JP2005084370A - Fifを用いたサンプリングレート変換方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換できる「FIFを用いたサンプリングレート変換方法」を提供する。
【構成】原信号Sのサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号Skを発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法であり、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータai,ci,di,ei,fiと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する。
【選択図】 図8

Description

本発明はFIF (Fractal Interpolation Functions)を用いたサンプリングレート変換方法に係わり、特に、オーディオ信号など低サンプリング信号を高サンプリング信号に変換するFIFを用いたサンプリングレート変換方法に関する。
(a)FIF
オーディオ分野やグラフィック分野ではサンプリング信号間を補間する技術が種々研究されて提案されている。かかる補間技術としてFIF (Fractal Interpolation Functions)がある。FIFは補間区間に該補間区間のM倍の長さの信号波形を写像して補間する技術である。以下において、本発明のレート変換処理を行う基礎となるこのFIF(たとえば非特許文献1を参照)について説明する。
図1に示すように一次元離散信号S={(un,vn):n=0,1,…,N}が与えられた際のFIF処理手順を以下に示す。ただし、信号Sは次式を満足する1価関数で表される信号である。
0<u1<.....<u (1)
まず、信号Sから、(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を選択する(図1中の黒丸点)。ただし、信号Sの両端点は次式に示すように、代表点として無条件に選択するものとする。
Figure 2005084370
上記(M+1)個の代表点を選択することにより、信号SはM個の区間(第1区間〜第M区間)に分割される。尚、以下では、連続する2つの代表点により定義される区間〔xi-1,xi〕を補間区間iと呼ぶ。
次に、式(3)に示すアフィン写像wを適用することで、信号SをM個の補間区間i(i=0〜M)にそれぞれ写像する。図2は信号Sを補間区間iに写像した例を示している。
Figure 2005084370
上式において、wは信号Sを補間区間iに写す縮小写像である。したがって、FIFを適用することで与えられた信号Sは、次式に示すように縮小写像w(i=1〜M)による自身の縮小像wi(S)の和集合として表現されることがわかる。
Figure 2005084370
上式において、GはIterated Function Systems(IFS)のアトラクタであり、自己アフィン特性を有することが知られている。
ところで、式(3)において、5つの未知パラメータa, ci, di, ei, fi(以降、写像パラメータと呼ぶ)が存在する。式(3)を実際の信号に適用するには、これら5つの未知パラメータa, ci, di, ei, fIを求めなければならない。そこで次式に示す制約条件を設ける。
Figure 2005084370
上記制約により、図2の矢印A,Bに示すように、信号Sの端点Ts,Teは補間区間iの端点tis,tieに写される。このような制約を設け、さらに5つ存在する写像パラメータの内、縮小因子と呼ばれるパラメータdiを変数と考えると、他の4つの写像パラメータはそれぞれ、以下に示すように表すことができる。
Figure 2005084370
FIFを用いて与えられた信号を高精度に表現するためには、代表点及び縮小因子をいかに決定するかという問題が生じる。この問題はFIFにおけるinverse problemと呼ばれており、これまでにその解法が幾つか提案されているが、本文ではMazelらにより提案された手法(たとえば非特許文献2参照)を用いてinverse problemを解決する。以下において、その方法を説明する。
(b)写像パラメータの決定
先に述べたように、FIFを適用することで、与えられた信号Sは各補間区間に写される。このとき、縮小写像wによる信号Sの像w(s)={(pn,qn):n=0,1,…,N}は(図3参照)、次式に示すように表すことができる。図3において大きな白丸は信号S上ののデータポイント、小さな黒丸は縮小写像w(s)上のN個のポイントである。
Figure 2005084370
前節で述べたように、FIFを適用する際には、与えられた信号Sを高精度に近似したアトラクタGをいかに生成するかが問題となるが、この問題は、信号Sの部分集合S[xi-1,xi]と縮小像w(S)との誤差を最小化することにより解決できる。ここで、信号S[xi-1,xi]と縮小像w(S)との誤差をEとすると、Eは図3に示すように、信号S[xi-1,xi]及び縮小像w(S)を構成するデータ点の垂直方向の距離を足し合わせることにより、次式に示すように定式化できる。
Figure 2005084370
尚、次式(12)において[・]はガウス記号を表す。式(11)に式(8)、(9)をそれぞれ代入し、整理すると次式を得る。
Figure 2005084370
次に、式(13)を縮小因子dに関して最小2乗規範に基づき最小化すると、縮小因子diは次式により与えられる。
Figure 2005084370
先に述べたように、縮小因子diの価が決定されれば、残り4つの写像パラメータは一意に定めることができる。したがって、対象となる信号が全て既知のデータ点により構成されている場合、そのinverse problemは比較的容易に解くことができる。
M.F.Barbsley, "Fractal functions and interpolation" Constructive Approximation, vol.2, pp.303-329, 1986 D.S.Mazel and M.H. Hayes, "Using Iterated function systems to model discrete sequences," IEEE Trans. Signal Processing, vol.40, No.7, pp.1243-1249, Oct 1982.
