが良いと言える。
以下に、本発明により良好なレート変換を実現できる理由を考察する。
従来広く用いられているアップサンプリング手法は、与えられた離散信号のサンプル点間に適当な数のゼロ値を挿入し、さらに低域フィルタを適用することによって所望のサンプリングレートに変換する。しかしながら、この手法によって獲得される信号は、帯域制限されているため原信号が本来有していた高周波成分が含まれていない。
ところで、近年の研究により、音声信号が自己相似性あるいは自己アフィン特性に代表されるフラクタル特徴を有することが明らかになってきた。そこで、本手法では、対象となる音声信号が自己アフィン特性を有することを仮定し、自己アフィン特性を有する離散信号をうまく表現できるFractal Interpolation Functions(FIF)を用いて対象となる信号のサンプリングレート変換を行う。
FIFを用いて離散信号を表現する際には、代表点および写像パラメータを決定後、Random Iteration Algorithm(RIA)を用いて信号を生成する。RIAでは、反復回数→∞のときIterated Function System(IFS) のアトランタに収束することが知られている。つまり反復回数が多い程、より強い自己アフィン特性を有する信号を生成できると言える。ところで、アップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより多くのサンプル点を有している。したがって、本手法を適用することで得られるアップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより強い自己アフィン特性を有していると考えられる。信号が強い自己アフィン特性を有することは、その信号が細部において複雑さを保持していることを意味する。したがって、本手法を適用することによって得られる信号は、従来手法を適用することによって得られる信号に比べて、より多くの高周波成分を含んでいるため、良好なレート変換を実現できると言える。
[文献]Alan V. Oppenheim, Ronald W.Schafer, and John R.Bruck, Discrete-Time Signal Processing 2nd ed., pp.167, Prentice Hall, New Jersey, 1999.
以下に、本発明により良好なレート変換を実現できる理由を考察する。
従来広く用いられているアップサンプリング手法は、与えられた離散信号のサンプル点間に適当な数のゼロ値を挿入し、さらに低域フィルタを適用することによって所望のサンプリングレートに変換する。しかしながら、この手法によって獲得される信号は、帯域制限されているため原信号が本来有していた高周波成分が含まれていない。
ところで、近年の研究により、音声信号が自己相似性あるいは自己アフィン特性に代表されるフラクタル特徴を有することが明らかになってきた。そこで、本手法では、対象となる音声信号が自己アフィン特性を有することを仮定し、自己アフィン特性を有する離散信号をうまく表現できるFractal Interpolation Functions(FIF)を用いて対象となる信号のサンプリングレート変換を行う。
FIFを用いて離散信号を表現する際には、代表点および写像パラメータを決定後、Random Iteration Algorithm(RIA)を用いて信号を生成する。RIAでは、反復回数→∞のときIterated Function System(IFS) のアトランタに収束することが知られている。つまり反復回数が多い程、より強い自己アフィン特性を有する信号を生成できると言える。ところで、アップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより多くのサンプル点を有している。したがって、本手法を適用することで得られるアップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより強い自己アフィン特性を有していると考えられる。信号が強い自己アフィン特性を有することは、その信号が細部において複雑さを保持していることを意味する。したがって、本手法を適用することによって得られる信号は、従来手法を適用することによって得られる信号に比べて、より多くの高周波成分を含んでいるため、良好なレート変換を実現できると言える。
[文献]Alan V. Oppenheim, Ronald W.Schafer, and John R.Bruck, Discrete-Time Signal Processing 2nd ed., pp.167, Prentice Hall, New Jersey, 1999.
本発明のFIFを用いたサンプリングレート変換方法は、低サンプリングレートの信号を高サンプリングレート信号に高精度に変換することができ、オーディオ分野、画像処理分野において有効に利用することができる。
101 代表点決定部
102 第1の写像パラメータ算出部
103 拡大信号の代表点決定部
104 第2の写像パラメータ算出部
105 アトラクタ生成部
106 演算部
102 第1の写像パラメータ算出部
103 拡大信号の代表点決定部
104 第2の写像パラメータ算出部
105 アトラクタ生成部
106 演算部
Claims (4)
- 原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法において、
原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、
該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する、
ことを特徴とするFIFを用いたサンプリングレート変換方法。 - 原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、
前記拡大信号を発生するため写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する、
ことを特徴とする請求項1記載のFIFを用いたサンプリングレート変換方法。 - 前記拡大信号を発生するための写像パラメータを用いて前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点にランダム繰り返しアルゴリズム(RIA)を適用して前記拡大信号を近似したアトラクタを生成する、
ことを特徴とする請求項2記載のサンプリングレート変換方法。 - ランダム繰り返しアルゴリズムにより得られた信号値を1/kして、前記アトラクタを生成する、
ことを特徴とする請求項3記載のサンプリングレート変換方法。
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JP2003316452A JP2005084370A (ja) | 2003-09-09 | 2003-09-09 | Fifを用いたサンプリングレート変換方法 |
Publications (1)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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