以上述べたように、対象となる信号が全て既知のデータ点により構成されている場合、そのinverse problemは比較的容易に解くことができる。しかしながら、レート変換(アップサンプリング)後の信号は、これから補間されるべき、未知のデータ点を含むことからinverse problemを解くことは困難である。
以上から本発明の目的はレート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解き、低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換できるFIFを用いたサンプリングレート変換方法を提供することである。
本発明は、原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法であり、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する。すなわち、原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、前記拡大信号を発生するため写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する。
具体的には、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを用いて前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点にランダム繰り返しアルゴリズム(RIA)を適用して前記拡大信号を近似したアトラクタを生成する。この場合、ランダム繰り返しアルゴリズムにより得られた信号値を1/kして、前記アトラクタを生成する。
本発明によれば、レート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解いて低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換することができる。
原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法において、原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、かつ、原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、前記拡大信号を発生するための写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する。以上により、本発明は、レート変換(アップサンプリング)後の信号のinverse problemを解いて、すなわち、拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点と拡大信号を発生するための写像パラメータを求めて、低サンプリング信号を高サンプリング信号に精度良好にレート変換することができる。
(A)写像パラメータの決定
信号の拡大処理の前後における写像パラメータの関係を導出することにより、拡大信号の写像パラメータを特定することができる。ここで、“信号をk倍に拡大する”とは、信号のサンプリングレート及び信号値(振幅)をそれぞれk倍する処理を指す。
まず、FIFを用いた一次元離散信号のレート変換手法のアルゴリズムを説明する。なお、与えられた信号をS、Sに比べてサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを次式
Figure 2005084370
で定義されるSkとする。ただし、信号Skは次式を満足するものとする。
Figure 2005084370
このとき
、信号Sに関する
Figure 2005084370
は、次式に示すように、信号Sに関する代表点(xi,yi)をu軸及びv軸方向にそれぞれk倍した位置に配置する。
Figure 2005084370
ここで、信号Sに関する写像パラメータを
Figure 2005084370
とすると、写像パラメータa^は次式より与えられる。なお、
Figure 2005084370
である。

Figure 2005084370
上式に式(18)を代入すると次式を得る。
Figure 2005084370
上式から、写像パラメータaiは拡大処理の前後において不変であることがわかる。他の写像パラメータei, ,ci,fiについても、同様の処理を施すことで、それぞれ以下に示す関係を導くことができる。
Figure 2005084370
ただし、写像パラメータ
Figure 2005084370
は縮小因子d^の関数であることから、現時点において、
Figure 2005084370
の関係を明らかにすることはできない。
そこで、次に縮小因子について考える。縮小写像w^
による信号Skの像を
Figure 2005084370
とすると
Figure 2005084370
は以下のように表すことができる。
Figure 2005084370
したがって、図4に示すように、補間区間iについて、信号Sとその縮小像
Figure 2005084370
との誤差E^は次式により与えられる。
Figure 2005084370
しかし、以上は信号Skを構成する図4のデータ点(大径の黒丸点)が全て既知の場合である。しかし、k倍に拡大する前はこれらのデータ点(大径の黒丸点)は総て既知でなく、図5に示すように1/k個のみ(図5の大径の黒丸点)のみが既知であるに過ぎない。換言すれば、先に述べたように、信号Sは補間されるべき未知のデータ点(図5の白丸点)を含むため、式(28)を用いて誤差を算出することは困難である。
そこで、信号Skの内、既知のデータ点のみを用いると、次式に示すように,誤差を近似することができる。
Figure 2005084370
式(31)に式(17)、(21)、(22)をそれぞれ代入すると次式を得る。
Figure 2005084370
次に、式(30)に式(23)、(25)、(32)を代入すると、誤差は以下のように書き表すことができる。
Figure 2005084370
上式に式(17)を代入し、整理すると次式を得る。
Figure 2005084370
ただし、上式において、α,βはそれぞれ次式(14)、(15)と一致する。式(34)を縮小因子d^iに関して、最小2乗規範に基づき最小化すると、以下に示すdiとd^iの関係式を導くことができる。
Figure 2005084370
上式から、拡大処理の前後において、縮小因子は不変であることがわかる。そこで式(35)を式(24)、(26)にそれぞれ代入すると、次式に示す関係式が得られる。
Figure 2005084370
したがって、FIFにおいて5つ存在する写像パラメータの内ai,, ci, diは拡大処理の前後において不変であり、ei,, fiは、拡大率kを乗じることで、拡大処理後の値を決定することが可能である。すなわち、拡大信号Sk iの各補間区間に対する写像パラメータ
Figure 2005084370
は、それぞれ信号Siに関する写像パラメータを用いて以下のように決定することができる。
Figure 2005084370
本発明はこの性質を用いて、与えられた離散信号のサンプリングレートを変換する。以下にその手順を説明する。
(B) FIFを用いたレート変換アルゴリズム
図6はFIFを用いたレート変換アルゴリズムの処理フローであり、離散信号Sが与えられた際、まず、FIFによりサンプリングレート及び信号値がk倍である信号Skを推定し、さらにその信号値をI/k倍することで、レート変換後の信号を獲得するまでの処理手順を示している。
(1)与えられた信号のモデル化
まず、図7に示すように、信号SをそれぞれN個のサンプル点から成るL個の自己アフィン区間に等分割し、各々の信号を{Si:i=1,2,….,L}とする。次に、信号Siに対して周知のベクトルトレーサ法を適用することにより、(Mi+1)個の代表点Pi={(xi,yi):i=0,1,…,Mi}を選択する(ステップ1)。なお、以降では信号S,P,Mを単に信号S,P,Mと表記する。
先に述べたように、信号Sは全て既知のデータ点から構成されているため、写像パラメータを決定することは容易である。そこで、式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する(ステップ2)。
なお、ベクトルトレーサ法は以下の文献に記述されている。
[文献]安居院猛、飯塚久登、中嶋正之、“ピラミッド階層構造データの位相変化情報を利用した市街地図の処理” 信学論(D),vol.40,no.7, pp.1243-1249,Oct 1982.
(2)拡大信号に関するinverse problemの解決
上記ステップ1,2の処理により、与えられた信号Sに関するinverse problemは解決された。そこで次に拡大処理後の信号Sに関するinverse problemを解決する。まず、信号Sに関する代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}をu軸、v軸方向にそれぞれk倍することで、信号Sに関する代表点
Figure 2005084370
を決定する(ステップ3)。次に、拡大信号Sに関する写像パラメータ
Figure 2005084370
を式(38)を用いて決定する(ステップ4)。
(3)拡大信号の構成
次に、フラクタル関数を生成する際に広く用いられている周知のRandom Iteration Algorithm(RIA)(後述)を適用することにより、拡大処理後の信号Sを近似したアトラクタGを生成する(ステップ5)。ここで、(kN+1)個のサンプル点から構成されるアトラクタGkを生成するためにはRIAにおいて、(kN+1)回の反復が必要となる。これにより、次式に示すアトラクタGkが得られる。
Figure 2005084370
ただし、アトラクタGkは与えられた信号に比べて、その信号がk倍されているので、次式に示すようにその信号値を1/k倍したG^
がレート変換後の信号を近似したアトラクタとなる(ステップ6)。
Figure 2005084370
以上本発明のFIFを用いたレート変換手法によれば、与えられた信号に対する拡大率kが決定されれば、拡大処理後の信号に関する代表点、写像パラメータ及びRIAにおける反復回数等を一意に定めることができる。したがって、与えられた信号に対する、任意の拡大率での拡大処理を容易に実現することができる。
実際に音声信号のレート変換を行う際には、計算コストを削減するために自己アフィン区間を分割して処理を行う必要がある。
(C)FIFを用いたサンプリングレート変換装置
図8はFIFを用いたレート変換アルゴリズムに従ってサンプリングレートをk倍する本発明のサンプリングレート変換装置の構成図であり、代表点決定部101はステップ1に従って信号Sの(M+1)個の代表点P={(xi,yi):i=0,1,…,M}を決定する。第1の写像パラメータ算出部102はステップ2に従って式(6)−(9)及び式(16)を用いて写像パラメータai, ci, di, ei, fiを決定する。拡大信号の代表点決定部103は、ステップ3に従って拡大信号Sに関する代表点
Figure 2005084370
を決定する。第2の写像パラメータ算出部104はステップ4に従って式(38)式に基づいて拡大信号に関する写像パラメータ
Figure 2005084370
を決定する。アトラクタ生成部105は、周知のRandom Iteration Algorithm(RIA)を適用することにより、拡大処理後の信号Sを近似したアトラクタGを生成する。演算部106はアトラクタGkの信号値を1/k倍してレート変換後の信号を近似したアトラクタG^k
を算出する。
S,S,Gkにサフィックスiを付加すれば、レート変換後の信号Sは次式に示すようにアトラクタG^k の和集合として表される。
Figure 2005084370
(D)Random Iteration Algorithmによるアトラクタの生成
FIFにおいて、アトラクタを生成する際に広く用いられているRandom Iteration Algorithm(RIA:ランダム繰り返しアルゴリズム)について説明する。ただし、ここでは対象となる信号に関するinverse problem,すなわち代表点
Figure 2005084370
及び各補間区間に関する縮小写像
Figure 2005084370
は既に求まっているものとする。
まず、上記M個の縮小写像w^iの中からランダムに1つの写像を選択する。次に任意の代表(x^0,y^0)を初期値として、(x^0,y^0)に対して選択した写像を施すことで(x^1,y^1)を得る。さらに(x^1,y^1)に対して、再びランダムに選択された写像を施すことで(x^2,y^2)を得る。同様の処理をN回繰り返すことで合計(N+1)個のデータからなる点列
Figure 2005084370
が得られる。
その様子を図9に示す。図9において黒丸は代表点、白丸はRandom Iteration Algorithmにより順次求まるポイントである。
尚、Random Iteration Algorithmを適用することにより得られる点列は、N→∞のときIFSのアトラクタに収束することが知られている。ところで、アップサンプリング後の信号を構成するデータ数は、与えられた信号を構成するデータ数に比べて大きい。したがって、アップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べて、より強い自己アフィン特性を有することが期待される。Random Iteration Algorithmの詳細については以下の文献を参照されたい。
[文献]M.F.Barnsley, Fractals Everywhere 2nd ed., pp.87 Academic Press, San Diego, 1993
(E)実験結果
実験には、図10(a),(b)に示す音声信号A,Bを用いた。これらの音声信号は、CNN World Newsにおける女性キャスターの音声を44.1kHzで60秒間サンプリングすることで得た信号の内10〜20秒、20〜30秒区間を切り出したものである。実験では、まず信号A、Bを11.025kHzにダウンサンプリングした信号Sを作成し、その信号Sを本発明のFIFを用いたサンプリングレート変換方法を適用して再び44.1kHzに戻し、元の信号との比較を行った。尚、本実験では、Athlon1.4GHzのCPUを装着したLinuxマシンを用いた。
1つの自己アフィン区間の大きさNを変えて、上記手法を適用した際の処理時間Tを図11に示す。図11から、自己アフィン区間の大きさを小さく設定することによって、与えられた信号を1つの自己アフィン区間とみなして処理する場合に比べ、レート変換に要する計算時間を大幅に削減できることがわかる。
一方、レート変換精度を原信号との平均絶対誤差(MAEprop)によって評価した結果を図12に示す。図12において、Rは分数比サンプリングレート変換(下記文献を参照)と原信号とのMSEをMAEconvとした場合の比率R= MAEprop/ MAEconvを表す。図12から従来手法である分数比サンプリングレート変換に比べ、わずかではあるがFIFを用いたレート変換手法の精度が良いことがわかる。また、自己アフィン区間の大きさNはレート変換精度に影響を与えるものの、その影響は十分無視できる程小さいものであることがわかる。したがって、処理時間を考慮した場合、本手法は自己アフィン区間の大きさNを小さく設定して用いるのが良いと言える。
以下に、本発明により良好なレート変換を実現できる理由を考察する。
従来広く用いられているアップサンプリング手法は、与えられた離散信号のサンプル点間に適当な数のゼロ値を挿入し、さらに低域フィルタを適用することによって所望のサンプリングレートに変換する。しかしながら、この手法によって獲得される信号は、帯域制限されているため原信号が本来有していた高周波成分が含まれていない。
ところで、近年の研究により、音声信号が自己相似性あるいは自己アフィン特性に代表されるフラクタル特徴を有することが明らかになってきた。そこで、本手法では、対象となる音声信号が自己アフィン特性を有することを仮定し、自己アフィン特性を有する離散信号をうまく表現できるFractal Interpolation Functions(FIF)を用いて対象となる信号のサンプリングレート変換を行う。
FIFを用いて離散信号を表現する際には、代表点および写像パラメータを決定後、Random Iteration Algorithm(RIA)を用いて信号を生成する。RIAでは、反復回数→∞のときIterated Function System(IFS) のアトランタに収束することが知られている。つまり反復回数が多い程、より強い自己アフィン特性を有する信号を生成できると言える。ところで、アップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより多くのサンプル点を有している。したがって、本手法を適用することで得られるアップサンプリング後の信号は、与えられた信号に比べてより強い自己アフィン特性を有していると考えられる。信号が強い自己アフィン特性を有することは、その信号が細部において複雑さを保持していることを意味する。したがって、本手法を適用することによって得られる信号は、従来手法を適用することによって得られる信号に比べて、より多くの高周波成分を含んでいるため、良好なレート変換を実現できると言える。

[文献]Alan V. Oppenheim, Ronald W.Schafer, and John R.Bruck, Discrete-Time Signal Processing 2nd ed., pp.167, Prentice Hall, New Jersey, 1999.
本発明のFIFを用いたサンプリングレート変換方法は、低サンプリングレートの信号を高サンプリングレート信号に高精度に変換することができ、オーディオ分野、画像処理分野において有効に利用することができる。
一次元離散信号S={(un,vn):n=0,1,…,N}が与えられた際のFIF処理手順説明図である。 FIF処理手順において信号Sを補間区間iに写像した例である。 信号S[xi-1,xi]と縮小像w(S)との誤差Eを最小化することにより写像パラメータを決定する原理説明図である。 拡大信号(データ点が全て既知の場合)の写像パラメータ決定原理説明図である。 拡大信号(データ点が全て既知でない場合)の写像パラメータ決定原理説明図である。 FIFを用いたレート変換アルゴリズムの処理フローである。 信号Sのモデル化説明図である。 FIFを用いたレート変換アルゴリズムに従ってサンプリングレートをk倍する本発明のサンプリングレート変換装置の構成図である。 ランダム繰り返しアルゴリズムRIAの説明図である。 実験に使用した音声信号波形図である。 第1の実験結果である。 第2の実験結果である。
符号の説明
101 代表点決定部
102 第1の写像パラメータ算出部
103 拡大信号の代表点決定部
104 第2の写像パラメータ算出部
105 アトラクタ生成部
106 演算部

Claims (4)

  1. 原信号のサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生するフラクタル補間機能(FIF)を用いたサンプリングレート変換方法において、
    原信号をFIF補間区間に写像するための写像パラメータと前記kを用いて、前記拡大信号を発生するための写像パラメータを求め、
    該求めた写像パラメータを用いて原信号のサンプリングレートをアップレートした拡大信号を発生する、
    ことを特徴とするFIFを用いたサンプリングレート変換方法。
  2. 原信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いて拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点求め、
    前記拡大信号を発生するため写像パラメータと前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点を用いてサンプリングレートをk倍にアップレートした拡大信号を発生する、
    ことを特徴とする請求項1記載のFIFを用いたサンプリングレート変換方法。
  3. 前記拡大信号を発生するための写像パラメータを用いて前記拡大信号のFIF補間区間を特定する代表点にランダム繰り返しアルゴリズム(RIA)を適用して前記拡大信号を近似したアトラクタを生成する、
    ことを特徴とする請求項2記載のサンプリングレート変換方法。
  4. ランダム繰り返しアルゴリズムにより得られた信号値を1/kして、前記アトラクタを生成する、
    ことを特徴とする請求項3記載のサンプリングレート変換方法。
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